説明

シート処理装置、シート処理システム、画像形成装置、シート処理制御方法、及びシート処理制御プログラム

【課題】シート処理装置群の状態の同期管理を容易に実施可能とし、シート処理システムにおける信頼性を向上させる。
【解決手段】他機と通信可能なUARTと、このUARTから受信した情報を記憶するRAMと、このRAM及びRAMを介して受信情報と送信情報を制御するCPUと、を備え、他機と連結して使用されるシート処理装置であって、CPUは、下流側の他機から動作結果情報を受信したとき(S106)に、自機の動作状態が受信した動作結果情報と一致している場合には(S107−Y)、即時に上流側の他機に前記動作結果情報を転送し(S112)、下流側の他機から受信した動作結果情報と自機の動作状態が不一致の場合に(S107−N)、前記動作結果情報をRAMに保持し(S108)、自機の動作状態が前記受信した動作結果情報と一致するまで前記受信した動作結果情報の上流側の他機への転送を保留する(S109−N)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前段から搬入されてきた用紙などのシート状記録媒体(以下、単にシートとも称する)に対して所定の処理を施して後段に排紙するシート処理装置、このシート処理装置が複数接続されたシート処理システム、前記シート処理装置又は前記シート処理装置を備えた画像形成装置、シート処理制御方法、及びこのシート処理制御方法をコンピュータによって実行するためのシート処理制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置と、画像形成装置から出力されたシートに対して整合処理、綴じ処理、穴明け処理、製本処理などの後処理を行う複数のシート処理装置(後処理装置)が連結された画像形成システムが知られている。このような画像形成システムでは、シート処理装置間で信号を転送するようにしてシートに対する後処理を実現している。このような複数のシート処理装置を連結したシステムは、複数のシート処理装置を同期させて動作させることで成り立つ。そこで、このようなシステムにおいて同期を取ることに着目した技術として特許文献1あるいは2に記載された発明が知られている。
【0003】
このうち特許文献1(特開2007−10659号公報)には、連結接続される接続機と通信する通信手段と、前記通信手段を介して接続機毎の通信を任意のタイミングで行う制御手段と、上流機から受信した一部又は全ての各種信号を一時記憶する記憶手段と、を備え、前記制御手段は、シート状記録媒体搬送中に上流機から各種信号を受信したときには、前記記憶手段に一時記憶し、搬送中のシート状記録媒体の搬送位置に応じて一時記憶していた一部又は全ての各種信号を下流機に送信することを特徴とする発明が記載されている。
【0004】
また、特許文献2(特許第3959689号公報)には、システム構成を認識するための構成情報を、多段接続された後処理装置の一端から他端に向けて各後処理装置で自装置の識別情報を順次付加しながら転送する往路転送手段と、全ての後処理装置の識別情報が付加された構成情報を前記他端の後処理装置から前記一端の後処理装置に向けて順次転送する復路転送手段とを有することを特徴とする発明が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1記載の発明は、デイジーチェーン接続で連結されたシート処理装置間で、コマンドを上流から下流の機器に転送する際に、シート搬送状態に同期してコマンドを転送するというもので、特許文献2記載の発明は、往路転送手段と復路転送手段とを備え、デイジーチェーン接続で連結されたシート処理装置の構成情報を全てのシート処理装置間で認識させるというものである。
【0006】
しかし、特許文献1及び2で提案されている技術では、複数のシート処理装置の状態を同期させることはできず、状態を同期させるには、画像形成装置等において全てのシート処理装置の状態を把握/維持し、同期させる必要があった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、複数のシート処理装置を連結したシート処理システムにおいて、画像形成されたシートを処理するシート処理装置群を動作させる際の個々のシート処理装置における同期管理を容易に実施できるようにし、シート処理システムにおける信頼性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、第1の手段は、他機と通信可能な通信手段と、前記通信手段から受信した情報を記憶する記憶手段と、前記通信手段及び前記記憶手段を介して受信情報と送信情報を制御する制御手段と、を備え、他機と連結して使用されるシート処理装置であって、前記制御手段は、下流側の他機から動作結果情報を受信したときに、自機の動作状態が受信した動作結果情報と一致している場合には、即時に上流側の他機に前記動作結果情報を転送し、下流側の他機から受信した動作結果情報と自機の動作状態が不一致の場合に、前記動作結果情報を前記記憶手段に保持し、自機の動作状態が前記受信した動作結果情報と一致するまで前記受信した動作結果情報の上流側の他機への転送を保留することを特徴とする。
【0009】
第2の手段は、第1の手段において、前記制御手段は、上流側の他機から受信した動作要求情報が、自機を含む連結されたシート処理装置群に対する動作要求情報である場合に、前記転送又は保留の処理を行うことを特徴とする。
【0010】
第3の手段は、第2の手段において、前記制御手段は、前記上流側の機器から受信した動作要求情報が、自機以外のシート処理装置に対する動作要求情報である場合には、下流側の機器から受信した動作結果情報を保留せずにすぐに上流側の機器に転送することを特徴とする。
【0011】
第4の手段は、第2の手段において、前記制御手段は、前記動作要求情報が停止要求であり、前記動作結果情報が停止完了である場合には、自機の動作が停止するまで停止完了の動作結果情報の上流側の機器への転送を保留することを特徴とする。
【0012】
第5の手段は、第2の手段において、前記動作要求情報が起動要求であり、前記動作結果情報が起動完了であって、自機がシートを受入れ可能な状態に起動するまで起動完了の動作結果情報の上流側の機器への転送を保留することを特徴とする。
【0013】
第6の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段に係るシート処理装置が複数機連結されたシート処理システムを特徴とする。
【0014】
第7の手段は、第6の手段において、前記制御手段は、上流から受信した動作要求情報が、シート処理装置群に対する動作要求情報である場合に、最終段に連結された自機が、動作結果情報を生成して上流側の機器に応答して前記動作結果情報を転送し、他の上流側に連結された他機は、動作結果情報を生成せず、下流側の機器から受信した動作結果情報が自機の状態と一致した状態で上流側の機器に転送することを特徴とする。
【0015】
第8の手段は、第7の手段において、前記最終段に連結された自機は、動作状態を変更する必要がない動作要求情報に対しても、動作結果情報を生成することを特徴とする。
【0016】
第9の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段に係るシート処理装置を画像形成装置が備えていることを特徴とする。
【0017】
第10の手段は、第6ないし第8のいずれかの手段に係るシート処理システムを画像形成装置が備えていることを特徴とする。
【0018】
第11の手段は、他機と通信可能な通信手段と、前記通信手段から受信した情報を記憶する記憶手段と、を備え、他機と連結して使用されるシート処理装置のシート処理制御方法であって、下流側の他機から動作結果情報を受信したときに、自機の動作状態が受信した動作結果情報と一致している場合には、即時に上流側の他機に前記動作結果情報を転送し、下流側の他機から受信した動作結果情報と自機の動作状態が不一致の場合に、前記動作結果情報を前記記憶手段に保持し、自機の動作状態が前記受信した動作結果情報と一致するまで前記受信した動作結果情報の上流側の他機への転送を保留することを特徴とする。
【0019】
第12の手段は、他機と通信可能な通信手段と、前記通信手段から受信した情報を記憶する記憶手段と、を備え、他機と連結して使用されるシート処理装置におけるシート処理制御をコンピュータによって実行するためのシート処理制御プログラムであって、下流側の他機から動作結果情報を受信したときに、自機の動作状態が受信した動作結果情報と一致している場合には、即時に上流側の他機に前記動作結果情報を転送する手順と、下流側の他機から受信した動作結果情報と自機の動作状態が不一致の場合に、前記動作結果情報を前記記憶手段に保持し、自機の動作状態が前記受信した動作結果情報と一致するまで前記受信した動作結果情報の上流側の他機への転送を保留する手順と、を備えていることを特徴とする。
【0020】
なお、後述の実施形態では、通信手段は第1ないし第3のUART1022,1023,1032に、記憶手段は第1及び第2のRAM1025,1035に、制御手段は第1及び第2のCPU1021,1031に、シート処理装置は第1ないし第3のシート処理装置101,102,103、あるいは折り装置200、積載装置300、フィニッシャ400に、画像形成装置は複写機100又はプリンタ150に、それぞれ対応する。
【0021】
また、前記第1の手段においては、下流側の他機から動作結果情報を受信したときにという条件判断はステップS106,S206に、自機の動作状態が受信した動作結果情報と一致している場合には、即時に上流側の他機に前記動作結果情報を転送する処理は、ステップS107,S112、ステップS207,S212に、下流側の他機から受信した動作結果情報と自機の動作状態が不一致の場合に、前記動作結果情報を前記記憶手段に保持し、自機の動作状態が前記受信した動作結果情報と一致するまで前記受信した動作結果情報の上流側の他機への転送を保留する処理は、ステップS107,S108,S109、ステップS207,S208,S209に対応する。
【0022】
第2の手段においては、上流側の他機から受信した動作要求情報が、自機を含む連結されたシート処理装置群に対する動作要求情報である場合という条件判断は、ステップS103−Y、ステップS203−Yに対応する。
【0023】
第3の手段においては、前記上流側の機器から受信した動作要求情報が、自機以外のシート処理装置に対する動作要求情報である場合には、下流側の機器から受信した動作結果情報を保留せずにすぐに上流側の機器に転送するという処理は、ステップS104,S111,S112、ステップS204,S211,S212に対応する。
【0024】
第4の手段においては、動作要求情報が停止要求でありという条件判断はステップS103に、動作結果情報が停止完了である場合という条件判断はステップS107に、自機の動作が停止するまで停止完了の動作結果情報の上流側の機器への転送を保留するという処理はステップS108,S109にそれぞれ対応する。
【0025】
第5の手段においては、動作要求情報が起動要求でありという条件判断はステップS203に、動作結果情報が起動完了であってという条件判断はステップS207に、自機がシートを受入れ可能な状態に起動するまで起動完了の動作結果情報の上流側の機器への転送を保留するという処理はステップS208,S209にそれぞれ対応する。
【0026】
第7の手段においては、上流から受信した動作要求情報が、シート処理装置群に対する動作要求情報である場合に、最終段に連結された自機が、動作結果情報を生成して上流側の機器に応答して前記動作結果情報を転送する処理は、ステップS301からS306に対応し、他の上流側に連結された他機は、動作結果情報を生成せず、下流側の機器から受信した動作結果情報が自機の状態と一致した状態で上流側の機器に転送する処理はステップS112,S212に対応する。
【0027】
第8の手段においては、前記最終段に連結された自機は、動作状態を変更する必要がない動作要求情報に対しても、動作結果情報を生成する処理は、ステップS303からステップS306にスキップする処理に対応する。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、 下流側の他機から動作結果情報を受信したときに、自機の動作状態が受信した動作結果情報と一致している場合には、即時に上流側の他機に前記動作結果情報を転送し、下流側の他機から受信した動作結果情報と自機の動作状態が不一致の場合に、前記動作結果情報を前記記憶手段に保持し、自機の動作状態が前記受信した動作結果情報と一致するまで前記受信した動作結果情報の上流側の他機への転送を保留するので、画像形成されたシートを処理するシート処理装置群の状態の同期管理を容易に実施することが可能となり、シート処理装置及びシート処理システムにおける信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係るシート処理システムの概略構成を示す図で、複写機としてのシステム構成の概略を示す。
【図2】本発明の実施形態に係るシート処理システムの概略構成を示す図で、プリンタとしてのシステム構成の概略を示す。
【図3】本実施形態におけるシート処理システムの各装置の接続形態を示す図である。
【図4】第2のシート処理装置と第3のシート処理装置の内部構成の一部と、両者の接続関係を示すブロック図である。
【図5】第2のシート処理装置で、上流機から装置の動作停止を要求する停止動作要求情報を受信する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第2のシート処理装置で、上流機から装置の動作開始を要求する起動動作要求情報を受信する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】シート処理システムの最終段に連結された第3のシート処理装置における処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0031】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係るシート処理装置としての用紙後処理装置を含むシート処理システムの概略構成を示す図である。このうち、図1は複写機としてのシステム構成の概略を、図2はプリンタとしてのシステム構成の概略をそれぞれ示す。
【0032】
図1において、本実施形態に係る画像形成システムは、複写機100、折り装置200、積載装置300、及びフィニッシャ400から基本的に構成されている。複写機100は、原稿画像を読み取って電気信号に変換するスキャナ110、スキャナ110に原稿を1枚ずつ搬送する自動原稿給紙装置120、スキャナ110によって読み取られた画像電気信号を給紙装置130から給紙した用紙に形成する画像形成装置140からなり、画像形成装置140の後段に、前記折り装置200、積載装置300、及びフィニッシャ400を含むシート処理装置群が接続され、これらによって1つの画像形成システムを構成している。
【0033】
このシステムでは、画像形成装置140によって画像形成された用紙は、シート処理装置の1つである折り装置200によって折り加工され、積載装置300を中継してフィニッシャ400に搬送され、フィニッシャ400で用紙の整合とステープル処理が行われた後、フィニッシャ400の排紙トレイ410に積載される。あるいは、画像形成装置140によって画像形成された用紙は、折り装置200を中継して積載装置300に搬送され、積載装置300で整合され、積載装置300内の積載トレイに積載される。
【0034】
図2に示すプリンタシステムでは、画像形成装置140と給紙装置130からなるプリンタ150に、シート処理装置群としての折り装置200とフィニッシャ400が接続されたシステム構成となっている。このプリンタシステムでは、図示しない外部機器(例えばローカル、あるいはネットワーク接続されたパーソナルコンピュータ)から画像形成装置140PRにデータが転送され、給紙装置130から給紙された用紙に対して印字が実施され、折り装置200で折り処理が行われた後、あるいは折り処理をバイパスした後、フィニッシャ400に送られ、整合とステープル処理が行われた後、排紙トレイ410に排紙される。これらの装置の機能、機構等については、前記特許文献1に記載されているように周知であり、詳細な説明は省略する。
【0035】
図3は、本実施形態におけるシート処理システムの各装置の接続形態を示す図である。同図において、画像形成装置100の後段に第1ないし第3のシート処理装置101,102,103がこの順で接続されている。すなわち、第1のシート処理装置101は、シート搬送方向上流側で画像形成装置100に、下流側で第2のシート処理装置102と接続され、第2のシート処理装置102は上流側で第1のシート処理装置101に、下流側で第3のシート処理装置103と接続され、第3のシート処理装置103は、ここでは最終段の装置であり、上流側で第2のシート処理装置102と接続され、下流側では何の装置も接続されてはいない。
【0036】
図4は、第2のシート処理装置102と第3のシート処理装置103の内部構成の一部と、両者の接続関係を示すブロック図である。第2のシート処理装置102は、上流側との通信手段である第1のUART1022、受信情報の一時記憶手段である第1のRAM1025、下流側との通信手段である第2のUART1023を有し、バス1024を通じて第2のシート処理装置102を制御する第1のCPU1021と接続されている。第3のシート処理装置103は、上流側との通信手段である第3のUART1032、受信情報の一時記憶手段である第2のRAM1035を有し、バス1034を通じて第3のシート処理装置103を制御する第2のCPU1031と接続されている。第2のシート処理装置103は、下流側になにも接続されることがないため、下流側に対する通信手段は設けられていない。
【0037】
第2のシート処理装置102は、上流側第1のUART1022から、図示しない画像形成装置100あるいは第1のシート処理装置101と回線1026で接続されている。また、下流側の第2のUART1023から、シート処理装置103の上流側の第3のUART1032と回線1036で接続されている。なお、これら第1ないし第3のシート処理装置101,102,103には、後処理機能を実現するための機構や、制御プログラムを保持するためのROM、CPUのワークエリア及びデータバッファとして機能するRAM等の他のデバイスも有するが、図示は省略している。
【0038】
また、本実施形態では他の機器との通信手段としてUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)を使用しているが、通信手段の種類を限定するものではない。また一時記憶手段としてRAMを使用しているが、同様に記憶手段の種類を限定するものではない。
【0039】
図5は、第2のシート処理装置102で、上流機(第1のシート処理装置101あるいは画像形成装置100)から装置の動作停止を要求する停止動作要求情報を受信する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0040】
同図において、第2のシート処理装置102は、上流側から動作要求を受信するのを待ち、動作要求を受信したら(ステップS101−Y)、下流側の第3のシート処理装置103に動作要求を転送する(ステップS102)。次いで、動作要求の内容を判定し(ステップS103)、「停止」であれば、ステップS104へ移行し、「停止」以外であれば、他の動作要求に対する処理を実行し(ステップS113)、処理を終える。
【0041】
一方、ステップS104では「停止」の動作要求に対し、自機において処理が必要かどうかを判定する。例えば、ユーザによって自機のドアが開いているような場合は、すでに停止しているため、停止に対する処理を実施する必要はない。停止に対する処理が必要でない場合は、ステップS111で下流から「停止終了情報」を受信するのを待ち、「停止終了情報」を受信すると、受信した「停止終了情報」を上流側の機器(第1のシート処理装置101)に転送し(ステップS112)、処理を終える。
【0042】
他方、ステップS104で、自機の停止処理が必要であれば、停止処理を開始する(ステップS105)。自機の停止処理とは、動作中のモータを停止し、あるいは後処理機構を退避させたりする処理を意味し、シート処理装置により、また、要求される後処理によっても、処理内容や必要な時間が異なる。ステップS105では、停止処理を開始するだけであり、自機の停止処理が終了するのを待たずに、ステップS106に移行する。
【0043】
ステップS106では、下流側の機器、ここでは、第3のシート処理装置103から「停止終了情報」を受信するのを待つ。第3のシート処理装置103から「停止終了情報」を受信したら、自機の停止処理が終了しているかどうかを判定する(ステップS107)。そして、自機の停止処理が終了している場合(ステップS107−Y)、ステップS106で受信した「停止終了情報」を、上流側の機器、ここでは第1のシート処理装置101に転送する(ステップS112)。
【0044】
また、ステップS107の判定時に、自機の停止処理が終了していなければ(ステップS107−N)、一時記憶手段であるRAM1025に「停止終了情報」を記憶させ、保持する(ステップS108)。その後、自機の停止処理が終了するのを待つ(ステップS109)。自機が停止終了し(ステップS109−Y)、下流から受信した動作結果情報である「停止終了情報」と状態が一致したら、RAM1025から「停止終了情報」を取り出し、上流側の機器(第1のシート処理装置101)に送出する(ステップS112)。
【0045】
図6は、第2のシート処理装置102で、上流機(第1のシート処理装置101あるいは画像形成装置100)から装置の動作開始を要求する起動動作要求情報を受信する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0046】
同図において、第2のシート処理装置102は、上流側から動作要求を受信するのを待ち、動作要求を受信したら(ステップS201−Y)、下流側の第3のシート処理装置103に動作要求を転送する(ステップS202)。次いで、動作要求の内容を判定し(ステップS303)、「起動」であれば、ステップS204へ移行し、「起動」以外であれば、他の動作要求に対する処理を実行し(ステップS213)、処理を終える。
【0047】
一方、ステップS204では「起動」の動作要求に対し、自機において処理が必要かどうかを判定する。例えば、自機の処理が必要でない場合とは、例えば、自機より上流にある別のシート処理装置が最終の排出先であることが動作モード等からわかっている場合などであり、この場合には、自機は動作する必要はない。起動に対する処理が必要でない場合は、ステップS211で下流から「起動終了情報」を受信するのを待ち、「起動終了情報」を受信すると、受信した「起動終了情報」を上流側の機器(第1のシート処理装置101)に転送し(ステップS212)、処理を終える。
【0048】
他方、ステップS204で、自機の起動処理が必要であれば、起動処理を開始する(ステップS205)。ステップS205で開始する起動処理とは、用紙を受入れ搬送するための機構の動作開始処理や、自機において実施する後処理加工の準備のための機構動作を指し、シート処理装置により、また、要求される後処理によっても、処理内容や必要な時間が異なる。ステップS205では、起動処理を開始するだけであり、自機の起動処理が終了するのを待たずに、ステップS206に移行する。
【0049】
ステップS206では、下流側の機器、ここでは、第3のシート処理装置103から「起動終了情報」を受信するのを待つ。第3のシート処理装置103から「起動終了情報」を受信したら、自機の起動処理が終了しているかどうかを判定する(ステップS207)。そして、自機の起動処理が終了している場合(ステップS207−Y)、ステップS206で受信した「起動終了情報」を、上流側の機器、ここでは第1のシート処理装置101に転送する(ステップS212)。
【0050】
また、ステップS207の判定時に、自機の起動処理が終了していなければ(ステップS207−N)、一時記憶手段であるRAM1025に「起動終了情報」を記憶させ、保持する(ステップS208)。その後、自機の起動処理が終了するのを待つ(ステップS209)。自機が停止終了し(ステップS209−Y)、下流から受信した動作結果情報である「起動終了情報」と状態が一致したら、RAM1025から「起動終了情報」を取り出し、上流側の機器(第1のシート処理装置101)に送出する(ステップS212)。
【0051】
図7は、シート処理システムの最終段に連結された第3のシート処理装置103における処理手順を示すフローチャートである。
【0052】
同図において、上流側の機器(本実施形態では、第2のシート処理装置102)から動作要求の受信を待ち(ステップS301)、上流側から動作要求を受信したら(ステップS301−Y)、動作要求の内容を判定し(ステップS302)、「起動」であればステップS303に以降し、他の動作要求であれば、ステップS307で他の動作要求に対する処理を実行して、処理を終える。
【0053】
ステップS303では、自機において起動処理が必要かどうかを判定する。必要でない場合は、ステップS306にスキップして「起動終了情報」を生成し、上流に送出し、処理を終える。一方、ステップS303で、自機において起動処理が必要であれば、ステップS304で起動処理を開始し、ステップS405で起動処理が終了するのを待ち、ステップS307で起動終了情報を生成して上流に送出する。
【0054】
第3のシート処理装置における動作要求が「停止」の場合も、図7における「起動」が「停止」に代わるだけで、処理自体は同様であるため説明は省略する。
【0055】
なお、本実施形態では、最終段に接続された第3のシート処理装置103は、下流側への通信手段は保持しないが、最終段のシート処理装置が、通信手段を保持していても、下流側に他のシート処理装置が接続されていない場合には同様の処理が可能である。
【0056】
また、本実施形態では、最終段に連結された第1の後処理103が「停止」及び「起動」に対する応答を生成していたが、要求された後処理によっては、動作が必要なシート処理装置の最終段の装置が応答を生成するように構成することも可能である。
【0057】
また、本実施形態では、「停止」及び「起動」の動作要求についての処理のみ示しているが、他の動作要求についても、複数のシート処理装置(後処理装置)に対する動作要求であれば、同様の処理によってシート処理装置間の同期処理が実施できることは明らかであり、本発明がこの実施形態に限定されるものでないことは明らかである。すなわち、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが対象となる。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、
1)自機の動作状態が下流から受信した動作結果情報と一致しない場合に、下流からの動作結果情報を上流に送出せずに保持し、自機の動作状態と下流からの動作結果情報が一致してから上流に送出するので、自機と下流のシート処理装置の状態を一致させた状態で、動作結果情報を送出することができる。
2)自機を含む連結されたシート処理装置群に対する動作要求についての場合においてのみ、自機の状態と下流から受信した動作結果情報が一致してから上流に送出するので、同期が必要な場合だけ、自機と下流のシート処理装置の状態を一致させた状態で、動作結果情報を送出することができる。
3)自機以外のシート処理装置に対する動作要求の場合は、下流から受信した動作結果情報を即時に上流側に転送送出するので、効率的に情報を中継転送することができる。
4)停止要求に対して下流から受信した停止完了情報を、自機が停止するまで保留しているので、自機と下流のシート処理装置の停止状態を同期させた状態で、上流に結果状態を送出することができる。
5)起動要求に対して下流から受信した起動完了情報を、自機が起動するまで保留しているので、自機と下流のシート処理装置の起動状態を同期させた状態で、上流に結果状態を送出することができる。
6)連結されたシート処理装置群の状態を同期させた状態で、上流に結果状態を送出することができるので、システムとしての扱いが容易であり、信頼性の向上を図ることができる。
7)最終段のシート処理装置が動作結果情報を生成して送出するので、連結された各々のシート処理装置における処理内容を単純化することが可能となり、信頼性の向上を図ることができる。
8)最終段のシート処理装置が、動作状態を変更する必要がない動作要求情報に対しても、動作結果情報を生成して送出するので、連結された各々のシート処理装置における処理内容を単純化することが可能となり、信頼性の向上を図ることができる。
9)最終段に連結するシート処理装置が、下流側に対する通信手段をもたないため、コストを下げることができる。
などの効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、複写機、プリンタ、デジタル複合機のなどの画像形成装置、あるいは印刷装置の後段に、整合処理、綴じ処理、穴明け処理、折り処理、製本処理などの後処理機能を備えた穴明け装置、綴じ装置、折り装置、積載装置、合紙装置、製本装置などの少なくとも1つの後処理装置が連結されたシート処理システムあるいは画像形成システム全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
100 複写機
101,102,103 シート処理装置
150 プリンタ
200 折り装置
300 積載装置
400 フィニッシャ
1021,1031 CPU
1022,1023,1032 UART
1025,1035 RAM
1026,1036 回線
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開2007−10659公報
【特許文献2】特許第3959689号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他機と通信可能な通信手段と、
前記通信手段から受信した情報を記憶する記憶手段と、
前記通信手段及び前記記憶手段を介して受信情報と送信情報を制御する制御手段と、
を備え、他機と連結して使用されるシート処理装置であって、
前記制御手段は、
下流側の他機から動作結果情報を受信したときに、自機の動作状態が受信した動作結果情報と一致している場合には、即時に上流側の他機に前記動作結果情報を転送し、
下流側の他機から受信した動作結果情報と自機の動作状態が不一致の場合に、前記動作結果情報を前記記憶手段に保持し、自機の動作状態が前記受信した動作結果情報と一致するまで前記受信した動作結果情報の上流側の他機への転送を保留すること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート処理装置であって、
前記制御手段は、上流側の他機から受信した動作要求情報が、自機を含む連結されたシート処理装置群に対する動作要求情報である場合に、前記転送又は保留の処理を行うこと
を特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
請求項2記載のシート処理装置であって、
前記制御手段は、前記上流側の機器から受信した動作要求情報が、自機以外のシート処理装置に対する動作要求情報である場合には、下流側の機器から受信した動作結果情報を保留せずにすぐに上流側の機器に転送すること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項4】
請求項2記載のシート処理装置であって、
前記制御手段は、前記動作要求情報が停止要求であり、前記動作結果情報が停止完了である場合には、自機の動作が停止するまで停止完了の動作結果情報の上流側の機器への転送を保留すること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項5】
請求項2記載のシート処理装置であって、
前記動作要求情報が起動要求であり、前記動作結果情報が起動完了であって、自機がシートを受入れ可能な状態に起動するまで起動完了の動作結果情報の上流側の機器への転送を保留すること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシート処理装置が複数機連結されていることを特徴とするシート処理システム。
【請求項7】
請求項6記載のシート処理システムであって、
前記制御手段は、
上流から受信した動作要求情報が、シート処理装置群に対する動作要求情報である場合に、最終段に連結された自機が、動作結果情報を生成して上流側の機器に応答して前記動作結果情報を転送し、
他の上流側に連結された他機は、動作結果情報を生成せず、下流側の機器から受信した動作結果情報が自機の状態と一致した状態で上流側の機器に転送すること
を特徴とするシート処理システム。
【請求項8】
請求項7記載のシート処理システムであって、
前記最終段に連結された自機は、動作状態を変更する必要がない動作要求情報に対しても、動作結果情報を生成することを特徴とするシート処理システム。
【請求項9】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシート処理装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項6ないし8のいずれか1項に記載のシート処理システムを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
他機と通信可能な通信手段と、
前記通信手段から受信した情報を記憶する記憶手段と、
を備え、他機と連結して使用されるシート処理装置のシート処理制御方法であって、
下流側の他機から動作結果情報を受信したときに、自機の動作状態が受信した動作結果情報と一致している場合には、即時に上流側の他機に前記動作結果情報を転送し、
下流側の他機から受信した動作結果情報と自機の動作状態が不一致の場合に、前記動作結果情報を前記記憶手段に保持し、自機の動作状態が前記受信した動作結果情報と一致するまで前記受信した動作結果情報の上流側の他機への転送を保留すること
を特徴とするシート処理制御方法。
【請求項12】
他機と通信可能な通信手段と、
前記通信手段から受信した情報を記憶する記憶手段と、
を備え、他機と連結して使用されるシート処理装置におけるシート処理制御をコンピュータによって実行するためのシート処理制御プログラムであって、
下流側の他機から動作結果情報を受信したときに、自機の動作状態が受信した動作結果情報と一致している場合には、即時に上流側の他機に前記動作結果情報を転送する手順と、
下流側の他機から受信した動作結果情報と自機の動作状態が不一致の場合に、前記動作結果情報を前記記憶手段に保持し、自機の動作状態が前記受信した動作結果情報と一致するまで前記受信した動作結果情報の上流側の他機への転送を保留する手順と、
を備えていることを特徴とするシート処理制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−184799(P2010−184799A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31441(P2009−31441)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】