説明

シート積載装置及び画像形成装置

【課題】本発明の目的は、ユーザーがシートを取り出す際の視認性及び取り出し性を良好にするとともに、シートを取り出す順番がわかるようにすることである。
【解決手段】搬送されてきたシートを積載する複数のスタックトレイ571,572,573を有するフィニッシャにおいて、各スタックトレイに設けられ各スタックトレイに積載されたシートを押し出すための第一整合板576と、各第一整合板576のシートの押出量を設定して各第一整合板576の動作を制御するフィニッシャ制御部413とを有し、前記フィニッシャ制御部413は、シートが積載された順番が早いスタックトレイの第一整合板576から順に、前記押出量を少なく設定し、その設定した押出量で第一整合板576を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成されたシートを積載するシート積載装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置に用いられるシート積載装置は、排出ローラによって排出されたシートを受け取り積載する複数の積載トレイを備えているものが多くある。しかし、このようなシート積載装置は複数の積載トレイが垂直方向(シートの積載方向)に重なって配置されているため、下方に位置する積載トレイ上のシートの視認性及び取り出し性が低い。この問題に対応した複数の積載トレイを持つシート積載装置として、特許文献1、特許文献2に記載のシート積載装置が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載のシート積載装置では、画像形成されたシートは排出ローラ対によって装置内部の空間に設けられた3つの排紙トレイ上に排出される。ここで、3つの排紙トレイはそれぞれ排出方向のサイズが異なる3種のシート毎の専用のトレイであり、排出されるシートサイズによって排出先が切り替えられて積載される。各排紙トレイは排出方向下流に向かって低くなるように傾斜した状態で固定されている。また各排紙トレイの排出方向下流にはシートの下流端部を規制する規制部材が設けられている。従って、各排紙トレイ上に積載された各サイズのシートは規制部材に突き当たった状態で積載される。このように排紙トレイを排出方向下流側が低くなるように傾斜させて設けたことにより、シートをユーザーの手前側に寄せてシートの視認性を高め、シートの取り出しを容易にしている。
【0004】
また特許文献2に記載のシート積載装置では、共通の搬送経路を搬送されてきたシートが、切替部材による搬送経路の切り替えによって複数の排紙トレイのいずれかに仕分けて排出される。ここで、複数の排紙トレイは、下方の排紙トレイほど排出方向(ユーザーの手前側)に突出するように設置され、かつ、排出方向下流端部が低くなるように傾斜している。また、排紙トレイの排出方向下流端部にシート下流端部を揃える規制部材を設けている。従って、排紙トレイ上に排出されたシートはシート下流端部が規制部材に突き当たった状態で積載され、下方の排紙トレイ上のシートほど排出方向に突出した状態で積載される。このように下方の排紙トレイを排出方向に突出するように設置し、上方の排紙トレイにシートが積載されていても、下方の排紙トレイに排出されているシートに対する視認性を保っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−63898号公報
【特許文献2】特開平11−199129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のシート積載装置では、上方の排紙トレイが最も装置内部に設けられた空間内に引っ込んでいるため、この排紙トレイ上のシート束に対する視認性及び取り出し性が低いという問題がある。
【0007】
また、特許文献1及び特許文献2に記載のシート積載装置では、出力枚数の多いジョブが複数の排紙トレイに跨って積載された場合に、ユーザーがシート束を取り出す順番によってはページ順が揃わないおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、ユーザーがシートを取り出す際の視認性及び取り出し性を良好にするとともに、シートを取り出す順番がわかるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、搬送されてきたシートを積載する複数の積載手段を有するシート積載装置において、前記複数の積載手段にそれぞれ設けられ、各積載手段に積載されたシートをそれぞれ押し出すための複数の押出手段と、各押出手段によるシートの押出量を設定して各押出手段の動作を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、シートが積載された順番が早い積載手段に設けられた押出手段から順に、前記押出量が少なくなるよう設定し、それぞれに設定された押出量で各押出手段を動作させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の構成は、搬送されてきたシートを積載する複数の積載手段を有するシート積載装置において、前記複数の積載手段にそれぞれ設けられ、各積載手段に積載されたシートをそれぞれ押し出すための複数の押出手段と、各押出手段を所定のシートの押出量で動作させる制御手段と、を有し、前記制御手段は、シートが積載された順番が早い積載手段の押出手段から順に前記所定の押出量で押出手段を動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シートの押出量の変化やシートを押し出す順番を設けることにより、ユーザーがシートを取り出す際の視認性及び取り出し性を良好にすることができ、なおかつ、シートを取り出す順番を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】フィニッシャを備えた画像形成装置の模式断面図
【図2】画像形成装置のコントローラの構成を説明するブロック図
【図3】フィニッシャにおけるスタックトレイの構成を説明する斜視図
【図4】フィニッシャ制御部の構成を説明するブロック図
【図5】上排紙の動作制御を表すフローチャート図
【図6】排紙先切り替えの動作制御を表すフローチャート図
【図7】下排紙の動作制御を表すフローチャート図
【図8】下排紙先切り替えの動作制御を表すフローチャート図
【図9】第1実施形態のシート取り出し持の動作制御を表すフローチャート図
【図10】第1実施形態のシート押し出し動作を説明するスタックトレイの斜視図
【図11】第1実施形態のシート押し出し動作を説明するフィニッシャの斜視図
【図12】第2実施形態のシート取り出し持の動作制御を表すフローチャート図
【図13】第2実施形態のシート押し出し動作を説明するフィニッシャの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係るシート積載装置について図1〜図11を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1に、画像形成装置として、画像形成部を備えた画像形成装置本体100と、シート積載装置を備えたシート処理装置としてのフィニッシャ500とから構成される画像形成システムの一形態を示す。まず、画像形成システム全体の概略構成について説明し、次いでフィニッシャの構成及び動作について説明する。
【0016】
図1に例示した画像形成システムは、シートに白黒及びカラーの画像形成を行う画像形成部400を備えた画像形成装置本体100と、装置本体100から排出されたシートに選択的に処理を施すフィニッシャ500とから構成されている。
【0017】
画像形成装置本体100は、自動原稿送り装置200及び給紙装置300を備えている。画像形成装置本体100は、給紙装置300から給紙されたシートに対して画像形成部400にて片面又は両面にプリント処理を行うものである。画像形成装置本体100においてプリント処理されたシートはシート処理装置としてのフィニッシャ500に送り込まれる。
【0018】
フィニッシャ500は、画像形成装置本体100から排出されたシートを装置内部に取り込むための搬送パス520を持ち、搬送パス520には、複数の搬送ローラ対が設けられている。搬送パス520途中にはパンチユニット530が設けられており、パンチユニット530は必要に応じて動作を行い、搬送されるシートの搬送方向上流側の端部(後端部)に穴あけ(穿孔)処理を行う。
【0019】
搬送パス520の終端に設けられた切替部材513は、下流に繋がれた上排紙パス521と下排紙パス522とに経路を切り替えるものである。上排紙パス521へ搬送されたシートは、排出手段としての排紙ローラ対540によりスタックトレイ571へ排出される。一方、下排紙パス522へ搬送されたシートは、まず処理トレイ550へ排出され、処理トレイ550上で順次整合処理されながら束状に収容され、操作部からの設定に応じて、仕分け処理やステイプル処理が行われる。処理が行われたシートは、その後、排出手段としての束排紙ローラ対551によりスタックトレイ571,572,573に排出される。
【0020】
スタックトレイ571〜573は、装置本体から排出されたシートを積載する積載手段である。ここでは、複数の積載手段として3つのスタックトレイ571〜573を例示しているが、積載手段の数はこれに限定されるものではない。
【0021】
スタックトレイ571〜573は各スタックトレイに備えられるトレイ昇降モータ581の駆動により上下方向に移動可能に構成されている。上側のスタックトレイ571は上排紙パス521と処理トレイ550からのシートを受け取ることができる。また、下側のスタックトレイ572,573は、処理トレイ550からのシートを受け取ることができる。
【0022】
次に、本画像形成システム全体の制御を司るコントローラの構成について図2を参照しながら説明する。図2は図1の画像形成システム全体の制御を司るコントローラの構成を示すブロック図である。
【0023】
コントローラは、図2に示すように、CPU回路部406を有し、CPU回路部406、CPU407、ROM408、RAM409を内蔵し、ROM408に格納されている制御プログラムにより各ブロック401〜405、410〜413を総括的に制御する。RAM403は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
【0024】
操作部410は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー、設定状態を示す情報を表示するための表示部などを有している。操作部410は、各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部406に出力するとともに、CPU回路部406からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。操作部410は、後述するスタックトレイ内のシートの取り出しの操作も行う。
【0025】
認証手段としてのカード読み取り部411は、ユーザーが所持するIDカードの情報を読み取ることで、操作部410にユーザーの情報(ジョブや細かいセッティング等)を表示することができる。
【0026】
制御手段としてのフィニッシャ制御部413は、後述する複数の押出手段としての各整合板によるシートの押出量を設定して、各整合板の動作を制御する。フィニッシャ制御部413はフィニッシャ500に搭載され、CPU回路部406と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ500の制御を行う。フィニッシャ制御部413はスタックトレイの制御も行っており、この制御内容の詳細に関しては後述する。
【0027】
次に、積載手段としてのスタックトレイの詳細構成及びシーケンスについて、図3〜図11を用いて説明する。
【0028】
図3はスタックトレイの構成を示す斜視図、図4はフィニッシャ制御部のブロック図である。図5は上排紙の場合の動作について説明するフローチャート図、図6は排紙の場合のスタックトレイ切替動作について説明するフローチャート図である。図7は下排紙の場合の動作について説明するフローチャート図、図8は下排紙の場合のスタックトレイ切替動作について説明するフローチャート図である。
【0029】
図9はスタックトレイからシートを取り出す場合の動作について説明するフローチャート図である。図10はスタックトレイのシート押し出し動作を示した斜視図である。図11はユーザーのジョブが複数のスタックトレイに跨る場合の各スタックトレイのシート押し出し動作を示した斜視図である。
【0030】
まず、スタックトレイの構成について説明する。積載手段としてのスタックトレイ571,572,573は、同様の構成となっている。図3に示すように、各スタックトレイは、積載されたシートを押し出すための第一整合板(押出手段)576を有している。この第一整合板576は、第二整合板577とともにシートの搬送方向と直交する幅方向の端部を規制してシートの幅方向の整合を行う整合手段であり、押出手段を兼ねている。
【0031】
第二整合板577は、シートを整合する整合位置と、整合位置から退避した退避位置とに移動可能に設けられている。第二整合板577は、ソレノイド580の励磁を解除(OFF)することで付勢ばね581により退避位置に移動し、ソレノイド580を励磁状態(ON)することで整合位置に移動する。
【0032】
また各スタックトレイは、それぞれ、積載されたシートの有無を検知するシート検知センサ(検知手段)584を有している。フィニッシャ制御部413は、このシート検知センサ584の検知情報に応じて、第一整合板576、第二整合板577の動作を制御する。この動作制御については後述する。
【0033】
次に、図5を用いて上排紙シーケンスについて説明する。
【0034】
最初に整合モータ575の駆動により、第一整合板576がシートの搬送方向と直交する幅方向に移動して整合初期位置に移動する(S700、S701)。この第一整合板576の位置出しは整合板位置センサ578で行う。
【0035】
続いて、シートの搬送が開始され(S702)、図1の排紙ローラ対540によって排出されたシートはスタックトレイ571に排出される。スタックトレイ571に排出されたシートは、スタックトレイ571の入口において、入口センサ579によって検知され(S703)、その後、図3のストッパ574に突き当たり停止する。このストッパ574への突き当てによりシートの搬送方向の整合が行われる。
【0036】
次に、整合モータ575の駆動により第一整合板576がシート幅方向に対し往復動作を行い、第一整合板576と第二整合板577によってシート幅方向の整合が行われる(S704)。
【0037】
ここで、第一整合板576の往復動作のタイミングは入口センサ579のシート検知を基準に行う。また、第二整合板577は装置正面側に回動可能な構成になっているが、この段階ではソレノイド580の駆動により第二整合板577は整合位置(図3に示す位置)に固定されている。そのため、第一整合板576の往復動作によって第二整合板577が装置正面側に逃げることはない。
【0038】
その後、ユーザーのジョブが終了したかどうかをフィニッシャ制御部413が確認し(S705)、終了している場合は、上排紙シーケンスは終了となる(S706)。ジョブが終了していない場合は、次にスタックトレイ571が満載かどうかを確認し(S707)、満載でない場合は、上記のシート搬送、整合動作を再び行う。スタックトレイ571が既に満載であった場合は、排紙先切り替えシーケンスに移行し(S710)、上排紙シーケンスは終了となる(S706)。
【0039】
次に、図6を用いて排紙先切り替えシーケンスについて説明する。
【0040】
スタックトレイ571が満載状態になった後もユーザーのジョブが続いている場合、その後のシートは下排紙パス522を通り、スタックトレイ572,573のどちらかに積載される。
【0041】
まずスタックトレイ572上のシート検知センサ584がシートの有無を確認する(S711)。ここでは、シート有りの場合をON、シート無しの場合をOFFとする。シート検知がOFFであった場合は、スタックトレイ572が下排紙位置に移動する(S712)。その後、切替部材513の切り替え(S713)によりシートが下排紙パス522に案内され、スタックトレイ572にシートが排出、積載される(S714)。
【0042】
シート検知がONであった場合は、次にスタックトレイ573上のシート検知センサ584のシートの有無を確認する(S715)。シート検知がOFFであった場合は、スタックトレイ573が下排紙位置に移動し(S716)、その後、切替部材513の切り替え(S717)によりシートが下排紙パス522に案内され、スタックトレイ573にシートが排出、積載される(S718)。
【0043】
スタックトレイ572,573上のシート検知センサ584,584が共にシート検知がONであった場合は、どちらかのシート検知がOFFになるまでユーザーのジョブを停止する(S719)。
【0044】
続いて、図7を用いて下排紙シーケンスについて説明する。
【0045】
以下、下排紙シーケンスで最初に排紙場所として選択されるトレイがスタックトレイ572として説明する。スタックトレイへの排紙からシート束の整合までのシーケンス(S720〜S724)は上排紙シーケンスの場合と同様のため、説明を省略する。
【0046】
第一整合板576によるシート整合動作後、ユーザーのジョブが終了したかどうかをフィニッシャ制御部413が確認する(S725)。ジョブが終了している場合は、下排紙先切り替えシーケンスに移行し(S730)、下排紙シーケンスは終了する(S728)。下排紙先切り替えシーケンスについては後述する。
【0047】
ジョブが終了していない場合は、次にスタックトレイ572が満載かどうかを確認し(S726)、満載でない場合は、上記のシート搬送、整合動作を再び行う。スタックトレイ572が既に満載であった場合は、下排紙先切り替えシーケンスに移行し(S730)、下排紙シーケンスは終了する(S727)。
【0048】
次に図8を用いて下排紙先切り替えシーケンスについて説明する。
【0049】
スタックトレイ572が満載状態になった後もユーザーのジョブが続いているか、あるいは、他ユーザーのジョブが既に予約されている場合、最初にスタックトレイ573上のシート検知センサ584がシートを検知しているかを確認する(S731)。シート検知がOFFであった場合は、まずスタックトレイ572が下排紙位置から退避する(S732)。次にスタックトレイ573が下排紙位置に移動(S733)した後で、スタックトレイ573にシートが排出、積載される(S734)。
【0050】
シート検知がONであった場合、次にスタックトレイ571上のシート検知センサ584のシート検知の有無を確認する(S735)。シート検知がOFFであった場合は、まずスタックトレイ572が下排紙位置から退避する(S736)。次にスタックトレイ571が下排紙位置に移動(S737)した後で、スタックトレイ571にシートが排出、積載される(S738)。スタックトレイ571,573上のシート検知センサ584,584が共にシート検知がONであった場合は、どちらかのシート検知がOFFになるまでユーザーのジョブを停止する(S739)。
【0051】
続いて、図9を用いてシート取り出しシーケンスについて説明する。
【0052】
上排紙シーケンスまたは下排紙シーケンスが終了したスタックトレイ571〜573は、以下のシート取り出しシーケンスを行うことでシートの取り出しが可能になる。ここでは、トレイに積載されたシートとして、複数枚のシートからなるシート束を例示して説明する。
【0053】
まず、ユーザーが操作部410でシート束の取り出しを選択し(S740,S741)、カード読み取り部411に自身のIDカードをかざして認証作業を行う(S742)。認証が成功した場合は、フィニッシャ制御部413がユーザーのジョブがどのスタックトレイに排出されているかを確認する(S743)。ここで、認証が失敗した場合は、操作部410でのシート取り出し選択まで作業が戻る。
【0054】
次に、排出先の確認結果に基づいて、フィニッシャ制御部413が、ユーザーのジョブが複数のスタックトレイに積載されているかを判断する(S744)。ユーザーのジョブが複数のスタックトレイに跨って排出されている場合は、シート束の押し出し動作に入る前に、各スタックトレイのシート束の押出量を決定する。この際、フィニッシャ制御部413は、シートが積載された順番が早いスタックトレイに設けられた第一整合板から順に、前記シート束の押出量が少なくなるよう設定する。
【0055】
具体的には、例えばユーザーのジョブが最も早く排出されたスタックトレイ571に設けられた整合板によるシート束の押出量は、シート束の装置正面方向先端がスタックトレイ571から突出する第一押出量に設定する(S745)。その他のスタックトレイ572,573に設けられた整合板によるシート束の押出量は、シート束の装置正面方向先端がスタックトレイ572,573から突出しない第二押出量に設定する(S746)。
【0056】
ここで、装置正面方向とは操作部が設けられた側であり、第一整合板576がシート束を押し出す押出方向下流である。すなわち、シート束の装置正面方向先端とは、シート束の押出方向下流端部である。
【0057】
シート束の押出量を設定した後は、各スタックトレイのソレノイド580の励磁を解除する(S747)。ユーザーのジョブが単一のスタックトレイのみに排出されている場合は、シート束の端部がトレイから突出する第一押出量に設定し(S748)、該当するスタックトレイのソレノイド580の励磁を解除する(S747)。
【0058】
ソレノイド580の励磁を解除すると、それに伴い付勢バネ582により第二整合板577が装置正面側に回動する(図10(b))。続いて、ユーザーのジョブが積載されたスタックトレイの整合モータ575の駆動により、第一整合板576が装置正面側に設定された押出量で移動する(S749)。これにより、シート束が押し出される(S750)(図10(c))。
【0059】
ここで、ユーザーのジョブが複数のスタックトレイに積載されている場合、スタックトレイ571では図11(a)に示すようにシート束の端部がトレイから突出して押し出されているので、シート束の取り出しを容易に行うことができる。一方、スタックトレイ572,573ではシート束の端部がトレイから突出しないように押し出されているので、スタックトレイ571のシート束に比べて、シート束の取り出しが難しい構成になっている。このように、ユーザーが最初に取り出すべきシート束を限定することができる。また、ユーザーのジョブが単一のスタックトレイのみに排出されている場合は、該当するトレイのシート束の端部がトレイから突出して押し出されているので、シート束の取り出しを容易に行うことができる。
【0060】
ユーザーがスタックトレイ571上のシート束を取り出すと、シート検知センサ584によりスタックトレイ571上にシート束が無いことが検知される(S751)。すると、ソレノイド580が再び励磁状態になり、第二整合板577が起立して、スタックトレイ571への積載が可能になる。
【0061】
シート束の取り出し後、ユーザーのジョブが積載されているスタックトレイがあるかをフィニッシャ制御部413が確認する(S752)。該当するスタックトレイが無い場合、すなわちユーザーのジョブが単一のスタックトレイに積載されている場合は、シート取り出しシーケンス終了となる(S755)。
【0062】
該当するスタックトレイがある場合、すなわちユーザーのジョブが複数のスタックトレイに跨って積載されている場合は、続けて以下のように押し出し動作を行う。例えば、ユーザーのジョブが二番目に排出されたスタックトレイ572の整合モータ575を駆動させ、スタックトレイ572上のシート束の先端がスタックトレイ572から突出するまで、第一整合板576による押し出し動作を行う(S753)(図11(b))。
【0063】
シート束の押し出しが完了し(S754)、ユーザーによってシート束が取り出されると、シート検知センサ584によりスタックトレイ572上にシート束が無いことが検知される(S751)。すると、ユーザーのジョブが積載されているスタックトレイがあるかをフィニッシャ制御部413が再び確認し(S752)、該当するスタックトレイが無い場合はシート取り出しシーケンス終了となる(S755)。
【0064】
該当するスタックトレイがある場合は、ユーザーのジョブが三番目に排出されたスタックトレイ(以下このスタックトレイをスタックトレイ573とする)に対しS751〜S755のシーケンスを行う。これにより、図11(c)に示すようにスタックトレイ573のシート束が押し出される。
【0065】
以下、同様のシーケンスを繰り返すことで、ユーザーのジョブが複数のスタックトレイに跨っている場合でも、ユーザーが該当するスタックトレイを把握することができ、且つユーザーに取り出すべき順番を示すことができる。
【0066】
上述したように、本実施形態によれば、ユーザーがシートを取り出す際の視認性及び取り出し性を良好にすることができ、なおかつ、シートを取り出す順番を示すことができる。
【0067】
なお本実施形態では、各スタックトレイに設けられた整合板によるシートの押出量を二段階に分けて、ユーザーに取り出すべき順番を示す構成を例示したが、整合板によるシートの押出量は二段階に限定されるものではない。シートが積載された順番が早いスタックトレイに設けられた第一整合板から順に、前記押出量が少なくなるよう設定し、それぞれに設定された押出量で各第一整合板を動作させることで、取り出すべき順番を示すことができる。
【0068】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係るシート取り出しのシーケンスについて、図10、図12、図13を用いて説明する。
【0069】
図12はスタックトレイからシートを取り出す場合の動作について説明するフローチャート図、図13はユーザーのジョブが複数のスタックトレイに跨る場合の各スタックトレイの押し出し動作を示した斜視図である。
【0070】
なお、画像形成装置全体の構成、スタックトレイの詳細構成、制御部のブロック図、上排紙シーケンス、下排紙シーケンス、排紙先切り替えシーケンス等については、前述した第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0071】
本実施形態に係るシート取り出しのシーケンスについて説明する。本実施形態では、フィニッシャ制御部413が、シートが積載された順番が早いスタックトレイの第一整合板から順に所定の押出量で第一整合板を動作させる。ここで、所定の押出量とは、シートの押出方向下流端部がスタックトレイから突出する押出量である。
【0072】
まず、ユーザーが操作部410でシート束の取り出しを選択し(S760,S761)、カード読み取り部411に自身のIDカードをかざして認証作業を行う(S762)。認証が成功した場合は、フィニッシャ制御部413がユーザーのジョブがどのスタックトレイに排出されているかを確認する(S763)。ここで、認証が失敗した場合は、操作部でのシート取り出し選択まで作業が戻る。
【0073】
次に、ユーザーのジョブが最も早く排出されたスタックトレイ(以下このスタックトレイをスタックトレイ571とする)のソレノイド580の励磁を解除する(S764)。ソレノイド580の励磁を解除すると、それに伴い付勢バネ582により第二整合板577が装置正面側に回動する(図10(b))。続いて、ユーザーのジョブが積載されたスタックトレイの整合モータ575の駆動により、第一整合板576が装置正面側に所定の押出量で移動する(S765)。これにより、シート束の端部がトレイから押し出される(S766)(図10(c)、図11(a))。
【0074】
ユーザーがスタックトレイ571上のシート束を取り出すと、シート検知センサ584によりスタックトレイ571上にシート束が無いことが検知される(S767)。すると、ソレノイド580が再び励磁状態になり、第二整合板577が起立して、スタックトレイ571への積載が可能になる。
【0075】
シート束の取り出し後、ユーザーのジョブが積載されているスタックトレイがあるかをフィニッシャ制御部413が確認する(S768)。該当するスタックトレイが無い場合、すなわちユーザーのジョブが単一のスタックトレイに積載されている場合は、シート取り出しシーケンス終了となる(S772)。
【0076】
該当するスタックトレイがある場合、すなわちユーザーのジョブが複数のトレイに跨って積載されている場合は、続けて以下のように押し出し動作を行う。すなわち、ユーザーのジョブが二番目に排出されたスタックトレイ(以下このスタックトレイをスタックトレイ572とする)のソレノイド580の励磁を解除する(S769)。次にスタックトレイ572の整合モータ575を駆動させ、スタックトレイ572上のシート束の装置正面方向先端がスタックトレイ572から突出するまで、第一整合板576による押し出し動作を行う(S770)(図13(b))。
【0077】
シート束の押し出しが完了し(S771)、ユーザーによってシート束が取り出されると、シート検知センサ584によりスタックトレイ572上にシート束が無いことが検知される(S767)。すると、ユーザーのジョブが積載されているスタックトレイがあるかをフィニッシャ制御部413が再び確認し(S768)、該当するスタックトレイが無い場合はシート取り出しシーケンス終了となる(S772)。
【0078】
該当するスタックトレイがある場合は、ユーザーのジョブが三番目に排出されたスタックトレイ(以下このスタックトレイをスタックトレイ573とする)に対しS767〜S772のシーケンスを行う。これにより、図13(c)に示すようにスタックトレイ573のシート束が押し出される。
【0079】
以下、同様のシーケンスを繰り返すことで、ユーザーのジョブが複数のスタックトレイに跨っている場合でも、ユーザーが該当するスタックトレイを把握することができ、且つユーザーに取り出すべき順番を示すことができる。
【0080】
上述したように、本実施形態においても、ユーザーがシートを取り出す際の視認性及び取り出し性を良好にすることができ、なおかつ、シートを取り出す順番を示すことができる。
【0081】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、シートを積載する積載手段としてのトレイを3つ使用しているが、この使用個数は限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。
【0082】
また前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に用いられるシート積載装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0083】
また前述した実施形態では、画像形成装置の装置本体に対して着脱自在なシート積載装置を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば画像形成装置が一体的に有するシート積載装置であっても良く、該シート積載装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0084】
100 …画像形成装置本体
400 …画像形成部
410 …操作部
411 …カード読み取り部
413 …フィニッシャ制御部
500 …フィニッシャ
540 …排紙ローラ対
550 …処理トレイ
551 …束排紙ローラ対
571,572,573 …スタックトレイ
574 …ストッパ
575 …整合モータ
576 …第一整合板
577 …第二整合板
578 …整合板位置センサ
579 …入口センサ
580 …ソレノイド
581 …トレイ昇降モータ
584 …シート検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてきたシートを積載する複数の積載手段を有するシート積載装置において、
前記複数の積載手段にそれぞれ設けられ、各積載手段に積載されたシートをそれぞれ押し出すための複数の押出手段と、
各押出手段によるシートの押出量を設定して各押出手段の動作を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、シートが積載された順番が早い積載手段に設けられた押出手段から順に、前記押出量が少なくなるよう設定し、それぞれに設定された押出量で各押出手段を動作させることを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記制御手段は、シートが積載された順番が早い積載手段に設けられた押出手段から順に、前記押出手段による押出量を、シートの押出方向下流端部が積載手段から突出する第一押出量と、シートの押出方向下流端部が積載手段から突出しない第二押出量に設定することを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記制御手段は、シートが積載された順番が最も早い積載手段に設けられた押出手段の押出量を前記第一押出量に設定し、その他の積載手段に設けられた押出手段の押出量を前記第二押出量に設定することを特徴とする請求項2に記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記複数の積載手段にそれぞれ設けられ、各積載手段に積載されたシートの有無をそれぞれ検知する複数の検知手段を有し、前記制御手段は、前記第一押出量に設定された押出手段を有する積載手段に設けられた検知手段がシートの無いことを検知した後、前記第二押出量に設定された押出手段を有する積載手段のうち、シートが積載された順番が最も早い積載手段の押出手段の押出量を前記第一押出量に設定し、設定された第一押出量で前記押出手段を動作させることを特徴とする請求項3に記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記複数の積載手段にそれぞれ設けられ、各積載手段に積載されたシートをそれぞれ整合する複数の整合手段を有し、前記複数の整合手段が前記複数の押出手段を兼ねていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項6】
ユーザーを認証する認証手段を有し、前記制御手段は、認証したユーザーのシートが積載された積載手段の押出手段の押出量を、シートが積載された順番が早い積載手段の押出手段から順に少なくなるよう設定し、それぞれに設定された押出量で各押出手段を動作させることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項7】
搬送されてきたシートを積載する複数の積載手段を有するシート積載装置において、
前記複数の積載手段にそれぞれ設けられ、各積載手段に積載されたシートをそれぞれ押し出すための複数の押出手段と、
各押出手段を所定のシートの押出量で動作させる制御手段と、を有し、
前記制御手段は、シートが積載された順番が早い積載手段の押出手段から順に前記所定の押出量で押出手段を動作させることを特徴とするシート積載装置。
【請求項8】
前記複数の積載手段にそれぞれ設けられ、各積載手段に積載されたシートの有無をそれぞれ検知する複数の検知手段を有し、前記制御手段は、前記所定の押出量で動作された押出手段を有する積載手段に設けられた前記検知手段がシートの無いことを検知した後、シートが積載された順番が次の積載手段の押出手段を前記所定の押出量で動作させることを特徴とする請求項7に記載のシート積載装置。
【請求項9】
前記複数の積載手段にそれぞれ設けられ、各積載手段に積載されたシートをそれぞれ整合する複数の整合手段を有し、前記複数の整合手段が前記複数の押出手段を兼ねていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のシート積載装置。
【請求項10】
ユーザーを認証する認証手段を有し、前記制御手段は、認証したユーザーのシートが積載された積載手段の押出手段を、シートが積載された順番が早い積載手段の押出手段から順に前記所定の押出量で動作させることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項11】
シートに画像を形成する画像形成部と、画像形成されたシートを積載するシート積載装置と、を有する画像形成装置において、
前記シート積載装置として、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のシート積載装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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