説明

シール構造および蒸気タービン

【課題】着脱作業を容易にするシール構造およびそれを備えた蒸気タービンを提供する。
【解決手段】本発明に係るシール構造の実施形態は、タービンロータ軸を収容するタービンケーシング内に設けられ、タービンロータ軸中心を通る水平面を分割面6cとして二分割されたノズルダイヤフラム内輪6と、ノズルダイヤフラム内輪6の内周面とタービンロータ軸の外周面との間に配置されたパッキンリング7とを有する。ノズルダイヤフラム内輪6は、分割面6cから所定高さの位置に設けられた凹部を有する。パッキンリング7は、分割面7aで二分割され、分割面7aから所定高さの位置に設けられた凹部7bを有する。凹部6bと凹部7bとに亘って支持プレート20が挿入される。支持プレート20は、分割面6cに対して垂直方向にノズルダイヤフラム内輪6に対して取付ボルト21により固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シール構造およびそのシール構造を備えた蒸気タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
地熱タービンは、地下のマグマなどの加熱源によって加熱された蒸気を直接タービンに導入して作動流体とし、回転動力を得ようとするものである。地熱蒸気は、地下水がマグマなどの地熱によって加熱されて発生する性質上、硫化水素、塩分などの腐食性成分や、シリカ、カルシウムなどのスケール成分、砂、泥、酸化鉄などの固体粒子を含む。
【0003】
地熱タービンは、タービンロータ軸とノズルダイヤフラム内輪とで形成される間隙に、シール構造を備える。シール構造は、ノズルダイヤフラム内輪に対して間隙を形成しながら固定されるパッキンリングを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−214113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したスケール成分などは、シール構造が形成する間隙に進入し、固着物として付着する。地熱タービンが長期的に運用される場合、間隙に固着物が堆積し、ノズルダイヤフラムとパッキンリング、シール構造を構成するその他の部材、またはシール構造を構成する部材同士を固着させてしまう。
【0006】
定例検査時においては、パッキンリングのフィンが植え替えられたり、またはパッキンリングが交換されたりする。パッキンリングをノズルダイヤフラムから外す場合、固着物により両者は固着しており、パッキンリングを容易に外すことは困難である。このため、パッキンリングの取り外しには、ハンマーで強打するなどの取り外しのための作業が生じてしまう。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、着脱作業を容易にするシール構造およびそれを備えた蒸気タービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るシール構造の実施形態は、上述した課題を解決するために、タービンロータ軸を収容するタービンケーシング内に設けられ、前記タービンロータ軸中心を通る水平面を分割面として二分割された静翼内輪と、前記静翼内輪の内周面と前記タービンロータ軸の外周面との間に配置されたシール部材とを有する。静翼内輪は、前記分割面から所定高さの位置に設けられた静翼内輪側凹部を有する。シール部材は、前記分割面で二分割され、前記分割面から所定高さの位置に設けられたシール部材側凹部を有する。前記静翼内輪側凹部と前記シール部材側凹部とに亘って支持プレートが挿入される。支持プレートは、前記分割面に対して垂直方向に前記静翼内輪に対して固定部材により固定される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態におけるシール構造および蒸気タービンの一部を示す断面図。
【図2】第1実施形態におけるシール構造の全体を軸方向から示す断面図。
【図3】図1の領域IIIの拡大図。
【図4】図2の領域IVの拡大図。
【図5】図4の矢印V方向からシール構造を示す構成図。
【図6】第1実施形態の比較例としてのシール構造を特に示す断面図。
【図7】第1実施形態の比較例としてのシール構造の一部を軸方向から示す断面図。
【図8】第2実施形態におけるシール構造の構成図。
【図9】第2実施形態のシール構造を軸方向から示す構成図。
【図10】第2実施形態のシール構造の第1の変形例を示す構成図。
【図11】第2実施形態のシール構造の第2の変形例を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本発明に係るシール構造およびそれを備える蒸気タービンの第1実施形態を添付図面に基づいて説明する。各実施形態においては、シール構造および蒸気タービンは、地熱タービンに適用される場合に好適に作用する。
【0011】
図1は、第1実施形態におけるシール構造10および蒸気タービン1の一部を示す断面図である。
【0012】
蒸気タービン1は、タービンケーシング2内にタービン段落を多段落構造に、かつ同芯状に有する。タービン段落は、ノズル3(静翼)と動翼4との組み合わせで構成される。ノズル3は、ノズルダイヤフラム外輪5と、このノズルダイヤフラム外輪5の半径方向内側に位置するノズルダイヤフラム内輪6(静翼内輪)との間に設けられる。動翼4は、ノズル3の下流側に対向して配置され、タービンロータ軸9の縁周方向に翼列をなす。
【0013】
ノズルダイヤフラム内輪6の内周側には、シール構造10が設けられる。シール構造10は、パッキンリング7およびシールフィン8を有する。パッキンリング7は、ノズルダイヤフラム内輪6の内周面とタービンロータ軸9の外周面との間に配置される。パッキンリング7は、支持部材12によりノズルダイヤフラム内輪6に支持される。シールフィン8は、パッキンリング7のシール面に複数状設けられ、断面櫛歯状である。
【0014】
タービンケーシング2内に設けられるタービンロータ軸9は、シールフィン8に対向する外表面に、凹凸状溝9aを有する。凹凸状溝9aとシールフィン8とは、微小な間隙を形成し、ラビリンス構造の蒸気シール部を構成する。蒸気タービン1は、蒸気シール部により蒸気の漏洩を防止するタービンロータ軸9の蒸気漏洩防止構造を得る。
【0015】
図2は、第1実施形態におけるシール構造10の全体を軸方向から示す断面図である。図2は、シール構造10の説明を容易にするため、ノズルダイヤフラム内輪6およびパッキンリング7を断面で示す。
【0016】
図3は、図1の領域IIIの拡大図である。なお図3は、図1とは逆方向(紙面奥から手前)から見た場合の領域IIIの拡大図である。
【0017】
図4は、図2の領域IVの拡大図である。
【0018】
図5は、図4の矢印V方向からシール構造10を示す構成図である。
【0019】
図2に示すように、パッキンリング7(シール部材)は、タービンロータ軸9(パッキンリング7)の中心を通る水平面を分割面7aとして、上下方向に二分割され、2つの上パッキンリング7Aと下パッキンリング7Bとを有する。また、図3に示すように、パッキンリング7は、T字形状の径方向断面を有し、ノズルダイヤフラム内輪6との間でロータ軸9の軸方向の嵌め合い関係を有する凹凸を有しない。
【0020】
なお、図2に示すように、ノズルダイヤフラム内輪6についてもパッキンリング7と同様に、上ノズルダイヤフラム内輪6Aと下ノズルダイヤフラム内輪6Bとに二分割される。パッキンリング7およびノズルダイヤフラム内輪6の各分割片を特に区別しない場合には、単にパッキンリング7およびノズルダイヤフラム内輪6という。
【0021】
図2、図3に示すように、上パッキンリング7Aと下パッキンリング7Bとは、リーマボルト13で結合される。リーマボルト13は、上下パッキンリング7A、7Bと、ロータ軸9との間隙を全周に亘り一様にするために設けられる。すなわち、リーマボルト13は、パッキンリング7を正円形に保つ。パッキンリング7とロータ軸9との間隙が全周に亘り異なると、圧力のアンバランスが生じ振動の原因となるためである。
【0022】
図2〜図5に示すように、上下パッキンリング7A、7Bは、浮き上がり防止ピン14により固定される。浮き上がり防止ピン14は、蒸気の旋回力によるパッキンリング7の回転を防止する。
【0023】
図2および図3に示すように、パッキンリング7は、ノズルダイヤフラム内輪6とロータ軸9の軸方向に対向する面に、ロータ軸9の軸方向に突出する複数の間隙管理ピン15を有する。間隙管理ピン15は、溶接による肉盛で形成されてもよいし、別部材がパッキンリング7に取り付けられてもよい。間隙管理ピン15は、ノズルダイヤフラム内輪6のダブテール6aとパッキンリング7との間隙17に設けられることで、間隙17を狭小化する。間隙17は、スケールなどを起因とする固着物が容易に発生する箇所である。シール構造10は、全周の間隙17を狭小間隙とすることなく、間隙管理ピン15を設けた一部の間隙17を狭小化することで固着を防いでいる。
【0024】
図2、図3に示すように、シール構造10は、上下パッキンリング7A、7Bとノズルダイヤフラム内輪6とをそれぞれ固定するための支持部材12を有する。支持部材12は、支持プレート20および支持プレート取付ボルト21を有する。また、図4、図5に示すように、パッキンリング7およびノズルダイヤフラム内輪6は、支持部材12として凹部7b、6bをそれぞれ有する。
【0025】
ここで、図3〜図5に示すように、支持プレート20は、例えば金属板であり、凹部6b、7bに亘って配置され、ノズルダイヤフラム内輪6とパッキンリング7とを水平面20aで支持する。支持プレート取付ボルト(取付ボルト)21(固定部材)は、ノズルダイヤフラム内輪6に対して支持プレート20を固定するため、分割面6c(水平面20a)に対して垂直な方向に取り付けられる。
【0026】
図4、図5に示すように、パッキンリング7の凹部7b(シール部材側凹部)は、分割面7aから所定高さの位置に形成される。上下パッキンリング7A、7Bは、支持プレート20の水平面20aと対向する固定面7cと、支持プレート20の進入を止める壁部7dとを有する。
【0027】
図4に示すように、ノズルダイヤフラム内輪6の凹部6b(静翼内輪側凹部)は、ノズルダイヤフラム内輪6の分割面6cから所定高さの位置に形成される。ノズルダイヤフラム内輪6は、支持プレート20の水平面20aと対向する固定面6d、および固定面6dに対して垂直方向なボルト孔6eを有する。
【0028】
次に、ノズルダイヤフラム内輪6に対してパッキンリング7を取り外す際の手順について説明する。
【0029】
図3、図4に示すように、パッキンリング7は、支持プレート20および取付ボルト21を介してノズルダイヤフラム内輪6と固定される。このとき、パッキンリング7は、ノズルダイヤフラム内輪6に対して径方向(軸方向と直交する方向)に伸びる支持プレート20により水平に固定される。また、上パッキンリング7Aは、指示プレート20を介して上ノズルダイヤフラム内輪6Aに対して固定されることにより、落下が防止される。
【0030】
取り外しの際に上ノズルダイヤフラム内輪6Aが持ち上げられると、上パッキンリング7Aは、固定面7cにおいて接触する支持プレート20および取付ボルト21を介して上ノズルダイヤフラム内輪6Aと共に持ち上げられる。上ノズルダイヤフラム内輪6Aと上パッキンリング7Aとは、蒸気タービン1から取り出される。このとき、上パッキンリング7Aと下パッキンリング7Bとは、リーマボルト13と浮き上がり防止ピン14とによる結合から解除される。リーマボルト13と浮き上がり防止ピン14とは、下パッキンリング7Bから取り外される。
【0031】
次に、図4、図5に示すように、取付ボルト21がボルト孔6eから取り外されると、支持プレート20は固定面6dに対する接触から開放される(支持プレート20とノズルダイヤフラム内輪6との固定が解除)。支持プレート20は、凹部6b、7bから水平にスライドされて取り外される。支持プレート20は、図4の紙面奥から手前方向、図5の右方向から左方向に凹部6b、7bから取り外される。
【0032】
支持プレート20が取り外されることでパッキンリング7とノズルダイヤフラム内輪6の結合は解除され、パッキンリング7はノズルダイヤフラム内輪6に対してスライドされ容易に取り外される。
【0033】
ここで、第1実施形態におけるシール構造10の比較例としてのシール構造について説明する。
【0034】
図6は、第1実施形態の比較例としてのシール構造50を特に示す断面図である。
【0035】
図7は、第1実施形態の比較例としてのシール構造50の一部を軸方向から示す断面図である。
【0036】
パッキンリング57は、周方向に4以上の偶数に分割される。図7においては、分割されたパッキンリング57のうち、2片が示される。各パッキンリング57は、周方向に沿って凹部57aを有する。また、図6に示すように、各パッキンリング57は、凹部57aでノズルダイヤフラム内輪56のダブテール56aのフック面56bに支持され、ノズルダイヤフラム内輪56に固定される。
【0037】
パッキンリング57は、固定溝57bに設けられる板バネ60を介してフック面56bに対してロータ軸59方向に押しつけられて固定される。蒸気タービンが運転している状態では更に蒸気による圧力差が生じ、パッキンリング57のフック面56bへの押付力は増す。
【0038】
このとき、図6、図7に示すように、蒸気成分に含まれるスケール成分などはダブテール56a、および分割面に形成されるバットクリアランス61に進入し、パッキンリング57とダブテール56aとの間隙や、板バネ60の固定溝57bに付着し固着物となる。
【0039】
蒸気タービンが長期的に運用される場合、間隙に固着物が堆積しノズルダイヤフラム内輪56とパッキンリング57、ノズルダイヤフラム内輪56またはパッキンリング57と板バネ60、およびパッキンリング57同士を固着させてしまう。
【0040】
また、パッキンリング57は、板バネ60によってフック面56bに押し付けられて間隙がなくなる。しかし、実際には狭小間隙が形成され、この狭小間隙にスケールは進入し、固着物が発生してしまう。
【0041】
ここで、図6に示すように、定例検査時にパッキンリング57のシールフィン58を植え替える、またはパッキンリング57を交換する場合においてこのような固着が生じた場合には、パッキンリング57をノズルダイヤフラム内輪56から容易に外すことは困難である。比較例としてのシール構造50は、パッキンリング57を外す際、ハンマーなどの工具でたたくなどして取り外す行為が必要となる。
【0042】
これにより、パッキンリング57を外す際、ロータ軸59のフィンを傷つけたり欠損させたりする可能性がある。また、下半側のパッキンリング57の分割片をそれぞれを取り外す際は、ロータ軸59を抜き出す必要があり、定検工事の時間が短縮できなかった。
【0043】
これに対し、第1実施形態におけるシール構造10は、図3に示すように、ノズルダイヤフラム内輪6のダブテール6aにフック面を設けず、また、パッキンリング7にダブテール6aに対応する凹部を設けない。また、ノズルダイヤフラム内輪6とパッキンリング7との間隙を調整するための板バネ60のような部材を設けない。
【0044】
すなわち、シール構造10は、パッキンリング7とノズルダイヤフラム内輪6とに、パッキンリング7をノズルダイヤフラム内輪6に固定するための凹凸構造を設けず、不要な間隙を形成させないようにした。
【0045】
シール構造10は、パッキンリング7とノズルダイヤフラム内輪6との間隙にスケールなどを堆積させることがないため、両者の固着を低減させることができる。これにより、シール構造10は、パッキンリング7とノズルダイヤフラム内輪6とを容易に着脱することができ、メンテナンス時における作業工程や手間を低減することができる。
【0046】
[第2実施形態]
本発明に係るシール構造およびそれを備える蒸気タービンの第2実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0047】
図8は、第2実施形態における蒸気タービンに設けられるシール構造70の構成図である。
【0048】
図9は、第2実施形態のシール構造70を軸方向から示す構成図である。
【0049】
第2実施形態におけるシール構造70が第1実施形態と異なる点は、支持プレート81の形状がL字形である点である。第1実施形態と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0050】
図8に示すように、シール構造70は、上下パッキンリング(以下、単にパッキンリングという。)77とノズルダイヤフラム内輪76とをそれぞれ固定するための支持部材80を有する。支持部材80は、支持プレート81および支持プレート取付ボルト(取付ボルト)82を有する。また、図9に示すように、パッキンリング77およびノズルダイヤフラム内輪76は、支持部材80として、凹部77b、76bをそれぞれ有する。
【0051】
ここで、図8、図9に示すように、支持プレート81は、ノズルダイヤフラム内輪76に対してパッキンリング77を固定する固定部81a(第1実施形態における支持プレート20と同機能)と、ノズルダイヤフラム内輪76の分割面76cにおけるシール機能を有するシール部81bとを有する。固定部81aは、凹部76bと凹部77bとに亘って挿入される。シール部81bは、二分割されたノズルダイヤフラム内輪76の分割面76cに沿って、分割面76cをシールする。支持プレート81は、上下のノズルダイヤフラム内輪76および上下のパッキンリング77に共通して用いられる。
【0052】
図9に示すように、パッキンリング77の凹部77bは、パッキンリング77の分割面77aから所定高さまで形成される。ノズルダイヤフラム内輪76の凹部76bは、凹部77bと同様に所定高さまで形成される。凹部76bは、L字形の支持プレート81の形状に合わせたL字形に形成される。
【0053】
図8、図9に示すように、ノズルダイヤフラム内輪76は、支持プレート81の固定部81aと対向する固定面76d、および固定面76dに対して垂直方向なボルト孔76eを有する。
【0054】
支持プレート81は、上下のパッキンリング77およびノズルダイヤフラム内輪76に共通して用いられるため、上下のパッキンリング77およびノズルダイヤフラム内輪76に設けられる各凹部76b、77bは分割面77a、76cにおいて連結されている。
【0055】
支持プレート81は、ノズルダイヤフラム内輪76およびパッキンリング77に対して上下方向(図8の上下方向)に着脱される。支持プレート81は、凹部76b、77bへの取付時においては、取付ボルト82によりノズルダイヤフラム内輪76に固定される。
【0056】
取り外しの際には、取付ボルト82を外し、支持プレート81を抜くことで、パッキンリング77はダイヤフラム内輪76から容易に取り外される。
【0057】
第2実施形態におけるシール構造70および蒸気タービンは、第1実施形態のシール構造が奏する効果に加え、支持プレート81のシール部81bは、上下に分割されたノズルダイヤフラム内輪76の分割面76cをシールするため、蒸気タービンのシール機能を高めることができる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0059】
例えば、各実施形態におけるシール構造は、固着物の発生を防止し、パッキンリングの着脱が容易であることから、以下の構造を地熱タービン(蒸気タービン)のシール構造に採用することが容易となる。
【0060】
図10は、第2実施形態のシール構造の第1の変形例を示す構成図である。
【0061】
図11は、第2実施形態のシール構造の第2の変形例を示す構成図である。
【0062】
シール構造70は、パッキンリング77と対向するタービンロータ軸9の外周面にシールフィン9aを設けてもよい。
【0063】
また、シールフィン9aと対向するパッキンリング77のシール面に、アブレイダブルコーティング78を施してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 蒸気タービン
6、76 ノズルダイヤフラム内輪
6A 上ノズルダイヤフラム内輪
6B 下ノズルダイヤフラム内輪
6a ダブテール
6b、76b 凹部
6c、76c 分割面
6e、76e ボルト孔
7、77 パッキンリング
7A 上パッキンリング
7B 下パッキンリング
7a、77a 分割面
7b、77b 凹部
10、70 シール構造
12、80 支持部材
13 リーマボルト
14 浮き上がり防止ピン
15 間隙管理ピン
20、81 支持プレート
21、82 支持プレート取付ボルト
81a 固定部
81b シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンロータ軸を収容するタービンケーシング内に設けられ、前記タービンロータ軸中心を通る水平面を分割面として二分割され、前記分割面から所定高さの位置に設けられた静翼内輪側凹部を有する静翼内輪と、
前記静翼内輪の内周面と前記タービンロータ軸の外周面との間に配置され、前記分割面で二分割され、前記分割面から所定高さの位置に設けられたシール部材側凹部を有するシール部材と、
前記静翼内輪側凹部と前記シール部材側凹部とに亘って挿入される支持プレートと、
前記分割面に対して垂直方向に前記支持プレートを前記静翼内輪に固定する固定部材とを備えたことを特徴とするシール構造。
【請求項2】
前記シール部材は、T字形状の径方向断面を有する請求項1記載のシール構造。
【請求項3】
前記支持プレートは、前記静翼内輪側凹部と前記シール部材側凹部とに亘って挿入される固定部と、二分割された前記静翼内輪の分割面に沿うシール部とを有する請求項1または2記載のシール構造。
【請求項4】
前記シール部材は、前記静翼内輪と軸方向において対向する面に、凸部を有する請求項1〜3のいずれか一項記載のシール構造。
【請求項5】
二分割された前記シール部材を分割面において結合する結合部材をさらに備えた請求項1〜4のいずれか一項のシール構造。
【請求項6】
前記タービンロータ軸は、前記シール部材と対向する外周面にシールフィンを有する請求項1〜5のいずれか一項記載のシール構造。
【請求項7】
前記シール部材は、前記シールフィンと対向する面にアブレイダブルコーティングを有する請求項6記載のシール構造。
【請求項8】
タービンロータ軸を収容するタービンケーシングと、
前記タービンケーシング内に設けられる静翼と、前記静翼の下流側に対向配置された前記タービンロータ軸の縁周方向に翼列をなして設けられる動翼とを有するタービン段落と、
前記タービンロータ軸中心を通る水平面を分割面として二分割され、前記分割面から所定高さの位置に設けられた静翼内輪側凹部を有する静翼内輪と、
前記静翼内輪の内周面と前記タービンロータ軸の外周面との間に配置され、前記分割面で二分割され、前記分割面から所定高さの位置に設けられたシール部材側凹部を有するシール部材と、
前記静翼内輪側凹部と前記シール部材側凹部とに亘って挿入される支持プレートと、
前記分割面に対して垂直方向に前記支持プレートを前記静翼内輪に固定する固定部材とを備えたことを特徴とする蒸気タービン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−50044(P2013−50044A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187231(P2011−187231)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】