説明

シーリングガラス組成物及びそれを用いたフラットパネルディスプレイ装置

【課題】鉛、すなわち環境に有害な物質を排除したシーリングガラス組成物、また、同物質を用いたフラットパネルディスプレイ装置を提供すること。
【解決手段】本発明のシーリングガラス組成物は、Sb2320モル%乃至50モル%、B2330モル%乃至70モル%、SiO25モル%乃至15モル%、及びAl230モ
ル%乃至15モル%を含む。本発明のフラットディスプレイ装置は前面パネルと背面パネルを有し、それらはその間に所定の間隔を有してシーリングガラス組成物と一緒に組み合わせられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシーリングガラス組成物及びそれを用いたフラットパネルディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
広く用いられてきたディスプレイ装置は陰極線管(CRT)である。しかしながらCRTは、表示領域を大きくすると、重量が重くなり、体積が大きくなるという問題を有している。一方、近年では、CRTの欠点を解決したフラット型ディスプレイ装置が次世代のディスプレイ産業の一翼を担い、持続的な技術開発がなされている。
【0003】
液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電界放出素子(FED)などの次世代のディスプレイ型において、活発な研究、開発及び投資がなされている。また、電気化学特性を用いた電気クロムディスプレイや、分散粒子を用いた浮遊粒子ディスプレイ(SPD)等が、将来有望なフラット型ディスプレイ装置として研究されている。
【0004】
プラズマディスプレイパネルにおいて、前面パネルと背面パネルの間に障壁リブが形成されて、一つの単位格子を形成する。各格子はネオン(Ne)、ヘリウム(He)、又はNeとHeの混合ガス(Ne+He)などの主要な放電ガスと、微量のキセノンを含む不活性ガスで満たされている。不活性ガスが高周波電圧にて放電されると、真空紫外線を発生させる。障壁リブの間に形成されたりん光体を放射させて画像を表示する。プラズマディスプレイパネルは薄型に製造可能であるため、このディスプレイ型が有力な次世代のディスプレイ装置の1つである。
【0005】
PDPディスプレイ装置において、前面パネル及び背面パネルは、所定の間隔を有してフリットガラスなどのシーリング材にて一緒に組み合わせられる。従来のシーリング材は、主原料にPbO−B23−ZnOを含む。シーリングプロセスが生じる場合、PbOが、シーリング材が十分に軟化してパネルのシーリングを可能にするシーリング温度まで加熱される。シーリング材の軟化温度が高すぎる場合、プラズマディスプレイパネルは過度の加熱によってダメージを受け得る。そのため、PbOがシーリング材の融点を下げるために使用されている。
【0006】
シーリング材をパネルへ接着させる場合、PDPに使用されるパネルガラスの熱膨張係数と同様の熱膨張係数を有することが望ましい。そのため、B23がシーリング材の熱膨張係数を下げるのに役立ち、ガラス形成剤として使用される。
【0007】
前面パネルと背面パネルを密封後、放電ガスが注入される。シーリングパネルからの放電ガスの漏出を防ぐために、シーリング材の接着強さは粘着性でなくてはならず、該接着強さはシーリング材の化学的耐久性の改善によって増加する。従来のシーリングガラス組成物は化学的耐久性を改善するためにZnOを含む。
【0008】
PbO、すなわち従来のシーリング材組成物の主要成分は、人体に非常に有害であるPb成分を含む。健康に非常に有害な事象が起こり得る場合、人体は勤務中ずっとPb成分に晒されることとなる。加えて、Pb成分が廃棄される場合、Pb成分は地下水中の酸又はアルカリ成分と反応し、固体又は水汚染のために環境問題を引き起こす。
【0009】
Bi23−B23及びP25−SnOなどの幾つかの潜在的な代替成分は、低融点であり且つPbを含まない。しかしながら、Bi23−B23材料において、主原料であるBi23は低融点を有してはいるが、Biそのものは重金属である。Bi23−B23の使用において、Biが希少金属であるために被るコスト増を与える弊害が起こり得るという問題がある。
【0010】
25−SnO材料は環境適合性ではあるが、P25成分は、低い機械的強度の元となる非常に低い化学的耐久性を有している。また、SnOは高価な副成分であり、大量に加えるとガラス固化が難しい。
【0011】
PbOの代替材料であるBi23及びP25は、PbOのガラス転移温度に近づけるためにアルカリ金属と組み合わせられる。しかしながら、前記アルカリ金属を使用することの必要性は、りん光体の寿命及び/又はパネルガラスの寿命を下げるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、上記問題を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、Pb、すなわち環境に有害な物質を排除したシーリングガラス組成物と、それらを用いたフラットパネルディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明によるシーリングガラス組成物はSb2320モル%乃至50モル%、B2330モル%乃至70モル%、SiO25モル%乃至15モル%
、及び、Al2315モル%以下を含む。
【0014】
本発明によるフラットディスプレイ装置は、前面パネル及び背面パネルを包含し、それらはシーリングガラス組成物で一緒に組み合わされている。シーリングガラス組成物はSb23を含む。
【0015】
シーリングガラス組成物全体でのSb23の含有比率は20モル%乃至50モル%である。
【0016】
23及びSiO2がシーリングガラス組成物のSb23へ加えられる。
シーリングガラス組成物全体でのB23の含有比率は30モル%乃至70モル%に及び得る。
シーリングガラス組成物全体でのSiO2の含有比率は5モル%乃至15モル%に及び
得る。
【0017】
シーリングガラス組成物は、Sb2349.1質量%乃至81.4質量%、B2327.8質量%乃至48.7質量%、SiO23.0質量%乃至9.0質量%を含む。
【0018】
シーリングガラス組成物はセラミック充填剤を含む。
シーリングガラス組成物全体でシーリングガラス組成物はセラミック充填剤5モル%乃至45モル%を含む。
セラミック充填剤は、コーディアライト、β−ユークリプタイト、ジルコニウムホスフェート、ジルコン、ムライト、珪酸亜鉛鉱、β−リチア輝石、フォルステライト、灰長石、アルミナ、シリカ、BaTiO3又はAl2TiO3の少なくとも一種を含む。
【発明の効果】
【0019】
上記の通り、シーリングガラスは主原料としてPbOではなくSb23を用いて製造さ
れる。よってシーリングガラスは環境適合性であり、アルカリ金属を含まない。結果として、りん光体又はパネルへの悪影響を避けることができる。
【0020】
上記の通り、本発明のプラズマディスプレイパネルは所定の間隔を有してシーリングガラス組成物にて一緒に組み合わせられた前面パネルと背面パネルを含む。シーリングガラス組成物はSb23を含む。
シーリングガラス組成物は、PbOを排除しているため環境適合性である。結果として、りん光体又はパネルへの悪影響を避けることができ、優れた化学的耐久性を得ることができる。
【0021】
このように本発明が説明されているが、同発明が様々に変化し得ることは明らかである。そのような変化は、本発明の精神及び範囲から離れるとはみなされず、当業者にとって明らかであるそれら全ての変形が請求項の範囲内に含まれるとみなされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明によるシーリングガラス組成物及びそれを用いたフラットパネルディスプレイ装置は、添付図面を参照して好ましい実施態様と共に詳細に説明される。
【0023】
本発明によるシーリングガラスは、一般に低融点のために用いられるPbOの代わりに、組成物の主原料としてSb23を用いる。ガラス形成材料としてB23及びSiO2
Sb23に加えられる。Al23もまたガラスの化学的耐久性を増強するためにSb23に加えられる。
【0024】
前記組成物からなるシーリングガラスにおいて、Sb23組成物はガラス転移点又は膨張軟化温度を下げるために不可欠である。Sb23含有量は20モル%乃至50モル%に及ぶ。組成物中のSb23含有量が20モル%より少ない場合、ガラス転移点が高くなりすぎるため問題が発生する。Sb23含有量が50モル%より多い場合には、Sb23はガラス固化することが難しくなるため問題が発生する。
【0025】
ガラスを安定化し熱膨張係数を下げることができる、ガラス形成材料としてのB23及びSiO2が前記含有比率を有するSb23へ加えられる。Sb23へ加えられるB23
の含有量は30モル%乃至70モル%に及ぶ。Sb23へ加えられるB23の含有量が30モル%より少ない場合、ガラスの熱膨張係数が上昇するために問題が発生する。Sb2
3へ加えられるB23の含有量が70mo%より多い場合、ガラス材料の漏出が増加し
、粘度が高くなり、流動性が落ちるために問題が発生する。
【0026】
もう一方のガラス形成材料として加えられるSiO2の含有量は5モル%乃至15モル
%に及ぶ。Sb23へ加えられるSiO2の含有量が5モル%より少ない場合、熱膨張係
数を下げる可能性が低くなるために問題が発生する。Sb23へ加えられるSiO2の含
有量が15モル%より多い場合、ガラス転移点が上昇し、焼結時にガラスの流動性が著しく落ちるために問題が発生する。ガラス形成材料としてSiO2の含有量がB23のそれ
よりも低い理由は、SiO2がB23よりもガラス転移点をより強く上昇させる作用を有
することによる。
【0027】
23の含有比率が高くなりすぎた場合、熱膨張係数は低くなるが、化学的耐久性は弱くなる。そのような短所を解決するために、Al23が加えられる。
【0028】
加えられるAl23の含有量は15モル%以下である。加えられるAl23の含有量が15モル%より多い場合、ガラス転移点が上昇し、流動性が落ち、Al23が焼結時に完全に溶融しなくなるために問題が発生する。
【0029】
このシーリングガラス組成物の含有比率はモル%に限定されず、質量%として表すことができる。これについて以下に説明する。
【0030】
低融点を実現するために、Sb23含有量は49.1質量%乃至81.4質量%である。ガラスの安定化及び熱膨張係数を下げるためのガラス形成材料であるB23及びSiO2は、それぞれ27.8質量%乃至48.7質量%、及び3.0質量%乃至9.0質量%
であり得る。耐久性が劣る欠点を補完するためのAl23は0質量%乃至15.3質量%であり得る。
【0031】
上記に説明された組成物からなるシーリングガラスは、プラズマディプレイ装置だけでなく、様々な他のフラットディスプレイ装置のシーリングガラスとして使用され得る。
【0032】
しかしながら、シーリングガラスがプラズマディスプレイ装置のためのシーリング材として用いられる際、シーリングガラス組成物の熱膨張係数はプラズマディスプレイ装置の熱膨張係数よりも高い。こうしたディスプレイは、プラズマディスプレイ装置内のパネルの変形につながり得る。したがって、シーリングガラスの熱膨張係数を下げるために、セラミック充填剤がシーリングガラス組成物に加えられる。このセラミック充填剤は、コーディアライト、β−ユークリプタイト、ジルコニウムホスフェート、ジルコン、ムライト、珪酸亜鉛鉱、β−リチア輝石、フォルステライト、灰長石、アルミナ、シリカ、BaTiO3又はAl2TiO3の少なくとも一種を含み得る。
【0033】
セラミック充填剤の含有比率は5モル%乃至45モル%である。加えられるセラミック充填剤の含有量が5モル%より少ない場合、熱膨張係数を下げる可能性が低くなる。加えられるセラミック充填剤の含有量が45モル%より多い場合、シーリング材の流動性が下がり、プラズマディスプレイ装置の接着性が悪くなるために問題が発生する。
【0034】
本発明の理解を容易にするために、本発明による第一の比較例、第一の実施態様及び第二の実施態様が下記の表を参照して以下に説明される。
【実施例】
【0035】
<第一の比較例>
本発明によるシーリングガラスを製造する前にSb23、B23及びSiO2の混合物
のガラス転移点を測定するために、Sb23、B23及びSiO2を表1に示す各含有比
率にて混合した。混合物を白金炉内に設置し、1000℃乃至1300℃の温度で約30分乃至1時間溶融した。溶融物質をローラーを用いて迅速に冷却し、次にボールミルプロセスにかけた。ふるいを用いて100μm以下のガラスパウダーを該物質から得た。各組成のガラスパウダーのガラス転移点を示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定した。測定結果を表2に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
表1の組成1にしたがって、Sb2340モル%、SiO210モル%及びB2350
モル%を良く混合した。上記と同様の方法にて得られたガラスパウダーのガラス転移点を測定した。測定したガラス転移点は表2に示す通り298℃を示した。
【0038】
表1の組成2にしたがって、Sb2335モル%、SiO210モル%及びB2355
モル%を良く混合した。上記と同様の方法にて得られたガラスパウダーのガラス転移点を測定した。測定したガラス転移点は表2に示す通り292℃を示した。
【0039】
表1の組成3にしたがって、Sb2330モル%、SiO210モル%及びB2360
モル%を良く混合した。上記と同様の方法にて得られたガラスパウダーのガラス転移点を測定した。測定したガラス転移点は表2に示す通り286℃を示した。
【0040】
表1の組成4にしたがって、Sb2325モル%、SiO210モル%及びB2365
モル%を良く混合した。上記と同様の方法にて得られたガラスパウダーのガラス転移点を測定した。測定したガラス転移点は表2に示す通り275℃を示した。
【0041】
【表2】

【0042】
上記より、第一比較例に示されたガラス転移点は、一般に使用されている従来の軟化剤のガラス転移点320℃〜310℃に比べて低いことがわかる。しかしながら、第一比較例において、多量のB23を添加したので、組成物の化学的耐久性(耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、など)が弱くなった。したがって、これらの不利点を克服するために、Al23を本発明のシーリングガラスに加えた。
【0043】
<第一実施態様>
本発明のシーリングガラスのガラス転移点を測定するために、第一比較例と同様に、S
23、B23、SiO2及びAl23(即ちシーリングガラス組成物)を表3に示す各
含有比率にてよく混合した。混合物をそれから白金炉に設置し、1000℃乃至1300℃の温度で約30分乃至1時間溶融した。溶融物質をローラーを用いて迅速に冷却し、次にボールミルプロセスにかけた。ふるいを用いて100μm以下のガラスパウダーを該物質から得た。各組成のガラスパウダーのガラス転移点を示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定した。測定結果を表4に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
表3の組成5にしたがって、Sb2340モル%、SiO210モル%及びB2340
モル%、Al2310モル%を良く混合した。上記と同様の方法にて得られたガラスパウダーのガラス転移点を測定した。測定したガラス転移点は表4に示す通り340℃を示した。
【0046】
表3の組成6にしたがって、Sb2330モル%、SiO210モル%及びB2350
モル%、Al2310モル%を良く混合した。上記と同様の方法にて得られたガラスパウダーのガラス転移点を測定した。測定したガラス転移点は表4に示す通り325℃を示した。
【0047】
得られた値を明確化するために、組成6に対するDSC図を一例として図1に示す。
図1は、DSCを用いて測定した、本発明による組成6のガラス組成物のガラス転移点(Tg)を示す図である。
図1に示す通り、組成6のガラス組成物のガラス転移点は325℃である。
【0048】
表3の組成7にしたがって、Sb2320モル%、SiO210モル%及びB2360
モル%、Al2310モル%を良く混合した。上記と同様の方法にて得られたガラスパウダーのガラス転移点を測定した。測定したガラス転移点は表4に示す通り310℃を示した。
【0049】
【表4】

【0050】
本実施態様1において、組成6は一般に使用されている従来の軟化剤と類似した温度の
ガラス転移点を有することがわかる。このため、組成6で得られたガラスパウダーを2mm×2mm×10mmのサイズの長方形に成形した。ガラスパウダーの熱膨張係数及び膨張軟化温度をTMAにて得た。
【0051】
組成6にて得られた、1cm3に相当する体積を有するガラスパウダー試料を、蒸留水
の中へ1時間浸した。ガラス組成物の質量減少比率(%)を測定した。
【0052】
【表5】

【0053】
表5に示す通り、組成6にて得られたガラスパウダーの膨張軟化温度(Tdsp)は412℃として測定され、組成6にて得られたガラスパウダーの熱膨張係数(/℃)は112.35×10-7/℃として測定され、組成6にて得られたガラスパウダーの耐水性(質量%)は0.4質量%乃至0.5質量%として測定された。
【0054】
得られた値を明確化するために、組成6に対するTMA図を一例として図2に示す。
図2は、TMAを用いて測定した、本発明によるガラス組成物の膨張軟化温度(Tdsp)及び熱膨張係数(α)を示す図である。
図2に示す通り、組成6のガラス組成物の膨張軟化温度(Tdsp)は412℃、熱膨張係数(α)は112.35×10-7/℃であった。
【0055】
上記に示すとおり、PbOを使用せずに主原料としてSb23を用いて製造したシーリングガラスは、約320℃乃至330℃のガラス転移点、約400乃至410℃の膨張軟化温度を有した。この温度範囲は従来の材料のものと同様である。よって、本発明のシーリングガラスは、様々なフラットディスプレイ装置のシーリング用のガラスとして好適に用いられ得る。
【0056】
<第二実施態様>
一般的なプラズマディスプレイ装置のシーリングガラスは1.5質量%の耐水性を有する必要がある。一方、第一実施態様の組成6にて得られるガラスパウダーの耐水性は1.5質量%以下である。したがって、プラズマディスプレイ装置用途としての条件は満たしている。しかしながら、ガラスパウダーの熱膨張係数は、プラズマディスプレイ装置に使用されるシーリング材に要求される熱膨張係数である70×10-7/℃乃至90×10-7/℃より高いため、プラズマディスプレイパネルに変形を引き起こし得る。したがって、プラズマディスプレイ装置用のシーリング材としてガラスパウダーを使用するために、セラミック充填剤を添加して熱膨張係数を下げ、機械的強度を増強する。
【0057】
表6に示すとおり、シーリングガラスとセラミック充填剤を混合した後、それらを金型に設置しそして成形した。混合物をそれから450℃の温度で1時間焼結し、2mm×2mm×10mmサイズの長方形に成形した。混合物の熱膨張係数をTMAにて測定した。この実施例において、セラミック充填剤としてコーディアライトを用いた。

【0058】
【表6】

【0059】
得られた値を明確化するために、組成8のTMA図を一例として図3に示す。
図3は、TMAを用いて測定した、本発明によるガラス組成物にセラミック充填剤が含まれた組成物の膨張軟化温度(Tdsp)及び熱膨張係数(α)を示す図である。
図3に示す通り、組成8のガラス組成物の膨張軟化温度(Tdsp)は392℃、組成8のガラス組成物の熱膨張係数(α)は85.06×10-7/℃であった。
これは、熱膨張係数がセラミック充填剤を混合した際に更に低くなることを示す。
【0060】
表6より、組成9の熱膨張係数は、セラミック充填剤とシーリングガラスを混合することにより、プラズマディスプレイ装置に使用されるシーリング材に要求される熱膨張係数である70×10-7/℃乃至90×10-7/℃を満たした。
【0061】
機械的強度もまたセラミック充填剤の添加によって増加した。上記の通り、セラミック充填剤はプラズマディスプレイ装置だけでなく、その熱膨張係数がシーリングガラスに好適でない、様々なフラットディスプレイ装置において使用され得る。
【0062】
組成6によるSb2320モル%、SiO210モル%、B2360モル%、Al23
10モル%のガラス組成物において、組成6が77質量%準備され、セラミック充填剤23質量%が該組成と混合された組成9の場合において、高温粘度挙動が僅かに高くなるという傾向がある。それゆえに、TMA試験を組成6からAl23を差し引いたSb2330モル%、SiO210モル%、B2360モル%の組成3において行った。結果として
、熱膨張係数は高かったため、コーディアライト25質量%(すなわち、セラミック充填剤)を加えた。TMA試験を再度行った。試験結果を表7に示す。
【0063】
【表7】

【0064】
表7に示す通り、Al23を含む組成の場合、膨張軟化温度は更に低下した。結果として、粘度挙動は改善された。
【0065】
この通常の出願は2005年6月24日に韓国に出願された出願番号10−2005−0055320にて米国特許法第119(a)条による優先権を主張し、その全ての内容が参照することにより本書に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、DSCを用いて測定した、本発明によるガラス組成物のガラス転移点を示す図である。
【図2】図2は、熱機械分析(TMA)を用いて測定した、本発明によるガラス組成物の膨張軟化温度(Tdsp)及び熱膨張係数(α)を示す図である。
【図3】図3は、TMAを用いて測定した、本発明によるガラス組成物にセラミック充填剤が含まれた組成物の膨張軟化温度(Tdsp)及び熱膨張係数(α)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Sb2320モル%乃至50モル%、B2330モル%乃至70モル%、SiO25モル
%乃至15モル%、及び、Al2315モル%以下を含むことを特徴とする、シーリングガラス組成物。
【請求項2】
Sb2349.1質量%乃至81.4質量%、B2327.8質量%乃至48.7質量%、SiO23.0質量%乃至9.0質量%、及び、Al2315.3質量%以下を含むこ
とを特徴とする、シーリングガラス組成物。
【請求項3】
前記シーリングガラス組成物がさらにセラミック充填剤5ml%乃至45モル%を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシーリングガラス組成物。
【請求項4】
前記セラミック充填剤が、コーディアライト、β−ユークリプタイト、ジルコニウムホスフェート、ジルコン、ムライト、珪酸亜鉛鉱、β−リチア輝石、フォルステライト、灰長石、アルミナ、シリカ、BaTiO3又はAl2TiO3の少なくとも一種を含むことを特
徴とする、請求項3に記載のシーリングガラス組成物。
【請求項5】
前面パネル及び背面パネルがシーリングガラス組成物と一緒に組み合わせられるフラットディスプレイ装置であって、該シーリングガラス組成物がSb23を含むことを特徴とするフラットディスプレイ装置。
【請求項6】
前記シーリングガラス組成物がSb2320モル%乃至50モル%を含むことを特徴とする、請求項5に記載のフラットディスプレイ装置。
【請求項7】
前記シーリングガラス組成物がさらにB23及びSiO2を含むことを特徴とする、請求
項5に記載のフラットディスプレイ装置。
【請求項8】
前記シーリングガラス組成物がB2330モル%乃至70モル%を含むことを特徴とする、請求項7に記載のフラットディスプレイ装置。
【請求項9】
前記シーリングガラス組成物がSiO25モル%乃至15モル%を含むことを特徴とする
、請求項7に記載のフラットディスプレイ装置。
【請求項10】
前記シーリングガラス組成物がSb2349.1質量%乃至81.4質量%、B2327.8質量%乃至48.7質量%、SiO23.0質量%乃至9.0質量%を含むことを特
徴とする、請求項7に記載のフラットディスプレイ装置。
【請求項11】
前記シーリングガラス組成物がさらにセラミック充填剤を含むことを特徴とする、請求項5に記載のフラットディスプレイ装置。
【請求項12】
前記シーリングガラス組成物がさらにセラミック充填剤を含むことを特徴とする、請求項7に記載のフラットディスプレイ装置。
【請求項13】
前記シーリングガラス組成物が前記セラミック充填剤5モル%乃至45モル%を含むことを特徴とする、請求項11に記載のフラットディスプレイ装置。
【請求項14】
前記シーリングガラス組成物が前記セラミック充填剤5モル%乃至45モル%を含むことを特徴とする、請求項12に記載のフラットディスプレイ装置。
【請求項15】
前記セラミック充填剤が、コーディアライト、β−ユークリプタイト、ジルコニウムホスフェート、ジルコン、ムライト、珪酸亜鉛鉱、β−リチア輝石、フォルステライト、灰長石、アルミナ、シリカ、BaTiO3又はAl2TiO3の少なくとも一種を含むことを特
徴とする、請求項13に記載のフラットディスプレイ装置。
【請求項16】
前記セラミック充填剤が、コーディアライト、β−ユークリプタイト、ジルコニウムホスフェート、ジルコン、ムライト、珪酸亜鉛鉱、β−リチア輝石、フォルステライト、灰長石、アルミナ、シリカ、BaTiO3又はAl2TiO3の少なくとも一種を含むことを特
徴とする、請求項14に記載のフラットディスプレイ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−1853(P2007−1853A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372980(P2005−372980)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(596066770)エルジー エレクトロニクス インコーポレーテッド (384)
【Fターム(参考)】