説明

シート状キートップの製造方法

【課題】安価かつ簡易にシート状キートップを製造することが可能なシート状キートップの製造方法を提供する。
【解決手段】ベースフィルム10上のキートップ14が形成される位置にホットメルトを塗布することによって、キートップ14を形成するキートップ形成工程と、プレス面に予め離型剤が塗布され、加熱された金型16によって前記キートップ14にプレス加工を施すことによって、キートップの上面に立体加飾を形成する立体加飾形成工程とを備えることを特徴とするシート状キートップの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機や携帯情報端末装置などに用いられ、上面に立体的な加飾が施されたキートップが表面に形成されたシート状キートップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機や携帯情報端末装置などの操作用押釦として、樹脂製のシートフィルムの表面に複数のキートップが形成されたシート状キートップが用いられている。このようなシート状キートップは、例えば、(1)透明性の樹脂製のシートフィルムの裏面にスクリーン印刷を施すことにより意匠を形成し、(2)エンボス金型によって、樹脂製のシートフィルムの裏面側からエンボス加工を施すことによって、キートップの立体形状及びキートップの上面の立体的な加飾を形成し、(3)射出成型機によって、樹脂製のシートフィルムの裏面側からエンボス加工されたキートップ内に樹脂を射出することによって得ることができる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−21568
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のシート状キートップの製造方法は、工程数が多く、また、射出成型用の金型や治工具などを多く必要とするため、高コストになるという問題がある。そこで本発明は、安価かつ簡易にシート状キートップを製造することが可能なシート状キートップの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するために、本発明は、ベースフィルム上のキートップが形成される位置にホットメルトを塗布することによって、キートップを形成するキートップ形成工程と、プレス面に予め離型剤が塗布され、加熱された金型によって前記キートップにプレス加工を施すことによって、キートップの上面に立体加飾を形成する立体加飾形成工程とを備えることを特徴とするシート状キートップの製造方法である。
【0006】
以上のように、本発明に係るシート状キートップの製造方法によれば、ベースフィルム上にホットメルトを塗布することにより、キートップを形成し、それにプレス加工を施すことによって、立体加飾を形成しているので、射出成型の工程を必要とせず、安価かつ簡易にシート状キートップを製造することができる。
【0007】
本発明に係るシート状キートップの製造方法は、前記ベースフィルムの裏面に、スクリーン印刷を施すことにより、意匠を形成する意匠形成工程をさらに備えていることが好ましく、この意匠形成工程は、前記キートップ形成工程前に行うことが好ましいが、キートップ形成工程後又は立体加飾形成工程後に行っても良い。
【0008】
また、前記キートップ形成工程は、安価、高精細、及び高精度に作製できるスクリーン印刷によって前記ホットメルトを塗布することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、安価かつ簡易にシート状キートップを製造することが可能なシート状キートップの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るシート状キートップの製造方法の実施形態を示す概念図である。
【図2】本発明に係るシート状キートップの立体加飾の例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るシート状キートップの立体加飾の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態に係るシート状キートップの製造方法について、図面に基づいて説明する。先ず、図1(a)に示すように、シート状キートップに用いられるベースフィルム10を用意する。ベースフィルム10は、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートなど透明性の樹脂からなる。ポリエチレンテレフタレートは、ポリエチレンナフタレートやポリカーボネートよりもTgが低く、より低温で加工できる。また、ポリカーボネートは、基材に硬さが必要な場合に使用される。本実施形態に係るシート状キートップにおいては、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートを使用する。
【0012】
次に、図1(b)に示すように、ベースフィルム10の裏面に、例えば、スクリーン印刷により意匠印刷層12を形成する。この意匠印刷層12の印刷に用いられるインクとしては、例えば、アクリル系色インクやウレタン系色インク、ポリエステル系色インクなどが挙げられる。特性的にはポリエステル系色インクが優れているが、価格が高いという問題がある。各々のインクは、価格と求められる品質で使い分けることができる。本実施形態に係るシート状キートップにおいては、アクリル系色インクを使用する。
【0013】
次に、図1(c)に示すように、ベースフィルム10の表面のキートップを形成する位置に、例えば、スクリーン印刷によって、ペースト状のホットメルトを塗布してキートップ14を形成する。本実施形態に係るシート状キートップに用いられるホットメルトとしては、スクリーン印刷が可能なホットメルトであれば良く、例えば、アクリル系やポリエステル系のペースト状ホットメルトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
次に、図1(d)に示すように、金型16のプレス面に離型剤を塗布し、その後、例えば、150℃に加熱された金型16を下降させてキートップ14にプレス加工を施して、キートップ14の上面に立体加飾を形成する。本実施態様に用いられる離型剤としては、例えば、フッ素系離型剤やシリコーン系離型剤などを用いることができ、特にフッ素系離型剤は、高温環境下でも使用できる点において好ましい。本実施態様においては、このようにプレス面に離型剤を塗布することにより、ホットメルトからなるキートップ14と金型16とが接着することを防ぐことができる。
【0015】
最後に、図1(e)に示すように、金型16を上昇させて、キートップ14と金型16を離間し、キートップ14を冷却固化させることによって、シート状キートップを完成させることができる。
【0016】
本実施形態に係るシート状キートップにおいては、意匠印刷層12に用いるインクを適宜選択することにより、キートップに金属調の外観を与えることもできる。また、本実施形態に係るシート状キートップにおいては、図2及び3に示すように金型16のプレス面を様々な形状にすることにより、様々な加飾をキートップに施すことができる。
【符号の説明】
【0017】
10 ベースフィルム
12 意匠印刷層
14 キートップ
16 金型


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルム上のキートップが形成される位置にホットメルトを塗布することによって、キートップを形成するキートップ形成工程と、
プレス面に予め離型剤が塗布され、加熱された金型によって前記キートップにプレス加工を施すことによって、キートップの上面に立体加飾を形成する立体加飾形成工程と
を備えることを特徴とするシート状キートップの製造方法。
【請求項2】
前記ベースフィルムの裏面に、スクリーン印刷を施すことにより、意匠を形成する意匠形成工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のシート状キートップの製造方法。
【請求項3】
前記キートップ形成工程は、スクリーン印刷によって前記ホットメルトを塗布することを特徴とする請求項1又は2記載のシート状キートップの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−267597(P2010−267597A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120325(P2009−120325)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】