説明

シート搬送装置及び画像形成装置

【課題】簡単な構成で、両面印刷における生産性の向上が可能なシート搬送装置及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】第1搬送路50と、第1搬送路50から搬送されたシートを第1搬送路50に再搬送する第2搬送路51と、正回転により第1搬送路50からのシートの搬送を行い、逆回転により該シートを第2搬送路51に搬送する反転搬送ローラ対6と、第2搬送路51に設けられ、反転搬送ローラ対6の逆回転によってシートを第1搬送路50へ再搬送する再搬送ローラ対7と、先行シートと反転搬送ローラ対6によって搬送された後続シートとを再搬送ローラ対7に重ねて挟持させた後、後続シートを第2搬送路51に留めたまま先行シートを第1搬送路50へ搬送させるように、再搬送ローラ対7のうちの後続シートと接するローラを停止させながら再搬送ローラ対7のうちの先行シートと接するローラを回転させるシート搬送制御部8と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置は、更なる省資源化への対応が望まれており、両面印刷の活用が多用化している。そのため、両面印刷機能を有する画像形成装置においては、生産効率を向上すべく、両面印刷における印刷速度の高速化が望まれている。
【0003】
ここで、両面印刷機能を有する画像形成装置において、印刷速度の高速化を図るためには、未印刷紙と片面印刷済み紙とを片面印刷の場合と同様の間隔で交互に搬送することが挙げられる。未印刷紙の印刷と片面印刷済み紙の印刷とを交互に行うことにより、印刷速度の高速化を図ることができる。そのためには、両面印刷開始時に搬送する少なくとも2枚の片面印刷紙の反転及び搬送を早期に行い、それぞれを待機させる必要がある。
【0004】
一方、従来の両面印刷機能を有する画像形成装置は、両面印刷を行うに際し、印刷開始時における2枚のシートを、先行する先行シートを先行停止位置に、後続する後続シートを後続停止位置に、それぞれ停止させて待機させる構成としている(特許文献1参照)。
【0005】
そして、この先行停止位置と後続停止位置は、使用する画像形成装置により予め設定されており、印刷するシートの大きさにより変更することができない構成となっている。そのため、特許文献1に開示に従来の画像形成装置は、サイズの小さなシートの場合でも、先行シートと後続シートとの間隔(印刷間隔)を短縮することができず、無用な印刷間隔を設けることとなっていた。そして、これが印刷速度の高速化を抑制していた。
【0006】
これに対しては、先行シート及び後続シートが待機可能な2つの搬送路を並列に設け、この搬送路に各シートを待機させることにより、印刷間隔(搬送間隔)を短くした画像形成装置が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平03−13463号公報
【特許文献2】特開2004−051330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示の従来の画像形成装置は、搬送路を2つ設けるため、搬送路のそれぞれに交互にシートを振り分ける構造や画像形成部に交互にシートを再搬送する構造が必要となる。これにより、装置が複雑になると共に、製造コストが高くなる。また、近年、画像形成装置の小型化が要求される中、並列に設けられる2つの搬送路は、画像形成装置全体を大型化し、小型化への要求に対する障害になる。
【0009】
そこで、本発明は、簡単な構成で、両面印刷における生産性の向上が可能なシート搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、シートを搬送する第1搬送路と、前記第1搬送路から搬送されたシートを前記第1搬送路に再搬送する第2搬送路と、正回転により前記第1搬送路からのシートの搬送を行い、逆回転により該シートを前記第2搬送路に搬送する反転搬送ローラ対と、前記第2搬送路に設けられ、前記反転搬送ローラ対の逆回転によって搬送されたシートを前記第1搬送路へ再搬送する再搬送ローラ対と、先行シートと該先行シートに続いて前記反転搬送ローラ対によって搬送された後続シートとを前記再搬送ローラ対に重ねて挟持させた後、前記後続シートを前記第2搬送路に留めたまま前記先行シートを前記第1搬送路へ搬送させるように、前記再搬送ローラ対のうちの前記後続シートと接するローラを停止させながら前記再搬送ローラ対のうちの前記先行シートと接するローラを回転させる制御部と、を備えた、ことを特徴とするシート搬送装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単な構成で、生産性の向上が可能なシート搬送装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレーザビームプリンタの全体構造を模式的に示す断面図である。
【図2】第1実施形態に係る再搬送ローラ対の斜視図である。
【図3】図2に示す再搬送ローラ対の駆動ユニットの断面図である。
【図4】(a)は再搬送ローラ対に挟持された2枚のシートから1枚のシートを搬送する状態を示す図であり、(b)は再搬送ローラ対に挟持された1枚のシートを搬送する状態を示す図である。
【図5】(a)は第1シートが第2搬送路における第1位置に待機する状態を示し、(b)は再搬送ローラ対を回転させて第1シートを第2位置に待機させると共に第2シートと第1シートとを再搬送ローラ対で挟持する状態を示す図である。
【図6】(a)は第2再搬送ローラを回転させて第1シートを第2位置に待機させたまま第2シートを搬送する状態を示す図であり、(b)は第1シートを第2位置に待機させたまま第2シートを第3位置に搬送する状態を示す図である。
【図7】(a)は第1再搬送ローラを回転させて第2シートを第3位置に待機させたまま第1シートを搬送する状態を示す図であり、(b)は両面に画像が形成された第1シートを搬送すると共に第2シートを第1位置に移動させる状態を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るレーザビームプリンタの全体構造を模式的に示す断面図である。
【図9】第2実施形態に係る反転搬送ローラ対の斜視図である。
【図10】(a)は第1駆動ギアが第1切換ユニットにより入力ギアと逆方向に回転する状態を示す図であり、(b)は第1駆動ギアが第1切換ユニットにより入力ギアと同方向に回転する状態を示す図である。
【図11】(a)は反転搬送ローラ対を正回転させて第1シートを搬送する状態を示す図であり、(b)は反転搬送ローラ対を逆回転させて第1シートを反転させる状態を示す図である。
【図12】(a)は反転搬送ローラ対を正回転させて第1シート及び第2シートを搬送する状態を示す図である。(b)は反転搬送ローラ対の第1反転搬送ローラを逆回転して第1シートを反転させると共に第2反転搬送ローラを正回転させて第2シートを搬送する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係るシート搬送装置及び画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれら複合機器等、シートを反転させて搬送し、シートの両面に画像を形成可能なシート搬送装置としてのシート搬送部を備えた画像形成装置である。以下の実施形態においては、画像形成装置としてレーザビームプリンタを用いて説明する。
【0014】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1について、図1から図4(b)を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1の全体構造を模式的に示す断面図である。図2は、第1実施形態に係る再搬送ローラ対7の斜視図である。図3は、図2に示す再搬送ローラ対7の駆動ユニットの断面図である。図4(a)は、再搬送ローラ対7に挟持された2枚のシートSから1枚のシートSを搬送する状態を示す図であり、図4(b)は、再搬送ローラ対7に挟持された1枚のシートSを搬送する状態を示す図である。
【0015】
まず、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1の全体構造について、図1を参照しながら説明する。図1に示すように、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1は、プリンタ本体2と、シート給送部3と、画像形成部4と、シート搬送部5と、制御部としてのシート搬送制御部8と、を備える。
【0016】
プリンタ本体2は、レーザビームプリンタ1の外観を構成し、シート給送部3、画像形成部4及びシート搬送部5を収容する筐体20と、筐体20の下部に着脱自在に取り付けられる給紙カセット21と、筐体20の上部に形成される排紙トレイ22と、を備える。給紙カセット21は、積層した状態でシートSを収納する。排紙トレイ22は、両面印刷が終了したシートを収容する。
【0017】
シート給送部3は、給紙カセット21に収納されるシートSをシート搬送部5に給送する給送ローラ30と、給送ローラ30と共にシートを分離する分離部31と、を備える。分離部31は、給送ローラ30に圧接してシートを1枚ずつ分離する分離パッド32と、分離パッド32を保持する分離ホルダ33とを備える。シート給送部3は、給紙カセット21に収納されたシートSを、分離パッド32で1枚ずつ分離しながら給送ローラ30でシート搬送部5に給送する。
【0018】
画像形成部4は、感光体ドラム40と、レーザスキャナユニット41と、現像部42と、転写ローラ43と、定着部44と、を備え、所定の画像情報に基づいてシートSに画像を形成する。レーザスキャナユニット41は、画像情報に基づいて形成された情報光を感光体ドラム40に照射する。現像部42は、感光体ドラム40に形成された静電潜像を現像する。転写ローラ43は、現像された画像をシートSに転写する。定着部44は、転写された画像をシートSに定着させる。
【0019】
シート搬送部5は、第1搬送路50と、第2搬送路51と、シート排紙路52と、切替部材53と、第1センサ54と、第2センサ55と、第3センサ56と、搬送ローラ対57と、排紙ローラ対58と、反転搬送ローラ対6と、再搬送ローラ対7と、を備える。
【0020】
第1搬送路50は、未印刷シートや片面印刷シート等のシートSを搬送するための搬送路である。第1搬送路50は、シートSの搬送方向における上流側において二股に分かれており、二股に分かれた第1搬送路50の一方側は、給紙カセット21に接続されている。給紙カセット21から搬送されたシートは、第1搬送路50を搬送中に画像形成部4により片面印刷が行われる。また、第1搬送路50は、下流側においても二股に分かれており、第1搬送路50の下流側において二股に分かれた一方側は、排紙トレイ22側に向かうように形成されている。
【0021】
第2搬送路51は、片面印刷されたシートSを第1搬送路50に再搬送するための搬送路である。第2搬送路51の上流側は、第1搬送路50の下流側において二股に分かれた第1搬送路50の他方側に接続されている。一方、第2搬送路51の下流側は、第1搬送路50の上流側において二股に分かれた第1搬送路50の他方側に接続されている。
【0022】
また、第2搬送路51は、第2搬送路51の上流側(第1搬送路50との接続部と第2搬送路51の屈曲部51bとの間)に設けられた後端退避部51aを備えている。後端退避部51aは、第2搬送路51における所定の位置でシートSが停止した状態で待機した場合に、該シートSの後端部を退避可能に形成されている。
【0023】
シート排紙路52は、両面印刷が終了したシートSを排紙トレイ22に搬送するための搬送路である。シート排紙路52は、シートSの排紙方向における上流側が第1搬送路51における画像形成部4の下流側に接続されており、シート排紙路52の排紙方向における下流側は、排紙トレイ22に接続されている。切替部材53は、第1搬送路50とシート排紙路52との接続部に取り付けられており、両面印刷が終了したシートSを排紙トレイ22に搬送するために、第1搬送路50からシート排紙路52にシートSの搬送方向を切り替える。
【0024】
第1センサ54は、第1搬送路50におけるシート給送部3と画像形成部4との間に配置されており、第1搬送路50におけるシート給送部3と画像形成部4との間を、シートSが通過したことを検出する。第2センサ55は、第1搬送路50の下流側(切替部材53の下流側)に配置されており、第1搬送路50における切替部材53の下流側をシートSが通過したことを検出する。第3センサ56は、第2搬送路51の入り口(第1搬送路50との接続部)に配置されており、第2搬送路51に反転されたシートSが搬送されたことを検出する。
【0025】
搬送ローラ対57は、第1搬送路50に配置されており、第1搬送路50に給送又は搬送されるシートSを第1搬送路50に沿って搬送する。排紙ローラ対58は、シート排紙路52に配置されており、切替部材53により第1搬送路50からシート排紙路52に搬送されるシートSを排紙トレイ22に搬送する。
【0026】
反転搬送ローラ対6は、第1搬送路50の下流側における二股に分かれた一方側(排紙トレイ22側)に配置されており、正回転により第1搬送路50からのシートSの搬送を行い、逆回転により搬送されたシートSを反転させる。具体的には、正回転により第1搬送路50から搬送されるシートSを二股に分かれた一方側(排紙トレイ22側)に搬送し、その後、逆回転することによりシートSを第2搬送路51に搬送する。このようにして、第1搬送路50に再搬送されたときのシートSの印刷面が反転する。なお、第1実施形態においては、反転搬送ローラ対6は、独立に回転可能な反転搬送ローラ6aと、反転搬送ローラ6aに接離自在に設けられる回転コロ6bと、から構成されている。
【0027】
再搬送ローラ対7は、第2搬送路51に配置されており、第2搬送路51に搬送されるシートSを搬送する。また、再搬送ローラ対7は、第1ローラとしての第1再搬送ローラ7aと、第2ローラとしての第2再搬送ローラ7bと、を備え、第1再搬送ローラ7aと第2再搬送ローラ7bとの間に2枚のシートを同時に挟持可能に形成されている。第1再搬送ローラ7a及び第2再搬送ローラ7bは、それぞれ独立に回転可能に構成されている。
【0028】
ここで、独立に回転可能な第1再搬送ローラ7a及び第2再搬送ローラ7bを有する再搬送ローラ対7の回転機構の構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2及び図3に示すように、再搬送ローラ対7は、入力ギア70と、第1再搬送ユニット71aと、第2再搬送ユニット71bと、を備える。
【0029】
入力ギア70は、不図示の動力源からの駆動力を第1再搬送ユニット71a及び第2再搬送ユニット71bに伝達する。第1再搬送ユニット71aは、第1駆動ユニット72aと、第1駆動ギア73aと、アイドラギア74a,75a,76aと、第1再搬送ローラ7aと、ローラ回転軸77aと、を備える。
【0030】
図3に示すように、第1駆動ユニット72aは、回転軸78aと、クラッチギア78bと、電磁クラッチ78cと、トルクリミッタ78dと、出力ギア78eと、を備える。クラッチギア78bは、入力ギア70に噛合し、入力ギア70からの駆動力を伝達する。電磁クラッチ78cは、回転軸78aに取り付けられており、クラッチギア78bから伝達された駆動力を回転軸78aに伝達又は遮断する。なお、クラッチギア78bは、回転軸78aに対して回転自在に取り付けられており、電磁クラッチ78cが作動していない状態においては入力ギア70からの駆動力が回転軸78aに伝達されない。一方、電磁クラッチ78cが作動すると、クラッチギア78bは、電磁クラッチ78cのロータと噛合しトルクリミッタ78dの制動力に抗して回転軸78aを回転させる。
【0031】
トルクリミッタ78dは、電磁クラッチ78cにより駆動力が遮断された場合に、回転軸78aを制動して空転を防止する。出力ギア78eは、回転軸78aに取り付けられており、アイドラギア74a,75a,76aと噛合している。出力ギア78eは、回転軸78aから伝達される駆動力をアイドラギア74a,75a,76aに伝達する。
【0032】
アイドラギア74a,75a,76aは、第1駆動ギア73aに噛合しており、出力ギア78eから伝達された駆動力を第1駆動ギア73aに伝達する。第1駆動ギア73aは、ローラ回転軸77aに固定されており、アイドラギア74a,75a,76aから伝達された駆動力でローラ回転軸77aを回転させる。第1再搬送ローラ7aは、ローラ回転軸77aに固定されており、ローラ回転軸77aが回転することにより回転する。また、第1再搬送ローラ7aの表面は、搬送する2枚のシートS同士の摩擦力よりも、第1再搬送ローラ7aとシートSとの摩擦力の方が大きい摩擦係数を有する。
【0033】
第2再搬送ユニット71bは、第2駆動ユニット72bと、第2駆動ギア73bと、ローラ回転軸77bとを備える。第2再搬送ユニット71bは、アイドラギア74a,75a,76aを有しない点で第1再搬送ユニット71aと相違するが、その他は第1再搬送ユニット71aと同様である。そのため、第2再搬送ユニット71bの説明は、第1再搬送ユニット71aの説明を援用し、ここではその説明は省略する。第2再搬送ユニット71bの第2駆動ユニット72bの構成は、第1駆動ユニット72aと同じ構成(図3)なのでここでは説明を省略する。
【0034】
次に、独立に回転可能な第1再搬送ローラ7a及び第2再搬送ローラ7bを有する再搬送ローラ対7におけるシートSの搬送条件について、図4(a)及び図4(b)を用いて説明する。
【0035】
図4(a)及び図4(b)において、搬送するシートSと第1再搬送ローラ7a又は第2再搬送ローラ7bとの摩擦係数をμp、搬送するシートS同士の摩擦係数をμk、第1再搬送ローラ7a及び第2再搬送ローラ7bの半径をRとする。また、ローラ回転軸77a上の制動トルクをT、第1再搬送ローラ7aと第2再搬送ローラ7bとの間に作用する加圧力をNとする。そうすると、図4(a)に示す2枚のシートSを挟持した再搬送ローラ対7における第1再搬送ローラ7a及び第2再搬送ローラ7bの制動トルクTは、以下のように表すことができる。
【0036】
N・μk≦T/R・・・(1)
【0037】
式(1)に示すように、重ね合わせた2枚のシートS同士の摩擦力よりも、シートSと該シートSと当接するローラとの摩擦力の方が大きい場合には、シートS同士の摩擦力に抗してローラとの摩擦力によってローラと当接するシートSを搬送することができる。同様に、もう1枚のシートSと当接するローラが停止していた場合には、シートS同士の摩擦力に抗してローラとの摩擦力によってシートSは停止した状態を保つことができる。つまり、第1再搬送ローラ7a及び第2再搬送ローラ7bの一方又は両方を回転させることにより、第1再搬送ローラ7aに当接するシートS及び第2再搬送ローラ7bと当接するシートSを選択的に搬送させることができる。
【0038】
また、図4(b)に示す1枚のシートSを挟持した再搬送ローラ対7における第1再搬送ローラ7a及び第2再搬送ローラ7bの制動トルクTは、以下のように表すことができる。
【0039】
T/R<N・μp・・・(2)
【0040】
式(2)に示すように、ローラの制動トルクよりも、シートSと該シートSと当接するローラとの力の方が大きい場合には、ローラを回転させてシートSを選択的に搬送することができる。
【0041】
シート搬送制御部8は、切替部材53、搬送ローラ対57、排紙ローラ対58、反転搬送ローラ対6及び再搬送ローラ対7の駆動の制御を行う。また、シート搬送制御部8は、再搬送ローラ対7の第1再搬送ローラ7a及び第2再搬送ローラ7bについては、独立に回転の制御を行う。シート搬送制御部8は、第1再搬送ローラ7a及び第2再搬送ローラ7bの一方又は両方を回転させて、第1再搬送ローラ7aと当接するシートS及び第2再搬送ローラ7bと当接するシートSの一方又は両方を選択的に搬送させる。
【0042】
次に、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1の両面印刷開始時におけるシートSの搬送動作について、図1に加え、図5(a)から図7(b)を参照しながら説明する。なお、以下においては、1枚目の先行シートを「第1シートS1」といい、2枚目の後続シート(先行シートに続いて搬送されるシート)を「第2シートS2」というものとする。また、3枚目のシートを「第3シートS3」といい、4枚目のシートを「第4シート」というものとする。
【0043】
また、切替部材53、搬送ローラ対57、排紙ローラ対58、反転搬送ローラ対6及び再搬送ローラ対7(第1再搬送ローラ7a及び第2再搬送ローラ7b)の駆動の制御は、シート搬送制御部8により行われるが、以下においては、各部材を主体に説明する。
【0044】
図5(a)は、第1シートS1が第2搬送路51における第1位置Gに待機する状態を示す図である。図5(b)は、再搬送ローラ対7を駆動させて第1シートS1を第2位置Hに待機させると共に第2シートS2を第1シートS1と重ねた状態で挟持する状態を示す図である。図6(a)は、第1再搬送ローラ7aを回転させて第1シートS1を第2位置Hに待機させたまま第2シートS2を搬送する状態を示す図である。図6(b)は、第1シートS1を第2位置Hに待機させたまま第2シートS2を第3位置Fに搬送する状態を示す図である。図7(a)は、第1再搬送ローラ7aを回転させて第2シートS2を第3位置Fに待機させたまま第1シートS1を搬送する状態を示す図である。図7(b)は、両面に画像が形成された第1シートS1を搬送すると共に第2シートS2を第1位置Gに移動させる状態を示す図である。
【0045】
両面印刷が開始されると、第1シートS1が給紙カセット21から第1搬送路50に給紙され、画像形成部4で片面に画像が形成される。片面に画像が形成された第1シートS1は、切替部材53によりシート排紙路52に搬送されることなく、搬送ローラ対57によって第1搬送路50の下流側に向かって搬送される。
【0046】
第1シートS1が第1搬送路50の下流側に搬送されると、第1搬送路50の下流側に配置された反転搬送ローラ対6により、第1搬送路50の下流側で二股に分かれた一方側(排紙トレイ22側)に搬送される。反転搬送ローラ対6により排紙トレイ22側に搬送された第1シートS1の後端部が第2センサ55を通過した後、所定時間が経過すると、第1シートS1の後端は第1搬送路50の分岐点Eを通過する。所定時間の経過により第1シートS1の後端部が分岐点Eを通過すると、反転搬送ローラ対6は、逆回転を開始する。反転搬送ローラ対6が逆回転すると、第1シートS1は、第2搬送路51に搬送される。
【0047】
第2搬送路51において、第1シートS1が再搬送ローラ対7に挟持されると、反転搬送ローラ対6の回転コロ6bが反転搬送ローラ6aから離間し、反転搬送ローラ6aは回転を停止する。回転コロ6bが反転搬送ローラ6aから離間すると、反転搬送ローラ6aと回転コロ6bとの間に隙間が形成される。なお、このとき、第1シートS1の後端側は、反転搬送ローラ6aと回転コロ6bとの間(隙間)に位置している。
【0048】
一方、第1シートS1に続く第2シートS2は、第1シートS1と同様の動作が行われた後、第1シートS1と同様に反転搬送ローラ対6に到達する。ここで、反転搬送ローラ6aと回転コロ6bとの間に隙間が形成されている。そのため、反転搬送ローラ対6に到達した第2シートS2は、第1シートS1とすれ違うようにして、排紙トレイ22側に搬送される。
【0049】
再搬送ローラ対7により搬送される第1シートS1の後端部が第3センサ56を通過すると、離間状態にあった回転コロ6bが反転搬送ローラ6a側に移動し、第2シートS2を挟持する。反転搬送ローラ対6が第2シートS2を挟持すると、反転搬送ローラ6aが正回転し、排紙トレイ22側に第2シートS2をさらに搬送する。反転搬送ローラ対6により搬送された第2シートS2の後端部が第2センサ55を通過した後、所定時間が経過すると、第2シートS2の後端は第1搬送路50の分岐点Eを通過する。所定時間の経過により第2シートS2が分岐点Eを通過すると、反転搬送ローラ対6は、逆回転を開始する。反転搬送ローラ対6が逆回転すると、第2シートS2は、反転した状態で第2搬送路51に搬送される。ここで、印刷間隔を短縮するため、更に第2シートS2に続く第3シートS3が第1搬送路50に給送される。
【0050】
図5(a)に示すように、第1シートS1の先端が第2搬送路51内の第1位置Gに到達すると、再搬送ローラ対7の電磁クラッチ78cが駆動力を遮断する。ここでは、第1再搬送ユニット71a、第2再搬送ユニット71bの両方で電磁クラッチ78cが駆動を遮断する。駆動力が遮断されると、トルクリミッタ78dにより再搬送ローラ対7が停止し、第1シートS1が第1位置Gで待機する状態となる。このとき、第1シートS1の後端部は、図1に示すように、第1シートS1のコシ(平面に戻ろうとする力)により、後端退避部51aに退避する。
【0051】
再搬送ローラ対7が第1シートS1を挟持した状態で停止した後、第2シートS2が反転搬送ローラ対6により、第2搬送路51に搬送される。このとき、第2シートS2は、第1シートS1と重なり合うように第2搬送路51を搬送するが、第1シートS1の後端部が後端退避部51aに退避しているため、第1シートS1と衝突することなく互いに重なり合うように搬送される。
【0052】
図5(b)に示すように、第2シートS2の先端が再搬送ローラ対7に到達すると、電磁クラッチ78cが作動して再搬送ローラ対7が回転を開始する。つまり、第1再搬送ユニット71a、第1再搬送ユニット71bの両方の電磁クラッチ78cが作動して第1再搬送ローラ7a及び第2再搬送ローラ7bの両方に回動駆動力が伝達される。再搬送ローラ対7が回転すると、第2シートS2が再搬送ローラ対7に進入し、第1シートS1と第2シートS2は、互いに重なった状態で再搬送ローラ対7に挟持される。ここで、再搬送ローラ対7に挟持された後、回転コロ6bが反転搬送ローラ6aから離間する。
【0053】
図6(a)に示すように、第1シートS1の先端が第2位置Hに到達すると、第1シートS1と当接する第1再搬送ローラ7aを有する第1再搬送ユニット71aの電磁クラッチ78cの接続が遮断され、第1シートS1が第2位置Hで停止する。一方、第2再搬送ローラ7bに駆動を伝達する第1再搬送ユニット71bの電磁クラッチ78cは駆動を伝達する状態にしたままである。よって、第2シートS2と当接する第2再搬送ローラ7bを有する第2再搬送ユニット71bは、第2シートS2を搬送する。停止した第1シートS1と重なった状態で第2シートS2が第2再搬送ローラ7bによって搬送されているときに第2シートの後端側は、離間した回転コロ6bと反転搬送ローラ6aとの間に位置している。そして、回転コロ6bと反転搬送ローラ6aとの間(隙間)で、第3シートS3の先端側とすれ違う。即ち、第2シートS2が第2再搬送ローラ7bによって搬送されているとき、第2シートS2に続く第3シートS3は、反転搬送ローラ対6に到達する。ここで、反転搬送ローラ6aと回転コロ6bとの間に隙間において、反転搬送ローラ対6に到達した第3シートS3は、第2シートS2とすれ違うようにして、排紙トレイ22の方向へ搬送される。
【0054】
次いで、図6(b)に示すように、第2シートS2が第3位置Fに到達すると、第2再搬送ユニット71bの電磁クラッチ78cの接続が遮断され、第2シートS2が第3位置Fで停止する。
【0055】
第2シートS2に続いて給送された第3シートS3の後端部の通過を第1センサ54が検知すると、図7(a)に示すように、第1再搬送ユニット71aの電磁クラッチ78cが作動(接続)し、第1再搬送ローラ7aが回転する。第1再搬送ローラ7aが回転すると、第1再搬送ローラと当接する第1シートS1が画像形成部4に向かって搬送され、第2面の画像形成が行われる。このとき、第2再搬送ローラ7bと当接する第2シートS2は、第1シートS1に連れ動かされることなく、停止した状態で待機している。
【0056】
図7(b)に示すように、第1シートS1の後端部が再搬送ローラ対7を抜けると、第2再搬送ユニット71bの電磁クラッチ78cが作動(接続)し、第2シートS2が再び搬送される。第2シートS2の先端が第1位置Gに到達すると、第2再搬送ユニット71bの電磁クラッチ78cが遮断され、第2シートS2が第1位置Gで停止する。
【0057】
第1搬送路50に再搬送された第1シートS1は、画像形成部4で第2面への画像形成が終了すると、切替部材53により第1搬送路50からシート排紙路52にシートSの搬送方向を切り替えられ、排紙トレイ22に搬送される。
【0058】
片面の印刷が終了した第3シートS3は、反転搬送ローラ対6で反転された後、上述と同様の動作により第2シートS2を挟持する再搬送ローラ対7に挟持される。そして、第3シートS3の進入に際し、第2シートS2は、第3位置Fに移動する。第1シートS1の第2面印刷の終了に伴い、給紙カセット21から給紙される第4シートの片面印刷が開始されると、第2シートS2は、第2位置Hに移動して待機する。同様に第3シートS3は、第1位置Gに移動して待機する。
【0059】
このようにして、レーザビームプリンタ1は、第1シートS1の片面、第2シートS2の片面、第3シートS3の片面、第1シートS1の第2面、第4シートの片面、第2シートS2の第2面、・・・のようにまず3枚の片面印刷を行う。その後、片面印刷の終了したシートの再搬送と、未印刷シートの給紙とを交互に繰り返す。これにより、片面印刷と同様の印刷間隔で両面印刷が可能になる。
【0060】
以上のような構成を有する本実施形態に係るレーザビームプリンタ1によれば、以下のような効果を奏する。第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1は、シート搬送部5の再搬送ローラ対7が第1シートS1及び第2シートS2を同時に挟持可能に構成されている。また、第1再搬送ローラ7a及び第2再搬送ローラ7bは、それぞれが独立に回転可能に構成されている。更に、第1再搬送ローラ7a及び第2再搬送ローラ7bは、挟持する第1シートS1及び第2シートS2同士の摩擦係数よりも高い摩擦係数を有するように形成されている。
【0061】
そのため、例えば、再搬送ローラ対7に第1及び第2シートS1、S2を挟持させた場合に、第1及び第2再搬送ローラ7a、7bの一方又は両方を回転させることにより、第1及び第2シートS1、S2の一方又は両方を選択的に搬送することができる。また、第1及び第2再搬送ローラ7a、7bの一方又は両方の回転を停止させることにより、第1及び第2シートS1、S2の一方又は両方の搬送を選択的に停止させることができる。これにより、第1シートS1及び第2シートS2を互いに重ねた状態で待機させることが可能となり、印刷間隔の短縮化を図ることができる。その結果、簡単な構成で、両面印刷における生産性の向上が可能なシート搬送部5を備えるレーザビームプリンタ1を提供することができる。
【0062】
また、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1は、第2搬送路51の搬送方向における上流側に先行する第1シートS1の後端部を退避可能な後端退避部51aを備える。そのため、第2搬送路51に第1シートS1を待機させた状態で後続の第2シートS2を第2搬送路51に進入させた場合においても、第2シートS2の先端が第1シートS1の後端に接触することを抑制することができる。これにより、第2シートS2を第2搬送路51に容易に進入させることができる。その結果、第2シートS2を第1シートS1と重ねた状態で第2搬送路51に配置させることができる。
【0063】
また、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1は、第2搬送路51に第1シートS1の先端を配置させる複数の待機位置を備える。また、第1シートS1及び第2シートS2は重なった状態で待機する。このように、待機位置を段階的に複数設けることにより、再搬送される場合の位置(第2位置H)をシートの大きさに係ることなく一定にすることができる。そのため、例えば、一番大きなシートに合わせて予め設定される待機位置を設ける必要がなくなり、第1シートS1と第2シートS2との間に生じ得る無用な印刷間隔を抑制することができる。
【0064】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るレーザビームプリンタ1Aについて、図8から図10(b)を参照しながら説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係るレーザビームプリンタ1Aの全体構造を模式的に示す断面図である。図9は、第2実施形態に係る反転搬送ローラ対6Aの斜視図である。図10(a)は第1駆動ギア64aが第1切換ユニット63aにより入力ギア62と逆方向に回転する状態を示す図であり、図10(b)は第1駆動ギア64aが第1切換ユニット63aにより入力ギア62と同方向に回転する状態を示す図である。
【0065】
第2実施形態に係るレーザビームプリンタ1Aは、シート搬送部における反転搬送ローラ対が第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1と相違する。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と異なる点、すなわち、シート搬送部5Aの反転搬送ローラ対6Aを中心に説明する。
【0066】
なお、第2実施形態において、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1と同様の構成のものについては、同じ符号を付してその説明を省略する。また、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成のものについては、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0067】
まず、第2実施形態に係るレーザビームプリンタ1Aの全体構造について、図8を参照しながら説明する。図8に示すように、第2実施形態に係るレーザビームプリンタ1Aは、プリンタ本体2と、シート給送部3と、画像形成部4と、シート搬送装置としてのシート搬送部5Aと、シート搬送制御部8Aと、を備える。
【0068】
シート搬送部5Aは、第1搬送路50と、第2搬送路51と、第1センサ54と、第2センサ55と、第3センサ56と、搬送ローラ対57と、反転搬送ローラ対6Aと、再搬送ローラ対7と、を備える。
【0069】
図9に示すように、反転搬送ローラ対6Aは、入力ギア62と、第1反転搬送ユニット61aと、第2反転搬送ユニット61bと、を備える。入力ギア62は、不図示の動力源からの駆動力を第1反転搬送ユニット61a及び第2反転搬送ユニット61bに伝達する。第1反転搬送ユニット61aは、第1切換ユニット63aと、第1駆動ギア64aと、第1ローラ回転軸65aと、第1反転搬送ローラ60aと、を備える。第1切換ユニット63aは、入力ギア62及び第1駆動ギア64aと噛合しており、入力ギア62からの駆動力を第1駆動ギア64aに伝達する。
【0070】
また、第1切換ユニット63aは、入力ギア62と噛合する第1ギア67aと、第1ギア67aと噛合する第2ギア68aと、第2ギア68aと噛合する第3ギア69aとを備える。第1切換ユニット63aは、不図示の回転部により第1ギア67aを中心に回動するように構成されており、第2ギア68a又は第3ギア69aが第1駆動ギア64aに噛合するように構成されている。
【0071】
例えば、図10(a)に示すように、第2ギア68aと第1駆動ギア64aとを噛合させることにより、第1駆動ギア64aは、入力ギア62と反対の方向に回転する。また、例えば、図10(b)に示すように、第1切換ユニット63aを回転させて、第3ギア69aと第1駆動ギア64aとを噛合させることにより、第1駆動ギア64aは、入力ギア62と同じ方向に回転する。つまり、第1切換ユニット63aを回転させることにより、第1駆動ギア64aの回転方向を独立に設定できる。
【0072】
第1駆動ギア64aは、第1ローラ回転軸65aの先端に取り付けられている。第1駆動ギア64aは、第1切換ユニット63aから伝達される駆動力で第1ローラ回転軸65aを回転させる。
【0073】
第1反転搬送ローラ60aは、第1ローラ回転軸65aに固定されており、第1ローラ回転軸65aが回転することにより回転する。また、第1反転搬送ローラ60aは、搬送又は反転するシートS同士の摩擦力よりも、第1反転搬送ローラ60aとシートSとの摩擦力のほうが大きい摩擦係数を有する。
【0074】
第2反転搬送ユニット61bは、第1反転搬送ユニット61aと構成が同じため、第1反転搬送ユニット61aの説明における「第1」を「第2」に置き換えて援用し、ここではその説明を省略する。
【0075】
なお、第1反転搬送ユニット61aは、加圧ばね66により、第2反転搬送ユニット61bに押圧されており、第1反転搬送ローラ60aは、第2反転搬送ユニット61bの第2反転搬送ローラ60bに押圧されている。
【0076】
次に、第2実施形態に係るレーザビームプリンタ1Aの両面印刷開始時におけるシートSの搬送動作について、図8に加え、図11(a)から図12(b)を参照しながら説明する。
【0077】
図11(a)は、反転搬送ローラ対6Aを正回転させて第1シートS1を搬送する状態を示す図である。図11(b)は、反転搬送ローラ対6Aを逆回転させて第1シートS1を反転させる状態を示す図である。図12(a)は、反転搬送ローラ対6Aを正回転させて第1シートS1及び第2シートS2を搬送する状態を示す図である。図12(b)は、反転搬送ローラ対6Aの第1反転搬送ローラ60aを逆回転して第1シートS1を反転させると共に、第2反転搬送ローラ60bを正回転させて第2シートS2を搬送する状態を示す図である。
【0078】
なお、第2実施形態においては、第1シートS1等の先端が反転搬送ローラ対6Aに到達するまで及び第1シートS1等が反転搬送ローラ対6Aにより反転された後は、第1実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。第2実施形態においては、第2シートS2が反転搬送ローラ対6Aにより排紙トレイ22側に搬送された後、反転して第2搬送路51に搬送されるまでの動作について説明する。また、以下において、「正回転」とは、シートSを排紙トレイ22側に搬送するための回転方向をいい、「逆回転」とは、シートSを反転して第2搬送路51に搬送させるための回転方向をいうものとする。
【0079】
第1シートS1の先端が反転搬送ローラ対6Aに到達すると、反転搬送ローラ対6Aは、第1反転搬送ローラ60a及び第2反転搬送ローラ60bを正回転させる。つまり、図11(a)に示すように、反転搬送ローラ対6Aは、第1切換ユニット63aの第3ギア69aと第1駆動ギア64aとを噛合させ、第2切換ユニット63bの第2ギア68bと第2駆動ギア64bとを噛合させる。これにより、反転搬送ローラ対6Aは正回転し、第1シートS1が第1反転搬送ローラ60aと第2反転搬送ローラ60bとの間に進入し、第1シートS1が第1搬送路50の下流側で二股に分かれた一方側(排紙トレイ22側)に搬送される。
【0080】
反転搬送ローラ対6Aにより搬送された第1シートS1の後端部が第2センサ55を通過した後、所定時間が経過すると、第1シートS1の後端は第1搬送路50の分岐点Eを通過する。所定時間の経過により第1シートS1が分岐点Eを通過すると、反転搬送ローラ対6Aは、逆回転を開始する。つまり、図11(b)に示すように、反転搬送ローラ対6Aは、第1切換ユニット63aの第2ギア68aと第1駆動ギア64aとを噛合させ、第2切換ユニット63bの第3ギア69bと第2駆動ギア64bとを噛合させる。これにより、反転搬送ローラ対6Aは、逆回転し、第1シートS1は、第2搬送路51に搬送される。
【0081】
次に、第1搬送路50を搬送中の第2シートS2の先端が第2センサ55を通過すると、反転搬送ローラ対6Aは、図12(a)に示すように、再び正回転を開始する。これにより、反転した状態で搬送されていた第1シートS1は、再び排紙トレイ22側に搬送される。このとき、反転搬送ローラ対6Aは、図8に示すように、第1シートS1と共に第2シートS2を挟持する(受け入れる)。
【0082】
第2シートS2が第1シートS1と共に反転搬送ローラ対6Aに挟持された後、反転搬送ローラ対6Aは、図12(b)に示すように、第1反転搬送ローラ60aを逆回転させ、第2反転搬送ローラ60bを正回転させる。具体的には、第1切換ユニット63aの第2ギア68aと第1駆動ギア64aとを噛合させて第1シートS1を第2搬送路51に搬送する。また、第2切換ユニット63bの第2ギア68bと第2駆動ギア64bとを噛合させて第2シートS2を排紙トレイ22側に搬送する。このように動作させることにより、第1シートS1と第2シートS2は、重なり合った状態においても、互いに異なる方向にすれ違うように搬送可能となる。
【0083】
以上のような構成を有する第2実施形態に係るレーザビームプリンタ1Aによれば、第1実施形態において同様の構成により生じる効果に加え、以下のような効果を奏する。第2実施形態に係るレーザビームプリンタ1Aは、独立に回転方向を変更可能な第1反転搬送ローラ60a及び第2反転搬送ローラ60bを有する反転搬送ローラ対6Aを備える。そのため、反転搬送ローラ対6AでシートSの排紙トレイ22への排紙操作が可能となる。これにより、両面印刷済みのシートを排紙するシート排紙路52や切替部材53等を設ける必要がなくなる。その結果、製造コストを削減することが可能になる。また、レーザビームプリンタ1Aの低背化が可能となる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【符号の説明】
【0085】
1 レーザビームプリンタ(画像形成装置)
2 プリンタ本体
3 シート給送部(シート給送装置)
4 画像形成部
5 シート搬送部
6,6A 反転搬送ローラ対
7 再搬送ローラ対
7a 第1再搬送ローラ対(第1ローラ)
7b 第2再搬送ローラ対(第2ローラ)
8,8A シート搬送制御部(制御部)
50 第1搬送路
51 第2搬送路
S シート
S1 第1シート(1枚目のシート)
S2 第2シート(2枚目のシート)
S3 第3シート(3枚目のシート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する第1搬送路と、
前記第1搬送路から搬送されたシートを前記第1搬送路に再搬送する第2搬送路と、
正回転により前記第1搬送路からのシートの搬送を行い、逆回転により該シートを前記第2搬送路に搬送する反転搬送ローラ対と、
前記第2搬送路に設けられ、前記反転搬送ローラ対の逆回転によって搬送されたシートを前記第1搬送路へ再搬送する再搬送ローラ対と、
先行シートと該先行シートに続いて前記反転搬送ローラ対によって搬送された後続シートとを前記再搬送ローラ対に重ねて挟持させた後、前記後続シートを前記第2搬送路に留めたまま前記先行シートを前記第1搬送路へ搬送させるように、前記再搬送ローラ対のうちの前記後続シートと接するローラを停止させながら前記再搬送ローラ対のうちの前記先行シートと接するローラを回転させる制御部と、を備えた、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記再搬送ローラ対が先行シートだけを挟持した状態で前記再搬送ローラ対の回転を停止させた後、前記後続シートを、前記先行シートと重なるように前記再搬送ローラ対に挟持させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記再搬送ローラ対が前記先行シートと前記後続シートの2枚のシートを挟持した状態で、前記後続シートを搬送させるために前記再搬送ローラ対のうちの前記先行シートと接する第1ローラの回転を停止させながら前記再搬送ローラ対のうちの前記後続シートと接する第2ローラを回転させ、その後、前記先行シートを前記第1搬送路へ搬送させるために前記第2ローラの回転を停止させながら前記第1ローラを回転させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記再搬送ローラ対が前記先行シート及び前記後続シートの2枚のシートを挟持した状態で、前記先行シート及び前記後続シートを同時に搬送させるために前記第1ローラ及び前記第2ローラの両方を回転させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記先行シートと前記後続シートとを重ねて前記再搬送ローラ対が挟持した状態で、前記後続シートに続いて搬送される別のシートが前記第1搬送路を搬送される、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
停止した前記先行シートと重なった状態で前記再搬送ローラ対によって搬送されている前記後続シートの後端側と、前記第1搬送路を搬送されている前記別のシートの先端側とが前記反転搬送ローラ対において擦れ違う、
ことを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記第2搬送路における前記反転搬送ローラ対と前記再搬送ローラ対との間に設けられ、前記再搬送ローラ対がシートを挟持した状態で停止した場合に、該シートの後端部を退避可能な後端退避部を有する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
該シート搬送装置から送り出されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−101943(P2012−101943A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224813(P2011−224813)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】