シート補助具
公共の輸送機関または公共の乗換えターミナルにおいて、シート100の快適性を高めるために旅行者によって使用されるシートパッド・アセンブリ10は、粘弾性発泡体から形成され、シート100の少なくとも腰/大腿支持部102および背中支持部106の寸法にほぼ一致する寸法を有するクッション12を含む。粘弾性発泡体12は、シート100の硬い部分間のすき間やピンチポイントのすき間を埋めて、すき間全体にわたって旅行者を効率的に支持する。シートパッド・アセンブリ10は、さらに、取り外し可能なカバー14、シートパッド・アセンブリ10を巻いた状態で保持するためのストラップ20、およびシートパッド・アセンブリ10を運ぶためのキャリーバッグ30を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両シートをより快適にする補助具に関する。
【関連出願】
【0002】
本願は、2005年11月21日に米国特許商標庁に出願された仮出願第60/738,618号、発明名称「シート補助具」の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に引用したものとする。
【背景技術】
【0003】
航空機、列車およびバスなどの公共の輸送機関での旅行が快適であることはまれであり、長時間の旅行になると非常に不快となり得る。シートが快適だと感じられる時間の長さは、シートの特徴および旅行者の感じ方次第で大きく変わる。多くの旅行者は、輸送機関のシートに座ってから1時間から2時間程度で座り心地が悪いと感じる。なぜなら、特に短時間の旅行を目的としたシートは、一般にリクライニングしないか、ほんの少しの範囲しかリクライニングしないからである。一方、大陸間のフライトは12時間を超える場合があり、これは、多くのビジネス出張者にとって普通のことである。ほとんどのビジネス出張者は、移動の疲れを癒す間もなく、到着するやいなやビジネス・ミーティングに対処することが求められている。休暇中の旅行者も、ビジネス出張者と同様に、休暇を楽しめるようになる前にかなり長い回復時間を必要とする。
【0004】
不快な移動は航空機に限られることはない。列車またはバスによる旅行は、大陸間の航空機旅行よりも長い時間がかかる場合がある。移動に伴う不快さは、車両内での時間に限られるわけではない。詳細には、旅行者は、航空機、列車またはバスのターミナルで乗り換えまたは遅れている出発を待つ間、座り心地の悪いシートで長時間を費やすことがある。ターミナルのシートは、航空機、列車またはバスのシートより快適さに劣ることがしばしばある。例えば、ターミナルのシートは、しばしば腰/大腿支持部と背中支持部(背もたれ)との間に大きなすき間があり、固い剛性プラスチックから形成されている場合がある。
【0005】
多くの長距離旅行者は、移動の不快さおよび不便さを最小限にするための工夫をする。例えば、長距離旅行者のある者は、旅行前の数日間、睡眠、飲み食いを節制して旅行をより快適にする努力をする。また、長距離旅行者は、フライト中になんらかの対策をとって不快さを最小限にする努力をする。例えば、多くの旅行者は旅行の始まる直前または旅行の道中で睡眠誘発剤を利用する。航空機のスタッフはフライトまでの短時間に頻繁にまくら、毛布、スリッパおよび目隠しを配布する。
【0006】
長距離旅行を目的とした航空機および陸上車両のシートは、快適さを向上させるためにリクライニング可能となっている。ほとんどの航空機および列車は異なる費用で各種のシートを提供する。ビジネスクラスのシートは一般に普通クラスのシートよりも広く、より広範囲にリクライニング可能である。ファーストクラスのシートはさらにより広く、一部のファーストクラスシートは完全に水平な位置までリクライニングできる。しかしながら、すべてのリクライニングシートは複数の可動部材を備えており、これらの可動部材により、シートは、完全に直立した状態と少なくとも部分的にリクライニングした状態との間で調整できるようになっている。図1〜図3は、航空機のビジネスクラスまたはファーストクラスで使用されるシートに類似の典型的な従来の航空機シートを示している。従来のシート100は、一対のアームレスト104間に配置された腰/大腿支持部102を含む。従来のシート100の腰/大腿支持部102は、エアラインおよびサービスのクラス(すなわち、エコノミークラス、ビジネスクラス、またはファーストクラス)により、約18インチから27インチの幅wを持っている。背中支持部106は腰/大腿支持部102に対してヒンジで連結されており、図1に示すようなほぼ直立した状態と図2に示すような部分的にリクライニングした状態との間で動かすことができる。一部のエアラインのファーストクラスのシートは、図3に示すように、完全にリクライニングさせることができる。典型的な従来のシート100は約70インチから76インチの長さlを有する。ヒンジで連結された2つの支持部102および106の間には、すき間108が形成されており、このすき間108により、支持部102および106間の相対的な動きを許容している。シート100は、腰/大腿支持部102に対してヒンジで連結されているフットレスト110を有しており、腰/大腿支持部102とフットレスト110との間にも、すき間112が存在している。さらに、より小さなすき間、折り目および継ぎ目114、116、118、120が、腰/大腿支持部102および背中支持部106に存在する。さらに、構造的に不均一な領域(例えば、フレーム部材およびその他の構造的な支持部)がシート100のカバーの下に存在しており、これらは目に見えないにもかかわらず、乗客に不快感を持たせる。すき間108,112や、その他の小さなすき間、折り目、縫い目114〜120は短時間の移動ではほとんど気にならない。しかしながら、約1cmより広くおよび/または約1cmよりも深いすき間108、112や、その他の小さなすき間、折り目、縫い目114〜120は長時間の移動では大変わずらわしくなる。すき間108、112およびその他の大きな表面凹凸114〜120によって、ピンチポイント(pinch points)が形成され、自重によりこれらの中に体の組織が挟み込まれる。これらのピンチポイントにおいて体にかかる圧力はより高いため、血流が阻害され、皮膚の表面および皮膚の表面付近が不快に感じる。長距離旅行者は、そのような不快さを緩和しようと頻繁に体を動かしたり、重心を移動させたりする。しかしながら、そのような行動は、挟み込まれていた体の組織をピンチポイントから移動させるものの、異なる体の組織をピンチポイントに押し込むことになるので、体の組織に引張力や摩擦力が作用する。さらに、車両は動作中に振動を生じさせる。乗客は、この振動によって、ピンチポイントで挟み込まれている体の部分が不快に感じる。
【0007】
ほとんどの公共輸送機関のシートにかけられているシートカバーは丈夫で洗濯を簡単に行えるように設計されている。これらの要件はしばしば乗客の快適さに対する要望と相反する。長い期間持ちこたえて洗濯が簡単な繊維は、長期間の使用により快適でなくなることがしばしばある。公共輸送機関の多くのシートは、背中の下部に対応する幾分硬質の木製支持部と、バックレスト(背もたれ)の上端部付近の出っ張り状の頭部支持部とを有するように設計されている。このようなシートは、乗客が直立状態で着座している場合にはしばしば快適であるが、乗客が睡眠のためにシートをリクライニングさせた場合に快適とはいえない。
【0008】
ほとんどすべての公共の輸送機関のシートはアームレストを備えており、一部のシートは、バックレストの両側から前方に突出するプライバシーウィングを備えている。アームレストおよびウィングは隣の乗客との接触を防止することを目的としている。これらのかなり硬質で非常に機能的な構成部材は、シートがリクライニングされて乗客が眠れるようにされた場合に不快さにつながる可能性がある。
【0009】
従来のシートは、体の特定の部分を支持するよう意図されている多くの種類の成形クッションを備えている。例えば、U字形クッションは、首の後側部分を支持するのに用いられる。その他の独特な成形クッションは、足、ひざの後部、またはひざ間を支持するように意図されたものがある。
【0010】
多くのアジア文化では、略矩形のマットが睡眠またはヨガのために用いられている。これらのマットは、薄くて比較的非弾性の材料から形成されることが多いため、身体用の緩衝材として適していない。この種のマットは一般にベッドの長さおよび幅にほぼ対応する長さおよび幅寸法を有している。マットは通常十分に柔軟なので、未使用時には保管するために折りたたむ、または巻くことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
粘弾性材料および(形状)記憶発泡体は、さまざまな開放気泡型の弾性ポリウレタン発泡体を定義するのに使用される用語であり、長年、マットレス、マットレスの上層、およびクッションに使用されてきた。より詳細には、粘弾性発泡体の下面は、ボックススプリングまたはマットレスといったほぼ平坦な水平支持面上に配置される。粘弾性発泡体の上面は、該上面上に配置される物体または体の輪郭に沿って変形する。粘弾性発泡体は、物体または体が取り除かれる、または位置を変えると変形していない元の形状にゆっくりと戻る。これに対し、従来の発泡ゴムは、加えられた負荷に対応して迅速に圧縮され、負荷が取り除かれると元の形状に迅速に戻る。さらに、圧縮された従来の発泡ゴムは、加えられた負荷の輪郭に沿って変形せず、加えられた負荷の力を分散させない。粘弾性材料は、おそらく、費用面、および通常直立姿勢の公共輸送機関のシートの製造に求められる生産性を考慮して、公共輸送機関のシートには使用されていない。
【0012】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、公共の待合室のシート、特に長距離旅行を目的としたシートの快適性を改善することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、旅行者によって使用され携帯されるのに適し、公共輸送機関のシートの快適性を改善することが可能なシート補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、公共の輸送機関シートに使用するシート補助具であるシートパッド・アセンブリ、およびシートパッド・アセンブリと公共の輸送機関シートとの組み合わせに関する。また、本発明は、公共の輸送機関のシートの快適性を向上させるための方法に関する。公共の輸送機関のシートとしては、好ましくはエアラインのシートが挙げられるが、列車、バス、および他の陸上車両のシートであってもよい。シートは、ほぼ水平な腰/大腿支持部と、腰/大腿支持部にヒンジで連結された背中支持部とを含む。シートはフットレスト含んでいてもよい。背中支持部および/またはフットレストは、好ましくは腰/大腿支持部に対して回動可能に取り付けられる。このため、フットレストと腰/大腿支持部との間、および背中支持部と腰/大腿支持部との間には、縫い目、小さなすき間、折り目、すき間、または空間が存在する。これらすき間の一部は、幅および/または深さが1cmを超える。シートはさらに、おおよそシートの幅ぶんだけ互いに間隔のあけられたアームレストを含む。アームレスト間の間隔、つまりシートの幅は、輸送機関の形態およびサービス・クラスに応じて変わる。さらに、シートは、乗客をシートに固定するための安全ベルトを含む。
【0015】
シートパッド・アセンブリは、ほぼ矩形の形状を有しており、好ましくはシートの幅にほぼ対応する幅を有している。シートパッド・アセンブリの幅は、好ましくはサービス・クラスに応じて選択される。例えば、エコノミークラス用のシートパッド・アセンブリは幅が約16インチであるが、ビジネスクラスまたはファーストクラス用のシートパッド・アセンブリは幅が約20インチである。また、シートパッド・アセンブリは、特にエコノミークラスの場合には、腰/大腿支持部の長さと背中支持部の長さとの合計にほぼ等しい長さを有していることが好ましい。具体的には、エコノミークラス用のシートパッド・アセンブリは、好ましくは長さが少なくとも約42インチであり、ビジネスクラス用のシートパッド・アセンブリは、好ましくは長さが約47インチである。さらに、シートパッド・アセンブリは、公共の乗換え待合室のシートのフットレストや、ビジネスまたはファーストクラスのエアラインシートのフットレストの長さにほぼ等しい長さを有するフットレスト延長部を含んでいてもよい。具体的には、ファーストクラス用のシートパッド・アセンブリは、長さが好ましくは約60インチ〜72インチである。さらに、シートパッド・アセンブリは、厚みが好ましくは1.0〜2.0インチであり、さらに好ましくは約1.00インチである。
【0016】
シートパッド・アセンブリは、好ましくは粘弾性材料からなるほぼ矩形のクッションを備えている。粘弾性クッションは、好ましくは、上述のように、シートパッド・アセンブリの全幅、全長、および全厚に対応する幅、長さ、および厚さを有している。さらに、粘弾性クッションは、シートにおける隣接する可動部材間に存在する少なくとも1cmの幅かつ少なくとも1cmの深さの、縫い目、すき間および他のピンチポイントを含む、シートのあらゆる箇所にわたって旅行者を快適に支持するための密度および硬度または堅さを有している。この点に関して、粘弾性クッションの密度、堅さ、反発性、および厚みは、粘弾性クッションの下側領域がすき間および他のピンチポイント内に流動してそれらの形状に一致するように、かつ、粘弾性クッションの上側領域に、旅行者を支持するほぼ平滑な表面を形成することができるように選択される。さらに、粘弾性クッションの密度、堅さ、反発性、および厚みは、粘弾性クッションが最大限に変形した場合に生じ得る沈み込みがなく、旅行者の体重が粘弾性クッションの上側部分によって確実に分散され、支持されるように選択される。したがって、粘弾性クッションは、不快なピンチポイントから旅行者を保護する。さらに、粘弾性材料は、車両による移動に伴う振動を吸収するのに効果的であるため、このような振動から旅行者を保護することができる。上述のように、振動は、特にシートに形成されたピンチポイント付近で旅行者を不快にさせる。
【0017】
シートパッド・アセンブリは、さらに、粘弾性クッション全体を覆うカバー・アセンブリを含む。カバー・アセンブリは、好ましくは少なくとも一部分が洗濯または交換のために取り外し可能である。カバー・アセンブリは、好ましくは伸縮可能にまたは十分にゆったりした寸法に構成されているので、シートに形成されたすき間または他のピンチポイント内に向かって容易に変形する。したがって、カバー・アセンブリは、粘弾性材料がシートの形状および旅行者の形状に一致するように流動(変形)する能力を制約することはない。そのようなカバー・アセンブリは、粘弾性材料が形状を変えるに従って粘弾性材料と共に動く。カバー・アセンブリは、好ましくは内側スクリーン層を含む。この内側スクリーン層は、好ましくは、粘弾性クッションの保護および支持に貢献するナイロンなどの合成材料から形成されている。内側スクリーン層は粘弾性クッションから取り外し可能である必要はない。また、カバー・アセンブリは、好ましくは内側保護カバーを含んでいる。この内側保護カバーは、耐流体性、耐汚れ性、抗菌性および/または吸湿性である。内側保護カバーは、粘弾性クッションが破損されるのを防止する。好ましくは、内側保護カバーはジッパーまたは他の閉鎖手段を有しており、内側保護カバーを粘弾性クッションから取り外して洗濯または交換できるようにしている。また、カバー・アセンブリは、好ましくは耐流体性、耐汚れ性、抗菌性、吸湿性の材料から形成された外側カバーを含む。外側カバーの材料は、綿またはブラシ合成繊維等の乗客に快適である材料である。外側カバーにマークを印刷したり刺繍を施したりして、エアラインまたは他の公共の輸送提供会社を識別できるようにしてもよく、またシートパッド・アセンブリの所有者または供給元を識別できるようにしてもよい。また、外側カバーは、ジッパーまたは他の閉鎖手段を有しており、外側カバーを粘弾性クッションから取り外して洗濯または交換できるようにしている。外側カバーの閉鎖手段は、内側カバーの閉鎖手段とは位置がずれていてもよい。また、外側カバーはストラップを有している。ストラップによってシートパッド・アセンブリを巻いた状態に固定して、空港または他の乗り換えターミナルにおいて簡単に保管および持ち運びできるようにしてよい。ストラップを使ってシートパッド・アセンブリをシートに保持することもできる。
【0018】
シートパッド・アセンブリは、該シートパッド・アセンブリを公共輸送機関のシートに取り外し可能に敷くことが可能な手段を有する。例えば、シートパッド・アセンブリにスナップを設けて、このスナップを、シートの背中の上部に設けられたスナップと解放可能に係合させることができる。また、シートパッド・アセンブリに、シートベルトを受容することが可能な切り欠きまたは開口部を設けてもよい。
【0019】
さらに、シートパッド・アセンブリは、キャリーバッグを含んでいてもよいし、またはキャリーバッグと共に使用してもよい。キャリーバッグは選択的に閉鎖可能な端部を有する。選択的に閉鎖可能な端部には、フラップ、口ひも等が取り付けられていてもよい。さらに、キャリーバッグに、ストラップまたはループを取り付け、ストラップまたはループを介して、キャリーバッグを肩にかけて持ち運びできるようにしてもよいし、またはキャリーバッグおよびシートパッド・アセンブリをキャスター付きかばんまたはバックパックに搭載して持ち運びできるようにしてもよい。
【0020】
シートパッド・アセンブリは、乗客によって空港、駅等に運ばれる。乗客は、シートに座る前にシートパッド・アセンブリをバッグから取り出してシートパッドをシート上に敷くだけでよい。このように、シートパッド・アセンブリは、頭上の荷物棚に保管しなければならない機内持ち込み荷物ではない。乗客は、通常の着座姿勢を取ることによりシートパッド・アセンブリを所定の位置に保持できる。所望であれば、またシートの操作装置がある場合、移動の最中の適切な時にシートの操作装置によりシートをリクライニング状態へと移動させることができる。シートパッド・アセンブリは、シートの可動部材間の継ぎ目および/または溝全体にわたって延び、シートおよび乗客の形状に一致するように変形して快適性を高めている。カバー・アセンブリは、粘弾性材料の変形を妨げないため、粘弾性材料の上側領域および下側領域の形状一致特性に影響することはない。また、シートパッド・アセンブリは、乗客をシートのアームレストに対して側面から支持することができるような寸法に設定してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るシート補助具であるシートパッド・アセンブリによれば、公共の待合室のシート、特に長距離旅行を目的としたシートの快適性を改善することできる。また、シートパッド・アセンブリは、旅行者によって容易に携帯できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施形態に係るシートパッド・アセンブリは、図5から図12において符号10で示されているシート補助具である。シートパッド・アセンブリ10は、最内側に位置する粘弾性発泡クッション12を含み、この粘弾性発泡クッション12は、TEMPUR−PEDIC社等の販売元から販売されている粘弾性材料から形成されている。シートパッド・アセンブリ10は、図4に示すように、ほぼ矩形で、長さLおよび幅Wを有する。長さLおよび幅Wは、シートパッド・アセンブリ10が使用されるサービス・クラスによって変わる。特に、ファーストクラスのエアラインシートは、ビジネスクラスのシートよりも幅が広く、シートによっては、シートがリクライニングされると縦方向に延びるフットレストを備えているものもある。好ましい実施形態では、シートパッド・アセンブリ10は、エコノミークラスシートでは幅Wが約16インチであり、ビジネスクラスまたはファーストクラスシートでは約20インチである。このように幅Wを設定することにより、シートパッド・アセンブリ10は、対象となるエアラインのシートの幅wのほとんどを占めることができる。しかしながら、シートパッド・アセンブリ10の幅Wは、わずかにより狭く、またはわずかにより広く設定してもよい。シートパッド・アセンブリ10の長さLも、シートパッド・アセンブリ10が使用されるサービス・クラスによって変わる。好ましい実施形態では、シートパッド・アセンブリ10の長さLは、エコノミークラスシートでは約42インチであり、ビジネスクラスシートでは約47インチであり、ファーストクラスシートでは約60インチから72インチである。しかしながら、長さLが約40インチの短いものであっても、本明細書で説明する利点の多くを実現することができる。特に、短距離旅行用のリクライニングしないシートや、腰/大腿支持部102と背中支持部106との間にすき間108が存在する従来のシート100に対しても有利である。
【0023】
シートパッド・アセンブリ10の粘弾性クッション12は、図5に示すように厚みTを有している。厚みTは、好ましくは1.0〜1.5インチの範囲であり、最も好ましくは保管および持ち運びが容易になるよう約1.0インチである。しかしながら、内側クッション12が容易に持ち運びができ、長距離旅行の場合に必要な快適さを提供できるかどうかは、粘弾性発泡体の密度にも左右される。密度が立方フィートあたり3lbsから立方フィートあたり8lbsであり、厚みTが1.0〜1.5インチの粘弾性クッション12であれば、従来のエアラインシート100にすき間108および他の表面凹凸が存在しても、快適性を提供でき、またシートパッド・アセンブリ10の持ち運びが容易となる。しかしながら、密度が立方フィートあたり5lbsで厚みTが1.0インチの粘弾性クッション12は、本明細書で説明するように、非常に良好なレベルの快適性、望ましいレベルの保管性および持ち運びの容易性を提供することができる。また、粘弾性クッション12は、沈み込みが起こり難く、シート100の形状および乗客の体形に一致するように、言い換えればシート100の形状および乗客の体形を面で広く受け止めるように変形する。従って、粘弾性クッション12は乗客の体重および表面圧力を分散できる。
【0024】
シートパッド・アセンブリ10はさらに、粘弾性クッション12をほぼ完全に覆うカバー・アセンブリ14を含む。クッション12の粘弾性発泡材料は、旅行者が長期間直接接触した場合、心地がよいとはいえない。また、クッション12の粘弾性発泡体は、しみや汚れに対して耐性がなく、数回使用した後には見た目が悪くなる場合がある。さらに、粘弾性発泡クッションは、きれいにした場合でさえも美的に魅力的ではない。一方、カバー・アセンブリ14は、旅行者が長期間直接接触しても心地のよい比較的安価な材料から作ることができる。
【0025】
カバー・アセンブリ14は、粘弾性クッション12の全体を覆う内側スクリーン層(保護スクリーン)15を含む。内側スクリーン層15は、好ましくはナイロンなどの合成繊維からなる目の細かいメッシュであり、カバー・アセンブリ14の他の部分がクリーニング、メンテナンス、または交換のために取り外された場合に粘弾性クッション12を保護するものである。また、内側スクリーン層15は、伸縮可能に、および/または十分にゆったりした寸法を有するように構成されているため、粘弾性クッション12は、内側スクリーン層15から干渉を受けることなく、シート100のピンチポイントに向かって変形および/または流動することができる。
【0026】
カバー・アセンブリ14はさらに、内側スクリーン層15および粘弾性クッション12全体を覆うように取り外し可能に設けられた内側カバー(保護カバー)16を含む。内側カバー16は、綿および合成繊維の混合物からなる伸縮可能なニット繊維などの、吸湿特性および抗菌特性を持つ耐流体性、耐汚れ性の材料から形成されている。また、内側カバー16は、図6に示すようにジッパーなどの内側閉鎖部16zを有している。この内側閉鎖部16zは、内側カバー16の1つの端縁部および隣接する側縁部にわたって延びている。内側閉鎖部16zは、クリーニング、メンテナンス、または交換のために内側カバー16を粘弾性クッション12から取り外せるようにしている。
【0027】
カバー・アセンブリ14は、さらに、内側カバー16全体を覆うように取り外し可能に設けられた外側カバー18を含む。外側カバー18は、吸湿特性および抗菌特性を持つ耐流体性、耐汚れ性材料から形成されている。例えば、外側カバー18は、長期間使用した後でも手触りが柔らかで快適な伸縮可能な織り綿繊維(糸数300−1000)またはブラシニット繊維から形成されている。より詳細には、外側カバー18は、ベッドシーツに通常使用されている材料から形成できる。さらに、外側カバー18は、美的なデザインにでき、またマークを印刷してシートパッド・アセンブリ10の持ち主を識別できるようにしてもよいし、特定の商標を付してもよい。例えば、マークは、パッドアセンブリ10を常連の旅行者に販売するエアラインの名称である。あるいは、マークは旅行者の勤め先の商標であってもよい。
【0028】
外側カバー18は、図7に示すように、ジッパーなどの外側閉鎖部18zを有している。この外側閉鎖部18zは、外側カバー18の1つの側縁部の大部分に沿って延びている。外側閉鎖部18zは、クリーニング、メンテナンス、または交換のために外側カバー18を粘弾性クッション12および内側カバー16から取り外せるようにしている。
【0029】
図8〜10に明瞭に示すように、2本のストラップ20が、外側カバー18の長手方向における一端部の近傍に固定されており、外側カバー18を越えて長手方向に延びている。外側カバー18に縫い付けられている、または他の方法で固定されている、各ストラップ20の一端部には、外側カバー18とは反対の側を向く面ファスナーループ22の列が形成されている。外側カバー18から離れた、各ストラップ20の他端部には、面ファスナーループ22に引っかかる面ファスナーフック24の列が形成されている。ストラップ20によって、シートパッド・アセンブリ10を図11に示すように巻いた状態にすることができる。このように、面ファスナーループ22および面ファスナーフック24は、シートパッド・アセンブリが巻かれた状態を保持する保持手段を構成する。
【0030】
シートパッド・アセンブリ10は、図12〜図15に示すように、キャリーバッグ30と共に使用できる。キャリーバッグ30は、閉鎖された底部32と開放された上部34とを有している。開放された上部34近傍で、口ひも36がヘムに組み込まれている。また、キャリーバッグ30はキャリーストラップ38を有している。図12に示す折りたたんだ状態では、キャリーバッグ30はほぼ平坦な矩形形状を有する。一方、キャリーバッグ30を開けば、図11に示すコイル状に巻かれたシートパッド・アセンブリ10を収容することができる。図13は、シートパッド・アセンブリ10とキャリーバッグ30との組み合わせ、つまりシートパッド・アセンブリ10がキャリーバッグ30に収容された状態を示す。旅行者は、図14に示すように、フライト間または目的地間において移動する際にはキャリーバッグ30を肩にかけることができる。また、キャリーストラップ38は、図15に示すように、キャスター付きかばんのハンドルに巻きつけることができる。また、キャリーストラップ38はバックパックに取り付けることができる。キャリーバッグ30にポケットを設けて、旅券、身分証明書等を携帯できるようにしてもよい。
【0031】
キャリーバッグ30の上部26近傍の口ひも36を開けることにより、巻かれた状態のシートパッド・アセンブリ10をキャリーバッグ30から取り出すことができる。その後、ストラップ20を解くと、シートパッド・アセンブリ10は図10の状態から図5の状態となる。そして、広げられたシートパッド・アセンブリ10は、旅行者が座る前に、図15〜図17に示すようにシート100の上に敷かれる。従って、シートパッド・アセンブリ10は、しまい込まれなければならない旅行かばんの荷物の一部ではなく、一時的にシート100の一部分となる。シートパッド・アセンブリ10の長手方向における一端部は、シート100の背中支持部106の上部付近に配置される。シートパッド・アセンブリ10の残りの部分は、背中支持部106の上部から、腰/大腿支持部102と背中支持部106との間のすき間108を通ってレッグレスト110に向かってまたはレッグレスト110まで延びている。シートパッド・アセンブリ10がレッグレスト110に向かって延びる範囲は、シート100の長さ「l」に対するパッドアセンブリ10の全長Lに左右される。好ましい実施形態では、シートパッド・アセンブリ10は、腰/大腿支持部102から最も遠くにあるレッグレスト110の端部まで完全に達するほど十分な長さを有している。一部のシート100は、シート100が完全にリクライニングされた状態へと動かされるにつれて腰/大腿支持部102から離間するように入れ子式に延びる、または他の方法で長手方向に延びるフットレスト114を有している。この場合、シートパッド・アセンブリ10の長手方向における一端部は、シートパッド・アセンブリ10の他の部分とレッグレスト110との間にたくし込まれて、図15および図16に示すようにフラップ34を形成する。しかしながら、フラップ34は、シート100が図17に示すような完全にリクライニングされた状態へと動かされるにつれて広げることができ、これにより、フラップ34をフットレスト114上に敷くことができる。
【0032】
上述のように、シートパッド・アセンブリ10は、幅Wが好ましくは16〜20インチの範囲であるため、座り心地を悪くする可能性のあるふくらみまたは隆起を形成することなくシート100のアームレスト104間に適合する。
【0033】
シートパッド・アセンブリ10は、腰/大腿支持部102と背中支持部106との間の不快なすき間108を越えて連続的に延びている。粘弾性クッション12は、周囲温度(華氏60−75℃)および体温の両方に対応して、シートが直立状態、部分的にリクライニング状態、および完全にリクライニング状態にある時に、乗客の体形に一致するように変形することにより乗客に三次元的な支持を提供する。粘弾性クッション12の厚みT、およびクッション12の粘弾性発泡体の密度および堅さにより、旅行者はシート100の硬質の構造体全体にわたって、また同様に腰/大腿支持部102と背中支持部106との間のすき間108全体にわたって快適に支持される。従って、粘弾性クッション12の自在に形状を変える性質によって、旅行者は、図16および図17に示すように、直立状態で着座しているまたはシート100がリクライニングされた状態でリラックスしようとしている場合に、すき間108によってもたらされる不快な感覚を回避することができる。さらに、クッション12の粘弾性発泡体は、移動に伴う振動や、シート100と乗客との間で生じる微小な動きを吸収するのに効果的である。これらの振動にともなう微小な動きは、乗客を不快にさせるものであるが、粘弾性クッション12によって効果的に緩和される。
【0034】
シートパッド・アセンブリ10がこのような目的を達成するには、部分的には粘弾性クッション12の厚みTおよび所定の特性が重要である。上述したように、クッション12は、好ましくは密度が50〜120kg/m3、より好ましくは約85kg/m3の粘弾性発泡体から形成される。また、粘弾性材料は、好ましくは約10Nの硬度または堅さを有している。そのような特性および約1インチの厚さを備えた粘弾性材料は、シート100が直立状態、リクライニングされた状態、部分的にリクライニングされた状態とは無関係に、すき間108、シート100の硬い構造支持部、車両の振動をほとんどまたは全く感じさせない、高いレベルの快適性を提供することが証明されている。適宜設定された、粘弾性クッション12の密度、堅さ、反発度および厚みにより、粘弾性クッション12の下面12Lは、図19に示すように、すき間108および他のピンチポイントに向かって動いて、それらの形状に一致するように変形することが可能となる。その結果、粘弾性クッション12の下面12Lには、凸状の形状一致領域12LCが形成されると共に、上面12Uには、旅行者に接触する均一な平滑面が形成される。カバー・アセンブリ14は、十分に伸縮可能である、および/またはゆったりしているので、粘弾性材料12は、シート100のピンチポイントおよび硬い部分の形状に一致するように変形できる。さらに、粘弾性クッション12の密度、硬度、堅さ、反発度および厚み特性により、下面12Lの上方、支持部102、106の上方、およびすき間108によって形成されたピンチポイントの上方にわたって、上面12Uには、旅行者の体重に対応する凹んだ形状一致領域12UCが形成される。また、旅行者の体重は、粘弾性クッション12が最大限に変形するような厚み、密度、硬度、および/または反発度を有していても起こったであろう沈み込みがない状態で、粘弾性クッション12の上側部分によって分散され、支持される。このように、粘弾性クッション12の上面および下面の変形は、旅行者を快適に支持し、旅行者の体重を分散し、シート100の不快なピンチポイントおよび硬い部分から旅行者を保護する。従って、旅行者は、シート100のすき間および他のピンチポイントを気にせずに体の位置を変えることができる。さらに、粘弾性クッション12によって旅行者が三次元的に支持されることで、移動に伴う振動が旅行者に伝わり難くなる。密度および硬度特性の異なる粘弾性材料同士を採用してよいが、厚みは変える必要があるであろう。
【0035】
シートパッド・アセンブリ10は、小売店(交通機関センターの売店、ショッピングセンターの売店、専門ギフトショップ、量販店など)、カタログ販売(例えば、航空機内カタログ)、テレビショッピング(ショッピングネットワーク、説明的コマーシャルなど)、またはインターネットで販売できる。インターネット取引は、供給元自身のウェブサイト、子会社の小売ウェブ宛先、モバイルウェブ宛て先、Bluetooth/Wi−FIを介したインタラクティブな屋外販売、または公共スペースにおけるタッチスクリーン設置によって行うことができる。加えて、シートパッド・アセンブリ10は、輸送サービスの提供に関連して販売、貸与またはその他の方法で乗客に提供してよい。例えば、シートパッド・アセンブリ10は、免税店で、チェックインの際に、またはシート選択の手続きの際など、乗客が空港でセキュリティクリアランスポイントを通過した後に、乗客に提供および/または引渡ししてもよい。あるいは、シートパッド・アセンブリ10は、出発の直前に乗客に引渡しされ、航空機から降りる直前に乗客から回収するようにして貸与することができる。カバー・アセンブリ14は、かかる貸与の後ごとに取り外して洗濯できる。さらに、シートパッド・アセンブリの提供は、常連の航空機の利用者のサービスに提携させることができる。これにより、シートパッド・アセンブリ10は特定の航空機利用頻度レベル(例えば、ゴールド、プラチナなど)を持つ乗客に提供できる。同様に、シートパッド・アセンブリ10は常連の航空機利用者のポイントまたはマイルで購入または貸与でき、シートパッド・アセンブリ10の購入または貸与は、ポイント、関連製品またはサービス等の特定の特典を常連の航空機利用者に付与するのに用いてもよい。
【0036】
本発明を、好ましい実施形態に関して詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および細部についての種々の変更が可能なことは明らかである。例えば、旅行者の好みおよびシートの寸法に応じて、異なる長さ、幅、および厚み寸法のシートパッド・アセンブリ10を提供することができる。
【0037】
矩形のシートパッド・アセンブリ10は費用効率および携帯効率がよい。しかしながら、矩形でないシートパッド・アセンブリ10を用いてもよい。例えば、シートベルトがシートから延びている領域に切り欠きを設けてよい。加えて、シート100において、ひざおよび下肢に隣接する領域を、腰および肩に隣接する領域よりも狭くできる。
【0038】
さらに、シートパッド・アセンブリ10の最も下側の部分は、関節接合により構成してもよい。これにより、シートパッド・アセンブリ10の最も下側の部分の近傍においてフラップに対してヒンジラインを形成できる。フラップは、粘弾性発泡材料からなる別体品として形成でき、カバー・アセンブリ14の外側カバー18に設けた別のポケット内に収容してもよい。
【0039】
面ファスナーを有するストラップ20を好ましい実施形態で示した。しかしながら、パッドアセンブリ10を巻いた状態で保管するために、他の形態のストラップも提供できる。例えば、結び目が結ばれるストラップを提供してよく、または簡素なバックルを備えたストラップを提供してよい。
【0040】
さらに、パッドアセンブリ10には、パッドアセンブリ10をシート100の背中支持部106の上部に取り外し可能に取り付けるための構造体を設けてもよい。そのような構造体としては、ストラップ、スナップ等が挙げられる。
【0041】
これらの変形は、本明細書の開示により当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】直立状態の従来のシートの斜視図である。
【図2】部分的にリクライニングされた状態の従来のシートの斜視図である。
【図3】完全にリクライニングされた状態の従来のシートの斜視図である。
【図4】図3の線4−4に沿った断面図である。
【図5】本発明によるシートパッド・アセンブリの斜視図であり、部分的にその断面を示している。
【図6】外側カバーが取り外された状態のシートパッド・アセンブリの端部の斜視図である。
【図7】シートパッド・アセンブリの側面の斜視図であり、外側カバーのジッパー閉鎖部を示している。
【図8】シートパッド・アセンブリの角部の平面図であり、延ばされた状態のストラップのうちの1つを示している。
【図9】シートパッド・アセンブリの角部の側面図であり、延ばされた状態のストラップを示している。
【図10】部分的に巻かれた状態のシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図11】保管のために完全に巻かれた状態のシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図12】図11の巻かれたシートパッド・アセンブリに使用されるキャリーバッグの正面図である。
【図13】図12のキャリーバッグに収容されたシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図14】キャリーバッグに収容されたシートパッド・アセンブリを運んでいる人物の斜視図である。
【図15】キャリーバッグに収容されると共に、キャスター付きかばんに固定されているシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図16】図1の完全に直立状態の航空機シートに敷かれた図5〜図11のシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図17】図2の部分的にリクライニングされた航空機シートに敷かれた図5〜図11のシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図18】図3の完全にリクライニングされた航空機シートに敷かれた図5〜図11のシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図19】図18の線19−19に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0043】
10 シートパッド・アセンブリ
12 粘弾性発泡クッション
14 カバー・アセンブリ
15 内側スクリーン層
16 内側カバー
18 外側カバー
20 ストラップ
30 キャリーバッグ
100 シート
102 腰/大腿支持部
106 背中支持部
108 すき間
110 レッグレスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両シートをより快適にする補助具に関する。
【関連出願】
【0002】
本願は、2005年11月21日に米国特許商標庁に出願された仮出願第60/738,618号、発明名称「シート補助具」の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に引用したものとする。
【背景技術】
【0003】
航空機、列車およびバスなどの公共の輸送機関での旅行が快適であることはまれであり、長時間の旅行になると非常に不快となり得る。シートが快適だと感じられる時間の長さは、シートの特徴および旅行者の感じ方次第で大きく変わる。多くの旅行者は、輸送機関のシートに座ってから1時間から2時間程度で座り心地が悪いと感じる。なぜなら、特に短時間の旅行を目的としたシートは、一般にリクライニングしないか、ほんの少しの範囲しかリクライニングしないからである。一方、大陸間のフライトは12時間を超える場合があり、これは、多くのビジネス出張者にとって普通のことである。ほとんどのビジネス出張者は、移動の疲れを癒す間もなく、到着するやいなやビジネス・ミーティングに対処することが求められている。休暇中の旅行者も、ビジネス出張者と同様に、休暇を楽しめるようになる前にかなり長い回復時間を必要とする。
【0004】
不快な移動は航空機に限られることはない。列車またはバスによる旅行は、大陸間の航空機旅行よりも長い時間がかかる場合がある。移動に伴う不快さは、車両内での時間に限られるわけではない。詳細には、旅行者は、航空機、列車またはバスのターミナルで乗り換えまたは遅れている出発を待つ間、座り心地の悪いシートで長時間を費やすことがある。ターミナルのシートは、航空機、列車またはバスのシートより快適さに劣ることがしばしばある。例えば、ターミナルのシートは、しばしば腰/大腿支持部と背中支持部(背もたれ)との間に大きなすき間があり、固い剛性プラスチックから形成されている場合がある。
【0005】
多くの長距離旅行者は、移動の不快さおよび不便さを最小限にするための工夫をする。例えば、長距離旅行者のある者は、旅行前の数日間、睡眠、飲み食いを節制して旅行をより快適にする努力をする。また、長距離旅行者は、フライト中になんらかの対策をとって不快さを最小限にする努力をする。例えば、多くの旅行者は旅行の始まる直前または旅行の道中で睡眠誘発剤を利用する。航空機のスタッフはフライトまでの短時間に頻繁にまくら、毛布、スリッパおよび目隠しを配布する。
【0006】
長距離旅行を目的とした航空機および陸上車両のシートは、快適さを向上させるためにリクライニング可能となっている。ほとんどの航空機および列車は異なる費用で各種のシートを提供する。ビジネスクラスのシートは一般に普通クラスのシートよりも広く、より広範囲にリクライニング可能である。ファーストクラスのシートはさらにより広く、一部のファーストクラスシートは完全に水平な位置までリクライニングできる。しかしながら、すべてのリクライニングシートは複数の可動部材を備えており、これらの可動部材により、シートは、完全に直立した状態と少なくとも部分的にリクライニングした状態との間で調整できるようになっている。図1〜図3は、航空機のビジネスクラスまたはファーストクラスで使用されるシートに類似の典型的な従来の航空機シートを示している。従来のシート100は、一対のアームレスト104間に配置された腰/大腿支持部102を含む。従来のシート100の腰/大腿支持部102は、エアラインおよびサービスのクラス(すなわち、エコノミークラス、ビジネスクラス、またはファーストクラス)により、約18インチから27インチの幅wを持っている。背中支持部106は腰/大腿支持部102に対してヒンジで連結されており、図1に示すようなほぼ直立した状態と図2に示すような部分的にリクライニングした状態との間で動かすことができる。一部のエアラインのファーストクラスのシートは、図3に示すように、完全にリクライニングさせることができる。典型的な従来のシート100は約70インチから76インチの長さlを有する。ヒンジで連結された2つの支持部102および106の間には、すき間108が形成されており、このすき間108により、支持部102および106間の相対的な動きを許容している。シート100は、腰/大腿支持部102に対してヒンジで連結されているフットレスト110を有しており、腰/大腿支持部102とフットレスト110との間にも、すき間112が存在している。さらに、より小さなすき間、折り目および継ぎ目114、116、118、120が、腰/大腿支持部102および背中支持部106に存在する。さらに、構造的に不均一な領域(例えば、フレーム部材およびその他の構造的な支持部)がシート100のカバーの下に存在しており、これらは目に見えないにもかかわらず、乗客に不快感を持たせる。すき間108,112や、その他の小さなすき間、折り目、縫い目114〜120は短時間の移動ではほとんど気にならない。しかしながら、約1cmより広くおよび/または約1cmよりも深いすき間108、112や、その他の小さなすき間、折り目、縫い目114〜120は長時間の移動では大変わずらわしくなる。すき間108、112およびその他の大きな表面凹凸114〜120によって、ピンチポイント(pinch points)が形成され、自重によりこれらの中に体の組織が挟み込まれる。これらのピンチポイントにおいて体にかかる圧力はより高いため、血流が阻害され、皮膚の表面および皮膚の表面付近が不快に感じる。長距離旅行者は、そのような不快さを緩和しようと頻繁に体を動かしたり、重心を移動させたりする。しかしながら、そのような行動は、挟み込まれていた体の組織をピンチポイントから移動させるものの、異なる体の組織をピンチポイントに押し込むことになるので、体の組織に引張力や摩擦力が作用する。さらに、車両は動作中に振動を生じさせる。乗客は、この振動によって、ピンチポイントで挟み込まれている体の部分が不快に感じる。
【0007】
ほとんどの公共輸送機関のシートにかけられているシートカバーは丈夫で洗濯を簡単に行えるように設計されている。これらの要件はしばしば乗客の快適さに対する要望と相反する。長い期間持ちこたえて洗濯が簡単な繊維は、長期間の使用により快適でなくなることがしばしばある。公共輸送機関の多くのシートは、背中の下部に対応する幾分硬質の木製支持部と、バックレスト(背もたれ)の上端部付近の出っ張り状の頭部支持部とを有するように設計されている。このようなシートは、乗客が直立状態で着座している場合にはしばしば快適であるが、乗客が睡眠のためにシートをリクライニングさせた場合に快適とはいえない。
【0008】
ほとんどすべての公共の輸送機関のシートはアームレストを備えており、一部のシートは、バックレストの両側から前方に突出するプライバシーウィングを備えている。アームレストおよびウィングは隣の乗客との接触を防止することを目的としている。これらのかなり硬質で非常に機能的な構成部材は、シートがリクライニングされて乗客が眠れるようにされた場合に不快さにつながる可能性がある。
【0009】
従来のシートは、体の特定の部分を支持するよう意図されている多くの種類の成形クッションを備えている。例えば、U字形クッションは、首の後側部分を支持するのに用いられる。その他の独特な成形クッションは、足、ひざの後部、またはひざ間を支持するように意図されたものがある。
【0010】
多くのアジア文化では、略矩形のマットが睡眠またはヨガのために用いられている。これらのマットは、薄くて比較的非弾性の材料から形成されることが多いため、身体用の緩衝材として適していない。この種のマットは一般にベッドの長さおよび幅にほぼ対応する長さおよび幅寸法を有している。マットは通常十分に柔軟なので、未使用時には保管するために折りたたむ、または巻くことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
粘弾性材料および(形状)記憶発泡体は、さまざまな開放気泡型の弾性ポリウレタン発泡体を定義するのに使用される用語であり、長年、マットレス、マットレスの上層、およびクッションに使用されてきた。より詳細には、粘弾性発泡体の下面は、ボックススプリングまたはマットレスといったほぼ平坦な水平支持面上に配置される。粘弾性発泡体の上面は、該上面上に配置される物体または体の輪郭に沿って変形する。粘弾性発泡体は、物体または体が取り除かれる、または位置を変えると変形していない元の形状にゆっくりと戻る。これに対し、従来の発泡ゴムは、加えられた負荷に対応して迅速に圧縮され、負荷が取り除かれると元の形状に迅速に戻る。さらに、圧縮された従来の発泡ゴムは、加えられた負荷の輪郭に沿って変形せず、加えられた負荷の力を分散させない。粘弾性材料は、おそらく、費用面、および通常直立姿勢の公共輸送機関のシートの製造に求められる生産性を考慮して、公共輸送機関のシートには使用されていない。
【0012】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、公共の待合室のシート、特に長距離旅行を目的としたシートの快適性を改善することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、旅行者によって使用され携帯されるのに適し、公共輸送機関のシートの快適性を改善することが可能なシート補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、公共の輸送機関シートに使用するシート補助具であるシートパッド・アセンブリ、およびシートパッド・アセンブリと公共の輸送機関シートとの組み合わせに関する。また、本発明は、公共の輸送機関のシートの快適性を向上させるための方法に関する。公共の輸送機関のシートとしては、好ましくはエアラインのシートが挙げられるが、列車、バス、および他の陸上車両のシートであってもよい。シートは、ほぼ水平な腰/大腿支持部と、腰/大腿支持部にヒンジで連結された背中支持部とを含む。シートはフットレスト含んでいてもよい。背中支持部および/またはフットレストは、好ましくは腰/大腿支持部に対して回動可能に取り付けられる。このため、フットレストと腰/大腿支持部との間、および背中支持部と腰/大腿支持部との間には、縫い目、小さなすき間、折り目、すき間、または空間が存在する。これらすき間の一部は、幅および/または深さが1cmを超える。シートはさらに、おおよそシートの幅ぶんだけ互いに間隔のあけられたアームレストを含む。アームレスト間の間隔、つまりシートの幅は、輸送機関の形態およびサービス・クラスに応じて変わる。さらに、シートは、乗客をシートに固定するための安全ベルトを含む。
【0015】
シートパッド・アセンブリは、ほぼ矩形の形状を有しており、好ましくはシートの幅にほぼ対応する幅を有している。シートパッド・アセンブリの幅は、好ましくはサービス・クラスに応じて選択される。例えば、エコノミークラス用のシートパッド・アセンブリは幅が約16インチであるが、ビジネスクラスまたはファーストクラス用のシートパッド・アセンブリは幅が約20インチである。また、シートパッド・アセンブリは、特にエコノミークラスの場合には、腰/大腿支持部の長さと背中支持部の長さとの合計にほぼ等しい長さを有していることが好ましい。具体的には、エコノミークラス用のシートパッド・アセンブリは、好ましくは長さが少なくとも約42インチであり、ビジネスクラス用のシートパッド・アセンブリは、好ましくは長さが約47インチである。さらに、シートパッド・アセンブリは、公共の乗換え待合室のシートのフットレストや、ビジネスまたはファーストクラスのエアラインシートのフットレストの長さにほぼ等しい長さを有するフットレスト延長部を含んでいてもよい。具体的には、ファーストクラス用のシートパッド・アセンブリは、長さが好ましくは約60インチ〜72インチである。さらに、シートパッド・アセンブリは、厚みが好ましくは1.0〜2.0インチであり、さらに好ましくは約1.00インチである。
【0016】
シートパッド・アセンブリは、好ましくは粘弾性材料からなるほぼ矩形のクッションを備えている。粘弾性クッションは、好ましくは、上述のように、シートパッド・アセンブリの全幅、全長、および全厚に対応する幅、長さ、および厚さを有している。さらに、粘弾性クッションは、シートにおける隣接する可動部材間に存在する少なくとも1cmの幅かつ少なくとも1cmの深さの、縫い目、すき間および他のピンチポイントを含む、シートのあらゆる箇所にわたって旅行者を快適に支持するための密度および硬度または堅さを有している。この点に関して、粘弾性クッションの密度、堅さ、反発性、および厚みは、粘弾性クッションの下側領域がすき間および他のピンチポイント内に流動してそれらの形状に一致するように、かつ、粘弾性クッションの上側領域に、旅行者を支持するほぼ平滑な表面を形成することができるように選択される。さらに、粘弾性クッションの密度、堅さ、反発性、および厚みは、粘弾性クッションが最大限に変形した場合に生じ得る沈み込みがなく、旅行者の体重が粘弾性クッションの上側部分によって確実に分散され、支持されるように選択される。したがって、粘弾性クッションは、不快なピンチポイントから旅行者を保護する。さらに、粘弾性材料は、車両による移動に伴う振動を吸収するのに効果的であるため、このような振動から旅行者を保護することができる。上述のように、振動は、特にシートに形成されたピンチポイント付近で旅行者を不快にさせる。
【0017】
シートパッド・アセンブリは、さらに、粘弾性クッション全体を覆うカバー・アセンブリを含む。カバー・アセンブリは、好ましくは少なくとも一部分が洗濯または交換のために取り外し可能である。カバー・アセンブリは、好ましくは伸縮可能にまたは十分にゆったりした寸法に構成されているので、シートに形成されたすき間または他のピンチポイント内に向かって容易に変形する。したがって、カバー・アセンブリは、粘弾性材料がシートの形状および旅行者の形状に一致するように流動(変形)する能力を制約することはない。そのようなカバー・アセンブリは、粘弾性材料が形状を変えるに従って粘弾性材料と共に動く。カバー・アセンブリは、好ましくは内側スクリーン層を含む。この内側スクリーン層は、好ましくは、粘弾性クッションの保護および支持に貢献するナイロンなどの合成材料から形成されている。内側スクリーン層は粘弾性クッションから取り外し可能である必要はない。また、カバー・アセンブリは、好ましくは内側保護カバーを含んでいる。この内側保護カバーは、耐流体性、耐汚れ性、抗菌性および/または吸湿性である。内側保護カバーは、粘弾性クッションが破損されるのを防止する。好ましくは、内側保護カバーはジッパーまたは他の閉鎖手段を有しており、内側保護カバーを粘弾性クッションから取り外して洗濯または交換できるようにしている。また、カバー・アセンブリは、好ましくは耐流体性、耐汚れ性、抗菌性、吸湿性の材料から形成された外側カバーを含む。外側カバーの材料は、綿またはブラシ合成繊維等の乗客に快適である材料である。外側カバーにマークを印刷したり刺繍を施したりして、エアラインまたは他の公共の輸送提供会社を識別できるようにしてもよく、またシートパッド・アセンブリの所有者または供給元を識別できるようにしてもよい。また、外側カバーは、ジッパーまたは他の閉鎖手段を有しており、外側カバーを粘弾性クッションから取り外して洗濯または交換できるようにしている。外側カバーの閉鎖手段は、内側カバーの閉鎖手段とは位置がずれていてもよい。また、外側カバーはストラップを有している。ストラップによってシートパッド・アセンブリを巻いた状態に固定して、空港または他の乗り換えターミナルにおいて簡単に保管および持ち運びできるようにしてよい。ストラップを使ってシートパッド・アセンブリをシートに保持することもできる。
【0018】
シートパッド・アセンブリは、該シートパッド・アセンブリを公共輸送機関のシートに取り外し可能に敷くことが可能な手段を有する。例えば、シートパッド・アセンブリにスナップを設けて、このスナップを、シートの背中の上部に設けられたスナップと解放可能に係合させることができる。また、シートパッド・アセンブリに、シートベルトを受容することが可能な切り欠きまたは開口部を設けてもよい。
【0019】
さらに、シートパッド・アセンブリは、キャリーバッグを含んでいてもよいし、またはキャリーバッグと共に使用してもよい。キャリーバッグは選択的に閉鎖可能な端部を有する。選択的に閉鎖可能な端部には、フラップ、口ひも等が取り付けられていてもよい。さらに、キャリーバッグに、ストラップまたはループを取り付け、ストラップまたはループを介して、キャリーバッグを肩にかけて持ち運びできるようにしてもよいし、またはキャリーバッグおよびシートパッド・アセンブリをキャスター付きかばんまたはバックパックに搭載して持ち運びできるようにしてもよい。
【0020】
シートパッド・アセンブリは、乗客によって空港、駅等に運ばれる。乗客は、シートに座る前にシートパッド・アセンブリをバッグから取り出してシートパッドをシート上に敷くだけでよい。このように、シートパッド・アセンブリは、頭上の荷物棚に保管しなければならない機内持ち込み荷物ではない。乗客は、通常の着座姿勢を取ることによりシートパッド・アセンブリを所定の位置に保持できる。所望であれば、またシートの操作装置がある場合、移動の最中の適切な時にシートの操作装置によりシートをリクライニング状態へと移動させることができる。シートパッド・アセンブリは、シートの可動部材間の継ぎ目および/または溝全体にわたって延び、シートおよび乗客の形状に一致するように変形して快適性を高めている。カバー・アセンブリは、粘弾性材料の変形を妨げないため、粘弾性材料の上側領域および下側領域の形状一致特性に影響することはない。また、シートパッド・アセンブリは、乗客をシートのアームレストに対して側面から支持することができるような寸法に設定してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るシート補助具であるシートパッド・アセンブリによれば、公共の待合室のシート、特に長距離旅行を目的としたシートの快適性を改善することできる。また、シートパッド・アセンブリは、旅行者によって容易に携帯できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施形態に係るシートパッド・アセンブリは、図5から図12において符号10で示されているシート補助具である。シートパッド・アセンブリ10は、最内側に位置する粘弾性発泡クッション12を含み、この粘弾性発泡クッション12は、TEMPUR−PEDIC社等の販売元から販売されている粘弾性材料から形成されている。シートパッド・アセンブリ10は、図4に示すように、ほぼ矩形で、長さLおよび幅Wを有する。長さLおよび幅Wは、シートパッド・アセンブリ10が使用されるサービス・クラスによって変わる。特に、ファーストクラスのエアラインシートは、ビジネスクラスのシートよりも幅が広く、シートによっては、シートがリクライニングされると縦方向に延びるフットレストを備えているものもある。好ましい実施形態では、シートパッド・アセンブリ10は、エコノミークラスシートでは幅Wが約16インチであり、ビジネスクラスまたはファーストクラスシートでは約20インチである。このように幅Wを設定することにより、シートパッド・アセンブリ10は、対象となるエアラインのシートの幅wのほとんどを占めることができる。しかしながら、シートパッド・アセンブリ10の幅Wは、わずかにより狭く、またはわずかにより広く設定してもよい。シートパッド・アセンブリ10の長さLも、シートパッド・アセンブリ10が使用されるサービス・クラスによって変わる。好ましい実施形態では、シートパッド・アセンブリ10の長さLは、エコノミークラスシートでは約42インチであり、ビジネスクラスシートでは約47インチであり、ファーストクラスシートでは約60インチから72インチである。しかしながら、長さLが約40インチの短いものであっても、本明細書で説明する利点の多くを実現することができる。特に、短距離旅行用のリクライニングしないシートや、腰/大腿支持部102と背中支持部106との間にすき間108が存在する従来のシート100に対しても有利である。
【0023】
シートパッド・アセンブリ10の粘弾性クッション12は、図5に示すように厚みTを有している。厚みTは、好ましくは1.0〜1.5インチの範囲であり、最も好ましくは保管および持ち運びが容易になるよう約1.0インチである。しかしながら、内側クッション12が容易に持ち運びができ、長距離旅行の場合に必要な快適さを提供できるかどうかは、粘弾性発泡体の密度にも左右される。密度が立方フィートあたり3lbsから立方フィートあたり8lbsであり、厚みTが1.0〜1.5インチの粘弾性クッション12であれば、従来のエアラインシート100にすき間108および他の表面凹凸が存在しても、快適性を提供でき、またシートパッド・アセンブリ10の持ち運びが容易となる。しかしながら、密度が立方フィートあたり5lbsで厚みTが1.0インチの粘弾性クッション12は、本明細書で説明するように、非常に良好なレベルの快適性、望ましいレベルの保管性および持ち運びの容易性を提供することができる。また、粘弾性クッション12は、沈み込みが起こり難く、シート100の形状および乗客の体形に一致するように、言い換えればシート100の形状および乗客の体形を面で広く受け止めるように変形する。従って、粘弾性クッション12は乗客の体重および表面圧力を分散できる。
【0024】
シートパッド・アセンブリ10はさらに、粘弾性クッション12をほぼ完全に覆うカバー・アセンブリ14を含む。クッション12の粘弾性発泡材料は、旅行者が長期間直接接触した場合、心地がよいとはいえない。また、クッション12の粘弾性発泡体は、しみや汚れに対して耐性がなく、数回使用した後には見た目が悪くなる場合がある。さらに、粘弾性発泡クッションは、きれいにした場合でさえも美的に魅力的ではない。一方、カバー・アセンブリ14は、旅行者が長期間直接接触しても心地のよい比較的安価な材料から作ることができる。
【0025】
カバー・アセンブリ14は、粘弾性クッション12の全体を覆う内側スクリーン層(保護スクリーン)15を含む。内側スクリーン層15は、好ましくはナイロンなどの合成繊維からなる目の細かいメッシュであり、カバー・アセンブリ14の他の部分がクリーニング、メンテナンス、または交換のために取り外された場合に粘弾性クッション12を保護するものである。また、内側スクリーン層15は、伸縮可能に、および/または十分にゆったりした寸法を有するように構成されているため、粘弾性クッション12は、内側スクリーン層15から干渉を受けることなく、シート100のピンチポイントに向かって変形および/または流動することができる。
【0026】
カバー・アセンブリ14はさらに、内側スクリーン層15および粘弾性クッション12全体を覆うように取り外し可能に設けられた内側カバー(保護カバー)16を含む。内側カバー16は、綿および合成繊維の混合物からなる伸縮可能なニット繊維などの、吸湿特性および抗菌特性を持つ耐流体性、耐汚れ性の材料から形成されている。また、内側カバー16は、図6に示すようにジッパーなどの内側閉鎖部16zを有している。この内側閉鎖部16zは、内側カバー16の1つの端縁部および隣接する側縁部にわたって延びている。内側閉鎖部16zは、クリーニング、メンテナンス、または交換のために内側カバー16を粘弾性クッション12から取り外せるようにしている。
【0027】
カバー・アセンブリ14は、さらに、内側カバー16全体を覆うように取り外し可能に設けられた外側カバー18を含む。外側カバー18は、吸湿特性および抗菌特性を持つ耐流体性、耐汚れ性材料から形成されている。例えば、外側カバー18は、長期間使用した後でも手触りが柔らかで快適な伸縮可能な織り綿繊維(糸数300−1000)またはブラシニット繊維から形成されている。より詳細には、外側カバー18は、ベッドシーツに通常使用されている材料から形成できる。さらに、外側カバー18は、美的なデザインにでき、またマークを印刷してシートパッド・アセンブリ10の持ち主を識別できるようにしてもよいし、特定の商標を付してもよい。例えば、マークは、パッドアセンブリ10を常連の旅行者に販売するエアラインの名称である。あるいは、マークは旅行者の勤め先の商標であってもよい。
【0028】
外側カバー18は、図7に示すように、ジッパーなどの外側閉鎖部18zを有している。この外側閉鎖部18zは、外側カバー18の1つの側縁部の大部分に沿って延びている。外側閉鎖部18zは、クリーニング、メンテナンス、または交換のために外側カバー18を粘弾性クッション12および内側カバー16から取り外せるようにしている。
【0029】
図8〜10に明瞭に示すように、2本のストラップ20が、外側カバー18の長手方向における一端部の近傍に固定されており、外側カバー18を越えて長手方向に延びている。外側カバー18に縫い付けられている、または他の方法で固定されている、各ストラップ20の一端部には、外側カバー18とは反対の側を向く面ファスナーループ22の列が形成されている。外側カバー18から離れた、各ストラップ20の他端部には、面ファスナーループ22に引っかかる面ファスナーフック24の列が形成されている。ストラップ20によって、シートパッド・アセンブリ10を図11に示すように巻いた状態にすることができる。このように、面ファスナーループ22および面ファスナーフック24は、シートパッド・アセンブリが巻かれた状態を保持する保持手段を構成する。
【0030】
シートパッド・アセンブリ10は、図12〜図15に示すように、キャリーバッグ30と共に使用できる。キャリーバッグ30は、閉鎖された底部32と開放された上部34とを有している。開放された上部34近傍で、口ひも36がヘムに組み込まれている。また、キャリーバッグ30はキャリーストラップ38を有している。図12に示す折りたたんだ状態では、キャリーバッグ30はほぼ平坦な矩形形状を有する。一方、キャリーバッグ30を開けば、図11に示すコイル状に巻かれたシートパッド・アセンブリ10を収容することができる。図13は、シートパッド・アセンブリ10とキャリーバッグ30との組み合わせ、つまりシートパッド・アセンブリ10がキャリーバッグ30に収容された状態を示す。旅行者は、図14に示すように、フライト間または目的地間において移動する際にはキャリーバッグ30を肩にかけることができる。また、キャリーストラップ38は、図15に示すように、キャスター付きかばんのハンドルに巻きつけることができる。また、キャリーストラップ38はバックパックに取り付けることができる。キャリーバッグ30にポケットを設けて、旅券、身分証明書等を携帯できるようにしてもよい。
【0031】
キャリーバッグ30の上部26近傍の口ひも36を開けることにより、巻かれた状態のシートパッド・アセンブリ10をキャリーバッグ30から取り出すことができる。その後、ストラップ20を解くと、シートパッド・アセンブリ10は図10の状態から図5の状態となる。そして、広げられたシートパッド・アセンブリ10は、旅行者が座る前に、図15〜図17に示すようにシート100の上に敷かれる。従って、シートパッド・アセンブリ10は、しまい込まれなければならない旅行かばんの荷物の一部ではなく、一時的にシート100の一部分となる。シートパッド・アセンブリ10の長手方向における一端部は、シート100の背中支持部106の上部付近に配置される。シートパッド・アセンブリ10の残りの部分は、背中支持部106の上部から、腰/大腿支持部102と背中支持部106との間のすき間108を通ってレッグレスト110に向かってまたはレッグレスト110まで延びている。シートパッド・アセンブリ10がレッグレスト110に向かって延びる範囲は、シート100の長さ「l」に対するパッドアセンブリ10の全長Lに左右される。好ましい実施形態では、シートパッド・アセンブリ10は、腰/大腿支持部102から最も遠くにあるレッグレスト110の端部まで完全に達するほど十分な長さを有している。一部のシート100は、シート100が完全にリクライニングされた状態へと動かされるにつれて腰/大腿支持部102から離間するように入れ子式に延びる、または他の方法で長手方向に延びるフットレスト114を有している。この場合、シートパッド・アセンブリ10の長手方向における一端部は、シートパッド・アセンブリ10の他の部分とレッグレスト110との間にたくし込まれて、図15および図16に示すようにフラップ34を形成する。しかしながら、フラップ34は、シート100が図17に示すような完全にリクライニングされた状態へと動かされるにつれて広げることができ、これにより、フラップ34をフットレスト114上に敷くことができる。
【0032】
上述のように、シートパッド・アセンブリ10は、幅Wが好ましくは16〜20インチの範囲であるため、座り心地を悪くする可能性のあるふくらみまたは隆起を形成することなくシート100のアームレスト104間に適合する。
【0033】
シートパッド・アセンブリ10は、腰/大腿支持部102と背中支持部106との間の不快なすき間108を越えて連続的に延びている。粘弾性クッション12は、周囲温度(華氏60−75℃)および体温の両方に対応して、シートが直立状態、部分的にリクライニング状態、および完全にリクライニング状態にある時に、乗客の体形に一致するように変形することにより乗客に三次元的な支持を提供する。粘弾性クッション12の厚みT、およびクッション12の粘弾性発泡体の密度および堅さにより、旅行者はシート100の硬質の構造体全体にわたって、また同様に腰/大腿支持部102と背中支持部106との間のすき間108全体にわたって快適に支持される。従って、粘弾性クッション12の自在に形状を変える性質によって、旅行者は、図16および図17に示すように、直立状態で着座しているまたはシート100がリクライニングされた状態でリラックスしようとしている場合に、すき間108によってもたらされる不快な感覚を回避することができる。さらに、クッション12の粘弾性発泡体は、移動に伴う振動や、シート100と乗客との間で生じる微小な動きを吸収するのに効果的である。これらの振動にともなう微小な動きは、乗客を不快にさせるものであるが、粘弾性クッション12によって効果的に緩和される。
【0034】
シートパッド・アセンブリ10がこのような目的を達成するには、部分的には粘弾性クッション12の厚みTおよび所定の特性が重要である。上述したように、クッション12は、好ましくは密度が50〜120kg/m3、より好ましくは約85kg/m3の粘弾性発泡体から形成される。また、粘弾性材料は、好ましくは約10Nの硬度または堅さを有している。そのような特性および約1インチの厚さを備えた粘弾性材料は、シート100が直立状態、リクライニングされた状態、部分的にリクライニングされた状態とは無関係に、すき間108、シート100の硬い構造支持部、車両の振動をほとんどまたは全く感じさせない、高いレベルの快適性を提供することが証明されている。適宜設定された、粘弾性クッション12の密度、堅さ、反発度および厚みにより、粘弾性クッション12の下面12Lは、図19に示すように、すき間108および他のピンチポイントに向かって動いて、それらの形状に一致するように変形することが可能となる。その結果、粘弾性クッション12の下面12Lには、凸状の形状一致領域12LCが形成されると共に、上面12Uには、旅行者に接触する均一な平滑面が形成される。カバー・アセンブリ14は、十分に伸縮可能である、および/またはゆったりしているので、粘弾性材料12は、シート100のピンチポイントおよび硬い部分の形状に一致するように変形できる。さらに、粘弾性クッション12の密度、硬度、堅さ、反発度および厚み特性により、下面12Lの上方、支持部102、106の上方、およびすき間108によって形成されたピンチポイントの上方にわたって、上面12Uには、旅行者の体重に対応する凹んだ形状一致領域12UCが形成される。また、旅行者の体重は、粘弾性クッション12が最大限に変形するような厚み、密度、硬度、および/または反発度を有していても起こったであろう沈み込みがない状態で、粘弾性クッション12の上側部分によって分散され、支持される。このように、粘弾性クッション12の上面および下面の変形は、旅行者を快適に支持し、旅行者の体重を分散し、シート100の不快なピンチポイントおよび硬い部分から旅行者を保護する。従って、旅行者は、シート100のすき間および他のピンチポイントを気にせずに体の位置を変えることができる。さらに、粘弾性クッション12によって旅行者が三次元的に支持されることで、移動に伴う振動が旅行者に伝わり難くなる。密度および硬度特性の異なる粘弾性材料同士を採用してよいが、厚みは変える必要があるであろう。
【0035】
シートパッド・アセンブリ10は、小売店(交通機関センターの売店、ショッピングセンターの売店、専門ギフトショップ、量販店など)、カタログ販売(例えば、航空機内カタログ)、テレビショッピング(ショッピングネットワーク、説明的コマーシャルなど)、またはインターネットで販売できる。インターネット取引は、供給元自身のウェブサイト、子会社の小売ウェブ宛先、モバイルウェブ宛て先、Bluetooth/Wi−FIを介したインタラクティブな屋外販売、または公共スペースにおけるタッチスクリーン設置によって行うことができる。加えて、シートパッド・アセンブリ10は、輸送サービスの提供に関連して販売、貸与またはその他の方法で乗客に提供してよい。例えば、シートパッド・アセンブリ10は、免税店で、チェックインの際に、またはシート選択の手続きの際など、乗客が空港でセキュリティクリアランスポイントを通過した後に、乗客に提供および/または引渡ししてもよい。あるいは、シートパッド・アセンブリ10は、出発の直前に乗客に引渡しされ、航空機から降りる直前に乗客から回収するようにして貸与することができる。カバー・アセンブリ14は、かかる貸与の後ごとに取り外して洗濯できる。さらに、シートパッド・アセンブリの提供は、常連の航空機の利用者のサービスに提携させることができる。これにより、シートパッド・アセンブリ10は特定の航空機利用頻度レベル(例えば、ゴールド、プラチナなど)を持つ乗客に提供できる。同様に、シートパッド・アセンブリ10は常連の航空機利用者のポイントまたはマイルで購入または貸与でき、シートパッド・アセンブリ10の購入または貸与は、ポイント、関連製品またはサービス等の特定の特典を常連の航空機利用者に付与するのに用いてもよい。
【0036】
本発明を、好ましい実施形態に関して詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および細部についての種々の変更が可能なことは明らかである。例えば、旅行者の好みおよびシートの寸法に応じて、異なる長さ、幅、および厚み寸法のシートパッド・アセンブリ10を提供することができる。
【0037】
矩形のシートパッド・アセンブリ10は費用効率および携帯効率がよい。しかしながら、矩形でないシートパッド・アセンブリ10を用いてもよい。例えば、シートベルトがシートから延びている領域に切り欠きを設けてよい。加えて、シート100において、ひざおよび下肢に隣接する領域を、腰および肩に隣接する領域よりも狭くできる。
【0038】
さらに、シートパッド・アセンブリ10の最も下側の部分は、関節接合により構成してもよい。これにより、シートパッド・アセンブリ10の最も下側の部分の近傍においてフラップに対してヒンジラインを形成できる。フラップは、粘弾性発泡材料からなる別体品として形成でき、カバー・アセンブリ14の外側カバー18に設けた別のポケット内に収容してもよい。
【0039】
面ファスナーを有するストラップ20を好ましい実施形態で示した。しかしながら、パッドアセンブリ10を巻いた状態で保管するために、他の形態のストラップも提供できる。例えば、結び目が結ばれるストラップを提供してよく、または簡素なバックルを備えたストラップを提供してよい。
【0040】
さらに、パッドアセンブリ10には、パッドアセンブリ10をシート100の背中支持部106の上部に取り外し可能に取り付けるための構造体を設けてもよい。そのような構造体としては、ストラップ、スナップ等が挙げられる。
【0041】
これらの変形は、本明細書の開示により当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】直立状態の従来のシートの斜視図である。
【図2】部分的にリクライニングされた状態の従来のシートの斜視図である。
【図3】完全にリクライニングされた状態の従来のシートの斜視図である。
【図4】図3の線4−4に沿った断面図である。
【図5】本発明によるシートパッド・アセンブリの斜視図であり、部分的にその断面を示している。
【図6】外側カバーが取り外された状態のシートパッド・アセンブリの端部の斜視図である。
【図7】シートパッド・アセンブリの側面の斜視図であり、外側カバーのジッパー閉鎖部を示している。
【図8】シートパッド・アセンブリの角部の平面図であり、延ばされた状態のストラップのうちの1つを示している。
【図9】シートパッド・アセンブリの角部の側面図であり、延ばされた状態のストラップを示している。
【図10】部分的に巻かれた状態のシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図11】保管のために完全に巻かれた状態のシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図12】図11の巻かれたシートパッド・アセンブリに使用されるキャリーバッグの正面図である。
【図13】図12のキャリーバッグに収容されたシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図14】キャリーバッグに収容されたシートパッド・アセンブリを運んでいる人物の斜視図である。
【図15】キャリーバッグに収容されると共に、キャスター付きかばんに固定されているシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図16】図1の完全に直立状態の航空機シートに敷かれた図5〜図11のシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図17】図2の部分的にリクライニングされた航空機シートに敷かれた図5〜図11のシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図18】図3の完全にリクライニングされた航空機シートに敷かれた図5〜図11のシートパッド・アセンブリの斜視図である。
【図19】図18の線19−19に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0043】
10 シートパッド・アセンブリ
12 粘弾性発泡クッション
14 カバー・アセンブリ
15 内側スクリーン層
16 内側カバー
18 外側カバー
20 ストラップ
30 キャリーバッグ
100 シート
102 腰/大腿支持部
106 背中支持部
108 すき間
110 レッグレスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰/大腿支持部と、該腰/大腿支持部にヒンジで連結された背中支持部とを有し、前記背中支持部が、前記腰/大腿支持部に対して完全に直立した状態と、前記腰/大腿支持部に対して少なくとも部分的にリクライニングされた状態との間で移動可能に構成され、前記腰/大腿支持部と前記背中支持部との間に、少なくとも1つの凹部が形成されている公共の輸送機関シートに用いられるシートパッド・アセンブリであって、
幅および長さを有する粘弾性発泡クッションと、
前記シートパッド・アセンブリの厚さを規定する互いに対向する上面および下面と、
を備え、
前記粘弾性発泡クッションの前記幅は、前記シートの幅にほぼ対応しており、
前記粘弾性発泡クッションの前記長さは、前記シートパッド・アセンブリが前記腰/大腿支持部と前記背中支持部との間で前記凹部全体にわたって連続的に延びるように、前記腰/大腿支持部とは反対側に位置する前記背中支持部の端部から、前記背中支持部とは反対側に位置する腰/大腿支持部の端部にかけてほぼ延びる程度に十分な長さであり、
前記シートパッド・アセンブリの前記厚さは、該シートパッド・アセンブリにおける前記下面の近傍に位置する部分が、前記凹部の中に流動して該凹部をほぼ塞ぐように、かつ前記上面が、前記シートにおける前記凹部の近傍に位置する部分において沈み込むことなく、旅行者を支持するほぼ均一で平滑面となるように設定されているシートパッド・アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記シートは、さらに、前記背中支持部とは反対側に位置する前記腰/大腿支持部の縁部の近傍箇所に対してヒンジで連結されたレッグレストを含み、
前記レッグレストと前記腰/大腿支持部とが一定の範囲で相対的に動く際、前記レッグレストと前記腰/大腿支持部との間には、すき間が形成され、
前記シートパッド・アセンブリは、前記腰/大腿支持部と前記レッグレストとの間の前記すき間を越えて前記レッグレストの一部分にまで達するのに十分な長さを有しているシートパッド・アセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記シートは、さらに、前記レッグレストから選択的に延伸可能なフットレストを含み、
前記シートパッド・アセンブリは、前記シートパッド・アセンブリの他の部分に対して選択的に折りたたみ可能に構成されて、前記フットレスト上に選択的に敷くことができるフラップを含むシートパッド・アセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、さらに、前記粘弾性発泡クッションを覆うカバー・アセンブリを備え、
前記カバー・アセンブリは、前記粘弾性発泡クッションが前記シートの少なくとも1つの凹部に向かって変形できるように、伸縮可能に構成され、またはゆったりとした寸法を持つように構成されているシートパッド・アセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記カバー・アセンブリは、前記粘弾性発泡クッションを覆うようにほぼ永久的に設けられた内側スクリーン層を含むシートパッド・アセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記カバー・アセンブリは、さらに、前記粘弾性発泡クッションおよび前記内側スクリーン層を覆うように取り外し可能に設けられた内側カバーを含むシートパッド・アセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記カバー・アセンブリは、さらに、前記内側カバーを覆うように取り外し可能に設けられた外側カバーを含むシートパッド・アセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記カバー・アセンブリは、さらに、前記外側カバーの一端部から延びる複数のストラップを含み、前記ストラップは、前記シートパッド・アセンブリを巻いた状態に保つための保持手段を有するシートパッド・アセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、さらに、前記粘弾性発泡クッションおよび前記カバー・アセンブリを巻いた状態で収容することが可能な寸法を有するキャリーバッグを含み、前記キャリーバッグはキャリーストラップを有するシートパッド・アセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記粘弾性発泡クッションの厚さは、少なくとも1インチであるシートパッド・アセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記粘弾性発泡クッションは、前記腰/大腿支持部と前記背中支持部との間で前記凹部全体にわたって旅行者を支持することが可能なように密度および硬度が選択されているシートパッド・アセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記粘弾性発泡クッションは、約3〜8lb/立方フィートの密度を有するシートパッド・アセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載のシートパッド・アセンブリにおいて.前記粘弾性発泡クッションは、約5lb/立方フィートの密度を有するシートパッド・アセンブリ。
【請求項14】
請求項10に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記粘弾性発泡クッションの硬度は、約10Nであるシートパッド・アセンブリ。
【請求項15】
請求項1に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記シートパッド・アセンブリは、幅が約16〜20インチ、長さが約42〜60インチ、および厚さが少なくとも約1インチであるシートパッド・アセンブリ。
【請求項16】
航空機のシート・アセンブリであって、
航空機の支持面に固定された腰/大腿支持部と、前記腰/大腿支持部にヒンジで連結され、前記腰/大腿支持部に対して完全に直立した状態とリクライニングした状態との間で移動可能な背中支持部と、前記腰/大腿支持部と前記背中支持部との間に形成されて、前記背中支持部の前記腰/大腿支持部に対する移動を許容する少なくとも1つの凹部とを含むシート、および
前記シート上に取り外し可能に配置できるシートパッド・アセンブリであって、前記シートによって規定される幅よりもわずかに小さい幅と、前記腰/大腿支持部と前記背中支持部とがヒンジで連結された方向に対してほぼ垂直の方向に測定された前記腰/大腿支持部および前記背中支持部間の長さにほぼ等しい長さとを有する粘弾性発泡クッションと、前記粘弾性発泡クッションを覆っており、前記粘弾性発泡クッションが前記シートの前記凹部内に向かって妨げられることなく変形できるように十分に伸縮可能な、またはゆったりした寸法を有するカバー・アセンブリとを含み、前記粘弾性発泡クッションは、前記腰/大腿支持部と前記背中支持部との間で前記凹部全体にわたって旅行者を支持するのに十分な密度および硬度を有するシートパッド・アセンブリ、
を備えた航空機のシート・アセンブリ。
【請求項17】
請求項16に記載のシート・アセンブリにおいて、前記粘弾性発泡クッションは、密度が約3〜8lb/立方フィートであるシート・アセンブリ。
【請求項18】
請求項17に記載のシート・アセンブリにおいて、前記シートは、前記腰/大腿支持部との間にすき間が形成された状態で該腰/大腿支持部の近傍位置に関節接合されているレッグレストを含み、
前記シートパッド・アセンブリは、前記すき間全体にわたって、かつ前記レッグレスト上に連続的に延びるのに十分な長さを有するシート・アセンブリ。
【請求項19】
腰/大腿支持部と、該腰/大腿支持部にヒンジで連結されて、前記腰/大腿支持部に対して完全に直立した状態と少なくとも部分的にリクライニングした状態との間で移動可能な背中支持部とを有しており、前記腰/大腿支持部と前記背中支持部との間には、凹部が形成されている航空機シートの快適性を改善するための方法であって、
粘弾性発泡クッションを含んでおり、前記腰/大腿支持部とは反対側に位置する前記背中支持部の端部から前記背中支持部とは反対側に位置する前記腰/大腿支持部の端部にかけてほぼ延びるのに十分な寸法を有しているシートパッド・アセンブリを用意するステップと、
前記シートパッド・アセンブリが前記背中支持部および前記腰/大腿支持部に沿って、かつ前記背中支持部および前記腰/大腿支持部間の前記凹部全体にわたってほぼ連続的に延びるように前記シートパッド・アセンブリを前記シート上に配置するステップと、
前記シートパッド・アセンブリが前記凹部全体にわたってほぼ連続するクッションを形成するように前記腰/大腿支持部に対して前記背中支持部をリクライニングさせるステップと、
を備えた方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、さらに、前記シートパッド・アセンブリを空港で旅行者に販売または貸与するステップを備えた方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、さらに、前記旅行者が空港でセキュリティを通過した後、前記シートパッド・アセンブリを前記旅行者に届けるステップを備えた方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、さらに、前記旅行者が航空機から降りたときに前記旅行者から前記シートパッド・アセンブリを回収するステップを備えた方法。
【請求項1】
腰/大腿支持部と、該腰/大腿支持部にヒンジで連結された背中支持部とを有し、前記背中支持部が、前記腰/大腿支持部に対して完全に直立した状態と、前記腰/大腿支持部に対して少なくとも部分的にリクライニングされた状態との間で移動可能に構成され、前記腰/大腿支持部と前記背中支持部との間に、少なくとも1つの凹部が形成されている公共の輸送機関シートに用いられるシートパッド・アセンブリであって、
幅および長さを有する粘弾性発泡クッションと、
前記シートパッド・アセンブリの厚さを規定する互いに対向する上面および下面と、
を備え、
前記粘弾性発泡クッションの前記幅は、前記シートの幅にほぼ対応しており、
前記粘弾性発泡クッションの前記長さは、前記シートパッド・アセンブリが前記腰/大腿支持部と前記背中支持部との間で前記凹部全体にわたって連続的に延びるように、前記腰/大腿支持部とは反対側に位置する前記背中支持部の端部から、前記背中支持部とは反対側に位置する腰/大腿支持部の端部にかけてほぼ延びる程度に十分な長さであり、
前記シートパッド・アセンブリの前記厚さは、該シートパッド・アセンブリにおける前記下面の近傍に位置する部分が、前記凹部の中に流動して該凹部をほぼ塞ぐように、かつ前記上面が、前記シートにおける前記凹部の近傍に位置する部分において沈み込むことなく、旅行者を支持するほぼ均一で平滑面となるように設定されているシートパッド・アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記シートは、さらに、前記背中支持部とは反対側に位置する前記腰/大腿支持部の縁部の近傍箇所に対してヒンジで連結されたレッグレストを含み、
前記レッグレストと前記腰/大腿支持部とが一定の範囲で相対的に動く際、前記レッグレストと前記腰/大腿支持部との間には、すき間が形成され、
前記シートパッド・アセンブリは、前記腰/大腿支持部と前記レッグレストとの間の前記すき間を越えて前記レッグレストの一部分にまで達するのに十分な長さを有しているシートパッド・アセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記シートは、さらに、前記レッグレストから選択的に延伸可能なフットレストを含み、
前記シートパッド・アセンブリは、前記シートパッド・アセンブリの他の部分に対して選択的に折りたたみ可能に構成されて、前記フットレスト上に選択的に敷くことができるフラップを含むシートパッド・アセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、さらに、前記粘弾性発泡クッションを覆うカバー・アセンブリを備え、
前記カバー・アセンブリは、前記粘弾性発泡クッションが前記シートの少なくとも1つの凹部に向かって変形できるように、伸縮可能に構成され、またはゆったりとした寸法を持つように構成されているシートパッド・アセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記カバー・アセンブリは、前記粘弾性発泡クッションを覆うようにほぼ永久的に設けられた内側スクリーン層を含むシートパッド・アセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記カバー・アセンブリは、さらに、前記粘弾性発泡クッションおよび前記内側スクリーン層を覆うように取り外し可能に設けられた内側カバーを含むシートパッド・アセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記カバー・アセンブリは、さらに、前記内側カバーを覆うように取り外し可能に設けられた外側カバーを含むシートパッド・アセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記カバー・アセンブリは、さらに、前記外側カバーの一端部から延びる複数のストラップを含み、前記ストラップは、前記シートパッド・アセンブリを巻いた状態に保つための保持手段を有するシートパッド・アセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、さらに、前記粘弾性発泡クッションおよび前記カバー・アセンブリを巻いた状態で収容することが可能な寸法を有するキャリーバッグを含み、前記キャリーバッグはキャリーストラップを有するシートパッド・アセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記粘弾性発泡クッションの厚さは、少なくとも1インチであるシートパッド・アセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記粘弾性発泡クッションは、前記腰/大腿支持部と前記背中支持部との間で前記凹部全体にわたって旅行者を支持することが可能なように密度および硬度が選択されているシートパッド・アセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記粘弾性発泡クッションは、約3〜8lb/立方フィートの密度を有するシートパッド・アセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載のシートパッド・アセンブリにおいて.前記粘弾性発泡クッションは、約5lb/立方フィートの密度を有するシートパッド・アセンブリ。
【請求項14】
請求項10に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記粘弾性発泡クッションの硬度は、約10Nであるシートパッド・アセンブリ。
【請求項15】
請求項1に記載のシートパッド・アセンブリにおいて、前記シートパッド・アセンブリは、幅が約16〜20インチ、長さが約42〜60インチ、および厚さが少なくとも約1インチであるシートパッド・アセンブリ。
【請求項16】
航空機のシート・アセンブリであって、
航空機の支持面に固定された腰/大腿支持部と、前記腰/大腿支持部にヒンジで連結され、前記腰/大腿支持部に対して完全に直立した状態とリクライニングした状態との間で移動可能な背中支持部と、前記腰/大腿支持部と前記背中支持部との間に形成されて、前記背中支持部の前記腰/大腿支持部に対する移動を許容する少なくとも1つの凹部とを含むシート、および
前記シート上に取り外し可能に配置できるシートパッド・アセンブリであって、前記シートによって規定される幅よりもわずかに小さい幅と、前記腰/大腿支持部と前記背中支持部とがヒンジで連結された方向に対してほぼ垂直の方向に測定された前記腰/大腿支持部および前記背中支持部間の長さにほぼ等しい長さとを有する粘弾性発泡クッションと、前記粘弾性発泡クッションを覆っており、前記粘弾性発泡クッションが前記シートの前記凹部内に向かって妨げられることなく変形できるように十分に伸縮可能な、またはゆったりした寸法を有するカバー・アセンブリとを含み、前記粘弾性発泡クッションは、前記腰/大腿支持部と前記背中支持部との間で前記凹部全体にわたって旅行者を支持するのに十分な密度および硬度を有するシートパッド・アセンブリ、
を備えた航空機のシート・アセンブリ。
【請求項17】
請求項16に記載のシート・アセンブリにおいて、前記粘弾性発泡クッションは、密度が約3〜8lb/立方フィートであるシート・アセンブリ。
【請求項18】
請求項17に記載のシート・アセンブリにおいて、前記シートは、前記腰/大腿支持部との間にすき間が形成された状態で該腰/大腿支持部の近傍位置に関節接合されているレッグレストを含み、
前記シートパッド・アセンブリは、前記すき間全体にわたって、かつ前記レッグレスト上に連続的に延びるのに十分な長さを有するシート・アセンブリ。
【請求項19】
腰/大腿支持部と、該腰/大腿支持部にヒンジで連結されて、前記腰/大腿支持部に対して完全に直立した状態と少なくとも部分的にリクライニングした状態との間で移動可能な背中支持部とを有しており、前記腰/大腿支持部と前記背中支持部との間には、凹部が形成されている航空機シートの快適性を改善するための方法であって、
粘弾性発泡クッションを含んでおり、前記腰/大腿支持部とは反対側に位置する前記背中支持部の端部から前記背中支持部とは反対側に位置する前記腰/大腿支持部の端部にかけてほぼ延びるのに十分な寸法を有しているシートパッド・アセンブリを用意するステップと、
前記シートパッド・アセンブリが前記背中支持部および前記腰/大腿支持部に沿って、かつ前記背中支持部および前記腰/大腿支持部間の前記凹部全体にわたってほぼ連続的に延びるように前記シートパッド・アセンブリを前記シート上に配置するステップと、
前記シートパッド・アセンブリが前記凹部全体にわたってほぼ連続するクッションを形成するように前記腰/大腿支持部に対して前記背中支持部をリクライニングさせるステップと、
を備えた方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、さらに、前記シートパッド・アセンブリを空港で旅行者に販売または貸与するステップを備えた方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、さらに、前記旅行者が空港でセキュリティを通過した後、前記シートパッド・アセンブリを前記旅行者に届けるステップを備えた方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、さらに、前記旅行者が航空機から降りたときに前記旅行者から前記シートパッド・アセンブリを回収するステップを備えた方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2009−516542(P2009−516542A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541411(P2008−541411)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/044942
【国際公開番号】WO2007/061973
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(508149582)ナイトギア エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/044942
【国際公開番号】WO2007/061973
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(508149582)ナイトギア エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】
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