説明

シート構造

【課題】物を立てかけた状態に収容することが容易にできる収納ボックスを備えたシート構造を提供する。
【解決手段】アームレスト5に埋設され、底壁部11と、底壁部11の左右端部から起立する左右の側壁部12,13と、底壁部11の前後端部から起立する前壁部14および後壁部15と、を有し、上方が開放された収納ボックス10を備えたシート構造において、収納ボックス10はエラストマー系の樹脂で一体成形されており、底壁部11の上面に立設されて左右方向に沿って延びるリブ部18を備え、リブ部18の左右両端部が左右の側壁部12,13から離間して設置され、リブ部18は、上方に湾曲して左右方向に円弧形状をなし、後壁部15は後方に湾曲している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のシートのアームレストに、小物入れとして利用可能な収納ボックスを設けることが知られており、簡易的な収納ボックスでは上方が開放されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−125892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、この種の収納ボックスでは、内部底面が平坦面に形成されているため、この収納ボックスに例えば携帯電話などを立てかけようとしても、携帯電話の底部が収納ボックスの内部底面を滑って携帯電話が寝てしまい、立てかけることが困難であった。
【0005】
そこで、この発明は、物を立てかけた状態に収容することが容易にできる収納ボックスを備えたシート構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るシート構造では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、シート体(例えば、後述する実施例におけるアームレスト5)に埋設され、底壁部(例えば、後述する実施例における底壁部11)と、該底壁部の左右端部から起立する左右の側壁部(例えば、後述する実施例における側壁部12,13)と、前記底壁部の前後端部から起立する前壁部(例えば、後述する実施例における前壁部14)および後壁部(例えば、後述する実施例における後壁部15)と、を有し、上方が開放された収納ボックス(例えば、後述する実施例における収納ボックス10)を備えたシート構造において、前記底壁部の上面に立設されて左右方向に沿って延びるリブ部(例えば、後述する実施例におけるリブ部18)を備え、該リブ部の左右両端部が前記左右の側壁部から離間して設置されていることを特徴とするシート構造である。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記収納ボックスの前記リブ部は、上方に湾曲して左右方向に円弧形状をなす円弧部を有することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、前記収納ボックスの前記後壁部は、後方に湾曲していることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記収納ボックスは、前記各壁部と前記リブ部が弾性材料により一体成形されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、収納ボックスに収納される物の底部をリブ部に係止させることにより、該物をリブ部と前壁部との間に斜めに立てかけることができる。また、リブ部が左右の側壁部に連結されていないので、左右の側壁部間の剛性を、リブ部を有さない場合と同等にすることができる。
請求項2に係る発明によれば、リブ部の上に物を載せた場合に収まりを悪くすることができ、これによりカップホルダと区別することができる。
請求項3に係る発明によれば、収まりの悪い物を収容した場合であって、その物が後方に倒れたときに、後壁部の中央部で受け止めることができる。
請求項4に係る発明によれば、収納ボックスよりも若干大きい物であっても、収納ボックスの各壁部を弾性変形させることにより収納することができ、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明に係るシート構造を採用した車両用シートの外観斜視図である。
【図2】前記シートのアームレストの外観斜視図である。
【図3】前記アームレストに設けられる収納ボックスの外観斜視図である。
【図4】前記アームレストの縦断面図である。
【図5】収納ボックスに該収納ボックスよりも若干大きい物を収納したときの状態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明に係るシート構造の実施例を図1から図5の図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後方向および左右方向は、車両の前後方向および左右方向(車幅方向)と一致するものとする。
【0011】
図1は、右ハンドル仕様の車両に搭載されるドライバーズシート1の外観斜視図であり、このシート1は、シートクッション2、シートバック3、ヘッドレスト4、アームレスト5、脚部6等を主要構成としている。
【0012】
シート1は、脚部6を介して車両の車体骨格部材に取り付けられており、脚部6の上部にシートクッション2が前後方向にスライド可能に支持されている。シートバック3はシートクッション2に対して前後方向に傾転可能に取り付けられている。ヘッドレスト4は、シートバック3の上部に昇降可能に取り付けられている。アームレスト5は、シートバック3において隣接するパッセンジャシート(図示せず)側の側部に上下方向に回転可能に取り付けられている。この実施例において、シートクッション2、シートバック3、アームレスト5は、シート体を構成する。
【0013】
図4に示すように、アームレスト5は、内部に金属製の断面コ字形のフレーム7を備え、フレーム7の全体を発泡体8で包囲し、発泡体8の外周を例えばファブリックからなる表皮9で覆って構成されている。
このアームレスト5の上面の前端近傍であってフレーム7の上部には、収納ボックス10が設けられている。
【0014】
収納ボックス10はエラストマー系の樹脂(弾性材料)で一体成形されており、軟質で柔軟性に富んでいる。
収納ボックス10は、上部を開放させた箱形をなし、底壁部11と、底壁部11の左右端部から起立する左右の側壁部12,13と、底壁部11の前端部および後端部から起立する前壁部14および後壁部15と、これら壁部12,13,14,15の上縁から外方へ張り出すフランジ部16と、フランジ部16の先端から下方内向きに屈曲して延びる折り返し部17と、底壁部11の上面から起立し上方に突出するリブ部18と、を備えている。
【0015】
底壁部11はリブ部18を除いて平坦面に形成されており、左右の側壁部12,13および前壁部14も平坦面に形成されている。一方、後壁部15は左右両端から中央に進むにしたがって後方側に突出する後方に凸の湾曲面に形成されている。また、前壁部14および後壁部15と左右の側壁部12,13とは、円弧面19によって滑らかに接続されている。
【0016】
リブ部18は、底壁部11において前後方向の略中央に配置され、左右方向に沿って延びている。リブ部18の左右両端と左右の側壁部12,13の下端との間にはそれぞれ隙間20が形成されている。換言すると、リブ部18の左右両端部は左右の側壁部12,13から離間して設置されている。
リブ部18は、上方に湾曲した左右方向に円弧形状をなしている。すなわち、リブ部18は円弧部を有している。
【0017】
この収納ボックス10は、上部を開放し、フランジ部16を露出させて、発泡体8内に埋設されており、折り返し部17が表皮9の縁部と縫い合わされ、収納ボックス10と表皮9との間は発泡体8で満たされている。
【0018】
このように構成された収納ボックス10を備えたシート1においては、図2に示すように、例えば携帯電話50などを収納ボックス10に立てかけることが可能となる。詳述すると、携帯電話50の底部をリブ部18の前側に位置させることで、携帯電話50の底部をリブ部18に係止させることができ、携帯電話50の背部を前壁部14の上縁に当接させることで、携帯電話50を運転者から見て後傾姿勢に立てかけることができる。つまり、携帯電話50をリブ部18と前壁部14との間に斜めに立てかけることができる。
【0019】
一方、ジュースなどが入った缶などを収納ボックス10に入れたときには、平坦な缶の底面を湾曲形状のリブ18の上に載せたときに缶が不安定となり収まりが悪くなることで、使用者にこの収納ボックス10がカップホルダではないことを認識させることができる。
また、後壁部15が後方に湾曲しているので、上述のように収納ボックス10に缶などを収納し、不安定状態の缶などが後方に傾いたときに、この缶などを後壁部15の左右方向の中央で受け止めることができる。
【0020】
また、収納ボックス10が弾性材料で形成されていて柔らかいことと、リブ部18の左右両端部は左右の側壁部12,13から離間して設置されていることから、この収納ボックス10の左右方向の内のりよりも若干大きなものを入れようとしたときに、図5に示すように、左右の側壁部12,13が弾性変形して外方に広がることにより、収納することが可能となる。ここで、リブ部18が左右の側壁部12,13に連結されていないことにより、左右の側壁部12,13間の剛性を、リブ部18を有さない場合と同等にすることができ、左右の側壁部12,13の弾性変形を行い易くする効果がある。したがって、収納ボックス10の使い勝手が向上する。また、リブ18がその両端部から千切れないようにすることができる。
【0021】
〔他の実施例〕
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例では収納ボックスをアームレストに設置したが、収納ボックスをシートクッションの端部に設置することも可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 シート
5 アームレスト(シート体)
11 底壁部
12,13 側壁部
14 前壁部
15 後壁部
18 リブ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート体に埋設され、底壁部と、該底壁部の左右端部から起立する左右の側壁部と、前記底壁部の前後端部から起立する前壁部および後壁部と、を有し、上方が開放された収納ボックスを備えたシート構造において、
前記底壁部の上面に立設されて左右方向に沿って延びるリブ部を備え、
該リブ部の左右両端部が前記左右の側壁部から離間して設置されていることを特徴とするシート構造。
【請求項2】
前記収納ボックスの前記リブ部は、上方に湾曲して左右方向に円弧形状をなす円弧部を有することを特徴とする請求項1に記載のシート構造。
【請求項3】
前記収納ボックスの前記後壁部は、後方に湾曲していることを特徴とする請求項2に記載のシート構造。
【請求項4】
前記収納ボックスは、前記各壁部と前記リブ部が弾性材料により一体成形されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシート構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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