説明

シールドテープ、及び、それを用いたケーブル

【課題】 優れたノイズ特性を有しつつ、優れた耐久性を有するケーブルを実現可能なシールドテープ、及び、それを用いたケーブルを提供することを目的とする。
【解決手段】 シールドテープ21は、樹脂から成る帯状のフィルム22と、フィルム22の一方の面上に積層される第1金属層23と、フィルム22の他方の面上に積層される第2金属層24と、フィルム22の一方の側面上に設けられる第3金属層25と、を備え、第1金属層23と、第3金属層24と、第2金属層25とが連続して接続されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたノイズ特性を有しつつ、優れた耐久性を有するケーブルを実現可能なシールドテープ、及び、それを用いたケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器同士の接続や、電子機器内部の配線において、信号線が絶縁層を介してシールドで覆われたケーブルが用いられる場合がある。このケーブルの一つとして、金属層を有するテープが絶縁層に巻かれることにより、シールドが形成されているケーブルが知られている。
【0003】
このシールドは、信号線から放出される電磁波を遮蔽して、ケーブルの放射ノイズを防止するものであるため、優れた電磁波の遮蔽性(シールド性)を有することが好ましく、このためにシールドの金属が隙間なく信号線を覆っていることが好ましい。
【0004】
しかし、一般的に、ケーブルのシールドに用いられる金属層を有するテープ(シールドテープ)は、樹脂フィルム上に金属層が設けられた構造であるため、テープの一部が重なるようにして、テープを隙間なく絶縁層上に巻いても、テープが重なっている部分において、金属層と金属層との間に樹脂フィルムが介在してしまう。この樹脂フィルムが介在している金属層同士の間は、電磁波を遮蔽できない電磁的な隙間となってしまう。このような電磁的な隙間が生じると、その隙間からノイズが放射される場合がある。特に信号線に周波数の高い電気信号が伝送される場合においては、その隙間が僅かであっても、ノイズが放射される傾向がある。
【0005】
そこで、下記特許文献1には、金属が隙間なく信号線を覆っているケーブルが記載されている。このケーブルのシールドに用いられるシールドテープは、互いに略同等の幅を有する樹脂フィルムと金属箔とが、幅方向にずらされた状態で積層されている。従って、シールドテープの幅方向における中央部分においては、樹脂フィルムと金属箔とが重ねられているものの、両方の側縁部においては、樹脂フィルムと金属箔とが積層されずに、一方の側縁部では両面に樹脂フィルムが露出し、他方の側縁部では両面に金属箔が露出している。そして、このシールドテープは、中心導体を被覆する絶縁層上に、金属箔が絶縁層側となるようにして螺旋状に巻かれる。このときシールドテープは、金属箔が樹脂フィルムから露出している側縁部上に、絶縁層を周回したシールドテープの金属箔が重ねられて巻かれる。
【0006】
このようにシールドテープが絶縁層上を周回する毎に金属箔同士が重ねられることにより、シールドの金属が隙間なく信号線を覆うため、特許文献1に記載のケーブルは、優れたノイズ特性を有するとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平03−1596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1のケーブルに用いるシールドテープは、他方の側縁部において、金属箔が樹脂フィルムと積層されていないため、この部分において、金属箔が破損し易い。特に、ケーブルの屈曲が繰り返される場合においては、金属箔の破損により、ケーブルのシールド性が劣化する場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、優れたノイズ特性を有しつつ、優れた耐久性を有するケーブルを実現可能なシールドテープ、及び、それを用いたケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明のシールドテープは、樹脂から成る帯状のフィルムと、前記フィルムの一方の面上に積層される第1金属層と、前記フィルムの他方の面上に積層される第2金属層と、前記フィルムの一方の側面上に設けられる第3金属層と、を備え、前記第1金属層と、前記第3金属層と、前記第2金属層とが連続して接続されていることを特徴とするものである。
【0011】
このシールドテープにおいては、金属層が、樹脂から成るフィルム上に積層されることで、フィルムにより支えられているため、金属層が薄い場合であるとしても、シールドテープに外力が加えられる場合に破損することを抑制することができる。従って、このシールドテープを内部導体が絶縁層で被覆された絶縁心線に巻くことにより、優れた耐久性を有するケーブルを実現することができる。また、このシールドテープにおいては、第1金属層と第2金属層との間に介在する樹脂製のフィルムによる電磁的な隙間を第3金属層が遮蔽している。従って、第1金属層と第2金属層とが接触するようにして、このシールドテープを、内部導体を被覆する絶縁層上に巻くことで、内部導体が絶縁層を介して隙間なく金属層で覆われ、優れたノイズ特性を有するケーブルを実現することができる。
【0012】
また、このシールドテープは、上述のように、金属層がフィルムにより支えられているため、シールドテープを内部導体を被覆する絶縁層上に巻いて、ケーブルを製造する際に、金属層が破損することを防止でき、ケーブルを容易に製造することができる。
【0013】
さらに、前記第2金属層の幅は、前記第1金属層の幅よりも小さく、少なくとも前記フィルムの前記他方の面における前記第3金属層が設けられる側と反対側の領域は、前記第2金属層から露出することが好ましい。
【0014】
第2金属層の幅が第1金属層の幅よりも小さいことにより、第1金属層と第2金属層とがフィルムを介して重なる部分、すなわちフィルムの両面に金属層が積層されている部分と、第1金属層が第2金属層と重ならない部分、すなわち、フィルムの一方の面のみに金属層が積層されている部分とが生じる。そこで、このシールドテープを上記の様に絶縁心線に巻く際、フィルムの両面に金属層が積層されている部分を、フィルムの一方の面のみに金属層が積層されている部分に重なるように巻くことにより、金属層が4重に重なることを防止できる。従って、フィルムの両面の全面に金属層が積層されている場合に比し、細径化されたケーブルを実現することができる。
【0015】
さらに、前記第1金属層は、前記フィルムの前記一方の面の全面に積層されていることが好ましい。第1金属層からフィルムが露出しないことにより、第1金属層と第2金属層とが接触するように、容易にシールドテープを巻くことができ、容易に優れたノイズ特性を有するケーブルを製造することができる。
【0016】
また、本発明のケーブルは、内部導体と、前記内部導体の外周面を覆う絶縁層と、を有する少なくとも1本の絶縁線心と、前記絶縁線心の外周面を覆うシールド層と、を備え、前記シールド層は、樹脂から成る帯状のフィルムと、前記フィルムの一方の面上に積層される第1金属層と、前記フィルムの他方の面上に積層される第2金属層と、前記フィルムの一方の側面上に設けられる第3金属層とを有すると共に、前記第1金属層と、前記第3金属層と、前記第2金属層とが連続して接続されているシールドテープから成り、前記シールドテープは、前記第1金属層と前記第2金属層とが互いに接触するように重ねられて、前記絶縁線心に巻かれることを特徴とするものである。
【0017】
第1金属層と第2金属層との間に介在する樹脂製のフィルムによる電磁的な隙間を第3金属層が遮蔽しており、更に、第1金属層と第2金属層とが、接触するように内部導体を被覆する絶縁層上に巻かれているため、内部導体は、隙間なく金属層で覆われている。従って、このケーブルは、優れたノイズ特性を有することができる。また、それぞれの金属層が、樹脂製のフィルム上に設けられているため、ケーブルが屈曲される場合においても、金属層の破損が生じづらい。従って、このケーブルは、優れた耐久性を有することができる。
【0018】
前記第2金属層の幅は、前記第1金属層の幅よりも小さく、少なくとも前記フィルムの前記他方の面における前記第3金属層が設けられる側と反対側の領域は、前記第2金属層から露出し、前記第1金属層と前記第2金属層とが前記フィルムを介して互いに重なっている部分が、前記第1金属層と前記第2金属層とが互いに重なっていない部分のみに重なるように巻かれることが好ましい。
【0019】
このケーブルにおいては、金属層が4重に重なることを防止することができる。従って、フィルムの両面の全面に金属層が積層されている場合に比し、細径化することができる。
【0020】
さらに、前記第1金属層は、前記フィルムの前記一方の面の全面に積層されていることが好ましい。第1金属層からフィルムが露出しないことにより、第1金属層と第2金属層とが接触するように、容易にシールドテープを絶縁心線に巻くことができ、容易にケーブルを製造することができる。
【0021】
また、前記シールドテープは、螺旋状に巻かれることとしても良く、この場合においては、ケーブルを曲げてもシールドテープが重なっている部分に隙間が生じづらく、ケーブルを曲げてもノイズ特性が低下することを防止することができる。
【0022】
或いは、前記シールドテープは、縦添えに巻かれることとしても良く、この場合においては、シールドテープを絶縁線心に簡易に巻くことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、優れたノイズ特性を有しつつ、優れた耐久性を有するケーブルを実現可能なシールドテープ、及び、それを用いたケーブルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図2】シールドテープの長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。
【図3】図1のシールド層を断面で表したケーブルの構造を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図5】図4に示すケーブルのV−V線における断面の構造を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係るケーブルを図3と同じ状態で示す図である。
【図8】実施例1のケーブル、及び、比較例1のケーブルの周波数に応じたノイズレベルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るケーブル、及び、その製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態におけるケーブルは、同軸ケーブルである。同軸ケーブル1は、中心導体としての内部導体11、及び、内部導体11の外周面を被覆する絶縁層12から成る絶縁線心10と、絶縁線心10の外周面を被覆するシールド層20と、シールド層20の外周面を被覆するジャケット30とを備える。
【0028】
内部導体11は、複数の導電性線材の撚り線から成る。この内部導体11の材料としては、導体であれば特に制限されないが、例えば、銅やアルミ等が挙げられる。なお、図1においては、上述のように、内部導体11が複数の導電性線材の撚り線から成る状態が示されているが、内部導体11は、導電性の線材の単線から成っても良い。
【0029】
絶縁層12は、押し出し成形等により、断面の外形が略円形上に形成されており、内部導体11を被覆している。絶縁層12の材料としては、絶縁性の樹脂であれば特に制限がないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂としては、エチレンプロピレン共重合体系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの混合物等が挙げられ、また例えば、絶縁層12の材料として、ポリテトラフルオロエチレンや、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体や、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等のフッ素樹脂等が挙げられる。
【0030】
このような内部導体11、及び、内部導体11の外周面を覆う絶縁層12により、上述のように絶縁線心10が構成されている。
【0031】
この絶縁線心10の外周面を被覆するシールド層20は、シールドテープ21から構成されている。図2は、シールドテープの長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。
【0032】
図2に示すように、シールドテープ21は、樹脂から成る帯状のフィルム22と、フィルム22の一方の面上においてフィルム22の長手方向に沿って積層される第1金属層23と、フィルム22の他方の面上においてフィルム22の長手方向に沿って積層される第2金属層24と、フィルム22の一方の側面上においてフィルム22の長手方向に沿って設けられる第3金属層25とを備えている。
【0033】
第1金属層23及び第2金属層24は、それぞれ第3金属層25と接続されている。従って、第1金属層23と第2金属層24とは、第3金属層25を介して、互いに電気的に接続されている。また、第2金属層23の幅は、第1金属層24の幅よりも小さく、第1金属層23は、フィルム22の全面に積層されているのに対し、第2金属層24は、フィルム22における第3金属層25が設けられている側のみに設けられている。このため、フィルム22における第3金属層25が設けられる側において、第1金属層23と第2金属層24とが、フィルム22を介して、互いに重なっており、フィルム22の第3金属層25が設けられている側と反対側においては、第1金属層23が、第2金属層24と重なっていない。つまり、シールドテープ21においては、フィルムの両面に金属層が積層されている部分と、フィルムの一方の面のみに金属層が積層されている部分とが生じており、フィルム22の他方の面における第3金属層25が設けられる側と反対側の領域は、第2金属層24から露出している。なお、この露出したフィルム22の他方の面には、図示しない接着剤が塗布されている。
【0034】
フィルム22を構成する材料としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の樹脂を挙げることができ、中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0035】
第1金属層23及び第2金属層24及び第3金属層25は、金属箔をフィルム22の表面上に貼着したり、金属をフィルム22の表面上に蒸着したりすることにより、フィルム22上に設けられている。このような金属層を構成する金属としては、特に限定されないが、例えば、内部導体11に用いることができる金属を挙げることができる。
【0036】
図3は、図1のシールド層を断面で表したケーブルの構造を示す図である。なお、理解の容易のため、図3においては、ジャケット30が省略されている。
【0037】
図2を用いて説明したシールドテープ21は、図3に示すように、第1金属層23が外側を向いて、第2金属層24が内側(絶縁線心10側)を向いて、第2金属層24が、第1金属層23に接触するようにして、絶縁線心10の外周面上に螺旋状に巻かれている。つまり、既に巻かれたシールドテープ21の第1金属層23上に、絶縁線心10を周回するシールドテープ21の第2金属層24が重なるようにして、シールドテープ21は巻かれている。こうして第2金属層24と第1金属層23とが互いに接触して、第1金属層23と第2金属層24とが直接導通している。
【0038】
このように第1金属層23と第2金属層24とが、接触する様に巻かれることにより絶縁線心10の外周面は、金属層により隙間なく覆われている。
【0039】
なお、本実施形態においては、シールドテープ21は、第1金属層23と第2金属層24とがフィルム22を介して互いに重なっている部分が、第1金属層23と第2金属層24とが重なっていない部分のみに重なるように巻かれている。すなわち、フィルム22の両面に金属層が積層されている部分が、フィルム22の一方の面のみに金属層が積層されている部分に重なるようにして巻かれている。このようにシールドテープ21が巻かれることにより、金属層が、最大でも三重の重なりに抑えられており、金属層が四重に重なることが防止されている。例えば、フィルム22の両面の全面に金属層が設けられたシールドテープが、絶縁線心10の外周面上に巻かれたケーブルにおいては、金属層が四重に重なる部分が生じるが、本実施形態のケーブルは、上述のように、金属層の重なりが最大でも三重に抑えられるため、細径化することができる。
【0040】
また、シールドテープ21は、上述のように第1金属層23と第2金属層24とが重ならず、フィルム22が露出している部分に図示しない接着剤が塗布されているため、接着剤によりフィルム22が絶縁線心10の外周面上に接着され、シールドテープ21が絶縁線心10の外周面上に強固に固定されている。
【0041】
このようにシールドテープ21が、絶縁線心10の外周面上に巻かれることにより、上述のようにシールド層20が形成されている。
【0042】
ジャケット30は、熱可塑性樹脂により形成されており、シールド層20の外周面を被覆するように、押し出し成型により設けられている。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンや、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体や、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等のフッ素樹脂、塩化ビニル等を、挙げることができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のシールドテープ21が巻かれている同軸ケーブル1は、第1金属層23と第2金属層24との間に介在する樹脂製のフィルム22による電磁的な隙間を第3金属層25が遮蔽しており、更に、第1金属層23と第2金属層24とが、接触するように内部導体11を被覆する絶縁層12上に巻かれているため、内部導体11は、隙間なく金属層で覆われている。従って、この同軸ケーブル1は、優れたノイズ特性を有することができる。また、それぞれの金属層は、樹脂製のフィルム22上に積層されており、フィルム22により支えられている。このため、同軸ケーブル1が屈曲される場合においても、金属層の破損が生じづらい。従って、この同軸ケーブル1は、優れた耐久性を有することができる。
【0044】
このようにシールドテープ21は、優れたノイズ特性を有しつつ、優れた耐久性を有するケーブルを実現することができるのである。
【0045】
また、シールドテープ21は、絶縁線心に螺旋状に巻かれているため、同軸ケーブル1を曲げてもシールドテープ21が重なっている部分に隙間が生じづらく、同軸ケーブル1を曲げてもノイズ特性が低下することを防止することができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4及び図5を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図4は、本発明の第2実施形態に係るケーブルを示す図であり、図5は、図4に示すケーブルのV−V線における断面の構造を示す図である。
【0047】
図4、図5に示すように、本実施形態のケーブルも同軸ケーブルである。同軸ケーブル2は、シールド層20の構造が、第1実施形態の同軸ケーブル1と異なる。同軸ケーブル2のシールド層20は、図2に示す第1実施形態と同様のシールドテープ21が、絶縁線心10に縦添えに巻かれている。本実施形態においても、シールドテープ21は、第1金属層23外側を向いて、第2金属層24が内側を向くようにして、第2金属層24が、第1金属層23に重なるようにして巻かれている。そして、第2金属層24と第1金属層23とが、互いに接触して、第1金属層23と第2金属層24とが直接導通している。
【0048】
なお、本実施形態においても、第1実施形態の同軸ケーブル1と同様に、第1金属層23と第2金属層24とが、フィルム22と介して互いに重なっている部分が、第1金属層23と第2金属層24とが重なっていない部分のみに重なるようにして、シールドテープ21は、絶縁線心10に巻かれており、金属層の重なりが最大でも三重に抑えられている。
【0049】
本実施形態による同軸ケーブル2によれば、シールドテープ21を絶縁線心10に簡易に巻くことができる。
【0050】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図6を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図6は、本発明の第3実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0051】
図6に示すように、本実施形態のケーブルは、複数の絶縁線心10の外周面が、シールド層20により覆われている複合ケーブルである点において、第1実施形態と異なる。なお、本実施形態の複合ケーブル3は、図6に示すように、絶縁線心10が2本であるツイナックス線である。
【0052】
シールド層20は、図2を用いて説明した第1実施形態におけるシールドテープ21と同様のシールドテープから成り、シールドテープ21は、複数の絶縁線心10の外周面全体に巻かれている点を除いて、第1実施形態の同軸ケーブル1と同様に巻かれている。
【0053】
そして、複数の絶縁線心10の外周面を覆うシールド層20の外周面は、ジャケット30により被覆されている。
【0054】
本実施形態の複合ケーブル3によれば、複数の絶縁線心のそれぞれの内部導体11からノイズが放射される場合においても、シールドテープ21の金属層が隙間なく内部導体を覆っているため、ノイズを遮蔽することができる。
【0055】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図7を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図7は、本発明の第4実施形態に係るケーブルを図3と同じ状態で示す図である。
【0056】
図7に示すように、本実施形態におけるケーブルは、絶縁線心10が1本であり、同軸ケーブルである。
【0057】
同軸ケーブル4においては、図2を用いて説明した第1実施形態のシールドテープ21と同様のシールドテープが、絶縁線心10の外周面上に巻かれている。そして、同軸ケーブル4は、シールドテープ21が、第2金属層24が外側を向き、第1金属層23が内側を向いて巻かれている点において、第1実施形態の同軸ケーブル1と異なる。別言すれば、本実施形態におけるシールド層20は、第1実施形態におけるシールドテープ21が、裏返しにされて、絶縁線心10の外周面上に巻かれている。また、本実施形態においては、第1金属層23の一部が、第2金属層24に重なるようにして巻かれて、第1実施形態と同様にして、第2金属層24と第1金属層23とが互いに接触し、第2金属層24と第1金属層23とが、直接導通している。こうして、シールドテープ21によりシールド層20が形成されている。
【0058】
なお、本実施形態においては、不要な接着を避けるため、フィルム22が第2金属層24から露出している部分に接着剤が塗布されないことが好ましく、また、絶縁線心10の外周面上に図示しない接着剤が塗布されていることが、シールドテープ21が絶縁線心10上に適切に固定される観点から好ましい。
【0059】
本実施形態による同軸ケーブル4によっても、金属層が隙間なく絶縁線心10を覆っているため、優れたノイズ特性とすることができる。
【0060】
以上、本発明について、第1〜第4実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
例えば、上記実施形態において、シールドテープ21において、第2金属層24は、フィルム22の他方の面の全体に積層されても良い。つまり、フィルム22の両面全体に金属層が積層されても良い。そして、この場合においては、第3金属層25が設けられる側面と反対側の側面上に金属層が更に設けられても良い。
【0062】
また、第3実施形態において、絶縁線心10の数を3本以上としても良く、更に、第2実施形態のようにシールドテープ21を縦添えに巻いても良い。
【0063】
また、第2実施形態や第3実施形態において、第4実施形態のように、シールドテープ21が、第2金属層24が外側を向き、第1金属層23が内側を向くようにして巻かれていても良い。
【実施例】
【0064】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
【0065】
(実施例1)
直径が0.4mmで軟銅線の内部導体の外周面を、外径が1.5mmとなるようにポリエチレン製の絶縁層で被覆して、絶縁線心とした。また、幅が6mmで厚さが10μmのポリエチレンテレフタレート製のフィルムの一方の面上に、幅が8mmで厚さ18μmのアルミ箔を貼り付け、フィルムの一方の面上に貼り付けられたアルミ箔を第1金属層とした。そして、このアルミ箔におけるフィルムからはみ出た部分をフィルムの他方の面上に折り返して貼り付け、他方の面上に貼り付けられたアルミ箔を第2金属層とし、フィルムの側面上に位置するアルミ箔を第3金属層とした。こうして、一方の面の全面に第1金属層が積層され、他方の面の側縁から2mmだけ第2金属層が積層されて、第1金属層及び第2金属層が第3金属層に接続されたシールドテープを準備した。
【0066】
次に、第1金属層を外側に向け、第2金属層を絶縁線心側に向けて、シールドテープを6mmのピッチで、絶縁線心の外周面上に螺旋状に巻いた。
【0067】
(比較例1)
実施例1の絶縁線心と同様の絶縁線心を準備した。また、幅が6mmのフィルムにおける一方の面のみにアルミ箔を貼り付けて金属層としたこと以外は、実施例1のシールドテープと同様のシールドテープを準備した。
【0068】
そして、実施例1と同様にして、絶縁線心上に巻いた。
【0069】
次に、実施例1及び比較例1の金属層を接地すると共に、実施例1及び比較例1の内部導体のそれぞれに、1MHz〜10GHzの周波数の信号を印加した。そして、それぞれのケーブルから1mm離れた場所における、ノイズを測定した。その結果を図8に示す。
【0070】
図8は、実施例1のケーブル、及び、比較例1のケーブルの周波数に応じたノイズレベルを示す図である。図8に示すように、実施例1のケーブルは、比較例1のケーブルに比べて、ノイズを最大で25dB低減することができ、平均でもノイズを約10dB低減できた。
【0071】
この結果より、本発明によるケーブルは、ノイズ特性に優れることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明によれば、簡優れたノイズ特性を有しつつ、優れた耐久性を有するケーブルを実現可能なシールドテープ、及び、それを用いたケーブルが提供される。
【符号の説明】
【0073】
1、2、4・・・同軸ケーブル(ケーブル)
3・・・複合ケーブル(ケーブル)
10・・・絶縁線心
11・・・内部導体
12・・・絶縁層
20・・・シールド層
21・・・シールドテープ
22・・・フィルム
23・・・第1金属層
24・・・第2金属層
25・・・第3金属層
30・・・ジャケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂から成る帯状のフィルムと、
前記フィルムの一方の面上に積層される第1金属層と、
前記フィルムの他方の面上に積層される第2金属層と、
前記フィルムの一方の側面上に設けられる第3金属層と、
を備え、
前記第1金属層と、前記第3金属層と、前記第2金属層とが連続して接続されている
ことを特徴とするシールドテープ。
【請求項2】
前記第2金属層の幅は、前記第1金属層の幅よりも小さく、
少なくとも前記フィルムの前記他方の面における前記第3金属層が設けられる側と反対側の領域は、前記第2金属層から露出する
ことを特徴とする請求項1に記載のシールドテープ。
【請求項3】
前記第1金属層は、前記フィルムの前記一方の面の全面に積層されていることを特徴とする請求項2に記載のシールドテープ。
【請求項4】
内部導体と、前記内部導体の外周面を覆う絶縁層と、を有する少なくとも1本の絶縁線心と、
前記絶縁線心の外周面を覆うシールド層と、
を備え、
前記シールド層は、樹脂から成る帯状のフィルムと、前記フィルムの一方の面上に積層される第1金属層と、前記フィルムの他方の面上に積層される第2金属層と、前記フィルムの一方の側面上に設けられる第3金属層とを有すると共に、前記第1金属層と、前記第3金属層と、前記第2金属層とが連続して接続されているシールドテープから成り、
前記シールドテープは、前記第1金属層と前記第2金属層とが互いに接触するように重ねられて、前記絶縁線心に巻かれることを特徴とするケーブル。
【請求項5】
前記第2金属層の幅は、前記第1金属層の幅よりも小さく、少なくとも前記フィルムの前記他方の面における前記第3金属層が設けられる側と反対側の領域は、前記第2金属層から露出し、
前記第1金属層と前記第2金属層とが前記フィルムを介して互いに重なっている部分が、前記第1金属層と前記第2金属層とが互いに重なっていない部分のみに重なるように巻かれることを特徴とする請求項4に記載のケーブル。
【請求項6】
前記第1金属層は、前記フィルムの前記一方の面の全面に積層されていることを特徴とする請求項5に記載のケーブル。
【請求項7】
前記シールドテープは、螺旋状に巻かれることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項8】
前記シールドテープは、縦添えに巻かれることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載のケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−8793(P2013−8793A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139558(P2011−139558)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】