説明

シート貼付装置および貼付方法

【課題】装置の大型化や複雑化を招くことなく、短時間かつ高効率に被着体の内周面に任意長さの接着シートを貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供すること。
【解決手段】貼付ヘッド2に保持外周面23と保持延長面24とが設けられ、これらに渡って連続して接着シートSを保持することができるので、容器Cの内周面C1全周に渡る長さを有する接着シートSを一度の貼付工程で貼付することができる。このように単一の保持手段によって任意長さの接着シートを一度の貼付工程で容器Cの内周面C1に貼付できるので、複数の貼付ヘッドを設けたり、1つの容器Cに対して貼付工程を複数回に分けたりする必要がないことから、シート貼付装置1の構造が簡単化かつ小型化できるとともに貼付工程の迅速化、効率化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管状に形成された容器等の被着体の内周面に対して帯状の接着シートを貼付するシート貼付装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシート貼付装置は、接着シートを吸着保持したまま被着体内に挿入可能な貼付ヘッドと、吸着保持した接着シートを被着体の内周面に押圧する押圧ローラと、接着シートを押圧したままで貼付ヘッドおよび押圧ローラに対して被着体を相対回転させる回転装置とを備えて構成され、吸引保持した接着シートの端縁を押圧ローラで被着体の内周面に押圧した状態から、これらの貼付ヘッドおよび押圧ローラに対して被着体を回転装置で回転させることで、貼付ヘッドから接着シートを離間させながら被着体の内周面に貼付するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−210302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来のシート貼付装置は、被着体の内周面に接着シートを貼り付けすることができるものの、貼付ヘッドが略円筒状であるとともに被着体内に挿入する必要があることから、貼付ヘッドの外周面の周長が被着体の内周面の周長よりも短くなり、被着体の内周面全長に渡って連続した接着シートを貼付することができない。このため、被着体の内周面全長に渡って接着シートを貼付するためには、周長よりも短く形成した複数の接着シートを数回に分けて貼付する必要があり、貼付工程を繰り返すことで貼付完了までに長時間を要したり、複数の貼付ヘッドを設けることで装置が大型化したり、装置の構成が複雑化したり、分割した接着シートごとの位置合わせのために制御が煩雑化したりなど、様々な不都合が生じる。
【0005】
本発明の目的は、装置の大型化や複雑化を招くことなく、短時間かつ高効率に被着体の内周面に任意長さの接着シートを貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、開口部を有する被着体の周方向に沿った内周面に対して接着剤層を有する接着シートを貼付するシート貼付装置であって、前記接着シートを保持した状態で前記被着体の開口部から内部に挿入可能な保持手段と、前記保持手段で保持した前記接着シートを前記被着体の内周面に押圧する押圧手段と、前記保持手段および押圧手段と前記被着体とを周方向に相対移動させる移動手段とを備え、前記保持手段は、前記被着体の内周面に対向可能な保持外周面と、この保持外周面に連続して当該保持手段の内部側に延びる保持延長面と、これらの保持外周面および保持延長面に設けられるとともに前記接着剤層を外側に向けて前記接着シートを吸着保持する吸着手段とを有する、という構成を採用している。
【0007】
この際、本発明のシート貼付装置では、前記保持手段は、前記保持延長面に対向して当該保持手段の内部側に延びる対向面を有し、この対向面には、前記接着シートの接着剤層が接着しないようにする非接着手段が設けられていることが好ましい。
さらに、本発明のシート貼付装置は、前記接着シートの一端縁側を前方に他端縁側を後方にして当該接着シートを繰り出すとともに、繰り出した接着シートを前記保持手段に受け渡す繰出手段を備え、前記吸着手段は、前記保持延長面に設けられて前記接着シートの一端縁側を吸着保持可能な第1吸着部と、前記保持外周面に設けられて前記一端縁側を除いて前記接着シートの他端縁側に至る部分を吸着保持可能な第2吸着部とを有し、これら第1および第2の吸着部が互いに独立して吸着動作可能に構成されていることが好ましい。
この際、本発明のシート貼付装置は、前記接着シートを前記保持延長面に向かって案内して当該接着シートの受け渡しを補助する受け渡し補助手段を備えることが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、開口部を有する被着体の周方向に沿った内周面に対して接着剤層を有する接着シートを貼付するシート貼付方法であって、前記被着体の内周面に対向可能な保持外周面と、この保持外周面に連続して内部側に延びる保持延長面とを有する保持手段を用い、前記保持外周面と前記保持延長面とに渡り前記接着シートの接着剤層を外側に向けて前記接着シートを吸着保持し、前記接着シートを保持した前記保持手段を前記被着体の開口部から内部に挿入し、前記保持手段で保持した前記接着シートの端縁を前記被着体の内周面に押圧した状態を維持しつつ、前記保持手段と前記被着体とを周方向に相対移動させて前記内周面に前記接着シートを貼付することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、保持手段の内部側に延びる保持延長面と、これに連続する保持外周面とを設けることにより、保持手段の外周面の周長以上の長さの接着シートを保持することができ、被着体内に挿入して当該被着体の内周面全長に渡って連続した接着シートを貼付することができる。また、被着体の内周面の周長に応じて保持延長面の長さを適宜に設定しておくことで、被着体の内周面全長または全長を超える長さの接着シートであっても保持手段で保持し、接着シートを保持した保持手段を被着体内部に挿入してから周方向に相対移動させて、被着体の内周面に接着シートを貼付することができる。このように単一の保持手段によって任意長さの接着シートを一度の貼付工程で被着体の内周面に貼付できることから、装置構造が簡単化かつ小型化できるとともに貼付工程の迅速化を図ることができ、長さ方向に分割した複数の接着シート位置を合わせながら貼付する必要もないことから、装置の動作制御を単純化して貼付工程の効率化を図ることができる。
【0010】
また、シート貼付装置において、保持延長面に対向する対向面に非接着手段を設けておけば、接着剤層を外側に向けて接着シートを保持する際に対向面へ接着してしまう不具合が防止でき、保持延長面に基材シートを確実に吸着保持させることができる。
さらに、保持延長面に設けた第1吸着部と保持外周面に設けた第2吸着部とを独立して吸着動作させることで、繰出手段によって繰り出された接着シートの前方側である一端縁側を第1吸着部で確実に吸着保持してから、さらに繰り出された接着シートの後方側の部分を第2吸着部で吸着保持するようにできる。従って、保持手段における適切な保持位置に接着シートを保持して位置ずれを防止することができ、被着体の内周面に対しても適切な貼付位置に接着シートを貼付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
【図2】図1のシート貼付装置の分解斜視図。
【図3】図1のシート貼付装置における保持手段の断面図。
【図4】図1のシート貼付装置の動作説明図。
【図5】図4に続くシート貼付装置の動作説明図。
【図6】本発明の変形例に係るシート貼付装置における保持手段の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、シート貼付装置1は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートSを容器Cの内周面に貼付する貼付装置である。接着シートSは、接着剤層を介して帯状の剥離シートRLに仮着された原反として準備され、繰り出された原反の剥離シートRLから剥離されるとともに、保持手段である貼付ヘッド2に一旦受け渡されてから、容器Cの内周面C1に貼付されるようになっている。なお、以下では、接着シートSの接着剤層の表面を接着面S1、基材シートの他方の面を非接着面S2として説明する。一方、被着体である容器Cは、開口部C2を有して全体円筒状に形成され、その周面に並んだ複数の穴C3を有するとともに、開口部C2を上方に向けた状態でターンテーブルTに複数の容器Cが並んで支持され、順次回転されて貼付ヘッド2の下方にセットされてから接着シートSが貼付されるようになっている。
【0013】
シート貼付装置1は、原反を繰り出すとともに剥離シートRLから剥離した接着シートSを貼付ヘッド2に受け渡す繰出手段3と、貼付ヘッド2を回転自在かつ上下移動自在に支持する駆動手段4と、貼付ヘッド2で保持した接着シートSを容器Cの内周面C1に押圧する押圧手段5と、ターンテーブルT上にて容器Cを回転させて貼付ヘッド2および押圧手段5に対して周方向に相対移動させる移動手段6と、以上各部の動作を制御する図示しない制御手段とを備えて構成されている。
【0014】
繰出手段3は、図示しない支持ローラや回収ローラ、駆動ローラ等の各種ローラと、原反の剥離シートRLから接着シートSを剥離する剥離板31とを備え、支持ローラから原反を繰り出すとともに、剥離板31で折り返した剥離シートRLを回収ローラで回収するように構成されている。このような繰出手段3は、図1中右方向に接着シートSを繰り出すようになっており、繰出方向前方に位置する接着シートSの一端縁S3側から、後方に位置する他端縁S4側にかけて、順次接着シートSを剥離シートRLから剥離しつつ、貼付ヘッド2に受け渡すようになっている。また、繰出手段3には、図4に示すように、気体を吹き付けて接着シートSの受け渡しを補助する受け渡し補助手段32が設けられている。また、繰出手段3は、図示しない駆動機器であるシリンダ装置に支持され、これにより貼付ヘッド2に対して水平方向に離間接近可能に構成されている。
【0015】
駆動手段4は、図示しないフレームおよび駆動機器である昇降モータによって上下移動可能に設けられる支持体41と、この支持体41の上面に固定される駆動機器である回動モータ42と、支持体41の下方に位置するとともに、回動モータ42の出力軸42Aに固定される駆動プーリ43と、回動モータ42と所定間隔をあけて支持体41の上面に位置する軸受け41Aに軸支される駆動軸44と、この駆動軸44に固定される従動プーリ45と、駆動プーリ43と従動プーリ45とに巻回されるベルト46と、駆動軸44の先端(下端)に固定されるベース板47とを有して構成されている。ベース板47の下面側には、貼付ヘッド2と押圧手段5とが支持されている。このような駆動手段4は、回動モータ42によって駆動プーリ43を回転させることで、ベルト46および従動プーリ45を駆動し、これによってベース板47を水平面内で回転させ、貼付ヘッド2および押圧手段5を回転駆動するように構成されている。さらに、昇降モータで支持体41を上下移動させることで、貼付ヘッド2および押圧手段5を昇降駆動するように構成されている。
【0016】
押圧手段5は、ベース板47の下面に固定される駆動機器である直動モータ51と、この直動モータ51のスライダ51Aに固定される支持アーム52と、この支持アーム52から下方に延びる押圧軸53と、この押圧軸53の下端部に回転自在に設けられる押圧ローラ54とを有して構成されている。このような押圧手段5は、直動モータ51によって図1中紙面直交方向に支持アーム52を駆動することで、押圧軸53および押圧ローラ54を貼付ヘッド2に対して離間接近する方向に進退駆動するように構成されている。すなわち、押圧軸53および押圧ローラ54は、貼付ヘッド2の径方向内側に収容される非押圧位置と、貼付ヘッド2の径方向外側に突出した押圧位置との間を往復移動可能に構成されている。
【0017】
移動手段6は、ターンテーブルTの上面に固定された回転装置61で構成され、この回転装置61は、環状に形成されて、その内部に受け入れた容器Cを保持するとともに、鉛直軸周りに容器Cを回転駆動できるようになっている。
【0018】
貼付ヘッド2は、図3にも示すように、略円柱状の胴部21を有し、この胴部21には、その外周面に開口して当該胴部21の内部側に延びる切欠き溝部22が形成されている。さらに、胴部21には、切欠き溝部22を除く外周面であって容器Cに挿入された状態で内周面C1に対向する保持外周面23と、切欠き溝部22の表面であって胴部21の内部側に延びる保持延長面24と、切欠き溝部22の他の表面であって保持延長面24に対向する対向面25とが設けられている。すなわち、保持外周面23と保持延長面24とは、渦巻き形状に滑らかに連続して形成され、これらを合わせた周方向長さが容器Cの内周面C1の周長と略同一か、または内周面C1の周長よりも長くなるように設定されている。対向面25には、フッ素樹脂加工やテフロン(登録商標)加工などが施された非接着部材(非接着手段)26が設けられており、対向面25に接着シートSの接着面S1が接着しないようになっている。
【0019】
また、貼付ヘッド2には、接着シートSの非接着面S2を吸着保持する吸着手段が設けられ、この吸着手段は、保持外周面23と保持延長面24の一部とに設けられる第2吸着部としての複数の吸着孔27と、切欠き溝部22の最奥部にて保持延長面24に設けられる第1吸着部としての吸着孔28とを有して構成されている。複数の吸着孔27は、胴部21内に形成されたチャンバー27Aで互いに連通されるとともに、胴部21内に設けられる吸気路27Bに接続されている。吸着孔28は、胴部21内に設けられる吸気路28Aに接続され、吸気路27B,28Aは、それぞれ貼付ヘッド2の上部で胴部21の外部に突出し、図示しない吸引ポンプ等の吸気装置に接続されている。このような吸着孔27,28が設けられた保持外周面23および保持延長面24は、接着面S1を外側に向けて非接着面S2の側から接着シートSを吸着保持可能に構成されている。
【0020】
以上のシート貼付装置1における容器Cの内周面C1に対する接着シートSの貼付動作を図4、図5も参照して説明する。
先ず、図4に示すように、繰出手段3によって接着シートSを貼付ヘッド2に受け渡す受け渡し手順としては、図4(A)に示す初期状態から、繰出手段3が原反を繰り出して剥離板31で剥離シートRLを折り返すことにより接着シートSを剥離し、繰出方向前方(図の右側)に向かって片持ち状に接着シートSを送り出す。送り出した接着シートSを受け渡し補助手段32が貼付ヘッド2に向かって付勢することで、接着シートSの一端縁S3が保持延長面24と押圧ローラ54との隙間を通って切欠き溝部22に挿入されやすくなっている。このとき、吸着孔28,27のうち少なくとも吸着孔28が吸引を開始しているので、受け渡し補助手段32が吹き付けた気体が溝部22の奥の方に流れやすくなり、一端縁S3側の接着面S1が対向面25に接触し難くなる効果がある。この場合、吸着孔28,27のうち少なくとも吸着孔28が受け渡し補助手段を構成することとなる。なお、対向面25には、非接着部材26が設けられているので接着面S1がさらに接着し難くなっている。図4(B)に示すように、接着シートSの一端縁S3が切欠き溝部22の最奥部である吸着孔28に到達すると、吸気路28内の減圧度合いが上昇するので、当該吸気路28に図示しない圧力センサ等の検知手段を接続しておけば、当該接着シートSの一端縁S3が切欠き溝部22の最奥部まで繰り出されたことを確認することができる。
【0021】
吸着孔28で接着シートSの一端縁S3側を吸着保持したら、繰出手段3の繰り出しに同期して駆動手段4が回動モータ42の駆動によって貼付ヘッド2および押圧手段5を水平面内で回転させ、図4(C)に示すように、保持外周面23に接着シートSを巻き付ける。そして、保持外周面23への接着シートSの巻き付けを継続して貼付ヘッド2を一回転(360°)させたら、接着シートSは、図4(D)に示すように、吸着孔28,27によって吸引されて他端縁S4側が押圧ローラ54に当接するとともに、接着面S1を外側に向けた状態で、保持外周面23および保持延長面24によって保持され、繰出手段3から貼付ヘッド2への受け渡しが完了する。この後、繰出手段3は、受け渡し補助手段32の吹き付けを停止するとともに、次回の受け渡し工程で受け渡す接着シートSを待機させた状態で繰り出し動作を停止してから、図1に示す退避位置に退避する。
【0022】
次に、貼付ヘッド2で保持した接着シートSを容器Cの内周面C1に貼付する貼付手順としては、駆動手段4全体を図示しない昇降モータによって下降させ、貼付ヘッド2を容器Cの内部に挿入し、容器Cの穴C3に対応した貼付位置に接着シートSの接着面S1を対向させてから、図5(A)に示すように、押圧手段5が直動モータ51を駆動して押圧ローラ54を押圧位置に移動させる。このように押圧位置に移動した押圧ローラ54で接着シートSの他端縁S4側の接着面S1を容器Cの内周面C1に押圧したら、移動手段6が容器Cを時計回りに回転させ、図5(B)に示すように、非接着面S2を保持外周面23から離間させつつ、他端縁S4側から一端縁S3側に向かって接着シートSの接着面S1を順次内周面C1に貼付していく。この際、接着シートSは、内周面C1に貼付された他端縁S4側が容器Cの回転に伴って引っ張られることで、非接着面S2が保持外周面23および保持延長面24に摺接しつつ一端縁S3側が切欠き溝部22から引き出されることになる。
【0023】
さらに、図5(C)に示すように、容器Cの回転を継続することで、接着シートSの他端縁S4が保持外周面23に摺接しつつ貼付ヘッド2の外周面に沿って移動し、図5(D)に示すように、他端縁S4側まで貼付が完了したら、押圧手段5が押圧ローラ54を非押圧位置に後退させ、昇降モータによって駆動手段4全体が上昇することで貼付ヘッド2が容器Cから離脱する。以上のようにして容器Cの内周面C1全周に渡って接着シートSを貼付したら、ターンテーブルTが回転して接着シートS貼付済みの容器Cを次工程に送り、次回の貼付工程に用いる容器Cを貼付ヘッド2の下方に位置させて待機する。そして、シート貼付装置1は、新たな接着シートSおよび容器Cに対して上述の動作を繰り返す。
【0024】
本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、貼付ヘッド2に保持外周面23と保持延長面24とが設けられ、これらに渡って連続して接着シートSを保持することができるので、容器Cの内周面C1全周に渡る長さを有する接着シートSを一度の貼付工程で貼付することができる。このように単一の保持手段によって任意長さの接着シートSを一度の貼付工程で容器Cの内周面C1に貼付できので、複数の貼付ヘッドを設けたり、1つの容器Cに対して貼付工程を複数回に分けたりする必要がないことから、シート貼付装置1の構造が簡単化かつ小型化できるとともに貼付工程の迅速化、効率化を図ることができる。
【0025】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は前記記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され且つ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状などの詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は本発明に含まれるものである。
【0026】
例えば、前記実施形態のシート貼付装置1では、容器Cの内周面C1全周に渡って接着シートSを貼付する場合を例示したが、接着シートSの長さは、内周面C1全周よりも長くてもよいし、短くてもよい。すなわち、本発明のシート貼付装置は、保持外周面および保持延長面を有する貼付ヘッド(保持手段)2を備えたことで、保持手段の外周面周長に関わらず任意長さの接着シートを保持して被着体の内周面に貼付できるようにしたことに特徴を有するものであって、被着体の内周面全長を超える長さの接着シートをも貼付可能であることから、それよりも短い長さの接着シートを貼付できることは当然である。すなわち、保持手段の保持外周面と保持延長面とを合わせた保持面の全長は任意に設定することが可能であり、前記実施形態に限定されるものではない。
【0027】
また、保持手段における保持外周面および保持延長面の形態は、前記実施形態のように渦巻き形状に限らず、接着シートを連続して保持できるように保持外周面と保持延長面とが滑らかに連続したものであればよい。具体的には、保持手段の外周面から内部側に向かって凹んだ複数の保持延長面を設け、これらの保持延長面以外の外周面を保持外周面としてもよく、この場合には、接着シートの一端縁側に限らず、接着シートの複数の途中位置や他端縁側をそれぞれ保持延長面で保持するようにすればよい。また、前記貼付ヘッド2の切欠き溝部22のような形態とする場合であっても、接着シートの一端縁側ではなく他端縁側を切欠き溝部に挿入するように構成してもよい。
【0028】
また、前記実施形態では、貼付ヘッド2の対向面25に設ける非接着手段として適宜な表面処理が施された非接着部材26を用いたが、非接着手段としては、図6に示すように、対向面25の表面形状を荒らすこと(凸部26A)で接着シートSが面接着しないようにして接着面S1が接着しにくいようにしてもよい。
【0029】
また、前記実施形態では、被着体として容器Cを採用し、その内周面C1に接着シートSを貼付する形態を例示したが、本発明における被着体の種別や材質などは、特に限定されず、例えば、被着体が容器C以外の適宜な物品であってもよい。また、接着シートSの種別や材質も特に限定されず、任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状のものが適用できる。
また、前記実施形態では、帯状の剥離シートRLに枚葉の接着シートSが仮着されたものを利用したが、帯状の接着シートを切断しつつ保持手段に受け渡すような構成であってもよい。
さらに、接着シートは、基材シートの両面に接着剤層が設けられたものでもよく、その際保持外周面と保持延長面に非接着加工を施せばよい。
【0030】
また、繰出手段3としては、前述したような剥離板31を備えたものに限らず、剥離シートRLを所定半径で折り返すローラを有して構成されたものでもよい。
また、移動手段6としては、前述したように容器C(被着体)を回転させるものに限らず、貼付ヘッド(保持手段)2および押圧手段5を回転させるように構成してもよいし、被着体と保持手段および押圧手段との両方を相対回転させるものでもよい。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0031】
1 シート貼付装置
2 貼付ヘッド(保持手段)
3 繰出手段
5 押圧手段
6 移動手段
23 保持外周面
24 保持延長面
25 対向面
26 非接着部材(非接着手段)
26A 凸部(非接着手段)
27 吸着孔(第2吸着部)
28 吸着孔(第1吸着部)
32 受け渡し補助手段
C 容器(被着体)
C1 内周面
C2 開口部
S 接着シート
S1 接着面
S2 非接着面
S3 一端縁
S4 他端縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する被着体の周方向に沿った内周面に対して接着剤層を有する接着シートを貼付するシート貼付装置であって、
前記接着シートを保持した状態で前記被着体の開口部から内部に挿入可能な保持手段と、
前記保持手段で保持した前記接着シートを前記被着体の内周面に押圧する押圧手段と、
前記保持手段および押圧手段と前記被着体とを周方向に相対移動させる移動手段とを備え、
前記保持手段は、前記被着体の内周面に対向可能な保持外周面と、この保持外周面に連続して当該保持手段の内部側に延びる保持延長面と、これらの保持外周面および保持延長面に設けられるとともに前記接着剤層を外側に向けて前記接着シートを吸着保持する吸着手段とを有していることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記保持手段は、前記保持延長面に対向して当該保持手段の内部側に延びる対向面を有し、この対向面には、前記接着シートの接着剤層が接着しないようにする非接着手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記接着シートの一端縁側を前方に他端縁側を後方にして当該接着シートを繰り出すとともに、繰り出した接着シートを前記保持手段に受け渡す繰出手段を備え、
前記吸着手段は、前記保持延長面に設けられて前記接着シートの一端縁側を吸着保持可能な第1吸着部と、前記保持外周面に設けられて前記一端縁側を除いて前記接着シートの他端縁側に至る部分を吸着保持可能な第2吸着部とを有し、これら第1および第2の吸着部が互いに独立して吸着動作可能に構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記接着シートを前記保持延長面に向かって案内して当該接着シートの受け渡しを補助する受け渡し補助手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート貼付装置。
【請求項5】
開口部を有する被着体の周方向に沿った内周面に対して接着剤層を有する接着シートを貼付するシート貼付方法であって、
前記被着体の内周面に対向可能な保持外周面と、この保持外周面に連続して内部側に延びる保持延長面とを有する保持手段を用い、
前記保持外周面と前記保持延長面とに渡り前記接着シートの接着剤層を外側に向けて前記接着シートを吸着保持し、
前記接着シートを保持した前記保持手段を前記被着体の開口部から内部に挿入し、
前記保持手段で保持した前記接着シートの端縁を前記被着体の内周面に押圧した状態を維持しつつ、前記保持手段と前記被着体とを周方向に相対移動させて前記内周面に前記接着シートを貼付することを特徴とするシート貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−206757(P2012−206757A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74734(P2011−74734)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】