説明

シールドケース、コネクタ及び電子機器

【目的】 本発明の目的は、弾性接触片を備えたとしても、シールドケースの強度及びEMI特性の低下を抑制することができるシールドケース、コネクタ及び電子機器を提供する。
【構成】 シールドケース100は、相対し、その間にプラグPが挿入可能であり且つ前端110a、後端110bを各々有する一対の内壁部110と、この内壁部110の一部が内側に切り起こされた一対の弾性接触片111と、内壁部110に弾性接触片111を切り起こすために形成された切欠き部112と、内壁部110の前端110aに連設され且つ当該内壁部110の後端110b側に折り返された一対の折り返し部130と、この折り返し部130に連設されており且つ内壁部110の外面に沿って配置され、切欠き部112を覆う一対の外壁部140とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドケース、これを用いたコネクタ及びこのコネクタを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のレセプタクルコネクタは、筒状のシールドケースと、このシールドケースの奥側部分に収容されるボディと、このボディに配列された複数のコンタクトとを備えたものがある。シールドケースの手前側部分とボディの前面とがプラグコネクタが挿入可能な挿入穴を区画している。前記シールドケースは、互いに対向する一対の側壁部と、この側壁部に設けられ且つ挿入穴に挿入されたプラグコネクタに弾性接触する一対の弾性接触片と、前記側壁部に垂下され且つ基板に半田接続される一対の接続用脚部とを備えている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3158913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記弾性接触片は、側壁部の一部を切り起こして作成されることから、側壁部の弾性接触片の周囲には開口や切欠き部が形成される。このため、前記レセプタクルコネクタは、シールドケースの強度(特に、プラグコネクタ挿入時のこじり強度)が低下すると共に、シールドケースのEMI特性も低下していた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、弾性接触片を備えたとしても、シールドケースの強度及びEMI特性の低下を抑制することができるシールドケース、コネクタ及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のシールドケースは、相対し、その間に相手方コネクタが挿入可能であり且つ相手方コネクタの挿入方向の第1、第2端を各々有する一対の内壁部と、この内壁部の一部が内側に切り起こされた一対の弾性接触片と、前記内壁部に前記弾性接触片を切り起こすために形成された開口又は切欠き部と、前記内壁部の第1端に連設され且つ当該内壁部の第2端側に折り返された一対の折り返し部と、この折り返し部に連設されており且つ前記内壁部の外面に沿って配置され、前記開口又は切欠き部を覆う一対の外壁部とを備えている。
【0007】
このような態様の発明による場合、外壁部が内壁部の外面に沿って配置されているので、外壁部で内壁部を補強することができる。よって、前記シールドケースの強度低下を抑制することができる。しかも、外壁部が内壁部の開口又は切欠き部を覆っているので、前記シールドケースのEMI特性の低下も抑制することができる。
【0008】
前記シールドケースは、第1、第2連結部を更に備えた構成とすることが可能である。この場合、前記内壁部は、前記第1、第2端に交差する第3端を更に有している。前記外壁部は、前記内壁部の第3端に対向する第1端と、その反対側の第2端とを有している。前記第1連結部は前記内壁部の第3端間を連結しており、前記第2連結部が前記外壁部の第2端間を連結している。この場合、少なくとも前記内壁部、第1連結部及び第2連結部が収容空間を区画している。このような態様の発明による場合、内壁部の第3端間が第1連結部で、外壁部の第2端間が第2連結部により連結されているため、シールドケースの強度を向上させることができる。
【0009】
また、前記内壁部が前記第3端の反対側の第4端を更に有する構成とすることが可能である。この場合、前記第2連結部は、前記外壁部の第2端間ではなく、前記内壁部の第4端間を連結する構成とすることも可能である。このような態様の発明による場合、内壁部の第3端間が第1連結部に、内壁部の第4端間が第2連結部に連結されているので、シールドケースの強度を向上させることができる。
【0010】
前記シールドケースは、前記外壁部の前記挿入方向の手前側部分に設けられた一対の第1接続用脚部を更に備えた構成とすることが可能である。このような態様の発明による場合、第1接続用脚部が外壁部に設けられているので、内壁部、第1連結部又は第2連結部の一部を切り起こして第1接続用脚部を作成する場合に比べてシールドケースの強度低下及びEMI特性の低下を抑制することができる。
【0011】
前記シールドケースは、前記外壁部の前記挿入方向の奥側部分に設けられた一対の第2接続用脚部を更に備えた構成とすることも可能である。このような態様の発明による場合、第2接続用脚部が外壁部に設けられているので、内壁部、第1連結部又は第2連結部の一部を切り起こして第2接続用脚部を作成する場合に比べてシールドケースの強度低下及びEMI特性の低下を抑制することができる。また、第1、第2接続用脚部で基板に接続されることにより、シールドケースの基板剥離強度を向上させることができる。
【0012】
前記シールドケースは、前記第1、第2連結部の少なくとも一方に設けられており且つ前記収容空間に挿入された相手方コネクタを係止可能なロック片を更に備えた構成とすることが可能である。このような態様の発明による場合、ロック片で相手方コネクタを係止することができるので、相手方コネクタの接続状態が確かなものとなり、その結果、前記シールドケースを用いたコネクタの接続信頼性を向上させることが可能になる。
【0013】
本発明のコネクタは、上記シールドケースと、前記収容空間に収容された絶縁性のボディと、このボディに配列された複数のコンタクトとを備えている。
【0014】
前記コンタクトは、前記シールドケースの挿入方向の奥側に配置されたテール部を有する構成とすることが可能である。この場合、前記第2接続用脚部間の距離は、前記第1接続用脚部間の距離よりも小さいことが好ましい。このような態様の発明による場合、第2接続用脚部間の距離が第1接続用脚部間の距離よりも小さいため、第2接続用脚部が前記シールドケースの挿入方向の奥側に配置されたテール部の近傍に配置される。よって、第2接続用脚部及びコンタクトのテール部が近い位置で基板に各々半田付けすることが可能になるので、相手方コネクタが収容空間に挿入され、こじられたとしても、コンタクトのテール部の半田接続部にかかる負荷を軽減することができる。しかも、第2接続用脚部が、第1接続用脚部よりも内側で基板に半田付けされるため、シールドケース自体の基板剥離強度を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの正面、平面及び右側面側から表した斜視図である。
【図1B】前記レセプタクルコネクタの背面、底面及び右側面側から表した斜視図である。
【図2A】前記コネクタの正面図である。
【図2B】前記コネクタの背面図である。
【図3A】前記コネクタの平面図である。
【図3B】前記コネクタの底面図である。
【図3C】前記コネクタの右側面図である。
【図4A】前記コネクタの図2A中の4A−4A断面図である。
【図4B】前記コネクタの図2A中の4B−4B断面図と、接続前の相手方プラグの模式的断面図とを併記した説明図である。
【図5A】前記コネクタのシールドケースの図1A中の5A−5A断面図である。
【図5B】前記コネクタのシールドケースの図1A中の5B−5B断面図である。
【図6A】前記コネクタのボディの正面、平面及び右側面側から表した斜視図である。
【図6B】前記コネクタのコンタクトを保持したボディの正面、底面及び右側面側から表した斜視図である。
【図7】前記コネクタが実装される基板の模式的平面図である。
【図8】前記コネクタの設計変更例を示す概略的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係るレセプタクルコネクタについて図1A乃至図7を参照しつつ説明する。図1A乃至図3Cに示すレセプタクルコネクタ(以下、レセプタクルR)は、図示しない電子機器の基板10(図7参照)に実装され、当該電子機器の外部インターフェースとして用いられるコネクタであって、図4Bに示すプラグコネクタ(以下、プラグP)が接続可能になっている。レセプタクルRは、シールドケース100と、ボディ200と、複数のコンタクト300とを備えている。以下、レセプタクルRの各部について詳しく説明する。なお、図4B〜図5BにおいてプラグPの挿入方向をαで示している。
【0017】
シールドケース100は、図1A〜図3C、図5A及び図5Bに示すように、導電性を有する一枚の金属板がプレス成型されたものである。このシールドケース100は、一対の内壁部110と、底板部120(第1連結部)と、一対の折り返し部130と、一対の外壁部140と、天板部150(第2連結部)と、一対の第1、第2接続用脚部160a、160b、一対の保持片170とを備えている。
【0018】
一対の内壁部110は、相対するように配置された板部であって、その間にプラグPが挿入可能となっている。各内壁部110には、図5A及び図5Bに示すように、弾性接触片111が設けられている。弾性接触片111は内壁部110の一部が内側に切り起こされた片部材であって、挿入方向αの奥側に延び且つ内側に傾斜している。この弾性接触片111の先端部は外側に折り曲げられている。両弾性接触片111の先端部間の間隔はプラグPのシェルP1の両側面の間の間隔よりも若干小さくなっている。また、内壁部110の弾性接触片111の周囲には切欠き部112が形成されている。切欠き部112は弾性接触片111を切り起こすために、内壁部110の弾性接触片111の周囲をカットした結果、形成されたものである。なお、各内壁部110の挿入方向αの手前側の前端110a、奥側の後端110bが特許請求の範囲における内壁部の挿入方向の第1、第2端、下端110cが前端110a、後端110bに直角に交差する第3端、上端110dが下端110cの反対側の第4端である。
【0019】
底板部120は、図5Bに示すように、一対の連結板121、122を有する。連結板121は一方の内壁部110の下端110cの手前側部分に連設され且つ当該内壁部110に対して略直角に折り曲げられた略矩形状の板であって、外側端部と、内側端部と、外側端部と外側端部の間に設けられた湾曲部とを有している。連結板122は他方の内壁部110の下端110cの手前側部分に連設され且つ当該内壁部110に対して略直角に折り曲げられた略矩形状の板あって、外側端部と、内側端部と、外側端部と外側端部の間に設けられた湾曲部とを有している。連結部121、122の内側端部は、ジクソーパズル片の如く凸凹形状となっており、互いに嵌合し且つカシメられている。このように連結部121、122の内側端部が結合されることにより、底板部120が両内壁部110の下端110c間を連結している。連結部121、122の湾曲部は、内側端部の下面の高さ位置が外側端部の上面の高さ位置よりも高くなるように上方に湾曲している。このため、連結部121、122の内側端部の下側には凹部123が形成されている。また、連結部121、122の内側端部には、ロック片121a、122aが設けられている。このロック片121a、122aは、前記内側端部の一部が切り起こされた片部材であって、挿入方向αの手前側に延び且つ上側に傾斜している。ロック片121a、122aは、後述する挿入穴S1に挿入されたプラグPのシェルP1の一対の下側係止穴に各々係止可能になっている。また、連結部121、122の後端の内側部分には、挿入方向αに凸の嵌合凸部121b、122bが設けられている。
【0020】
各折り返し部130は、図5A及び図5Bに示すように、内壁部110の前端110aに連設され、外側及び後側(すなわち、内壁部110の後端110b側)に折り返された平面視U字状の板部である。この折り返し部130の内側端部は内壁部110の前端110aに、折り返し部130の外側端部は外壁部140の前端に連続している。
【0021】
各外壁部140は、図5A及び図5Bに示すように、外形が内壁部110よりも大きい矩形状の板部である。この外壁部140は、内壁部110の外面に沿って配置されると共に、当該内壁部110の外面に当接している。この外壁部140が内壁部110の切欠き部112を覆っている。外壁部140は、前記前端と、後端と、下端140a(特許請求の範囲における内壁部の第3端(すなわち、下端110c)に対向する第1端)と、上端140b(前記第1端の反対側の第2端)とを有している。各外壁部140の下端140aには、挿入方向αの手前側部分に第1接続用脚部160aが、挿入方向αの奥側部分に第2接続用脚部160bが垂下されている。第1、第2接続用脚部160a、160bはDIP半田付け用の片部材であって、図7に示す基板10の第1、第2スルーホール11、12に半田接続可能になっている。シールドケース100は、第1、第2スルーホール11、12を介して基板10のグランドに接続される。第2接続用脚部160bの根元部分は内側に湾曲している。このため、第2接続用脚部160bの先端部間の距離D2が、図2Aに示すように、第1接続用脚部160aの先端部間の距離D1よりも小さくなっている。よって、第2接続用脚部160bは、図1Bに示すように、コンタクト300の後述するテール部340の両側に配置され、当該テール部340の近傍で半田接続可能となっている。各外壁部140の後端には、保持片170が設けられている。保持片170は挿入方向αに延びた片部材であって、内側に略直角に折り曲げ、ボディ200の本体部210の後面に当接している。
【0022】
天板部150は、図3Aに示すように、両外壁部140の上端140bを連結する矩形状の板部である。この天板部150、一対の内壁部110、一対の外壁部140及び底板部120がボディ200を収容するための収容空間Sを区画している(図5A及び図5B参照)。また、この収容空間Sにおいて、一対の内壁部110の手前側部分、一対の外壁部140の手前側部分、底板部120、天板部150の挿入方向αの手前側部分及びボディ200の本体部210の前面(ボディの前面)により区画される空間が挿入穴S1となっている(図4A及び図4B参照)。この挿入穴S1にプラグPが挿入方向αに沿って挿入可能になっている。天板部150の手前側部分には、一対のロック片151が設けられている。このロック片151は、天板部150の手前側部分の一部が切り起こされた片部材であって、挿入方向αの手前側に延び且つ下側に傾斜している。このロック片151は、挿入穴S1に挿入されたプラグPのシェルP1の一対の上側係止穴に各々係止可能になっている。更に、天板部150の挿入方向αの奥側部分には、一対の当て止め用の突起152が設けられている。
【0023】
ボディ200は絶縁樹脂製の射出成型品である。このボディ200は、図6A及び図6Bに示すように、略矩形状の本体部210と、この本体部210の前面の中央部に突設された板状の凸部220と、本体部210の前面の下端部に突設された略台形状の台座部230とを有している。本体部210はシールドケース100の収容空間Sの挿入方向αの奥側空間に収容されている。凸部220は収容空間Sの挿入方向αの手前側空間(すなわち、挿入穴S1)に収容されている(図4B参照)。台座部230は、シールドケース100の底板部120の下方に配置されている。本体部210の幅方向の両側面には、上下方向に延びた当て止め用の突脈211が設けられている。本体部210の幅方向の上側両端部には、一対の凹部212が設けられている。本体部210の前面の台座部230の上側部分には、嵌合溝213が設けられている。この嵌合溝213の奥側面の中央部には、矩形状の嵌合凹部214が設けられている。
【0024】
図4A及び図4Bに示すように、突脈211がシールドケース100の内壁部110の後端110bに当接し、凹部212にシールドケース100の天板部150の突起152が嵌合し、収容溝213にシールドケース100の底板部120の後端部が挿入され、嵌合凹部214に底板部120の嵌合凸部121b、122bが嵌合している。更に、本体部210の後面がシールドケース100の一対の保持片170に当接されている。すなわち、本体部210は、シールドケース100の内壁部110の後端110b、天板部150の突起152及び底板部120の後端部と、一対の保持片170との間で挟持されると共に、突起152が本体部210の凹部212に、嵌合凸部121b、122bが嵌合凹部214に嵌まり込むことにより、当該本体部210がシールドケース100の収容空間Sの前記奥側空間に位置固定されている。
【0025】
本体部210の中央部には、図4Bに示すように、挿入方向αに貫通する複数の貫通孔215が幅方向に所定間隔をあけて配設されている。また、本体部210の後面の下端部には、図2Bに示すように、貫通孔215と同じ間隔で複数の収容溝216が設けられている。また、凸部220の下面には、貫通孔215と同じ間隔で複数の収容溝221が設けられている。この収容溝221は貫通孔215に連通しており且つ挿入方向αに沿って延びている。
【0026】
台座部230は、図6A及び図6Bに示すように、基板10上に本体部210と共に載置可能な部位であって、中央部に上方に凸の凸部が設けられている。この凸部がシールドケース100の凹部123に挿入されている。前記凸部には、底板部120のロック片121a、122aに対応する位置に一対の逃がし凹部231が設けられている。この逃がし凹部231に下方に弾性変形したロック片121a、122aが挿入可能になっている。
【0027】
コンタクト300は、図4A及び図6Bに示すように、ボディ200に幅方向に間隔をあけて配設されている。各コンタクト300は、図4Bに示すように、導電性を有する略L字状の金属板であって、接触部310と、固定部320と、垂下部330と、テール部340とを有している。固定部320は、ボディ200の貫通孔215よりも若干幅広の板部であって、当該貫通孔215に後方から圧入され固定されている。接触部310は、固定部320の挿入方向αの手前側端部に連設された長尺状の板部であって、ボディ200の収容溝221に収容されている。この接触部310の下面は、図4A及び図6Bに示すように、収容溝221から露出している。垂下部330は、図4Bに示すように、固定部320の挿入方向αの奥側端部に連設され且つ固定部320に対して略直角に折り曲げられた長尺状の板部である。この垂下部330の下端部がボディ200の収容溝216に収容されている。テール部340は、垂下部330の下端に連設され且つ垂下部330に対して略直角に折り曲げられた長尺状の板部である。このテール部340は、シールドケース100の挿入方向αの奥側に配置され、基板10の電極13に半田接続可能になっている。コンタクト300は電極13を介して基板10の信号ラインに接続される。
【0028】
以下、上述したような構成のレセプタクルRの組み立て手順について詳しく説明する。まず、絶縁樹脂を射出成型してボディ200を作成すると共に、導電性を有する金属板をプレス成型してコンタクト300を作成する。その後、ボディ200の貫通孔215にコンタクト300の接触部310を後方から挿入する。この状態で、コンタクト300の接触部310を前進させると、当該接触部310がボディ200の収容溝221に挿入され、固定部320が貫通孔215に圧入され、且つ垂下部330の下端部が収容溝216に挿入される。このようにしてコンタクト300がボディ200に固定される。
【0029】
その後、導電性を有する一枚の金属板をプレス成型し、保持片170が外壁部140に対して直線状であるシールドケース100を用意する。その後、ボディ200の凸部220をシールドケース100の収容空間Sに後方から挿入すると共に、シールドケース100の底板部120の後端部をボディ200の嵌合溝213に挿入する。このとき、ボディ200の凹部212にシールドケース100の天板部150の突起152を、ボディ200の嵌合凹部214に底板部120の嵌合凸部121b、122bを嵌合させる。すると、ボディ200の凸部220がシールドケース100の挿入穴S1内に収容され、ボディ200の本体部210が収容空間Sの前記奥側空間に収容される。その後、保持片170を内側に折り曲げ、本体部210の後面に当接させる。このようにしてボディ200がシールドケース100の収容空間S内に位置固定される。
【0030】
以下、このように組み立てられたレセプタクルRが基板10に実装される。具体的には、レセプタクルRの一対の第1、第2接続用脚部160a、160bを基板10の一対の第1、第2スルーホール11、12に各々挿入する。すると、レセプタクルRのボディ200の本体部210及び台座部230が基板10上に載置されると共に、コンタクト300のテール部340が基板10の電極13上に各々載置される。この状態で、第1、第2接続用脚部160a、160bを第1、第2スルーホール11、12に、テール部340を電極13に各々半田付けする。
【0031】
以下、このように基板10に実装されたレセプタクルRにプラグPを接続する方法について説明すると共に、レセプタクルRの各部の動作について説明する。なお、プラグPの先端側の接続部は角筒状の導電金属製のシェルP1に覆われている。
【0032】
プラグPの接続部がレセプタクルRの挿入穴S1に挿入されると、プラグPのコンタクトがレセプタクルRのコンタクト300の接触部310に各々弾性接触する。このとき、レセプタクルRのロック片121a、122aがプラグPのシェルP1の一対の下側係止穴に、ロック片151がプラグPのシェルP1の一対の上側係止穴に各々係止され、プラグPがレセプタクルRに接続された状態が維持される。これと共に、レセプタクルRの一対の弾性接触片111の先端部がプラグPのシェルP1の両側面に弾性的に接触する。これにより、シェルP1がシールドケース100に電気的に接続され、当該シールドケース100を介して基板10のグランドに接続される。なお、ロック片121a、122aがプラグPのシェルP1の下側係止穴に係止される際に、下方に弾性変形し、ボディ200の逃がし凹部231に挿入される。
【0033】
このようなレセプタクルRによる場合、外壁部140が内壁部110の外面に沿うように配置され、当該内壁部110を補強している。よって、内壁部110に弾性接触片111等を切り起こして作成したとしても、シールドケース100の強度低下を抑制することができる。しかも、外壁部140の上端140bが天板部150で連結され、内壁部110の下端110cが底板部120で連結されているため、シールドケース100の強度(こじり強度を含む。)を向上させることができる。更に、外壁部140が内壁部110の切欠き部112を覆うため、内壁部110に弾性接触片111等を切り起こして作成したとしても、シールドケース100のEMI特性の低下を抑制することができる。
【0034】
また、第1接続用脚部160aがシールドケース100の外壁部140の手前側部分に設けられているので、プラグPの接続部が挿入穴S1に挿入された状態で、当該レセプタクルRに負荷をかけたとしても、接続用脚部が奥側部分に位置する場合に比べて、第1接続用脚部160aと基板10との半田接続部にかかる負荷の低減を図ることができる。しかも、外壁部140の奥側部分には、第2接続用脚部160bが設けられている。よって、レセプタクルRの基板10に対する剥離強度を向上させることができる。
【0035】
また、第2接続用脚部160bの先端部間の距離D2が第1接続用脚部160aの先端部間の距離D1よりも小さくなっており、当該第2接続用脚部160bがコンタクト300のテール部340の両側に配置されている。すなわち、第2接続用脚部160bがテール部340の近傍で基板10に半田接続されるので、プラグPが挿入穴S1に挿入され、こじられたとしても、テール部340の半田接続部にかかる負荷を軽減することができる。また、第2接続用脚部160bが、第1接続用脚部160aよりも内側で基板に半田付けされるため、シールドケース100自体の基板剥離強度(特に、シールドケース100の幅方向に対する基板剥離強度)を向上させることもできる。
【0036】
なお、上述したレセプタクルR及びシールドケース100は、上記実施の形態では限定されるものでなく、特許請求の範囲の範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0037】
上記実施の形態では、外壁部は内壁部に当接しているとしたが、外壁部は内壁部の強度を補強できる程度に内壁部に沿って配置されていれば良い。例えば、外壁部が内壁部に若干の隙間を有して配置されており、当該内壁部が撓む際に外壁部に当接して支持されるようになっていても良い。上記実施の形態では、内壁部には、弾性接触片を切り起こした結果、切欠き部が形成されているとしたが、切欠き部に代えて開口等が形成されるようになっていても良い。内壁部に開口が形成される場合であっても、外壁部が内壁部に沿うように配置されることにより、シールドケースの強度低下を抑制することができると共に、シールドケースのEMI特性の低下も抑制することができる。
【0038】
上記実施の形態では、折り返し部は、内壁部の前端に連設され、後端側に折り返されているとしたが、内壁部の後端に連設され、前端側に折り返された構成とすることが可能である。すなわち、特許請求の範囲における内壁部の挿入方向の第1端を内壁部の後端、内壁部の第2端を前端とすることも可能である。
【0039】
上記実施の形態では、第1、第2接続用脚部が外壁部の下端に垂下されているとしたが、第1、第2接続用脚部の何れか一方のみが外壁部の下端に設けられるように設計変更することが可能であり、また、第1、第2接続用脚部を省略するように設計変更することも可能である。また、第1、第2接続用脚部は、外壁部の下端部に垂下されている必要はなく、外壁部の一部(例えば、内壁部の開口や切欠き部を覆う部分でない部分等)を切り起こして作成することも可能である。更に、第1、第2接続用脚部は、DIP半田付け用の片部材であるとしたが、外壁部に対して略直角に折り曲げられ且つ基板上の電極に接続可能なSMT用の足とすることも可能である。なお、コンタクトのテール部は、垂下部330と直線状に形成して基板上のスルーホールに接続可能なDIP半田付け用の足とすることが可能である。
【0040】
上記実施の形態では、天板部が外壁部の上端を連結しているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、天板部150’が内壁部110’の上端110d’の間を連結するように設計変更することも可能である。この場合、天板部150’、内壁部110’、外壁部140及び底板部120が収容空間Sを区画し、天板部150’、内壁部110’、外壁部140、底板部120及びボディ200の上記前面が挿入穴S1を区画している。収容空間については、天板部、内壁部及び底板部のみで区画することが可能であり、挿入穴についても天板部、内壁部、底板部及びボディの前面のみで区画することが可能である。具体的には、内壁部の切り欠き部又は開口の外形が小さい場合には、外壁部を用いずに収容空間及び挿入穴を区画することが可能である。また、上記実施の形態では、底板部が内壁部の下端を連結するとしたが、外壁部の下端を連結するようにしても良い。また、上記実施の形態では、底板部が2つの連結板からなり、内側端部同士が嵌合するとしたが、これに限定されるものではない。例えば、天板部を2つの連結板で構成し、内側端部同士が結合される形態とすることも可能である。
【0041】
上記実施の形態では、天板部及び底板部にロック片が設けられているとしたが、天板部及び底板部のいずれか一方のみに設けることも可能であるし、双方とも省略することが可能である。
【0042】
上記実施の形態では、レセプタクルは、複数のコンタクトを備えているとしたが、2種以上のコンタクトを備えた構成とすることも可能である。上記実施の形態では、ボディは、本体部と、凸部と、台座部を有するとしたが、シールドケースの収容空間に収容可能であり且つコンタクトを保持し得るものである限り、どのような形状に設計変更しても構わない。
【0043】
なお、上記実施の形態では、シールドケース、ボディ及びコンタクトの各部を構成する素材、形状、寸法及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。上記実施の形態では、本発明は、レセプタクルコネクタだけでなく、プラグコネクタにも適応可能である。本発明をプラグコネクタに適応する場合には、例えば、シールドケースが実装される基板の端部等又はコネクタのテール部にケーブルを接続するようにすれば良い。
【符号の説明】
【0044】
R・・・・・・レセプタクル
100・・・・シールドケース
110・・・内壁部
110a・前端(第1端)
110b・後端(第2端)
110c・下端(第3端)
110d・上端(第4端)
111・・弾性接触片
112・・切欠き部
120・・・底板部
121a、122a・ロック片
130・・・折り返し部
140・・・外壁部
140a・下端(第1端)
140b・上端(第2端)
150・・・天板部
151・・ロック片
152・・突起
160a・・第1接続用脚部
160b・・第2接続用脚部
170・・・保持片
S・・・・収容空間
S1・・・挿入穴
200・・・・ボディ
210・・・本体部
220・・・凸部
230・・・台座部
300・・・・コンタクト
310・・・接触部
320・・・固定部
330・・・垂下部
340・・・テール部
α・・・・・・挿入方向
10・・・・・基板
11、12・第1、第2スルーホール
13・・・・電極
P・・・プラグ
P1・・シェル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対し、その間に相手方コネクタが挿入可能であり且つ相手方コネクタの挿入方向の第1、第2端を各々有する一対の内壁部と、
この内壁部の一部が内側に切り起こされた一対の弾性接触片と、
前記内壁部に前記弾性接触片を切り起こすために形成された開口又は切欠き部と、
前記内壁部の第1端に連設され且つ当該内壁部の第2端側に折り返された一対の折り返し部と、
この折り返し部に連設されており且つ前記内壁部の外面に沿って配置され、前記開口又は切欠き部を覆う一対の外壁部とを備えたシールドケース。
【請求項2】
請求項1記載のシールドケースにおいて、
第1、第2連結部を更に備えており、
前記内壁部は、前記第1、第2端に交差する第3端を更に有しており、
前記外壁部は、前記内壁部の第3端に対向する第1端と、その反対側の第2端とを有し、
前記第1連結部は前記内壁部の第3端間を連結しており、
前記第2連結部は前記外壁部の第2端間を連結しており、
少なくとも前記内壁部、第1連結部及び第2連結部が収容空間を区画しているシールドケース。
【請求項3】
請求項1記載のシールドケースにおいて、
第1、第2連結部を更に備えており、
前記内壁部は、前記第1、第2端に交差する第3端と、その反対側の第4端とを更に有しており、
前記第1連結部は前記内壁部の第3端間を連結しており、
前記第2連結部は前記内壁部の第4端間を連結しており、
少なくとも前記内壁部、第1連結部及び第2連結部が収容空間を区画しているシールドケース。
【請求項4】
請求項2又は3記載のシールドケースにおいて、
前記外壁部の前記挿入方向の手前側部分に設けられた一対の第1接続用脚部を更に備えているシールドケース。
【請求項5】
請求項4記載のシールドケースにおいて、
前記外壁部の前記挿入方向の奥側部分に設けられた一対の第2接続用脚部を更に備えているシールドケース。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れかに記載のシールドケースにおいて、
前記第1、第2連結部の少なくとも一方に設けられており且つ前記収容空間に挿入された相手方コネクタを係止可能なロック片を更に備えているシールドケース。
【請求項7】
請求項2乃至4の何れかに記載のシールドケースと、
前記収容空間に収容された絶縁性のボディと、
このボディに配列された複数のコンタクトとを備えたコネクタ。
【請求項8】
請求項5記載のシールドケースと、
前記収容空間に収容された絶縁性のボディと、
このボディに配列された複数のコンタクトとを備えており、
前記コンタクトは、前記シールドケースの挿入方向の奥側に配置されたテール部を有しており、
前記第2接続用脚部間の距離が、前記第1接続用脚部間の距離よりも小さいコネクタ。
【請求項9】
請求項7又は8記載のコネクタを外部インターフェースとして備える電子機器。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−69354(P2012−69354A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212637(P2010−212637)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】