説明

シート材搬送装置、画像読取装置および画像形成装置

【課題】複数枚のシート材を収容するシート材収容部から一枚ずつ搬送目的位置まで搬送するときに、従来よりも紙間を狭めることができるシート材搬送装置、並びに、これを備えた画像読取装置、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】ピックアップローラ80によって原稿MSを給紙するADF51で、給紙ローラ84とリバースローラ85との当接部である分離ニップと原稿先端セット位置Jとの間に配置された原稿先端検知センサ140が所定のタイミングまでに次原稿先端βの通過を検知しなかった場合は、前原稿後端αが分離ニップを通過する前にピックアップローラ80が次原稿MS2を搬送し始め、この場合に、次原稿先端βが分離ニップに到達する前に前原稿後端αが分離ニップを通過するように、ピックアップローラ80の搬送速度(V2)、及び、プルアウトローラ対86の搬送速度(V1)が設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のシート材を収容するシート材収容部からシート材を一枚ずつ分離して搬送するシート材搬送装置、並びにこのシート材搬送装置を備えた画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機の画像読取部やスキャナとして用いられる画像読取装置としては、シート状の原稿を所定の速度で搬送しながら、装置に固定された画像読取手段によって原稿画像を読み取る、所謂、シートスルー方式で画像を読み取ることができるものがある。シートスルー方式の画像読取装置は、原稿を搬送しながら画像を読み取る機構のため、いったん原稿を止めて露光するタイプ(ブックタイプ)に比べて生産性を高くすることができることが特徴のひとつである。
シートスルー方式の画像読取装置は、複数枚の原稿を重ねて載置するシート材収容部としての原稿台から画像読取手段によって原稿画像を読み取る読取位置まで原稿を一枚ずつ搬送するシート材搬送装置としての原稿自動搬送装置を備えている。原稿自動搬送装置は、連続して原稿を読み取るときに、連続して搬送される二枚の原稿(以下、前原稿及び次原稿と呼ぶ)の少なくとも一部が重なって搬送される重送を防止する必要がある。
【0003】
従来の画像読取装置としては、原稿を読取位置まで搬送する原稿搬送部と、原稿台上に載置された複数枚の原稿のうちの一枚を呼び出して原稿搬送部に向けて送り出す原稿呼出部材としてのピックアップローラとを備えたものがある。このピックアップローラは、原稿台上の搬送方向の所定の位置で原稿台上に載置された複数枚の原稿の一番上にある一枚の原稿の上面に接触して回転駆動することにより、上記一枚の原稿に対して原稿搬送部に向かう搬送力を付与する。このような原稿自動搬送装置では、ピックアップローラに搬送力が付与された前原稿と重なって、前原稿とともに原稿搬送部に向かおうとする次原稿を前原稿から分離し、前原稿のみを原稿搬送部に向けて搬送する分離部を備える。この分離部が原稿を一枚ずつ原稿搬送部に向けて搬送することにより、重送を防止している。
【0004】
作業の効率化が求められている今日、原稿自動搬送装置における生産性の向上、すなわち、原稿読取速度の高速化の要望はますます強くなっている。
原稿自動搬送装置において、一定以上の生産性を確保するためには、連続して搬送される前原稿と次原稿との間隔(以下、紙間とよぶ)を一定範囲内に制御することが必要である。そのため、前原稿の後端が所定箇所を通過したことを検知する後端検知センサの検知信号を参照して次原稿の給紙タイミングを制御する技術が既に知られている。
【0005】
原稿台と分離部との間には、前原稿の給紙の際に、前原稿の搬送に引きずられて、原稿台よりも分離部側に移動した次原稿が存在する場合がある。このような場合に、前原稿の後端が分離部を通過する前に、ピックアップローラによる次原稿に対する搬送力の付与を開始すると、次のような不具合が生じる。すなわち、分離部で搬送方向に向かうことが阻止されている次原稿に対してピックアップローラが搬送力を付与すると、ピックアップローラと分離部との間で次原稿に撓みが生じ、紙詰まりが生じたり、原稿が折り曲げられて痛んだりする可能性がある。
【0006】
このため従来は、前原稿の後端側と次原稿の先端側とが確実に重ならないような、分離部から搬送方向下流側に所定距離だけ離した位置に後端検知センサを配置しなければならなかった。分離部から搬送方向下流側に所定距離だけ後端検知センサの位置を離すと、離した分だけ次原稿の給紙タイミングが遅れてしまい高生産性を確保するための妨げになるという問題があった。
【0007】
生産性の向上を図るためには、できるだけ早いタイミングで前原稿の後端の通過を検知できる位置に後端検知センサを配置することが考えられる。従来よりも早いタイミングで前原稿の後端が通過する位置としては分離部よりも上流側がある。分離部よりも上流側で前原稿の後端の通過を検知できる構成として、特許文献1や特許文献2には、ピックアップローラが原稿に接触する位置よりも上流側に後端検知センサを設けた構成が記載されている。
【0008】
この構成では、後端検知センサの検知位置から分離部までの距離と、原稿の搬送速度とに基づいて、前原稿の後端が検知位置を通過してから分離部を通過するまでに要する所定時間を算出する。そして、後端検知センサが前原稿の後端の通過を検知してから算出した所定時間以上経過した後に、ピックアップローラによる次原稿に対する搬送力の付与を開始する。このような構成では、前原稿の後端が分離部を通過するタイミングに合わせてピックアップローラによる搬送力の付与が開始されるように、予めピックアップローラの立ち上げ動作を開始することができる。これにより、分離部の下流側に後端検知センサを配置する構成に比べて、立ち上げ動作に要する時間分、次原稿の給紙タイミングを早めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の構成では、次原稿が前原稿に引きずられず、原稿台と分離部との間に次原稿が存在しない場合であっても、前原稿の後端が分離部を通過した後に、ピックアップローラによる次原稿に対する搬送力の付与を開始する。この場合、原稿台における原稿束の先端が位置する原稿先端セット位置から分離部までの距離以上に紙間が開いてしまう。このため、さらなる生産性の向上のためには、次原稿が前原稿に引きずられなかった場合の紙間を狭めることが求められる。
【0010】
また、連続して搬送されるシート材の紙間を狭めることで生産性を高める要望は、原稿自動搬送装置に限るものではない。複数枚のシート材を収容するシート材収容部から一枚ずつ搬送目的位置まで搬送するシート材搬送装置であれば、できるだけ紙間を狭めることで生産性を高めることが求められる。
【0011】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、複数枚のシート材を収容するシート材収容部から一枚ずつ搬送目的位置まで搬送するときに、従来よりも紙間を狭めることができるシート材搬送装置、並びに、これを備えた画像読取装置、及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数枚のシート材を重ねて収容するシート材収容部と、シート材を所定の搬送目的位置まで搬送するシート材搬送部と、該シート材収容部の複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材に該シート材搬送部側に向かう搬送力を付与して複数枚のシート材から一枚のシート材を呼び出すシート材呼出手段と、該シート材呼出手段に搬送力が付与された一枚のシート材と重なって該シート材搬送部に向かおうとする他のシート材に搬送方向とは逆方向の搬送力、または、停止させる力を作用させることで、該他のシート材を該一枚のシート材から分離し、該一枚のシート材のみを該シート材搬送部に向かって搬送する分離搬送手段と、該シート材呼出手段がシート材に搬送力を付与する呼び出し位置に対して搬送方向下流側で該一枚のシート材に搬送方向の搬送力を付与する呼出後シート搬送手段と、該呼び出し位置に対して搬送方向上流側で、且つ、該分離搬送手段の分離作用が働く領域である分離部までの距離がシート材の搬送方向の長さよりも短い位置である後端検知位置におけるシート材の後端の通過を検知する後端検知手段と、を有し、該呼出後シート搬送手段が該一枚のシート材に搬送力を付与し始めたタイミング以後、且つ、該一枚のシート材の後端が該後端検知位置を通過する前に、該シート材呼び出し手段による搬送力の付与を停止するシート材搬送装置において、上記シート材収容部に収容された複数枚の上記シート材の搬送方向下流側の端部が位置する収容シート材先端位置よりも搬送方向下流側、且つ、上記分離部よりも搬送方向上流側の先端検知位置におけるシート材の先端の通過を検知する先端検知手段と、該先端検知手段の検知結果に基づいて、上記後端検知位置を上記一枚のシート材の後端が通過した以後の所定のタイミングまでに該先端検知位置を上記他のシート材の先端が通過していないことを検出した場合は、該後端検知位置を通過した該一枚のシート材の後端が上記呼び出し位置を通過した後、且つ、該一枚のシート材の後端が該分離部を通過する前の呼出再開タイミングで上記シート材呼出手段が搬送力の付与を再開するように制御する制御手段とを備え、該呼出再開タイミングから該シート材呼出手段によって搬送される該他のシート材の先端が該分離部に到達する前に、上記呼出後シート搬送手段によって搬送される該一枚のシート材の後端が該分離部を通過するように、該シート材呼出手段の搬送速度、及び、呼出後シート搬送手段の搬送速度が設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のシート材搬送装置において、上記シート材呼出手段は、複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材の表面に接触して搬送力を付与する呼出部材を備え、該シート材呼び出し手段による搬送力の付与を停止するときには、該呼出部材を複数枚のシート材の表面から離間させ、上記後端検知位置を上記一枚のシート材の後端が通過した後、且つ、シート材呼出手段が搬送力の付与を再開する前に、該呼出部材を該複数枚のシート材の表面に接触させることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2のシート材搬送装置において、上記シート材呼出手段によって搬送されるシート材の搬送速度は、上記呼出後シート搬送手段によって搬送されるシート材の搬送速度よりも遅いことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、上記呼出再開タイミング以後、上記先端検知手段が上記先端検知位置における上記他のシート材の先端の通過を検知すると、該シート材呼出手段によるシート材の搬送速度を、搬送力の付与を再開したときよりも遅い速度となるように該シート材呼出手段を減速制御することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、上記先端検知手段は上記先端検知位置におけるシート材の搬送速度を検知し、その搬送速度の変化に基づいて該先端検知位置におけるシート材の先端の通過を検知することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5のシート材搬送装置において、上記先端検知手段は、上記先端検知位置におけるシート材に接触し、シート材の動きに合わせて回転する回転体と、該回転体の回転速度を検知する回転検知センサとを備え、該回転体の回転速度を検知することにより該先端検知位置におけるシート材の動きを検知する構成であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、シート材としての原稿用紙を搬送する原稿搬送手段と、該原稿搬送手段によって搬送される原稿用紙の原稿画像を読み取る読取手段とを備えた画像読取装置において、上記原稿搬送手段として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート材搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、画像読取手段と、該画像読取手段で読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、該画像読取手段として、請求項7の画像読取装置を備えることを特徴とするものである。
【0013】
従来のシート材搬送装置では、一枚のシート材の後端が分離部を通過した後に、シート材呼出手段が搬送力の付与を再開し、他のシート材の搬送を開始するように制御している。これは、一枚のシート材を搬送する際に他のシート材が引きずられ、一枚のシート材の後端が分離部を通過する前に分離部に到達して分離部で搬送方向に向かうことが阻止されている他のシート材に対して搬送力が付与されることを防止するためである。
しかし、一枚のシート材を搬送する際に他のシート材が引きずられなかった場合、一枚のシート材に対するシート材呼出手段の搬送力の付与を停止したときの、他のシート材の先端位置は収容シート材先端位置となる。このとき、一枚のシート材の後端が分離部を通過した後に、シート材呼出手段が搬送力の付与を再開するように制御すると、収容シート材先端位置から分離部までの距離以上に紙間が開いてしまう。
【0014】
本発明においては、収容シート材先端位置と分離部との間である先端検知位置におけるシート材の先端の通過を検知する先端検知手段の検知結果に基づいて、所定のタイミングまでに他のシート材の先端が先端検知位置を通過していないことを検出した場合は、一枚のシート材の後端が分離部を通過する前に、シート材呼出手段が搬送力の付与を再開し、他のシート材の搬送を開始するように制御する。
本発明のように、所定のタイミングまでに先端検知位置を他のシート材の先端が通過していないことを検出することにより、先端検知位置から分離部までの距離とシート材呼出手段によるシート材の搬送速度とに基づいて、所定のタイミングで先端検知位置よりも上流側にある他のシート材の先端が分離部に到達する最も早いタイミングが分かる。そして、本発明においては、このタイミングよりも前に、一枚のシート材の後端が分離部を通過するように、シート材呼出手段の搬送速度、及び、呼出後シート搬送手段の搬送速度を設定している。
このような設定により、他のシート材の先端が分離部に到達する前に、一枚のシート材の後端が分離部を通過するため、一枚のシート材の後端側と他のシート材の先端側とが分離部で重なり、この分離部で搬送方向に向かうことが阻止されることがない。よって、一枚のシート材の後端が分離部を通過する前に他のシート材に対する搬送を開始しても、分離部で搬送方向に向かうことが阻止されている他のシート材に対して搬送力が付与される状態となることを防止することが可能となる。
【0015】
また、上述した従来のシート材搬送装置では、一枚のシート材を搬送する際に他のシート材が引きずられなかった場合は、収容シート材先端位置から分離部までの距離以上に紙間が開いていた。これに対して、本発明においては、一枚のシート材を搬送する際に他のシート材が引きずられなかった場合は、他のシート材の先端は先端検知位置よりも搬送方向上流側の収容シート材先端位置にあるため、制御手段は、先端検知手段の検知結果に基づいて、上記所定のタイミングまでに他のシート材の先端が先端検知位置を通過していないことを検出する。よって、一枚のシート材を搬送する際に他のシート材が引きずられなかった場合には、一枚のシート材の後端が分離部を通過する前にシート材呼出手段による他のシート材に対する搬送を開始し、一枚のシート材の後端が分離部を通過するときには、他のシート材の先端は収容シート材先端位置よりも分離部に近い位置となる。このため、紙間は、収容シート材先端位置から分離部までの距離未満となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一枚のシート材を搬送する際に他のシート材が引きずられなかった場合は、紙間が収容シート材先端位置から分離部までの距離未満となり、従来のシート材搬送装置よりも紙間を狭めることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態のADFをスキャナの上部とともに示す概略構成図。
【図2】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図3】同複写機における画像形成部の一部を拡大して示す部分構成図。
【図4】同画像形成部における4つのプロセスユニットからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図。
【図5】同複写機のスキャナ及びADFを示す斜視図。
【図6】ADF全体の制御ブロック図。
【図7】固定画像読取部の制御部ブロック図。
【図8】従来のADFにおけるのタイミングチャート、(a)は、前原稿後端位置と次原稿先端位置とを時系列で示したタイミングチャート、(b)は、ピックアップローラの制御のタイミングチャート。
【図9】従来例のADFの原稿セット部の搬送方向下流側端部近傍、分離搬送部及びレジスト部の拡大説明図、(a)はT1の説明図、(b)はT2の説明図、(c)はT3の説明図、(d)はT4の説明図。
【図10】従来例のADFで、ピックアップローラの下降と同時に次原稿の給紙を開始した場合に生じ得る不具合の説明図。(a)は、
【図11】本実施形態のADFのコントローラが実行する給紙制御のフローチャート。
【図12】本実施形態のADFにおける条件1の場合のタイミングチャート、(a)は、前原稿後端位置と次原稿先端位置とを時系列で示したタイミングチャート、(b)は、ピックアップローラの制御のタイミングチャート。
【図13】図12中のタイミングT1での分離部近傍の拡大説明図。
【図14】図12中のタイミングT2での分離部近傍の拡大説明図。
【図15】図12中のタイミングT3での分離部近傍の拡大説明図。
【図16】図12中のタイミングT4での分離部近傍の拡大説明図。
【図17】図12中のタイミングT5での分離部近傍の拡大説明図。
【図18】図12中のタイミングT6での分離部近傍の拡大説明図。
【図19】原稿先端検知センサを搬送方向に対して直交する方向から見た説明図。
【図20】原稿先端検知センサを搬送方向上流側から見た説明図。
【図21】原稿先端検知センサのセンサ出力を時系列で示したグラフ。
【図22】原稿先端検知センサの他の例の説明図。
【図23】本実施形態のADFにおける条件2の場合のタイミングチャート、(a)は、前原稿後端位置と次原稿先端位置とを時系列で示したタイミングチャート、(b)は、ピックアップローラの制御のタイミングチャート。
【図24】条件2の場合における原稿先端検知センサのセンサ出力を時系列で示したグラフ。
【図25】図23中のタイミングT1’での分離部近傍の拡大説明図。
【図26】図23中のタイミングT2’での分離部近傍の拡大説明図。
【図27】図23中のタイミングT6’での分離部近傍の拡大説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機500という)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機500の基本的な構成について説明する。
図2は、複写機500を示す概略構成図である。複写機500は、画像形成手段としての画像形成部1と、転写紙供給装置40と、画像読取ユニット50とを備えている。画像読取装置としての画像読取ユニット50は、画像形成部1の上に固定されたスキャナ150と、これに支持されるシート搬送装置としての原稿自動搬送装置(以下、ADFという)51とを有している。
【0019】
転写紙供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの転写紙給紙カセット42、転写紙給紙カセット42から転写紙Pを送り出す転写紙送出ローラ43、送り出された転写紙Pを分離して転写紙給紙路44に供給する転写紙分離ローラ45等を有している。また、画像形成部1の搬送路としての本体側転写紙給紙路37に、シート状部材としての転写紙Pを搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、転写紙給紙カセット42内の転写紙Pを画像形成部1内の本体側転写紙給紙路37内に給紙する。
【0020】
画像形成部1は、光書込装置2や、黒,イエロー,マゼンタ,シアン(K,Y,M,C)のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、本体側転写紙給紙路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
【0021】
図3は、画像形成部1の内部構成の一部を拡大して示す部分構成図である。また、図4は、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図4においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。
【0022】
プロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体4とその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、複写機500本体の画像形成部1に対して着脱可能になっている。一つのプロセスユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置5、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。複写機500では、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
【0023】
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0024】
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
【0025】
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュ8、これら2本の搬送スクリュ8間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサ10などを有している。
【0026】
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ13は、ドクタブレード14との対向位置から現像スリーブ12の回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれ現像スリーブ12上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ12表面に引き寄せて担持させるとともに、現像スリーブ12表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
【0027】
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、磁気ブラシを形成し、現像スリーブ12に担持され現像領域を通過した二成分現像剤は、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサ10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。現像装置6としては、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
【0028】
ドラムクリーニング装置15としては、弾性体からなるクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュ20上に落下する。回収スクリュ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡された回収トナーを現像装置6に送ってリサイクルする。
【0029】
除電ランプ22は、光照射によって感光体4の表面を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置5によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。複写機500では、帯電装置5として帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いているが、感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
【0030】
先に示した図3において、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
【0031】
4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。転写ユニット24は、複数のローラによって張架した中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと、中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら一次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0032】
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と二次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、二次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ31には図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。
【0033】
この二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。また、レジストローラ対33のレジストニップの入口付近には、図示しないレジストローラセンサが配設されている。転写紙供給装置40からレジストローラ対33に向けて搬送されてくる転写紙Pは、その先端が不図示のレジストローラセンサに検知された所定時間後に転写紙Pの搬送が一時停止し、レジストローラ対33のレジストニップに先端を突き当てる。この結果、転写紙Pの姿勢が修正され、画像形成との同期をとる準備が整う。
【0034】
転写紙Pの先願がレジストニップに突き当たると、レジストローラ対33は、転写紙Pを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングでローラ回転駆動を再開して、転写紙Pを二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙Pに一括二次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
【0035】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト25のおもて面には、二次転写ニップで転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、クリーニング部材が中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置32によって掻き取り除去される。
【0036】
定着装置34に搬送された転写紙Pは、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外の排紙トレイ501へと排出される。
【0037】
先に示した図2において、紙搬送ユニット28および定着装置34の下には、転写紙反転装置であるスイッチバック装置36が配設されている。これにより、両面プリントを行う場合には、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙Pの搬送経路が、切換爪によってスイッチバック装置36側に切り換えられ、そこで転写紙Pは反転されて再び二次転写転写ニップに進入する。そして、転写紙Pのもう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ501上に排紙される。
【0038】
画像形成部1の上に固定されたスキャナ150やこれの上に固定されたADF51からなる画像読取ユニット50は、後述する2つの固定読取部や移動読取部152を有している。移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第二コンタクトガラス155の直下に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第二コンタクトガラス155上に載置された原稿MSの下面で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ150に固定された画像読取センサ153で受光する。
【0039】
一方、画像読取ユニット50は固定読取部として、スキャナ150の内部に配設された第一固定読取部151と、ADF51内に配設された後述する第二固定読取部95とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する第一固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第一コンタクトガラス154の直下に配設されている。そして、ADF51によって搬送される原稿MSが第一コンタクトガラス154上を通過する際に、光源から発した光を原稿MSの第一面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサ153で受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSの第一面を走査する。また、第二固定読取部95は、第一固定読取部151を通過した後の原稿MSの第二面を走査する。
【0040】
スキャナ150の上に配設されたADF51は、本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台53、シート材としての原稿MSを搬送するための原稿搬送部54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55などを保持している。
図5は、画像読取ユニット50の斜視説明図である。図5に示すように、スキャナ150に固定された蝶番159によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第一コンタクトガラス154や第二コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADF51による搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図5に示すように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第二コンタクトガラス155上に載せた後、ADF51を閉じる。そして、スキャナ150の図2に示した移動読取部152によってそのページの画像を読み取らせる。第二コンタクトガラス155の左端には左スケール156が配置されており、原稿を左スケール156の目盛りに合わせて突き当てるように第二コンタクトガラス155上に載せて、画像の読み取りを行う。
【0041】
一方、互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束の場合には、その原稿MSをADF51によって1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ150内の第一固定読取部151やADF51内の第二固定読取部95に順次読み取らせていくことができる。この場合、原稿束を原稿載置台53上にセットした後、操作部108のコピースタートボタン158を押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に原稿搬送部54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後にスキャナ150の第一固定読取部151の真上に通す。このとき、原稿MSの第一面の画像がスキャナ150の第一固定読取部151によって読み取られる。
【0042】
次に、ADF51について説明する。
図1は、ADF51の要部構成をスキャナ150の上部とともに示す拡大構成図である。ADF51は、原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、ターン部D、第一読取搬送部E、第二読取搬送部F、排紙部G、スタック部H等を備えている。本実施形態のADF51の原稿搬送部54は、分離搬送部Bの下流側の突き当てセンサ72による検知位置から、読取入口ローラ対90までの原稿MSが搬送される経路を構成する部分である。
また、ADF51は、装置本体に対してカバー回動中心145aを中心に回動することで、分離搬送部B、レジスト部C及びターン部Dの途中まで給紙経路を開閉する給紙部カバー145を備える。
【0043】
原稿セット部Aは、原稿MSの束が第一面が上方となるようにセットされる原稿載置台53等を有している。分離搬送部Bは、セットされた原稿MSの束から原稿MSを一枚ずつ分離して給送するものである。レジスト部Cは、給送された原稿MSを一次整合する働きと、整合した後の原稿MSを引き出し搬送する働きとを有するものである。ターン部Dは、C字状に湾曲する湾曲搬送部を有しており、この湾曲搬送部内で原稿MSを折り返しながらその上下が反転するようにターンさせて、原稿MSの第一面を下方に向けるものである。第一読取搬送部Eは、第一コンタクトガラス154の上で原稿MSを搬送しながら、第一コンタクトガラス154の下方からスキャナ150の内部に配設されている第一固定読取部151に原稿MSの第一面を読み取らせるものである。第二読取搬送部Fは、第二固定読取部95の下方に配置された第二読取ローラ96によって原稿MSを搬送しながら、原稿MSの第二面を第二固定読取部95に読み取らせるものである。また、排紙部Gは、両面の画像が読み取られた原稿MSをスタック部Hに向けて排出するものである。また、スタック部Hは、読取完了後の原稿MSを原稿スタック台55の上に積載保持するものである。
【0044】
図6は、ADF51全体の制御ブロック図である。ADF51の制御部は、原稿の搬送動作の駆動を行う駆動部である各モータ101〜105、113、114、各種センサ部、固定画像読取部300(第一固定読取部151または第二固定読取部95)、一連の動作を制御するコントローラ100等から構成されている。
【0045】
図7は、固定画像読取部300の制御部ブロック図である。固定画像読取部300は、光源部200、センサチップ201、画像処理部204、フレームメモリ205、出力制御回路206等から構成されている。
【0046】
読取を行う原稿MSの束は、第一面が上向きとなるように載せられた状態で原稿載置台53上にセットされる。原稿載置台53は、原稿MSの先端側を支持し原稿MSの束の厚みに応じて図1中矢印a−b方向に揺動可能な可動原稿テーブル53bと、原稿MSの後端側を支持する固定原稿テーブル53aとから構成される。原稿MSが原稿載置台53にセットされたときに、原稿載置台53上において、その幅方向(原稿MSの搬送方向に直交する方向で、図1の紙面に直交する方向)の両端に対してそれぞれ図示しないサイドガイドが突き当てられることで、幅方向における原稿MSの位置決めがなされる。
このようにして原稿載置台53にセットされる原稿MSは、可動原稿テーブル53bの上方で揺動可能に配設されたレバー部材であるセットフィラー62を押し上げる。これに伴って原稿セットセンサ63が原稿MSのセットを検知して、検知信号をコントローラ100に送信する。そして、この検知信号は、コントローラ100からインターフェイス回路(以下、I/F回路107と呼ぶ)を介して画像読取ユニット50の本体制御部111に送信される。
【0047】
また、固定原稿テーブル53aには、原稿MSの搬送方向の長さを検知する反射型フォトセンサまたは原稿一枚でも検知可能なアクチュエーター・タイプのセンサからなる複数の原稿長さセンサ(57、58a、58b)が配置されている。これらの原稿長さセンサにより、原稿MSの搬送方向の長さの概略が判定される(少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサ配置が必要)。
【0048】
可動原稿テーブル53bの上方にはピックアップローラ80が配置されている。ピックアップローラ80は、分離部としての分離ニップを構成する給紙ローラ84及びリバースローラ85とともに給紙モータ102から駆動が伝達されることによって回転駆動する。
可動原稿テーブル53bは、底板上昇モータ105の駆動により、駆動するカム機構によって図1中矢印a−b方向に揺動する。原稿MSが原稿載置台53にセットされたことをセットフィラー62や原稿セットセンサ63で検知すると、コントローラ100は底板上昇モータ105を正転させて束状の原稿MSの最上面がピックアップローラ80と接触するように可動原稿テーブル53bを上昇させる。
ピックアップローラ80は、ピックアップ昇降モータ101によって駆動するカム機構により、図1中矢印c−d方向に移動可能となっている。また、ピックアップローラ80は、図1中の矢印d方向に下降した状態で、可動原稿テーブル53bが上昇して可動原稿テーブル53b上の原稿MSの上面により押されると、図中矢印c方向に上昇する。これをテーブル上昇センサ59で検知することにより、可動原稿テーブル53bの上限までの上昇が検知される。これにより、ピックアップ昇降モータ101が停止するとともに底板上昇モータ105が停止する。
【0049】
操作部108のコピースタートボタン158が押下されると、本体制御部111からI/F回路107を介してADF51の制御部であるコントローラ100に原稿給紙信号が送信される。これにより、給紙モータ102が正転方向に駆動してピックアップローラ80が回転駆動し、原稿載置台53上の数枚(理想的には1枚)の原稿MSをピックアップする。このときのピックアップローラ80の回転方向は、最上位の原稿MSを分離搬送部Bに向けて搬送する方向である。
【0050】
ピックアップローラ80によって送り出された原稿MSは、分離搬送部Bに進入して、給紙ローラ84との当接位置に送り込まれる。この給紙ローラ84は、給紙モータ102の正転によって給紙方向(図1中時計回り方向)に回転駆動される。
この給紙ローラ84の下部にはリバースローラ85が当接している。このリバースローラ85は、給紙モータ102の正転によって給紙方向とは逆方向(図1中時計回り方向)に回転する駆動が伝達される。給紙ローラ84とリバースローラ85との当接部である分離ニップにおいては、給紙ローラ84の表面が給紙方向に移動する。一方、リバースローラ85の表面は、給紙方向とは逆方向に移動しようとするが、リバースローラ85の駆動伝達部には不図示のトルクリミッタがある。このため、給紙方向に向かう力がトルクリミッタのトルクよりも大きいと、リバースローラ85は給紙方向に表面移動するように図1中の反時計回り方向に回転する。
【0051】
リバースローラ85は、給紙ローラ84に所定の圧力で当接するように、図示を省略した加圧手段によって付勢されている。そして、リバースローラ85は、給紙ローラ84に直接当接している状態、または、原稿MSの1枚だけを介して給紙ローラ84に当接している状態(分離ニップに原稿MSが一枚だけ挟み込まれている状態)では、給紙ローラ84または原稿MSに連れ回り、図1中の反時計周り方向に回転する。これに対して、分離ニップに二枚以上の原稿MSが挟み込まれたときには、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように、トルクリミッタが設定されているため、リバースローラ85は連れ回り方向とは逆方向である、図中時計回りに回転駆動する。これにより、分離搬送部Bに向けて搬送された原稿MSのうち、最上位の原稿MS以外の原稿MSには、リバースローラ85によって給紙方向とは反対方向の移動力が付与されて、数枚の原稿から最上位の原稿MSだけが分離され、重送が防止される。
【0052】
給紙ローラ84とリバースローラ85との作用によって1枚に分離された原稿MSは、レジスト部Cに進入する。そして、この原稿MSは給紙ローラ84によって更に送られ、突き当てセンサ72によって先端が検知され、更に進んで停止しているプルアウトローラ対86に突き当たる。このとき駆動している給紙モータ102は、突き当てセンサ72による先端の検知から所定時間だけ駆動させて、その後停止させる。これにより、原稿MSが突き当てセンサ72による検知位置から所定量定められた距離だけ送られ、結果的には、原稿MSがプルアウトローラ対86に所定量の撓みをもって押し当てられた状態で給紙ローラ84による原稿MSの搬送が停止する。
突き当てセンサ72によって原稿MSの先端が検知されたときに、ピックアップ昇降モータ101を回転させることで、ピックアップローラ80を原稿MSの上面から退避させ原稿MSを給紙ローラ84の搬送力のみで送る。これにより、原稿MSの先端は、プルアウトローラ対86の上下のローラによって形成されるニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0053】
プルアウトローラ対86は、上述したように、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿MSを中間ローラ対66まで搬送するためのローラ対である。また、プルアウトモータ113が駆動することにより、プルアウトローラ対86を構成する2つのローラのうちの一方が回転駆動する。
プルアウトローラ対86の駆動源としては、給紙モータ102としてもよい。このような場合には、給紙モータ102を正転させたときには、ピックアップローラ80、給紙ローラ84及びリバースローラ85に駆動を伝達し、給紙モータ102を逆転させたときには、プルアウトローラ対86に駆動を伝達するように構成する。しかし、本実施形態のように、プルアウトローラ対86を独立した駆動源であるプルアウトモータ113によって駆動することにより、モータの立ち上げ時間および立ち下げ時間を短縮することが可能となり、生産性が向上する。
【0054】
プルアウトローラ対86によって送り出された原稿MSは、原稿幅センサ73の直下を通過する。原稿幅センサ73は、反射型フォトセンサ等からなる紙検知センサを原稿幅方向(図1の紙面に直交する方向)に複数個並べたセンサであり、どの紙検知センサが原稿MSを検知するかに基づいて、原稿MSの幅方向のサイズを検知する。また、原稿MSの搬送方向の長さは、原稿MSの先端が突き当てセンサ72によって検知されてから、原稿MSが突き当てセンサ72によって検知されなくなる(原稿MSの後端が通過する)までのタイミングに基づいてモータパルスから検知する。
【0055】
プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によって搬送される原稿MSは、中間ローラ対66及び読取入口ローラ対90によって搬送されるターン部Dに進入する。
中間ローラ対66はプルアウトローラ対86の駆動源であるプルアウトモータ113と、読取入口ローラ対90の駆動源である読取入口モータ114との両方のモータから駆動が伝達される構成となっている。そして、2つのモータのうち、回転速度が速くなる側のモータの駆動によって中間ローラ対66を構成するローラの回転速度が決まる機構を備えている。
ADF51では、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿MSが搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定しており、原稿MSを第一読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。このとき、中間ローラ対66はプルアウトモータ113を駆動源として回転する。
【0056】
原稿MSの先端が読取入口センサ67により検出されると、プルアウトモータ113の減速を開始する。これと同時に、読取入口モータ114及び読取モータ103を正転駆動する。読取入口モータ114を正転駆動することで読取入口ローラ対90が搬送方向に回転駆動する。また、読取モータ103を正転駆動することで読取出口ローラ対92及び第二読取出口ローラ対93が搬送方向にそれぞれ回転駆動する。
読取入口モータ114の駆動を開始し、プルアウトモータ113を減速することで、プルアウトモータ113から駆動伝達されることによる中間ローラ対66の回転速度よりも、読取入口モータ114から駆動伝達されることによる中間ローラ対66の回転速度の方が速くなると、中間ローラ対66は読取入口モータ114を駆動源として回転駆動する。
これにより、読取入口ローラ対90の上下のローラによって形成されるニップに原稿MSの先端が進入する前に、原稿MSの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度と同速にすることができる。
【0057】
ターン部Dから第一読取搬送部Eに向かう原稿MSの先端をレジストセンサ65で検知すると、コントローラ100は、所定の時間をかけて各モータの駆動を減速することで、原稿MSの搬送速度を所定の搬送距離をかけて減速する。そして、コントローラ100は、第一固定読取部151によって原稿MSの第一面の画像を読み取る第一読取位置400の手前で、原稿MSを一時停止するように制御する。さらに、これと共に、本体制御部111にI/F回路107を介してレジスト停止信号を送信する。
【0058】
続いて、コントローラ100が本体制御部111より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿MSの原稿先端が第一読取位置400に到達するまでに、原稿MSの搬送速度が所定の搬送速度に立ち上がるように、読取入口モータ114及び読取モータ103の駆動を制御する。これにより、原稿MSは搬送速度が増速されつつ、第一読取位置400に向かって搬送される。そして、読取入口モータ114のパルスカウントに基づいて算出された原稿MSの先端が第一読取位置400に到達するタイミングで、コントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第一面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信される。このゲート信号の送信は、原稿MSの後端が第一読取位置400を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第一面が第一固定読取部151によって読み取られる。
また、図1に示すように、左スケール156の上面は左端側の高さが低くなるように傾斜している。これにより、第一読取位置400を通過した原稿MSの先端は、左スケール156の傾斜にすくい上げられ、読取出口ローラ対92のニップに向かう。
【0059】
第一読取搬送部Eを通過した原稿MSは、読取出口ローラ対92のニップを通過した後、その先端が排紙センサ61によって検知され、さらに、その後、第二読取搬送部Fを通過して排紙部Gへと搬送される。
原稿MSの片面(第一面)のみを読み取る場合には、第二固定読取部95による原稿MSの第二面の読取が不要である。そこで、排紙センサ61によって原稿の先端が検知されると、排紙モータ104の正転駆動が開始されて、排紙ローラ対94における図中上側の排紙ローラが図中反時計回り方向に回転駆動される。また、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知されてからの排紙モータ104のパルスカウントに基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップを抜け出るタイミングが演算される。そして、この演算結果に基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ104の駆動速度が減速せしめられて、原稿MSが原稿スタック台55から飛び出さないような速度で排紙されるように制御される。
【0060】
一方、原稿MSの両面(第一面及び第二面)を読み取る場合には、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知された後、第二固定読取部95に到達するまでのタイミングが読取モータ103のパルスカウントに基づいて演算される。そして、そのタイミングでコントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第二面における副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。このゲート信号の送信は、原稿MSの後端が第二固定読取部95による第二読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第二面が第二固定読取部95によって読み取られる。
【0061】
読取手段としての第二固定読取部95は、密着型イメージセンサ(CIS)からなり、原稿MSに付着している糊状の異物が読取面に付着することによる読取縦すじを防止する目的で、読取面にコーティング処理が施されている。また、原稿MSが通過する搬送路を挟んで第二固定読取部95に対向する位置には、原稿MSを非読取面側(第一面側)から支持する原稿支持手段としての第二読取ローラ96が配設されている。この第二読取ローラ96は、第二固定読取部95による第二読取位置での原稿MSの浮きを抑えるとともに、第二固定読取部95におけるシェーディングデータを取得するための基準白部として機能する役割を担っている。
【0062】
また、本実施形態のADF51は、ピックアップローラ80が原稿MSの上面に接触する位置の搬送方向上流側に後端通過検知センサ147を備える。さらに、本実施形態のADF51は、原稿載置台53に積載された原稿MSの先端の位置となる原稿先端セット位置と分離ニップとの間に、原稿先端検知センサ140を備える。
後端通過検知センサ147は、検知位置を原稿MSの後端が通過したことを検知するセンサである。また、原稿先端検知センサ140は、一枚の原稿MSが搬送されているときに、次の原稿MSの先端が検知位置を通過したことを検知するセンサである。
【0063】
ここで、従来のADF51における原稿セット部A及び分離搬送部Bでの前原稿後端の後端通過検知センサ147の検知位置通過から、次原稿の給紙開始のタイミングについて説明する。
図8は、従来のADF51における原稿MSの位置と呼び出し手段(ピックアップローラ80)の制御のタイミングとを時系列で示したタイミングチャートである。図8(a)は、前原稿後端αの位置と次原稿先端βの位置とを時系列で示したタイミングチャートであり、縦軸に搬送方向における位置、横軸に経過時間を示している。また、図8(b)は、呼び出し手段の制御のタイミングチャートであり、横軸の経過時間は図8(a)と同期している。
【0064】
図9は、従来例のADF51における原稿セット部Aの搬送方向下流側端部近傍、分離搬送部B及びレジスト部Cの拡大説明図である。図9の(a)〜(d)は、図8のタイミングチャートにおけるT1〜T4の各タイミングにおけるADF51の状態を示す説明図である。
【0065】
図8において、時間軸(横軸)の原点では前原稿MS1はプルアウトローラ対86の回転駆動により搬送速度V1で搬送されている。
図9(a)は、図8中のT1のタイミングの説明図である。図9(a)に示すタイミングでは、前原稿MS1の先端は突き当てセンサ72による検知位置を通過しているため、ピックアップローラ80は原稿MSの上面から退避している。プルアウトローラ対86により搬送速度V1で搬送されている前原稿MS1の前原稿後端αが後端通過検知センサ147の検知位置を通過したタイミングを示す図である。
タイミングT1では、前原稿後端αが後端通過検知センサ147の検知位置を通過するため、後端通過検知センサ147は前原稿MS1の後端通過を検出する。
【0066】
後端通過検知センサ147としては公知に技術を用いることができる。例えば、特許文献1に記載されたものを用いることができる。特許文献1には、原稿の後端通過を検知する構成として、回動自在に支持されたローラが積載原稿上に当接し、当接したローラは原稿の搬送と同期して回転するよう回転自在に支持された構成が記載されている。この構成では、ローラの芯部分には光透過穴が等角度に設けられた円盤がローラと同期して回転するように勘合されており、この円盤の光透過穴を検知するようにフォトセンサを設ける構成、いわゆるエンコーダーセンサーを使用して、後端の通過を検出することが可能である。
【0067】
図9(b)は、図8中のT2のタイミングの説明図である。
後端通過検知センサ147が前原稿後端αの通過を検知した後端通過信号をトリガとして、所定時間経過後のタイミングT2のときに、ピックアップローラ80が原稿載置台53上の原稿MSの束の最上部に位置する次原稿MS2の上面に当接するように、コントローラ100はピックアップ昇降モータ101を駆動させる。
このときの所定時間とは、搬送速度V1で搬送されている前原稿MS1の前原稿後端αが、ピックアップローラ80が原稿に当接する位置を通過するタイミング以降の時間である。ピックアップローラ80の当接位置を前原稿後端αが通過するタイミングは、後端通過検知センサ147の検知位置からピックアップローラ80の当接位置までの距離と、搬送速度V1とから算出することができる。そして、タイミングT2では、図9(b)に示すように、ピックアップローラ80が次原稿MS2の上面に当接した状態となる。
【0068】
図9(c)は、図8中のT3のタイミングの説明図である。
後端通過検知センサ147が前原稿後端αの通過を検知した後端通過信号をトリガとして、上記T2の後の所定時間経過後のタイミングT3のときに、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送が開始されるように、コントローラ100は給紙モータ102を駆動させる。このときの所定時間とは、搬送速度V1で搬送されている前原稿MS1の前原稿後端αが、分離ニップを確実に通過するタイミング以降の時間である。分離ニップを前原稿後端αが通過するタイミングは、後端通過検知センサ147の検知位置から分離ニップまでの距離と、搬送速度V1とから算出することができる。そして、タイミングT3では、図9(c)に示すように、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送が開始される。
【0069】
給紙モータ102を駆動させることにより、ピックアップローラ80及び給紙ローラ84が回転駆動し、搬送速度V2での次原稿MS2の給紙が開始する。このとき、次原稿MS2の搬送速度V2は、前原稿MS1の搬送速度V1よりも遅い速度である。このときの紙間距離は分離ニップから原稿先端セット位置Jまでの距離以上のL1(図8中の給紙開始時紙間距離L1)となる。
なお、次原稿MS2の給紙開始タイミング(T3)を図9(c)に示すタイミングよりもさらに遅延させれば、次原稿MS2の搬送速度V2を前原稿MS1の搬送速度V1よりも速く設定することは可能である。しかし、後述する本実施形態におけるタイミングとの比較をあきらかにするために、ここで示す従来例では、次原稿の搬送速度V2<前原稿の搬送速度V1を前提とする。
【0070】
図9(d)は、図8中のT4のタイミングの説明図である。タイミングT4は、次原稿が搬送速度V2で搬送され、その先端(次原稿先端β)が分離ニップに到達したタイミングである。このとき、搬送速度V1で搬送されている前原稿MS1の前原稿後端αと次原稿先端βとの距離である紙間距離は、L2a(図8中の分離ニップ通過時紙間距離L2a)となる。
【0071】
次に、図8及び図9を用いて説明した従来のADF51で、次原稿MS2の給紙を開始するタイミングT3が、前原稿後端αが分離ニップを確実に通過するタイミング以降とする理由について説明する。
図10は、従来のADF51の構成で、ピックアップローラ80が次原稿MS2の上面に接触すると同時に、次原稿MS2の給紙を開始する構成とした場合において発生するおそれがある不具合の説明図である。図10(a)は、図9(b)で示すタイミングT2と同様にピックアップローラ80が次原稿MS2の上面に当接したタイミングT2’の説明図である。また、図10(b)は、図9(c)で示すタイミングT3よりも少し早いタイミングで、前原稿後端αが、分離ニップを通過する直前であるタイミングT3’の説明図である。また、図10では、前原稿MS1の給紙搬送によって次原稿MS2が分離ニップに向けて搬送された状態を示している。
【0072】
ADF51では、図10(a)に示すように、前原稿MS1の給紙搬送により次原稿MS2が引きずられて次原稿先端βが分離ニップ近傍に到達する場合がある。この状態において、図9(b)と同様のタイミングでピックアップローラ80を下降させ、ピックアップローラ80が次原稿MS2の上面に接触するタイミングと同時に給紙モータ102の駆動により、搬送速度V2で次原稿MS2の給紙を開始したとする。
このような場合、図10(a)に示すように、ピックアップローラ80の回転駆動によって次原稿MS2は分離ニップに進入しようとする。このとき、前原稿後端αが分離ニップを通過していないため、リバースローラ85が給紙方向とは逆方向に回転駆動し、次原稿MS2は搬送を阻止され、分離ニップから下流に進むことができない。分離ニップで搬送が阻止された状態の次原稿MS2に対して、ピックアップローラ80がさらに搬送力を付与すると、図10(b)に示すように、紙詰まりとなり、原稿が押し曲げられ、痛む可能性がある。
このような理由により、次原稿MS2の給紙を開始するタイミングT3は、前原稿後端αが分離ニップを確実に通過するタイミング以降とする必要がある。
【0073】
このように従来のADF51では、呼び出し位置であるピックアップローラ80の当接位置よりも上流側に配置された後端通過検知センサ147が、前原稿後端αの通過を検知した後端通過信号をトリガとして、所定時間経過後のタイミングT2のときに、ピックアップローラ80が原稿載置台53上の原稿MSの束の最上部に位置する次原稿MS2の上面に当接するため、分離ニップよりも下流側で前原稿後端αを検出してピックアップローラ80を下降させる構成に比べて、この下降させる時間分の紙間を狭めることができる。しかし、ピックアップローラ80が接触した後、ピックアップローラ80次原稿MS2の給紙を開始するタイミングT3は、前原稿後端αが分離ニップを確実に通過するタイミング以降とする必要があるため、次原稿MS2の給紙開始時には原稿先端セット位置Jから分離ニップまでの距離以上に紙間が開いてしまい、生産性を高めることができないという問題があった。
【0074】
次に、本実施形態のADF51における原稿セット部A及び分離搬送部Bでの前原稿後端の後端通過検知センサ147の検知位置通過から、次原稿の給紙開始のタイミングについて説明する。
図11は、本実施形態のADF51のコントローラ100が実行する給紙制御のフローチャートである。
【0075】
本実施形態のADF51では、図11に示すフローチャートの通り、前原稿後端αがピックアップローラを通過する時点での次原稿先端βの位置にあわせて次原稿MS2の給紙開始タイミング制御を行うため、2つの条件に分けて給紙タイミングを制御している。
1つ目の条件(以下、条件1)は、次原稿先端βが原稿先端セット位置Jの近傍にある場合である。2つ目の条件(以下、条件2)は、次原稿MS2の給紙開始以前に次原稿先端βが原稿先端セット位置Jよりも下流側に引きずられて、原稿先端検知センサ140の検知位置を通過する場合である。原稿先端検知センサ140の構成については後述する。
【0076】
まず、前原稿後端αがピックアップローラ80の接触位置を通過する時点で、次原稿先端βが原稿先端セット位置J近傍にある場合である、条件1での次原稿MS2の給紙開始タイミングについて説明する。
【0077】
図12は、条件1の場合の本実施形態のADF51における原稿MSの位置と呼び出し手段(ピックアップローラ80)の制御のタイミングとを時系列で示したタイミングチャートである。図12(a)は、前原稿後端αの位置と次原稿先端βの位置とを時系列で示したタイミングチャートであり、縦軸に搬送方向における位置、横軸に経過時間を示している。また、図12(b)は、呼び出し手段の制御のタイミングチャートであり、横軸の経過時間は図12(a)と同期している。
【0078】
図13〜図18は、本実施形態のADF51における原稿セット部Aの搬送方向下流側端部近傍、分離搬送部B及びレジスト部Cの拡大説明図である。図13〜図18は、図12のタイミングチャートにおけるT1〜T6の各タイミングにおけるADF51の状態を示す説明図である。
【0079】
図12において、時間軸(横軸)の原点では前原稿MS1はプルアウトローラ対86の回転駆動により搬送速度V1で搬送されている。
原稿MSについて上述したように、突き当てセンサ72によって前原稿MS1の先端が検知されると、ピックアップローラ80を前原稿MS1の上面から退避し、所定時間後に、給紙ローラ84による前原稿MS1の搬送が停止する。その後、プルアウトモータ113が駆動することにより、プルアウトローラ対86が回転駆動し、搬送速度V1で前原稿MS1の搬送が開始される(S1)。これに合わせて、原稿先端検知センサ140及び後端通過検知センサ147による監視をスタートさせる(S2)。
【0080】
図13は、図12中のタイミングT1での説明図であり、このタイミングT1では、前原稿後端αが後端通過検知センサ147の検知位置を通過するため、後端通過検知センサ147は前原稿MS1の後端通過を検出する(S3)。
【0081】
図14は、図12中のT2のタイミングの説明図である。
後端通過検知センサ147が前原稿後端αの通過を検知した後端通過信号をトリガとして、所定時間経過(S4)後のタイミングT2のときに、ピックアップローラ80が原稿載置台53上の原稿MSの束の最上部に位置する次原稿MS2の上面に当接するように、コントローラ100はピックアップ昇降モータ101を駆動させる(S5)。
このときの所定時間とは、搬送速度V1で搬送されている前原稿MS1の前原稿後端αが、ピックアップローラ80が原稿に当接する位置を通過するタイミング以降の時間である。ピックアップローラ80の当接位置を前原稿後端αが通過するタイミングは、後端通過検知センサ147の検知位置からピックアップローラ80の当接位置までの距離と、搬送速度V1とから算出することができる。そして、タイミングT2では、図14に示すように、ピックアップローラ80が次原稿MS2の上面に当接した状態となる。
【0082】
図15は、図12中のT3のタイミングの説明図である。
後端通過検知センサ147が前原稿後端αの通過を検知してから、ピックアップローラ80の当接位置を通過するタイミングをカウントする。そして、原稿載置台53上の原稿先端セット位置Jと分離ニップとの間の搬送路上に設けた原稿先端検知センサ140の監視結果より、そのタイミングまでの間に次原稿先端βが原稿先端検知センサ140より上流にあるか下流にあるのかを検出する(S6)。
次原稿先端βの通過を検出しない場合(S6でNo)、ピックアップローラ80が次原稿MS2の上面に当接したタイミングT2から所定時間経過後のタイミングT3(図15)のときに、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送が開始されるように、コントローラ100は給紙モータ102を駆動させる。このとき、ピックアップローラ80が次原稿MS2を搬送する搬送速度が、前原稿MS1の搬送速度V1よりも遅い搬送速度V3となるように給紙モータ102の駆動を制御する(S7b−1)。
【0083】
図16は、図12中のT4のタイミングの説明図である。
タイミングT3で搬送速度V3で給紙された次原稿MS2の次原稿先端βは、タイミングT4のときに図16で示すように、原稿先端検知センサ140の検知位置を通過する。このとき、原稿先端検知センサ140は、検知位置を通過する原稿MSの速度が搬送速度V1から搬送速度V3に変化したことを検知することで、その検知位置を次原稿先端βが通過したことを検出する(S7b−2でYes)。
【0084】
図17は、図12中のT5のタイミングの説明図である。
原稿先端検知センサ140が次原稿先端βの通過を検知した次原稿先端通過信号をトリガとして、上記T4の後の所定時間経過後のタイミングT5のときに、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送速度が速度V3より遅い速度V4に減速するように、コントローラ100は給紙モータ102の駆動を制御する(S7b−4)。
この減速制御によって前原稿後端αが分離ニップを通過する前に次原稿先端βが分離ニップに進入することを防止できる。
【0085】
図18は、図12中のT6のタイミングの説明図である。
コントローラ100は、後端通過検知センサ147が前原稿後端αの通過を検知してから時間カウント開始し、前原稿後端αが確実に分離ニップを通過するタイミングT6(図18)のときに(S7b−5)、ピックアップローラ80及び給紙ローラ84の搬送速度が速度V4よりも速い速度V2に加速するように給紙モータ102の駆動を制御する(S7b−6)。
【0086】
図11〜図18を用いて説明した構成及び制御により、前原稿後端αが分離ニップを通過する以前に次原稿先端βの位置を分離ニップに接近させることができる。これにより、次原稿MS2が分離部を通過するときの給紙速度を従来と同じ速度V2とした場合でも、次原稿先端βが分離ニップを通過するタイミングでの紙間距離は、図12及び図18で示すように、従来のL2aよりも短いL2bとなる。
【0087】
次に、条件2での次原稿MS2の給紙開始タイミングについての説明の前に、原稿先端検知センサ140の具体的な構成と次原稿先端の検出方法については説明する。
図19は、原稿セット部Aの搬送方向下流側端部近傍、分離搬送部B及びレジスト部Cの拡大説明図であって、搬送方向に対して直交する方向から見た原稿先端検知センサ140の説明図である。図20は、図19に示す原稿先端検知センサ140を搬送方向上流側から見た説明図である。
【0088】
原稿先端検知センサ140は、検知コロブラケット148に回転自在に指示された先端検知コロ軸140cと、この先端検知コロ軸140cに同期して回転するよう勘合されて原稿に当接する先端検知コロ140aとを有する。さらに、原稿先端検知センサ140は、先端検知コロ140aと同期して回転するように先端検知コロ軸140cに勘合された円形状で円の中心から等角度に光透過穴が配置された遮蔽円盤140dと、遮蔽円盤140dの光透過穴の有無を検知するフォトセンサ140bとを有する。
【0089】
また、原稿先端検知センサ140は、原稿MSを挟んで先端検知コロ140aに当接するピンチローラ142を備える。ピンチローラ142は、給紙ローラ駆動軸83aを支点として回動自在に配置されたピンチローラアーム143に対して、回転自在に支持されている。そして、ピンチローラアーム143の一端がピンチローラスプリング144によって図19中の上方に付勢されることにより、給紙ローラ駆動軸83aを挟んで反対側のピンチローラアーム143の端部に配置されたピンチローラ142が先端検知コロ140aに当接する。このように、ピンチローラ142が先端検知コロ140aに当接する構成により、原稿MSの搬送により先端検知コロ140aが確実に連れ回ることができる。
【0090】
図21は、原稿先端検知センサ140のセンサ出力を時系列で示したグラフであり、図12のタイミングチャートのタイミングT2〜T5の区間で検出するセンサ出力を表している。
先端検知コロ140aが一定速度で回転している場合、フォトセンサ140bの出力は先端検知コロ140aと同期して回転する遮蔽円盤140dの遮光と光透過穴での透過とにより、Hi−Loを等間隔で繰り返して出力する。
【0091】
タイミングT2〜T4では、搬送速度V1の前原稿MS1が先端検知コロ140aに当接しており、フォトセンサ140bの出力は単位時間Δtにおいてパルス出力が5となり、回転速度として、「5/Δt」を検出する。あらかじめ回転速度について、5/Δt=原稿搬送速度V1と設定しておくことで原稿先端検知センサ140の出力から搬送速度を算出可能である。
ピックアップローラ80の回転駆動により速度V3で搬送された次原稿MS2の先端が原稿先端検知センサ140に達するT4で搬送速度V3の次原稿MS2が先端検知コロ140aに当接することでフォトセンサ140bの出力は単位時間Δtにおいてパルス出力が3となり、回転速度として、前原稿搬送速度V1のときよりも遅い、「3/Δt」を検出する。このように、回転速度が「5/Δt」から「3/Δt」に減速したことを検地することで、次原稿先端βが先端検知コロ140aを通過したことを検出することができる。
【0092】
また、原稿先端検知センサ140としては、図22に示す光学式先端センサ600ように、被写体(シート材)の凹凸をパターン認識し、このパターンの移動を計算することにより求める構成でもよい。
図22に示す光学式先端センサ600は、センサ筺体601、LED602、レンズ及びプリズムからなる光学部材603、受光センサ604及びPCB605を備える。この光学式先端センサ600では、LED602からの照射光は図22中の光路610で示すように、光学部材603を経由して、原稿MSに反射し、受光センサ604に入射する。このときに、受光センサ604に入射する光量や入射の有無のパターンによって原稿MSに反射する位置におけるパターンを認識する。同様の原理をレーザー光で行い、干渉縞にて計算する構成(図示せず)を用いてもいい。
【0093】
次に、前原稿後端αがピックアップローラ80の接触位置を通過する時点で、次原稿先端βが原稿先端検知センサ140の検知位置よりも下流側にある場合である、条件2での次原稿MS2の給紙開始タイミングについて説明する。
図23は、条件2の場合の本実施形態のADF51における原稿MSの位置と呼び出し手段(ピックアップローラ80)の制御のタイミングとを時系列で示したタイミングチャートである。図23(a)は、前原稿後端αの位置と次原稿先端βの位置とを時系列で示したタイミングチャートであり、縦軸に搬送方向における位置、横軸に経過時間を示している。また、図23(b)は、呼び出し手段の制御のタイミングチャートであり、横軸の経過時間は図23(a)と同期している。
【0094】
図24は、条件2の場合における原稿先端検知センサ140のセンサ出力を時系列で示したグラフであり、図23のタイミングチャートのタイミングT6’までで検出するセンサ出力を表している。
図25〜図27は、本実施形態のADF51における原稿セット部Aの搬送方向下流側端部近傍、分離搬送部B及びレジスト部Cの拡大説明図である。図25〜図27は、図23のタイミングチャートにおけるT1’、T2’及びT6’の各タイミングにおけるADF51の状態を示す説明図である。
【0095】
図23において、時間軸(横軸)の原点では前原稿MS1はプルアウトローラ対86の回転駆動により搬送速度V1で搬送されている。また、図11中のS5までの制御フローは条件1と同じである。
【0096】
図25は、図23中のタイミングT1’での説明図であり、このタイミングT1’では、前原稿後端αが後端通過検知センサ147の検知位置を通過するため、後端通過検知センサ147は前原稿MS1の後端通過を検出する(S3)。このとき、条件2の状態では、図25に示すように、次原稿MS2の給紙開始以前に次原稿先端βが原稿先端セット位置Jよりも下流に引きずられて原稿先端検知センサ140を通過した状態となっている。
【0097】
図26は、図23中のT2’のタイミングの説明図である。
後端通過検知センサ147が前原稿後端αの通過を検知した後端通過信号をトリガとして、所定時間経過(S4)後のタイミングT2’のときに、ピックアップローラ80が原稿載置台53上の原稿MSの束の最上部に位置する次原稿MS2の上面に当接するように、コントローラ100はピックアップ昇降モータ101を駆動し(S5)、ピックアップローラ80の移動を開始させる。
このときの所定時間とは、搬送速度V1で搬送されている前原稿MS1の前原稿後端αが、ピックアップローラ80が原稿に当接する位置を通過するタイミング以降の時間である。ピックアップローラ80の当接位置を前原稿後端αが通過するタイミングは、後端通過検知センサ147の検知位置からピックアップローラ80の当接位置までの距離と、搬送速度V1とから算出することができる。そして、タイミングT2’では、図26に示すように、ピックアップローラ80が次原稿MS2の上面に当接した状態となる。
【0098】
図27は、図23中のT6’のタイミングの説明図である。
後端通過検知センサ147が前原稿後端αの通過を検知してから、ピックアップローラ80の当接位置を通過するタイミングをカウントする。そして、原稿載置台53上の原稿先端セット位置Jと分離ニップとの間の搬送路上に設けた原稿先端検知センサ140の監視結果より、そのタイミングまでの間に次原稿先端βが原稿先端検知センサ140より上流にあるか下流にあるのかを検出する(S6)。
タイミングT2’で、原稿先端検知センサ140の出力を参照し、次原稿先端βの通過を検出した場合(S6でYes)、前原稿後端αが後端通過検知センサ147の検知位置を通過してから分離ニップを確実に通過する所定時間が経過したタイミングT6(図27)のときに(S7a−1、S7a−2)、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送が開始されるように、コントローラ100は給紙モータ102を駆動させる(S7a−3)。このとき、ピックアップローラ80が次原稿MS2を搬送する搬送速度が、前原稿MS1の搬送速度V1よりも遅い搬送速度V2となるように給紙モータ102の駆動を制御されている。
【0099】
前原稿後端αが後端通過検知センサ147の検知位置を通過してから分離ニップを確実に通過する所定時間が経過した後に、次原稿MS2の搬送を開始することにより、分離ニップで前原稿後端αと次原稿先端βとが重なってか紙詰まりやダメージの発生を防止することができる。
【0100】
ここで、タイミングT2’までの間の次原稿先端βの先端検知位置通過の検知について図24を用いて説明する。
タイミングT2’までの間に次原稿先端βの先端検知位置を通過していると、原稿先端検知センサ140が検知している速度は、先端検知コロ140aに当接する次原稿MS2の速度であり、搬送速度はゼロ近傍になる。
このため、条件2の場合の原稿先端検知センサ140の出力は、図24に示す通り、タイミングT2’よりも前から「Hi」又は「Lo」の一定出力となり、単位時間Δtあたりのパルスがゼロとなる。このため次原稿先端βが通過していることを検出することが可能である。
【0101】
上述したように、本実施形態のADF51では、原稿先端検知センサ140の検知結果に基づいて、2つの条件に分けて制御をおこなうことにより、次原稿先端βが分離ニップを通過するタイミングにおける紙間は、最長でも従来のL2aより短いL2cとなるように制御することが可能となる。
ここで、L2cとなる場合は、前原稿後端αがピックアップローラ80の原稿当接位置を通過するタイミングにおいて、原稿先端検知センサ140が次原稿先端βを検知していて、次原稿先端β位置が、原稿先端検知センサ140の検知位置とほぼ同じ位置にある場合である。
【0102】
また、本実施形態のADF51では、分離部を形成する無端移動体としては、給紙ローラ84とリバースローラ85との2つのローラ部材を当接させる構成となっている。分離部を形成する無端移動体の組合せとしては、2つのローラ部材に限らず、ベルトとローラとの組合せや、ベルトとベルトとの組合せでも良い。
【0103】
上述した実施形態では、画像読取装置である画像読取ユニット50のシート材搬送装置に本発明を適用した例について説明した。本発明の特徴部を備えるシート材搬送装置としては、これに限るものではなく、複数枚のシート材を重ねて収容するシート材収容部からシート材を連続的に搬送するシート材搬送装置であれば適用可能である。例えば、転写紙をシート材として搬送する転写紙供給装置40にも適用可能である。
【0104】
以上、本実施形態のシート材搬送装置であるADF51は、原稿セット部A、原稿搬送部54、ピックアップローラ80、分離搬送部B、プルアウトローラ対86及び後端通過検知センサ147等を備える。原稿セット部Aは、複数枚のシート材としての原稿MSを重ねて原稿載置台53上に収容するシート材収容部である。原稿搬送部54は、原稿MSを所定の搬送目的位置まで搬送するシート材搬送部である。ピックアップローラ80は、原稿セット部Aの原稿載置台53上の原稿MSの束の最も外側の一枚である一番上の原稿MSに対して原稿搬送部54側に向かう搬送力を付与して複数枚の原稿MSから一番上の原稿MSを呼び出すシート材呼出手段を構成する。分離搬送部Bは、ピックアップローラ80に搬送力が付与された一枚の原稿MSと重なって原稿搬送部54に向かおうとする他の原稿MSを一枚の原稿MSから分離し、一枚の原稿MSのみを原稿搬送部54に向かって搬送する分離搬送手段である。プルアウトローラ対86は、給紙ローラ84とともに、ピックアップローラ80が原稿MSに搬送力を付与する呼び出し位置に対して搬送方向下流側で一枚の原稿MSに搬送方向の搬送力を付与する呼出後シート搬送手段を構成する。後端通過検知センサ147は、呼び出し位置に対して搬送方向上流側で、且つ、分離搬送部Bの分離作用が働く領域である分離部(給紙ローラ84とリバースローラ85とが当接するニップ部)までの距離が原稿MSの搬送方向の長さよりも短い位置である後端検知位置における原稿MSの後端の通過を検知する後端検知手段である。このような後端通過検知センサ147の配置では、一枚の原稿MSの先端が分離部を通過した後に、当該原稿MSの後端が後端検知位置を通過する。また、ADF51は、プルアウトローラ対86及び給紙ローラ84が一枚の原稿MSに搬送力を付与し始めたタイミング以後、且つ、当該一枚の原稿MSの後端が後端検知位置を通過する前に、ピックアップローラ80による搬送力の付与を停止する。
このようなADF51において、原稿載置台53に収容された複数枚の原稿MSの搬送方向下流側の端部が位置する収容シート材先端位置である原稿先端セット位置Jよりも搬送方向下流側、且つ、分離部よりも搬送方向上流側の先端検知位置における原稿MSの先端の通過を検知する先端検知手段である原稿先端検知センサ140を備える。さらに、原稿先端検知センサ140の検知結果に基づいて、後端検知位置を前原稿後端αが通過したタイミング(図12中のT1)以後の所定のタイミングまでに先端検知位置を次原稿先端βが通過していないことを検出した場合は、後端検知位置を通過した前原稿後端αが呼び出し位置を通過した後、且つ、前原稿後端αが分離部を通過する前の呼出再開タイミング(図12中のT3)でピックアップローラ80が搬送力の付与を再開するように制御する制御手段であるコントローラ100を備える。呼出再開タイミングからピックアップローラ80によって搬送される次原稿MS2の先端(次原稿先端β)が分離部に到達する前に、プルアウトローラ対86によって搬送される前原稿MS1の後端(前原稿後端α)が分離部を通過するように、ピックアップローラ80の搬送速度(V2、V3、V4)、及び、プルアウトローラ対86の搬送速度(V1)が設定されている。
所定のタイミングまでに先端検知位置を次原稿先端βが通過していないことを検出することにより、先端検知位置から分離部までの距離とピックアップローラ80の搬送速度(V2、V3、V4)とに基づいて、所定のタイミングで先端検知位置よりも上流側にある次原稿先端βが分離部に到達する最も早いタイミングが分かる。そして、本実施形態のADF51では、このタイミングよりも前に、前原稿後端αが分離部を通過するように、ピックアップローラ80の搬送速度(V2、V3、V4)、及び、プルアウトローラ対86の搬送速度(V1)を設定している。
このような設定により、次原稿先端βが分離部に到達する前に、前原稿後端αが分離部を通過するため、前原稿MS1の後端側と次原稿MS2の先端側とが分離部で重なり、この分離部で搬送方向に向かうことが阻止されることがない。よって、前原稿後端αが分離部を通過する前に次原稿MS2に対する搬送を開始しても、分離部で搬送方向に向かうことが阻止されている次原稿MS2に対して搬送力が付与される状態となることを防止することが可能となる。
また、図8及び図9で示した従来のADF51では、前原稿MS1を搬送する際に次原稿MS2が引きずられなかった場合は、原稿先端セット位置Jから分離ニップまでの距離以上に紙間(給紙開始時紙間距離L1)が開いていた。これに対して、本実施形態のADF51においては、前原稿MS1を搬送する際に次原稿MS2が引きずられなかった場合は、次原稿先端βは図13〜図15に示すように、先端検知位置よりも搬送方向上流側の原稿先端セット位置Jにあるため、コントローラ100は、原稿先端検知センサ140の検知結果に基づいて、上述した所定のタイミングまでに次原稿先端βが先端検知位置を通過していないことを検出する。よって、前原稿MS1を搬送する際に次原稿MS2が引きずられなかった場合には、図15に示すように、前原稿後端αが分離ニップを通過する前にピックアップローラ80による次原稿MS2に対する搬送を開始し、前原稿後端αが分離ニップを通過するときには、次原稿先端βは原稿先端セット位置Jよりも分離ニップに近い位置となる。このため、紙間は、原稿先端セット位置Jから分離ニップまでの距離未満となる。
よって、本実施形態のADF51では、前原稿MS1を搬送する際に次原稿MS2が引きずられなかった場合は、紙間が原稿先端セット位置Jから分離ニップまでの距離未満となり、従来のADF51よりも紙間を狭めることができる。
【0105】
本実施形態のADF51では、シート材呼出手段は、原稿MSの束の表面に接触して搬送力を付与するピックアップローラ80を備え、ピックアップローラ80による搬送力の付与を停止するときには、ピックアップローラ80を原稿MSの束の表面から離間させ、後端検知位置を前原稿後端αが通過した後、且つ、ピックアップローラ80が搬送力の付与を再開する前に、ピックアップローラ80を複数枚の原稿MSの表面に接触させる。これにより、ピックアップローラ80が前原稿MS1を押圧したままとなることに起因して、前原稿MS1と次原稿MS2との間の摩擦力が大きくなり、前原稿MS1を搬送する際に次原稿MS2が引きずられることを抑制する。
【0106】
また、本実施形態のADF51では、ピックアップローラ80によって搬送される原稿MSの搬送速度(V2〜V3)は、プルアウトローラ対86によって搬送される原稿MSの搬送速度(V1)よりも遅いことにより、呼出再開タイミングの時点で、前原稿MS1の後端側と次原稿MS2の先端側とが重なっていても、前原稿後端αが分離ニップを通過するタイミングでは、次原稿先端βが原稿ニップに到達していない構成を実現することができる。
【0107】
また、本実施形態のADF51は、前原稿後端αが分離ニップを通過する前に、ピックアップローラ80による搬送力の付与を搬送速度V3で再開した後、原稿先端検知センサ140が先端検知位置における次原稿先端βの通過を検知すると、コントローラ100は、ピックアップローラ80による原稿MSの搬送速度を、搬送力の付与を再開したときのV3よりも遅い速度であるV4となるようにピックアップローラ80を減速制御する。これにより、先端検知位置を通過した後の次原稿先端βが分離ニップに到達するタイミングを、前原稿後端αが分離ニップを通過するタイミングよりも遅くしつつ、呼出再開タイミングから次原稿先端βが先端検知位置に到達するまでの時間を短縮することで、さらに紙間を狭めることができる。
なお、本実施形態では、図12中のタイミングT3から次原稿先端βが検知される(T4)までは、ピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送速度はV3で、次原稿先端βが検知された以降のタイミングT5以降はピックアップローラ80による次原稿MS2の搬送速度はV4となるように制御している。このように、次原稿MS2に対する搬送力の付与を開始してから搬送速度を返る構成に限らず、呼出再開タイミングから先端検知位置から分離ニップまでの距離を搬送速度で割った時間だけ経過したタイミングが、分離ニップを前原稿後端αが通過したタイミング以後となるように搬送速度または呼出再開タイミングを設定しても良い。このような設定では、呼出再開タイミングから次原稿先端βが先端検知位置に到達するまでの搬送時間の短縮は図れないが、搬送速度の変更を行うことなく、簡易な制御で従来よりも紙間を狭めることができる。
【0108】
また、原稿先端検知センサ140は、先端検知位置における原稿MSの搬送速度を検知し、その搬送速度の変化に基づいて先端検知位置における原稿MSの先端の通過を検知する。すなわち、プルアウトローラ対86によって前原稿MS1に搬送力が付与され始めた後、前原稿MS1のみが先端検知位置を通過した場合は、呼出再開タイミングまでの間の先端検知位置における原稿MSの搬送速度はV1のままである。前原稿MS1の呼び出し時からすでに次原稿MS2が引きずられ、次原稿MS2の先端が前原稿MS1とともに搬送速度V1で分離ニップまで到達した場合は、次原稿MS2がリバースローラ85によって逆方向に搬送され、このとき、先端検知位置における原稿MSの搬送速度はV1よりも遅い速度、または、逆方向の速度となり、呼出再開タイミングより前に次原稿先端βが先端検知位置を通過したことを検出できる。また、前原稿MS1の呼び出し後に次原稿MS2が引きずられ始め、呼出再開タイミングまでに分離ニップには到達しなったものの先端検知位置を通過した場合は、呼出位置を前原稿後端αが通過した後、ピックアップローラ80を下降させ、搬送力を付与しない状態で次原稿MS2に当接することで、次原稿MS2が前原稿MS1に引きずられて搬送速度V1で移動していても、ピックアップローラ80の当接によって次原稿MS2の搬送速度が低下、または、搬送が停止し、先端検知位置における原稿MSの搬送速度はV1よりも遅い速度、または、停止となり、呼出再開タイミングより前に次原稿先端βが先端検知位置を通過したことを検出できる。さらに、次原稿MS2が前原稿MS1に引きずられても、次原稿MS2の速度がV1よりも遅い場合は、その先端が先端検知位置を通過した時点で先端検知位置における原稿MSの搬送速度はV1よりも遅い速度となり、呼出再開タイミングより前に次原稿先端βが先端検知位置を通過したことを検出できる。
このように、先端検知位置における原稿MSの搬送速度を検知することにより、その搬送速度の変化に基づいて先端検知位置における原稿MSの先端の通過を検知することが可能となる。
【0109】
また、原稿先端検知センサ140は、図19及び図20に示すように、先端検知位置における原稿MSに接触し、原稿MSの動きに合わせて回転する回転体である先端検知コロ140aと、先端検知コロ140aの回転速度を検知する回転検知センサとして機能するフォトセンサ140bとを備え、先端検知コロ140aの回転速度を検知することにより先端検知位置における原稿MSの動きを検知する構成である。このような原稿先端検知センサ140によって、先端検知位置における原稿MSの搬送速度を検知する構成を実現することができる。また、原稿先端検知センサ140は、先端検知コロ140aに対して原稿MSを介して当接するように回動自在に支持されたガイド部材としてのピンチローラ142を備える。ピンチローラ142が原稿MSを介して先端検知コロ140aに当接することで、より正確に原稿MSの動きに合わせて先端検知コロ140aを回転させることができる。
【0110】
シート材としての原稿MSを搬送する原稿搬送手段と、原稿搬送手段によって搬送される原稿MSの原稿画像を読み取る読取手段である第一固定読取部151及び第二固定読取部95とを備えた画像読取装置である画像読取ユニット50において、原稿搬送手段として、本実施形態のADF51を用いることにより、搬送される原稿MSの紙間を詰めることができるので、連続して原稿を読み取るときの生産性の向上を図ることできる。
【0111】
画像読取手段と、画像読取手段で読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成手段である画像形成部1とを備える画像形成装置である複写機500において、画像読取手段として、本実施形態の画像読取ユニット50を有することにより、連続して原稿を読み取るときの生産性の向上を図ることがきるため、連続してコピーを行うときの生産性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0112】
1 画像形成部
2 光書込装置
3 プロセスユニット
4 感光体
24 転写ユニット
25 中間転写ベルト
26 一次転写ローラ
28 紙搬送ユニット
29 紙搬送ベルト
34 定着装置
40 転写紙供給装置
50 画像読取ユニット
53 原稿載置台
54 原稿搬送部
61 排紙センサ
66 中間ローラ対
80 ピックアップローラ
83 給紙ローラ
84 給紙ローラ
85 リバースローラ
86 プルアウトローラ対
95 第二固定読取部
96 第二読取ローラ
100 コントローラ
101 ピックアップ昇降モータ
102 給紙モータ
103 読取モータ
104 排紙モータ
105 底板上昇モータ
107 I/F回路
108 操作部
111 本体制御部
113 プルアウトモータ
114 読取入口モータ
140 原稿先端検知センサ
147 後端通過検知センサ
150 スキャナ
151 第一固定読取部
152 移動読取部
153 画像読取センサ
300 固定画像読取部
400 第一読取位置
500 複写機
A 原稿セット部
B 分離搬送部
C レジスト部
D ターン部
E 第一読取搬送部
F 第二読取搬送部
G 排紙部
H スタック部
J 原稿先端セット位置
MS 原稿
MS1 前原稿
MS2 次原稿
P 転写紙
α 前原稿後端
β 次原稿先端
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】
【特許文献1】特許3618898号
【特許文献2】特許3397606号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシート材を重ねて収容するシート材収容部と、
シート材を所定の搬送目的位置まで搬送するシート材搬送部と、
該シート材収容部の複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材に該シート材搬送部側に向かう搬送力を付与して複数枚のシート材から一枚のシート材を呼び出すシート材呼出手段と、
該シート材呼出手段に搬送力が付与された一枚のシート材と重なって該シート材搬送部に向かおうとする他のシート材に搬送方向とは逆方向の搬送力、または、停止させる力を作用させることで、該他のシート材を該一枚のシート材から分離し、該一枚のシート材のみを該シート材搬送部に向かって搬送する分離搬送手段と、
該シート材呼出手段がシート材に搬送力を付与する呼び出し位置に対して搬送方向下流側で該一枚のシート材に搬送方向の搬送力を付与する呼出後シート搬送手段と、
該呼び出し位置に対して搬送方向上流側で、且つ、該分離搬送手段の分離作用が働く領域である分離部までの距離がシート材の搬送方向の長さよりも短い位置である後端検知位置におけるシート材の後端の通過を検知する後端検知手段と、を有し、
該呼出後シート搬送手段が該一枚のシート材に搬送力を付与し始めたタイミング以後、且つ、該一枚のシート材の後端が該後端検知位置を通過する前に、該シート材呼び出し手段による搬送力の付与を停止するシート材搬送装置において、
上記シート材収容部に収容された複数枚の上記シート材の搬送方向下流側の端部が位置する収容シート材先端位置よりも搬送方向下流側、且つ、上記分離部よりも搬送方向上流側の先端検知位置におけるシート材の先端の通過を検知する先端検知手段と、
該先端検知手段の検知結果に基づいて、上記後端検知位置を上記一枚のシート材の後端が通過した以後の所定のタイミングまでに該先端検知位置を上記他のシート材の先端が通過していないことを検出した場合は、
該後端検知位置を通過した該一枚のシート材の後端が上記呼び出し位置を通過した後、且つ、該一枚のシート材の後端が該分離部を通過する前の呼出再開タイミングで上記シート材呼出手段が搬送力の付与を再開するように制御する制御手段とを備え、
該呼出再開タイミングから該シート材呼出手段によって搬送される該他のシート材の先端が該分離部に到達する前に、上記呼出後シート搬送手段によって搬送される該一枚のシート材の後端が該分離部を通過するように、該シート材呼出手段の搬送速度、及び、呼出後シート搬送手段の搬送速度が設定されていることを特徴とするシート材搬送装置。
【請求項2】
請求項1のシート材搬送装置において、
上記シート材呼出手段は、複数枚のシート材の最も外側の一枚のシート材の表面に接触して搬送力を付与する呼出部材を備え、
該シート材呼び出し手段による搬送力の付与を停止するときには、該呼出部材を複数枚のシート材の表面から離間させ、
上記後端検知位置を上記一枚のシート材の後端が通過した後、且つ、シート材呼出手段が搬送力の付与を再開する前に、該呼出部材を該複数枚のシート材の表面に接触させることを特徴とするシート材搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2のシート材搬送装置において、
上記シート材呼出手段によって搬送されるシート材の搬送速度は、上記呼出後シート搬送手段によって搬送されるシート材の搬送速度よりも遅いことを特徴とするシート材搬送装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、
上記呼出再開タイミング以後、上記先端検知手段が上記先端検知位置における上記他のシート材の先端の通過を検知すると、
該シート材呼出手段によるシート材の搬送速度を、搬送力の付与を再開したときよりも遅い速度となるように該シート材呼出手段を減速制御することを特徴とするシート材搬送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート材搬送装置において、
上記先端検知手段は上記先端検知位置におけるシート材の搬送速度を検知し、その搬送速度の変化に基づいて該先端検知位置におけるシート材の先端の通過を検知することを特徴とするシート材搬送装置。
【請求項6】
請求項5のシート材搬送装置において、
上記先端検知手段は、上記先端検知位置におけるシート材に接触し、シート材の動きに合わせて回転する回転体と、
該回転体の回転速度を検知する回転検知センサとを備え、
該回転体の回転速度を検知することにより該先端検知位置におけるシート材の動きを検知する構成であることを特徴とするシート材搬送装置。
【請求項7】
シート材としての原稿用紙を搬送する原稿搬送手段と、
該原稿搬送手段によって搬送される原稿用紙の原稿画像を読み取る読取手段とを備えた画像読取装置において、
上記原稿搬送手段として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート材搬送装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
画像読取手段と、
該画像読取手段で読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、
該画像読取手段として、請求項7の画像読取装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate


【公開番号】特開2012−240845(P2012−240845A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116074(P2011−116074)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】