説明

シールドシェル及びシールドシェルの取付構造

【課題】被取付部に対する取付時の接圧を全体に亘って確保しつつ、さらに、シールドシェルの小型化を図ることができるシールドシェルの取付構造を提供する。
【解決手段】シールドシェルの取付構造1であって、シールドシェル21は、被取付部70の第1の被取付面71に当接する第1の取付片23と、該第1の取付片23の端部24から前記第1の被取付面71側に対して反対側に突設して前記被取付部70の第2の取付面72に当接する第2の取付片25とを有し、前記第1の取付片23と前記第2の取付片25とのなす第1の角度は、前記第1の被取付面71と前記第2の被取付面72とのなす第2の角度よりも大きく設定され、前記第1の取付片23の取付面27を第1の被取付面71に圧接させる弾性復元力を備えた状態で第2の取付片25の取付面28が第2の被取付面72に弾接するように、前記シールドシェル21が前記被取付部70に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線端末の端子を収容するコネクタハウジングを覆うシールドシール、及び、このシールドシェルと、シールドシェルが締結部材により取り付けられる被取付部とを備えたシールドシェルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電線端末の端子を収容するコネクタハウジングを覆うシールドシールを被取付部に取り付ける構造として、図5及び図6に示すシールドシェルの取付構造が提案されている。
【0003】
図5及び図6は、従来のシールドシェルの取付構造を示す図であり、図5は、従来のシールドシェルコネクタを示す斜視図である。図6は、従来のシールドシェルの取付構造を示す側面図である。
【0004】
図5及び図6に示すように、シールドシェルの取付構造100は、コネクタハウジング111及びシールドシェル121とを備えるシールドシェルコネクタ110と、シールドシェルコネクタ110が取り付けられる被取付部170とから略構成されている。
【0005】
図5に示すように、シールドシェルコネクタ110は、コネクタハウジング111と、コネクタハウジング111を覆うシールドシェル121と、シールドシェル121内に収容されるリアホルダ131と、コネクタハウジング111に収容される端子141と、端子141を係止するフロントホルダ151とから構成されている。
【0006】
コネクタハウジング111は、シールドシェル121に係止する係止ロック114を有している。また、シールドシェル121は、ネジ160が挿入されるネジ孔129を有している。
【0007】
上述したように構成されたシールドシェルコネクタ110は、図5及び図6に示すように、コネクタハウジング111に端子141を収容した状態で、コネクタハウジング11の一側を係止ロック114によりシールドシェル121に係止して収容し、他側にフロントホルダ151を嵌合することにより組み付ける。
【0008】
そして、図6に示すように、組み付けたシールドコネクタ110を、ネジ孔129に対するネジ160の締め付けによってシールドコネクタ110と被取付部170とを締結して取り付ける。これにより、シールドシェル121と被取付部170との接圧を得て、シールドコネクタ110のシール性能を確保している。
【0009】
ところで、上述した従来のシールドシェルの取付構造100は、図5に示すように、ネジ160の締付力が働くシールドシェル121の4箇所において、シールドシェル121の被取付部170に対する接圧を得ている。このため、シールドシェル121の全体に亘って被取付部170に対する接圧を得るのが難しかった。
【0010】
そこで、シールドシェルも全体を十分な接圧で被取付部に取り付けるために、本願出願人によって、特開2009−123519号公報(特許文献1)に記載されたシールドシェルの取付構造が提案されている。
【0011】
図7及び図8は、特許文献1に記載されたシールドコネクタの取付構造を示す図であり、図7は、特許文献1に記載されたシールドシェルを示す側面図である。図8は、特許文献1に記載されたシールドコネクタの取付構造を示す側面図である。
【0012】
図7及び図8に示すように、シールドシェルの取付構造200は、被取付部270側に突出する固定片223と、被取付部270と当接して弾性変形する弾性片225を有するシールドシェル221を有するシールドシェルコネクタ210を備えている。
【0013】
そして、図8に示すように、固定片223を被取付部270の上面に重ねて、上方からネジ260で締め付けて締結することによりシールドシェル221を被取付部270に取り付ける。
【0014】
このように、ネジ260を締め付けて固定片223を被取付部270に締結すると、固定片223の反対側に設けられた弾性片225が被取付部270を押圧するため、シールドシェル221の全体に亘って被取付部270との接圧を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009−123519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、上述した従来のシールドシェルの取付構造200では、図7に示すように、固定片223が被取付部270の壁面に向けて突出している。このため、被取付部270の厚さ方向に垂直な方向にネジ260を挿入するためのネジ孔を被取付部270に設けることになる。よって、ネジ260に対応する径のネジ孔を設けるために、被取付部270の厚さをネジの径よりも大きくする必要がある。
【0017】
また、図7に示すように、固定片223がシールドシェル221の内側に傾いているので、ネジ260の締付力を強めるにしたがって、シールドシェル221の被取付部270に対する取り付け姿勢が、図7中右肩下がりの向きに傾く。
【0018】
これに対して、シールドシェル221との接触支持関係がない内部のコネクタハウジング(図示省略)の姿勢は、相手側のコネクタハウジング(図示省略)との嵌合状態によって決まる。よって、ネジ260の締付力を強めても、シールドシェル221内のコネクタハウジングの姿勢は傾かない。
【0019】
このため、本願出願人の提案したシールドシェル221では、内部のコネクタハウジングとの干渉を避けるのに十分な内部空間を確保している。
【0020】
そこで、本発明は、被取付部に対する取付時の接圧を全体に亘って確保するという従来の課題を解決しつつ、さらに、シールドシェルの小型化を図ることができるシールドシェル及びシールドシェルの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載した本発明のシールドシェルの取付構造は、相手側コネクタハウジングに収容された一方の端子と電気的に接続する他方の端子を収容するコネクタハウジングと、該コネクタハウジングを覆うシールドシェルと、前記コネクタハウジングを収容したシールドシェルが締結部材により取り付けられる被取付部と、を備えたシールドシェルの取付構造であって、前記シールドシェルは、前記被取付部の、前記コネクタハウジングの挿入孔を有する第1の被取付面に当接する第1の取付片と、該第1の取付片の端部から前記第1の被取付面側に対して反対側に突設して前記被取付部の第2の被取付面に当接する第2の取付片とを有し、前記第1の取付片と前記第2の取付片とのなす第1の角度は、前記第1の被取付面と前記第2の被取付面とのなす第2の角度よりも大きく設定され、前記第1の取付片の取付面を第1の被取付面に圧接させる弾性復元力を備えた状態で第2の取付片が第2の被取付面に弾接するように、前記第2の取付片が締結部材により前記第2の被取付面と締結されていることを特徴とする。
【0022】
請求項2に記載した本発明のシールドシェルは、相手側コネクタハウジングに収容された一方の端子と電気的に接続する他方の端子を収容するコネクタハウジングを覆って締結部材の締め付けにより被取付部に取り付けられるシールドシェルであって、前記被取付部の、前記コネクタハウジングの挿入孔を有する第1の被取付面に当接する取付面を有する第1の取付片と、該第1の取付片の端部から前記第1の被取付面側に対して反対側に突設して前記被取付部の第2の被取付面に当接する第2の取付片とを有し、前記第1の取付片と前記第2の取付片とのなす第1の角度は、前記第1の被取付面と前記第2の被取付面とのなす第2の角度よりも大きく設定され、 前記第2の取付片には、前記第2の取付片と前記第2の被取付面とを締結する前記締結部材が挿入される締結孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載した本発明のシールドシェルの取付構造によれば、シールドシェルは、被取付部の、コネクタハウジングの挿入孔を有する第1の被取付面に当接する第1の取付片と、第1の取付片の端部から第1の被取付面側に対して反対側に突設して被取付部の第2の被取付面に当接する第2の取付片とを有している。このため、第2の取付片に締結部材を挿入する孔を設定しても、被取付部に形成する締結部材の取り付けスペースは、コネクタハウジングの挿入孔の貫通方向と一致する第1の被取付面の厚さの大小に係らず確保できる。
【0024】
また、第2の取付片を締結部材により第2の被取付面と締結することにより、第1の取付片の全体に亘って第1の被取付面との接圧を確保することができる。
【0025】
さらに、第2の被取付面に第2の取付片を弾接した状態で、第2の取付片を第2の被取付面と締結することができるため、簡単にシールドシェルを被取付部に取り付けることができる。
【0026】
また、第1の取付片の取付面を第1の被取付面に圧接させる弾性復元力を備えた状態で第2の取付片が第2の被取付面に弾接するように、シールドシェルが被取付部に取り付けられている。このため、締結部材の締結力を変えても、第1の被取付面に対するシールドシェルの姿勢は変わらない。よって、第1の被取付面に対する接圧がシールドシェル(シールドシェルの第1の取付片)の全体に亘って確保されるように、締結部材でシールドシェルを被取付部に取り付けても、シールドシェルがコネクタハウジングと干渉することがなく、シールドシェルを大型する必要がない。
【0027】
従って、被取付部に対する取付時の接圧を全体に亘って確保しつつ、シールドシェルの小型化を図ることができるシールドシェルの取付構造を提供することができる。
【0028】
請求項2に記載した本発明のシールドシェルによれば、シールドシェルは、被取付部の、コネクタハウジングの挿入孔を有する第1の被取付面に当接する第1の取付片と、第1の取付片の端部から第1の被取付面側に対して反対側に突設して被取付部の第2の被取付面に当接する第2の取付片とを有している。このため、第2の取付片に締結部材を挿入する孔を設定しても、被取付部に形成する締結部材の取り付けスペースは、コネクタハウジングの挿入孔の貫通方向と一致する第1の被取付面の厚さの大小に係らず確保できる。
【0029】
また、第1の取付片の取付面を第1の被取付面に圧接させる弾性復元力を備えた状態で第2の取付片が第2の被取付面に弾接するように、第2の取付片が締結部材により第2の被取付面と締結されている。このため、締結部材の締結力を変えても、第1の被取付面に対するシールドシェルの姿勢は変わらない。よって、第1の被取付面に対する接圧がシールドシェル(シールドシェルの第1の取付片)の全体に亘って確保されるように、締結部材でシールドシェルを被取付部に取り付けても、シールドシェルがコネクタハウジングと干渉することがなく、シールドシェルを大型する必要がない。
【0030】
さらに、第2の被取付面に第2の取付片を弾接した状態で、第2の取付片を第2の被取付面と締結することができるため、簡単にシールドシェルを被取付部に取り付けることができる。
【0031】
従って、被取付部に対する取付時の接圧を全体に亘って確保しつつ、小型化を図ることができるシールドシェルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係るシールドシェルコネクタの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るコネクタハウジングを収容したシールドシェルを示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る被取付部に取り付けたシールドシェルを示す側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る被取付部に取り付けたシールドシェルの一部拡大図である。
【図5】従来のシールドシェルコネクタを示す斜視図である。
【図6】従来のシールドシェルの取付構造を示す側面図である。
【図7】従来のシールドシェルコネクタを示す側面図である。
【図8】従来のシールドシェルの取付構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態に係るシールドシェル及びシールドシェルの取付構造について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシールドシェルコネクタの構成を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係るコネクタハウジングを収容したシールドシェルを示す側面図である。
【0034】
また、図3は、本発明の実施形態に係る被取付部に取り付けたシールドシェルを示す側面図である。図4は、本発明の実施形態に係る被取付部に取り付けたシールドシェルの一部拡大図である。
【0035】
本発明の実施形態に係るシールドシェルは、相手側コネクタハウジングに収容された一方の端子と電気的に接続する他方の端子を収容するコネクタハウジングを覆って締結部材の締め付けにより被取付部に取り付けられるシールドシェルである。
【0036】
また、本発明の実施形態に係るシールドシェルの取付構造は、相手側コネクタハウジングに収容された一方の端子と電気的に接続する他方の端子を収容するコネクタハウジングと、コネクタハウジングを覆うシールドシェルと、コネクタハウジングを収容したシールドシェルが締結部材により取り付けられる被取付部と、を備えたシールドシェルの取付構造である。
【0037】
図1から図4に示すように、シールドシェルの取付構造1は、コネクタハウジング11及びシールドシェル21とを備えるシールドシェルコネクタ10と、シールドシェルコネクタ10がネジ(締結部材)60により取り付けられる被取付部70とから略構成されている。
【0038】
図1に示すように、シールドシェルコネクタ10は、雄コネクタハウジングとして機能するコネクタハウジング11と、コネクタハウジング11を覆うシールドシェル21と、シールドシェル21内に収容されるリアホルダ31と、コネクタハウジング11に収容される端子41と、端子41を係止するフロントホルダ51とから構成されている。
【0039】
コネクタハウジング11は、樹脂製で円柱形状に形成されたハウジング本体12と、ハウジング本体12に形成されて相手側コネクタハウジング(雌コネクタハウジング)に収容された一方の端子(図示省略)と電気的に接続する他方の端子(端子41)を収容する端子収容室13と、シールドシェル21に係止する係止ロック14とを有している。
【0040】
シールドシェル21は、コネクタハウジング11を収容するシェル本体22と、被取付部70への取付方向(矢印A方向)に交差する方向(矢印B方向)に設けられた第1の取付片23と、第1の取付片23の端部24から突設した一対の第2の取付片25と(片側省略)、被取付部70への取付方向(矢印A方向)に突出した突起部26とを有している。
【0041】
図2に示すように、第1の取付片23は、被取付部70のコネクタハウジング挿入孔71´を有する第1の被取付面71(後述する図3参照)に当接する第1の取付面27を有している。
【0042】
図1及び図2に示すように、第2の取付片25は、第1の取付片23の端部24から第1の被取付面71側(図1の矢印A方向参照、後述する図3参照)に対して反対側(図1の矢印C方向参照)に突設している。
【0043】
この第2の取付片25は、被取付部70の第2の被取付面72(後述する図3参照)に当接する第2の取付面28と、第2の取付片25と第2の被取付面72とを締結するネジ60が挿入されるネジ孔(締結孔)29が形成されている。
【0044】
そして、第2の取付片25の第2の取付面28は、シールドシェル21を被取付部70に取り付ける際、ネジ孔29に対応するネジ60の締め付けによって第2の被取付面72(後述する図3参照)と締結する。
【0045】
第1の取付片23と第2の取付片25とは一体に形成されており、所定の弾性を有する材質で形成されている。そのため、第1の取付片23と第2の取付片25は、第1の被取付面71又は第2の被取付面72に当接することにより弾性変形するとともに弾性復元力によって、シールドシェル21と被取付部70との接圧を得る。
【0046】
突起部26は、第1の取付片23が被取付部70の第1の被取付面71(後述する図3参照)に当接した際、第1の被取付面71を被取付部70への取付方向(図1の矢印A方向参照)に押圧されて、第1の取付片23と第1の被取付面71との接圧を確保する。
【0047】
また、シールドシェル21は、図1に示すように、被取付部70への取付方向(矢印A方向)に交差する方向(矢印B方向)の一側に突起部26が設けられ、他側に被取付部70への取付方向に対して反対方向(矢印C方向)に第2の取付片25が突設している。
【0048】
図1に示すように、リアホルダ31は、コネクタハウジング11の端子収容室12に収容した端子41を支持及び固定するための挿通孔32を有している。
【0049】
端子(雄端子)41は、相手側コネクタハウジング(雌コネクタハウジング、図示省略)に収容された雌端子(図示省略)と電気的に接続する端子部42と、リアホルダ31の挿通孔32に当接するゴム栓43と、端子部42に接続された電線44とを有している。
【0050】
ゴム栓43は、挿通孔32に当接することにより、コネクタハウジング11と電線44との間への水等の浸入を防止する。また、電線44は、リアホルダ31の挿通孔32に挿通されて、端子41が支持及び固定される。
【0051】
フロントホルダ51は、コネクタハウジング11の端子収容室13に収容された端子41の端子部42が挿通されて端子部42を係止する係止孔52を有するフロントホルダ本体53と、コネクタハウジング11に嵌合してコネクタハウジング11内への水等の浸入を防止するパッキン54とを有している。
【0052】
このパッキン54は、フロントホルダ51をコネクタハウジング11に嵌合することにより、コネクタハウジング本体12に固定される。
【0053】
上述したように構成されたシールドシェルコネクタ10は、図1及び図2に示すように、コネクタハウジング11の端子収容室13に端子41を収容した状態で、コネクタハウジング11の一側を係止ロック14によりシールドシェル21に係止して収容し、他側にフロントホルダ51を嵌合することにより組み付ける。
【0054】
次に、コネクタハウジング11を、後述する被取付部70のコネクタハウジング挿入孔71´に挿入する。また、コネクタハウジング11は、相手側コネクタハウジング(図示省略)と嵌合することにより、端子収容室13に収容された端子41と相手側コネクタハウジングに収容された端子(図示省略)とを接続する。
【0055】
そして、図3に示すように、組み付けたシールドコネクタ10をネジ孔29に挿入されたネジ60で被取付部70に締結して取り付けることにより、被取付部70とシールドシェル21との間のノイズ漏れを防止する。
【0056】
図3に示すように、シールドシェル21は、第2の取付片25の第2の取付面28をネジ60により第2の被取付面72と締結することにより、第1の取付片23の全体に亘って第1の被取付面71との接圧を確保することができる。
【0057】
さらに、第2の被取付面72に第2の取付片25の第2の取付面28を弾接した状態で、第2の取付片25の第2の取付面28を第2の被取付面72と締結することができるため、簡単にシールドシェル21を被取付部70に取り付けることができる。
【0058】
つまり、ネジ60により締結する方向がシールドシェル21の取付方向(図1の矢印A方向)に直交する方向(鉛直方向)であるため、シールドシェル21やコネクタハウジング11が邪魔になることがなく、ネジ孔29の目視が容易となり作業性が向上する。
【0059】
このように、シールドシェル21は、被取付部70の、コネクタハウジング挿入孔71´を有する第1の被取付面71に当接する第1の取付片23と、第1の取付片23の端部24から第1の被取付面71側に対して反対側に突設して被取付部70の第2の取付面72に当接する第2の取付片25とを有している。
【0060】
このため、第2の取付片25にネジ60を挿入する孔(ネジ孔29)を設定しても、被取付部70に形成するネジ60の取り付けスペースは、コネクタハウジング挿入孔71´の貫通方向と一致する第1の被取付面71の厚さの大小に係らず確保できる。
【0061】
また、第1の取付片23の第1の取付面27を第1の被取付面71に圧接させる弾性復元力を備えた状態で第2の取付片25の第2の取付面28が第2の被取付面72に弾接するように、シールドシェル21が被取付部70に取り付けられている。
【0062】
このため、ネジ60の締付力(締結力)を変えても、第1の被取付面71に対するシールドシェルの姿勢は変わらない。つまり、ネジ60の締付力を強めても、シールドシェル21の被取付部70に対する取り付け姿勢が、図3中右肩下がりの向きに傾くことがない。
【0063】
よって、第1の被取付面71に対する接圧がシールドシェル21(シールドシェル21の第1の取付片23)の全体に亘って確保されるように、ネジ60でシールドシェル21を被取付部70に取り付けても、シールドシェル21がコネクタハウジング11と干渉することがなく、シールドシェル21を大型する必要がない。
【0064】
さらに、第2の被取付面72に第2の取付片25の第2の取付面28を弾接した状態で、第2の取付片25の第2の取付面28を第2の被取付面72と締結することができるため、簡単にシールドシェル21を被取付部70に取り付けることができる。
【0065】
図3に示すように、被取付部70は、例えば、シールドケース(図示省略)の鉛直方向に配された外壁であり、導電性の金属材料から形成されている。シールドケース内には、例えば、三相交流のACモータが収容され、このモータには、端子41の電線44を介してAC/DCコンバータからの電力が供給される。
【0066】
この被取付部70は、シールドシェル21の第1の取付片23の第1の取付面27が当接される第1の被取付面71と、シールドシェル21の第2の取付片25の第2の取付面28が当接される第2の被取付面72とを有している。
【0067】
また、被取付部70は、コネクタハウジング11が挿入されるコネクタハウジング挿入孔71´を有している。このコネクタハウジング挿入孔71´には、一側にシールドシェル21を収容し、他側にフロントホルダ51を嵌合したコネクタハウジング11が挿入される。
【0068】
コネクタハウジング11をコネクタハウジング挿入孔71´に挿入すると、コネクタハウジング11に嵌合したパッキン54により、コネクタハウジング11内への水等の浸入を防止する。
【0069】
図4に示すように、シールドシェル21の第1の取付片23と第2の取付片25とのなす角度(第1の角度)Xは、被取付部70の第1の被取付面71と第2の被取付面72とのなす角度(第2の角度)Yよりも大きく設定されている。
【0070】
具体的には、被取付部70の第1の被取付面71は、第2の被取付面72に対して略直角になるように設定され、シールドシェル21の第1の取付片23は、第2の取付片25に対して鈍角になるように設定されている。
【0071】
このため、図3に示すように、シールドシェル21を被取付部70に取り付けると、第1の取付片23の第1の取付面27が第1の被取付面71と当接し、第2の取付片25の第2の取付面28が第2の被取付面72と当接する。
【0072】
シールドシェル21を被取付部70に取り付け、コネクタハウジング11のネジ孔29にネジ60を挿入して第2の取付片25と第2の被取付面72とを締結すると、第2の取付片25が矢印E方向に変位するため、第1の取付片23が矢印F方向に変位する。
【0073】
つまり、第2の取付片25と第2の被取付面72とを締結すると、第1の取付片23は、第2の取付片25に対して角度X(図4参照)よりも小さくなるように弾性変形するが、それとともに、弾性復元力によって、取付片23が矢印F方向に変位する。
【0074】
そして、第1の取付片23の第1の取付面27を第1の被取付面71に圧接させる弾性復元力を備えた状態で第2の取付片25の第2の取付面28が第2の被取付面72に弾接するように、シールドシェル21が被取付部70に取り付けられる。
【0075】
また、上述したように、第1の取付片23と第2の取付片25とのなす角度Xは、被取付部70の第1の被取付面71と第2の被取付面72とのなす角度Yよりも大きく設定されているため、第1の取付片23が矢印F方向に変位してシールドシェル21の突起部26に接圧が得られる。
【0076】
上述したように、シールドシェルの取付構造1は、シールドシェル21は、被取付部70の、コネクタハウジング挿入孔71´を有する第1の被取付面71に当接する第1の取付片23と、第1の取付片23の端部24から第1の被取付面71側に対して反対側に突設して被取付部70の第2の取付面72に当接する第2の取付片25とを有している。
【0077】
このため、第1の取付片23と第2の取付片25のどちらにネジ孔を設定するとしても、被取付部70に形成するネジ60の取り付けスペースは、コネクタハウジング挿入孔71´の貫通方向(図1の矢印A方向)と一致する第1の被取付面71の厚さの大小に係らず確保できる。
【0078】
また、第1の取付片23の第1の取付面27を第1の被取付面71に圧接させる弾性復元力を備えた状態で第2の取付片25の第2の取付面28が第2の被取付面72に弾接するように、シールドシェル21が被取付部70に取り付けられている。
【0079】
このため、ネジ60の締付力(締結力)を変えても、第1の被取付面71に対するシールドシェルの姿勢は変わらない。つまり、ネジ60の締付力を強めても、シールドシェル21の被取付部70に対する取り付け姿勢が、図3中右肩下がりの向きに傾くことがない。
【0080】
よって、第1の被取付面71に対する接圧がシールドシェル21(シールドシェル21の第1の取付片23)の全体に亘って確保されるように、ネジ60でシールドシェル21を被取付部70に取り付けても、シールドシェル21がコネクタハウジング11と干渉することがなく、シールドシェル21を大型する必要がない。
【0081】
このようにして、本発明の実施形態に係るシールドシェルの取付構造1は、相手側コネクタハウジングに収容された一方の端子と電気的に接続する他方の端子41を収容するコネクタハウジング11と、コネクタハウジング11を覆うシールドシェル21と、コネクタハウジング11を収容したシールドシェル21が締結部材(ネジ)60により取り付けられる被取付部70と、を備えたシールドシェルの取付構造1であって、シールドシェル21は、被取付部70の、コネクタハウジング11の挿入孔71´を有する第1の被取付面71に当接する第1の取付片23と、第1の取付片23の端部24から第1の被取付面71側に対して反対側に突設して被取付部70の第2の取付面72に当接する第2の取付片25とを有し、第1の取付片23と第2の取付片25とのなす第1の角度は、第1の被取付面71と第2の被取付面72とのなす第2の角度よりも大きく設定され、第1の取付片23の取付面27を第1の被取付面71に圧接させる弾性復元力を備えた状態で第2の取付片25の取付面28が第2の被取付面72に弾接するように、シールドシェル21が被取付部70に取り付けられている。
【0082】
また、本発明の実施形態に係るシールドシェルの取付構造1は、第2の取付片25の第2の取付面28は、締結部材(ネジ)60により第2の被取付面72と締結する。
【0083】
本発明の実施形態に係るシールドシェル21は、相手側コネクタハウジングに収容された一方の端子と電気的に接続する他方の端子41を収容するコネクタハウジング11を覆って締結部材(ネジ)60の締め付けにより被取付部70に取り付けられるシールドシェル21であって、被取付部70の、コネクタハウジング11の挿入孔71´を有する第1の被取付面71に当接する第1の取付面27を有する第1の取付片23と、第1の取付片23の端部24から第1の被取付面71側に対して反対側に突設して被取付部70の第2の被取付面72に当接する第2の取付片25とを有し、第1の取付片23と第2の取付片25とのなす第1の角度は、第1の被取付面71と第2の被取付面72とのなす第2の角度よりも大きく設定され、第2の取付片25には、第2の取付片25と第2の被取付面72とを締結する締結部材(ネジ)60が挿入される締結孔(ネジ孔)29が形成されている。
【0084】
そして、本発明の実施形態に係るシールドシェル21によれば、シールドシェル21は、被取付部70の、コネクタハウジング挿入孔71´を有する第1の被取付面71に当接する第1の取付片23と、第1の取付片23の端部24から第1の被取付面71側に対して反対側に突設して被取付部70の第2の取付面72に当接する第2の取付片25とを有している。
【0085】
このため、第2の取付片25にネジ60を挿入する孔(ネジ孔29)を設定しても、被取付部70に形成するネジ60の取り付けスペースは、コネクタハウジング挿入孔71´の貫通方向と一致する第1の被取付面71の厚さの大小に係らず確保できる。
【0086】
また、第1の取付片23の第1の取付面27を第1の被取付面71に圧接させる弾性復元力を備えた状態で第2の取付片25の第2の取付面28が第2の被取付面72に弾接するように、シールドシェル21が被取付部70に取り付けられている。
【0087】
このため、ネジ60の締付力(締結力)を変えても、第1の被取付面71に対するシールドシェルの姿勢は変わらない。よって、第1の被取付面71に対する接圧がシールドシェル21(シールドシェル21の第1の取付片23)の全体に亘って確保されるように、ネジ60でシールドシェル21を被取付部70に取り付けても、シールドシェル21がコネクタハウジング11と干渉することがなく、シールドシェル21を大型する必要がない。
【0088】
さらに、第2の被取付面72に第2の取付片25の第2の取付面28を弾接した状態で、第2の取付片25の第2の取付面28を第2の被取付面72と締結することができるため、簡単にシールドシェル21を被取付部70に取り付けることができる。
【0089】
以上、本発明のシールドシェル及びシールドシェルの取付構造を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0090】
例えば、上述した本発明の実施形態では、締結部材はネジ60の場合について説明したが、締結部材が、例えば、ボルトとナットから構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、被取付部に対する取付時の接圧を全体に亘って確保しつつ、さらに、シールドシェルの小型化を図る上で極めて有用である。
【符号の説明】
【0092】
1 シールドシェルの取付構造
10 シールドシェルコネクタ
11 コネクタハウジング
21 シールドシェル
22 シェル本体
23 第1の取付片
24 端部
25 第2の取付片
26 突起部
27 第1の取付面
28 第2の取付面
29 ネジ孔
31 リアホルダ
41 端子
51 フロントホルダ
60 ネジ
70 被取付部
71 第1の被取付面
71´ コネクタハウジング挿入孔
72 第2の被取付面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタハウジングに収容された一方の端子と電気的に接続する他方の端子を収容するコネクタハウジングと、該コネクタハウジングを覆うシールドシェルと、前記コネクタハウジングを収容したシールドシェルが締結部材により取り付けられる被取付部と、を備えたシールドシェルの取付構造であって、
前記シールドシェルは、前記被取付部の、前記コネクタハウジングの挿入孔を有する第1の被取付面に当接する第1の取付片と、該第1の取付片の端部から前記第1の被取付面側に対して反対側に突設して前記被取付部の第2の被取付面に当接する第2の取付片とを有し、
前記第1の取付片の取付面を第1の被取付面に圧接させる弾性復元力を備えた状態で第2の取付片が第2の被取付面に弾接するように、前記第2の取付片が締結部材により前記第2の被取付面と締結されていることを特徴とするシールドシェルの取付構造。
【請求項2】
相手側コネクタハウジングに収容された一方の端子と電気的に接続する他方の端子を収容するコネクタハウジングを覆って締結部材の締め付けにより被取付部に取り付けられるシールドシェルであって、
前記被取付部の、前記コネクタハウジングの挿入孔を有する第1の被取付面に当接する取付面を有する第1の取付片と、該第1の取付片の端部から前記第1の被取付面側に対して反対側に突設して前記被取付部の第2の被取付面に当接する第2の取付片とを有し、
前記第1の取付片と前記第2の取付片とのなす第1の角度は、前記第1の被取付面と前記第2の被取付面とのなす第2の角度よりも大きく設定され、
前記第2の取付片には、前記第2の取付片と前記第2の被取付面とを締結する前記締結部材が挿入される締結孔が形成されていることを特徴とするシールドシェル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−204132(P2012−204132A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67371(P2011−67371)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】