説明

シート搬送装置、シート処理装置、及び画像形成装置

【課題】シートを束状にして搬送する処理速度を向上させて、生産性をより向上させ、生産性の高い装置への対応を可能にする。
【解決手段】シートスタッカ制御部は、搬送ローラ対112,115により、バッファパス113に待機するよう第1の方向とは反対の第2の方向に搬送される先行シートS1を、搬送パスとバッファパス113の分岐部において下降位置にある切替部材114の第一ガイド面αで案内し、バッファパス113に待機する先行シートS1と重ね合わされるよう第1の方向に搬送される後続シートS2を、搬送パスとバッファパス113の分岐部において下降位置にある切替部材114の第二ガイド面βで案内するよう、搬送ローラ対112,115及び切り替え部材114を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送経路にシートを待機させ、待機させたシートと後続シートを合流させてシート束として搬送することが可能なシート搬送装置、前記シート搬送装置を備えたシート処理装置、及び前記シート搬送装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置によって画像を形成されたシートに対して、綴じ処理、穿孔処理、仕分け処理等の各種シート処理を施すシート処理装置が知られている。従来、この種のシート処理装置においては、比較的シート処理時間を必要とする処理(例えば綴じ処理)の場合、シート処理生産性の低下を回避するために、一時的にシートを滞留させる箇所(以後、バッファリング処理部と称す)を設けている。
【0003】
このようなシート処理装置では、そのバッファリング処理部でシートを一時的に滞留させ、その後、上流側から搬送されてくる後続のシートとともに、複数枚のシート束として下流に搬送させることで、下流側に備えたシート処理部における処理時間を確保している。このように、下流部でシート処理を施している間は、画像形成装置とシート処理部の間の搬送部に設けたバッファリング処理部でシートを滞留させ、画像形成装置からの排出動作を停止させないことで、トータル的なシステムとしての生産能力を向上させている。
【0004】
例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているように、シートの後端を切替部材で仕分け、後続のシートの先端との衝突を防止しながら、シートを束状に重ねていく反転方式のバッファリング機構を備えたシート処理装置が知られている。
【0005】
特許文献1のシート処理装置では、図18に示すように、ステイプラ1132やサドルユニット1135の上流の搬送経路にシートPを複数枚重ねて待機させる、いわゆるシートのバッファリング処理機能を備えている。バッファリング処理の動作フローとしては、以下の通りである。
【0006】
入口ローラ対1102から搬送されたシートP1の後端部が切替部材1114の下面にガイドされて通過すると、不図示のソレノイド等を作動させて、バッファパス1113へシートP1が案内されるように切替部材1114を下方へ回転移動させる。その状態で、バッファローラ対1115,1116を逆転動作させる。これにより、シートP1の後端がバッファパス1113へ進入し、その後、シートP1の先端が位置Bに到達するまでシートP1の逆転搬送を行う。
【0007】
そして、切替部材1114を上方へ回転移動させて2枚目のシートP2を、バッファローラ対1116方向へ搬送可能にする。この時、シートP1は、シートP2の先端が位置Bに到達するタイミングと合わせて反転ローラ対1112を回転させてバッファローラ対1116方向へ搬送を開始し、シートP1とシートP2の先端が位置Bの下流で揃った状態で、二枚束で搬送する。
【0008】
シートP1同様に、シートP1,P2のシート束の後端部が切替部材1114を通過すると、切替部材1114を下方へ回転移動させ、バッファパス1113へシートP1,P2のシート束を搬送する。このように、一枚通過ごとに切替部材1114を往復動作させ、シートを順次重ねていくことによって、シートを搬送経路内で束状にしている。
【0009】
また、特許文献2は、特許文献1とは異なるバッファリング機構を有するシート処理装置である。
【0010】
図19に示すように、シートP1の後端が、後端押さえ2135を通過し、バッファローラ2124の手前に設けた反転ポイントに到達すると、バッファローラ2124の逆転によって、上流側(後端押さえ2135側)へ戻される。これと、ほぼ同時に後端押さえ2135が、下搬送ガイド板2123bから離れて後端受け止め部2136が開放される。
【0011】
その後、後端押さえ2135は、元の位置に戻って、後端押さえ2135の摩擦部材によって、シートP1を下搬送ガイド板2123bに押し付ける。その後、2枚目のシートP2が入口ローラ対2121によって送り込まれ、後端押さえ2135の上を通過し、バッファローラ2124によっても搬送される。
【0012】
このとき、シートP1は、バッファローラ2124によって、シートP2とともに下搬送ガイド板2123bに押し付けられて、搬送されるシートP2に追従して、下流側に移動しようとする。しかし、シートP1は、後端押さえ2135の摩擦部材によって、移動しない。
【0013】
シートP2も、シートP1と同様に、後端が反転ポイントに到達すると上流側(後端押さえ2135側)に戻される。そして、シートP2は、後端押さえ2135の摩擦部材によって、シートP1に重なって下搬送ガイド板2123bに押し付けられる。
【0014】
その後、3枚目のシート(不図示)が送られてきて、該シートの後端が入口ローラ対2121を通過する。すると、上第1排紙ローラ対2126aと下第1排紙ローラ対2126bとで、3枚のシートP1,P2,P3を挟み込み、この3枚のシートP1,P2,P3のシート束を下流の処理トレイに搬送する。
【0015】
以上のように、従来のシート処理装置においては、搬送されてくるシートの間隔の中で、後端を仕分ける切替部材を往復動作させながら、シートを束状に重ねていくバッファリング方式を備えることで、搬送性と処理生産性を満足させる装置を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2007−076774号
【特許文献2】特開2004−269252号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、特許文献1のように、切替部材を1シート毎にシート間隔の中で移動させながらシートを束状に重ねていくバッファリング方式においては、切替部材を通過する時のシート間隔を切替部材の往復動作時間以上に設定する必要がある。そのため、シートの搬送間隔が短くなる、生産性の高い装置への対応が困難である。
【0018】
特に、38gsm〜52gsmといった薄手のシートは、一枚あたりの質量が低く、シート自体の剛度も低いため、積載トレイへの排出性が不安定になりやすい。よって、これら薄手のシートを積載トレイへ排出するためには、排出前にバッファリング処理部で複数枚のシートを束状にして、質量と剛度を高くしてから排出する必要がある。しかしながら、前述したように、シートの搬送間隔が短くなる、生産性の高い装置においては、38gsm〜52gsmといった薄手のシートへの対応も困難である。
【0019】
更に、特許文献2においては、後端仕分け用の後端押さえ2135の下流部に反転ポイントを設けているため、反転時に後端部が後端押さえ2135の下側に確実に搬送されるように、上側への開放動作制御を実施している。このように、後端押さえ2135の開動作と閉動作の往復動作をシート間隔の中で1シート毎に実施する必要があることから、特許文献1と同様に生産性の高い装置への対応が困難である。
【0020】
以上説明したように、従来のシート処理装置は、後端を仕分ける切替部材を1シート毎にシート間隔の中で往復移動させながらシートを束状にしているため、処理速度に限界があり、生産性を上げることが困難である。また、生産能力の高い装置においては、シートを束状にバッファリングすることが困難であるため、38gsm〜52gsmといった薄手のシートを複数枚単位で排出して積載性を向上させる対応が困難であり、搬送性、積載性を向上させることが困難である。
【0021】
そこで、本発明の目的は、シートを束状にして搬送する処理速度を向上させて、生産性をより向上させ、生産性の高い装置への対応を可能にすることである。
【0022】
また、本発明の他の目的は、生産性の高い装置であっても、薄手のシートを束状にして搬送することを可能にし、搬送性、積載性をより向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するため、本発明は、シートを重ねて搬送するシート搬送装置において、第1の方向へシートを搬送する共通搬送経路と、前記共通搬送経路から分岐し、前記第1の方向とは反対の第2の方向にシートを搬送して待機させる反転搬送経路と、前記共通搬送経路及び前記反転搬送経路でシートを前記第1の方向又は前記第2の方向に搬送する搬送手段と、前記共通搬送経路と前記反転搬送経路の分岐部に設けられ、前記分岐部の上流から前記第1の方向へシートを案内する第一ポジションと、前記分岐部の下流から前記第2の方向へシートを案内する第二ポジションに切替可能であり、シートを案内する第一ガイド面と、前記第一ガイド面の裏側の第二ガイド面とを有する切替部材と、前記反転搬送経路に待機するよう前記第2の方向に搬送される先行シートは、前記第二ポジションにある前記切替部材の前記第一ガイド面で案内し、前記反転搬送経路に待機する先行シートと重ね合わされるよう前記第1の方向に搬送される後続シートは、前記第二ポジションにある前記切替部材の前記第二ガイド面で案内するよう前記搬送手段及び前記切替部材の動作を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、シートを束状にして搬送する処理速度が向上するので、生産性をより向上させることができ、生産性の高い装置への対応が可能となる。
【0025】
また、生産性の高い装置であっても、薄手のシートを束状にして搬送することが可能となり、搬送性、積載性をより向上させることができる。
【0026】
また、装置の稼動時間を低減し、消費電力を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】シート処理装置及び画像形成装置の構成を示す模式断面図
【図2】(a)(b)は画像形成装置及びシート処理装置の制御部のブロック図
【図3】(a)はシート処理装置の構成を示す模式断面図、(b)はシート処理装置におけるバッファ搬送部の駆動構成を示す断面図
【図4】シフトユニットの正面図
【図5】(a)(b)(c)は第1実施形態に係るシート処理装置の動作を説明する要部断面図
【図6】(a)(b)(c)は第1実施形態に係るシート処理装置の動作を説明する要部断面図
【図7】第1実施形態に係るシート処理装置の動作を説明するフローチャート図
【図8】第1実施形態に係るシート処理装置の動作を説明するフローチャート図
【図9】第1実施形態に係るシート処理装置の制御タイミングを説明する説明図
【図10】第2実施形態に係るシート処理装置の構成を示す模式断面図
【図11】(a)(b)(c)は第2実施形態に係るシート処理装置の動作を説明する要部断面図
【図12】(a)(b)(c)は第2実施形態に係るシート処理装置の動作を説明する要部断面図
【図13】(a)(b)は第2実施形態に係るシート処理装置の動作を説明する要部断面図
【図14】第2実施形態に係るシート処理装置の動作を説明するフローチャート図
【図15】第2実施形態に係るシート処理装置の動作を説明するフローチャート図
【図16】第2実施形態に係るシート処理装置の動作を説明するフローチャート図
【図17】第2実施形態に係るシート処理装置の制御タイミングを説明する説明図
【図18】従来(特許文献1)のシート処理装置を説明する断面図
【図19】従来(特許文献2)のシート処理装置を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0029】
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係るシート搬送装置を有するシート処理装置及び画像形成装置について説明する。
【0030】
(画像形成装置)
図1は画像形成装置及びシート処理装置の構成図である。図1に示すように、画像形成装置は、白黒/カラー画像形成を行う画像形成装置本体600と、これに着脱可能に接続したシート処理装置としてのシートスタッカ100を有している。このため、画像形成装置本体600から排出されるシートは、オンラインに接続されたシートスタッカ100で大量に積載処理することができる。
【0031】
なお、画像形成装置本体600は、シートスタッカ100を排出口に接続しないで、単独でも使用できるようになっている。また、シートスタッカ100以外にも、ステイプラ等の処理手段を有する、平綴じや中綴じ処理可能なシート処理装置を画像形成装置に接続し、画像形成から各種綴じ処理までを一連のフローで処理することも可能である。また、画像形成装置本体600は、シートスタッカ100をシート処理装置として一体に組み込んでもよい。
【0032】
ここで、ユーザーが画像形成装置本体600に対して各種入力/設定を行うため操作部601に臨む位置を画像形成装置の正面手前側(以下、手前側)といい、この手前側とは反対側である装置背面側を奥側という。図1は、装置手前側から見た画像形成装置の構成を示した模式断面図である。シートスタッカ100は画像形成装置本体600の排出口側の側部に接続されている。
【0033】
画像形成装置本体600内のカセット909a,909bから供給されたシートSは、それぞれ画像形成部を構成するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの感光ドラム914a〜914d等によって、4色のトナー像を転写される。そして、定着器904に搬送されてトナー画像を定着され、片面の画像形成モードであれば、そのまま、排出ローラ対907によって装置本体外に排出される。
【0034】
両面の画像形成モードであれば、シートSは定着器904から反転ローラ905に受け渡され、表裏が反転されて両面搬送ローラ906a〜906fの方向へ搬送される。そして、再度、裏面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの感光ドラム914a〜914d等によって、4色のトナー像を転写される。両面に転写されたシートSは再度定着器904に搬送されてトナー画像を定着し、排出ローラ対907によって装置本体外に排出される。
【0035】
図2(a)は画像形成装置を制御する画像形成装置制御部のブロック図である。図2(a)に示すように、CPU回路部630は、CPU629、ROM631、RAM628を有している。CPU回路部630は、原稿給送装置制御部632、イメージリーダ制御部633、画像信号制御部634、プリンタ制御部635、シートスタッカ制御部636、外部インターフェイス637を制御している。CPU回路部630は、ROM631に格納されているプログラム及び操作部601の設定に従って装置全体の動作を制御する。
【0036】
原稿給送装置制御部632は、画像形成装置本体600の上部に設けたイメージリーダに原稿を給送する原稿給送装置650(図1参照)を制御する。イメージリーダ制御部633はイメージリーダを制御する。プリンタ制御部635は画像形成装置本体600を制御する。シートスタッカ制御部636はシートスタッカ100を制御する。
【0037】
ここでは、シートスタッカ制御部(制御手段)636をシートスタッカ100に搭載した構成について説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、CPU回路部630と一体的に画像形成装置本体600に設け、画像形成装置本体600側からシートスタッカ100を制御するようにしてもよい。
【0038】
RAM655は、制御データを一時的に保持する領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。外部インターフェイス637は、コンピュータ(PC)620からのインターフェイスであり、プリントデータを画像に展開して画像信号制御部634へ出力する。イメージリーダ制御部633から画像信号制御部634へは、イメージリーダで読み取られた画像が出力され、画像信号制御部634からプリンタ制御部635へ出力された画像は露光制御部へ入力される。
【0039】
(シート処理装置)
図3(a)はシート処理装置としてのシートスタッカ100の構成を示す模式断面図である。図3(a)に示すように、シートスタッカ100は、シート仕分け手段としてのシフトユニット108、シート搬送装置(シートバッファ処理手段)としてのバッファリング処理部、積載手段としての積載トレイ(排出トレイ)を有している。画像形成装置本体600から排出されたシートSは、シートスタッカ100の入口ローラ対102に受け渡される。この時、入口センサ101によりシートの受渡しタイミングも同時に検知されている。入口ローラ対102により搬送されたシートSは、搬送パス103を通過しながら、シートの搬送方向と直交する幅方向の端部位置を端部検知センサ104により検知される。これにより、シートスタッカの幅方向の搬送中心位置に対してどの程度幅方向の誤差(位置ズレ)が生じているかを検知する。
【0040】
シートの幅方向の誤差が検知された後で、シートSはシフトローラ対105,106に搬送されている途中でシフトユニット108が手前/奥方向(シートの幅方向)に所定量移動することにより、シートのシフト動作が実施される。すなわち、シフトユニット108がシートの幅方向に所定量移動することにより、シートの幅方向の位置ズレが矯正される。
【0041】
その後、バッファ前搬送ローラ対110,111により搬送されたシートSは、正逆転可能な搬送手段であるバッファ搬送ローラ対115により搬送される。その後、積載手段である上排出トレイ136に排出される場合は、上パス切替部材118が図示されないソレノイド等の駆動手段により、図中破線の状態になり上パス搬送路117に導かれ、上排出ローラ対120により上排出トレイ136に排出される。
【0042】
上排出トレイ136に排出されない場合は、バッファ搬送ローラ対115により搬送されたシートSは、上パス切替部材118により下搬送パス121に導かれる。その後、第一下搬送ローラ対122、第二下搬送ローラ対124を経て、下排出ローラ対141により積載手段である下排出トレイ137に排出される。尚、搬送パス中にある、上排出センサ119、下搬送センサ123、下排出センサ140は、搬送パス内でシートの先端、および、後端を検出し、搬送タイミングを検出する検出手段である。これらの検出手段が、規定のタイミングを経過しても、シート端部を検出しない場合に、装置内のシート滞留信号を操作部601に表示させる。
【0043】
<シフトユニットの説明>
次にシフトユニット108の構成と動作に関して図4の正面図で説明する。搬送されてきたシートSは、シフト搬送モータM208の駆動が駆動ベルト209を伝達してシフトローラ対106を駆動し、さらに駆動ベルト213によりシフトローラ対105を駆動することでシートSは図中矢印C方向に搬送される。この時、端部検知センサ104が図示しない駆動手段により矢印E方向に移動することによりシートSの搬送位置(幅方向の位置ズレ量である横レジ誤差X)が検出される。この横レジ誤差Xとシートのシフト量αを足し合わせたシートのシフト量Z(Z=X+α)分だけシートを搬送中に移動する。この動作をシートSがシフトローラ対105,106に狭持されている時に手前/奥方向(矢印方向)に行うことで、搬送方向(矢印C方向)にシートSを搬送しながら所定量だけ幅方向(矢印D方向)に移動(シフト)することができる。
【0044】
<バッファリング処理動作の説明>
次に、図2(b)、図3(b)、図5〜図8を用いてバッファリング処理部に関する構成とシート搬送動作について説明する。図2(b)はシートスタッカ制御部636の搬送制御部708の詳細を示すブロック図である。図3(b)はバッファリング処理部の駆動構成図である。図5及び図6はバッファリング処理動作を示す動作図である。図7及び図8はバッファリング処理動作を示すフローチャート図である。
【0045】
バッファリング処理とは、一枚ずつ搬送されてきたシートSを装置内の搬送パス内で順次重ね合わせながら複数枚のシートからなるシート束の状態にする処理である。このバッファリング処理を行うことにより、大きく2つの効果がある。
【0046】
第1の効果は、生産性を低下させることなく、下流側の装置へのシートSの搬送到達時間を一時的に遅延させる効果であり、シートの整合や、綴じ処理等の各種処理に要する時間を確保することができることである。
【0047】
第2の効果はシートを複数枚のシートを束状にして搬送することで、例えば、薄手のシートの場合、複数枚重ねて搬送することで剛性を高くすることができ、シートの搬送性、積載トレイへの積載性や、整列性を向上させることができることである。
【0048】
図2(b)に示すように、シートスタッカ制御部636は、CPU701、ROM702、RAM703、ネットワークインターフェイス704、I/O705、通信インター706を有している。シートスタッカ制御部636は、I/O705を介して搬送制御部708を制御している。搬送制御部708は、各モータM110,M112,M114,M208や各センサ101,104,109,116,119,123,140などを有している。搬送制御部708は、各センサの信号に応じて、各モータの動作を制御する。
【0049】
図3(b)に示すように、バッファリング処理部は、バッファ前搬送モータM110によって回転駆動されるバッファ前搬送ローラ対110を有している。また、バッファ搬送モータM112によって正逆回転駆動される搬送手段としての第一バッファ搬送ローラ対112と第二バッファ搬送ローラ対115を有している。また、シートを案内する共通搬送経路としての搬送パス103と、搬送パス103の途中から分岐した、シートを案内するための反転搬送経路としてのバッファパス113を有している。さらに、シートSをバッファパス113に導くため、切替部材モータM114によって駆動される切替部材114、搬送されてくるシートSの端部を検知するためのシート検知手段としての第一バッファセンサ109と第二バッファセンサ116を有している。バッファリング処理部は、これらの部材により構成されている。
【0050】
搬送パス103は、シートを積載するための排出トレイ(積載手段)の方向へシートを案内するための共通搬送経路である。また、バッファパス113は、前記搬送パス103の途中から分岐し、前記排出トレイの方向とは反対方向にシートを案内するための反転搬送経路である。
【0051】
搬送ローラ対112,115は、前記搬送パス103及び前記バッファパス113でシートSを前記排出トレイの方向又は前記排出トレイの方向とは反対方向に搬送するための搬送手段である。
【0052】
切替部材114は、前記搬送パス103と前記バッファパス113の分岐部に設けられている。切替部材114は、第一ポジションと第二ポジションに切替可能である。切替部材114は、第一ポジション(上昇位置)にて前記分岐部の上流から前記排出トレイの方向へシートを案内し、第二ポジション(下降位置)にて前記分岐部の下流から前記バッファパス113の方向へシートを案内する。切替部材114は、シートを案内する第一ガイド面αと、第一ガイド面αの裏側の第二ガイド面βとを有している。
【0053】
以下、図5及び図6の動作断面図、図7及び図8のフローチャート図を用いてバッファリング動作時のシートの流れを説明する。
【0054】
搬送されてきた先行のシートS1は、バッファリングのためのスイッチバック処理(S801)が実行される。まず、切替部材114はホーム位置である図5(a)に示す上昇位置でシートS1が到達するまで待機する(S802,S803)。先行シートS1は、上昇位置にある切替部材114の第一ガイド面αに案内されて、バッファ前搬送ローラ対110と第二バッファ搬送ローラ対115により下搬送パス121の方向(第1の方向)に搬送される。この時、シートS1の先端(第1の方向下流端)が第二バッファセンサ116により検知(S804,S805)される。すると、予め認知されているシートの搬送方向サイズ情報からシートS1の後端(第1の方向上流端)が図5(b)に示すように位置Aに到達した時にシートS1が停止するように、第二バッファ搬送ローラ対115の停止制御を行う(S806〜S808)。ここでは、シートS1の先端検知から300クロック、カウントされるとシートS1の後端が位置Aに到達し、バッファ搬送モータM112が停止される。
【0055】
シートS1の後端が位置Aに到達した時、切替部材モータM114によって、切替部材114は、シートをバッファパス113の方向に案内するための図5(b)に示す下降位置に移動し、位置が切り替えられる。更に、第二バッファ搬送ローラ対115が第1の方向とは反対の第2の方向へ逆転搬送を開始する。これにより、シートS1は、下降位置にある切替部材114の第一ガイド面αに案内されて、図5(c)に示すようにシートS1の後端部がバッファパス113内に導かれる。その後、シートS1の先端が位置Bに到達するまでシートS1は第二バッファ搬送ローラ対115によって逆転搬送され、停止制御を行う(S809〜S817)。これにより、シートS1がバッファパス113に待機された状態となる。
【0056】
すなわち、バッファリングのためのスイッチバック処理では、排出トレイの方向へ搬送される先行シートS1を上昇位置にある切替部材114の第一ガイド面αで案内し、前記先行シートS1の後端が分岐部を通過した後、切替部材114を下降位置に切り替える。そして、前記分岐部の下流からバッファパス113の方向へ搬送される前記先行シートS1を下降位置にある切替部材114の第一ガイド面αで案内してバッファパス113に待機させる。
【0057】
次に、バッファリング重ね合わせ処理に移行する(S818)。まず、搬送されてきた後続のシートS2の先端を第一バッファセンサ109で検知(S819〜S820)する。その後、シートS2の先端が図6(a)に示す位置Cに到達すると、第一バッファ搬送ローラ対112を起動させて、バッファパス113内で停止しているシートS1とシートS2の先端同士が揃うように、所定のタイミングで加速を開始する(S821〜S823)。
【0058】
切替部材114は、先行シートS1をバッファパス113の方向に導くための下降位置を維持したまま、バッファ前搬送ローラ対110によって搬送されてくる後続シートS2の到達を待つ。図6(b)に示すように、シートS2は下降位置にある切替部材114の第二ガイド面βに案内されながら、第二バッファ搬送ローラ対115の方向へ搬送される。そして、後続シートS2は、予め所定のタイミングで加速を開始した先行シートS1と並送しながら、先端同士が揃うように、切替部材114の下流部で合流する(S824)。
【0059】
なお、先行シートS1は、後続シートS2と合流する前に先端位置Bの下流に向かって搬送を開始するため、後続シートS2と、待機させた先行シートS1の先端の合流位置は、バッファパス113に待機させた先行シートSの先端位置Bよりも下流に位置する。また、切替部材114から前記シートの合流位置までの搬送経路には、搬送ローラ対が配置されていない。
【0060】
シートS1とシートS2は切替部材114の下流部で合流後、シートS1の加速が終了し、シートS2の搬送速度と等速になる。そして、図6(c)に示すように、シートS1とシートS2は、互いの先端が揃った状態でバッファ搬送ローラ対115に挟持され、先端が第二バッファセンサ116を通過し、下流の上排出トレイ136、もしくは、下排出トレイ137に排出される(S827)。
【0061】
すなわち、バッファリング重ね合わせ処理では、切替部材114を下降位置に維持したまま、前記分岐部の上流から排出トレイの方向へ搬送される後続シートS2を下降位置にある切替部材114の第二ガイド面βで案内する。そして、待機させたシートと切替部材114の下流で合流させて、シート束として排出トレイの方向に搬送する。
【0062】
このように、シートS1とシートS2は、下降位置に維持された切替部材114の第一ガイド面αと第二ガイド面βをそれぞれ通過するため、切替部材114の切替を必要とせず、シートS1とシートS2のシート間隔が小さくてもバッファリングが可能である。
【0063】
また、バッファリング処理部でシートを2枚ずつの束状にしてから、上排出トレイ136、もしくは、下排出トレイ137に排出する。これにより、既述したように、コシの弱い薄手のシートであっても、複数枚のシート束状にすることで、一定以上のコシを確保することが可能で、安定したシート排出ができ、積載性を乱すことがなくなる。
【0064】
尚、バッファリング処理が必要のないシートの場合は、切替部材114は、バッファ前搬送ローラ対110から下搬送パス121の方向に導かれる上昇位置に移動させ、これを維持する。そして、画像形成装置本体600から排出されたシートSをシフトユニット108で予め所定の仕分け位置に移動された後、バッファリング処理をせずに、一枚ずつ、上排出トレイ136、もしくは、下排出トレイ137に排出する。
【0065】
図9はバッファリング処理部のタイミングチャートを示す図である。シートスタッカ100のシートの搬送間隔tは、上流接続装置である画像形成装置本体600からの単位時間当たりの生産枚数Pと、搬送速度Vと、シートサイズL(搬送方向長さ)で決定される。シートスタッカ100の入口部でのシートの搬送間隔teと切替部材114手前のバッファ前搬送ローラ対110位置でのシートの搬送間隔tfは、その搬送速度Vが一定の場合変わらない。本実施形態のシートスタッカ100で、2枚ずつのバッファリング処理を実施した場合、図9に示すように、搬送間隔tfの中で、切替部材モータM114を駆動させ、切替部材114の上昇又は下降のどちらか一方の移動動作Fを完了させればよい。よって、生産枚数Pが高くなったり、搬送速度Vを低く設定して、搬送間隔tfが短くなった場合においても、切替部材モータM114の移動動作時間Fを下回らなければ問題がなく、生産枚数Pのアップや、低速搬送等に対しても、幅広く対応することができる。
【0066】
上述したように、本実施形態によれば、後続シートを待機させたシートと合流させる際に切替部材の位置を維持したまま行える。そのため、切替部材を往復動作させる従来の装置に比べて、シートを束状にして搬送する処理速度が向上するので、生産性をより向上させることができ、生産性の高い装置への対応が可能となる。
【0067】
また、生産性の高い装置であっても、比較的コシの弱い薄手のシートを束状にして搬送することが可能となり、搬送性、積載性をより向上させることができる。また、装置の稼動時間を低減し、消費電力を低減することが可能である。
【0068】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明する。図10は、バッファリング処理部を搬送経路に備えるフィニッシャ200の断面図である。フィニッシャ200は、シートスタッカ100同様、画像形成装置本体600の排出部に接続可能で、画像形成装置本体600からのシートに対して処理を施すシート処理装置である。
【0069】
図10に示すように、フィニッシャ200は、シートに処理を施す処理手段として、シートに対して綴じ処理を行うステイプラ(綴じ手段)132を有している。更にフィニッシャ200は、排出手段としての下排出ローラ対128、突き当て手段としての引き込みパドル131、積載手段としての処理トレイ138などを有している。装置構成としては、既述したシートスタッカ100の下排出部に平綴じ処理及び中綴じ処理のシート処理部を備えたものであり、上排出トレイ136へ排出する時の、シートの搬送動作、制御等は同様のため、説明は省略する。
【0070】
上排出トレイ136に排出されない場合、第二バッファ搬送ローラ対115により搬送されたシートSは、上パス切替部材118により下搬送パス121に導かれる。その後、下搬送ローラ対122,124により順次搬送パス内を搬送される。シートをサドル(中綴じ)処理する場合には、図示しないソレノイド等の駆動手段によりサドル切替部材125が破線の状態になる。そして、シートがサドルパス133に搬送され、サドル入口ローラ対134によりサドルユニット135に導かれ、サドル処理(中綴じ処理)される。尚、サドル処理の処理方法等に関する詳細説明に関しては省略する。
【0071】
また、搬送されてきたシートSが下排出トレイ137に排出される場合は、下搬送ローラ対124に搬送されたシートSは、サドル切替部材125により下パス126に搬送される。その後、シートSは、下排出ローラ対128により処理トレイ138に排出され、処理トレイ138で束整合、もしくは、ステイプラ132による平綴じ処理等を施され、シート束状で排出ローラ対130により下排出トレイ137に排出される。
【0072】
平綴じ処理やサドル(中綴じ)処理を行う場合には,通常ある一定の処理時間が必要になることが知られている。これは画像形成装置の画像形成速度にも依存する部分があるが、通常この処理時間はシート排出間隔の間で処理を完了させるのは困難であり、シート排出間隔を越えるのが一般的である。このため、画像形成装置の画像形成を止めることなく、シート処理を行うために、シートバッファリング処理が実施されている。
【0073】
図11〜図13は3枚のシートS1〜S3をバッファリング処理する時のシートの流れを示す動作断面図である。図14〜図16は3枚のシートS1〜S3のバッファリング処理動作を示すフローチャート図である。図11〜図16を用いてバッファリング処理時のシートの流れを説明する。なお、3枚のシートS1,S2,S3は、搬送順に第一シートS1、第二シートS2、第三シートS3である。ここでは、第一シートS1、第二シートS2が反転搬送経路に連続して待機させる第一先行シート、第二先行シートに相当し、これに続く第三シートS3が先行シートとともに積載手段の方向(第1の方向)に搬送する後続シートに相当する。これら先行シートと後続シートの関係は、反転搬送経路に待機させるシートの枚数に応じて適宜設定するものであり、前述の構成に限定されるものではない。
【0074】
搬送されてきた先行のシートS1は、バッファリングのためのスイッチバック処理(S831)が実行される(図14参照)。まず、切替部材114はホーム位置である図11(a)に示す上昇位置でシートS1が到達するまで待機する(S832,S833)。先行シートS1は、上昇位置にある切替部材114の第一ガイド面αに案内されて、バッファ前搬送ローラ対110と第二バッファ搬送ローラ対115により下搬送パス121の方向に搬送される。この時、シートS1の先端(搬送方向下流端)が第二バッファセンサ116により検知(S834,S835)される。すると、予め認知されているシートの搬送方向サイズ情報からシートS1の後端(搬送方向上流端)が図11(b)に示すように位置Aに到達した時にシートS1が停止するように、第二バッファ搬送ローラ対115の停止制御を行う(S836〜S838)。ここでは、シートS1の先端検知から300クロック、カウントされるとシートS1の後端が位置Aに到達し、バッファ搬送モータM112が停止される。
【0075】
シートS1の後端が位置Aに到達した時、切替部材モータM114によって、切替部材114は、シートをバッファパス113の方向に導くための図11(b)に示す下降位置に移動し、位置が切り替えられる(S839〜S841)。更に、第二バッファ搬送ローラ対115が第2の方向へ逆転搬送を開始(S842)する。これにより、シートS1は、下降位置にある切替部材114の第一ガイド面αに案内されて、図11(c)に示すようにシートS1の後端部がバッファパス113内に導かれる。その後、シートS1の先端が位置Bに到達するまでシートS1は第二バッファ搬送ローラ対115によって逆転搬送され、停止制御を行う(S843〜847)。これにより、シートS1がバッファパス113に待機された状態となる。
【0076】
次に、一次バッファリング重ね合わせ処理(S848)に移行し(図15参照)、シートS1とシートS2の重ね合わせ処理を行う。すなわち、バッファパス113にシートを連続して待機させる処理に移行する。
【0077】
まず、図12(a)に示すように、切替部材114をホーム位置である上昇位置に戻す。切替部材114の上昇位置への到達が完了されたタイミングで、後続のシートS2が上昇位置にある切替部材114の第一ガイド面αに案内されながら搬送される。シートS1の反転処理のために、シートS1の到達からシートS2の到達までの間に、切替部材114をホーム位置(上昇位置)からバッファパス113の方向に案内するための位置(下降位置)、更に、ホーム位置へと往復動作させる時間を要する。
【0078】
そこで、第二シートS2の切替部材114への到達時間を第一シートS1に対して遅延させるように、第二シートS2を第一シートS1に比べて低速搬送するようにしている。具体的には、本実施形態においては、図17に示すように、シートS2の搬送制御に関して、切替部材114に到達するまでのシートS2の搬送速度をシートS1よりも遅くし、シートS1とシートS2の搬送間隔tf1(シート間隔)を広げるようにしている。よって、シートS1とシートS2の搬送間隔tf1の間に、切替部材114の下降位置に移動する下降時間F、下降位置での停止時間、上昇位置に戻る上昇時間Fが全て完了するように制御している。
【0079】
次に、後続のシートS2の先端が図12(a)に示す位置Cに到達(S849〜S852)する。すると、第一バッファ搬送ローラ対112を起動させて、バッファパス113内で停止しているシートS1をシートS2の先端と先端同士の位置が揃うように、所定のタイミングで加速を開始する(S853,S854)。
【0080】
更に、シートS1とシートS2の後端が位置Aに到達した時(S855,S856)、切替部材モータM114によって、切替部材114は、シートS1,S2をバッファパス113の方向に案内するための図12(b)に示す下降位置に移動(S859)する。更に、第二バッファ搬送ローラ対115が逆転搬送を開始(S860)する。これにより、シートS1,S2は、下降位置にある切替部材114の第一ガイド面αに案内されて、シートS1,S2の後端部がバッファパス113内に導かれる。その後、シートS1,S2の先端が位置Bに到達するまでシートS1,S2は第二バッファ搬送ローラ対115によって逆転搬送され、停止制御を行う(S861〜S865)。これにより、シートS1,S2が連続してバッファパス113に待機された状態となる。
【0081】
次に、二次バッファリング重ね合わせ処理(S866)に移行する(図16参照)。切替部材114は、先行のシートをバッファパス113の方向に導くための下降位置を維持したまま、バッファ前搬送ローラ対110によって搬送されてくる後続のシートS3の到達を待つ。
【0082】
この時、後続のシートS3の搬送制御は、シートS1と同等の搬送速度で搬送されてくる。したがって、シートS2とシートS3の搬送間隔tf2は、前述したシートS1とシートS2の搬送間隔tf1より短くなる。二次バッファリング重ね合わせ処理では、切替部材114をホーム位置に戻す上昇動作制御がない。そのため、シートS2とシートS3の搬送間隔tf2がシートS1とシートS3の搬送間隔tf1に比べて短く設定されても、切替部材114へシートが衝突するようなジャムを引き起こすことはない。
【0083】
よって、シートS3は上昇位置にある切替部材114の第二ガイド面βに案内されながら、第二バッファ搬送ローラ対115の方向へ搬送される。そして、後続シートS3は、該シートS3の先端が位置Cに到達したタイミングで加速を開始したシートS1,S2(871)と並送しながら、先端同士が揃うように、切替部材114の下流部で合流する(図13(a)参照)。
【0084】
シートS1,S2とシートS3は切替部材114の下流部で合流後、シートS1,S2の加速が終了し、シートS3の搬送速度と等速になる。そして、図13(b)に示すように、シートS1〜S3は、互いの先端が揃った状態で、第二バッファ搬送ローラ対115に挟持され、先端がシート束として第二バッファセンサ116を通過(874)し、バッファリング処理が完了する(875)。バッファリング処理が完了したシート束は、下流の上排出トレイ136、もしくは、処理トレイ138又はサドルユニット135に排出される。
【0085】
尚、2枚のバッファリング処理の場合は、前述したシートスタッカ100の動作処理(図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c))と同様の制御を実施するため、説明は省略する。本実施形態では、前述したように、バッファリング処理部でシートを3枚ずつの束状にしてから、上排出トレイ136、もしくは、処理トレイ138又はサドルユニット135に排出する。これにより、平綴じ処理やサドル(中綴じ)処理を行う場合に、画像形成装置本体600の画像形成動作を止めることなく、シート処理装置側でシート処理することができ、システム全体の生産性をより向上させることができる。また、本実施形態のように、シートを重ね合わせる際の切替部材114の動作を少なくすることで、シート間隔の小さい生産枚数Pのアップや、低速搬送等に対しても、幅広く対応することが可能なである。
【0086】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、シートの画像を形成する画像形成部を4つ使用しているが、この使用個数や色はこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。
【0087】
また、画像形成装置としては、例えばプリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であってもよい。これらの画像形成装置におけるシート搬送装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0088】
また前述した実施形態では、画像形成装置に対して着脱可能なシート処理装置を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば画像形成装置が一体的に有するシート処理装置であっても良く、該シート処理装置におけるシート搬送装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0089】
S,S1,S2,S3 …シート
100 …シートスタッカ
103 …搬送パス
109,116 …バッファセンサ
110 …バッファ前搬送ローラ対
112 …第一バッファ搬送ローラ対
113 …バッファパス
114 …切替部材
115 …第二バッファ搬送ローラ対
132 …ステイプラ
135 …サドルユニット
136 …上排出トレイ
137 …下排出トレイ
138 …処理トレイ
140 …下排出センサ
141 …下排出ローラ対
200 …フィニッシャ
600 …画像形成装置本体
601 …操作部
629,701 …CPU
630 …CPU回路部
631,702 …ROM
636 …シートスタッカ制御部
650,703 …RAM
708 …搬送制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを重ねて搬送するシート搬送装置において、
第1の方向へシートを搬送する共通搬送経路と、
前記共通搬送経路から分岐し、前記第1の方向とは反対の第2の方向にシートを搬送して待機させる反転搬送経路と、
前記共通搬送経路及び前記反転搬送経路でシートを前記第1の方向又は前記第2の方向に搬送する搬送手段と、
前記共通搬送経路と前記反転搬送経路の分岐部に設けられ、前記分岐部の上流から前記第1の方向へシートを案内する第一ポジションと、前記分岐部の下流から前記第2の方向へシートを案内する第二ポジションに切替可能であり、シートを案内する第一ガイド面と、前記第一ガイド面の裏側の第二ガイド面とを有する切替部材と、
前記反転搬送経路に待機するよう前記第2の方向に搬送される先行シートは、前記第二ポジションにある前記切替部材の前記第一ガイド面で案内し、前記反転搬送経路に待機する先行シートと重ね合わされるよう前記第1の方向に搬送される後続シートは、前記第二ポジションにある前記切替部材の前記第二ガイド面で案内するよう前記搬送手段及び前記切替部材の動作を制御する制御手段と、
を有することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記分岐部の上流から前記第1の方向へ搬送される先行シートを第一ポジションにある切替部材の第一ガイド面で案内し、先行シートの第1の方向上流端が前記分岐部を通過した後、前記切替部材を第二ポジションに切り替えて、前記分岐部の下流から前記第2の方向へ搬送される先行シートを第二ポジションにある切替部材の第一ガイド面で案内して前記反転搬送経路に待機させ、
前記反転搬送経路に待機させた先行シートとともに後続シートを前記第1の方向に搬送する際は、前記切替部材を第二ポジションに維持したまま、前記分岐部の上流から前記第1の方向へ搬送される後続シートを第二ポジションにある切替部材の第二ガイド面で案内し、前記反転搬送経路に待機させた先行シートと前記切替部材の下流で合流させて、シート束として前記第1の方向に搬送するよう前記搬送手段及び前記切替部材の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記反転搬送経路にシートを連続して待機させる際は、前記分岐部の上流から前記第1の方向へ搬送される第一先行シートを第一ポジションにある切替部材の第一ガイド面で案内し、第一先行シートの第1の方向上流端が前記分岐部を通過した後、前記切替部材を第二ポジションに切り替えて、前記分岐部の下流から前記第2の方向へ搬送される第一先行シートを第二ポジションにある切替部材の第一ガイド面で案内し、反転搬送経路に待機させ、
その後、前記切替部材を第一ポジションに切り替えるために、第二先行シートの切替部材までの到達時間を第一先行シートに対して遅延させるように低速搬送してから、第二先行シートを第一ポジションにある切替部材の第一ガイド面で案内し、前記反転搬送経路に待機させるまでの動作を繰り返し行うよう前記搬送手段及び前記切替部材の動作を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記反転搬送経路に待機させた先行シートと後続シートの第1の方向下流端の合流位置は、前記反転搬送経路に待機させた先行シートの第1の方向上流端よりも第1の方向下流に位置することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記切替部材から前記合流位置までの搬送経路には、前記搬送手段が配置されていないことを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記搬送手段はシートを挟持して搬送する正逆転可能な搬送ローラ対であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
さらに、シートを積載するための積載手段を有し、前記制御手段は、重ねたシートを前記第1の方向に搬送して前記積載手段に積載するよう前記搬送手段の動作を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
シートを積載するための積載手段と、シートに処理を施すための処理手段と、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、を備えていることを特徴とするシート処理装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成部と、画像が形成されたシートを処理する請求項8に記載のシート処理装置と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
シートに画像を形成する画像形成部と、画像が形成されたシートを積載するための積載手段と、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−140246(P2012−140246A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249455(P2011−249455)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】