説明

シール栓自動開栓装置及びシール栓自動開栓方法

【課題】タブの姿勢に拘わらずシール栓を確実に剥離できるシール栓自動開栓装置を提供する。
【解決手段】タブ検知位置に位置決めされたシール栓採血管1を構成する容器2の開口部に接着されたシール栓3に設けられたタブ3aの位置を、該タブ3aがとりうるあらゆる姿勢に対応できるように配置された複数の検知器11〜14を用いて光学的に検知するタブ位置検知器10と、タブ位置検知器10で検知されたタブ3aの位置に基づき該タブ3aの姿勢を矯正するタブ矯正機構20とを備え、タブ矯正機構20で矯正されたタブ3aを挟んでシール栓3を容器2から剥離することにより開栓する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血管のシール栓を開栓するシール栓自動開栓装置及びシール栓自動開栓方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、採血に用いられる採血管として、容器の開口部をゴム製の栓やアルミ箔製の栓等で密封して容器の内部を減圧した減圧採血管が知られている。この減圧採血管を用いて採血する場合は、両頭針が有底筒の底面の中心部に固定された採血器具が使用される。この採血器具を用いて採血を行う場合は、有底筒の外側に突出した一方の針を静脈血管に刺した状態で、有底筒の内側に突出した他方の針が減圧採血管の栓に刺し通される。これにより、減圧採血管内の負圧によって血液が一定量だけ減圧採血管内に流れ込み、以て採血が行われる。
【0003】
減圧採血管としては、図1及び図2に示すような、容器の開口部をアルミ箔製のシール栓で密封して容器の内部を減圧したシール栓採血管(詳細は後述する)が多く用いられている。このようなシール栓採血管を利用して検体(血液)を検査する場合は、シール栓採血管に採血された検体を遠心分離によって血清と血餅に分離した後に、シール栓を容器から引き剥がして開栓し、その後、シール栓採血管内の検体の検査が行われる。
【0004】
近年は、上述した検体検査を自動化するために、シール栓採血管のシール栓のタブを挟んでシール栓採血管から引き離すことによりシール栓を自動的に剥離するシール栓自動開栓装置が開発されている。例えば、特許文献1は、検体入り採血管の開口端を閉栓しているシール栓のタブを正しい姿勢に矯正し、このタブの姿勢が矯正されたシール栓を採血管から自動的に取り外す開栓システムを開示している。この開栓システムにおいては、シール栓上部からバーを押し当て、同時に採血管上部の外縁に沿って矯正針を押し当てた状態で採血管を回転させることにより、タブを水平状態に矯正する。その後、採血管とタブを個別に保持し、両者を引き離してシール栓を剥離する。
【0005】
また、特許文献2は、検体管に接着されたシール栓を滑らかに確実に剥離できるようにしたシール栓自動開栓装置を開示している。このシール栓自動開栓装置は、中心部にシール栓を上方から押さえつけるプランジャーと、これと同心状の3箇所に配置された鋸歯状の爪で構成されており、鋸歯状の爪を閉じて採血管外周に隙間なく接触させ、この状態で爪を上方に持ち上げることによりタブの姿勢を矯正し、その後、タブを挟んでシール栓を採血管から引き離す。
【0006】
また、特許文献3は、容器を封止する栓体を確実に連続的に開栓できる自動開栓装置を開示している。この自動開栓装置においては、容器回転機構によって栓体のタブが回転し、タブが栓体側面に対して外側倒れ姿勢にあれば、外ガイドがタブを引き起こしチャック準備姿勢に矯正し、容器が更に回転することによって、チャック機構のガイド溝によってチャック位置に誘導される。一方、タブが栓体側面に対して内側倒れ姿勢にある場合は、内爪の溝によって、かき上げながら引き起こされ、チャック位置に誘導される。そして、チャック位置に誘導された外側倒れ姿勢又は内側倒れ姿勢の栓体のタブはチャック機構によって把持され、且つ、引き上げられて開栓される。従って、タブの状態に関係なくタブを確実に把持し栓体の開栓を行うことができる。
【0007】
【特許文献1】特開平08−91487号公報
【特許文献2】特開平09−243643号公報
【特許文献3】特開平08−58890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のシール栓自動開栓装置においては、タブの姿勢によっては、その姿勢を矯正することができず、シール栓を確実に剥離できないという問題がある。
【0009】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、タブの姿勢に拘わらずシール栓を確実に剥離できるシール栓自動開栓装置及びシール栓自動開栓方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係るシール栓自動開栓装置は、タブ検知位置に位置決めされたシール栓採血管を構成する容器の開口部に接着されたシール栓に設けられたタブの位置を、該タブがとりうるあらゆる姿勢に対応できるように配置された複数の検知器を用いて光学的に検知するタブ位置検知器、及び、タブ位置検知器で検知されたタブの位置に基づき該タブの姿勢を矯正するタブ矯正機構を備え、タブ矯正機構で矯正されたタブを挟んでシール栓を容器から剥離することにより開栓することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るシール栓自動開栓方法は、シール栓採血管を構成する容器の開口部に接着されたシール栓に設けられたタブの位置を、開口部によって形成される開口面から所定距離だけ離れた容器の側面上に照射したスポット光の反射光に基づき検知する第1検知器、開口面の外周から該開口面を延長する方向に所定距離だけ離れた空間に照射したスポット光に基づき検知する第2検知器、開口面から該開口面に直交する方向に所定距離だけ離れた空間に照射したスポット光に基づき検知する第3検知器、及び、開口面の外周から内側方向に所定距離だけ離れた開口面上に照射したスポット光の反射光に基づき検知する第4検知器によって検知し、第1検知器又は第4検知器でタブの位置が検知された場合に、タブを粘着テープに接着してシール栓採血管から起こし、検知されたタブ又はシール栓採血管から起こされたタブの姿勢を、該検知されたタブの位置に基づき矯正し、該矯正されたタブを挟んでシール栓を容器から剥離することにより開栓することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るシール栓自動開栓装置及びシール栓自動開栓方法によれば、シール栓採血管のシール栓に設けられたタブの位置を、該タブがとりうるあらゆる姿勢に対応できるように配置された複数の検知器を用いて光学的に検知し、この検知結果に基づきタブの姿勢を矯正してシール栓を剥離するように構成したので、タブの姿勢に拘わらずシール栓を確実に剥離できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
[実施の形態1]
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係るシール栓自動開栓装置で使用されるシール栓採血管1を示す図であり、図1の(a)は平面図、図1の(b)は正面図及び図2は外観斜視図である。このシール栓採血管1は、一端に開口部を有する有底円筒状の容器2と、その開口部に接着されたアルミ箔製のシール栓3とから構成されている。容器2の開口部側の側面には円周状に鍔部2aが形成されている。また、シール栓3の外周の一部には、シール栓3を容器2から引き剥がして開栓するための舌状のタブ3aが形成されており、中央部には針を刺し通すためのゴム製部材3bが配置されている。タブ3aの先端部は、把手可能な自由端となっている。
【0015】
図3は、シール栓自動開栓装置の運用時において、タブ3aがとりうる姿勢の例を示す。尚、以下においては、シール栓3の表面側(容器2に接着されない側)を「上」、裏面側(容器2に接着される側)を「下」という。また、容器2の開口部によって形成される平面を開口面という。図3の(a)は、タブ3aが開口面を含む平面(以下、「基準面」という)より下方に折れ曲がって容器2の鍔部2aに張り付いた状態を示している。図3の(b)は、タブ3aが容器2の鍔部2aに張り付いてはいないが、鍔部2aの全体を覆うように基準面より下方に折れ曲がった状態を示している。
【0016】
図3の(c)は、タブ3aが容器2の鍔部2aの一部を覆うように基準面より下方に僅かに折れ曲がった状態を示している。図3の(d)は、タブ3aが基準面に対して上下のいずれの方向にも折れ曲がっていない状態を示している。図3の(e)は、タブ3aが基準面より上方に僅かに折れ曲がった状態を示している。
【0017】
図3の(f)は、タブ3aが基準面に対して垂直より若干小さい角度になるように基準面より上方に大きく折れ曲がった状態を示している。図3の(g)は、タブ3aが基準面に対してほぼ垂直になるように基準面より上方に折れ曲がった状態を示している。図3の(h)は、基準面に対して垂直より若干大きい角度になるように基準面より上方に大きく折れ曲がった状態を示している。
【0018】
図3の(i)は、タブ3aがシール栓3の表面に張り付いてはいないが、シール栓3の表面の一部を大きく覆うように基準面より上方に折れ曲がった状態を示している。図3の(j)は、タブ3aがシール栓3の表面の一部を大きく覆うように基準面より上方に折れ曲がって、シール栓3の表面に張り付いた状態を示している。
【0019】
本発明の実施の形態1に係るシール栓自動開栓装置は、タブ位置検知工程、タブ姿勢矯正工程及び開栓工程といった3つの工程を経てシール栓3を開栓する。これらの各工程を実行するために、このシール栓自動開栓装置は、シール栓3のタブ3aの位置を光学的に検知するタブ位置検知器10、タブ3aの姿勢を矯正するタブ矯正機構20及び容器2からシール栓3を剥離する開栓機構(図示は省略する)を備えている。
【0020】
まず、タブ位置検知器10について説明する。図4及び図5は、タブ位置検知器10の構造を概略的に示す図であり、図4の(a)は平面図、図4の(b)は正面図、図5は外観斜視図である。このタブ位置検知器10は、第1検知器11、第2検知器12、第3検知器13及び第4検知器14から構成されており、これらの各々は、同一の構造及び機能を有している。第1検知器11、第2検知器12、第3検知器13及び第4検知器14としては、例えば、発光素子と受光素子とが一体に構成され、発光素子から検知領域に可視光(赤色や緑色)のスポット光を照射し、検知対象物からの反射光及び検知対象物以外からの反射光を受光素子で受光し、受光された反射光量の差を検出して検知対象物を検知する光反射型センサを用いることができる。
【0021】
尚、図4及び図5においては、第1検知器11、第2検知器12、第3検知器13及び第4検知器14を支持する支持機構は図示を省略している。シール栓採血管1は、図示しない搬送機構により搬送されてきてタブ検知位置に位置決めされ、その後、図示しない回転機構により図示矢印方向に回転される。この実施の形態1に係るシール栓自動開栓装置では、シール栓採血管1の回転動作原点Oを、三角マークで示す位置とする。第1検知器11、第2検知器12、第3検知器13及び第4検知器14の各々は、シール栓採血管1が位置決めされるタブ検知位置に対して以下のように配置される。
【0022】
第1検知器11は、シール栓採血管1を構成する容器2の開口面から所定距離だけ離れた容器2の側面上、換言すれば、容器2の鍔部2aの幅方向のほぼ中央であって、且つ、シール栓採血管1の回転動作原点Oから反時計回り方向にほぼ90度の位置P1に、横方向、つまり容器2の側面方向からスポット光を照射する位置に配置される。この第1検知器11は、図3の(a)及び図3の(b)に示すような、鍔部2aの全体を覆うように基準面より下方に折れ曲がった姿勢のタブ3aを検知する。
【0023】
第2検知器12は、容器2の開口面の外周から該開口面を延長する方向に所定距離だけ離れた空間の位置、換言すれば、容器2の側面から基準面上を所定距離だけ外側に離れた空間の位置であって、且つ、シール栓採血管1の回転動作原点Oから反時計回り方向に90度より若干大きい角度の位置(第2検知器12からの照射光が第1検知器11からの照射光と交錯しない位置)P2に、上方向、つまりシール栓3の表面に対向する方向からスポット光を照射する位置に配置される。この第2検知器12は、図3の(c)〜図3の(e)に示すような、基準面に対して上下のいずれの方向にも折れ曲がっていない姿勢及び基準面より上下方向に僅かに折れ曲がった姿勢のタブ3aを検知する。
【0024】
第3検知器13は、容器2の開口面から該開口面に直交する方向に所定距離だけ離れた空間の位置、換言すれば、シール栓3の表面から所定距離だけ上側に離れた空間の位置であって、且つ、シール栓採血管1の回転動作原点Oから時計回り方向にほぼ90度の位置P3に、横方向、つまり容器2の側面方向からスポット光を照射する位置に配置される。この第3検知器13は、図3の(f)〜図3の(h)に示すような、基準面に対して垂直及び垂直に近い角度で基準面より上方に折れ曲がった姿勢のタブ3aを検知する。
【0025】
第4検知器14は、容器2の開口面の外周から内側方向に所定距離だけ離れた開口面上の位置、換言すれば、シール栓3の外周から内側方向に所定距離だけ離れたシール栓3の表面上の位置であって、且つ、シール栓採血管1の回転動作原点Oから時計回り方向に90度より若干大きい角度の位置(第4検知器14からの照射光が第3検知器13からの照射光と交錯しない位置)P4に、上方向、つまりシール栓3の表面に対向する方向からスポット光を照射する位置に配置される。この第4検知器14は、図3の(i)及び図3の(j)に示すような、シール栓3の表面の一部を大きく覆うように基準面より上方に折れ曲がった姿勢のタブ3aを検知する。
【0026】
尚、上述したタブ位置検知器10においては、第2検知器12及び第3検知器13は、発光素子と受光素子とが一体に構成されて、反射光量の差によって検知対象を検知する光反射型センサを用いて構成したが、これら第2検知器12及び第3検知器13は、発光素子と受光素子とが別体に構成されて、反射光の有無によって検知対象を検知する光透過型センサを用いて構成することもできる。
【0027】
次に、タブ矯正機構20について説明する。図6は、タブ矯正機構20を示す図であり、図6の(a)はシール栓採血管1がタブ検知位置に位置決めされている状態の平面図、図6の(b)はシール栓採血管1がタブ検知位置に位置決めされている状態の正面図、図6の(c)はシール栓採血管1がタブ検知位置に位置決めされている状態の側面図である。また、図6の(d)は、シール栓採血管1がタブ剥離位置まで搬送された後の状態の平面図、図6の(e)はシール栓採血管1がタブ剥離位置まで搬送された後の状態の正面図である。このタブ矯正機構20は、シール栓採血管1を回転させる回転機構(図示は省略する)、シール栓採血管1を保持機構22で回転不可能な状態に保持して、タブ検知位置からタブ剥離位置まで搬送する搬送機構(図示は省略する)、及び、タブ検知位置とタブ剥離位置との間に設けられた矯正プレート21によって構成されている。
【0028】
矯正プレート21は、所定の隙間を有するように対向配置された上側プレート21aと下側プレート21bとから構成されている。上側プレート21aは、後述する回転機構によりタブ3aが姿勢矯正位置になるように移動された状態のシール栓採血管1が、タブ検知位置からタブ剥離位置まで搬送されることにより、基準面より上方に折れ曲がったタブ3aを押し下げて基準面と平行になるように矯正し、下側プレート21bは、図6に示すような、基準面より下方に折れ曲がったタブ3aを押し上げて基準面と平行になるように矯正する。
【0029】
図示しない回転機構は、タブ位置検知器10で検知されたタブ位置に応じてシール栓採血管1を回転させ、タブ3aを姿勢矯正位置まで移動させる。以下では、シール栓採血管1の回転動作原点Oがタブ3aの姿勢矯正位置に設定されているものとする。
【0030】
この回転機構は、第1検知器11でタブ3aが検知された場合、シール栓採血管1を時計回りにほぼ90度回転させ、タブ3aを姿勢矯正位置に移動させる。これにより、例えば、図3の(a)及び図3の(b)に示すような、容器2の鍔部2aの全体を覆うように基準面より下方に折れ曲がったタブ3aは、図6の(a)〜図6の(c)に示すように、姿勢矯正位置に移動される。同様に、第2検知器12でタブ3aが検知された場合、回転機構は、シール栓採血管1を時計回りに90度より若干大きい角度だけ回転させ、タブ3aを姿勢矯正位置に移動させる。
【0031】
また、第3検知器13でタブ3aが検知された場合、回転機構は、シール栓採血管1を反時計回りにほぼ90度回転させ、タブ3aを姿勢矯正位置に移動させる。同様に、第4検知器14でタブ3aが検知された場合、回転機構は、シール栓採血管1を反時計回りに90度より若干大きい角度だけ回転させ、タブ3aを姿勢矯正位置に移動させる。
【0032】
上述した回転機構によってタブ3aが姿勢矯正位置へ移動された後に、搬送機構は、シール栓採血管1を保持機構22で回転不可能に保持して、図6の(a)及び図6の(b)に示すタブ検知位置から、図6の(d)及び図6の(e)に示すタブ剥離位置まで搬送する。これにより、タブ3aの姿勢は、基準面に対してほぼ平行になるように矯正される。
【0033】
図示しない開栓機構は、上述したタブ矯正機構20によって、基準面に対してほぼ平行になるように姿勢が矯正されたタブ3aを、2枚のプレート(図示しない)で上下から挟んで把持する。その後、タブ3aを把持した状態でプレートを、シール栓3のタブ3aが突出方向と直交する軸を中心に回転させることによってシール栓3を容器2から剥離し、開封する。開封されたシール栓3は、タブ3aを挟んでいるプレートを開くことによってシール栓3の自重で落下し、廃棄される。
【0034】
以上説明したように、この実施の形態1に係るシール栓自動開栓装置によれば、シール栓採血管1のシール栓3に設けられたタブ3aの位置を、このタブ3aがとりうるあらゆる姿勢に対応できるように配置された4個の検知器11、検知器12、検知器13、検知器14を用いて光学的に検知し、この検知結果に基づきタブ3aの姿勢を矯正してシール栓3を剥離するように構成したので、タブ3aの姿勢に拘わらずシール栓3を容器2から確実に剥離できる。
【0035】
[実施の形態2]
上述した実施の形態1に係るシール栓自動開栓装置において、第1検知器11でタブ3aが検知された場合は、図3の(a)に示すように、タブ3aがシール栓採血管1の側面(容器2の側面及び鍔部2aを含む)に密着している場合がある。また、第4検知器14でタブ3aが検知された場合は、図3の(j)に示すように、タブ3aがシール栓3の一部を覆うように基準面より上方に折れ曲がって、シール栓3の表面に密着している場合がある。
【0036】
このような場合は、上述した矯正プレート21だけではタブ3aをシール栓採血管1の側面又はシール栓3の表面から引き剥がすことに失敗する可能性があり、その姿勢矯正が適切に行われない虞がある。そこで、実施の形態2に係るシール栓自動開栓装置においては、シール栓採血管1を矯正プレート21に沿って移動させる前に、シール栓採血管1の側面又はシール栓3の表面に密着しているタブ3aを引き剥がして起こすためのタブ剥離工程が実施される。このタブ剥離工程を実施するために、実施の形態2に係るシール栓自動開栓装置は、タブ3aとシール栓採血管1の側面又はタブ3aとシール栓3の表面との間に隙間を生じさせ、タブ3aを起こして密着から解放するためのタブ剥離機構30を備えている。
【0037】
図7は、本発明の実施の形態2に係るシール栓自動開栓装置を構成するタブ剥離機構30を示す図である。このタブ剥離機構30においては、図8に示すような、粘着テープ32を収容したカセット31が使用される。カセット31には開口部33が設けられており、この開口部33から粘着テープ32の一部が露出している。
【0038】
タブ剥離機構30は、図7に示すように、カセット31の開口部33から露出した粘着テープ32が、容器2の鍔部2a及びシール栓3の表面の両方に対して同時に接触及び離反ができるように、基準面に対して所定の角度をもたせて、カセット31を支持している。
【0039】
このタブ剥離機構30は、タブ位置検知器10の第1検知器11及び第4検知器14でタブ3aが検知された場合に、タブ剥離機構30は、タブ矯正機構20の搬送機構によってシール栓採血管1がタブ検知位置からタブ剥離位置まで搬送される前に、保持機構22に保持されたシール栓採血管1を図示矢印A方向に移動させ、シール栓採血管1の側面の一部及びシール栓3の表面の一部をカセット31から露出した粘着テープ32に押し当てて、シール栓採血管1の側面又はシール栓3の表面に密着しているタブ3aに粘着させる。その後、タブ剥離機構30は、保持機構22に保持されたシール栓採血管1を図示矢印B方向に移動させる。これにより、タブ3aがシール栓採血管1の側面又はシール栓3の表面から引き離される。その後、実施の形態1に係るシール栓自動開栓装置と同様に、タブ矯正機構20の搬送機構によってシール栓採血管1がタブ検知位置からタブ剥離位置まで搬送されることにより、タブ3aの姿勢の矯正が行われる。
【0040】
以上説明したように、この実施の形態2に係るシール栓自動開栓装置によれば、タブ3aがシール栓採血管1の側面に密着したり、シール栓3の表面に密着したりしている場合であっても、その密着を解放して姿勢の矯正を確実に行うことができるので、タブ3aの姿勢に拘わらずシール栓3を容器2から確実に剥離できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係るシール栓自動開栓装置で使用されるシール栓採血管を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係るシール栓自動開栓装置で使用されるシール栓採血管の外観斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1に係るシール栓自動開栓装置の運用時において、シール栓に設けられたタブがとりうる姿勢の例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1に係るシール栓自動開栓装置を構成するタブ位置検知器を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1に係るシール栓自動開栓装置を構成するタブ位置検知器の外観斜視図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1に係るシール栓自動開栓装置を構成するタブ矯正機構を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態2に係るシール栓自動開栓装置を構成するタブ剥離機構を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2に係るシール栓自動開栓装置のタブ剥離機構で使用されるカセットを示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1・・・シール栓採血管、2・・・容器、2a・・・鍔部、3・・・シール栓、3a・・・タブ、10・・・タブ位置検知器、11〜14・・・第1〜第4検知器、20・・・タブ矯正機構、21・・・矯正プレート、21a・・・上側プレート、21b・・・下側プレート、22・・・保持機構、30・・・タブ剥離機構、31・・・カセット、32・・・粘着テープ、33・・・カセットの開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タブ検知位置に位置決めされたシール栓採血管を構成する容器の開口部に接着されたシール栓に設けられたタブの位置を、該タブがとりうるあらゆる姿勢に対応できるように配置された複数の検知器を用いて光学的に検知するタブ位置検知器、及び、
前記タブ位置検知器で検知されたタブの位置に基づき該タブの姿勢を矯正するタブ矯正機構、
を備え、
前記タブ矯正機構で矯正されたタブを挟んでシール栓を容器から剥離することにより開栓することを特徴とするシール栓自動開栓装置。
【請求項2】
前記タブ位置検知器は、
前記シール栓採血管を構成する容器の開口部によって形成される開口面から所定距離だけ離れた容器の側面上に照射したスポット光の反射光に基づきタブを検知する第1検知器、
前記開口面の外周から該開口面を延長する方向に所定距離だけ離れた空間に照射したスポット光に基づきタブを検知する第2検知器、
前記開口面から該開口面に直交する方向に所定距離だけ離れた空間に照射したスポット光に基づきタブを検知する第3検知器、及び、
前記開口面の外周から内側方向に所定距離だけ離れた開口面上に照射したスポット光の反射光に基づきタブを検知する第4検知器、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のシール栓自動開栓装置。
【請求項3】
前記タブ矯正機構は、
タブ検知位置に位置決めされているシール栓採血管を、タブの姿勢を矯正するための姿勢矯正位置にタブが移動するまで、前記タブ位置検知器で検知されたタブの位置に応じて回転させる回転機構、及び、
所定の隙間を有するように対向配置され、シール栓の表面側に折れ曲がったタブを矯正する上側プレートとシール栓の裏面側に折れ曲がったタブを矯正する下側プレートから成る矯正プレート、
を備え、
前記回転機構により姿勢矯正位置に移動されたタブを、前記矯正プレートの隙間を移動させることにより該タブの姿勢を矯正することを特徴とする請求項2に記載のシール栓自動開栓装置。
【請求項4】
前記第1検知器又は第4検知器でタブの位置が検知された場合に、タブを粘着テープに接着してシール栓採血管から起こすタブ剥離機構を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載のシール栓自動開栓装置。
【請求項5】
シール栓採血管を構成する容器の開口部に接着されたシール栓に設けられたタブの位置を、
前記開口部によって形成される開口面から所定距離だけ離れた容器の側面上に照射したスポット光の反射光に基づき検知する第1検知器、
前記開口面の外周から該開口面を延長する方向に所定距離だけ離れた空間に照射したスポット光に基づき検知する第2検知器、
前記開口面から該開口面に直交する方向に所定距離だけ離れた空間に照射したスポット光に基づき検知する第3検知器、及び、
前記開口面の外周から内側方向に所定距離だけ離れた開口面上に照射したスポット光の反射光に基づき検知する第4検知器、
によって検知し、
前記第1検知器又は第4検知器でタブの位置が検知された場合に、タブを粘着テープに接着してシール栓採血管から起こし、
前記検知されたタブ又はシール栓採血管から起こされたタブの姿勢を、該検知されたタブの位置に基づき矯正し、
該矯正されたタブを挟んでシール栓を容器から剥離することにより開栓することを特徴とするシール栓自動開栓方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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