説明

シート終端検出装置

【課題】終端検出装置をコンパクト化させると共に、フィルムがばたついたりフィルム搬送経路が変動したりしてもフィルム終端を検出できる。
【解決手段】縦形製袋充填包装機のフィルム終端検出装置は、フィルムfを繰り出し可能に軸体に巻回したフィルムロール5と、繰り出されたフィルムfをガイドする直下流ガイド9と、フィルムfを巻回してなるフィルムロール5に重なる進出位置と退避した退避位置との間で進退可能な検出手段22とを備える。フィルムfの繰り出しによってフィルムロール5が検出手段22の退避位置より小径化された状態で検出手段22をフィルムロール5に干渉することなく進出位置に進出させ、フィルム終端部faを検出手段22のセンサー26で検知して、駆動モータを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙管等の軸体にフィルム等のシートを巻回したロール体からシートを繰り出して軸体に連結されたシート終端を検出できるようにしたシート終端検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状のロール紙がロール状に巻回されたロール部からロール紙を繰り出して、ロール紙の終端を検出する終端検出装置として例えば特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1に記載のロール紙の終端検出装置において、帯状のロール紙を紙管等からなる芯体に巻回してなるロール部は、ロール紙の終端が芯体に粘着テープや接着剤等で固定されているものがある。包装等に供するためにロール部から繰り出し機や用紙搬送装置等によってロール紙を繰り出すと芯体も回転し、ロール紙の繰り出しが進むにつれてロール紙の搬送経路がロール部の芯体に近接する方向即ち径方向中心側に移動する。
【0003】
そして、芯体の回転によって繰り出されたロール紙が終端に到達すると、芯体に固定されたロール紙終端が芯体の回転によって芯体の接線方向の一端から他端側に揺動し、ロール紙の搬送経路が極端に変動する。そして、ロール紙の終端が芯体との固定部を引っ張ることで芯体と分断されてしまう。ロール紙の繰り出しを継続する場合、ロール部を交換して分断された先のロール紙終端と新しいロール紙先端を連結するのに手間がかかることになる。
【0004】
そのため、上述した終端検出装置では、ロール紙の終端が芯体に分断されるのを防止するために、ロール部からロール紙を繰り出す際に、ロール部の外周に当接して配設されている検出アームがロール部の外径の変化に応じて支軸を中心に芯体方向に回動するよう弾性部材等で付勢されて構成されている。そして、繰り出されるロール紙が終端に到達すると、検出アーム先端に取り付けられた検出スイッチが繰り出されるロール紙の終端付近に当接したり近接したりすることで、ロール紙の終端を検出する。
これによって芯体の回転を停止させ、ロール紙が芯体から分断されたりすることを防止している。
【0005】
また、特許文献2に記載されたウエブ材の終端検出装置では、ロール体自体が回転してロール体から帯状のウエブ材が繰り出され、ウエブ材の終端がロール体の紙管から繰り出された場合、紙管は同じ繰り出し方向に回転し続けようとするために繰り出されたウエブ材は紙管に逆方向に巻き取られる。そこで、繰り出されたウエブ材のガイドローラに逆方向回転を検知する逆回転検知手段を設けてウエブ材の反転を検知してウエブ材が終端まで繰り出されたことを検出し、紙管の回転を停止させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−3961号公報
【特許文献2】特開2007−254084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された終端検出装置は、ロール部の初期のロール径が大きいとその外周面に弾性で当接する検出アームも長くして大型化させないと、ロール紙を繰り出してロール径が小さくなったときに支軸を中心に回動する検出アーム先端に設けた検出センサーがロール紙終端に当接したり近接したりすることが困難になり、ロール紙終端を検出できなくなるという不具合が発生する。
また、芯体にロール紙が巻回されたロール部とロール紙の繰り出しをガイドする駆動ローラとの間にロール紙の走行方向をガイドするガイドが設けられており、装置が大型になる欠点があった。この装置をコンパクトにするためにはロール紙の芯体と駆動ローラとの距離を短くする必要があるが、その場合、ロール部からロール紙を繰り出す際にロール紙の繰り出し角度が大きく変化して、ロール紙の繰り出しで小径化されたロール部と駆動ローラとの間で繰り出されたロール紙が変位したり揺動する等してバタツクことがあった。そして、このバタツキを検出アームに設けた検出スイッチで誤検知することがあるために、ロール紙終端の検出が不正確になることがあった。
【0008】
また、特許文献2に記載された終端検知装置においても、ウエブ材が終端まで繰り出された後、巻き取られ方向へ移動するのを検知することで終端を検出するものであるから、ロール体から離間した位置にウエブ材の逆回転検知手段を設けており、更にウエブ材を逆回転検知手段に接触させるか近接させるためにウェブ材の吸着手段が設けられており、終端検知装置が複雑で大型化する欠点がある。
しかも、ロール体の紙管によってウエブ材が巻き取られ方向に移動するとウエブ材の終端を検知できないためにウェブ材に張力が働いてウエブ材の終端が紙管から分断されるおそれもあった。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みて、装置をコンパクトにすると共に、シート搬送経路が変動してもロール体から繰り出されたシート終端を確実に検出できるようにしたシート終端検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるシート終端検出装置は、シートを繰り出し可能に軸体に巻回したロール体と、該ロール体から繰り出されるシートをガイドするガイド部材と、ロール体の最大外径と最小外径の範囲でロール体上に進出した進出位置とロール体から退避した退避位置との間で進退可能な検出手段とを備えていて、シートの繰り出しによってロール体が検出手段の進出位置より小径になった状態で検出手段をロール体上の進出位置に移動させてシート終端を検知するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、ロール体を回転させてシートを繰り出す際、繰り出し初期ではロール体の外径が検出手段の進出位置よりも大径であり、検出手段は退避位置に保持され、シートの繰り出しが進んで検出手段の進出位置よりもロール体が小径となった場合に、検出手段は退避位置からロール体に干渉することなく進出位置に移動する。そして、シート繰り出しが進んでシート終端がロール体の軸体の例えば接線方向に延びた状態に露出すると、軸体の同一方向の回転によってシート終端は軸体に固定された外周面に沿って一方の接線方向から他方の接線方向側に変動する過程で検出手段によって検知される。その際、シート終端はガイド部材を支点として回動する過程で検出手段に接触して検知されてもよいし、検出手段とは非接触な状態で検知されてもよい。いずれの場合でも検出手段によってシート終端またはその近傍が検知されて軸体の回転駆動は中止されシート終端の逆巻回は阻止される。
【0011】
また、検出手段はロール体の最大外径より小径の位置に対向して設置されており、ロール体の中心軸に沿った方向に往復移動して進出位置と退避位置とを選択的に取り得るようにしてもよい。
このような構成にすれば、シート終端検出装置をロール体の径方向外側に配設して装置が大型化することがない。
また、検出手段は、退避位置で中心軸を回転駆動させる駆動モータの近傍に位置するようにしてもよい。
検出手段が退避位置にある状態でもロール体の中心軸を回転させる駆動モータ近傍に検出手段を退避させるから、退避位置にある検出手段によって装置の占有スペースが増大することを抑制できる。
【0012】
また、シートを繰り出すことで変化するロール体の外径寸法を検知する外径測定手段と、ロール体の外径寸法が検出手段の進出位置より小径化されたことを判別して検出手段を進出位置に移動させる制御手段とを備えていてもよい。
シートを繰り出すことで変化するロール体の外径寸法を外径測定手段で検知し、ロール体の外径寸法が所定値以下に小径化されたことを制御手段で判別すると、制御手段からの信号によって検出手段を進出位置へ移動させる。これにより、小径化されたロール体上に移動する検出手段は、シートを繰り出す前のロール体の外径の内側に位置するために占有スペースを増大させることがなく、装置のコンパクト化に寄与する。
【0013】
また、駆動モータの回転数を測定するモータ回転数測定手段と、ロール体の外径寸法に応じてシートの繰り出し量を制御するために駆動モータ回転数を制御すると共に駆動モータ回転数が予め設定した回転数以上になったことを検知して検出手段を進出位置に進出させる制御手段とを備えていてもよい。
ロール体の外径寸法に応じてシートの繰り出し量を制御するために軸体の駆動モータの回転数をモータ回転数測定手段で測定すると、この測定データに基づいて制御手段では駆動モータ回転数が予め設定した回転数以上になったことを検知し、検出手段を進出位置に進出させる。この場合、駆動モータの回転数の変化によってロール体の変化する外径寸法を演算で検出できるから、シートの繰り出しによってロール体の外径寸法が検出手段の退避位置よりも小径化した時点で検出手段を進出位置に突出させることができる。
【0014】
また、検出手段を進退移動させる検出手段移動部材を備えており、検出手段移動部材は検出手段の進出位置と退避位置との間で進退させる検出アームと、検出アームを進退移動させる直動シリンダとを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるシート終端検出装置によれば、シートが繰り出されてロール体が小径化された状態で検出手段をロール体上に進出させ、軸体の回転によるシート終端の搬送経路の変動を確実に検出手段で検知できるから、シート終端を確実に検出して軸体を停止できて、シート終端がロール体から分断したり、軸体に逆巻回されるのを阻止できる。
しかも検出手段は、繰り出し開始前のロール体の外周側に設けられることもなくロール体外径より内側で退避位置に保持され、ロール体が小径化されるとロール体に干渉することなく進出位置に移動してシート終端を検出するから、装置をコンパクトにできる。
また、検出手段は軸体に近接する進出位置でシート終端を検知できるから、繰り出されるシートがバタついたとしてもその影響を受けずにシート終端を正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態によるフィルム終端検出装置を備えた製袋機の概略図である。
【図2】フィルムロールの繰り出し機構とフィルム終端検出装置とを示す拡大正面図である。
【図3】図2に示すフィルムロールと検出手段を示す側面図である。
【図4】図2の平面図である。
【図5】(a)は図3に設けた検出移動手段の平面図、(b)は同じく側面図である。
【図6】フィルム終端検出装置の制御機構を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態による縦形製袋充填包装機に設けられたフィルム終端検出装置について図1乃至図6により説明する。
図1に示す縦形製袋充填包装機1は、フィルム供給部2と縦形製袋充填装置3とを備えている。フィルム供給部2は、帯状に連続するフィルムfが巻回されたロール体としてのフィルムロール5と、フィルムロール5から繰り出されたフィルムfを搬送するための複数のガイド用のローラ10、11,12,13,14とを備えている。
図1及び図2において、フィルムロール5は中心に軸体として管状のリールコア7が設けられ、リールコア7の外周面には巻回されたフィルムfの終端が図示しないテープや接着剤等によって固定されている。フィルムロール5のリールコア7の中心から外周面までの半径Dは適宜の長さに設定されている。リールコア7は駆動モータMにより回転する中心軸であるリール軸に取り付けられていて、駆動モータMの回転力により回転してフィルムfを繰り出す。
【0018】
フィルム供給部2は、フィルムロール5から繰り出されたフィルムfの走行方向を変更するガイド部材としての直下流ローラ9と、直下流ローラ9に続いてガイドローラ10を介して搬送されるフィルムfの張力を調整するために上下方向に移動可能なダンサローラ11とを備えている。更にダンサロール11と縦形製袋充填装置3との間には、ダンサローラ11と対向する位置にガイドローラ12が設けられ、更にフィルムfの走行をガイドするための複数のガイドローラ13、14が配設されている。
【0019】
図1に示す縦形製袋充填装置3は、縦形の製袋チューブ15の上部に設けたセーラ16を通してフィルム供給部2から搬送されるフィルムfを筒状に成形する。その下側には略筒状のフィルムfの両端を加熱シールする縦ヒータ17と、略筒状フィルムfを下方に送る繰り出しベルト18とが配設されている。製袋チューブ15の下方には、略筒状のフィルムfで形成された先行する袋Fの頂部と後続の袋Fの底部を同時に加熱シールすると共にカッタで切断する横シーラ19が開閉可能に配設されている。
底部を加熱シールされた後続の袋Fは製袋チューブ15の上部から供給される粒状体等の内容物を充填して頂部を加熱シールすることになる。
なお、駆動モータMの回転は、フィルムロール5の繰り出し量と繰り出しベルト18のフィルム繰り出し量とが同一になるように制御されている。
【0020】
次にフィルム供給部2に設けられたフィルム終端検出装置20について図1乃至図6により説明する。
フィルムfは繰り出し中、フィルムロール5と直下流ローラ9の外径を結ぶ接線を搬送経路にしている。フィルムfはリールコア7に固定されているので、フィルムが繰り出された最後にはフィルムfは、フィルムfとリールコア7の固定部から直下流ローラ9の外径に接する直線部分を搬送経路にする。この搬送経路のフィルムfをフィルム終端部faとする。
図1及び図4において、フィルムロール5のリールコア7を駆動するための駆動モータMの外周側にはフィルムロール5の一方の端面5aに対向する位置にフィルム終端部faの検出手段22がフィルムロール5の中心軸に沿った方向に進退可能に設けられている。
検出手段22を進退移動させる検出手段移動部材21として、図5(a)、(b)に示すように、フィルム供給部2の図示しないフレームに直動シリンダ23が支持されている。直動シリンダ23の長手方向後端側には直動シリンダ23の長手方向先端側との間で往復動可能な往復駆動体24が設けられ、往復動駆動体24には摺動プレート25が連結されている。なお、検出手段移動部材21において、直動シリンダ23の先端側とはフィルムロール5側をいい、後端側とはフィルムロール5の端面5aと反対側をいう。
摺動プレート25は平面視で先端側が略へ字形状に屈曲しており、その屈曲した先端部にはフィルムfの終端faを検出するためのセンサー26が設けられている。センサー26はフィルムロール5と直下流ローラ9との間に張られたフィルムfの内面に対向して位置している。そして、センサー26は、図2及び図3に示すように、小径化されたフィルムロール5外周面のリールコア7にできるだけ近接した位置であることが好ましい。
センサー26はフィルム終端部faに接触して検知する例えばリミットスイッチやマイクロスイッチ等の接触型のセンサーでよいし、非接触で検知する例えば静電容量センサーや光センサー等の非接触型センサーでもよい。
【0021】
図2〜図5に示す例では、センサー26はリミットスイッチとされている。この場合、図2において、フィルムロール5の中心から直下流ローラ9の外径に接する直線上にスイッチ26の感知部26a(リミットスイッチでは感知レバー)が配設されている。この直線上でフィルム終端部faは最短のフィルム終端部fasになる。
【0022】
そのため、図2及び図3に示すように、フィルムロール5からフィルムfが繰り出されてリールコア7が露出して、フィルム終端部faがリールコア7の接線方向の外周面で固定されているので、駆動モータMにより更にリールコア7が同一方向に回転すると、フィルム終端部faが揺動してリールコア7に逆方向に巻回され始めるまでにセンサー26の感知部26aで検知され、駆動モータMが停止させられることになる。
図2に示す例では、フィルム終端部faが距離L揺動した時点で、フィルム終端部faはセンサー26の感知部26aに接触して検知され、駆動モータMを停止させる。
なお、センサー26の感知部26aの取り付け位置が距離Lの範囲内にあれば、フィルムfが逆方向に向けて移動する前に終端を検知できるから、感知部26aは必ずしも最短のフィルム終端部fasを検出する位置にある必要はない。
【0023】
次に、フィルム終端の検出手段22の検知手段移動部材21による進退のタイミング制御について説明する。
図2及び図3において、縦形製袋充填装置3に供給するフィルムfは製袋充填のために等速で間欠搬送する必要がある。一方で、駆動モータMの駆動によって回転するフィルムロール5から供給されるフィルムfの供給量はフィルムロール5の外径寸法によって異なる。フィルムロール5の半径寸法を可変のD(以下、外径Dという)とした時、フィルムロール5の1回転によるフィルムfの繰り出し長さは2D×πである。
一般に、縦形製袋充填装置3では、フィルムロール5の外周面には外径測定部材28aとセンサー28bからなる外径測定手段28のローラが弾性部材によって押し付けられている。フィルムfを繰り出すことで変化するフィルムロール5の外径寸法Dを外径測定部材28aの回転位置をセンサー28bで測定し、この測定データに基づいて、図6に示す制御手段29によって縦形製袋充填装置3に供給するフィルムfの長さがフィルムロール5の外径寸法の変化によらず一定になるように駆動モータMの回転数を演算して、駆動モータMの回転数を出力制御している。駆動モータMの回転数は駆動モータMに取り付けたエンコーダ30等(モータ回転数測定手段)で測定して制御手段29にフィードバック制御している(図6参照)。
【0024】
本実施形態では、図2に示すように、フィルムロール5の繰り出し開始前の最大外径Dに対して検出手段22の取り付け位置を、フィルムロール5の端面5aにおける固定の半径寸法d(<D:以下、小径dという)の位置に予め設定しておく。そして、フィルムロール5からフィルムfを順次繰り出して製袋し、外径測定手段28で測定したフィルムロール5の外径寸法Dが小径d未満になった時点で、制御手段29により直動シリンダ23を駆動してセンサー26をフィルムロール5上に重なる進出位置に移動させる。
この検出手段22の進出位置はフィルムロール5の小径dがリールコア7の外径寸法より若干大きい程度に設定すれば、距離Lが大きくなってフィルム終端部faを検出し易い上にフィルムfのバタツキに影響されない。
また、検出手段22のフィルムロール5上での進出位置は、図4ではフィルムfの幅方向中央位置に設定したが、これに限定されることなく、少なくともフィルム終端部faを進出位置のセンサー26で検知できる位置であれば幅方向の端部等、適宜の位置でよい。
【0025】
本実施形態による縦形製袋充填包装機1に設けたフィルム終端検出装置20は上述の構成を備えており、次にその作用を説明する。
先ず、図1及び図2において、繰り出し前状態のフィルムロール5から帯状のフィルムfを繰り出す際、フィルムfの供給を受ける縦形製袋充填装置3へは所定長さづつ間欠的にフィルムfを供給する必要がある。また、フィルムロール5からのフィルムfの繰り出し開始時において、フィルムロール5の端面5aから間隙を設けた位置で端面5aに対向する検出手段22は、最大外径Dを有するフィルムロール5より小さい小径d付近の位置にあってフィルムロール5から外れた駆動モータM側の退避位置にある(図4参照)。
そして、フィルムfの繰り出しによるフィルムロール5の外径Dの変動に応じて、制御手段29により駆動モータMを駆動制御することでフィルムfがフィルムロール5から所定長さづつ繰り出される。フィルムfは、ダンサロール11等のフィルム供給部2を介して縦形製袋充填装置3に搬送され、繰り出しベルト18によって間欠的に製袋チューブ15に供給されて製袋と充填が行われる。
【0026】
そして、フィルムfの繰り出しが進んでフィルムロール5の外径Dが検出手段22の設置位置の半径寸法dより小さくなると(図2参照)、外径測定手段28でこれを検知して制御手段29によって検出手段移動部材21の直動シリンダ23を作動させる。直動シリンダ23では、往復駆動体24と共に半径寸法dより外径Dが小径となったフィルムロール5の外側に摺動プレート25とセンサー26からなる検出手段22を進出させる(図2、図4参照)。
この位置で、検出手段22は、小径d以下となったフィルムロール5の外周側に進出し、センサー26はフィルムロール5から直下流ローラ9まで延びるフィルムfの内面側に位置する。センサー26はフィルムロール5の中心と直下流ローラ9に接する位置との間の直線上に位置している。そして、駆動モータMの回転駆動によってフィルムロール5の外周から更にフィルムfが繰り出されると、フィルムロール5の外周と直下流ローラ9の両方に接する直線上をフィルムfが搬送されるので、フィルムfが搬送される経路はフィルムロール5の外径の減少とともに直下流ローラ9に接しながら、リールコア7に近接する方向に揺動する。
【0027】
このようにしてフィルムfが繰り出されると、ついにはフィルムfをリールコア7に固定している部分がフィルムロール5と直下流ローラ9を結ぶ接線の接点となり、この接線のフィルムfがフィルム終端部faとなる。そして、駆動モータMは更にリールコア7を同一方向に回転駆動させるために、フィルム終端部faはその繰り出し経路が図2でリールコア7の接線方向右端から直下流ローラ9を中心にリールコア7の接線方向左端側に向けて揺動する。
この揺動の途中でフィルム終端部faは、検出手段22のセンサー26の感知部26aを押すことで駆動モータMが停止させられる。駆動モータMの停止によって、フィルム終端部faがリールコア7によって逆方向に巻回して巻き取られるのを防止できる。
この状態で、フィルム終端部faを切断して新たなフィルムロール5に交換してそのフィルム先端と接続することで、製袋充填のためのフィルム繰り出しを続行できる。
【0028】
上述のように本実施形態によるフィルム終端検出装置20によれば、フィルムfの繰り出しによってフィルムロール5の外径Dが検出手段22の径方向位置dより小径になった時点で、検出手段22をフィルムロール5上の進出位置に移動してフィルム終端部faをセンサー26で検出するようにし、しかも退避位置の検出手段22はリールコア7の駆動モータMに非接触で重なるように設置したから、未使用のフィルムロール5の外径寸法Dが大きくても、フィルム終端検出装置20はフィルムロール5の外径寸法以上に大型化することがなく、コンパクトである。
しかも、フィルムロール5からフィルムfの繰り出しが進んだ時点で検出手段22を退避位置からフィルムロール5上に非接触で進出させてフィルム終端部faを検出させるから、フィルムロール5の繰り出し途中でフィルムfがばたついたとしてもその影響を受けることなくフィルム終端部faを検知できる。
更に、フィルム終端部faが固定されたリールコア7から引っ張られた一方の接線方向の位置からリールコア7の他方の接線方向に向けたフィルム繰り出し方向の変動を受けてセンサー26によってフィルム終端部faを検出するから、リールコア7によるフィルムfの逆巻き取り運動を防止して確実にフィルム終端部faの繰り出しと引張りを停止できる。
【0029】
なお、上述の実施形態において、検出手段移動手段21として、検出手段22を往復動させる直動シリンダ23はエアシリンダや油圧シリンダ、或いは電動シリンダ等を用いてよいことはいうまでもない。なお、検出手段22を往復動させる手段はシリンダに限らずモータ等でもよい。
【0030】
なお、上述の実施形態では、検出手段22をフィルムロール5の一方の端面5aに対向してフィルムロール5のの最大外径Dより小径dの位置に進退可能に設置して、フィルムfの繰り出しによってフィルムロール5の外径Dが小径d以下になった時点で検出手段22をフィルムロール5上に進出させてフィルム終端部faを検出するようにしたが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、検出手段22をフィルムロール5の外周面に対向する位置(リールコア7に略直交する方向)に設置して、フィルムロール5の外径Dが小径d以下になった時点で検出手段22をフィルムロール5上に進出させてフィルム終端部faを検出するようにしてもよい。
【0031】
なお、上述の実施形態によるフィルム終端検出装置20は、縦形製袋充填装置3に供給するためのフィルムfの終端faを検出するフィルム供給部2のフィルム終端検出装置20について説明したが、本発明はこのような縦形製袋充填包装機1に限定されるものではなく、横形製袋充填装置や他の包装装置等の包装機にも適用できる。また、製袋充填機以外の装置であっても、フィルム供給部2においてフィルムロール5からフィルム終端部faを検出する各種のフィルム終端検出装置に適用できる。
また、上述の実施形態によるフィルム終端検出装置20は、製袋用の袋Fに用いるフィルムfについての終端検出装置を例にとって説明したが、本発明で終端検知できる対象物はフィルムに限定されることなく、ロール紙や他の用紙やテープやその他の帯状部材、ウエブなどを含めて各種ロールのシート終端を検出するための終端検出装置に適用できる。
【0032】
なお、本発明によるフィルム終端検出装置20の変形例として、縦形製袋充填装置3に供給する単位時間当たりのフィルムfの長さは一定に制御されることから、フィルムfを繰り出すフィルムロール5の回転数はフィルムロール5の外径Dに応じて変化し、外径Dが小さくなるにつれてモータ回転数は増大する。そのため、フィルムロール5の外径Dが検出手段22の退避位置である小径d以下になるモータ回転数を予め演算・設定して制御手段29にメモリしておいてもよい。そして、駆動モータMの回転数が予め設定した回転数以上になったことをエンコーダ30で検知して、制御手段29によって検出手段22を進出位置に移動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 縦形製袋充填包装機
2 フィルム供給部(シート供給部)
3 縦形製袋充填装置
5 フィルムロール(ロール体)
7 リールコア(軸体)
9 直下流ガイド(ガイド部材)
20 フィルム終端検出装置(シート終端検出装置)
21 検出手段移動手段
22 検出手段
23 直動シリンダ
26 センサー
26a 感知部
28 外径測定手段
29 制御手段
30 エンコーダ(モータ回転数測定手段)
f フィルム(シート)
fa フィルム終端部
F 袋
M 駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを繰り出し可能に軸体に巻回したロール体と、該ロール体から繰り出されるシートをガイドするガイド部材と、ロール体の最大外径と最小外径の範囲でロール体上に進出した進出位置とロール体から退避した退避位置との間で進退可能な検出手段とを備えていて、
シートの繰り出しによって前記ロール体が前記検出手段の前記進出位置より小径になった状態で前記検出手段をロール体上の前記進出位置に移動させてシート終端を検知するようにしたことを特徴とするシート終端検出装置。
【請求項2】
前記検出手段はロール体の最大外径より小径の位置に対向して設置されており、ロール体の中心軸に沿った方向に往復移動して前記進出位置と前記退避位置とを選択的に取り得るようにした請求項1に記載されたシート終端検出装置。
【請求項3】
前記検出手段の退避位置は、前記軸体を回転駆動させる駆動モータの近傍に位置するようにした請求項2に記載されたシート終端検出装置。
【請求項4】
シートを繰り出すことで変化する前記ロール体の外径寸法を検知する外径測定手段と、前記ロール体の外径寸法が前記検出手段の前記進出位置より小径化されたことを判別して前記検出手段を前記進出位置に移動させる制御手段とを備えた請求項1乃至3のいずれかに記載されたシート終端検出装置。
【請求項5】
前記駆動モータの回転数を測定するモータ回転数測定手段と、前記ロール体の外径寸法に応じてシートの繰り出し量を制御するために前記駆動モータ回転数を制御すると共に該駆動モータ回転数が予め設定した回転数以上になったことを判別して前記検出手段を前記進出位置に進出させる制御手段とを備えた請求項3に記載されたシート終端検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−46472(P2011−46472A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195795(P2009−195795)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】