説明

シート貼付装置および貼付方法

【課題】貼付不良を防止して接着シートを被着体に対して確実に貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供すること。
【解決手段】立上手段3によって接着シートSの起立部S2を立ち上げる際に、接着部S1を押え板45で押さえ付けていることで、立上板31からの押出し力に抵抗して接着シートSの剥離シートRLへの仮着が維持でき、所定の仮着状態のままの接着シートSを押圧手段5まで案内することができる。従って、接着シートSの脱落や位置ずれ等の貼付不良を防止して、被着体Wの所定の貼付位置に対して確実に接着シートSを貼付することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、POPラベル等の接着シートを容器等の被着体に貼付する貼付装置が提案されており(例えば、特許文献1参照)、この貼付装置で貼付する接着シートは、基材シートの片側略半分の領域に設けられて糊部(接着剤層)を有した接着部と、他の半分の領域に設けられた糊殺し部(非接着部)とを備え、接着部の接着剤層が剥離シートに仮着された原反として供給され、容器の天面(被着体の被着面)に貼付されるようになっている。
特許文献1に記載の貼付装置は、ラベル起し部の立上げ板によって非接着部を立ち上げ、ラベル二つ折り癖付け部の折曲げ板によって非接着部を接着部に向かって二つ折りにして癖付けしてから、剥離板によって剥離シートから接着シートを剥離し、剥離した接着シートを二つ折り状態のままで被着体の被着面に押圧して貼付するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−222029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の貼付装置では、接着シートの非接着部と接着部とを二つ折りにしてから、接着シートを剥離シートから剥離して被着体に貼付するため、非接着部を立ち上げる際や二つ折りにする際に、接着部が剥離シートから剥がれたり位置ずれしたりする可能性がある。このため剥離前や剥離時に接着シートが脱落したり、被着体の所定位置に貼付できなかったりなど、貼付不良を引き起こす可能性がある。
また、特許文献1に記載の貼付装置のように接着シートを二つ折りにせずに貼付するものであっても、原反を案内する剥離板の案内面が曲面や凹凸など特殊形状を有しているような場合には、基材シートに面外方向の曲げ応力などの負荷が作用して接着剤層が剥離シートから浮き上がってしまい、仮着が剥がれたり位置ずれしたりする可能性もある。
【0005】
本発明の目的は、貼付不良を防止して接着シートを被着体に対して確実に貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付装置であって、前記原反を繰り出す繰出手段と、前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、前記原反を挟んで前記剥離手段の反対側に位置して前記接着シートの前記剥離シートへの仮着を維持する仮着維持手段と、前記剥離された接着シートの接着部を被着体の被着面に押圧して貼付する押圧手段とを備え、前記仮着維持手段は、前記押圧手段の直前位置または当該押圧手段による押圧位置まで前記接着シートの仮着を維持可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
この際、本発明のシート貼付装置では、前記接着シートは、前記基材シートに接着部と起立部とを有して形成されたものであって、前記繰出手段による原反の繰り出しに伴って前記接着シートの前記起立部を前記剥離シートの表面から所定角度まで立ち上げる立上手段を備え、前記仮着維持手段は、前記立上手段による前記起立部の立ち上げの際に前記接着部の前記剥離シートへの仮着を維持可能に構成されていることが好ましい。
また、本発明のシート貼付装置では、前記仮着維持手段は、前記押圧手段を構成する押圧ローラに掛け回された無端ベルトを有して構成されていることが好ましい。
さらに、本発明のシート貼付装置は、前記押圧ローラを前記被着体に対して離間接近可能に支持する駆動手段を備えることが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付方法であって、前記剥離シート側から前記原反を案内する剥離手段と、この剥離手段の反対側から前記原反を挟む仮着維持手段とを用い、前記接着シートの前記剥離シートへの仮着を維持しつつ当該原反を繰り出し、前記繰り出した原反における前記剥離シートから前記剥離手段によって前記接着シートを剥離し、剥離した接着シートを前記被着体の被着面に押圧して貼付することを特徴とする。
この際、本発明のシート貼付方法では、前記接着シートは、前記基材シートに接着部と起立部とを有して形成されたものであって、前記原反の繰り出しに伴って前記接着シートの前記起立部を前記剥離シートの表面から所定角度まで立ち上げ、当該起立部の立ち上げの際に前記接着部の前記剥離シートへの仮着を前記仮着維持手段によって維持し、前記起立部が立ち上げられた接着シートを前記剥離シートから剥離し、剥離した接着シートの接着部を前記被着面に押圧して貼付することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、仮着維持手段によって接着シートの剥離シートへの仮着を維持することで、剥離手段で原反を案内している間に外力が作用したとしても、剥離シートから接着シートが剥がれ落ちたり位置ずれしたりすることを防止できる。従って、被着体に対して接着シートを押圧して貼付するまでの間、接着シートの仮着状態を確実に維持させることができ、接着シートの脱落や位置ずれ等の貼付不良を防止して、被着体の所定の貼付位置に対して確実に接着シートを貼付することができる。
【0010】
この際、立上手段によって接着シートの起立部を立ち上げてから接着部を被着体に貼付する構成において、起立部を立ち上げる際に立上手段から接着シートに作用する外力に対し、仮着維持手段によって接着部の剥離シートへの仮着を維持するように抵抗することで、接着部の浮き上がりや位置ずれ等を防止することができ、起立部を立ち上げた接着シートを剥離シートに仮着したままで押圧手段まで案内することができる。
また、押圧手段が押圧ローラを有して構成され、この押圧ローラに掛け回された無端ベルトで仮着維持手段を構成することで、押圧ローラによる押圧位置まで無端ベルトによって仮着を維持したままで接着シートを送ることができ、被着体に対する位置ずれ等を確実に防止しつつ貼付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
【図2】図1のシート貼付装置の部分斜視図。
【図3】本発明の第2実施形態に係るシート貼付装置の部分側面図。
【図4】図3のシート貼付装置の部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1、図2において、本実施形態のシート貼付装置1は、接着部S1と起立部S2とを有する基材シートBSの当該接着部S1における一方の面の一部領域に接着剤層ADを備えた接着シートSを被着体Wに貼付する貼付装置であって、接着剤層ADを介して帯状の剥離シートRLに仮着された原反Rから接着シートSを剥離し、剥離した接着シートSの起立部S2を立ち上げた状態で被着体Wに貼付するように構成されている。このシート貼付装置1は、原反Rを繰出方向Aに向かって繰り出す繰出手段2と、繰り出された原反Rにおける接着シートSの起立部S2を剥離シートRLから立ち上げる立上手段3と、剥離シートRLを折り曲げて当該剥離シートRLから接着シートSを剥離する剥離手段4と、剥離シートRLから剥離した接着シートSの接着部S1を被着体Wの被着面ASに押圧して貼付する押圧手段5と、立上手段3の姿勢を変位可能な変位手段6とを備えて構成され、被着体Wを図1中左方向に移動させるベルトコンベアCV等の搬送手段7の上方に図示しないフレームを介して据え付けられている。
【0014】
ここで、接着シートSは、図2に示すように、繰出方向Aの上流側から下流側に向かって(以下「下流側に向かって」という)左側の略半分の領域に接着剤層ADが積層され、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLに仮着されている。また、接着シートSには、基材シートBSの略中央部であって、繰出方向Aに沿う方向に設けられた折曲線S3と、折曲線S3の両端側にそれぞれ設けられた略L字状の切り込みS5とが形成されている。折曲線S3としては、基材シートBSを型押しして形成した凹みや、ミシン目等によって折り曲げやすくしたものが例示できる。このような接着シートSにおいて、下流側に向かって右側の略半分の外縁と、折曲線S3と、折曲線S3の繰出方向Aへの延長線とで囲まれる領域が起立部S2とされ、折曲線S3の繰出方向Aへの各延長線と、各切り込みS5とで囲まれる領域が起立部S2の立ち上げ状態を維持させるための立上維持部S4とされ、それ以外の領域が接着部S1とされる。
【0015】
繰出手段2は、その全体がベースフレーム20に支持され、このベースフレーム20には、原反Rをロール状に巻回して支持する支持ローラ21と、原反Rを案内する複数のガイドローラ22,23と、駆動機器である回動モータ24によって駆動される駆動ローラ25と、駆動ローラ25との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ26と、図示しない駆動機器によって剥離シートRLを回収する回収ローラ27とが設けられている。
【0016】
立上手段3は、変位手段6に支持された曲面板状の立上板31を備えて構成され、この立上板31は、繰出方向Aに沿って延び、剥離シートRLと接着シートSの起立部S2との間に挿入される立上先端部32と、この立上先端部32から繰出方向A下流側に連設して起立部S2を剥離シートRLから離間する立上方向に案内する立上案内部33と、この立上案内部33から繰出方向A下流側に連続するとともに、剥離シートRLと略平行に設けられて起立部S2を案内する立上後端部34と、を有して形成されている。
【0017】
剥離手段4は、ベースフレーム20によって図1中左下方に傾斜した姿勢で支持された剥離板41を備えて構成され、この剥離板41は、原反Rを剥離シートRLの側から案内する案内面42と、原反Rの繰出方向A下流側の剥離端縁43とを有し、剥離シートRLを剥離端縁43で駆動ローラ25に向かって折り曲げることで、立上手段3を通過して折り曲げられた接着シートSを剥離シートRLから剥離するようになっている。また、剥離板41には、当該剥離板41の一部を切り欠いた凹部44が形成され、この凹部44に立上先端部32を受け入れ可能に構成されている。
【0018】
また、原反Rを挟んで、剥離手段4の案内面42とと対向する位置には、下流側に向かって原反Rの左側を案内面42とで挟み込み、剥離シートRLに向かって接着部S1を押さえることで、接着シートSの剥離シートRLへの仮着を維持する仮着維持手段としての押え板45が設けられている。この押え板45は、剥離板41の側面に固定されるとともに、立上先端部32よりも繰出方向A上流側の位置から剥離端縁43近傍の位置まで延びて設けられている。すなわち、押え板45は、立上手段3による起立部S2の立ち上げの際に接着部S1の剥離シートRLへの仮着を維持するとともに、押圧手段5による被着体Wへの接着部S1の押圧位置の直前まで接着シートSの仮着を維持するように構成されている。
【0019】
押圧手段5は、ゴムや樹脂等の弾性変形可能な押圧ローラ51と、剥離板41に支持されて押圧ローラ51を回転可能に支持するフレーム52とを備えて構成され、押圧ローラ51は、剥離板41先端から図1中左下方に突出した接着シートSを起立部S2が立ち上がった状態のままで接着部S1を被着体Wに向かって押圧するように構成されている。
【0020】
変位手段6は、図2に示すように、立上板31の上方に取り付けられたシャフトサポータ61と、シャフト62と、シャフト62をシャフトサポータ61の反対側で支持する駆動機器としての多関節ロボット63とを備える。多関節ロボット63は、繰出方向A、繰出方向Aおよび剥離シートRLの表面に直交する方向B、繰出方向Aに直交する剥離シートRLの面方向C、繰出方向Aを軸芯とする回転方向D、前記方向Bを軸芯とする回転方向Eおよび、前記方向Cを軸芯とする回転方向Fに立上板31を変位可能に設けられている。多関節ロボット63としては公知の6軸ロボット等が例示できる。これにより、接着シートS、剥離シートRL、接着部S1、起立部S2、立上維持部S4、接着剤層AD、基材シートBS等の形状やA、BおよびC方向に沿う寸法等に応じて立上板31の姿勢や位置を変位させることができる。
【0021】
以上のような本実施形態のシート貼付装置1において、立上手段3は、以下の構成を備えている。
立上板31は、剥離板41の上方に対向するとともに繰出方向Aに沿った断面が上向き凸の曲部を有した一枚の板材から形成されている。すなわち、立上板31は、繰出方向A上流側の立上先端部32から立上案内部33にかけて剥離板41から上方に離れる方向に傾斜し、立上案内部33から立上後端部34にかけて剥離板41に接近する方向に傾斜してから、立上後端部34が剥離板41と略平行に延びて形成されている。また、立上先端部32は、案内面42よりも下方の凹部44内にて、案内面42に沿って繰り出される原反Rに対し、剥離シートRLを別の平面に沿って繰り出すように変位させる先端縁35を有し、この先端縁35には、剥離シートRLの幅方向外側(下流側に向かって右端縁側)を内側よりも大きく屈曲させる傾斜が形成されている。このような立上先端部32は、剥離シートRLと接着シートSの起立部S2との間に挿入された先端縁35によって剥離シートRLを屈曲させることで、原反Rの繰り出しに伴って剥離シートRLから起立部S2を立ち上がらせることができるように構成されている。
【0022】
立上板31の立上先端部32から立上案内部33にかけては、剥離シートRLから立ち上がらせた起立部S2を立ち上がらせる案内傾斜端縁36が形成されている。この案内傾斜端縁36は、平面視で下流側に向かって接着シートSの起立部S2側から接着部S1側に所定の角度で傾斜して形成されており、原反Rの繰り出しに伴って起立部S2を徐々に立ち上がらせ、剥離シートRLの表面から略90°の立上角度まで立ち上げ可能に構成されている。また、立上後端部34には、剥離板41の案内面42と略平行かつ所定間隔を介して設けられるとともに、立ち上げた起立部S2の立上角度を維持したままで押圧手段5へ案内する案内平行端縁37が形成されている。
【0023】
以上のシート貼付装置1で被着体Wに接着シートSを貼付する手順としては、繰出手段2によって原反Rを繰り出させることによって、剥離シートRLおよび接着シートSが剥離板41の案内面42で案内されて繰出方向A下流側に送られる。この際、接着シートSが凹部44に達した時点で、立上板31の先端縁35によって剥離シートRLが下方に屈曲されることで、剥離シートRLと起立部S2とに隙間が形成され、この隙間に立上先端部32を挿入して起立部S2を立ち上がらせる。このとき、先端縁35が剥離シートRLの変位に伴う折り曲がり部RL1に線接触して案内するので、剥離シートRLが傷付いたり破れたりすることを防止する。なお、先端縁35を滑らかな円弧形状としたり、回転可能なローラやベアリング等で構成したり、樹脂等の摩擦抵抗の少ない部材で構成したりして、剥離シートRLとの摩擦を低減する低摩擦手段を設けてもよい。また、起立部S2を立ち上がらせる際に、接着シートSには剥離シートRLから離れる方向に剥離力が作用するが、この剥離力に対しては、押え板45が接着部S1を押さえ付けていることから、接着部S1の仮着が維持され、剥離シートRLから接着シートSがずれないようになっている。
【0024】
さらに、原反Rを繰り出して接着シートSを繰出方向A下流側に送ることで、起立部S2が案内傾斜端縁36に沿って立ち上がり、剥離シートRLの表面から略90°の立上角度まで立ち上がった起立部S2は、案内平行端縁37に案内されて立上角度が維持される。ここで、案内傾斜端縁36は、起立部S2における所定の位置に接しながら起立部S2を略90°の立上角度まで立ち上げて案内する。このように起立部S2を立ち上げた接着シートSを剥離板41の先端位置まで送り、剥離端縁43で折り返した剥離シートRLから部分的に剥離した状態において、繰出手段2による原反Rの繰り出しを一旦停止して待機状態となる。
【0025】
次に、搬送手段7で搬送されてきた被着体Wが押圧ローラ51の下方所定位置に達すると、図示しないセンサによって検知され、繰出手段2が回動モータ24を駆動して原反Rを被着体Wの搬送速度と同じ速度で繰り出し、かつ回収ローラ27で剥離シートRLを回収する。これにより、剥離端縁43で部分的に剥離シートRLから剥離した状態で停止していた接着シートSは、当該剥離シートRLから剥離され、起立部S2の立上状態のまま接着部S1が押圧ローラ51で押圧され、接着部S1の接着剤層ADが被着体Wの被着面ASに押圧されて貼付される。このとき、立上維持部S4は、被着面ASと交差する被着体Wの交差面W1に沿うように配置される。このようにして接着シートSが被着体Wに貼付されると、原反Rの繰り出し動作が再度停止されて待機状態となり、接着シートSが貼付された被着体Wは次工程に搬送され、以降上記同様の動作を繰り返す。なお、被着体Wに貼付された接着シートSは、基材シートBSの弾性によって接着シートSが元の平板状に戻ろうとするものの、立上維持部S4が交差面W1に当接していることで、起立部S2が立ち上がった状態を維持するようになっている。
【0026】
本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、立上手段3によって接着シートSの起立部S2を立ち上げる際に、接着部S1を押え板45で押さえ付けていることで、立上板31によって作用される外力に抵抗して接着シートSの剥離シートRLへの仮着が維持でき、所定の仮着状態のままの接着シートSを押圧手段5まで案内することができる。従って、接着シートSの脱落や位置ずれ等の貼付不良を防止して、被着体Wの所定の貼付位置に対して確実に接着シートSを貼付することができる。
【0027】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を図3、図4に基づいて説明する。
本実施形態のシート貼付装置1Aは、前記第1実施形態と押圧手段5Aおよび仮着維持手段の構成が主に相違している。すなわち、押圧手段5Aは、押圧ローラ51と、この押圧ローラ51を支持するとともに、剥離板41に対して軸53を介して回動自在に支持されたフレーム52Aと、剥離板41に固定された第2フレーム54と、この第2フレーム54に回転可能に支持されるとともに、立上板31の立上先端部32よりも繰出方向A上流側に位置するローラ55と、押圧ローラ51を被着体Wに対して離間接近可能に支持する駆動手段57とを有して構成され、押圧ローラ51とローラ55との間に仮着維持手段としての無端ベルト56が掛け回されている。駆動手段57は、第2フレーム54に回転可能に支持された駆動機器としての直動モータ57Aからなり、その出力軸57Bがフレーム52Aに回転可能に支持されている。これにより、押圧ローラ51は、図3に実線で示すように、被着体Wから離間した非押圧位置と、同図に二点鎖線で示すように、無端ベルト56を介して接着シートSを押圧する押圧位置との間を移動可能に設けられている。
【0028】
また、図4に示すように、剥離シートRLは、接着シートSの起立部S2に対応した部分と、接着部S1に対応した部分とで切り離し可能に設けられている。剥離手段4は、剥離シートRLの起立部S2に対応した部分を立上板31の先端縁35よりも繰出方向A上流側で折り返して切り離し、立上手段3は、剥離シートRLが切り離された起立部S2を立上板31で立ち上げるように構成されている。そして、接着部S1によって剥離シートRLに仮着された接着シートSは、無端ベルト56によって案内面42側に押さえ付けられながら、原反Rの繰り出しに伴って繰出方向A下流側に繰り出される。その後、接着シートSは、繰出方向Aの先端側が剥離板41の先端から部分的に剥離シートRLから剥離された待機状態で一旦停止する。そして、被着体Wが搬送されて図示しないセンサによって検知されると、繰出手段2が上記同様に作動し、押圧ローラ51が非押圧位置から押圧位置に移動して接着シートSを被着体Wに貼付する。
【0029】
このような本実施形態のシート貼付装置1Aによれば、原反Rの繰り出しに伴う接着シートSの繰出方向Aへの移動に無端ベルト56が追従することで、接着部S1と無端ベルト56の摩擦抵抗をなくすことができ、接着シートSの剥離シートRLへの仮着状態を良好に維持させることができる。また、押圧ローラ51を非押圧位置に上昇させた状態で接着シートSを待機位置まで繰り出すことで、接着部S1の平面を維持して接着部S1や起立部S2への負荷を軽減させるとともに、押圧ローラ51を押圧位置に下降させてから接着シートSを被着体Wに貼付することで、接着剤層ADを確実に押圧して被着面ASに接着させることができる。
【0030】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は前記記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され且つ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状などの詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は本発明に含まれるものである。
【0031】
例えば、前記実施形態では、立上手段3によって起立部S2を立ち上げた接着シートSを被着体Wに貼付したが、立上手段3を備えないシート貼付装置で起立部S2を有さない接着シートSを対象とした場合において、剥離手段4で接着シートSを剥離するまでの間、仮着維持手段によって接着シートSの剥離シートRLへの仮着を維持するように構成してもよい。
また、仮着維持手段としては、押え板45や無端ベルト56に限らず、適宜な形態の部材で接着シートSを剥離板41に向かって押さえ付けることで仮着を維持させてもよいし、接着シートSに対する気体の吹き付けによって仮着を維持させてもよい。さらに、押え板45等の仮着維持手段は、剥離板41に支持されたものに限らず、押圧手段や立上手段に支持されていてもよいし、その他の適宜な支持手段に支持されていてもよい。
また、前記実施形態では立上手段3として、1枚の板状部材で構成したものを例示したが、これに限られない。すなわち、例えば、立上先端部32、立上案内部33および立上後端部34をそれぞれ別部材で構成してもよいし、それぞれを適宜に組み合わせて構成してもよい。その場合には、各部材が板状部材でもよいし線状部材でもよいし、その他の適宜な形状を有した部材でもよい。
【0032】
また、接着部S1および起立部S2の配置は前記実施形態に限定されない。すなわち、接着部S1と起立部S2とが前記実施形態に対して左右逆に配置されてもよいし、幅方向の中央側に接着部S1が設けられて、その左右両側に起立部S2が設けられていてもよい。そして、左右両側に起立部S2が設けられた場合には、これに対応して立上手段3も左右に一対で設けられていればよい。また、接着シートとしては、折曲線S3および立上維持部S4は必須ではなく、いずれか1つまたは両方が省略されていてもよい。
さらに、接着シートSは、接着部S1における一方の面の全領域に接着剤層ADを備えた構成であってもよい。
また、接着シートSは、起立部S2や立上維持部S4における一方の面の一部領域に接着剤層ADを備えた構成であってもよいし、基材シートBSにおける一方の面の全領域に接着剤層ADを備えた構成であってもよい。これらの場合、立上手段3における少なくとも接着剤層ADが接触する領域に、接着剤層ADが接着しないフッ素樹脂やシリコン樹脂等の不接着処理を施しておけばよい。
【0033】
また、前記実施形態では、原反Rは、帯状の剥離シートRLに枚葉の接着シートSを適宜な間隔で仮着したものであったが、原反としては、帯状の剥離シートRLに帯状の接着シートが仮着されたものでもよく、この場合、原反を繰り出す途中で帯状の接着シートに所定の閉ループ形状の切り込みを設け、当該切り込みの内側を接着シートSとするような構成であってもよい。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0034】
1,1A シート貼付装置
2 繰出手段
3 立上手段
4 剥離手段
5,5A 押圧手段
45 押え板(仮着維持手段)
51 押圧ローラ
56 無端ベルト(仮着維持手段)
57 駆動手段
AD 接着剤層
BS 基材シート
R 原反
RL 剥離シート
S 接着シート
S1 接着部
S2 起立部
W 被着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付装置であって、
前記原反を繰り出す繰出手段と、
前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、
前記原反を挟んで前記剥離手段の反対側に位置して前記接着シートの前記剥離シートへの仮着を維持する仮着維持手段と、
前記剥離された接着シートの接着部を被着体の被着面に押圧して貼付する押圧手段とを備え、
前記仮着維持手段は、前記押圧手段の直前位置または当該押圧手段による押圧位置まで前記接着シートの仮着を維持可能に構成されていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記接着シートは、前記基材シートに接着部と起立部とを有して形成されたものであって、
前記繰出手段による原反の繰り出しに伴って前記接着シートの前記起立部を前記剥離シートの表面から所定角度まで立ち上げる立上手段を備え、
前記仮着維持手段は、前記立上手段による前記起立部の立ち上げの際に前記接着部の前記剥離シートへの仮着を維持可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記仮着維持手段は、前記押圧手段を構成する押圧ローラに掛け回された無端ベルトを有して構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記押圧ローラを前記被着体に対して離間接近可能に支持する駆動手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート貼付装置。
【請求項5】
基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付方法であって、
前記剥離シート側から前記原反を案内する剥離手段と、この剥離手段の反対側から前記原反を挟む仮着維持手段とを用い、前記接着シートの前記剥離シートへの仮着を維持しつつ当該原反を繰り出し、
前記繰り出した原反における前記剥離シートから前記剥離手段によって前記接着シートを剥離し、剥離した接着シートを前記被着体の被着面に押圧して貼付することを特徴とするシート貼付方法。
【請求項6】
前記接着シートは、前記基材シートに接着部と起立部とを有して形成されたものであって、
前記原反の繰り出しに伴って前記接着シートの前記起立部を前記剥離シートの表面から所定角度まで立ち上げ、当該起立部の立ち上げの際に前記接着部の前記剥離シートへの仮着を前記仮着維持手段によって維持し、
前記起立部が立ち上げられた接着シートを前記剥離シートから剥離し、剥離した接着シートの接着部を前記被着面に押圧して貼付することを特徴とする請求項5に記載のシート貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−229031(P2012−229031A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97272(P2011−97272)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】