説明

シート貼付装置および貼付方法

【課題】装置の複雑化や大型化を招くことなく貼付効率および貼付精度を高めることができるシート貼付装置および貼付方法を提供すること。
【解決手段】剥離板41と対向させて立上板31を設けておき、繰出手段による原反Rの繰り出しに伴って接着シートSの起立部S2が立上板31を通過することで、受動的かつ自動的に案内傾斜端縁36および折曲傾斜端縁37に沿って案内された起立部S2が折り曲げられる。従って、起立部S2を立ち上げたり折り曲げたりするための別途の駆動部が不要にでき、シート貼付装置1の構造を簡単化することができるとともに、装置の大型化を防止することができる。また、起立部S2を折り曲げるための別途の工程も不要にできることから、貼付サイクルを短縮して複数の接着シートSを効率よく連続的に貼付することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、剥離紙に仮着されたラベル等の接着シートを剥離紙から剥離し、剥離した接着シートを折り曲げてから物品(被着体)に貼付するラベル貼付装置が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の貼付装置は、剥離紙から剥離された接着シートを貼付面の反対側から保持する一対の吸着板と、一対の吸着板を互いに離間接近させる吸着板駆動部と、離間させた状態から吸着板を接近させる際に接着シートの貼付面側からエアを吹き付けて折曲げを補助する折曲補助部と、一対の吸着板を被着体に向かって移動させて折曲げた接着シートを被着体に押圧する吸着板移動部とを有して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−290412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の貼付装置では、吸着板駆動部によって一対の吸着板を離間接近させて接着シートを折り曲げるとともに、この接着シートの折曲げを補助するために折曲補助部からエアを吹き付けるように構成されているため、装置が複雑になって大型化してしまう。また、剥離紙から剥離した接着シートを一対の吸着板で保持した状態において、一旦吸着板を離間させてから逆に吸着板を接近させることで接着シートを折り曲げ、その後に一対の吸着板を被着体に向かって移動させることから、その間、接着シートを供給する供給手段(ラベル供給部)は待機していることとなり、複数の接着シートを連続的に貼付する際の貼付効率(処理能力)が著しく低下するという問題がある。さらに、ラベル供給部や吸着板駆動部、吸着板移動部などの複数の駆動部を個別に駆動制御する必要があることから、各部の制御が複雑になって貼付精度の確保が困難になるという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、装置の複雑化や大型化を招くことなく貼付効率および貼付精度を高めることができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、接着部と起立部とを有する基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付装置であって、前記原反を繰り出す繰出手段と、前記繰り出された原反における前記接着シートの前記起立部を前記剥離シートから立ち上げる立上手段と、前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、前記剥離された接着シートの接着部を被着体の被着面に押圧して貼付する押圧手段とを備え、前記立上手段は、前記繰出手段の繰出方向に延びて前記剥離シートと前記接着シートの起立部との間に挿入される立上先端部と、この立上先端部から繰出方向下流側に連設されて前記起立部を前記剥離シートから離間する立上方向に案内する立上案内部と、前記立上案内部から繰出方向下流側に連続するとともに、前記剥離シートに接近する反立上方向に傾斜した立上後端部とを有し、前記繰出手段による原反の繰り出しに伴って前記接着シートの接着部に向かって前記起立部を折り曲げ可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
この際、本発明のシート貼付装置では、前記立上案内部は、繰出方向上流側から下流側に向かって前記剥離シートの表面から離隔する方向、および繰出方向に直交する当該剥離シートの面方向、の各方向に傾斜した案内傾斜端縁を有し、前記立上後端部は、前記案内傾斜端縁に連続して前記剥離シートの表面に接近する方向、および繰出方向に直交する当該剥離シートの面方向、の各方向に傾斜した折曲傾斜端縁を有していることが好ましい。
また、前記立上先端部は、所定平面に沿って繰り出される前記原反に対し、前記剥離シートを別の平面に沿って繰り出すように変位させる先端縁を有して構成されていることが好ましい。
さらに、前記剥離手段は、前記原反を前記剥離シートの側から前記所定平面に案内する案内面と、当該剥離シートを折り曲げて前記接着シートを剥離する剥離端縁とを有した剥離板で構成され、前記剥離板は、前記案内面よりも凹むとともに、前記立上先端部を受け入れ可能な凹部を有して形成され、この凹部に受け入れた前記立上先端部の先端縁によって前記剥離シートを屈曲可能に構成されていることが好ましい。
そして、前記立上先端部の先端縁は、前記剥離シートの幅方向外側を内側よりも大きく屈曲させる傾斜を有して形成されていることが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、接着部と起立部とを有する基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付方法であって、前記原反を繰り出し、この繰出方向に延びて前記剥離シートと前記接着シートの起立部との間に挿入される立上先端部と、この立上先端部から繰出方向下流側に連設されて前記起立部を前記剥離シートから離間する立上方向に案内する立上案内部と、前記立上案内部から繰出方向下流側に連続するとともに、前記剥離シートに接近する反立上方向に傾斜した立上後端部とを有する立上手段を用いて、前記繰り出された原反における前記接着シートの接着部に向かって起立部を折り曲げ、前記起立部が折り曲げられた接着シートを前記剥離シートから剥離し、剥離した接着シートを被着体に押圧して貼付することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、繰出手段による原反の繰り出しに伴って受動的に立上手段によって接着シートの起立部を立ち上げ、当該立ち上げられた起立部を接着部に向かって折り曲げることで、接着シートを立ち上げたり折り曲げたりするために別途の駆動部を設ける必要がなく、装置の複雑化や大型化を防止することができる。また、原反の繰り出しに伴って起立部を折り曲げることから、接着シートを折り曲げる工程のために繰り出しを停止させなくてもよい上に、接着シートの接着部を剥離シートに仮着した状態のままで起立部を折り曲げることから、折り曲げ時の位置ずれなども防止することができ、貼付効率および貼付精度の低下を招くことなく、起立部を折り曲げた接着シートを被着体に貼付することができる。また、立上先端部と立上案内部と立上後端部とを一体に有した立上手段を用いて起立部を折り曲げることで、繰り出しに伴って連続的かつ円滑に起立部を折り曲げることができる。
【0010】
この際、所定の傾斜を有した案内傾斜端縁および折曲傾斜端縁で起立部を案内するようにすれば、原反の繰り出しに伴って円滑に起立部を立ち上げ、連続的に起立部を折り曲げることができ、接着シートの破損や位置ずれを防止することができる。特に、案内傾斜端縁および折曲傾斜端縁が剥離シートの表面から離隔、接近する方向に傾斜していることで、起立部の所定の位置に接しながら起立部を立ち上げて折り曲げることができる。
さらに、所定平面に沿って繰り出される原反に対し、立上先端部の先端縁によって剥離シートを別の平面に沿って繰り出すように変位させることで、剥離シートと接着シートの起立部との隙間を拡大することができ、この隙間に立上先端部を挿入することにより、当該立上先端部が接着シートに引っ掛かることを防止し、起立部を立ち上げやすくすることができる。さらに、剥離手段に凹部を形成しておき、この凹部で立上先端部を受け入れて剥離シートを屈曲させるようにすれば、より確実に剥離シートと起立部との間に隙間を形成することができる。
また、立上先端部の先端縁が剥離シートの幅方向外側を内側よりも大きく屈曲させる傾斜を有する構成とすれば、当該先端縁が剥離シートの変位に伴う折り曲がり部に線接触して案内するようになり、剥離シートの局部に応力が集中して当該剥離シートが傷付いたり破れたりすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
【図2】図1のシート貼付装置の部分側面図。
【図3】図1のシート貼付装置の部分斜視図。
【図4】図1のシート貼付装置の動作説明図。
【図5】図4に続くシート貼付装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3において、本実施形態のシート貼付装置1は、接着部S1と起立部S2とを有する基材シートBSの当該接着部S1における一方の面の一部領域に接着剤層ADを備えた接着シートSを被着体Wに貼付する貼付装置であって、接着剤層ADを介して帯状の剥離シートRLに仮着された原反Rから接着シートSを剥離し、剥離した接着シートSの起立部S2を立ち上げた状態で被着体Wに貼付するように構成されている。このシート貼付装置1は、原反Rを繰出方向Aに向かって繰り出す繰出手段2と、繰り出された原反Rにおける接着シートSの起立部S2を剥離シートRLから立ち上げる立上手段3と、剥離シートRLを折り曲げて当該剥離シートRLから接着シートSを剥離する剥離手段4と、剥離シートRLから剥離した接着シートSの接着部S1を被着体Wの被着面ASに押圧して貼付する押圧手段5と、立上手段3の姿勢を変位可能な変位手段6とを備えて構成され、被着体Wを図1中左方向に移動させるベルトコンベアCV等の搬送手段7の上方に図示しないフレームを介して据え付けられている。
【0013】
ここで、接着シートSは、図3に示すように、繰出方向Aの上流側から下流側に向かって(以下「下流側に向かって」という)左側の略半分の領域に接着剤層ADが積層され、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLに仮着されている。また、接着シートSには、基材シートBSの略中央部であって、繰出方向Aに沿う方向に断続的に設けられた折曲線S3と、折曲線S3間に設けられた略U字状の切り込みS5とが形成されている。折曲線S3としては、基材シートBSを型押しして形成した凹みや、ミシン目等によって折り曲げやすくしたものが例示できる。このような接着シートSにおいて、下流側に向かって右側の略半分の外縁と、各折曲線S3と、各折曲線S3の断絶部を繋ぐ仮想ラインとで囲まれる領域が起立部S2とされ、各折曲線S3の断絶部を繋ぐ仮想ラインと、切り込みS5とで囲まれる領域が起立部S2の立ち上げ状態を維持させるための立上維持部S4とされ、それ以外の領域が接着部S1とされる。
【0014】
繰出手段2は、その全体がベースフレーム20に支持され、このベースフレーム20には、原反Rをロール状に巻回して支持する支持ローラ21と、原反Rを案内する複数のガイドローラ22,23と、駆動機器である回動モータ24によって駆動される駆動ローラ25と、駆動ローラ25との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ26と、図示しない駆動機器によって剥離シートRLを回収する回収ローラ27とが設けられている。
【0015】
立上手段3は、変位手段6に支持された曲面板状の立上板31を備えて構成され、この立上板31は、繰出方向Aに沿って延び、剥離シートRLと接着シートSの起立部S2との間に挿入される立上先端部32と、この立上先端部32から繰出方向A下流側に連設して起立部S2を剥離シートRLから離間する立上方向に案内する立上案内部33と、この立上案内部33から繰出方向A下流側に連続するとともに、剥離シートRLに接近する反立上方向に傾斜し、起立部S2を接着部S1に向かって折り曲げる立上後端部34と、を有して形成されている。
【0016】
剥離手段4は、ベースフレーム20によって図1中左下方に傾斜した姿勢で支持された剥離板41を備えて構成され、この剥離板41は、原反Rを剥離シートRLの側から案内する案内面(所定平面)42と、原反Rの繰出方向A下流側の剥離端縁43とを有し、剥離シートRLを剥離端縁43で駆動ローラ25に向かって折り曲げることで、立上手段3を通過して折り曲げられた接着シートSを剥離シートRLから剥離するようになっている。また、剥離板41には、当該剥離板41の一部を切り欠いた凹部44が形成され、この凹部44に立上先端部32を受け入れ可能に構成されている。
【0017】
押圧手段5は、図示しないフレーム等に回転自在に支持されたゴムや樹脂等の弾性変形可能な押圧ローラ51を備えて構成され、この押圧ローラ51は、剥離板41先端から図1中左下方に突出した接着シートSを折れ曲がった状態のまま被着体Wに向かって押圧するように構成されている。
【0018】
変位手段6は、図3に示すように、立上板31の上方に取り付けられたシャフトサポータ61と、シャフト62と、シャフト62をシャフトサポータ61の反対側で支持する駆動機器としての多関節ロボット63とを備える。多関節ロボット63は、繰出方向A、繰出方向Aおよび剥離シートRLの表面に直交する方向B、繰出方向Aに直交する剥離シートRLの面方向C、繰出方向Aを軸芯とする回転方向D、前記方向Bを軸芯とする回転方向Eおよび、前記方向Cを軸芯とする回転方向Fに立上板31を変位可能に設けられている。多関節ロボット63としては公知の6軸ロボット等が例示できる。これにより、接着シートS、剥離シートRL、接着部S1、起立部S2、立上維持部S4、接着剤層AD、基材シートBS等の形状やA、BおよびC方向に沿う寸法等に応じて立上板31の姿勢や位置を変位させることができる。
【0019】
以上のような本実施形態のシート貼付装置1において、立上手段3は、図4にも示す以下の構成を備えている。
立上板31は、剥離板41の上方に対向するとともに繰出方向Aに沿った断面が上向き凸の曲部を有した一枚の板材から形成されている。すなわち、立上板31は、繰出方向A上流側の立上先端部32から立上案内部33にかけて剥離板41から上方に離れる方向に傾斜し、立上案内部33から立上後端部34にかけて剥離板41に接近する方向に傾斜して形成されている。また、立上先端部32は、案内面42よりも下方の凹部44内にて、案内面42に沿って繰り出される原反Rに対し、剥離シートRLを別の平面に沿って繰り出すように変位させる先端縁35を有し、この先端縁35には、剥離シートRLの幅方向外側(下流側に向かって右端縁側)を内側よりも大きく屈曲させる傾斜が形成されている。このような立上先端部32は、図4(B)に示すように、剥離シートRLと接着シートSの起立部S2との間に挿入された先端縁35によって剥離シートRLを屈曲させることで、原反Rの繰り出しに伴って剥離シートRLから起立部S2を立ち上がらせることができるように構成されている。
【0020】
立上板31の立上先端部32から立上案内部33にかけては、剥離シートRLから立ち上がらせた起立部S2を立ち上がらせる案内傾斜端縁36が形成されている。この案内傾斜端縁36は、平面視で下流側に向かって接着シートSの起立部S2側(右側)から接着部S1側(左側)に所定の角度で傾斜して形成されており、図4(B),(C)に示すように、原反Rの繰り出しに伴って起立部S2を徐々に立ち上がらせ、剥離シートRLの表面から90°を超える角度まで立ち上げ可能に構成されている。さらに、立上案内部33から立上後端部34にかけては、案内傾斜端縁36に連続して接着部S1側の端縁に向かってさらに所定の角度で傾斜し、立ち上がらせた起立部S2を接着部S1側に折り曲げる折曲傾斜端縁37が形成され、この折曲傾斜端縁37によって起立部S2が接着部S1に近づく状態まで折り曲げ可能に構成されている。折曲傾斜端縁37が立上後端部34と同様に剥離シートRLに接近する反立上方向に傾斜していることで、起立部S2を立上板31の下方に入り込み易くする効果がある。また、立上後端部34の繰出方向A下流側端部には、剥離板41の案内面42と略平行かつ所定間隔を介して設けられ、接着部S1側に折り曲げた起立部S2の姿勢を維持する押圧面部38が形成されている。
【0021】
以上のシート貼付装置1で被着体Wに接着シートSを貼付する手順としては、繰出手段2によって原反Rを繰り出させることによって、図4(A)に示すように、剥離シートRLおよび接着シートSが剥離板41の案内面42で案内されて繰出方向A下流側に送られる。この際、接着シートSが凹部44に達した時点で、図4(B)に示すように、立上板31の先端縁35によって剥離シートRLが下方に屈曲されることで、剥離シートRLと起立部S2とに隙間が形成され、この隙間に立上先端部32を挿入して起立部S2を立ち上がらせる。このとき、先端縁35が剥離シートRLの変位に伴う折り曲がり部RL1に線接触して案内するので、剥離シートRLが傷付いたり破れたりすることを防止する。なお、先端縁35を滑らかな円弧形状としたり、回転可能なローラやベアリング等で構成したり、樹脂等の摩擦抵抗の少ない部材で構成したりして、剥離シートRLとの摩擦を低減する低摩擦手段を設けてもよい。
【0022】
さらに、原反Rを繰り出して接着シートSを繰出方向A下流側に送ることで、図4(C)に示すように、起立部S2が案内傾斜端縁36に沿って立ち上がり、剥離シートRLの表面から90°を超える角度まで立ち上がった起立部S2は、図4(D)に示すように、折曲傾斜端縁37に沿って接着部S1側に折り曲げられる。この際、接着シートSの立上維持部S4が起立部S2の折り曲げに伴い、その剛性で接着部S1の反対側に突出する。その後、さらに接着シートSを繰出方向A下流側に送ることで、図4(E)に示すように、折り曲げられた起立部S2が押圧面部38によって接着部S1側に押圧されて接着シートSが二つ折りにされる。ここで、図4(B)〜(D)に示すように、案内傾斜端縁36および折曲傾斜端縁37は、起立部S2における所定の位置、つまり、下流側に向かって起立部S2の右端縁から距離Lの位置に接しながら起立部S2を立ち上げて接着部S1側に折り曲げる。これは、距離Lが短い場合、起立部S2の剛性が立ち上げ応力に耐えられず、折曲線S3以外の位置で折り曲がってしまうことを防止することができる上、距離Lが長い場合、起立部S2が急激に立ち上げられて、例えば、接着シートSが剥離シートRLから剥離されてしまうようなことをも防止することができる。なお、距離Lは、接着シートS特に基材シートBSの構成や性質によって適宜変更することができる。また、一旦折曲線S3で折り癖が付き、その後の接着シートSの剥離シートRLからの剥離が起こらないような場合は、徐々に距離Lが長くなるように案内傾斜端縁36および折曲傾斜端縁の傾斜を変更してもよい。このように二つ折りにした接着シートSを図1、図2に示すように剥離板41の先端位置まで送り、剥離端縁43で折り返した剥離シートRLから部分的に剥離した状態において、繰出手段2による原反Rの繰り出しを一旦停止して待機状態となる。
【0023】
次に、搬送手段7で搬送されてきた被着体Wが押圧ローラ51の下方所定位置に達すると、図示しないセンサによって検知され、繰出手段2が回動モータ24を駆動して原反Rを被着体Wの搬送速度と同じ速度で繰り出し、かつ回収ローラ27で剥離シートRLを回収する。これにより、剥離端縁43で部分的に剥離シートRLから剥離した状態で停止していた接着シートSは、当該剥離シートRLから剥離され、図5(A)に示すように、二つ折りの状態のまま押圧ローラ51で被着体Wの被着面ASに押圧して貼付される。このようにして接着シートSが被着体Wに貼付されると、原反Rの繰り出し動作が再度停止され、図1、図2に示す待機状態となり、接着シートSが貼付された被着体Wは次工程に搬送され、以降上記同様の動作を繰り返す。なお、被着体Wに貼付された接着シートSは、図5(B)に示すように、基材シートBSの弾性によって接着シートSが元の平板状に戻ろうとするものの、立上維持部S4が被着体W表面に当接することで、起立部S2が立ち上がった状態を維持するようになっている。
【0024】
本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、剥離板41と対向させて立上板31を設けておき、繰出手段2による原反Rの繰り出しに伴って接着シートSの起立部S2が立上板31を通過することで、受動的かつ自動的に案内傾斜端縁36および折曲傾斜端縁37に沿って案内された起立部S2が立ち上げられて折り曲げられる。従って、起立部S2を立ち上げたり折り曲げたりするための別途の駆動部が不要にでき、シート貼付装置1の構造を簡単化することができるとともに、装置の大型化を防止することができる。また、起立部S2を立ち上げたり折り曲げたりするための別途の工程も不要にできることから、貼付サイクルを短縮して複数の接着シートSを効率よく連続的に貼付することができる。さらに、剥離シートRLから接着シートSを剥離するよりも前工程で起立部S2を立ち上げることにより、剥離してから立ち上げる場合などと比較して立ち上げ時の位置ずれを防止することができ、貼付精度の低下を招くことなく起立部S2を立ち上げた接着シートSを被着体Wに貼付することができる。
【0025】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は前記記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され且つ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状などの詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は本発明に含まれるものである。
【0026】
例えば、前記実施形態では、立上手段3として、1枚の板状部材で構成したものを例示したが、これに限られない。すなわち、例えば、立上先端部32、立上案内部33および立上後端部34をそれぞれ別部材で構成してもよいし、それぞれを適宜に組み合わせて構成してもよい。その場合には、各部材が板状部材でもよいし線状部材でもよいし、その他の適宜な形状を有した部材でもよい。
【0027】
また、接着部S1および起立部S2の配置は前記実施形態に限定されない。すなわち、接着部S1と起立部S2とが前記実施形態に対して左右逆に配置されてもよいし、幅方向の中央側に接着部S1が設けられて、その左右両側に起立部S2が設けられていてもよい。そして、左右両側に起立部S2が設けられた場合には、これに対応して立上手段も左右に一対で設けられていればよい。また、接着シートとしては、折曲線S3および立上維持部S4は必須ではなく、いずれか1つまたは両方が省略されていてもよい。
さらに、接着シートSは、接着部S1における一方の面の全領域に接着剤層ADを備えたが構成であってもよい。
また、接着シートSは、起立部S2や立上維持部S4における一方の面の一部領域に接着剤層ADを備えた構成であってもよいし、基材シートBSにおける一方の面の全領域に接着剤層ADを備えた構成であってもよい。これらの場合、立上手段3や押圧手段5における少なくとも接着剤層ADが接触する領域に、接着剤層ADが接着しないフッ素樹脂やシリコン樹脂等の不接着処理を施したり、押圧手段5を圧縮エア等で構成し、非接触で接着シートSを押圧できるような構成とすればよい。
さらに、立上先端部32によって変位させた剥離シートRLと共に、接着シートSも同じ方向に変位してしまうことを防止するために、剥離板41の凹部44の上方で接着シートSを吸着しながら、当該接着シートSを搬送方向A方向に搬送可能なサクションベルト等の変位補助手段を設けてもよい。
【0028】
また、前記実施形態では、原反Rは、帯状の剥離シートRLに枚葉の接着シートSを適宜な間隔で仮着したものであったが、原反としては、帯状の剥離シートRLに帯状の接着シートが仮着されたものでもよく、この場合、原反を繰り出す途中で帯状の接着シートに所定の閉ループ形状の切り込みを設け、当該切り込みの内側を接着シートSとするような構成であってもよい。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0029】
1 シート貼付装置
2 繰出手段
3 立上手段
4 剥離手段
5 押圧手段
32 立上先端部
33 立上案内部
34 立上後端部
35 先端縁
36 案内傾斜端縁
37 折曲傾斜端縁
41 剥離板
42 案内面
43 剥離端縁
44 凹部
AD 接着剤層
BS 基材シート
R 原反
RL 剥離シート
S 接着シート
S1 接着部
S2 起立部
W 被着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着部と起立部とを有する基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付装置であって、
前記原反を繰り出す繰出手段と、
前記繰り出された原反における前記接着シートの前記起立部を前記剥離シートから立ち上げる立上手段と、
前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、
前記剥離された接着シートの接着部を被着体の被着面に押圧して貼付する押圧手段とを備え、
前記立上手段は、前記繰出手段の繰出方向に延びて前記剥離シートと前記接着シートの起立部との間に挿入される立上先端部と、この立上先端部から繰出方向下流側に連設されて前記起立部を前記剥離シートから離間する立上方向に案内する立上案内部と、前記立上案内部から繰出方向下流側に連続するとともに、前記剥離シートに接近する反立上方向に傾斜した立上後端部とを有し、前記繰出手段による原反の繰り出しに伴って前記接着シートの接着部に向かって前記起立部を折り曲げ可能に構成されていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記立上案内部は、繰出方向上流側から下流側に向かって前記剥離シートの表面から離隔する方向、および繰出方向に直交する当該剥離シートの面方向、の各方向に傾斜した案内傾斜端縁を有し、
前記立上後端部は、前記案内傾斜端縁に連続して前記剥離シートの表面に接近する方向、および繰出方向に直交する当該剥離シートの面方向、の各方向に傾斜した折曲傾斜端縁を有していることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記立上先端部は、所定平面に沿って繰り出される前記原反に対し、前記剥離シートを別の平面に沿って繰り出すように変位させる先端縁を有して構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記剥離手段は、前記原反を前記剥離シートの側から前記所定平面に案内する案内面と、当該剥離シートを折り曲げて前記接着シートを剥離する剥離端縁とを有した剥離板で構成され、前記剥離板は、前記案内面よりも凹むとともに、前記立上先端部を受け入れ可能な凹部を有して形成され、この凹部に受け入れた前記立上先端部の先端縁によって前記剥離シートを屈曲可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載のシート貼付装置。
【請求項5】
前記立上先端部の先端縁は、前記剥離シートの幅方向外側を内側よりも大きく屈曲させる傾斜を有して形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のシート貼付装置。
【請求項6】
接着部と起立部とを有する基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付方法であって、
前記原反を繰り出し、この繰出方向に延びて前記剥離シートと前記接着シートの起立部との間に挿入される立上先端部と、この立上先端部から繰出方向下流側に連設されて前記起立部を前記剥離シートから離間する立上方向に案内する立上案内部と、前記立上案内部から繰出方向下流側に連続するとともに、前記剥離シートに接近する反立上方向に傾斜した立上後端部とを有する立上手段を用いて、前記繰り出された原反における前記接着シートの接着部に向かって前記起立部を折り曲げ、
前記起立部が折り曲げられた接着シートを前記剥離シートから剥離し、剥離した接着シートを被着体に押圧して貼付することを特徴とするシート貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−229027(P2012−229027A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97267(P2011−97267)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】