説明

シートの積層体を有価証券の束、特に銀行券の束になるように処理するための方法およびシステム

シートの積層体(SS)を有価証券の束(5)、特に銀行券の束になるように処理するための方法が記載される。この方法は、各々が行および列のマトリクスに配置された複数の有価証券プリントのアレイを担持するシートの連続する積層体(SS)を、束ストリップの連続するセット(S;S)になるように切断するステップと、束ストリップの連続するセット(S;S)を、有価証券の連続した束(5)の連続するセット(2)になるように切断するステップとを含む。この方法は、さらに、各束ストリップ(S;S)を連続した束(5)の連続するセット(2)になるように切断する前に、各束ストリップ(S;S)内の基板の数を数えるステップをさらに含む。このような計数は、束ストリップ(S;S)の長手方向側(10)に平行な変位の方向(A)に沿って束ストリップ(S;S)が変位されている間に、束ストリップ(S;S)の長手方向側(10)の少なくとも一部分の少なくとも1枚の画像(I)を取得することと、前記少なくとも1枚の画像(I)を、束ストリップ(S;S)内の基板の基板数を導出するように処理することとを含む。また、本方法を実施するためのシステムも記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、有価証券、特に銀行券の製造に関し、より詳細にはシートの積層体を有価証券の束、特に銀行券の束になるように処理するための方法およびシステムに関する。
【0002】
本発明の文脈では、用語「有価証券」は、銀行券、小切手、関税印紙、宝くじ券、パスポート、身分証明書類または旅行書類、および同様のものなどのあらゆる種類の有価証券書類および/または重要書類を包含すると理解されたい。好ましくは有価証券は、銀行券である。
【背景技術】
【0003】
有価証券、特に、銀行券のシートを有価証券の束および有価証券の束の積層体になるように処理するための方法および機器(いわゆる「仕上げ」の方法および機器)が、当技術分野ではすでに知られている。
【0004】
そのような仕上げの方法および機器は、いずれも本発明の出願人の名の下の、たとえば米国特許第3,939,621号、同第4,045,944号、同第4,283,902号、同第4,453,707号、同第4,463,677号、同第4,558,557号、同第4,558,615号、同第4,653,399号、欧州特許出願公開第0656309 A1号、国際出願の国際公開第01/49464 A1号、欧州特許出願公開第1607355 A1号、および国際出願の国際公開第2008/010125 A2号に開示されている。特に有利な解決策は、これもまた本発明の出願人の名の下の国際出願の国際公開第2004/016433 A1号に開示されており、その解決策は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれ、連続した番号列を有する有価証券の停滞のない流れを生成するのに特に適している。他の知られている解決策は、欧州特許出願公開第0598679 A1号、国際出願の国際公開第2005/018945 A1号、国際出願の国際公開第2006/131839 A2号および英国特許出願第2262729 A号に開示されている。
【0005】
上記で特定した文献に説明されているように、有価証券を、各々が行および列のマトリクスに配置された複数の有価証券プリントを担持するシートまたは連続巻取紙の連続する部分の形態で有価証券を生成し、そのシートまたは巻取紙の連続する部分を、たいていは各有価証券プリントの番号付けの後、個々の有価証券を形成するように最終的に切断することは当技術分野では一般的な実践方法である。
【0006】
用語「シート」は、以下においては、シート送り式印刷機で使用されるような個々のシートと同様であり、または巻取紙送り式印刷機で使用されるような連続巻取紙の一部分と同様であることを指しており、連続巻取紙のその部分は、最終的には、最後の巻取紙印刷操作の後にシートになるように切断されることが理解されよう。仕上げプロセスの開始時、所定数の連続したシート(通常は100枚のシート)が、通例では互いの上部に積み重ねられてシートの連続した積層体を形成し、このシート積層体は、次いで、有価証券プリント間で行方向および列方向に切断されて有価証券の個々の束を生成するように逐次処理される。これらの束は、次いで、たいていは通常10束ごとの束の積層体を形成するように積み重ねられる。
【0007】
図1は、参照番号1によって全体的に示した、シートの積層体を個々の束になるように処理するためのシート積層処理システムの上面図を概略的に例示しており、このシステムは、米国特許第4,283,902号(米国特許第4,453,707号、同第4,463,677号、同第4,558,557号、同第4,558,615号および同第4,653,399号)に開示されたものと類似のやり方で作動する。この処理システムは、1時間あたり10、000シートの通常の速度でシートを処理するように適合されている。参照SSは、この例では、通常は互いの上に積み重ねられた100枚の連続したシートを含むシートの所与の積層体を示している。すでに述べたように、各シートは、上に印刷された有価証券プリントのアレイまたはマトリクスを担持し、このアレイは、M列およびN行からなるものとして定義されることを理解されたい。明確なことに、シート上の有価証券プリントの列および行の実際の数は、シートの寸法および各有価証券プリントの寸法によって変わる。
【0008】
本発明の範囲内において、かつ明確にするために、図2に概略的に例示するように、用語「列」は、これ以後「シート長さ」と称するシートの第1の寸法に沿って互いに隣り合う有価証券プリントの配置を指すものと理解されるべきであり、一方で用語「行」は、これ以後「シート幅」と称するシートの他方の寸法に沿って互いに隣り合う有価証券プリントの配置を指すものと理解されるべきである。しかし、厳密に言えば、用語「列」/「行」および「シート幅」/「シート長さ」は、交換可能である。上記の定義によれば、シート長さは、通常、印刷操作を実施するために使用された1台の印刷機または複数台の印刷機を通るシート(または連続巻取紙)の輸送方向に平行なシート(または巻取紙部分)の寸法に対応するものであり、一方でシート幅は、シート(または連続巻取紙)の輸送方向に対して横方向のシートの寸法に対応する。シート幅は、通常、シート長さより大きい。
【0009】
当技術分野では通常であるように、寸法は(シート送り式印刷機上で処理された個々のシートまたは巻取紙送り式印刷機上で処理された連続巻取紙の連続する巻取紙部分に関係なく)、たとえば長さ700mmあたり幅820mm(すなわち820×700mm)の大きさでよい。そのようなシート寸法では、たとえば130×65mmの寸法を有する有価証券プリントの10行(N=10)あたり6列(M=6)が、たとえばシート上に提供されてよい。740×680mmのシート寸法では、たとえば180×90mmの寸法を有する有価証券プリントの7行(N=7)あたり4列(M=4)が、たとえばシート上に提供されてよい。たとえば420×400mmの小さいシート寸法に関しては、たとえば100×60mmの寸法を有する有価証券プリントの6行(N=6)あたり4列(M=4)が、たとえばシート上に提供されてよい。上記の例は、当然ながら例示の目的のみで与えられている。
【0010】
図1の概略的な例示では、各シートは、10行(N=10)あたり5列(M=5)の有価証券プリント、すなわち1シートあたり50の有価証券プリントを担持している。シート積層体SSは、最初、第1の切断ステーションCS1を通るように段階的に(図1のyの方向に沿って)送られ、第1の切断ステーションCS1では、積層体SSは、有価証券の束ストリップSの連続するセットを出力するように有価証券プリントの行に沿って切断される。この例では、有価証券の10個(N=10)のそのような束ストリップSが、各積層体SSの行方向の切断の結果生成され、有価証券の各束ストリップSは、この場合、所与の数の有価証券プリント、つまり500枚(すなわちM=100×5)の有価証券プリントを包含している(すなわち各々100枚の有価証券の5束に相当)。プロセスでは、シートの前縁および後縁におけるマージン(例示せず)もまた、通常、切断および破棄される。
【0011】
有価証券の各束ストリップSは、次いで、通常は帯締めステーションBSを通るように連続的に送られ、帯締めステーションBSは、有価証券の各束ストリップSの長さに沿って(すなわち図1の方向xに沿って)分散された、有価証券プリントを担持する束ストリップS上の複数の位置の対応する1つの周りに固定帯Bを施すための複数の帯締めユニットを備える。(「バンダローリング」とも称される)帯締めを実施するための適切な帯締めユニットは、たとえば、本発明の出願人の名の下の国際出願の国際公開第2005/085070 A1号で開示されている。この例では、帯締めステーションBSは、各シート上に存在する有価証券プリントの列と同じ数の帯締めユニット、つまりこの例では5個(M=5)の帯締めユニットを備える。帯締め操作は、省略されてよく、あるいは有価証券を束配置の形態で一緒に固定することを目的とした任意の他の操作、たとえばステープリングなどによって置き換えられてもよい。
【0012】
これ以後、有価証券の帯締めされた束ストリップSと称される、固定帯Bがこうして施された有価証券の各束ストリップSは、次いで、帯締めステーションBSから出て次の処理ステーションに送られる。例示した例では、有価証券の帯締めされた各束ストリップSは、横方向に(図1の方向xとは反対の方向Aに沿って)帯締めステーションBSから出て、次いで(方向yに沿って)照合位置まで送られ、この照合位置では、所与の同じシート積層体SSの有価証券のすべての帯締めされた束ストリップSが、元のシート積層体SSの配置に対応する有価証券のN個の帯締めされた束ストリップSの積層体様の構成SSを形成するように再グループ化される。積層体様の構成SS内では、帯締めされた束ストリップSは、通常、互いの近くにまたはさらには互いに対して当接して位置する。
【0013】
有価証券の帯締めされた束ストリップSのこうして組み立てられた積層体様の構成SSは、次いで、第2の切断ステーションCS2を通るように段階的に(方向xに沿って)送られ、この第2の切断ステーションCS2では、積層体様の構成SSは、有価証券の束5の連続するセット2を出力するように有価証券プリントの列に沿って切断され、すべての帯締めされた束ストリップSは、第2の切断ステーションCS2によって同時にかつ段階的に切断される。この例では、各々に固定帯が施された、有価証券の束5の5つの連続するセット2が、各積層体様の構成SSを列方向に切断した結果生成され、連続するセット2の各々は、隣り合って配設された有価証券の束5の所与の数、つまり各々100枚の個々の有価証券の10列(N=10)の束5(すなわち元のシート積層体SSの有価証券プリントの1つの列に相当)からなる。このプロセスでは、シートの右縁および左縁におけるマージン(例示せず)(すなわち図1の積層体様の構成SSの上部および底部におけるマージン)もまた、通常は切断および破棄される。あるいは、米国特許第4,283,902号に開示されたように、右および左のマージンは、シート積層体SSを、第1の切断ステーションCS1に送る前に、さらなる切断装置を用いて切断されてよい。
【0014】
有価証券の束5の各セット2は、ここで、束5の次のセット2が到着する前に排出される必要がある。セット2の各束5は、図1に概略的に例示するように、離間されて置かれた束5の流れを形成するためにさらに分離されなければならない。そのような分離は、各束をさらに個々に処理して、特に束2の適切な積層体75(これ以後「束積層体」と称される)を形成できるために必要である。個々の束5を束積層体75になるようにさらに処理することは、特に、たとえば凹版印刷の結果創出されるさまざまな起伏、(OVD−可変光デバイスなどの)基板の選択された領域上に装着された安全保護要素の存在、または(すかし模様、セキュリティースレッド、窓などの)基板内に局所的に埋め込まれた安全保護要素の存在による有価証券の通常の厚さの変動を補正するために、束5を1つおきに180度回転させることを含む(束の交互の回転を、図1に概略的に例示する)。この点において、各束の周りに施された固体帯もまた、通常、各束の中央部分に対してずらすようにして帯締めステーションBSにおいて装着される。束の分離操作および包装操作を実施するための適切な方法およびシステムは、たとえば本発明の出願人の名の下の、2008年4月25日に出願され、現在では欧州特許出願第2112110 A1号として公開されている表題「METHOD AND SYSTEM FOR PROCESSING BUNDLES OF SECURITIES、IN PARTICULAR BANKNOTE BUNDLES」の欧州特許出願第08155236.6号に開示されている(現在では国際公開第2009/130638 A1号として公開されている、上記で述べた欧州特許出願第08155236.6号の優先権を主張する2009年4月16日出願の国際出願のPCT/IB2009/051583も参照のこと)。
【0015】
1時間あたり10、000枚の通常の処理スピードを考えると、100枚のシートの新しい積層体SSは、第1の切断ステーションCS1の上流側で36秒ごとに供給され(=(1003’600)/10’000)、これは、36/N秒ごとに、第1の切断ステーションCS1の下流側で新しい束ストリップS、Sが得られることに相当する。各シートが有価証券プリントの5列(M=5)および10行(N=10)を担持するこの例では、これは、新しい束ストリップS、Sが3.6秒ごとに到着することを意味する。
【0016】
上記で説明した仕上げ方法の文脈では、最終的に生成されたその結果生じた束5の各々が、所望の数の基板、つまり100個の基板、それより多い基板、それより少ない基板を含むことを確実にすることが重要である。この理由のため、各束5が基板の適切な数を含むことを確認するために、通常、計数操作が、仕上げ中に実施される。
【0017】
計数は、たとえば欧州特許出願第0737936 A1号で開示された、計数ディスクなどの機械的手段によって実施され得る。あるいは「非接触の」光学的計数による解決策が提案されており、この光学的計数による解決策は、光学的システムを利用して基板の積層体の側部の画像を取得し、そこから基板総数を導出する。そのような解決策は、たとえば国際出願の国際公開第96/22553 A1号、同第2004/059585 A1号、同第2004/097732 A1号、および同第2006/016234 A1号に開示されている。
【0018】
国際出願の国際公開第2006/016234 A1号によれば、光学的計数は、切断操作の直後、積み重ねられた基板が切断手段下で静止している間に、好ましくは積み重ねられた基板が切断ステーションにおいて圧縮手段によって依然として圧縮されている間に実行される。しかし、この解決策は実際にはそれほど実用的になり得ないことが見出されており、それというのも、これは、積み重ねられた基板の側部の画像を取得するために使用される画像センサを位置決めできる方法において限定を招き、測定された画像において誤りを招くことがあるためである。実際には、国際出願の国際公開第2006/016234 A1号の図で例示されているように、画像センサは、切断手段下に依然として存在する基板の積層体の新たに切断された側部が見えるように切断ステーションの下流側に位置する必要があり、これは、画像センサを、基板の積層体の真正面ではなく(さもないと、画像センサは、切断ステーションから出力された基板の通路を妨害するはずである)、基板の通路に対して角度を付けて位置し得るという意味を含んでいる。さらには、基板のこの積層体が切断ステーションにおける切断手段下に依然として存在する間に基板の積層体の側部の1枚または複数枚の画像を取得するために使用できる時間は、限定されている。
【0019】
したがって、光学的計数を、仕上げプロセスを妨害することなく、より大きい自由度およびより大きいロバスト性で実施することができる改良された解決策に対する必要性が存在している。
【発明の概要】
【0020】
本発明の目的は、したがって、シートの積層体を有価証券の束、特に銀行券の束になるように処理するための改良された方法およびシステムであって、基板の数を光学的手段によって適切に確認することができる方法およびシステムを提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、高い製造効率が維持できることを保証しながら、実施が簡単でロバスト性のものであるそのような方法およびシステムを提供することである。
【0022】
したがって、本発明は、シートの積層体を有価証券の束、特に銀行券の束になるように処理するための方法に関し、この方法は、
−各々が行および列のマトリクスに配置された複数の有価証券プリントのアレイを担持するシートの連続する積層体を、束ストリップの連続するセットになるように切断するステップと、
−束ストリップの連続するセットを有価証券の連続した束の連続するセットになるように切断するステップと
を含み、
方法は、各束ストリップを連続した束の連続するセットになるように切断する前に、各束ストリップ内の基板の数を数えるステップをさらに含み、この数えるステップは、
−束ストリップの長手方向側に平行な変位の方向に沿って束ストリップが変位されている間に束ストリップの長手方向側の少なくとも一部分の少なくとも1枚の画像を取得することと、
−前記少なくとも1枚の画像を束ストリップ内の基板の基板総数を導出するように処理することと
を含む。
【0023】
本発明はまた、シートの積層体を有価証券の束、特に銀行券の束になるように処理するためのシステムにも関し、システムは、
−各々が行および列のマトリクスに配置された複数の有価証券プリントのアレイを担持するシートの連続する積層体を、束ストリップの連続するセットになるように切断するための第1の切断ステーションと、
−束ストリップの連続するセットを有価証券の連続した束の連続するセットになるように切断するための第2のステーションと
を備えており、
システムは、各束ストリップを連続した束の連続するセットになるように切断する前に、各束ストリップ内の基板の数を数えるための光学的システムをさらに備え、この光学的システムは、
−束ストリップの長手方向側の少なくとも一部分の少なくとも1枚の画像を取得するための画像センサであって、束ストリップの長手方向側に平行な束ストリップの変位の方向に沿って置かれた、画像センサと、
−前記少なくとも1つ画像を束ストリップ内の基板の基板総数を導出するように処理するための処理ユニットと
を備えている。
【0024】
本発明の有利な実施形態は、付属の従属請求項の主題を形成する。
【0025】
1つの実施形態によれば、各束ストリップには、各束ストリップの長さに沿って分散された複数の固定帯が施され、基板の数の計数は、結果として生じた帯締めされた束ストリップ上で実施される。これは、束ストリップ内の積み重ねられた基板が固定帯によって一緒に固定されるために、適正な計数操作を助ける。
【0026】
この実施形態の好ましい変形形態によれば、有利には、帯締めされた束ストリップの長さに沿って固定帯が適正に存在しているかをさらに確認するために、帯締めされた各束ストリップの長手方向側の画像を取得することができる。
【0027】
別の実施形態によれば、基板の数の計数は、好ましくは、各束ストリップの長手方向側に沿って複数回、たとえば少なくとも束ストリップ内に存在する束位置と同じ回数だけ実施される。
【0028】
次に本発明のシステムを、例として添付の図を参照して例示する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】各々が行および列のマトリクスに配置された複数の有価証券プリントのアレイを担持するシートの積層体を、連続した束の連続するセットになるように処理するためのシステムの概略上面図である。
【図2】本発明の範囲内の「列」、「行」、「シート長さ」、および「シート幅」の観念を例示するシートレイアウトの概略図である。
【図3】本発明の1つの実施形態によるシステムの概略的な部分斜視図である。
【図4】本発明の1つの実施形態によるシステムの概略的な部分斜視図である。
【図5】図3および4のシステムの概略上面図である。
【図6】図5の拡大図である。
【図7】束ストリップの長手方向側の一部分から取得された例示的な実画像である。
【図8】本発明の文脈で使用される光学的システムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図3〜6と8とは、本発明による、シートの積層体を有価証券の束、特に銀行券の束になるように処理するための方法およびシステムの実施形態を例示している。図3〜6は、光学的計数が、この方法およびシステムの文脈でどのように実施されるかを例示する部分的概略図にすぎない。仕上げ原理に関する限り、そのような仕上げ原理は、図1および2を参照して本発明のプリアンブルにおいて説明したものに類似しており、したがってこの仕上げ原理を、再度説明することはない。
【0031】
仕上げ方法は、一般に、
−各々が行および列のマトリクス(図2を参照)で配置された複数の有価証券プリントのアレイを担持する、シートの連続する積層体SSを束ストリップの連続するセットS、Sになるように切断するステップと、
−束ストリップの連続するセットS、Sを有価証券の連続した束5の連続するセット2になるように切断するステップと
を含むことを理解するだけで十分である(再度図1を参照)。
【0032】
同様に、仕上げシステムは、一般に、
−シートの連続する積層体SSを、束ストリップの連続するセットS、Sになるように切断するための第1の切断ステーションCS1と、
−束ストリップの連続するセットS、Sを有価証券の連続した束5の連続するセット2になるように切断するための第2のステーションCS2と
を含むことを理解するだけで十分である(再度図1を参照)。
【0033】
図3〜6および8に例示する好ましい実施形態によれば、基板の数の光学的計数は、帯締めステーションBSの下流側の帯締めされた束ストリップS上で実施される。この帯締め操作は任意選択であり、したがって、光学的計数操作は、代替的に帯締めされていない束ストリップS上で実施されてよく、本発明の以下の説明は、この場合にも同様に適用可能である。しかし、帯締めされた束ストリップS上で光学的計数操作を実施することが好ましく、それというのもこれにより、帯締めされた束ストリップS内のすべての基板が適正に一緒に固定されることが確実にされるためである。
【0034】
より正確には、図3〜6および8に例示するように、光学的システムは、束ストリップSの経路に沿って置かれた、束ストリップSの長手方向側10の少なくとも一部分の少なくとも1枚の画像Iを取得するための画像センサ100を備える。図7に、束ストリップSの長手方向側10の一部分の例示的な画像Iを示す。
【0035】
これは、図3〜6の例において、少なくとも1枚の画像Iが、変位の方向A(帯締めステーションBSから出る方向−図1を参照)に沿って束ストリップSが変位されている間に取得され、この変位の方向Aは、図1の例示では、シートの積層体SSが第1の切断ステーションCS1において束ストリップS、Sになるようにそれに沿って切断される方向に平行であることを意味する。
【0036】
画像センサ100は、(図3〜6には示していないが、図8のブロック図では概略的に例示している)処理ユニット200に結合され、この処理ユニット200は、画像センサ100によって取得された少なくとも1枚の画像Iを、そこから束ストリップS内の基板の基板総数を導出するように処理するように設計される。どのような処理方法論も適用可能である。この点において、たとえば国際出願の国際公開第2004/097732 A1号を参照することができる。しかし、本発明は、この特定の処理方法論に限定されることはなく、画像センサ100によって取得された画像Iから基板総数を導出するのに適する限り、どのような他の画像処理技術を使用することもできる。
【0037】
好ましくは、処理ユニット200は、基板総数が基板の予想される数(たとえば100個の基板)に相当するか比較し、基板総数が基板の予想される数に相当しない場合に、警告またはエラー信号を発するように設計される。
【0038】
画像センサ100は、束ストリップSが画像センサ100の前を移動している間に束ストリップSの長手方向側10の所望の部分を走査するための線形センサを備えることができる。あるいは、画像センサ100は、束ストリップSの長手方向側10のその部分のスナップ写真を取得するためのアレイセンサを備えることもできる。いずれの場合も、画像センサ100は、束ストリップSの長手方向側10の所望の部分の画像Iを出力するように適切に設計されなければならない。明確なことに、光学的計数が、帯締めされた束ストリップS上で実施されるこの場合、画像Iは、束ストリップSの長手方向側10の固定帯Bを担持しない部分で取得されるものとする。
【0039】
好ましくは、複数の画像Iが、束ストリップSの長手方向側10のさまざまな部分において取得される。束ストリップSが、5個の(M=5)束位置、したがって5個の固定帯B(図1および8を参照)を含むこの場合、少なくとも5枚(または可能であれば6枚、もしくはそれ以上)の画像が、束ストリップSの長さに沿って、つまり固定帯Bの連続する各対の間(図8では位置P1からP4)および束ストリップSの1つの先端部(図8では位置P5)において取得される。
【0040】
有利には、光学的計数操作が帯締めされた束ストリップS上で実施される好ましい実施形態の文脈では、光学的システム100、200をさらに使用して、帯締めされた束ストリップSの長さに沿って固定帯Bが適正に存在しているかを確認することができる。この場合、これは、画像センサ100が、固定帯Bが予想される帯締めされた束ストリップSの長さに沿った場所において、5枚の追加の画像を取得することを必要とする。これらの画像に基づき、固定帯Bが対応する場所に位置しているかを確認することができ、そうでない場合、警告またはエラー信号を生じさせることができる。
【0041】
上記で説明した実施形態のさまざまな改変および/または改良が、付属の特許請求の範囲から逸脱することなく実施されてよい。たとえば、すでに述べたように、帯締め操作は任意選択であり、したがって光学的計数操作は、帯締めされていない束ストリップS上で直接実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの積層体(SS)を有価証券の束(5)、特に銀行券の束になるように処理する方法であって、
−各々が行および列のマトリクスに配置された複数の有価証券プリントのアレイを担持するシートの連続する積層体(SS)を、束ストリップの連続するセット(S;S)になるように切断するステップと、
−束ストリップの前記連続するセット(S;S)を、有価証券の連続した束(5)の連続するセット(2)になるように切断するステップと
を含み、
各束ストリップ(S;S)を連続した束(5)の前記連続するセット(2)になるように切断する前に、前記各束ストリップ(S;S)内の基板の数を数えるステップをさらに含み、前記数えるステップが、
−前記束ストリップ(S;S)の長手方向側(10)に平行な変位の方向(A)に沿って前記束ストリップ(S;S)が変位されている間に、前記束ストリップ(S;S)の前記長手方向側(10)の少なくとも一部分の少なくとも1枚の画像(I)を取得することと、
−前記少なくとも1枚の画像(I)を、前記束ストリップ(S;S)内の前記基板の基板総数を導出するように処理することと
を含む、方法。
【請求項2】
各束ストリップ(S)には、各束ストリップ(S)の長さに沿って分散された複数の固定帯(B)を施し、基板の数の計数を、結果として生じた帯締めされた束ストリップ(S)上で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記帯締めされた束ストリップ(S)の長さに沿って前記固定帯(B)が適正に存在しているかを確認するために、帯締めされた各束ストリップ(S)の前記長手方向側(10)の画像を取得するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
基板の数の計数を、各束ストリップ(S;S)の前記長手方向側(10)に沿って複数回実施する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記基板総数が基板の予想される数に相当するか比較して、前記基板総数が基板の前記予想される数に相当しない場合に警告またはエラー信号を発するステップをさらに含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
シートの積層体(SS)を有価証券の束(5)、特に銀行券の束になるように処理するためのシステムであって、
−各々が行および列のマトリクスに配置された複数の有価証券プリントのアレイを担持するシートの連続する積層体(SS)を、束ストリップの連続するセット(S;S)になるように切断するための第1の切断ステーション(CS1)と、
−束ストリップの前記連続するセット(S;S)を、有価証券の連続した束(5)の連続するセット(2)になるように切断するための第2のステーション(CS2)と
を備えており、
各束ストリップ(S;S)を連続した束(5)の前記連続するセット(2)になるように切断する前に、前記各束ストリップ(S;S)内の基板の数を数えるための光学的システム(100、200)をさらに備え、前記光学的システム(100、200)が、
−前記束ストリップ(S;S)の長手方向側(10)の少なくとも一部分の少なくとも1枚の画像(I)を取得するための画像センサ(100)であって、前記束ストリップ(S;S)の前記長手方向側(10)に平行な前記束ストリップ(S;S)の変位の方向(A)に沿って配置された画像センサ(100)と、
−前記少なくとも1枚の画像(I)を、前記束ストリップ(S;S)内の前記基板の基板総数を導出するように処理するための処理ユニット(200)と
を備えている、システム。
【請求項7】
前記束ストリップ(S)の長さに沿って分散された、複数の固定帯(B)を各束ストリップ(S)の前記長さに沿って施すための複数の帯締めユニットを有する帯締めステーション(BS)をさらに備えており、基板の数の計数が、結果として生じた帯締めされた束ストリップ(S)上で実施されるように前記画像センサ(100)が前記帯締めステーション(BS)の下流側に位置している、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記光学的システム(100、200)は、さらに、前記固定帯(B)が前記帯締めされた束ストリップ(S)の長さに沿って適正に存在しているかを確認する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記光学的システム(100、200)が、前記束ストリップ(S;S)の前記長手方向側(10)のさまざまな部分において複数の画像(I)を取得して処理するように設計されている、請求項6ないし8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記画像センサ(100)が、前記束ストリップ(S;S)が移動している間に前記束ストリップ(S;S)の前記長手方向側(10)の前記少なくとも一部分を走査するための線形センサを備えている、請求項6ないし9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記画像センサ(100)が、前記束ストリップ(S;S)の前記長手方向側(10)の前記少なくとも一部分のスナップ写真を取得するためのアレイセンサを備えている、請求項6ないし9のいずれか一項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−500918(P2013−500918A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523414(P2012−523414)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053496
【国際公開番号】WO2011/015982
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(591031371)カーベーアー−ノタシ ソシエテ アノニム (54)
【Fターム(参考)】