説明

シール構造

【課題】容器構造の収容部材と収容部材に貫通挿入される挿入部材との間の隙間を密閉するシール構造において、汎用性に優れたシール構造を提供する。
【解決手段】容器構造のハウジング12と、ハウジング12に貫通挿入されるケーブル14との間を密閉するシール構造100において、弾性変形を可能とする細長形状のシール材10を備えており、シール材10は、ケーブル14に巻きつけされて螺旋形状に変形するとともに圧縮されて弾性変形することで、ハウジング12とケーブル14との間の隙間を密閉可能としている。これによれば、ケーブル14の形状や大きさ等に応じてシール材10を変形させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器構造の収容部材と、収容部材に貫通挿入される挿入部材との間の隙間を密閉するシール構造である。
【背景技術】
【0002】
従来、シール構造として、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載のシール構造は、モータに接続されるケーブルと、このケーブルを挿通させる貫通孔が設けられたモータハウジングとの間の隙間を密閉するためのものである。モータハウジングとモータハウジングに取り付けられるブラケットとの間には、弾性部材が介在されており、ケーブルは、モータハウジング、弾性部材、及びブラケットに対し、所定の隙間を空けて貫通挿入されている。そして、モータハウジングとブラケットとによって弾性部材を圧縮して弾性変形させ、弾性部材が縮径することでケーブルとモータハウジングとの隙間を密閉している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−45904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシール構造では、貫通挿入されるケーブルの直径に応じて弾性部材の形状設計を変更する必要があり、汎用性に欠けるといった問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、容器構造の収容部材と収容部材に貫通挿入される挿入部材との間の隙間を密閉するシール構造において、汎用性に優れたシール構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成する為に、以下の技術的手段を採用する。
【0007】
請求項1に係る発明は、容器構造の収容部材(12)と、収容部材(12)に貫通挿入される挿入部材(14、214、314)との間を密閉するシール構造において、弾性変形を可能とする細長形状の弾性部材(10、210、310、410、510)を備えており、弾性部材(10、210、310、410、510)は、挿入部材(14、214、314)に巻きつけされて螺旋形状に変形するとともに圧縮されて弾性変形することで、収容部材(12)と挿入部材(14、214、314)との間の隙間を密閉可能とすることを特徴とする。
【0008】
これによれば、挿入部材(14、214、314)に巻きつけされて螺旋形状に変形するとともに圧縮されて弾性変形した締め付け状態において、収容部材(12)と挿入部材(14、214、314)との間の隙間を密閉可能とする細長形状の弾性部材(10、210、310、410、510)を備えることで、挿入部材(14、214、314)の形状や大きさ等に応じて弾性部材(10、210、310、410、510)を変形させることができる為、汎用性に優れたシール構造を提供することが可能となる。
【0009】
請求項2に係る発明では、弾性部材(10、210、310、410、510)には、高粘度の硬質液体が塗布されていることを特徴とする。
【0010】
これによれば、弾性部材(10、210、310、410、510)に硬質液体を塗布することで、硬質液体が、締め付け状態における弾性部材(10、210、310、410、510)の螺旋形状の隙間(17)、換言すると、隣接する弾性部材(10、210、310、410、510)間の隙間(17)を埋めることができる為、弾性部材(10、210、310、410、510)のシール性の向上を図ることが可能となる。ここで、硬質液体とは、粘度が高く流動性が無いため常温では半固体または半流動性を呈するものであり、例えば、グリス等である。
【0011】
請求項3に係る発明では、弾性部材(10、210、410)は、塑性変形を可能とする細長形状の芯材(15)を内蔵していることを特徴とする。
【0012】
これによれば、塑性変形を可能とする芯材(15)を弾性部材(10、210、410)に内蔵することで、弾性部材(10、210、410)を挿入部材(14、214、314)に巻き付けて螺旋形状に変形させる荷重を取り除いた後においても、芯材(15)が、細長形状に戻らずに弾性部材(10、210、410)を螺旋形状に保つことができる為、弾性部材(10、210、410)を挿入部材(14、214、314)に巻き付け易くなり、巻き付け作業性の向上を図ることが可能となる。
【0013】
請求項4に係る発明では、弾性部材(10、210、310、410、510)は、螺旋形状に変形するとともに、収納部材に対して弾性部材(10、210、310、410、510)を貫通方向に押さえ付けるように取り付けられた押さえ部材(11)によって圧縮されて弾性変形することで、収容部材(12)と挿入部材(14、214、314)との間の隙間を密閉可能とすることを特徴とする。
【0014】
これによれば、押さえ部材(11)によって収容部材(12)に対して弾性部材(10、210、310、410、510)を貫通方向に押さえ付けることで、弾性部材(10、210、310、410、510)が貫通方向に圧縮されて径方向(貫通方向と直交する方向)に弾性変形するため、弾性部材(10、210、310、410、510)を容易に締め付け状態とすることができ、収容部材(12)と挿入部材(14)との間を確実に密閉可能とすることができる。
【0015】
請求項5に係る発明では、弾性部材(10、410)は、内側空間(16)を有する中空のパイプ形状であり、弾性部材(10、410)の長手方向両端部のうち少なくとも一方には、内側空間(16)を閉塞する栓体(30)が設けられていることを特徴とする。
【0016】
これによれば、弾性部材(10、410)を中空のパイプ形状とした時に、弾性部材(10、410)の長手方向両端部のうち少なくとも一方に栓体(30)を設けることで、弾性部材(10、410)の内側空間(16)が閉塞されるため、収容部材(12)の内部と外部とが弾性部材(10、410)の内側空間(16)を介して連通してしまうこと、つまりシール漏れを防止することが可能となる。
【0017】
請求項6に係る発明では、弾性部材(10、210、310、410、510)は、螺旋形状に変形するとともに、収容部材(12)内の圧力によって圧縮されて弾性変形することで、収容部材(12)と挿入部材(14、214、314)との間の隙間を密閉可能とすることを特徴とする。
【0018】
これによれば、収容部材(12)内の圧力(内圧)によって収納部材に対して弾性部材(10、210、310、410、510)を押さえ付けることで、弾性部材(10、210、310、410、510)が圧縮されて弾性変形するため、弾性部材(10、210、310、410、510)を容易に締め付け状態とすることができ、収容部材(12)と挿入部材(14)との間の隙間を確実に密閉可能とすることができる。
【0019】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態におけるシール構造を示す断面図である。
【図2】第1実施形態におけるシール材を示す拡大斜視図である。
【図3】第1実施形態におけるシール材を示す断面図である。
【図4】第1実施形態におけるシール構造を示す一部拡大断面図である。
【図5】第1実施形態及び他の実施形態におけるケーブルの形状を示す斜視図である。
【図6】他の実施形態におけるシール材を示す断面図である。
【図7】他の実施形態におけるシール材を示す斜視図である。
【図8】他の実施形態におけるシール材の断面を示す斜視図である。
【図9】他の実施形態におけるシール材を示す斜視図である。
【図10】他の実施形態におけるシール構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下に、本発明の第1実施形態におけるシール構造100について、図1乃至図3を用いて説明する。図1は、本実施形態におけるシール構造100を示す断面図である。
【0022】
本実施形態におけるシール構造100は、例えば、電気自動車などのモータに接続されるケーブル14と、ケーブル14が貫通して挿入されたハウジング12との間の隙間を密閉するためのものである。なお、図1は、ハウジング12におけるケーブル14が貫通して挿入された部分の一部拡大断面図であり、図1中の右側がハウジング12の外側であって、図1中の左側がハウジング12の内側となっている。
【0023】
ケーブル14は、断面円形状の線材であり、ハウジング12内の図示しないモータに接続されてモータに駆動電流を供給するものである。ケーブル14は、ハウジング12に貫通して挿入されている。ケーブル14の両端には、コネクタ13が取り付けられている。コネクタ13は、ケーブル14とモータや図示しない外部電源などとを連結するものであり、ケーブル14の直径よりも大きい。ここで、本実施形態におけるコネクタ13は、シール構造100を取り付けた後にケーブル14の両端に取り付けられるものである。なお、ケーブル14は、本発明の挿入部材に相当する。
【0024】
ハウジング12は、容器構造であって、モータを内部に収容するものである。ハウジング12の外面12aには、貫通孔12bが形成されている。貫通孔12bには、ケーブル14が貫通して挿入されている。
【0025】
貫通孔12bには、ケーブル14の外径と略同一の内径の挿入部12cと、挿入部12cの内径より大きい内径の拡径部12dとが形成されている。ここで、挿入部12cの内径とケーブル14の外径とが略同一であることは、挿入部12cにケーブル14が挿入可能な程度の微細な隙間が形成されている場合も含むものである。貫通孔12b、挿入部12c、及び拡径部12dは、貫通方向における断面を円形状とし、これらの中心軸は、ケーブル14の中心軸Aと同一である。挿入部12cは、拡径部12dよりもハウジング12の内側に位置して設けられている。また、拡径部12dは、挿入部12cの一端からハウジング12の外面12aまで同一の内径で形成されており、外面12aに開口して設けられている。
【0026】
挿入部12cと拡径部12dとの間には、段差面12eが形成されている。段差面12eは、挿入部12cから拡径部12dまでケーブル14の径方向に広がる環状の平面である。なお、ハウジング12は、本発明における収容部材に相当する。
【0027】
ハウジング12の外面12aには、ブラケット11が取り付けられている。ブラケット11のハウジング12側には、凸部11aが形成されている。凸部11aは、ハウジング12の拡径部12d内に挿入されており、凸部11aの外径と拡径部12dの内径とは略同一である。ここで、凸部11aの外径と拡径部12dの内径とが略同一であることは、拡径部12dに凸部11aが挿入可能な程度の微細な隙間が形成されている場合も含むものである。
【0028】
凸部11aを含むブラケット11には、ケーブル14が貫通して挿入される貫通孔11bが形成されている。貫通孔11bの内径は、ケーブル14の外径と略同一である。ここで、貫通孔11bの内径とケーブル14の外径とが略同一であることは、貫通孔11bにケーブル14が挿入可能な程度の微細な隙間が形成されている場合も含むものである。凸部11a、及び貫通孔11bは、突出方向、或いは貫通方向における断面を円形状とし、これらの中心軸は、ケーブル14の中心軸Aと同一である。ブラケット11は、図示しない締結部材を介してハウジング12に取り付けられている。
【0029】
凸部11aには、その突出する先端に、後述するシール材10に当接し、段差面12eとともにシール材10を押さえ付けて圧縮する押さえ面11cが形成されている。押さえ面11cは、段差面12eに対向しており、ケーブル14の径方向に広がる環状の平面である。なお、ブラケット11は、本発明の押さえ部材に相当する。
【0030】
ハウジング12の拡径部12d内には、シール材10が配設されている。図2は、本実施形態におけるシール材10を示す拡大斜視図である。図3は、本実施形態におけるシール材10を示す断面図である。シール材10は、内側空間16を有する中空の細長いパイプ形状であり、弾性変形を可能としている。シール材10の長手方向から見た断面形状は、環状円形である。シール材10は、例えば、ゴム類であり、具体的には、シリコンゴムなどで形成されている。また、シール材10の長手方向両端部には、内側空間16を閉塞する栓体30が設けられている。
【0031】
シール材10は、塑性変形を可能とする細長形状の芯材15を内蔵している。ここで、塑性変形を可能とするとは、変形を引き起こしている荷重を取り除いた後においても、元に戻らずにその形状を保つことが可能なことをいう。芯材15は、シール材10内をシール材10の長手方向に沿って延びる線材であり、例えば、柔らかい針金形状の金属や樹脂などで形成されている。
【0032】
また、シール材10の外周面には、高粘度の硬質液体、例えば、グリス等が全面に亘って塗布されている。ここで、硬質液体とは、粘度が高く流動性が無いため常温では半固体または半流動性を呈するものである。ここで、栓体30は、シール材10の長手方向両端部のうち少なくとも一方に設けられていれば良い。なお、シール材10は、本発明の弾性部材に相当する。
【0033】
次に、本実施形態におけるシール構造100のシール方法について図4を用いて説明する。図4は、本実施形態におけるシール構造100を示す一部拡大断面図である。
【0034】
まず、シール材10を、ケーブル14の外周面に沿って巻き付けて、細長い形状から螺旋形状に変形させる。本実施形態では、シール材10をケーブル14の外周面に沿って4周に亘って巻き付ける。そして、ケーブル14の一端側をハウジング12の貫通孔12bに挿入し、ハウジング12の拡径部12d内にシール材10を収容するとともに、ケーブル14の他端側をブラケット11の貫通孔11bに挿入し、ハウジング12の拡径部12d内に凸部11aを挿入する(図4中(a)に示す状態)。その後、ハウジング12の段差面12eとブラケット11の押さえ面11cとによって、シール材10をケーブル14の軸方向(貫通方向)に押さえ付ける。その結果、シール材10は、圧縮されて径方向(貫通方向と直交する方向)に弾性変形して締め付け状態となる(図4中(b)に示す状態)。締め付け状態におけるシール材10は、ハウジング12とケーブル14との間の隙間を密閉している。具体的には、図4(b)に示すように、締め付け状態におけるシール材10は、弾性変形することで、ケーブル14の径方向外側において、拡径部12dの内周面に押さえ付けられている。また、締め付け状態におけるシール材10は、弾性変形することで、ケーブル14の径方向内側において、ケーブル14の外周面に押さえ付けられている。従って、シール材10は、ハウジング12とケーブル14との間の隙間を密閉することができる。
【0035】
本実施形態のシール構造100は、以下のような作用効果を奏する。
【0036】
本実施形態におけるシール構造100は、締め付け状態においてハウジング12とケーブル14との間の隙間を密閉可能とする細長形状のシール材10を備えている。従って、ケーブル14の形状や大きさ等に応じてシール材10を変形させることができる為、汎用性の向上を図ることが可能となる。
【0037】
また、本実施形態におけるシール構造100は、シール材10に硬質液体が塗布されている。従って、硬質液体が、締め付け状態におけるシール材10の螺旋形状の隙間17、換言すると、隣接するシール材10間の隙間17を埋めることができる為、シール材10のシール性の向上を図ることが可能となる。
【0038】
また、本実施形態におけるシール構造100は、塑性変形を可能とする芯材15をシール材10に内蔵している。従って、シール材10をケーブル14に巻き付けて螺旋形状に変形させる荷重を取り除いた後においても、芯材15が、細長形状に戻らずにシール材10を螺旋形状に保つことができる為、シール材10をケーブル14に巻き付け易くなり、巻き付け作業性の向上を図ることが可能となる。
【0039】
また、本実施形態におけるシール構造100は、シール材10の長手方向両端部に、内側空間16を閉塞する栓体30を設けている。従って、シール材10を中空のパイプ形状とした時に、シール材10の長手方向両端部に栓体30を設けることで、シール材10の内側空間16が閉塞され、ハウジング12の内部と外部とがシール材10の内側空間16を介して連通してしまうこと、つまりシール漏れを防止することが可能となる。
【0040】
また、本実施形態におけるシール構造100は、ブラケット11によってハウジング12に対してシール材10を貫通方向に押さえ付け、シール材10を貫通方向に圧縮させて径方向に弾性変形させている。従って、シール材10を容易に締め付け状態とすることができ、ハウジング12とケーブル14との間を確実に密閉可能とする。つまり、シール構造100のシール性の向上を図ることが可能となる。
【0041】
(他の実施形態)
図5中の(b)(c)は、他の実施形態におけるケーブル214、314の形状を示す斜視図である。上記第1実施形態では、図5(a)に示すように、ケーブル14の長手方向から見た断面形状は、円形であるものとして説明したが、本発明は、これに限定されることは無い。例えば、図5(b)に示すような長手方向から見た断面形状が楕円形状のケーブル214に対しても、第1実施形態におけるシール材10を適用することが可能である。また、図5(c)に示すような長手方向から見た断面形状が小判形状のケーブル314に対しても、第1実施形態におけるシール材10を適用することが可能である。
【0042】
また、上記第1実施形態では、挿入部材として、ケーブル14が適用されているが、本発明は、これに限定されることは無い。例えば、挿入部材として、金属製、又は樹脂製の軸や、中心軸を中心に回転する回転軸が適用されていても良い。
【0043】
また、第1実施形態におけるシール材10の長手方向両端部には、内側空間16を閉塞する栓体30が設けられているが、本発明は、これに限定されることは無い。例えば、栓体30は、シール材10の長手方向両端部のうち少なくとも一方に設けられていれば良い。また、シール材10の長手方向中央部に設けられていても良い。
【0044】
また、上記第1実施形態では、シール材10は、内側空間16を有する中空の細長いパイプ形状であるが、本発明は、これに限定されることは無い。例えば、図6に示すように、内側空間を有さない中実のシール材210が適用されていても良い。図6は、他の実施形態におけるシール材210を示す断面図である。シール材210を中実とすることで、シール材210に内側空間が形成されない為、ハウジング12内の空気がシール材210内を流通して外部に漏れることを防止することが可能となる。
【0045】
また、上記第1実施形態では、シール材10は、塑性変形を可能とする細長形状の芯材15を内蔵しているが、本発明は、これに限定されることは無い。例えば、図7に示すように、芯材を内蔵しない中実のシール材310が適用されていても良い。図7は、他の実施形態におけるシール材310を示す斜視図である。
【0046】
また、上記第1実施形態では、シール材10の長手方向から見た断面形状は、環状円形状であるが、本発明は、これに限定されることは無い。例えば、図8に示すように、長手方向から見た断面形状が環状四角形のシール材410が適用されていても良い。図8は、他の実施形態におけるシール材410の断面を示す斜視図である。また、図9に示すように、長手方向から見た断面形状が四角形であって、芯材を内蔵しない中実のシール材510が適用されていても良い。図9は、他の実施形態におけるシール材510の斜視図である。
【0047】
また、上記第1実施形態におけるブラケット11、及びハウジング12は、図10に示すように半割り構造としても良い。図10は、他の実施形態におけるシール構造200を示す分解斜視図である。ブラケット211は、ケーブル14の径方向に沿って、第1ブラケット部211aと第2ブラケット部211bとに半割りされている。ハウジング212も、ケーブル14の径方向に沿って、第1ハウジング部212aと第2ハウジング部212bとに半割りされている。ブラケット211、及びハウジング212を半割り構造とすることで、ケーブル14の先端に、例えばセンサなどが組み付けられていても、ケーブル14を途中で切断する必要が無く、ケーブル14をブラケット211、及びハウジング212に取り付けることが可能となる。
【0048】
また、上記第1実施形態では、シール材10をケーブル14の外周面に沿って4周に亘って巻き付けているが、本発明は、これに限定されることは無い。例えば、シール材10を長くして、4周以上巻きつけも良いし、4周に満たない長さでも良い。ただし、シール材10を長くして巻ける回数を増やすことで、シール材10のシール性を向上させることが可能となる。
【0049】
また、上記第1実施形態では、シール材10に硬質液体が塗布されているが、本発明は、これに限定されることは無い。例えば、シール材10に硬質液体が塗布されていなくても良い。つまり、シール材10に対する硬質液体の塗布を省略しても良い。
【0050】
また、上記第1実施形態では、ハウジング12のモータを収容する内部は、ハウジング12の外部の圧力と略同等の圧力状態であるが、本発明は、これに限定されることは無い。例えば、ハウジング12の内部を加圧していても良い。その場合、ハウジング12内を加圧することで、ハウジング12に対してシール材10は押さえつけられ、圧縮されて弾性変形する。従って、シール材10を容易に締め付け状態とすることができ、シール材10のシール性の向上を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
10…シール材(弾性部材)、11…ブラケット(押さえ部材)、11c…押さえ面、12…ハウジング(収容部材)、12e…段差面、15…芯材、16…内側空間、30…栓体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器構造の収容部材(12)と、前記収容部材(12)に貫通挿入される挿入部材(14、214、314)との間を密閉するシール構造において、
弾性変形を可能とする細長形状の弾性部材(10、210、310、410、510)を備えており、
前記弾性部材(10、210、310、410、510)は、前記挿入部材(14、214、314)に巻きつけされて螺旋形状に変形するとともに圧縮されて弾性変形することで、前記収容部材(12)と前記挿入部材(14、214、314)との間の隙間を密閉可能とすることを特徴とするシール構造。
【請求項2】
前記弾性部材(10、210、310、410、510)には、高粘度の硬質液体が塗布されていることを特徴とする請求項1に記載のシール構造。
【請求項3】
前記弾性部材(10、210、410)は、塑性変形を可能とする細長形状の芯材(15)を内蔵していることを特徴とする請求項1または2に記載のシール構造。
【請求項4】
前記弾性部材(10、210、310、410、510)は、前記螺旋形状に変形するとともに、前記収納部材に対して前記弾性部材(10、210、310、410、510)を前記貫通方向に押さえ付けるように取り付けられた押さえ部材(11)によって圧縮されて弾性変形することで、前記収容部材(12)と前記挿入部材(14、214、314)との間の隙間を密閉可能とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のシール構造。
【請求項5】
前記弾性部材(10、410)は、内側空間(16)を有する中空のパイプ形状であり、
前記弾性部材(10、410)の長手方向両端部のうち少なくとも一方には、前記内側空間(16)を閉塞する栓体(30)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のシール構造。
【請求項6】
前記弾性部材(10、210、310、410、510)は、前記螺旋形状に変形するとともに、前記収容部材(12)内の圧力によって圧縮されて弾性変形することで、前記収容部材(12)と前記挿入部材(14、214、314)との間の隙間を密閉可能とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載のシール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−164184(P2010−164184A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9144(P2009−9144)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】