説明

シート状機能部品の検査装置

【課題】シート状機能部品への損傷を抑制しつつ、画像認識によるシート状機能部品の検査精度を向上させることができるシート状機能部品の検査装置を提供する。
【解決手段】自由状態で皺を生ずるシート状機能部品Wがセットされるセットテーブル41と、セットテーブル41にセットしたシート状機能部品Wを押える透明プレート42と、透明プレート42越しにシート状機能部品Wを画像認識して、シート状機能部品Wを検査する認識検査手段43,45と、付着した異物によりシート状機能部品Wにダメージが生じないように、且つ皺を解消してシート状機能部品Wが認識不良とならないように、セットテーブル41に対する透明プレート42の押圧接近位置を位置規制する押圧規制手段44と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像認識により、シート状機能部品の表面の性状等を検査するシート状機能部品の検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の検査装置として、シート状のワーク(シート状機能部品)を載置する検査ステージと、ワークの上に重ね、検査ステージとの間にワークを挟持するガラス板と、ガラス板の表面に接触しながら移動するローラと、ローラのガラス板を押下する圧力を調整するダンパと、ワークを撮像するラインセンサカメラと、ワークを照らす同軸落射照明と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1)。この検査装置では、ラインセンサカメラによるワークの撮像に際し、ワークの変形やたわみをとるべく、ワークを、ガラス板を介してローラで押さえるようにしている。これにより、シート状のワークに対する検査精度の向上を図っている。
【特許文献1】特開2002−005638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来の検査装置では、検査ステージ上のワークにガラス板を押し付けることにより、ワークの皺等の部分的なたわみを伸ばすことはできるが、ワークに異物が付着していると、この異物によりワークに凹み等の傷が新たに発生してしまう問題があった。
【0004】
本発明は、シート状機能部品への損傷を抑制しつつ、画像認識によるシート状機能部品の検査精度を向上させることができるシート状機能部品の検査装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のシート状機能部品の検査装置は、自由状態で皺を生ずるシート状機能部品がセットされるセットテーブルと、セットテーブルにセットしたシート状機能部品を押える透明プレートと、透明プレート越しにシート状機能部品を画像認識して、シート状機能部品を検査する認識検査手段と、付着した異物によりシート状機能部品にダメージが生じないように、且つ皺を解消してシート状機能部品が認識不良とならないように、セットテーブルに対する透明プレートの押圧接近位置を位置規制する押圧規制手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
これらの構成によれば、皺を持つシート状機能部品を、セットテーブルと透明プレートの間に挟み込んでセットする場合、セットテーブルと透明プレートとの隙間量(押圧接近位置)を、シート状機能部品の皺を適度に解消し、且つ付着した異物によりシート状機能部品がダメージを受けない程度に調整することができる。これにより、シート状機能部品が傷つくことがなく、且つ皺による認識不良(誤認識)を解消することができる。したがって、シート状機能部品への損傷を抑制しつつ、画像認識によるシート状機能部品の検査精度を向上させることができる。
【0007】
この場合、押圧規制手段は、セットテーブルの周縁部と透明プレートとの間に介設され、押圧接近位置を位置規制するスペーサを、有していることが好ましい。
【0008】
この構成によれば、極めて単純な構造で、且つ認識検査手段によるシート状機能部品の画像認識に影響を与えることなく、セットテーブルと透明プレートの間の隙間量を適切に保つことができる。また、スペーサを活用して、セットテーブル上に、シート状機能部品をラフに位置決めして配置することができ、検査の作業性を向上させることができる。
【0009】
同様に、押圧規制手段は、セットテーブルの周縁部に組み込まれ、透明プレートを押圧接近位置に支持すると共に、押圧接近位置を微調整可能な支持調整機構を、有していることが、好ましい。
【0010】
この構成によれば、支持調整機構を介して透明プレートの押圧接近位置を調整することにより、透明プレートとセットテーブルとの隙間量を適切に調整でき、シート状機能部品の厚さ変更や、皺を矯正する度合い変更の際にも、容易に対応させることができる。
【0011】
同様に、押圧規制手段は、透明プレートをセットテーブルに平行に保持すると共に、透明プレートをセットテーブルに対し相対的に昇降させて前記押圧接近位置を位置調整する昇降機構を、有していることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、透明プレートを自動的に昇降させ、セットプレートと透明プレートとの間の押圧接近位置を適切に調整することができるため、シート状機能部品を効率良く検査することができる。また、透明プレートとセットテーブルとの隙間量の調整を簡単に行うことができる。
【0013】
この場合、押圧規制手段は、透明プレートがシート状機能部品から受ける反力を検出する圧力センサと、圧力センサの検出結果に基づいて、昇降機構の停止を制御する制御手段と、を更に有することが、好ましい。
【0014】
この構成によれば、圧力センサによって、透明プレートの押圧力を一定に制御することができ、シート状機能部品の皺の解消程度を検査毎に同じ条件にし、同じ精度の下で検査することができる。
【0015】
これらの場合、セットテーブルは、少なくともシート状機能部品がセットされるセット部が透光性の部材で構成され、認識検査手段は、透明プレート越しにシート状機能部品を画像認識する認識カメラと、セットテーブルの下方からシート状機能部品を照明する対向照明と、を有していることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、シート状機能部品に透明部分がある場合、この部分は対向照明によって投影され、セットテーブル及び透明プレートの雑像に影響されることなく、認識カメラの撮像によって画像処理され、適切に検査を行うことができる。
【0017】
この場合、認識検査手段は、認識カメラと同軸上に配設され、透明プレートの上方からシート状機能部品を照明する落射照明を、更に有していることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、シート状機能部品に不透明部分がある場合、落射照明によるこの部分を精度良く検査することができる。
【0019】
一方、シート状機能部品が、複数の圧力室と複数の圧電素子との間に介設したインクジェットヘッドの振動板であることが、好ましい。
【0020】
この構成によれば、シート状機能部品の適切な検査により、インクジェットヘッドの振動板を高品質に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るシート状機能部品の検査装置について説明する。このシート状機能部品の検査装置(以下、単に「検査装置」という。)は、シート状機能部品を認識カメラで撮影し、シート表面の検査を行う、いわゆる画像認識による検査装置である。ここでは、検査装置の説明の前に、その検査対象物であるシート状機能部品(以下、「ワーク」という。)から説明をすすめる。
【0022】
図1に示すように、ワークWは、インクジェットヘッド10のいわゆる振動板として使用されるものであり、ヘッドケース11と複数の圧力室(キャビティ)12との間に介設され、一部が複数の圧電素子13と接触し各圧電素子13の動きと連動して各圧力室12を加減圧する。圧力室12に貯留するインクは、圧電素子13を介して振動板からの圧力を受け、ノズルプレート14に設けられた吐出ノズル15を通して、吐出される。
【0023】
図2に示すように、ワークWは、その複数個がマザーワークW0からそれぞれ方形に打ち抜いて形成されるものであり、マザーワークW0は、透明な樹脂フィルム21に特殊接着剤22(図3参照)でステンレスの薄板23を接着し、薄板23の一部をエッチングにより除去して形成されている。すなわち、ワークWは、ヘッドケース11および各圧電素子13に接触する部分以外の部分を除去した金属層31と、金属層31のベースとなる透明樹脂層32とで構成され、これらが互いは特殊接着剤22で接着されている(図3参照)。金属層31には、共通流路の部分となる一対のスリット除去部35を有し、枠状に形成した外枠部36と、外枠部36内の振動機能部37に均等配置された複数の短冊部38と、で構成されている。外枠部36は、上記のヘッドケース11と各圧力室12との間にサンドイッチされる部分であり、複数の短冊部38は、各圧電素子13が接触する部分であり、さらに振動機能部37は圧電素子13により脈動する部分である。このため、複数の短冊部38は、インクジェットヘッド10の吐出ノズル15の数と同数設けられている。
【0024】
図3では、高さ方向を極端に表しているが、ワークWは、金属層31が30μm程度、透明樹脂層32が50μm程度であって、極めて薄く形成されている(図3(a)参照)。また、上述したように、ワークWは、マザーワークW0からプレスにより打ち抜いて形成される。このため、検査対象となる単体(自由状態)のワークW(図2(b)のもの)は、全体として微妙な撓みが生じ、且つ部分的に引きつりによる皺が生じている(図3(b)参照)。この撓みや皺は、ヘッドケース11と圧力室12との間に組み付けたときに延されて解消するため、これを組み込んだインクジェットヘッド10の機能に影響を及ぼすことはないが、特に皺にあっては、画像認識において打痕(窪み)と誤認識(認識不良)され、正常なワークWが「NG」となってしまうおそれがある。
【0025】
本実施形態では、金属層31および透明樹脂層32(特に振動機能部37)に生じた打痕や傷の有無を、画像認識により検査するが、その際、ワークWを平坦になるように押圧し皺やたわみを解消し、誤認識が生じないようにする必要がある。一方、ワークWの表裏両面には、加工段階で生じた屑粉等の異物が付着していることがある。この異物は、後に除去可能であるが、検査時にワークWを強く押圧すると、付着した異物がワークW表面に凹み傷を発生させてしまうおそれがある。そこで、本実施形態の検査装置1では、皺やたわみを解消しつつ、異物によりワークW表面に凹み傷が生じないようにしている。
【0026】
次に、図4および図5を参照して、第1実施形態の検査装置1について詳細に説明する。検査装置1は、ワークWがセットされる水平なセットテーブル41と、セットテーブル41上のワークWを押える透明プレート42と、セットテーブル41上のワークWを画像認識する画像認識装置43と、セットテーブル41と透明プレート42の隙間量(間隙寸法)を調整する支持調整機構(押圧規制手段)44と、これら構成装置を制御するモニター55付きのコントローラ45と、を有している。なお、実施形態に言うが認識検査手段は、上記の画像認識装置43とコントローラ45とで構成されている。
【0027】
セットテーブル41は、厚手のガラス板等で構成されており、ワークWが載置するようにセットされる方形のセット部48と、セット部48の周囲に位置する機構組込み部(周縁部)49と、で一体に形成されている。セット部48は、透明に且つワークWに対し一回り大きく形成されている。一方、機構組込み部49は、不透明に且つ方形枠状に形成されている。セットテーブル41の下側には、後述する画像認識装置43の対向照明52が配設されており、対向照明52の照明光はセット部48を透過して照射される。なお、セット部48と機構組込み部49と、を別部材で構成するようにしてもよい。また、セット部48と同様に、機構組込み部49も透明であってもよい。
【0028】
透明プレート42は、セットテーブル41と同様に厚手の透明ガラス板等で構成され、セットテーブル41と同一或いは僅かに小さな方形の平面形状に形成されている。また、透明プレート42は、全体が透明に形成され、且つその自重によりワークWを押圧できるような重さを有している。すなわち、透明プレート42は、ワークWに載せ込んだときに、その重みでワークWの皺や撓みを解消可能な十分な重量を有している。
【0029】
画像認識装置43は、セットテーブル41上のワークWを透明プレート42越しに上側から撮像(画像認識)する認識カメラ53と、認識カメラ53に併設したドーナツ状の落射照明51と、セットテーブル41上のワークWを下方から照明する対向照明52と、を備えている。また、落射照明51および対向照明52は、セットテーブル41の中心を通る認識カメラ53の光軸と同軸上に配設されている。
【0030】
落射照明51および対向照明52は、例えばLEDアレイで構成され、上記のコントローラ45により点灯および消灯制御される。この場合、対向照明52は、ワークWを投影するように照明し、落射照明51は、ワークW表面を撮像可能に照明する。認識カメラ53は、ワークW表面の欠陥を撮像可能な十分な解像度を有し、鏡筒61の前部に配設した対物レンズ62と後部に配設したCCD(またはC−MOS)63とで構成され、コントローラ45の画像処理回路に接続されている。この場合、認識カメラ53の撮像結果は、コントローラ45のモニター55の画面に映し出され、オペレータは、このモニター55の画面上でワークWの欠陥を判断(検査)するようにしている。
【0031】
支持調整機構44は、セットテーブル41における機構組込み部49の四隅に組み込んだ4台のマイクロヘッド70により、構成されている。各マイクロヘッド70は、そのスピンドル71がセットテーブル41を貫通した状態で、セットテーブル41の下側に取り付けられている。4台のマイクロヘッド70の4つのスピンドル71は、セットテーブル41を貫通しセットテーブル41から上側に突出するようになっている。そして、この4つのスピンドル71上に透明プレート42が載置されている。すなわち、透明プレート42は、その四隅に突き当てられた4つのスピンドル71によりセットテーブル41に平行(水平)に支持されると共に、各スピンドル71の突出寸法の微調整により、セットテーブル41との間隙(押圧接近位置)を微調整可能に構成されている。
【0032】
セットテーブル41と、4つのスピンドル71に支持された透明プレート42との間隙調整は、透明プレート42の自重により押えられるワークWに対し、誤認識が生じない程度に皺が解消され(延され)、且つ付着した異物によりワークWが傷付かない程度に押し付ける得るものとなっている(図5参照)。実際の間隙調整においては、モニター55を見ながら、透明プレート42を下げてセットテーブル41との間隙を徐々に狭くしてゆき、皺の陰影(濃淡)が解消したところで、調整を完了する。また、透明プレート42の平行度は、4つのスピンドル71のメモリを合わせることで行う。なお、セットテーブル41上に、ワークWをラフに位置決めするワーク位置決めガイド、および透明プレートをラフに位置決めするプレート位置決めガイドを設けるようにしてもよい。
【0033】
コントローラ45は、CPU、ROMおよびRAM等により主要部が構成され、対向照明52、落射照明51および認識カメラ53を制御し、ワークWの撮影を行う。撮影された画像は、付設のモニター55に映し出される。
【0034】
次に、上記の検査装置1による、ワークWの検査方法における一連の動作について説明する。この場合、4台のマイクロヘッド70による透明プレート42の設置高(間隙)は、既に調整されているものとする。先ず、検査を行う前に、セットテーブル41と透明プレート42に異物が付着していないかを目視で確認する。次に、ワークWを、セットテーブル41にセットするが、その際、セット部48の外縁を目安に、セット部48にセンター中心で載せ込むようにセットする。続いて、セットしたワークWが位置ズレしないように、透明プレート42を上側から水平姿勢を維持しつつ4つのマイクロヘッド70(スピンドル71)にゆっくり載せる。このようにしてオペレータが、透明プレート42をスピンドル71に載せ込むようにすると、ワークWは、適宜押し潰されてゆき平坦に近い状態まで矯正されて、生じた皺が延されてゆく。
【0035】
透明プレート42を載せてワークWの撮像準備が整ったら、コントローラ45を介して、対向照明52および落射照明51を点灯させると共にセットテーブル41と透明プレート42に挟み込まれたワークWを認識カメラ53により撮像する。撮影された画像はモニター55に写し出されて、オペレータによる目視検査が行われる。オペレータは、モニター55に映し出されてワークWに、打痕や傷があるか否かを確認する。特に、インクジェットヘッド10に組み込んだときに直接インクと接する、透明樹脂層32の振動機能部37に打痕や傷があるか否かを精査する。そして、打痕や傷が確認された場合には、このワークWを「NG」として廃棄処分とする。一方、打痕や傷が確認されなかった場合には、このワークWを正常なものとして扱う(後工程に移行)。なお、ワークWに異物の付着が確認されたものについては、後に除去可能であるため、「NG」の対象とはしない。
【0036】
以上の構成によれば、ワークWを、隙間量(間隙寸法)が調整された透明(透光性を有する)なセットテーブル41と透明プレート42の間に挟み込んで、画像認識による検査を行うようにしているので、誤認識が生じない程度にワークWの皺が解消された状態で検査を実施することができる。また、ワークWに異物が付着している場合にも、透明プレート42の押し付け過ぎによるワークWの損傷を防ぐことができる。これにより、適切な画像認識が実行されるため、検査精度を向上させることができる。
【0037】
次に、図6を参照して、検査装置の第2実施形態について説明する。この実施形態の検査装置1では、上記の支持調整機構44に代えて、セットテーブル41の機構組込み部49に一対のスペーサ72が設けられている。各スペーサ72は、短冊状の薄板(例えばガラス板)で構成され、セットテーブル41に粘着されている。この場合も、セットテーブル41と、一対のスペーサ72に支持された透明プレート42との間隙(押圧接近位置)は、透明プレート42の押圧作用が、誤認識が生じない程度にワークWの皺が解消され(延され)、且つ付着した異物によりワークWが傷付かない程度に調整されている(図5参照)。なお、一対のスペーサ72は、セット部48に近づけて設置することで、セットテーブル41にワークWをセットするときの位置的な目安として利用することができる。
【0038】
この実施形態によれば、極めて簡単な構造により、ワークWの皺を解消することができると共に、ワークWに異物が付着する場合にも、透明プレート42の押し付け過ぎによる損傷を防ぐことができる。これにより、適切な画像認識が実行されるため、検査精度を向上させることができる。なお、異なるワークWを検査する場合には、各ワークWに応じた厚さのスペーサを用意しておき、適宜これを交換して検査を行うことが好ましい。
【0039】
次に、図7を参照して、検査装置1の第3実施形態について説明する。この実施形態の検査装置1では、上記の支持調整機構44やスペーサ72に代えて、透明プレート42を昇降させる昇降機構80と、透明プレート42がワークWを押し付けるときの圧力を検出する複数の圧力センサ81と、が設けられている。昇降機構80は、透明プレート42を水平に支持する支持フレーム82と、支持フレーム82を介して透明プレート42を昇降させるサーボモータ83と、支持フレーム82の昇降をガイドする一対の昇降ガイド84と、を備えている。また、図示では省略したが、サーボモータ83と支持フレーム82との間には、リードねじ機構等の進退動機構が介設されている。
【0040】
支持フレーム82は、その下端部でワークW撮影の妨げにならないように透明プレート42の四隅に連結され、透明プレート42を水平姿勢に保持している。サーボモータ83が駆動すると、支持フレーム82を介して、透明プレート42が水平姿勢を維持した状態で水平なセットテーブル41に対し離接移動(昇降)する。一方、複数の圧力センサ81は、透明プレート42の裏面、すなわちワークW側の面に埋め込むように設けられている。本実施形態では、4個の圧力センサ81がワークWの各部に接するように分散して配置されており、透明プレート42がワークWを押し付けたときにワークWに接触し、ワークWの反力(圧力)を検出する。そして、サーボモータ83および複数の圧力センサ81は、コントローラ45に接続されて、ワークWの撮像動作と連動して操作される。
【0041】
この実施形態では、サーボモータ83により、透明プレート42が待機位置(上昇端位置)に移動した状態で、セットテーブル41にワークWをセットする。ワークWをセットしたら、サーボモータ83を起動し、透明プレート42を下降させてゆく。下降中の透明プレート42がワークWを押し付け、適度に皺を延ばし、設定された値の押圧力を圧力センサ81が検知すると、サーボモータ83が停止し、同時に透明プレート42の下降が停止する。この場合、圧力センサ81の検出閾値は、上記実施形態と同様に、誤認識が生じない程度にワークWの皺が解消され(延され)、且つ付着した異物によりワークWが傷付かない程度の圧力値に設定されている。すなわち、複数の圧力センサ81のうちの任意の1つ圧力センサ81が、この検出閾値に達した状態で、サーボモータ83(透明プレート42)が停止するようになっている。そして、ワークWの撮像が完了した後には、サーボモータ83が再起動し、透明プレート42は待機位置まで上昇する。
【0042】
この実施形態によれば、セットテーブル41と透明プレート42との間の隙間量(間隙寸法)を、圧力センサ81の検出に基づいて規制するようにしているため、隙間量を適切に維持することができ、ワークWを傷つけずに、且つ正常に画像認識可能な程度にワークWの皺を解消することができる。そのため、異なるワークWを検査するときにも、常に適切な状態でワークWを撮影することができるため、高い検査精度を維持して検査を実施することができる。また、コントローラ45からの操作で透明プレート42を昇降させることができるため、検査時間を短縮することができる。
【0043】
なお、第3実施形態において、予め試験的に求めた下降端位置(押圧接近位置)で、透明プレート42を停止するようにしてもよい。かかる場合には、圧力センサ81を省略することができる。また、セットテーブル41の機構組込み部49に、度当り部材(スペーサ的なもの)を設け、透明プレート42の過押し付け防止用の安全装置として機能させるようにしてもよい。また、透明プレート42を固定としセットテーブルWを昇降させる構造であってもよい。かかる場合には、セットテーブル41の下側に昇降機構80を設置し、セットテーブル41のセット部48に圧力センサ81を取り付けて、セットテーブル41を昇降させる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】インクジェットヘッドの主要部の断面図である。
【図2】マザーワーク(a)およびワーク(シート状機能部品(b))の平面図である。
【図3】ワーク(シート状機能部品)の断面図である。
【図4】第1実施形態に係る検査装置の撮影前の模式図である。
【図5】第1実施形態に係る検査装置の撮影時の模式図である。
【図6】第2実施形態に係る検査装置の模式図である。
【図7】第3実施形態に係る検査装置の模式図である。
【符号の説明】
【0045】
1…検査装置 10…インクジェットヘッド 12…圧力室 13…圧電素子 31…樹脂層 32…金属層 41…セットテーブル 42…透明プレート 43…画像認識装置 44…支持調整機構 45…コントローラ 48…セット部 49…機構組込み部 51…落射照明 52…対向照明 53…認識カメラ 70…マイクロヘッド 71…スピンドル 72…スペーサ 80…昇降機構 81…圧力センサ W…ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由状態で皺を生ずるシート状機能部品がセットされるセットテーブルと、
前記セットテーブルにセットした前記シート状機能部品を押える透明プレートと、
前記透明プレート越しに前記シート状機能部品を画像認識して、前記シート状機能部品を検査する認識検査手段と、
付着した異物により前記シート状機能部品にダメージが生じないように、且つ皺を解消して前記シート状機能部品が認識不良とならないように、前記セットテーブルに対する前記透明プレートの押圧接近位置を位置規制する押圧規制手段と、を備えたことを特徴とするシート状機能部品の検査装置。
【請求項2】
前記押圧規制手段は、前記セットテーブルの周縁部と前記透明プレートとの間に介設され、前記押圧接近位置を位置規制するスペーサを、有していることを特徴とする請求項1に記載のシート状機能部品の検査装置。
【請求項3】
前記押圧規制手段は、前記セットテーブルの周縁部に組み込まれ、前記透明プレートを前記押圧接近位置に支持すると共に、前記押圧接近位置を微調整可能な支持調整機構を、有していることを特徴とする請求項1に記載のシート状機能部品の検査装置。
【請求項4】
前記押圧規制手段は、前記透明プレートを前記セットテーブルに平行に保持すると共に、前記透明プレートを前記セットテーブルに対し相対的に昇降させて前記押圧接近位置を位置調整する昇降機構を、有していることを特徴とする請求項1に記載のシート状機能部品の検査装置。
【請求項5】
前記押圧規制手段は、前記透明プレートが前記シート状機能部品から受ける反力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記昇降機構の停止を制御する制御手段と、を更に有していることを特徴とする請求項4に記載のシート状機能部品の検査装置。
【請求項6】
前記セットテーブルは、少なくとも前記シート状機能部品がセットされるセット部が透光性の部材で構成され、
前記認識検査手段は、前記透明プレート越しに前記シート状機能部品を画像認識する認識カメラと、前記セットテーブルの下方から前記シート状機能部品を照明する対向照明と、を有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のシート状機能部品の検査装置。
【請求項7】
前記認識検査手段は、前記認識カメラと同軸上に配設され、前記透明プレートの上方から前記シート状機能部品を照明する落射照明を、更に有していることを特徴とする請求項6に記載のシート状機能部品の検査装置。
【請求項8】
前記シート状機能部品が、複数の圧力室と複数の圧電素子との間に介設したインクジェットヘッドの振動板であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のシート状機能部品の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−271037(P2009−271037A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124450(P2008−124450)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】