説明

シート搬送装置、裁断装置、印刷機、及びこれらの対応する使用法

本発明のシート搬送装置は、シート(30)を引き渡すように設計された引渡し装置(64)と、引渡し装置(64)から搬送装置へ引き渡されたシートを運搬するための第1の運搬装置(66;66A)と、第1の搬送装置(66;66A)の速度を制御するように設計されておりかつ引渡しサイクル(CT)を規定する制御手段とが設けられている。制御手段(76)は、該当する第1の運搬装置によってシートが運搬されている時に第1の運搬装置(66)を減速させ、運搬装置にシートが存在しない時には該当する第1の運搬装置を加速させる。本発明は輪転印刷機の裁断装置のために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを引き渡すように設計された引渡し装置と、引渡し装置から運搬装置へ引き渡されたシートを運搬するための第1の運搬装置と、第1の搬送装置の速度を制御するように設計されておりかつ引渡しサイクルを規定する制御手段とが設けられた形式のシート搬送装置に関する。
【0002】
紙のシート等の被印刷製品を搬送するための装置は技術分野において公知である。これらの搬送装置は、例えば印刷されたシートを搬送するためにオフセット印刷機において使用される。
【0003】
これらの搬送装置は、搬送されるシートと接触する搬送面を有する中空のコンベヤローラを有する。
【0004】
シートをコンベヤローラに付着させるために、コンベヤローラは、真空発生装置に接続されたキャビティを有する。
【0005】
しかしながら、特にコンベヤローラがシートを減速させるローラである場合には、印刷されたシートはインキを搬送面に堆積させ、これは劣悪な製品品質を生じる。
【0006】
本発明の目的は、単純な手段を使用することによって、印刷機によって製造することができる被印刷製品の品質を高めることである。
【0007】
このために、発明の1つの主体は、該当する第1の運搬装置によってシートが運搬されている時に第1の運搬装置を減速させ、この運搬装置にシートが存在しない時には該当する第1の運搬装置を加速させるように制御手段が設計されていることを特徴とする、前記形式の搬送装置である。
【0008】
幾つかの特定の実施形態によれば、搬送装置は以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を有する:
−引渡しサイクルの間は第1の運搬装置及び引渡し装置は、シートが第1の運搬装置に引き渡される引渡し段階と、シートが第1の運搬装置によって解放される排出段階とを有しており、制御手段が、排出段階と引渡し段階との間で第1の運搬装置を加速させ、引渡し段階と排出段階との間で減速装置を減速させるように設計されており;
−制御手段が、引渡し段階の間及び排出段階の間は第1の運搬装置を一定の速度で駆動するように設計されており;
−制御手段が、引渡し段階の間は引渡し装置を第1の引渡し速度で駆動し、運搬装置を、第1の引渡し速度とは異なる第2の引渡し速度で駆動し;
−第1の引渡し速度が第2の引渡し速度よりも高い;
−第1の引渡し速度が第2の引渡し速度と等しく;
−制御手段が、引渡しサイクル全体に亘って引渡し装置を一定の速度で駆動するように設計されており;
−第1の運搬装置が、シートを減速させるように設計された減速装置であり;
−第1の運搬装置が、コンベヤ、特にベルトコンベヤ又はチェーンコンベヤであり;
−制御手段が、運搬装置の運搬エレメントの位置を認識するための手段と、認識された位置に応じて運搬装置速度設定値信号を発生するための手段、特に電子カム手段とを有しており;
−搬送装置が、第2の運搬装置を有しており、引渡し装置が、シートを第1及び第2の運搬装置それぞれに交互に引き渡すように設計されており;
−搬送装置が、ウェブをシートに裁断して引渡し装置にシートを供給するように設計された裁断装置を有しており;
−引渡し胴が、裁断装置の圧胴である。
【0009】
本発明の別の主体は、ウェブ供給部と、シート積層装置と、前記形式の搬送装置とが設けられたシート排出装置である。
【0010】
本発明は、前記形式の排出装置を有するウェブオフセット輪転印刷機にも関する。
【0011】
本発明は、搬送サイクルの間に以下のステップ、すなわち、引渡し装置から第1の運搬装置へシートを引き渡し、運搬装置にシートが配置されている時には運搬装置を減速させ、運搬装置にシートが存在しない時には第1の運搬装置を加速させることを含む、シートを搬送する方法にも関する。
【0012】
幾つかの特定の実施形態によれば、シート搬送方法は以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を有する:
−引渡し段階の間、シートを引渡し装置から第1の運搬装置へ引渡し速度で引き渡し;
−排出段階の間、第1の運搬装置は、引渡し速度よりも遅い排出速度でシートを解放し;
−引渡し段階と排出段階との間において、第1の運搬装置を減速させ;
−排出段階と引渡し段階との間において第1の運搬装置を加速させ;
−引渡し段階の間及び/又は排出段階の間、搬送方法は、第1の運搬装置を一定の引渡し及び/又は排出速度で駆動するステップを有し;
−引渡し段階の間、搬送方法は、引渡し装置を第1の引き渡し速度で駆動しかつ第1の運搬装置を第2の引渡し速度で駆動するステップを有し;
−第1の引渡し速度は第2の引渡し速度よりも高い;
−第1の引渡し速度は第2の引き渡し速度と等しい;
−シートを引き渡す前に、搬送方法は、シートをウェブから裁断するステップを有する。
【0013】
本発明は、添付の図面を参照しながら、単に例として示された以下の詳細な説明を読むことによりさらに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による印刷機の概略的な側面図である。
【図2】本発明による印刷機の択一的な形態の、図1に対応する図である。
【図3】第1の実施形態による裁断及び積層装置の概略図である。
【図4】裁断装置の第1の作動モードによる、引渡し装置及び運搬装置の作動速度を示す図である。
【図5】裁断装置の第2の作動モードによる、引渡し装置及び運搬装置の作動速度を示す図である。
【図6】本発明による裁断及び積層装置の第2の実施形態の、図3に対応する概略図である。
【図7】第2の実施形態による裁断装置の作動中の引渡し装置及び運搬装置の作動速度を示す図である。
【0015】
図1は、全体の符号2によって示された、本発明による輪転印刷機を示している。
【0016】
印刷機2は、繰出し機4と、4つの印刷ユニット6と、トラクション装置8と、裁断及び積層装置10とを有している。さらに、印刷機2は、ウェブ掴み装置14と、パウダリング装置16とを有している。
【0017】
印刷機2は、理論上は1からnのあらゆる数の印刷ユニット6を有することができる。
【0018】
繰出し機4は、印刷される連続したウェブ18を繰り出すように設計されている。
【0019】
印刷するためのウェブ18はコート紙のウェブである。コート紙は、紙の機械的特性又は視覚的特性を改善する、例えばカオリン又はチョークの皮膜の層を有する紙である。この紙により、高品質の被印刷製品が得られる。択一例として、印刷されるウェブは皮膜を有さない紙のウェブであることもできる。
【0020】
印刷機2は、繰出し機4から、印刷ユニット6と、ウェブ掴み装置14と、パウダリング装置16と、トラクション装置8とを通って裁断及び積層装置10までウェブ18のための印刷経路を規定している。
【0021】
各印刷ユニット6は、紙のウェブ18に印刷されるインキ24を含んだインキ貯蔵容器22が設けられたインキ装置20を有している。本発明に関連して使用されるインキ24を以下に説明する。さらに、各インキ装置20は、インキ24を印刷ローラ28に転移させるためのインキ転移ローラ26を有している(後述する)。
【0022】
印刷ユニット6は、紙のウェブ18に印刷するように設計されたこれらの印刷ローラ28を有している。
【0023】
裁断及び積層装置10は、印刷されるウェブ18を個々のシート30に裁断しかつ裁断された個々のシートの積層部を形成するように設計されている。
【0024】
トラクション装置8は、最も下流の印刷ユニット6の下流でかつ裁断及び積層装置10の上流に配置されている。このトラクション装置8は、最も下流の印刷ユニット6から出たウェブ18に、設定された機械的な張力を提供するように設計されている。
【0025】
図1に示したように、印刷機2は、ウェブ掴み装置14及びパウダリング装置16を場合によっては除外して、最も下流の印刷ユニット6とトラクション装置8との間の経路において、自由に懸吊されかつ周囲空気に曝された印刷されたウェブ18を搬送するように設計されている。さらに、印刷機2は、トラクション装置8と裁断及び積層装置10との間の経路において、周囲空気に曝された印刷されたウェブ18を搬送するようにも設計されている。つまり、図1の印刷機2は、乾燥機を有さず、小さなスペースだけを占める。
【0026】
図2に示された択一的な態様による印刷機2は、ウェブ掴み装置14とトラクション装置8との間に赤外線乾燥機32が設けられていてこの赤外線乾燥機を通って印刷されたウェブ18が運搬されるという点において、図1に示された印刷機2とは異なる。赤外線乾燥機32は、高温空気乾燥機等の、加熱によってウェブを乾燥させる別の装置と交換してもよい。乾燥機32は、従来の乾燥機と比較して小型である。
【0027】
ウェブ掴み装置14は、紙ウェブ18における破断を検出し、破断が生じた場合に紙ウェブ18の自由端部を掴持するように設計されている。そのために、ウェブ掴み装置14は適切なグリッパエレメント34を有している。択一例においては、ウェブ掴み装置14は省略されている。
【0028】
パウダリング装置16は、印刷されたウェブ18のそれぞれの側に裏移り防止粉末を提供するように設計されている。パウダリング装置は、印刷されたウェブ18の一方又は両方の側に裏移り防止粉末を提供する。このために、パウダリング装置16は、紙ウェブ18のそれぞれの側のための、粉末38を含んだ貯蔵容器36と、管42によって粉末貯蔵容器36に接続されたパウダリングヘッド40とを有している。
【0029】
パウダリング装置16は、裏移り防止粉末を紙ウェブ18に連続して、好適には少なくとも印刷長さの二倍に対応する長さに亘って連続して中断されることなく提供するように設計されている。
【0030】
ウェブをパウダリングするために使用される粉末38は、好適には、コーンスターチをベースとする野菜粉末又は鉱物粉末である。
【0031】
印刷機の他のユニットに関連したトラクション装置8により、紙ウェブは、この紙ウェブ12を乾燥させることなく、また溶剤をインキから蒸発させることによって、印刷され、裁断及び積層装置10に受容される。
【0032】
印像は、インキ貯蔵容器22に収容されたインキ24を使用して印刷される。有利には、インキ24は、乾燥剤インキ、若しくは"水なし"インキ、又は二部インキである。乾燥剤インキが乾燥する形式は、"媒体への浸透"として知られる第1の現象と、"油及び樹脂ラッカーの酸化重合"として知られる第2の現象との組合せである。
【0033】
水なしインキは特殊目的刷版とともに使用され、特殊目的刷版は、油性インキを弾く予め湿潤された親水性表面に基づく慣用の平版法に頼ることなく、非印刷領域を規定することを可能にする。これらのインキの使用は、単に上記の慣用の乾燥剤インキの使用と同じであると考えられるかもしれないが、これは、乾燥機を省略することができるか又は少なくともより小型に設計することができることを意味する。
【0034】
他方では、熱硬化性インキは、樹脂と混合された鉱物溶剤の蒸発によって乾燥する。UVインキは、紫外線照射の効果を受けた樹脂の重合によって乾燥される。
【0035】
図3は、裁断及び積層装置10を概略的に示している。
【0036】
裁断及び積層装置10は、2つのインプットローラ50と、裁断胴52と、圧胴54とを有している。
【0037】
裁断及び積層装置10は、固定された構造体S又はスタンドを有している。
【0038】
インプットローラ50は、裁断胴52と圧胴54との上流に配置されている。2つのインプットローラ50は、固定された構造体Sに対して軸線A及びBを中心に回転することができる。各インプットローラ50は、貫通孔62を備えたシェル60を有している。
【0039】
裁断胴52は、刃53を有しており、軸線Cを中心に回転する。
【0040】
圧胴54は、軸線Dを中心に回転することができ、紙ウェブをシート30に裁断するために刃53と協働する逆圧ブロック63を有している。
【0041】
裁断及び積層装置10は、引渡し装置64と、運搬装置66とを有している。
【0042】
引渡し装置64は、圧胴54からシート30を取り上げ、シートを運搬装置66へ引き渡すように設計されている。
【0043】
引渡し装置64は、軸線Eを中心に回転することができる引渡し胴68を有している。引渡し胴68は開口70を有している。
【0044】
運搬装置66は、軸線Fを中心に回転することができる運搬胴72を有している。運搬胴72は開口74を有している。
【0045】
裁断装置10は、開口70,74において吸引力を生ぜしめるように設計された吸引装置71も有している。
【0046】
裁断装置10は、この装置10への入口から順に、インプットローラ50と、圧胴54と、引渡し胴68と、運搬胴72とを順に通って個々のシート30の積層体31まで、紙ウェブ18及びシート30のための経路を区切っている。
【0047】
裁断装置10は、運搬装置66の速度V66と、引渡し装置64の速度V64とを制御するように設計された制御手段76を有している。制御手段76は、シート30の引渡しのための引渡しサイクルを規定する。引渡しサイクルは、例えば引渡し胴の一回転である。
【0048】
シート30が運搬装置66によって運搬されている時、制御手段76はこの運搬装置66を減速させるように設計されている。運搬装置にシート30が存在しない時、制御手段76は運搬装置66を加速させるように設計されている。
【0049】
図4は、裁断装置10の引渡しサイクルCTを示している。
【0050】
横軸は引渡しサイクルにおける時間T、つまり360゜にわたる引渡し胴68の一回転を示している。縦軸は、引渡し装置64の速度と、運搬装置66の速度V66とを示している。
【0051】
つまり、引渡しサイクルCTにおいて、引渡し装置64及び運搬装置66は、引渡し胴68におけるシート30が引渡し装置64から運搬装置66へ引き渡される引渡し段階PTと、シート30が運搬装置66によって積層部31へ解放される排出段階PSとを有している。さらに、同じサイクルの引渡し段階PTの後でかつ排出段階PSの前に、減速段階PDが設けられており、この減速段階PDの間に運搬装置66が減速される。また、同じサイクルの排出段階PSの後でかつ引渡し段階PTの前に、加速段階PAが設けられており、この加速段階PAの間に運搬装置66が加速される。
【0052】
言い換えれば、制御手段76は、排出段階PSと引渡し段階PTとの間で運搬装置66を加速させ、同じサイクルの引渡し段階PTと排出段階PSとの間で運搬装置66を減速させるように設計されている。
【0053】
制御手段76は、引渡し段階PTの間及び排出段階PSの間、運搬装置66を一定の速度V66で駆動するように設計されている。排出段階PSの間、運搬装置66は排出速度VSで駆動される。
【0054】
同様に、制御手段76は、引渡しサイクル全体を通じて引渡し装置64を一定の速度V64で駆動するように設計されている。特に、引渡し段階PTの間、速度V64及び速度V66は引渡し速度VTと同じである。
【0055】
図5は、引渡しサイクルの択一的な態様を示している。この択一的な態様では、制御手段76は、引渡し段階PTの間、引渡し装置64が第1の引渡し速度VT1で駆動され、運搬装置66が第2の引渡し速度VT2で駆動されるように設計されている。
【0056】
引渡し装置64の速度V64は、1つの同じサイクルを通じて、運搬装置66の速度V66よりも高い。つまり、第1の引渡し速度は第2の引渡し速度よりも高い。
【0057】
特に、運搬装置66は、シートを減速させるように設計された減速装置である。つまり、運搬胴は減速胴である。
【0058】
制御手段76は、好適には、ECAM(すなわち電子カム)技術を採用した手段である。したがって、制御手段は、この装置の運搬エレメントの位置に従って引渡し装置64又は運搬装置66それぞれの速度を制御するように設計されている。運搬エレメントは、胴、例えば胴68であるか、又はベルト又は帯である。
【0059】
運搬エレメントが胴である場合、制御手段76は、胴の回転位置を認識しかつこの位置に従って速度を制御するように設計されている。制御手段は、有利には、胴の回転位置を検出するセンサに接続されたプロセッサと、プロセッサに接続されたメモリとを有している。メモリは、回転位置情報を、対応する胴のための速度設定値を表す情報に変換する情報を有している。プロセッサは、速度設定値を速度調整装置に伝送する手段を有している。
【0060】
図6は、本発明による裁断及び積層装置10の第2の実施形態の概略図を示している。
【0061】
以下では、第1の実施形態と比較して異なる点だけを説明する。同一の構成要素には同一の参照符号を付している。
【0062】
この裁断及び積層装置10は、裁断胴52と、圧胴54とを有している。引渡し装置64は、引渡し胴68が圧胴から成るように、圧胴54を有している。
【0063】
さらに、搬送装置は、第1の運搬装置66A及び第2の運搬装置66Bを有しており、それぞれの運搬装置は減速装置である。したがって、圧胴54は、第1の運搬装置66A及び第2の運搬装置66Bそれぞれに直接に供給するように設計されている。
【0064】
各運搬装置66A,66Bは、運搬胴72を有している。各胴72は開口74を有している。
【0065】
第1の運搬装置66A及び第2の運搬装置66Bはそれぞれ、第1の角度範囲αに亘って延びた減圧チャンバと、第2の角度範囲βに亘って延びた増圧チャンバとを有している。
【0066】
各運搬装置66A,66Bは、第3の角度範囲γに亘って延びた周囲チャンバを有している。
【0067】
各チャンバは、対応する角度範囲における開口74に接続されている。
【0068】
制御手段76は、運搬装置66A,66Bそれぞれの速度と、引渡し装置64の速度とを制御するように設計されている。
【0069】
引渡し装置64は、シート30を一方の運搬装置66Aと他方の運搬装置66Bとに交互に引き渡すように設計されている。
【0070】
搬送装置は、2つの連続したシート30の引渡しから成る引渡しサイクルを規定する。
【0071】
図7は、第2の実施形態による裁断装置の作動中の引渡し装置64及び運搬装置66A,66Bの作動速度を示す図である。
【0072】
横軸は、引渡しサイクルCTにおける時間Tを示している。縦軸は、引渡し装置64の速度V64と、第1の運搬装置66Aの速度V66Aと、第2の運搬装置66Bの速度V66Bとを示している。
【0073】
引渡しサイクルCTに亘って、第1の運搬装置66A及び引渡し装置64は、シート30が引渡し装置64から第1の運搬装置66Aへ引き渡される引渡し段階PT1と、シート30が第1の運搬装置66Aによってシートの第1の積層部31へ解放される排出段階PS1とを有している。
【0074】
さらに、同じサイクルの引渡し段階PT1の後でかつ排出段階PS1の前に、減速段階PD1が設けられている。また、同じサイクルの排出段階PS1の後でかつ引渡し段階PT1の前に、第1の運搬装置の加速段階PA1が設けられている。第1の実施形態とは異なり、加速段階PA1は減速段階PD1よりも短い。つまり、シート30は比較的緩やかな減速で減速され、紙におけるマーキングを制限する。
【0075】
また、引渡しサイクルCTに亘って、第2の運搬装置66B及び引渡し装置64は、シート30が引渡し装置64から第2の運搬装置66Bへ引き渡される引渡し段階PT2と、シート30が第2の運搬装置66Bによってシートの第2の積層部31へ解放される排出段階PS2とを有している。
【0076】
さらに、同じサイクルの引渡し段階PT2の後でかつ排出段階PS2の前に、第2の運搬装置66Bの減速段階PD2が設けられている。また、同じサイクルの排出段階PS2の後でかつ引渡し段階PT2の前に、第2の運搬装置66Bの加速段階PA2が設けられている。第1の実施形態とは異なり、加速段階PA2は減速段階PD2よりも短い。つまり、シート30は比較的緩やかな減速で減速され、紙におけるマーキングを制限する。
【0077】
2つの運搬装置66A,66Bに交互に供給することにより、シートは、与えられたシート製造率のために低い減速で減速されることもできる。
【0078】
引渡し段階PT1及びPT2の間及び排出段階PS1及びPS2の間、制御手段76は、運搬装置66A,66Bを一定の引渡し速度VT及び一定の排出速度VSで駆動するように設計されている。
【0079】
示されていない択一例においては、運搬装置66,66A,66Bは、コンベヤ、特にベルトコンベヤ又はチェーンコンベヤである。この場合、運搬装置は胴を有していない。
【0080】
"速度"という言葉は、シート30と接触したエレメントの速度を意味する。引渡し胴68の場合、速度は、この引渡し胴の周速度である。運搬胴72の場合、速度は、この運搬胴の周速度である。引渡し装置及び/又は運搬装置がコンベヤベルトを有する場合、対応する速度はベルトの速度である。
【0081】
概して、引渡しサイクルは、引渡し装置の与えられた構成と、運搬装置の与えられた構成との間に経過する時間である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート(30)を引き渡すように設計された引渡し装置(64)と、
引渡し装置(64)から運搬装置へ引き渡されたシートを運搬するための第1の運搬装置(66;66A)と、
第1の運搬装置(66;66A)の速度を制御するように設計されておりかつ引渡しサイクル(CT)を規定する制御手段(76)とが設けられた形式のシート搬送装置において、
該当する第1の運搬装置によってシートが運搬されている時に第1の運搬装置(66)を減速させ、
運搬装置にシートが存在しない時には該当する第1の運搬装置を加速させるように制御手段が設計されていることを特徴とする、シート搬送装置。
【請求項2】
引渡しサイクルの間は第1の運搬装置及び引渡し装置は、シートが第1の運搬装置に引き渡される引渡し段階(PT)と、シートが第1の運搬装置によって解放される排出段階(PS)とを有しており、制御手段(76)が、排出段階と引渡し段階との間で第1の運搬装置を加速させ、引渡し段階と排出段階との間で減速装置を減速させるように設計されている、請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
制御手段(76)が、引渡し段階(PT)の間及び排出段階(PS)の間は第1の運搬装置(66;66A)を一定の速度で駆動するように設計されている、請求項2記載の搬送装置。
【請求項4】
制御手段が、引渡し段階の間は引渡し装置(64)を第1の引渡し速度(VT1)で駆動し、運搬装置(66)を、第1の引渡し速度(VT1)とは異なる第2の引渡し速度(VT2)で駆動するように設計されている、請求項2記載の搬送装置。
【請求項5】
第1の引渡し速度(VT1)が第2の引渡し速度(VT2)よりも高い、請求項4記載の搬送装置。
【請求項6】
第1の引渡し速度(VT1)が第2の引渡し速度(VT2)と等しい、請求項4記載の搬送装置。
【請求項7】
制御手段(76)が、引渡しサイクル全体に亘って引渡し装置(64)を一定の速度(V64)で駆動するように設計されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の搬送装置。
【請求項8】
第1の運搬装置(66;66A)が、シート(30)を減速させるように設計された減速装置である、請求項1から7までのいずれか1項記載の搬送装置。
【請求項9】
第1の運搬装置(66;66A)が、コンベヤ、特にベルトコンベヤ又はチェーンコンベヤである、請求項1から8までのいずれか1項記載の搬送装置。
【請求項10】
制御手段(76)が、運搬装置の運搬エレメント(68,72)の位置を認識するための手段と、認識された位置に応じて運搬装置速度設定値信号を発生するための手段、特に電子カム手段とを有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の搬送装置。
【請求項11】
第2の運搬装置(66B)が設けられており、引渡し装置(64)が、シート(30)を第1の運搬装置(66A)及び第2の運搬装置(66B)それぞれに交互に引き渡すように設計されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の搬送装置。
【請求項12】
ウェブ(18)をシート(30)に裁断して引渡し装置にシートを供給するように設計された裁断装置(52)が設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載の搬送装置。
【請求項13】
引渡し胴(68)が、裁断装置の圧胴(54)である、請求項12記載の搬送装置。
【請求項14】
ウェブ供給部と、
シート積層装置とが設けられているシート排出装置において、少なくとも請求項12記載の搬送装置が設けられていることを特徴とする、シート排出装置。
【請求項15】
請求項14記載の排出装置が設けられていることを特徴とする、ウェブオフセット輪転印刷機。
【請求項16】
シートを搬送する方法であって、搬送サイクルの間に以下のステップ、すなわち、
−引渡し装置(64)から第1の運搬装置(66;66A)へシート(30)を引き渡し、
−運搬装置(66;66A)にシート(30)が配置されている時には運搬装置を減速させ、
−運搬装置にシートが存在しない時には第1の運搬装置(66;66A)を加速させるステップを含むことを特徴とする、シートを搬送する方法。
【請求項17】
以下のステップ、すなわち、
−引渡し段階(PT)の間、シート(30)を引渡し装置から第1の運搬装置へ引渡し速度(VT)で引き渡し;
−排出段階(PS)の間、第1の運搬装置は、引渡し速度(VT)よりも低い排出速度(VS)でシート(30)を解放し;
−引渡し段階(PT)と排出段階(PS)との間において、第1の運搬装置を減速させ、
−排出段階(PS)と引渡し段階(PT)との間において第1の運搬装置を加速させるステップを含む、請求項16記載の搬送する方法。
【請求項18】
引渡し段階の間及び/又は排出段階の間、第1の運搬装置(66:66A)を一定の引渡し及び/又は排出速度で駆動するステップを有する、請求項16又は17記載の搬送する方法。
【請求項19】
引渡し段階(PT)の間、引渡し装置を第1の引渡し速度(VT1)で駆動しかつ第1の運搬装置を第2の引渡し速度(VT2)で駆動するステップを有する、請求項18記載の搬送する方法。
【請求項20】
第1の引渡し速度は第2の引渡し速度(VT2)よりも高い、請求項19記載の搬送する方法。
【請求項21】
第1の引渡し速度は第2の引き渡し速度と等しい、請求項19記載の搬送する搬送する方法。
【請求項22】
シートを引き渡す前に、シートをウェブから裁断するステップを有する、請求項16から21までのいずれか1項記載の搬送する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−523600(P2011−523600A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506760(P2011−506760)
【出願日】平成21年4月29日(2009.4.29)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050795
【国際公開番号】WO2009/138698
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(594141705)ゴス インターナショナル モンタテール ソシエテ アノニム (41)
【氏名又は名称原語表記】Goss International Montataire,S.A.
【住所又は居所原語表記】Square H.Marinoni,F−60761 Montataire,France
【出願人】(510290175)ヴィッツ プリント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (3)
【氏名又は名称原語表記】Vits Print GmbH
【住所又は居所原語表記】Winkelsweg 172, D−40764 Langenfeld, Germany
【Fターム(参考)】