説明

シールドコネクタ

【課題】信号導体との接続部位置における特性インピーダンスを低くし、シールドケーブルとの特性インピーダンス整合を図ることができるシールドコネクタを提供する。
【解決手段】信号導体Waとシールド導体Wcとの間に絶縁体Wbが介在され、前記シールド導体Wcの外周に絶縁性のシースWdが被覆されてなるシールドケーブルWの端末部分が接続されるシールドコネクタにおいて、前記信号導体Waが接続される信号導体接続部3を有する内導体端子2と、誘電体を介在させた状態で該内導体端子2を収容すると共に前記シールド導体Wcが接続される外導体端子とを備え、前記信号導体Waの端末部分が前記信号導体接続部3の端部で折り返され、その折り返し部分が前記信号導体接続部3と該信号導体接続部3の外周に装着される導電性の板材からなる接続部圧着片9との間に挟持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドコネクタに関し、さらに詳しくは、シールド導体によって信号導体が電磁的にシールドされたシールドケーブル同士を電気的に接続するためのシールドコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステム等の自動車の電気装置に内蔵される電子部品やIC(集積回路)等が実装された制御用のプリント基板へ伝送される電気信号は高速化(高周波化)され、また、そのプリント基板に形成された回路パターンも密集し高密度化されてきている。一般的に、このような高周波の電気信号を伝送するためにシールドケーブルが用いられるが、伝送される電気信号の更なる高周波化に伴って、このシールドケーブルに接続されるシールドコネクタにも更なる高周波化対応の要求が高まっている。
【0003】
シールドケーブルの例として、いわゆる同軸ケーブルと呼ばれるものがある。一般的に用いられている同軸ケーブルは、電気信号等の伝送路として銅線などの複数の素線を束ねた信号導体と、同じく複数の素線を編んだ編組線よりなるシールド導体と、これら導体の間に介在される絶縁体と、シールド導体の外周を覆う絶縁性のシースとが同軸状に配された構造になっており、シールド導体が信号導体の外周を隙間なく覆うことで信号導体が電磁的にシールドされている。
【0004】
通常、このような高周波信号を伝送する同軸ケーブルの端末部分に接続されるシールドコネクタには、高周波信号を伝達する信号導体と接続される内導体端子と、編組線などのシールド導体と接続される共に内導体端子の外周を覆う外導体端子と、これら内導体端子と外導体端子の間に介在される所定の比誘電率を有する誘電体とが備えられており、同軸ケーブルの端末部分の絶縁体とシースが剥ぎ取られて露出された信号導体とシールド導体にそれぞれ内導体端子と外導体端子が接続される。
【0005】
このようなシールドコネクタの例としては、下記特許文献1に開示されているものがある。図6は、このシールドコネクタの縦断面を示している。図示されるように、同軸ケーブルWの絶縁体WbとシースWdが剥ぎ取られて信号導体Waとシールド導体Wcが露出した部分にシールドコネクタ50が接続されている。内導体端子51は圧着部51aを介して信号導体Waと接続され、外導体端子53は圧着部53aを介してシールド導体Wcと接続されており、これら両端子を絶縁状態にする誘電体52が両端子間に介在して設けられている。
【0006】
一般的に、高周波信号の伝送における同軸ケーブルの特性インピーダンスは、例えば50Ωというように設定されて、接続対象である電気装置の回路基板等の特性インピーダンスとの整合(マッチング)が図られている。高周波信号の伝送経路中に特性インピーダンスが整合していない部分(不整合部)が存在すると、その不整合部での信号の反射による伝送効率の低下及びノイズの発生等の不具合が生じる。したがって、シールドコネクタの特性インピーダンスにおいても同軸ケーブルの特性インピーダンスと整合されている必要がある。
【0007】
通常、シールドコネクタの特性インピーダンスは、「外導体端子のシェル部内径と内導体端子の端子部外径の比」および「誘電体の比誘電率」を調整して、同軸ケーブルとのインピーダンス整合が図られているが、図6に示されるように、内導体端子51の圧着加工後の圧着部51aの外径は、信号導体Waとの電気的な接続信頼性を優先したサイズ・形状となっており、通常、端子部51bの外径よりも小径になるため、圧着部51aにおける「外導体端子53のシェル部53b内径と内導体端子51の圧着部51a外径の比」と、端子部51bにおける「外導体端子53のシェル部53b内径と内導体端子51の端子部51b外径の比」とが同じにはならない。このため、内導体端子51の圧着部51aにおける特性インピーダンスは、同軸ケーブルWの特性インピーダンスと整合されておらず、同軸ケーブルWの特性インピーダンスに比べて高くなってしまう。
【0008】
このようなシールドコネクタの特性インピーダンスが同軸ケーブルのそれとは等しくない部分では、伝送された電気信号の反射や放射が起こり、信号が正しく伝送されなかったり、ノイズの原因になったりするなどの不具合が生じたりする。特に数GHzの高周波信号の伝送においては、その傾向が著しいものとなる。
【0009】
これを改善するためには、内導体体端子の圧着部位置における特性インピーダンスを、同軸ケーブルの特性インピーダンスと整合するように低くすればよいことから、内導体端子の圧着加工後の圧着部の外径を端子部の外径程度に大きくすることでインピーダンス整合を図ることが可能である。従来、この圧着部の外径を大きくする方法として、その圧着部に筒状の金属スリーブを装着する方法が採られてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−173725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、圧着部に筒状の金属スリーブを装着してその圧着部の外径を大きくする方法は、内導体端子の圧着部の圧着加工前に予め金属スリーブを同軸ケーブルの剥き出しになった絶縁体上に通しておかなければならないことから、組立作業が煩雑になる。また、シールドコネクタとは別に金属スリーブが必要となるため、材料コストが増大する。そのため、シールドコネクタの製造コストが増大するという問題があった。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、シールドコネクタの内導体端子とシールドケーブルの信号導体との接続部位置において高くなる特性インピーダンスを低くし、シールドケーブルとの特性インピーダンス整合を図ることができるシールドコネクタを提供すること、また、このようなシールドコネクタの製造コストを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明は、信号導体とシールド導体との間に絶縁体が介在され、前記シールド導体の外周に絶縁性のシースが被覆されてなるシールドケーブルの端末部分が接続されるシールドコネクタにおいて、前記信号導体が接続される信号導体接続部を有する内導体端子と、誘電体を介在させた状態で該内導体端子を収容すると共に前記シールド導体が接続される外導体端子とを備え、前記信号導体の端末部分が前記信号導体接続部の端部で折り返され、その折り返し部分が前記信号導体接続部と該信号導体接続部の外周に装着される導電性の板材からなる接続部圧着片との間に挟持されていることを要旨とするものである。
【0014】
この場合、前記信号導体接続部の端部で折り返された前記信号導体の長さが、前記信号導体接続部の長さと同等以上であれば好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、信号導体と接続された内導体端子の信号導体接続部の外周には、導電性の板材からなる接続部圧着片が圧着加工されるが、その際、信号導体接続部と接続部圧着片との間に信号導体接続部の端部で折り返された信号導体が狭持される。つまり、信号導体接続部の外周面に圧着される接続部圧着片に加え、信号導体接続部と接続部圧着片との間に狭持される信号導体によって信号導体接続部付近が太径化されるため、内導体端子の端子部よりも細径であった信号導体接続部付近の高いインピーダンスを低くすることができ、シールドケーブルとのインピーダンス不整合を解消することができる。
【0016】
また、信号導体接続部の端部で折り返された信号導体が信号導体接続部と接続部圧着片との間に挟み込まれるため、シールドコネクタに対する信号導体(シールドケーブル)の接続強度が向上する。また、信号導体と内導体端子の接触面積が大きくなり、安定した両者の電気的な接続状態を得ることができる。
【0017】
さらに、折り返された信号導体を挟んで接続部圧着片を信号導体接続部の外周に圧着加工するだけなので、従来のような金属スリーブによって信号導体接続部を太径化する加工の場合のように、予め金属スリーブをシールドケーブルの剥き出しになった絶縁体上に通しておく必要がなく、信号導体接続部を太径化する加工性が向上する。また、折り返した信号導体を利用する構成であるため、信号導体接続部を太径化するための新たな部材を必要とせず、製造コストの低廉化につながる。
【0018】
この場合、信号導体接続部の端部で折り返される信号導体の長さ、すなわち、信号導体接続部と接続部圧着片との間に挟まれる信号導体の長さが、信号導体接続部の長さと同等以上となるようにすれば、信号導体の折り返し方向において、信号導体接続部と接続部圧着片との間に信号導体が挟まれる部分と挟まれない部分とが存在することによって、圧着状態が不均一になってしまう(接続部圧着片が傾いて圧着されたり、圧着時に接続部圧着片の一部が潰れてしまう)ことが防止される。また、シールドコネクタに対する信号導体(シールドケーブル)の接続状態、および信号導体と内導体端子の電気的な接続状態に対する信頼性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るシールドコネクタの縦断面図である。
【図2】図1に示したシールドコネクタが有する圧着部に同軸ケーブルの信号導体を圧着加工によって接続する手順を示しており、(a)は圧着加工前における圧着部と信号導体の横断面図、(b)は圧着加工後における圧着部と信号導体の横断面図、(c)は圧着加工後における圧着部と信号導体の縦断面図である。
【図3】図2に示した圧着加工後における内導体端子の圧着部に接続部圧着片が装着される様子を順を追って示した外観斜視図である。
【図4】図2に示した圧着加工後における内導体端子の圧着部に接続部圧着片が装着される様子を順を追って示した縦断面図である。
【図5】図2に示した圧着加工後における内導体端子の圧着部にに接続部圧着片が装着される様子を順を追って示した横断面図である。
【図6】従来のシールドコネクタの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の一実施形態に係るシールドコネクタについて図面を参照して詳細に説明する。図1は、同軸ケーブル(シールドケーブル)に接続されたシールドコネクタの縦断面図(長手方向における断面図)であり、図2は、内導体端子の信号導体接続部に信号導体を接続する様子を示した図であり、図3〜図5は、信号導体が接続された内導体端子の信号導体接続部に接続部圧着片を装着する様子を示した図(図3は外観斜視図、図4は縦断面図、図5は横断面図(短手方向における断面図))である。なお、以下の説明においては、本実施形態に係るシールドコネクタにおける図示されない相手側コネクタとの接続側を前として説明する。
【0021】
図1に示されるようにシールドコネクタ1は、同軸ケーブルWの端末において同軸ケーブルWの信号導体Waが接続される内導体端子2と、この内導体端子2を保持する誘電体5と、この誘電体5が内側に保持され、同軸ケーブルWのシールド導体Wcが接続された外導体端子6とで構成されている。
【0022】
同軸ケーブルWは、電気信号等の伝送路として銅線などの複数の素線を撚り合わせて束ねられた信号導体Waと、同じく複数の素線を編んだ編組線よりなるシールド導体Wcと、これら導体の間に介在される絶縁体Wbと、シールド導体Wcの外周を覆う絶縁性のシースWdとが同軸上に配された構造になっている。信号導体Waは、その外周がシールド導体Wcによって隙間なく覆われ、電磁的にシールドされている。
【0023】
図示されるように同軸ケーブルWの端末は、シースWdが所定長さ皮剥されてシールド導体Wcが露出され、この露出されたシールド導体Wcが所定長さ皮剥されて絶縁体Wbが露出され、この露出された絶縁体Wbが所定長さ皮剥されて信号導体Waが露出されている。
【0024】
信号導体Waに接続されるシールドコネクタ1の内導体端子2は、導電性の板材が折り曲げ加工されて一体的に成形されたもので、いわゆるメス型の端子形状を有しており、信号導体Waが接続される信号導体接続部としての圧着部3を後方に備え、図示しない相手側コネクタのオス型内導体端子に接続される端子部4を前方に備えている。
【0025】
内導体端子2の圧着部3は、信号導体Waの端末部分が載置される圧着部3の底板部3bと、底板部3bから延設形成された帯形状の一対のシールド導体圧着片3a,3aを有している。この圧着片3a,3aは、上方に向かって末広となるように、かつ種々の径の同軸ケーブルの信号導体に巻き付けできるように十分な長さに形成されている。
【0026】
信号導体Waの端末部分は、次のように内導体端子2の圧着部3に圧着される。すなわち、図2(a)に示されるように、内導体端子2の圧着部3の底板部3bに信号導体Waの端末部分が載置される。その後、図示しない圧着加工機により、それぞれの圧着片3a,3aは内側に曲げられて、図2(b)及び図2(c)に示されるような状態になる。これにより、内導体端子2と信号導体Waとが電気的に接続される。なお、後述するように、信号導体Waは、折り返されて接続部圧着片9により圧着加工されるため、その折り返される分、信号導体Waの先端が圧着部3から所定長さ突出するようにして圧着加工が施される。
【0027】
一方、図1に示されるように、内導体端子2の端子部4は、略筒形状を有しており、端子部4の内部に折り返されることにより形成された一対の弾性接触片4a,4aが設けられている。これら弾性接触片4a,4aは弾性的に撓み変形可能となっており、図示しない相手側コネクタのオス型内導体端子のタブ部が弾性接触片4a,4aの間に挿入されると弾性的に接触して信号の受け渡しができるようになる。また、端子部4の上面には、係止片4bが上方に向けて弾性的に撓み変形可能に突設されている。
【0028】
このような内導体端子2を収容保持する誘電体5は、所定の比誘電率を有する絶縁性の合成樹脂により略円柱形状に一体的に成形されている。この誘電体5により、内導体端子2と外導体端子6とは絶縁状態にある。この誘電体5の内部には、前後方向に開口した端子収容室5aが貫通形成されており、この端子収容室5a内に内導体端子2が収容保持される。この端子収容室5aの後方の天井面には、内導体端子2の係止片4bが係止される係止孔5bが形成されており、この係止孔5bに内導体端子2の係止片4bが係止されると、内導体端子2は端子収容室5aから容易に抜けないように保持される。そして、誘電体5の後方の下面には、下方に向けて突出したロック突部5cが設けられている。
【0029】
このような誘電体5が保持された外導体端子6は、導電性の板材が折り曲げ加工されて一体的に成形されたもので、誘電体5が装着された略円筒状のシェル部7を前方に備え、同軸ケーブルWが圧着加工により固定される圧着部8を後方に備えている。
【0030】
シェル部7の前方側下面には、図示しないコネクタハウジングの収容部に外導体端子6が収容される際に、コネクタハウジングの収容部の底面に形成されているスリットに挿入されるスタビライザー7aが下方に突出して形成されている。このスタビライザー7aにより外導体端子6のコネクタハウジング内への挿入方向が規制される。また、スタビライザー7aの形成により生じた開口部7bの先端には、外導体端子6がコネクタハウジング内に挿入される際に、スタビライザー7aをコネクタハウジングの収容部の底面スリットに案内する案内片7cがテーパ形状に形成されている。
【0031】
そして、シェル部7の後方側下面には、ロック片7dが上方に向けて撓み変形可能に形成されている。誘電体5が外導体端子6のシェル部7内に挿入されると、誘電体5の後方側下面から突出して形成されたロック突部5cがロック片7dと係合し、誘電体5はシェル部7から容易に抜けないように保持される。なお、シェル部7の左右両側壁には、相手側コネクタの外導体端子の外壁と弾性的に接触する図示しない舌片状の接触片が形成されている。
【0032】
外導体端子6の圧着部8の内側は、同軸ケーブルWのシールド導体Wc端末部分及びシースWd端末部分が適切に載置されるように段差状に形成されている。この圧着部8には、圧着部8の底面から上方に向かって延設形成された帯形状の一対のシールド導体圧着片8a,8aと、同じく帯形状の一対のシース圧着片8b,8bが前後に連なって設けられている。これらシールド導体圧着片8a,8aおよびシース圧着片8b,8bは、種々なる径の同軸ケーブルに巻き付けできるように十分な長さを有している。
【0033】
外導体端子6の圧着部8において、シールド導体圧着片8aが形成された底面の中央には、貫通孔8cが形成されている。シールド導体圧着片8b,8bによりシールド導体Wcの端末部分が圧着されると、シールド導体Wcの一部がこの貫通孔8c内に入り込むようになっている。
【0034】
このような構成のシールドコネクタ1が備える内導体端子2の信号導体Waとの接続部である圧着部3の外周には、図3〜図5に示されるように、信号導体Waが圧着加工された後の圧着部3を覆うように導電性の金属材料で形成された接続部圧着片9が装着されている。接続部圧着片9は、圧着部3に装着される前は、底面9bから左右の圧着片9a,9aが上方に向かって末広となるような形状を有する。接続部圧着片9の圧着片9a,9aは、種々なる径の内導体端子の圧着加工後の圧着部に巻き付けできるような十分な長さを有している。また、図3〜図5に示されるように、本実施形態では、圧着部3と接続部圧着片9との間に、圧着部3の先端側の端部で折り返された信号導体Waが挟持されている。
【0035】
接続部圧着片9は、次のように装着される。まず、接続部圧着片9の底面9bに内導体端子2の圧着加工後の圧着部3が載置される(図3(a)〜図5(a)参照。)。そして、予め圧着部3から所定長さ突出していた信号導体Waを圧着部3の端部で後端側に折り返す(図3(b)〜図5(b)参照。)。
【0036】
その後、図示しない圧着加工機により、接続部圧着片9のそれぞれの圧着片9a,9aは内側に曲げられる。具体的には、圧着部3の先端側の端部で折り返された信号導体Waが、圧着部3と接続部圧着片9との間に挟み込まれるようにして接続部圧着片9が圧着部3に装着される(図3(c)〜図5(c)参照。)。
【0037】
このように、内導体端子2の圧着加工後の圧着部3の外周に接続部圧着片9が圧着加工により巻き付けられることで、圧着部3の外径が太径化される。しかも、この接続部圧着片9は、圧着部3との間に折り返された信号導体Waを挟み込むようにして装着されるため、単純に圧着部3に対して接続部圧着片9を巻き付けたときよりも、信号導体Waを介在させた分、圧着部3の外径を大きくすることができる。これにより、内導体端子2の端子部4よりも細径であった圧着加工後の圧着部3付近の高い特性インピーダンスを、同軸ケーブルWや、シールドコネクタ1の圧着部3以外の部分における特性インピーダンスと整合するように低くすることがきる。
【0038】
また、圧着部3の端部で折り返された信号導体Waが圧着部3と接続部圧着片9との間に挟み込まれるため、シールドコネクタ1に対する信号導体Waの接続強度を高めることができる。また、信号導体Waと内導体端子2の接触面積が大きくなるため、両者の電気的な接続状態が良好なものとなる。
【0039】
さらに、導電性の板材からなる接続部圧着片9を内導体端子2の圧着加工後の圧着部3に圧着加工するだけで圧着部3の外径が太径化されるので、従来のような金属スリーブの装着によって圧着部3を太径化する場合のように、金属スリーブを同軸ケーブルWの露出された絶縁体Wb上に予め通しておく必要がなく、内導体端子2の圧着部3を太径化する加工性が向上する。また、予め余剰に引き出され圧着部3の端部で折り返された信号導体Waを利用して圧着部3の外径をより大きくする構成であるため、従来のように信号導体接続部9を太径化するための新たな部材を必要とせず、製造コストの低廉化につながる。
【0040】
さらに、本実施形態では、図4に示すように、信号導体Waの折り返された部分の長さ、すなわち、圧着部3と接続部圧着片9との間に挟まれた信号導体Waの長さが、その折り返し方向における信号導体接続部9の長さとほぼ同じ(あるいはそれ以上の長さ)になるように構成されている。このようにすることで、信号導体Waの折り返し方向において、圧着部3と接続部圧着片9との間に信号導体Waが介在される部分と介在されない部分が存在することによって、接続部圧着片9が不均一な状態(例えば、接続部圧着片9が傾いて圧着されたり、圧着時に接続部圧着片9の一部が潰れてしまう等)で圧着されることが防止される。また、シールドコネクタ1に対する信号導体Waの接続状態、および信号導体Waと内導体端子2の電気的な接続状態をさらに良好なものとすることができる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、接続部圧着片9は、図3〜図5に示したように圧着片9a,9aが重なるようにして圧着されていなくてもよい。すなわち、圧着部3付近の特性インピーダンスを、圧着部3以外の部分における特性インピーダンスと整合させるため、圧着後の接続部圧着片9の外径の大きさが変わるように接続部圧着片9の圧着形状は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 シールドコネクタ
2 内導体端子
3 圧着部(信号導体接続部)
6 外導体端子
9 接続部圧着片
W 同軸ケーブル(シールドケーブル)
Wa 信号導体
Wb 絶縁体
Wc シールド導体
Wd シース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号導体とシールド導体との間に絶縁体が介在され、前記シールド導体の外周に絶縁性のシースが被覆されてなるシールドケーブルの端末部分が接続されるシールドコネクタにおいて、前記信号導体が接続される信号導体接続部を有する内導体端子と、誘電体を介在させた状態で該内導体端子を収容すると共に前記シールド導体が接続される外導体端子とを備え、前記信号導体の端末部分が前記信号導体接続部の端部で折り返され、その折り返し部分が前記信号導体接続部と該信号導体接続部の外周に装着される導電性の板材からなる接続部圧着片との間に挟持されていることを特徴とするシールドコネクタ。
【請求項2】
前記信号導体接続部の端部で折り返された前記信号導体の長さが、前記信号導体接続部の長さと同等以上であることを特徴とする請求項1に記載のシールドコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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