説明

シールド用裏込材や地下水の浸入を検出するセンサユニット、及びテールシール用のワイヤーブラシ

【課題】セグメントリングの外周面に充填された裏込材や地下水のシールドマシン側への浸入を確実に検出する。
【解決手段】テールシール7を通じた裏込材9や地下水のシールドマシン1内への浸入を検出すべく、このシールドマシン1におけるテール部には、センサユニット13を配置したセンサユニット付きワイヤーブラシ10Aを設ける。ワイヤーブラシ10Aが有するセンサユニット13は、センサ基板17とセンサ18とを有する。センサ基板17は、板厚方向を貫通し、裏込材9等の通路となる貫通孔19や切り欠き20を設けたゴム製の板材である。センサ18は、貫通孔19や切り欠き20の内側にて電極21を露出した状態で配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工法に用いられる裏込材や地下水の浸入を検出するセンサユニット、及びこのセンサユニットを有するテールシール用のワイヤーブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
シールドマシンのテール部には、周辺地下水、泥水、土砂、及び裏込材のシールドマシンへの浸入を抑える目的で、テールシールが設けられている。
【0003】
テールシールは一般的に、マシン内周面に複数列設置された環状のワイヤーブラシと、その間隙を埋めるグリスで構成されているが、裏込材のような固化性のものが大量に浸入して固結すると、シールドマシンの正常な機能に障害を及ぼす虞がある。そのため、シールドマシンには、テールシールを越えて裏込材が浸入してきた場合に、この裏込材を検知するセンサを有するものがある(例えば特許文献1を参照)。このセンサはスキンプレートにおける後端部に設けられ、検出部がスキンプレートの内周面に露出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−297821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなシールドマシンでは、センサがセグメントと接触して破損するのを防ぐために、セグメントと離隔をとったスキンプレート側にセンサを設置しているので、裏込材や地下水の浸入検出を見逃してしまうことも想定される。例えば、スキンプレート内周面の天井部にセンサが設けられている場合、裏込材等は、スキンプレート内周面とセグメント外周面の間隙内を流下しつつ浸入する傾向があるので、天井部のセンサでは検出されない可能性がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、シールドマシンにおいてテールシールからの裏込材および地下水の浸入を確実に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明は、
シールドマシンのテール部に設けられたテールシールから前記シールドマシン内へ浸入する裏込材および地下水を検出すべく、前記テール部に配置されるセンサユニットであって、
板厚方向を貫通する貫通部を設けた板状のセンサ基板と、
前記貫通部に露出した状態で配置されたセンサと、
を有することを特徴とする。
【0008】
本発明のセンサユニットによれば、テールシールから浸入した裏込材や地下水は、センサ基板に沿って流れを規制されて貫通部を通る。この貫通部にはセンサが設けられているので、裏込材や地下水の浸入を確実に検出できる。
【0009】
本発明において、前記センサ基板を、可撓性を有するゴム製の板材で作製した場合には、スキンプレートとセグメントリングの間隔に応じてセンサ基板が湾曲して隙間を少なくするので、間隔が変化しても裏込材や地下水の浸入を検出できる。
【0010】
本発明において、互いに離れて配置された一対の電極を有するセンサを用いた場合には、裏込材に含まれる水分や地下水によって抵抗値が低くなるので、簡単な構成で裏込材等の浸入を検出できる。また、抵抗値のレベルによって浸入物が裏込材であるか地下水であるかの判別も可能である。
【0011】
本発明におけるワイヤーブラシは、前述のセンサユニットを、テールシールを構成するブラシ内部に配置しているので、このブラシ部分によってセンサユニットを保護できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、裏込材や地下水の浸入を確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】シールドマシンの構成を説明する断面図である。
【図2】テール部の部分拡大図である。
【図3】センサユニット付きワイヤーブラシを説明する図である。
【図4】(a),(b)はセンサユニットを表面側から見た図、(c)はセンサの外観図である。
【図5】図3のワイヤーブラシが配置される場所を説明する図である。
【図6】シールドマシンにおける制御系の要部を説明するブロック図である。
【図7】(a)は裏込材等が浸入する様子を説明する断面図、(b)は裏込材等の浸入経路を模式的に説明する図である。
【図8】(a),(b)は、センサユニットが配置されたワイヤーブラシの他の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1に例示したシールドマシン1は、スキンプレート2と、カッターディスク3と、カッターモータ4と、スクリューコンベア5と、シールドジャッキ6と、テールシール7とを有する。
【0016】
スキンプレート2は、シールドマシン1の外殻部分を構成する鉄板製の円筒状部材である。カッターディスク3は、地盤Gを切削する円盤状部材であり、スキンプレート2における掘進方向の前端部分に、回転可能な状態で配置されている。カッターモータ4は、カッターディスク3を回転させる駆動源であり、スキンプレート2内に配置されている。スクリューコンベア5は、カッターディスク3で切削された土砂を掘削方向の後方へと送り出す部分であり、スキンプレート2内に配置されている。シールドジャッキ6は、掘削方向の後方に位置する既設のセグメントリング8から反力を得て、シールドマシン1の推進力を得る部分である。テールシール7は、設置間もないセグメントリング8の外周面側に充填された裏込材9や地下水等が、スキンプレート2と設置したセグメントリング8との隙間からシールドマシン1内へ浸入することを抑えるための部分であり、シールドマシン1における最後端の内周面(テール部内周面)に設けられる。
【0017】
このテールシール7は、ワイヤーブラシ10とグリス注入部(図示せず)とを有する。ワイヤーブラシ10は、シールドマシン1のテール部に、環状に配置される。すなわち、複数のワイヤーブラシ10を、スキンプレート2の内壁面の全周にわたって配置している。便宜上、環状に配置された1周分のワイヤーブラシ10のことをワイヤーブラシ群11という。このワイヤーブラシ群11は、掘進方向に位置を異ならせて複数列(複数段)設けられる。セグメントリング8の外径はスキンプレート2の内径よりも多少小さいので、セグメントリング8とスキンプレート2の間には隙間が空く。そして、図2にも示すように、ワイヤーブラシ群11を構成するワイヤーブラシ10は、根元部分がスキンプレート2の内周面に固定され、少なくとも先端部分がセグメントリング8の外周面に接触するように配置される。
【0018】
このため、シールドトンネルの構築時において、スキンプレート2の内周面とセグメントリング8の外周面との間には、掘進方向に隣り合うワイヤーブラシ群11によって空間(室)が区画される。本実施形態では、3つのワイヤーブラシ群11が設けられているので、2つの空間が掘進方向に並んだ状態で区画される。便宜上、掘進方向における前方に位置する空間を前室12Aといい、後方に位置する空間を後室12Bという。そして、グリス注入部は、これら2つの室12A,12Bのそれぞれに対してグリスを注入し、各室12A,12Bをグリスで満たした状態にする。各室12A,12Bをグリスで満たすことで、裏込材9や地下水がシールドマシン1内へ浸入することを抑えている。
【0019】
このシールドマシン1では、図3に示すように、ワイヤーブラシ群11中の少なくとも一部のワイヤーブラシ10Aについて、外部から浸入してきた裏込材9や地下水を検出するためのセンサユニット13を設けている。なお、以下の説明において、このワイヤーブラシ10Aのことをセンサユニット付きワイヤーブラシ10Aという。本実施形態では、図2における最も右側(すなわち掘進方向の最も後側)に位置するワイヤーブラシ群11Rと、右から2番目に位置するワイヤーブラシ群11Mとに、センサユニット付きワイヤーブラシ10Aを配置している。そして、最後部のワイヤーブラシ群11Rのセンサユニット13によって後室12Bへの裏込材9や地下水の浸入を検出し、中央のワイヤーブラシ群11Mのセンサユニット13によって前室12Aへの裏込材9等の浸入を検出する。
【0020】
以下、センサユニット付きワイヤーブラシ10Aについて説明する。
【0021】
図3に示すセンサユニット付きワイヤーブラシ10Aは、根元部分14と、ブラシ部分15と、ガイド板部16とを有しており、ブラシ部分15にセンサユニット13が配置されている。
【0022】
根元部分14は、スキンプレート2の内周面に取り付けられる部分であり、ブラシ部分15における根元を束ねて金属板で挟むことで作製されている。ブラシ部分15は、掘進方向の前側に位置する前側ブラシ部分15Fと、掘進方向の後側に位置する後側ブラシ部分15Rとを有する。後側ブラシ部分15Rは、前側ブラシ部分15Fよりも、各ワイヤーの長さが長くなっている。そして、センサユニット13は、前側ブラシ部分15Fと後側ブラシ部分15Rの境界に配置される。このように、ブラシ内部に配置されることにより、センサユニット13は、前側ブラシ部分15Fと後側ブラシ部分15Rとで挟まれた状態になる。このため、曲線区間掘削中などでスキンプレート2とセグメントリング8とのクリアランスが狭くなり、ブラシ部分15がセグメントリング8側へ押し付けられたとしても、センサユニット13とセグメントリング8の外周面との間には、前側ブラシ部分15Fが介在する。従って、センサユニット13がセグメントリング8の外周面に対して直接接触する面積を低減でき、磨耗が軽減されるなど、センサユニット13を保護することができる。
【0023】
なお、センサユニット13の根元部分は、前述の根元部分14において固定されている。ガイド板部16は、前側ブラシ部分15Fの前方に配置される金属板であり、前側ブラシ部分15Fをセンサユニット13側に押し付けている。本実施形態では、このガイド板部16を、根元部分14を構成する金属板を延長することで作製している。
【0024】
ここで、センサユニット13について説明する。
【0025】
図4(a),(b)に示すように、センサユニット13は、センサ基板17と、センサ18とを有している。センサ基板17は、板厚方向を貫通する貫通孔19や切り欠き20が複数設けられた板状部材である。そして、貫通孔19や切り欠き20は、板厚方向を貫通する貫通部に相当する。本実施形態のセンサ基板17は、厚さが10mm程度で長方形状の外形を有する可撓性のゴム製板材から作製され、その一方の短辺が根元部分14において固定されている。このようにセンサ基板17をゴム製板材によって作製すると、スキンプレート2の内周面とセグメントリング8の外周面との間隔が変化しても、ゴムの可撓性によってセンサ基板17がこれに倣って変形し、ブラシ部分15とセグメントリング8との間に生じる隙間を小さくできる。そして、浸入しようとする裏込材9や地下水は、貫通孔19や切り欠き20を通過することとなるので、裏込材9等の浸入を確実に検出できる。
【0026】
また、貫通孔19は楕円形状をしており、センサ基板17における短辺方向の略中央に、長辺方向へ並んだ状態で設けられている。切り欠き20は、センサ基板17における縁部に複数設けられ、内側部分が半円形状とされている。このように、貫通孔19を楕円形状としたり、切り欠き20の内側部分を半円形状としたりすることで角をなくし、センサ基板17が撓んでも亀裂が入り難いようにしている。
【0027】
図4(c)に示すように、センサ18は、一対の電極21と、一対のリード線22と、先端側支持具23と、根元側支持具24とを有する。電極21(検出部)は、導電性を有する金属棒であり、先端側支持具23及び根元側支持具24によって、所定間隔離れた平行な状態で支持されている。リード線22は、それぞれ対応する電極21と電気的に接続されている。先端側支持具23は、一対の電極21を先端側で支持する部材であって、非導電性の樹脂製部材によって構成されている。根元側支持具24は、一対の電極21を根元側で支持する部材であって、電極21とリード線22との接続部分を覆うように設けられている。根元側支持具24もまた、非導電性の樹脂製部材によって構成されている。従って、このセンサ18は、一対の電極21が電気的に絶縁された状態で支持されている。
【0028】
センサ18が有する一対の電極21に裏込材9が接触すると、裏込材9には水分が含まれているので、この水分の影響で電極21同士の抵抗が小さくなる。また、地下水が接触しても同様である。このため、電極21間の抵抗を測定することで電極21に裏込材9等が接触したか否かが判定できる。すなわち、裏込材9等が接触していない状態では、電極21同士が電気的に絶縁されているので、抵抗値が極めて高い数値を示す。一方、裏込材9等が接触すると電極21間の抵抗が低下するので、抵抗値は絶縁時よりも低い値を示す。このように、抵抗値の違いによって裏込材9等が接触したか否かを判定できる。また、抵抗値の測定の他、電流値や電圧値を測定しても同様に測定できる。なお、水分の電気分解を防ぐために交流電源での測定が望ましい。
【0029】
各センサ18は、貫通孔19や切り欠き20の内側に電極21を露出させた状態でセンサ基板17の内部に設けられている。本実施形態において、各センサ18は、センサ基板17における板厚方向のほぼ中間に配置されている。このような配置は、例えば、貫通孔19や切り欠き20を設けた2枚のシート材(第1シート材,第2シート材)を用い、これらのシート材で各センサ18を挟んで一体化することで実現できる。また、各センサ18を配置した状態の型枠に、センサ基板17となる液体状の樹脂素材を流し込んで固めることでも実現できる。なお、各センサ18が有するリード線22は、それぞれセンサ基板17における一方の短辺から外部に引き出されている。
【0030】
各リード線22は、テールシール7に対する監視制御をする制御系の制御部25(図6を参照)に接続される。すなわち、制御部25に対して個別(並列)に接続される。そして、各センサ18による検出結果は、制御系による制御に用いられる。なお、各センサ18のリード線22に関し、各センサ18が直列に接続されるように配線してもよい。
【0031】
図5に示すように、センサユニット付きワイヤーブラシ10Aは、周方向における所定の角度位置に配置される。前室12A用のセンサユニット付きワイヤーブラシ10Aは、白い三角形で示すように、時計の針で12時の位置、4時の位置、8時の位置の合計3つ設けられている。また、後室12B用のセンサユニット付きワイヤーブラシ10Aは、黒い三角形で示すように、時計の針で2時の位置、4時の位置、8時の位置、10時の位置の合計4つ設けられている。このように、センサユニット付きワイヤーブラシ10Aの設ける数と位置とを、後室12B用と前室12A用とで個別に定めることにより、裏込材9や地下水の検出精度を高めることができる。
【0032】
次に、テールシール7に対する監視制御をする制御系について説明する。
【0033】
図6に示す制御系は、制御部25と、センサユニット13と、警報部26と、グリス用ポンプ27とを有している。制御部25は、リレー等の各種制御素子、CPU、メモリ等によって構成され、センサユニット13、警報部26、及びグリス用ポンプ27と電気的に接続されている。そして、制御部25は、センサユニット13からの検出信号のレベルに応じて警報部26やグリス用ポンプ27を制御する。本実施形態において、制御部25は各センサ18における抵抗の大きさを個別に取得しており、抵抗の大きさから裏込材9や地下水の浸入の有無を判定する。警報部26は、赤色点滅灯や警報器等によって構成され、光や音によって裏込材9等の浸入を作業者に報知する。グリス用ポンプ27は、前室12Aや後室12Bに対してグリスを注入する際の動力となる。本実施形態において、グリス用ポンプ27は複数設けられており、全周への注入を複数のグリス用ポンプ27で分担している。このため、特定のグリス用ポンプ27を駆動することで、グリスを局所的に注入することができる。
【0034】
なお、グリスの注入に関し、グリス用ポンプ27の制御を作業者が行ってもよい。この場合、制御部25は警報部26を制御し、裏込材9や地下水が浸入したことを作業者に報知する。
【0035】
次に、このシールドマシン1における裏込材9や地下水の浸入検知について説明する。
【0036】
先に述べたように、スキンプレート2の内周面とセグメントリング8の外周面との間には前室12Aと後室12Bが形成され、各室12A,12Bがグリスで満たされている。この状態では、センサユニット13の貫通孔19や切り欠き20には、ほぼ絶縁体に近いグリスが充填されるか空気が存在した状態になっている。また、センサ基板17が10mm程度の十分な厚みを有しているので、ワイヤーブラシ10の接触によって両電極21が短絡することは防止されている。その結果、両電極21は電気的に絶縁された状態になっている。従って、各センサ18の抵抗値は極めて高くなり、制御部25は、裏込材9や地下水の浸入は生じていないと判定する。
【0037】
その後、裏込材9の注入圧力が高くなり、図7(a)に示すように、裏込材9や地下水が後側ブラシ部分15Rの内部に浸入したとする。この場合、浸入した裏込材9等がセンサ基板17における貫通孔19や切り欠き20まで達すると、対応するセンサ18の電極21間の抵抗が低下する。制御部25は、各センサ18の抵抗値を個別に検出しているので、どの場所で裏込材9等の浸入が生じたかを把握できる。そこで、制御部25は、警報部26を作動させて裏込材9等の浸入を作業者に報知するとともに、対応する場所のグリス用ポンプ27に対してグリスの送出能力を高めるように制御信号を出力する。これにより、作業者に注意を喚起できるとともに、グリスの圧力によって裏込材9等を押し戻すことができる。
【0038】
ここで、本実施形態のセンサユニット13では、センサ基板17にゴム製の板材を用い、この板材に切り欠き20や貫通孔19を設けている。このため、浸入してきた裏込材9や地下水がセンサ基板17まで達すると、図7(b)に矢印で示すように、裏込材9等はセンサ基板17の表面に沿って移動し、貫通孔19や切り欠き20に流入する。このように、センサ基板17に達した際に裏込材9等の流入経路が規制され、センサ18が配置されている貫通孔19や切り欠き20へ確実に導かれるので、裏込材9等の浸入を確実に検出できる。また、センサ基板17をゴム製の板材で作製しているので、センサ基板17の可撓性によってブラシ部分15とセグメントリング8との間に生じる隙間を小さくでき、センサ18による検出の確実性をさらに高めることができる。
【0039】
ところで、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0040】
前述の実施形態では、センサユニット付きワイヤーブラシ10Aを、ワイヤーブラシ群11R,11M(図2を参照)に配置していたが、この配置に限定されない。例えば、ワイヤーブラシ群11F、11Mに配置してもよい。この場合、最前部のワイヤーブラシ群11Fのセンサユニット13によって後室12Bからの裏込材9や地下水の流出を検出でき、中央のワイヤーブラシ群11Mのセンサユニット13によって前室12Aからの裏込材9等の流出を検出できる。
【0041】
また、前述の実施形態では、センサユニット13を前側ブラシ部分15Fと後側ブラシ部分15Rの境界に配置していたが、この構成に限定されない。例えば、図8(a),(b)に示すように、ガイド板部16とブラシ部分15の境界(つまり、ブラシ部分15の前側)に配置してもよい。また、ガイド板部16とは反対側となるブラシ部分15の後側に配置してもよい。
【0042】
また、前述の実施形態では、検出部として一対の電極21を用いており、両電極21が裏込材9や地下水を介して導通した際の電気的な変化(抵抗値の変化)を検出していたが、検出部はこの構成に限定されない。例えば、温度に応じたレベルの検出信号を出力する感熱素子(熱電対やサーミスタ、白金測温抵抗体等)を検出部として用いてもよい。感温素子を用いた場合には、硬化に伴う発熱によって温度上昇した裏込材9を検出できる。この場合、周囲温度よりも低い地下水がスキンプレート2の内側に浸入したことを検出することもできる。また、CCD等の受光素子を検出部として用いてもよい。受光素子を用いた場合には、補助照明を当てることにより白色や黄色とされた裏込材9を容易に検出できる。
【0043】
また、各センサユニット13に複数種類の検出部を配置してもよい。例えば、電極21と感温素子とを貫通孔19や切り欠き20に分けて配置してもよい。これにより、抵抗の大きさと温度の両面で判定を行える。
【符号の説明】
【0044】
1 シールドマシン
2 スキンプレート
7 テールシール
8 セグメントリング
9 裏込材
10 ワイヤーブラシ(10A センサユニット付きワイヤーブラシ)
11 ワイヤーブラシ群
12A 前室
12B 後室
13 センサユニット
15 ブラシ部分(15F 前側ブラシ部分,15R 後側ブラシ部分)
16 ガイド板部
17 センサ基板
18 センサ
19 貫通孔
20 切り欠き
21 電極
22 リード線
23 先端側支持具
24 根元側支持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドマシンのテール部に設けられたテールシールから前記シールドマシン内へ浸入する裏込材や地下水を検出すべく、前記テール部に配置されるセンサユニットであって、
板厚方向を貫通する貫通部を設けた板状のセンサ基板と、
前記貫通部に露出した状態で配置されたセンサと、
を有することを特徴とするセンサユニット。
【請求項2】
前記センサ基板は、可撓性を有するゴム製の板材で作製されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記センサは、互いに離れて配置された一対の電極を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載のセンサユニットを、前記テールシールを構成するブラシ内部に配置したことを特徴とするテールシール用のワイヤーブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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