説明

シールドケース、高周波回路基板、および電子機器

【課題】 配線基板に接合したシールドフレームの除去作業を簡単にして、高周波回路部の修理、交換を簡便かつ迅速にできる高周波回路基板を提供する。
【解決手段】 高周波回路基板1を、配線基板2と、この配線基板2上に搭載された複数の電子部品3と、これら複数の電子部品3を搭載した領域を包括する高周波回路占有領域Aを取り囲むように配線基板2上に接合されたシールドフレーム4と、シールドフレーム4に一括して嵌合して複数の電子部品3を閉塞するシールドカバー5とで構成し、シールドフレーム4を平面形状がL字状とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配線基板に搭載された高周波回路部の電磁ノイズをシールドするシールドケース、およびシールドケースを備える高周波回路基板、および高周波回路基板を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、PCカード型の無線端末などの高周波回路基板では、電気信号を無線で送受信を行うため、複数の高周波回路部(電子機器)が実装されている。これらの高周波回路部は、配線基板にはんだ付けされたシールドフレームとシールドカバーとで閉塞されている(例えば、特許文献1参照。)。具体的には、シールドフレームは、配線基板における高周波回路部を搭載した領域を取り囲む一体形状のものであり、周縁に沿ってフランジ部が立ち上がった構造を有する。そして、このフランジ部にシールドカバーを嵌合させることにより高周波回路部が閉塞されている。このため、高周波回路部から発生する電磁ノイズがシールドフレームとシールドカバーとで構成されるシールドケースに吸収されることで、電磁ノイズが他の回路部や外部に漏れたり、逆に外部からノイズを拾うことを防止している。
【特許文献1】特開2003−133777号(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のような配線基板にシールド構造が設けられた高周波回路基板では、複数の電子部品(高周波回路部)から発生する電磁ノイズの漏れだしの防止を図る必要があった。
【0004】
また、上述の高周波回路基板では、配線基板にはんだペーストを所定のパターンに印刷した後、BGA(Ball Grid Array)構造の電子部品およびシールドフレームを配線基板上にマウントし、リフロー装置を使用した一括加熱ではんだ付けを行って製造されている。このため、電子部品を搭載してなる高周波回路基板の動作試験は、シールドフレームが実装された状態で実施される。したがって、動作試験後に配線基板上の電子部品に不良が検出された場合は、シールドフレーム全体を除去した後、電子部品を配線基板から外して、交換部品を配線基板へ再接合させる必要がある。
【0005】
動作試験後に電子部品を交換するには、図13に示すようなリワーク装置100を用いる。このリワーク装置100は、熱風を電子部品102に吹き付けるためのダクト101と、このダクト101内に設けられた、電子部品102を吸着するための吸着ノズル103とを備えている。図13に示すように、電子部品102は、はんだバンプ104を介して配線基板105に接合されている。しかし、配線基板105においては、図13に示すように、電子部品102の少なくとも一つの側部の側方にシールドフレーム106が近接して配置されているため、このシールドフレーム106が邪魔をしてリワーク装置100のダクト101を配線基板105に当接させることができなかった。このため、熱風を特定の電子部品102の接合箇所のみに吹き付けることができず、他の電子部品にも及んだり、吸着ノズル103が電子部品102に当接できず電子部品102を吸着することができないという不都合があった。このため、リワーク装置100を用いる前に、シールドフレーム106を配線基板105から引き剥がす必要があった。
【0006】
図14〜図16は、従来の電子部品102の取り外し手順を示している。シールドフレーム106は、電磁ノイズの漏れを防ぐために、図示しない複数のはんだ付け部で配線基板105と電気的に接続されている。このため、シールドフレーム106における全てのはんだ付け部をはんだごて等の加熱ツールを用いて溶融させ、シールドフレーム106を配線基板105から除去する。はんだ付け部が複数ある場合は、必要に応じてシールドフレーム106を切断して除去作業を行う。このようにシールドフレーム106を除去した後は、図15および図16に示すように、リワーク装置100を用いて電子部品102を配線基板105から引き剥がす。図15に示すように、シールドフレーム106を除去した後は、ダクト101を電子部品102の周囲に配置するための余裕寸法oを確保することができる。
【0007】
上述したシールドフレーム106の除去作業は、全体を一括して配線基板105上から除去するか、分断して除去する必要があるため、煩雑で時間を要するものであった。このため、電子部品の修理、交換にコストがかかるという問題点があった。また、シールドフレーム106の除去作業では、全てのはんだ付け部を溶融させるため、交換する電子部品102以外の箇所を加熱する必要があり、他の箇所の電子部品および配線基板105に熱的ダメージを与える虞があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、第1の目的は、配線基板に接合したシールドフレームの除去作業を簡単にして、高周波回路部の修理、交換を簡便かつ迅速にできる高周波回路基板、シールドケース、および電子機器を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、シールドフレームを配線基板にマウントする際に、シールドフレームの保持が容易に行える高周波回路基板、シールドケース、および電子機器を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の第3の目的は、配線基板に搭載された高周波回路部から発生する電磁ノイズの漏れ防止効果の高い高周波回路基板、シールドケースおよび電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の特徴は、複数の高周波回路部を搭載した配線基板に取り付けられるシールドケースであって、複数の高周波回路部を搭載した領域を包括する高周波回路占有領域の周囲に沿って並ぶように互いに独立して立設される複数のシールドフレームと、板状のカバー本体の周縁部に沿ってこのカバー本体に直角をなす側板部が周回するように形成され、側板部が複数のシールドフレームの全体に嵌合して複数の高周波回路部を閉塞するシールドカバーと、を備え、シールドフレームが、平面形状における中間部に屈曲部を有し、高周波回路占有領域の角部に1つのシールドフレームが配置されることにある。
【0012】
また、本発明の第2の特徴は、高周波回路部を備える高周波回路基板であって、複数の高周波回路部を搭載した配線基板と、配線基板における複数の高周波回路部を搭載した領域を包括する高周波回路占有領域の周囲に沿って並ぶように、互いに独立して立設された複数のシールドフレームと、板状のカバー本体の周縁部に沿ってカバー本体に直角をなす側板部が周回するように形成され、側板部が複数のシールドフレームの全体に嵌合して複数の高周波回路部を閉塞するシールドカバーと、を備え、シールドフレームの平面形状をL字状にしたことにある。
【0013】
さらに、本発明の第3の特徴は、電子機器であって、複数の高周波回路部を搭載した配線基板と、配線基板における複数の高周波回路部を搭載した領域を包括する高周波回路占有領域の周囲に沿って並ぶように、互いに独立して立設された複数のシールドフレームと、板状のカバー本体の周縁部に沿ってカバー本体に直角をなす側板部が周回するように形成され、側板部が複数のシールドフレームの全体に一括して嵌合して複数の高周波回路部を閉塞するシールドカバーと、を備え、シールドフレームは平面形状における中間部に屈曲部を有している高周波回路基板を備えることにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、効率的に高周波回路部の修理、交換を行えるシールドケース、高周波回路基板および電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るシールドケース、高周波回路基板、および電子機器の詳細を図面に基づいて説明する。
【0016】
(シールドケースおよび高周波回路基板の構成)
先ず、本実施の形態に係るシールドケースおよび高周波回路基板の構成を図1〜図9を用いて説明する。
【0017】
図1に示すように、高周波回路基板1は、配線基板2と、この配線基板2上に搭載された高周波回路部としての複数の電子部品3と、これら複数の電子部品3を搭載した領域を包括する高周波回路占有領域Aを取り囲むように互いに独立して配線基板2に電気的に導通するように接合された複数のシールドフレーム4と、これらシールドフレーム4の全部を一括して嵌合して複数の電子部品3を閉塞するシールドカバー5と、を備えて大略構成されている。
【0018】
なお、本実施の形態で説明する高周波回路基板1は、配線基板2に電子部品3およびシールドケース6ならびに他の高周波回路部ではない電子部品などを搭載して構成されたものを云う。
【0019】
本実施の形態で用いる上述の高周波回路部としての電子部品3は、例えば、下面にはんだバンプを備えたBGA(Ball Grid Array)構造の電子部品である。配線基板2上には、図示しない所定の配線パターンが形成されており、電子部品3が適宜の配線パターン上にはんだ付けにより接合されている。また、配線基板2上には、図示しないが、高周波回路部としての複数の電子部品3以外に、電源IC、ADコンバータおよびDAコンバータとしてのIC、CPU、メモリなど各種のチップ部品が実装されている。
【0020】
上記したシールドフレーム4とシールドカバー5は、ともに導電性の良好な金属で形成されている。そして、複数のシールドフレーム4と1つのシールドカバー5とで、シールドケース6が構成されている。
【0021】
図1〜図6に示すように、シールドフレーム4は、平面形状における中間部に屈曲部を有する。即ち、シールドフレーム4は、平面形状がL字状であり、図1および図2に示すように、複数の電子部品3を搭載した領域を包括する高周波回路占有領域Aを取り囲むように配線基板2上にはんだ付けにて接合されている。
【0022】
なお、高周波回路占有領域Aの一つの角部に対して一つのシールドフレーム4が割り当てられるようになっている。このため、シールドフレーム4は、予め高周波回路占有領域Aの形状、寸法に応じて角部を挟む両側のフランジ部(後述する。)41の長さが設定されている。具体的には、図1および図2に示すように、角部を挟むフランジ部41の長さを、高周波回路占有領域Aの角部近傍に配置される1つの電子部品3の対向する側面部の長さとほぼ等しく、もしくは複数の電子部品3の側面部に亘って対向する長さに設定している。このため、後述するように、電子部品3を交換する場合に、この電子部品3を囲む(側方に位置する)1つ若しくは2つのシールドフレーム4を除去するだけで、電子部品3の交換が可能となるように寸法設定されている。
【0023】
そして、本実施の形態では、マウント装置のマウント精度に応じて、マウント時に互いに隣接するシールドフレーム4同士が接触しない程度(0.2mm程度)に近接させて配線基板2上に配置されている。なお、シールドフレーム4は、配線基板2に対して、接合用凸部43がはんだ付けされて電気的に接続されている。
【0024】
ここで、図1および図3〜図5を用いて、シールドフレーム4の構造を説明する。シールドフレーム4は、配線基板2に直角をなすように配置される上述のフランジ部41と、フランジ部41の上縁から屈曲内側(一側方)へ向けて延在された平行板部42と、屈曲した角部の平行板部42が屈曲内側へ向けて膨出するように広く形成された被吸着板部42Aと、を有している。また、フランジ部41の下縁には、僅かに下方へ突出する矩形状の接合用凸部43が間隔をおいて複数(本実施の形態では1枚のフランジ部41に対して2つ)形成されている。なお、本実施の形態では、シールドフレーム4の屈曲部において、両側のフランジ部41の端縁同士が当接するように、フランジ部41を平行板部42に対して折り曲げられている。
【0025】
シールドカバー5は、板状(本実施の形態では略矩形状)のカバー本体51の周縁部に沿ってこのカバー本体51に略直角をなす側板部52が周回するように形成されている。側板部52は、複数のシールドフレーム4の全体に一括して嵌合して高周波回路占有領域A内の複数の電子部品3を閉塞するようになっている。また、図1、図3および図8に示すように、側板部52には、カバー本体51の周縁に沿って所定間隔毎に、幅方向(カバー本体51と直角をなす方向)に側板部52の幅寸法とほぼ同じ長さのスリット53が形成されている。なお、図8は、図7のa−a断面図である。図8に示すように、互いに隣接するスリット53同士の間隔qは、高周波回路占有領域A内の電子部品3から発生する電磁ノイズ波長λの半分よりも短く設定されている。すなわち、2q<λの関係が成立している。また、図8に示すように、スリット53で区切られた隣接する2片の側板部52を合わせた長さrは、電磁ノイズ波長λより短くなるように設定されている。すなわち、r<2qとなるように設定されている。
【0026】
また、図7に示すように、シールドカバー5の側板部52の縦方向(カバー本体51に直角をなす方向)の中間部には、シールドカバー5をシールドフレーム4に嵌合させたときに、シールドフレーム4のフランジ部41と圧接するように、内側へ向けて膨出するように曲げ加工された膨出部52Aが横方向(カバー本体51の周縁と平行をなす方向)に沿って設けられている。
【0027】
(シールドケースの作用)
本実施の形態に係るシールドケース6では、以下に説明するような作用を有している。
【0028】
まず、シールドフレーム4は、配線基板2上の高周波回路占有領域Aの1つの角部に1つのシールドフレーム4が対応するように平面形状がL字状に形成されているため、1つまたは2つのシールドフレーム4を配線基板2から取り外すことにより、所定の箇所の電子部品3の修理を可能にする。具体的には、全部のシールドフレーム4を取り外すことなく、熱風を吐出するリワーク装置のダクトで電子部品3を取り囲むことが可能となり、他の電子部品3に熱的影響を与えることなく電子部品3の取り外しを可能にする。また、電子部品3を取り外した配線基板2上に、良品の電子部品3をマウントする場合も、マウントする領域周辺のシールドフレーム4が取り外されているため、簡単にマウントすることができる。
【0029】
また、図6に示すように、シールドフレーム4は、平面形状がL字状で中間部分である屈曲部としての角部に被吸着板部42Aが形成されているため、吸着治具としてのマウント装置の吸着ノズル8で吸着する場合に、安定して吸着、保持を行うことができる。
【0030】
さらに、シールドフレーム4は、フランジ部41と平行板部42とがL字状に折り曲げられた形状であるため、剛性が高く変形しにくという作用がある。
【0031】
シールドカバー5の側板部52では、上述したように、互いに隣接するスリット53同士の間隔qが、高周波回路占有領域A内の電子部品3から発生する電磁ノイズ波長λの半分よりも短く設定され、スリット53で区切られた2片の側板部52を合わせた長さrが、電磁ノイズ波長λより短くなるように設定されている。ところで、図8に示すように、スリット53で区切られた隣接する2つの側板部52と、フランジ部41との間に形成される空洞部7は、側板部52同士が隣接する側の端縁がフランジ部41から浮いた場合に最大長さrとなる。このため、r<2qでかつ2q<λの関係により、電磁ノイズ波長λよりも空洞部7の長さは常に小さいため、電子部品3から発生する電磁ノイズが、シールドカバー5とシールドフレーム4との嵌合部の空洞部7から漏れ出すことを防止してシールド効果を維持することができる。
【0032】
また、側板部52に複数のスリット53を形成したことにより、スリット53で挟まれた側板部52がバネ性を有するため、複数のシールドフレーム4がフランジ部41の厚さ方向に位置ずれを起こして接合された場合においても、シールドフレーム4に対してシールドカバー5を確実に嵌合させることが可能となる。
【0033】
さらに、本実施の形態では、シールドカバー5の側板部52に、内側へ向けて膨出する膨出部52Aが形成されているため、フランジ部41との圧接強度を維持することができる。
【0034】
(高周波回路基板における電子部品の実装方法および交換方法)
次に、配線基板2へ電子部品3およびシールドケース6を実装する方法について説明する。先ず、予め、はんだペーストを所定のパターンに印刷した配線基板2を用意し、BGA(Ball Grid Array)構造の電子部品3をマウント装置を用いて配線基板2の所定位置に配置する。次に、シールドフレーム4を配線基板2上にマウント装置の吸着ノズル8でマウントし(図6参照。)、リフロー装置を用いて電子部品3およびシールドフレーム4を一括加熱ではんだ付けを行う。
【0035】
その後、複数のシールドフレーム4のフランジ部41の全体に一括してシールドカバー5を嵌合させて、高周波回路占有領域A内の複数の電子部品3を閉塞させればよい。このとき、シールドカバー5の側板部52には、上述したように、内側へ向けて膨出する膨出部52Aが形成されているため、フランジ部41との圧接強度を維持することができる。
【0036】
なお、このような高周波回路基板1の動作試験は、シールドフレーム4にシールドカバー5を嵌合する前に実施される。したがって、動作試験後に配線基板2上の電子部品3に不良が検出された場合は、電子部品3を配線基板2から取り外して、交換部品を配線基板2へ再接合させる必要がある。
【0037】
動作試験後に電子部品3を交換するには、図9に示すように、リワーク装置を電子部品3に適用する場合に障害となるシールドフレーム4が除去する必要がある。本実施の形態では、交換を行う電子部品3の周辺で配線基板2に接合された1つまたは2つのシールドフレーム4を配線基板2から除去すればよい。
【0038】
次に、図15に示すようなダクト101を有するリワーク装置100を用いて、電子部品3を取り囲むように配置させて、吸着ノズル103を電子部品3の上面に当てて吸着させる。この状態でダクト101から熱風を供給して電子部品3のはんだバンプ3Aを溶融させてリワーク装置100を上昇させて、図9に示すように配線基板2から電子部品3を取り外す。
【0039】
その後、良品の電子部品3を配線基板2の上にマウント装置で配置して、リフロー装置で再度実装すればよい。このとき、シールドフレーム4は、電子部品3と同時に実装してもよいし、電子部品3の実装後に配線基板2にはんだ付けしてもよい。このように、良品の電子部品3とその周辺の1つまたは2つのシールドフレーム4を配線基板2に接合した後は、シールドフレーム4のフランジ部41の全体を一括してシールドカバー5で嵌合することで、電子部品3の交換が完了し、正常な動作を行う高周波回路基板1を作製することができる。
【0040】
以上、シールドケース6、および高周波回路基板1について説明したが、本実施の形態では、平面形状がL字状のシールドフレーム4を組み合わせて電子部品3を搭載した領域を包括する高周波回路占有領域Aを取り囲むことにより、特定の電子部品3が搭載された領域に沿って設けられたシールドフレーム4のみを配線基板2から除去すればよいため、他の箇所に搭載された電子部品3に影響(熱的ダメージ)を与えることなく、効率的に電子部品3の修理、交換を行うことができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、シールドフレーム4のL字状に屈曲した角部の上縁に屈曲内側に向けて被吸着板部42Aを形成したことにより、シールドフレーム4の中間部を、例えばマウント装置の吸着ノズル8などの吸着治具で保持することが可能となり、配線基板2への搭載を安定かつ確実に行うことができる。
【0042】
(電子機器の構成)
図10は、本発明に係る電子機器10を示している。この電子機器10は、PCカード型の無線端末として用いられるものである。
【0043】
図10に示すように、電子機器10は、カード状のケーシング11内に、上述した高周波回路基板1が内蔵されたものである。ケーシング11の一方の端部には、アンテナ12が設けられ、他方の端部には接続用コネクタ13が設けられている。この電子機器10に内蔵された高周波回路基板1の構成は、上記実施の形態の高周波回路基板1と同様であるため、説明を省略する。
【0044】
本実施の形態の電子機器10は、電子機器10に設けられた高周波回路部を構成する電子部品3を低コストかつ効率的に修理、交換できると共に、交換作業に伴い、他の電子部品への熱的影響を大幅に抑えることができ、性能の安定化を図ることができる。
【0045】
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0046】
例えば、上述した実施の形態では、本発明を、PCカード型の無線端末としての電子機器10に適用して説明したが、他の高周波回路部を備える電子機器全般に本発明を適用することができる。
【0047】
また、上述した実施の形態に係る高周波回路基板1ならびにシールドケース6では、複数のシールドフレーム4全部が平面L字状の形状としたが、L字状のシールドフレーム4同士の間を、平面直線状に形成されたシールドフレームを介在させる構成とすることも適宜可能である。
【0048】
さらに、上述した実施の形態に係るシールドケース6を構成するシールドフレーム4において、図11および図12に示すように、角部を挟む一方側の平行板部42の中間部に所定幅の切り欠き部44を形成してもよい。この切り欠き部44は、フランジ部41に及ぶように形成し、この部分でシールドフレーム4を分断し易くすることができる。なお、この切り欠き部44は、角部を挟む両側の平行板部42、フランジ部41に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係る高周波回路基板を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る高周波回路基板を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る高周波回路基板を示す要部斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るシールドケースのシールドフレームを上側から見た斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るシールドケースのシールドフレームを下側から見た斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るシールドケースのシールドフレームをマウントする状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る高周波回路基板の要部断面図である。
【図8】図7のa−a断面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る高周波回路基板の分解斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る電子機器の斜視図である。
【図11】本発明の他の実施の形態に係るシールドケースを構成するシールドフレームを上側から見た斜視図である。
【図12】本発明の他の実施の形態に係るシールドケースを構成するシールドフレームを下側から見た斜視図である。
【図13】従来の高周波回路基板において電子部品の交換をする場合を示す要部断面図である。
【図14】従来の高周波回路基板においてシールドフレームを除去する状態を示す斜視図である。
【図15】高周波回路基板における電子部品の除去工程を示す要部断面図である。
【図16】従来の高周波回路基板における電子部品の除去工程を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1…高周波回路基板、2…配線基板、3…電子部品、3A…はんだバンプ、4…シールドフレーム、5…シールドカバー、6…シールドケース、8…吸着ノズル、10…電子機器、41…フランジ部、42…平行板部、42A…被吸着板部、43…接合用凸部、51…カバー本体、52…側板部、53…スリット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の高周波回路部を搭載した配線基板に取り付けられるシールドケースであって、
前記複数の高周波回路部を搭載した領域を包括する高周波回路占有領域の周囲に沿って並ぶように、互いに独立して立設される複数のシールドフレームと、板状のカバー本体の周縁部に沿って該カバー本体に直角をなす側板部が周回するように形成され、該側板部が前記複数のシールドフレームの全体に嵌合して前記複数の高周波回路部を閉塞するシールドカバーと、を備え、
前記シールドフレームは平面形状における中間部に屈曲部を有し、前記高周波回路占有領域のそれぞれの角部に前記屈曲部が対応するように、1つの前記シールドフレームが配置されることを特徴とするシールドケース。
【請求項2】
前記シールドフレームの前記屈曲部の上縁に屈曲内側に向けて延在された、吸着治具が吸着可能な面積を持つ被吸着板部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のシールドケース。
【請求項3】
前記側板部は、前記カバー本体に直角をなす方向に沿って複数の切り欠き部が形成されると共に、相隣接する前記切り欠き部同士の間隔が前記高周波回路部から発生する電磁ノイズ波長の半分より短く設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシールドケース。
【請求項4】
複数の高周波回路部を搭載した配線基板と、
前記配線基板における前記複数の高周波回路部を搭載した領域を包括する高周波回路占有領域の周囲に沿って並ぶように、互いに独立して立設された複数のシールドフレームと、
板状のカバー本体の周縁部に沿って該カバー本体に直角をなす側板部が周回するように形成され、該側板部が前記複数のシールドフレームの全体に嵌合して前記複数の高周波回路部を閉塞するシールドカバーと、を備え、
前記シールドフレームは、平面形状における中間部に屈曲部を有することを特徴とする高周波回路基板。
【請求項5】
前記側板部は、前記カバー本体に直角をなす方向に沿う切り欠き部が、前記カバー本体の周縁部に沿って間欠的に形成され、相隣接する前記切り欠き部同士の間隔が、前記高周波回路部から放射される電磁ノイズ波長の半分より短いことを特徴とする請求項4記載の高周波回路基板。
【請求項6】
前記シールドフレームは、前記屈曲部の上縁に、前記高周波回路占有領域の内側に向けて延在された、吸着治具が吸着可能な面積を持つ被吸着板部が形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の高周波回路基板。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の高周波回路基板を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−93471(P2006−93471A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−278401(P2004−278401)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】