説明

シールド

【課題】コネクタに被せた後、基板に固定するまでの間、治具などを利用することなく自立的にコネクタに保持されるシールドを提供する。
【解決手段】シールド本体41から外側へ突出するロック部43は、接地端子35と接触部42との接触による反力が加わると、コネクタ20のストッパ部31に接する。そのため、ロック部43は、シールド本体41とコネクタ20との相対的な移動を制限する。これにより、接触部42と接地端子35との間に加わる押し付け力によってシールド本体41に反力が加わっても、コネクタ20とシールド本体41とは仮固定された状態となる。したがって、コネクタ20に被せた後、基板13に固定するまでの間、シールド10は治具などを利用することなく自立的に基板13へ保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズを低減する導電性材料で形成されたシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図9に示すように電気電子機器における電気的な接続を図るコネクタ100は、導電性の材料で形成されたシールド101によって覆われている。これにより、コネクタ100を電磁気的に遮蔽し、コネクタ100の周囲におけるノイズの影響の低減が図られている(例えば、特許文献1参照)。このようなシールド101は、コネクタ100の接地端子102との間で電気的な接続を図るため、内側へ突出する接触部103を有している。この接触部103は、シールド本体104から内側へ弾性変形可能に突出している。この接触部103の変形すなわちばね力を利用することにより、シールド101の接触部103はコネクタ100の接地端子102に接している。
【0003】
しかしながら、ばね力を利用してシールド101の接触部103をコネクタ100の接地端子102に接触させる場合、図10に示すようにシールド101には接触部103の押し付け方向F1とは逆方向F2へ反力が加わる。そのため、シールド101は、コネクタ100に被せたとしても、接触部103から加わる反力によって図10の時計回り方向へ回転する力を受け、コネクタ100から容易に外れる。その結果、シールド101は、コネクタ100に被せた後、基板105に固定するまでの間、例えば上面部106を図示しない治具で押さえて保持する必要がある。これにより、シールド101の組み付けは、複雑な工程を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−286216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、コネクタに被せた後、基板に固定するまでの間、治具などを利用することなく自立的にコネクタに保持されるシールドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、ロック部を備えている。ロック部は、シールド本体から外側に突出している。ここで、シールド本体から内側に突出する接触部は、コネクタの接地端子に接している。この接触部は、弾性変形可能である。そのため、シールド本体は、接地端子に接することにより、接触部から接地端子への押し付け方向と逆方向への反力が加わる。一方、シールド本体から外側へ突出するロック部は、この反力が加わると、コネクタに接する。そのため、ロック部はコネクタに接することにより、反力によって生じるシールド本体とコネクタとの相対的な移動を制限する。これにより、接触部と接地端子との間に加わる押し付け力によってシールド本体に反力が加わっても、コネクタとシールド本体とは仮固定された状態となる。したがって、コネクタに被せた後、基板に固定するまでの間、治具などを利用することなく自立的にコネクタに保持することができる。
【0007】
請求項2記載の発明では、ロック部は、基板側の端部ほどシールド本体との間に形成する隙間の距離が拡大している。これにより、ロック部は、シールド本体に対し、傾斜している。ロック部がシールド本体に対し傾斜することにより、ロック部において、ロック部とコネクタとが接触する部分の大きさは増大する。そのため、限られた空間であっても、ロック部とコネクタとの接触面積の確保が容易になる。したがって、ロック部とコネクタとの接触によるシールド本体とコネクタとの相対的な移動を確実に制限することができる。
【0008】
請求項3記載の発明では、シールド本体の天面部に突出部をさらに備えている。コネクタにおけるノイズの影響をより確実に減少させるためには、シールド本体は例えば近傍の基板やフレームなどに接地することが望ましい。一般的には、シールドに対し基板の反対側には金属製のフレームなどが配置されるため、シールド本体の天面部とこのフレームとの間に接地を確保することが望ましい。しかしながら、従来のように治具を用いてシールドを保持する場合、治具はシールドの天面部側に設けられている。そして、治具は、シールドを天面部側から押し付けて、シールドを基板に保持する。そのため、天面部は、治具との接触を確保する必要があり、平坦に形成することが要求される。その結果、治具を用いる場合、天面部側における接地の確保は困難であるという問題がある。
【0009】
一方、請求項1または2記載の発明では、治具を用いることなくシールドは自立的にコネクタに保持することができる。そこで、請求項3記載の発明では、治具が不要となるため、天面部に突出部を設けてもよい。これにより、シールド本体は、天面部の突出部を利用して、基板以外の部材と電気的な接触が確保される。したがって、ノイズの低減をより確実に達成することができる。
【0010】
請求項4記載の発明では、ロック部は、側面部にそれぞれ設けられている。これにより、接触部と接地端子との接触によってシールド本体に加わる反力は、側面部にそれぞれ設けられているロック部によって受け止められる。したがって、シールド本体の姿勢が安定し、シールド本体とコネクタとの相対的な移動をより確実に制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態によるシールドを取り付けたコネクタを側方から見た概略図
【図2】一実施形態によるシールドを適用した回路基板モジュールを示す概略斜視図
【図3】一実施形態によるシールドを取り付けたコネクタを前方から見た概略斜視図
【図4】一実施形態によるシールドおよびコネクタを後方から見た概略分解斜視図
【図5】一実施形態によるシールドおよびコネクタを前方から見た概略分解図
【図6】一実施形態によるシールドを取り付けたコネクタを後方から見た概略斜視図
【図7】図1の矢印VII方向から見た矢視図
【図8】図7の要部を拡大した拡大図
【図9】従来のシールドおよびコネクタを示す図4に相当する図
【図10】従来のシールドを取り付けたコネクタを示す図1に相当する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態によるシールドを図面に基づいて説明する。
図1に示す一実施形態によるシールド10は、図2に示すナビゲーション装置などの回路基板モジュール11に適用される。この回路基板モジュール11は、金属製のフレーム12および基板13を備えている。基板13は、フレーム12に支持されている。フレーム12は、例えば金属などの導電性の材料で形成されている。フレーム12は、上枠部14、側枠部15および側枠部16を有している。側枠部15および側枠部16は、上枠部14の両端部にそれぞれ上枠部14と一体に設けられている。基板13は、これら一対の側枠部15と側枠部16との間に支持されている。以下、本実施形態中において便宜上、上枠部14側を上方とし、基板13側を下方として説明する。
【0013】
基板13は、回路基板モジュール11を構成する各種の素子が搭載され、各種の素子間を結ぶ配線が形成されている。基板13は、上面側すなわち上枠部14側の面にコネクタ20を有している。コネクタ20は、図1および図3に示すように四角筒状に形成されている。コネクタ20は、この軸方向の端部の一方に、開口する挿入口21を有している。また、コネクタ20は、軸方向の他方の端部すなわち挿入口21と反対側が図4に示すように後壁部22で塞がれている。以下、本実施形態中において便宜上、挿入口21側を前方とし、後壁部22側を後方とする。このコネクタ20は、図示しないGPS(Global Positioning System)信号受信器で受信したGPS信号が伝送される図示しない被挿入物としてのカプラが挿入される。コネクタ20にカプラを挿入することにより、回路基板モジュール11はGPS信号受信器に接続する。
【0014】
コネクタ20は、内部に図示しない配線部などの導電材料をインサート品として樹脂などにより一体にインサート成形されている。四角筒状のコネクタ20は、天壁部24、側壁部25、側壁部26および底壁部27を有している。底壁部27は、外側が基板13に接している。側壁部25および側壁部26は、図5に示すようにそれぞれ外側へ突出するストッパ部31およびストッパ部32を有している。ストッパ部31は側壁部25から外側へ突出し、ストッパ部32は側壁部26から外側へ突出している。これらのストッパ部31およびストッパ部32は、側壁部25および側壁部26から遠い側の端部が曲面状に形成されている。コネクタ20は、基板13に固定されている。ねじ部材33は、基板13、ならびにストッパ部31およびストッパ部32を上下方向に貫いている。これにより、ねじ部材33は、コネクタ20を基板13に固定する。コネクタ20は、図4に示すように後壁部22の外側に接地端子35を有している。接地端子35は、コネクタ20にインサート成形された導電性の金属によって形成されている。導電性の金属で形成された接地端子35は、後壁部22の外壁に露出している。
【0015】
次に、シールド10について詳細に説明する。
シールド10は、導電性の金属によって形成されており、上述のように基板13に固定されたコネクタ20を覆う。シールド10は、図1および図5に示すようにシールド本体41、接触部42、ロック部43、ロック部44および突出部45を有している。シールド本体41は、コネクタ20の外側を覆う。本実施形態のように四角筒状のコネクタ20の場合、シールド本体41は、コネクタ20の外側において基板13側の端部、および挿入口21側の端部を除く部分を覆っている。具体的には、シールド本体41は、背面部51、側面部52、側面部53および天面部54を有している。背面部51は、シールド本体41の後壁部22の外側に位置する。すなわち、背面部51は、コネクタ20の挿入口21と反対側の端部の外側に位置する。側面部52および側面部53は、この背面部51からコネクタ20の側壁部25および側壁部26に沿ってその外側を挿入口21側へ延びている。天面部54は、背面部51からコネクタ20の基板13と反対側の面すなわち天壁部24に沿ってその外側を挿入口21側へ延びている。この天面部54は、幅方向の両端部がそれぞれ側壁部25および側壁部26と一体に接続している。側壁部25および側壁部26は、基板13側へ突出する爪部56を有している。爪部56は、基板13の保持穴57に挿入される。爪部56が保持穴57に挿入されることにより、シールド10は基板13に仮固定される。
【0016】
接触部42は、図1および図6に示すようにシールド本体41の背面部51に設けられている。接触部42は、シールド本体41と一体に形成されており、内側すなわちコネクタ20側へ弾性変形可能に突出している。この接触部42は、シールド本体41を構成する導電性の金属によってシールド本体41と一体に形成されている。そのため、接触部42は、弾性変形可能であり、前後方向へ移動可能なばね力を有している。その結果、コネクタ20にシールド10を取り付けたとき、接触部42はコネクタ20側への押し付け力を有しており、接触部42は図4に示す接地端子35に接する。
【0017】
ロック部43は図6および図7に示すようにシールド本体41の側面部52に設けられ、ロック部44はシールド本体41の側面部53に設けられている。ロック部43およびロック部44は、それぞれ側面部52および側面部53から外側へ突出している。ロック部43は、図6および図7に示すようにシールド10をコネクタ20に取り付けたとき、図1に示すようにコネクタ20のストッパ部31およびストッパ部32の挿入口21側すなわち前端に接する。上述のようにシールド本体41に設けられている接触部42は、シールド10をコネクタ20に取り付けたとき、コネクタ20の接地端子35を挿入口21方向へ押し付ける。これにより、コネクタ20に取り付けられたシールド10は、この接触部42の押し付け力によって後方側への反力を受ける。この反力は、シールド10とコネクタ20との間に相対的な移動をもたらす。具体的には、コネクタ20は基板13に固定されているため、シールド10は接触部42の押し付け力によって生じる反力でコネクタ20に対し後方へ移動する力を受ける。そして、上記したようにこのときシールド10は基板13の保持穴57に挿入された爪部56により仮固定されている。そのため、シールド10は、コネクタ20に対し、爪部56を支点に側面部52側から見て時計回り方向、すなわち後方側へ移動しようとする。ここで、本実施形態では、シールド10は、ロック部43およびロック部44を備えている。そのため、シールド10がコネクタ20に対し後方へ移動する力を受ける場合、ロック部43およびロック部44はそれぞれストッパ部31およびストッパ部32の前端に接し、後方への移動が制限される。その結果、シールド本体41とコネクタ20とは、接触部42から接地端子35へ力が加わるときでも、相対的な移動が制限される。これにより、コネクタ20にシールド10を被せたとき、シールド10は自立的に基板13に保持される。
【0018】
本実施形態の場合、ロック部43は、図8に示すようにシールド本体41の側面部52との間に隙間を形成している。このロック部43とシールド本体41の側面部52との間に形成される隙間は、基板13に近い側の端部ほど拡大している。すなわち、ロック部43は、シールド本体41の側面部52に対して傾斜している。このようにロック部43を傾斜させることにより、コネクタ20にシールド10を取り付けるとき、シールド10の先端すなわちシールド10の基板13側の端部と、コネクタ20との接触は低減される。そのため、シールド10をコネクタ20に取り付けるとき、シールド10とコネクタ20との干渉が低減され、シールド10はコネクタ20に円滑に取り付けられる。
【0019】
また、シールド10は、例えば個体差などによる基板13との干渉を低減するため、シールド10の基板13側の端部と基板13自体との間に予め所定の距離(クリアランス)を確保する必要がある。シールド10をコネクタ20に取り付けたときシールド10の移動を制限する機能は、ストッパ部31に接するロック部43の接触面積が大きいほど増大する。すなわち、ストッパ部31とロック部43との接触面積が大きくなるほど、シールド10とコネクタ20との相対的な移動は制限される。ここで、仮にロック部43が側面部52に対して傾斜していないと、上述のようにシールド10の基板13側の端部と基板13との間に所定の距離(クリアランス)を確保する場合、ストッパ部31とロック部43との接触面積は確保しにくくなる。すなわち、ロック部43がストッパ部31に接する面の側面52方向の長さが制限され、結果的に接触面積も制限される。そこで、ロック部43を傾斜させることにより、傾斜させないときと同一のクリアランスを確保しつつ、ストッパ部31とロック部43とが接する部分の大きさをより増大させている。その結果、ストッパ部31とロック部43との接触面積は、ロック部43が傾斜していない場合に比較して拡大する。そのため、シールド10の基板13側の端部と基板13との間に所定の距離を確保する場合でも、ストッパ部31とロック部43との接触面積の確保は容易になる。その結果、接触部42と接地端子35との接触によって反力が生じても、シールド10とコネクタ20との相対的な移動をより低減することができる。本実施形態では、図8を用いてシールド本体41のストッパ部31とロック部43との接触について説明した。しかし、シールド本体41のストッパ部32とロック部44との間でも、図8を用いた説明と同様に接触面積が容易に確保される。
【0020】
図1、図3から図7に示すように突出部45は、シールド本体41の天面部54に設けられている。突出部45は、天面部54から基板13と反対側すなわち上方へ突出している。突出部45は、接触部42と同様にシールド本体41を構成する金属と一体に形成されている。そのため、突出部45は、弾性変形可能なばね力を有している。これにより、コネクタ20を覆うシールド10が装着された基板13を図2に示すフレーム12に取り付けると、天面部54から突出する突出部45はフレーム12に接する。その結果、コネクタ20の接地端子35は、導電性の金属で形成されている接触部42だけでなく、同じく導電性の金属で形成されている突出部45をも経由してフレーム12と電気的に接続される。本実施形態の場合、ストッパ部31とロック部43、およびストッパ部32とロック部44とがそれぞれ接することにより、コネクタ20のシールド10を仮固定するとき、コネクタ20を覆うシールド10は自立して基板13に保持される。そのため、コネクタ20にシールド10を取り付けるとき、シールド10は例えば治具などにより天面部54側から基板13に保持する必要がない。その結果、治具が不要であるため、シールド10に突出部45を設けても部品や製造機械が干渉することはない。すなわち、仮固定時においてシールド10が自立するため、シールド10に突出部45を設けることができる。これにより、従来と比較して、コネクタ20とフレーム12との間でも接地を確保することができ、ノイズの低減をより図ることができる。
【0021】
次に、上記の構成によるシールド10の組み付け、および回路基板モジュール11の組み付け手順について説明する。
まず、基板13にコネクタ20が取り付けられる。コネクタ20は、ねじ部材33によって基板13に固定される。ねじ部材33は、基板13側からコネクタ20のストッパ部31およびストッパ部32にねじ込まれる。基板13にコネクタ20が取り付けられると、コネクタ20の外側にシールド10が取り付けられる。シールド10は、コネクタ20の上方すなわち基板13と反対側から基板13側へ取り付けられる。シールド10の爪部56は、基板13の保持穴57に挿入される。ここで、図5に示すようにロック部43およびロック部44は、シールド本体41の側面部52および側面部53に対し傾斜している。そのため、シールド10とコネクタ20との干渉は低減される。また、ロック部43およびロック部44は、基板13側の端部から基板13までの間に距離が確保されている。そのため、シールド10と基板13との干渉も低減される。
【0022】
コネクタ20にシールド10を取り付けたとき、シールド10の背面部51から内側へ突出する接触部42は、コネクタ20の後壁部22の接地端子35に接する。また、シールド10のロック部43はコネクタ20のストッパ部31の前端に接し、ロック部44はストッパ部32の前端に接する。そのため、この弾性変形可能な接触部42と接地端子35との接触によってシールド10に反力が加わるときでも、シールド10は、ロック部43とストッパ部31との接触およびロック部44とストッパ部32との接触によってコネクタ20に対する移動が制限される。その結果、接触部42の押し付け力がコネクタ20の接地端子35に加わるときでも、シールド10がコネクタ20から脱落することなく、シールド10は基板13に仮固定される。
【0023】
コネクタ20にシールド10が取り付けられると、シールド10は基板13に固定される。具体的には、基板13の保持穴57から突出するシールド10の爪部56は、例えばはんだなどによって基板13に接合される。これにより、シールド10は基板13に固定される。シールド10が固定された基板13は、図2に示すようにフレーム12に取り付けられる。このとき、シールド10の天面部54から突出する突出部45は、フレーム12に接する。そのため、シールド10とフレーム12とが接地されるとともに、コネクタ20の接地端子35からフレーム12までが電気的に接続される。その結果、コネクタ20は、フレーム12に接地される。
【0024】
以上説明したように、一実施形態によるシールド10は、ロック部43およびロック部44を備えている。シールド本体41から外側へ突出するロック部43およびロック部44は、接地端子35と接触部42との接触による反力が加わると、コネクタ20のストッパ部31およびストッパ部32に接する。そのため、ロック部43およびロック部44は、シールド本体41とコネクタ20との相対的な移動を制限する。これにより、接触部42と接地端子35との間に加わる押し付け力によってシールド本体41に反力が加わっても、コネクタ20とシールド本体41とは仮固定された状態となる。したがって、コネクタ20に被せた後、基板13に固定するまでの間、治具などを利用することなく自立的にシールド10を基板13に保持することができる。
【0025】
また、一実施形態のシールド10の場合、ロック部43およびロック部44は、基板13側の端部ほどシールド本体41との間に形成する隙間の距離が拡大している。すなわち、ロック部43およびロック部44は、シールド本体41に対し、傾斜している。ロック部43およびロック部44がシールド本体41に対し傾斜することにより、ロック部43、44を傾斜しない場合と同様に隙間を基板13との間で確保しつつ、ロック部43におけるコネクタ20のストッパ部31との接触部分をより大きくすることができる。また、同様にロック部44とストッパ部32との接触部分をより大きくすることができる。そのため、限られた空間であっても、ロック部43とストッパ部31との接触面積、およびロック部44とストッパ部32との接触面積の確保が容易になる。したがって、ロック部43およびロック部44とストッパ部31およびストッパ部32との接触によるシールド本体41とコネクタ20との相対的な移動をより確実に制限することができる。また、コネクタ20のストッパ部31およびストッパ部32は、いずれもコネクタ20を基板13に固定するために必須の部位である。すなわち、コネクタ20をねじ部材33を用いて基板13に固定する場合、ストッパ部31およびストッパ部32は必須となる。一実施形態のシールド10は、このコネクタ20に必須の既存の部位をストッパ部31およびストッパ部32として利用している。そのため、シールド10を仮固定するために、コネクタ20に別途構成を追加する必要がない。したがって、設計を変更することなく既存の構成を利用でき、部品の共通化を図ることができる。
【0026】
一実施形態のシールド10は、シールド本体41の天面部54に突出部45を備えている。一実施形態によるシールド10は、治具を用いることなく自立的にコネクタ20および基板13に保持される。そのため、一実施形態の場合、シールド10を保持する治具が不要となり、天面部54に突出部45を設けることができる。これにより、シールド本体41は、天面部54の突出部45を利用して、基板13以外のフレーム12などと電気的な接触が確保される。したがって、ノイズの低減をより確実に達成することができる。
【0027】
一実施形態のシールド10の場合、ロック部43およびロック部44は、側面部52および側面部53にそれぞれ設けられている。これにより、接触部42と接地端子35との接触によってシールド本体41に加わる反力は、側面部52および側面部53にそれぞれ設けられているロック部43およびロック部44によって受け止められる。したがって、シールド本体41の姿勢が安定し、シールド本体41とコネクタ20との相対的な移動をより確実に制限することができる。
【0028】
また、一実施形態のシールド10の場合、ストッパ部31は、前方がロック部43、後方がシールド本体41によって挟み込まれている。すなわちシールド本体41とストッパ部31の後方とのクリアランスを狭くし、ここによってロック部43によるロックを補助するためのロック補助部を形成している。そのため、仮に組み付け時などに仮固定されたシールド10に組み付け作業者が触れたとしても、ストッパ部31へのロック部43またはシールド本体41の接触の効果によってシールド10の意図しない移動がより制限される。したがって、コネクタ20に対するシールド10の姿勢をより安定させることができる。
【0029】
(その他の実施形態)
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
上述の実施形態では、ロック部43およびロック部44をシールド本体41の側面部52および側面部53にそれぞれ設ける例について説明した。しかし、ロック部43、44は、シールド10とコネクタ20との相対的な移動を制限可能であれば、側面部52、53に限らず、天面部54や背面部51などに設けてもよい。また、ロック部43、44は、二つの側面部52、53の双方に限らず一方だけに設けてもよい。
【0030】
上述の実施形態では、四角筒状のコネクタ20およびシールド10を例に説明した。しかし、コネクタ20の形状は、四角筒状に限らず、円筒状や多角筒状など任意の形状とすることができる。また、このコネクタ20の形状にあわせてシールド10の形状も適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0031】
図面中、10はシールド、13は基板、20はコネクタ、41はシールド本体、42は接触部、43、44はロック部、45は突出部、51は背面部、52、53は側面部、54は天面部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に固定されたコネクタを覆う導電性材料で形成されているシールドであって、
前記コネクタの外側を覆うシールド本体と、
前記シールド本体から内側へ弾性変形可能に突出して前記コネクタ側への押し付け力を有し、前記コネクタの接地端子に接する接触部と、
前記シールド本体から外側へ突出し、前記接触部が前記コネクタを押し付けることにより前記シールド本体に生じる反力で前記コネクタに接することで前記シールド本体と前記コネクタとの前記反力による相対的な移動を制限するロック部と、
を備えるシールド。
【請求項2】
前記ロック部は、前記基板側の端部ほど前記シールド本体との間の距離が拡大する隙間を形成している請求項1記載のシールド。
【請求項3】
前記シールド本体において前記基板と反対側の天面部に、前記シールド本体から前記基板と反対側へ弾性変形可能に突出する突出部をさらに備える請求項1または2記載のシールド。
【請求項4】
前記シールド本体は、前記コネクタの被挿入物が挿入される挿入口と反対側の端部に位置して前記接触部が設けられている背面部、前記背面部から前記コネクタの側方に沿って前記挿入口側へ延びている側面部、および前記背面部から前記コネクタの前記基板と反対側に沿って前記挿入口側へ延びている天面部を有し、
前記ロック部は、前記側面部にそれぞれ設けられている請求項1、2または3記載のシールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−230857(P2012−230857A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99506(P2011−99506)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】