説明

シール機構

【課題】シール部材を用いた高圧シールの信頼性を高める。
【解決手段】リング収容溝22に収容したOリング40は、リング収容溝22の溝形状に倣って圧縮状態となってシャフト20と装着ボディ30との間を高圧シールする。この際、圧縮済みのOリング40は、収容溝内陥没溝24の溝底面や当該溝側面とは非接触であり、収容溝内陥没溝24との間には間隙Kが残される。温度上昇により、リング収容溝22に圧縮収容済みOリング40が熱膨張すると、このOリング40は、膨張してその膨張分を収容溝内陥没溝24の底面より上の間隙Kに入り込ませる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮可能な弾性材料からなるシール部材を対向する二つの部材の間に介在させて両部材間をシールするシール機構、特にシール部材を圧縮した状態で高圧シールを可能とするシール機構に関する。
【背景技術】
【0002】
シール機構では、対向する二つの部材の間に介在させたシール部材にてシール機能を発揮するので、シール部材の収容に当たり種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−27063号公報
【特許文献2】特開平10−196797号公報
【特許文献3】特開2006−153169号公報
【0004】
特許文献1では、シール部材の収納溝底面に例えば凹凸を設けることでシール部材の溝内での滑りを抑制している。特許文献2では、定常時においてはシール部材を傾斜面で保持し、シール対象となるガスが圧力を増してシール部材に作用した際に、シール部材が傾斜面から離れて変形するようにして、シール性能を確保している。特許文献3では、シール部材の収容溝を蟻溝形状とすることで、シール部材の抜け防止や、シール部材の圧縮時においてシール部材が蟻溝の端部に入り込むようにして圧縮割れの防止が図られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうしたシール機構において、高圧シールを達成するには、シール部材をある程度圧縮しておくことが必要であり、通常は、無負荷状態のシール部材の断面積よりも収容溝の断面積を小さくすることがなされている。こうした上で収容溝にシール部材を収容してシールを図れば、シール部材は収容溝の形状に倣って圧縮されて溝領域をほぼ埋め尽くし、溝底面のみならず、溝側面にも接触状態にある。例えば、特許文献1では、凹凸を有する底面と側面にシール部材が潰れて接触する。特許文献2では、傾斜面とこれに続く底面と側面にシール部材が接触し、特許文献3では、蟻溝の端部を埋めるようにして溝底面および側面に接触する。
【0006】
このような圧縮状態にあるシール部材により高圧シールは達成できるものの、次のような問題点が指摘されるに至った。シール機構の用途は多種多様であることから、シール部材によるシールを図った状態において、例えば外気温の上昇、シール対象流体の温度上昇等によりシール部材自体の温度上昇が起きて、シール部材は熱膨張する。ところが、シール部材は溝内において既に圧縮状態にあって既に溝をほぼ埋め尽くしていることから、熱膨張によりシール部材には内部応力が蓄積される。そうすると、シール部材には、蓄積された内部応力によるいわゆる圧縮割れが起きることが危惧されるので、高圧シールの信頼性に欠ける。
【0007】
本発明は、上記した課題を踏まえ、シール部材を用いた高圧シールの信頼性を高めることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明では、以下の構成を採用した。
【0009】
[適用:シール機構]
圧縮可能な弾性材料からなるシール部材を対向する二つの部材の間に介在させて両部材間をシールするシール機構であって、
前記二つの部材の少なくとも一方の部材は、前記シール部材を収容するよう陥没形成されたシール収容溝と、該シール収容溝の溝底面の一部領域を該底面よりも陥没して形成された収容溝内陥没溝とを備え、
前記シール部材は、前記シール収容溝の溝形状に倣って圧縮した状態で前記シール収容溝に収容されている
ことを要旨とする。
【0010】
上記構成のシール機構では、一方の部材に陥没形成したシール収容溝にシール部材を収容して、当該シール部材にて対向する二つの部材間をシールする。シール収容溝に収容された状態のシール部材は、シール収容溝の溝形状に倣って圧縮済みであることから、高圧シール性を発揮する。この場合、シール部材は、圧縮された上でシール収容溝の溝底面と溝側面に接触していることになる。
【0011】
上記のようにシール部材を圧縮して収容済みのシール収容溝には、当該溝の溝底面の一部領域に収容溝内陥没溝が存在し、この収容溝内陥没溝はシール収容溝の溝底面から陥没形成されている。よって、この収容溝内陥没溝の底面とシール収容溝に圧縮収容済みのシール部材との間には間隙が残されることになる。このため、シール収容溝に圧縮収容済みのシール部材が熱膨張すれば、シール部材はその膨張分に相当する体積において、収容溝内陥没溝の底面より上の上記の間隙に入り込むので、シール部材の熱膨張に伴う内部応力の蓄積を抑制できる。この結果、上記構成のシール機構によれば、シール部材の圧縮割れを起き難くして、高圧シールの信頼性を高めることができる。
【0012】
また、上記したように高圧シールの信頼性を高めるに当たり、シール収容溝の溝底面の一部領域に収容溝内陥没溝を陥没形成すればよいので、簡便である。しかも、シール収容溝と収容溝内陥没溝とを底面に段差があるようにすれば足りるので、段差のある刃先を有する工具、例えば旋盤切削バイトにて、シール収容溝と収容溝内陥没溝とを同時に形成できるので、コスト低下の点からも有益である。
【0013】
より詳しく説明すると、特許文献3にあるような蟻溝形状の収容溝を旋盤にて形成する場合には、一方の部材を旋盤にセットして旋回させた上で、蟻溝の端部形状の切削が可能な刃先の切削バイトを、旋回する部材に向けて1軸(x軸)方向に移動させた後に、旋回軸方向に向けてy軸方向に移動させる必要がある。ところが、上記のシール機構では、旋盤にセットした部材に対して、段差のある刃先の切削バイトをx軸方向に移動させるだけで、シール収容溝と収容溝内陥没溝とを底面に段差を持たせて簡単に形成できる。
【0014】
上記したシール機構は、次のような態様とすることができる。例えば、前記収容溝内陥没溝を、前記シール収容溝の溝底面の少なくとも一方の端部側に形成することができる。この場合、二つの部材の相対的な摺動を経て前記シール部材を前記部材間に介在させる際には、前記収容溝内陥没溝を、前記シール収容溝に収容済みの前記シール部材が前記二つの部材の摺動により移動する側のシール収容溝底面の一方の端部側に形成することが好ましい。こうすれば、二つの部材の相対的な摺動の際に、シール収容溝に収容済みのシール部材は、シール収容溝底面の一方端部側の収容溝内陥没溝に向けて逃げるので、部材摺動によるシール部材の噛み込みが起き難くなり損傷回避の上から好ましい。また、収容溝内陥没溝に向けて逃げることから、シール部材の飛び出しも回避できる。
【0015】
この他、前記シール収容溝と前記収容溝内陥没溝とを有する部材に、当該部材表面から前記収容溝内陥没溝に達するエア抜き孔を形成すれば、シール部材が上記したように収容溝内陥没溝に向けて逃げる際のエア抜きが可能となる。よって、収容溝内陥没溝に向けたシール部材の逃げが容易に起き、より確実に損傷回避を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明としてのシール機構10のシール前後の様子を一部拡大しつつ示す説明図である。
【図2】シール機構10におけるリング収容溝22の形成の様子を模式的に示す説明図である。
【図3】Oリング40を収容するリング収容溝22の容積率とOリング40の潰し率等を説明する説明図である。
【図4】リング収容溝22に圧縮収容済みのOリング40の熱膨張時の様子を示す説明図である。
【図5】図1相当図であり装着ボディ30の側にてシールを図る変形例のシール機構10のシール前後の様子を示す説明図である。
【図6】他の変形例のシール機構10を示す説明図である。
【図7】また別の変形例のシール機構10を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。図1は本発明としてのシール機構10のシール前後の様子を一部拡大しつつ示す説明図、図2はシール機構10におけるリング収容溝22の形成の様子を模式的に示す説明図、図3はOリング40を収容するリング収容溝22の容積率とOリング40の潰し率等を説明する説明図である。
【0018】
図示するように、本実施例のシール機構10は、シャフト20と、その装着体省の装着ボディ30と、圧縮可能な弾性材料、例えばゴム材料からなるOリング40とを備える。そして、シール機構10は、装着ボディ30の挿入孔32に挿入されて対向するシャフト20と装着ボディ30、詳しくはシャフト20の外周面と装着ボディ30の挿入孔32の内周面との間をOリング40によりシールする。シャフト20は、挿入孔32に対する嵌め合い公差を考慮した外径とされ、その外周に陥没形成されたリング収容溝22と収容溝内陥没溝24とを備える。この場合、収容溝内陥没溝24は、図示するように挿入孔32にシャフト20を右方から挿入する際に、リング収容溝22に収容済みのOリング40が挿入孔32から力を受けて移動する側、即ちシャフト20の先端から離れた側(図における右方)に形成されている。
【0019】
このリング収容溝22と収容溝内陥没溝24は、図2に示すように、第1刃先B1と第2刃先B2とを段差を持って有する切削バイトSBにより切削形成される。つまり、図示しない旋盤にシャフト20をセットして旋回させた上で、切削バイトSBをx軸方向に移動させる。こうすれば、リング収容溝22と収容溝内陥没溝24は、上記の第1、第2の刃先形状で形成され、両刃先の段差が反映した底面の段差をもってシャフト20に陥没形成され、リング収容溝22はOリング40を収容するよう陥没形成されることになる。収容溝内陥没溝24は、上記の切削バイトSBによる形成からも明らかなように、リング収容溝22の溝底面の一部領域を当該底面よりも陥没して形成された溝となる。
【0020】
本実施例では、切削バイトSBの第1刃先B1と第2刃先B2の寸法調整を行うことで、図3に示すようにリング収容溝22と収容溝内陥没溝24の形状を定めた。リング収容溝22にOリング40を収容する場合のリング収容溝22の容積率V(%)は、Oリング40の断面積をリング収容溝22の溝断面積で除算して定まる。ここで、Oリング40の直径をD、リング収容溝22の溝幅をB、Oリング40が接するリング収容溝22の溝底面半径をR1、Oリング40が接する挿入孔32の半径をR2とすると、容積率Vは次式で表される。
【0021】
V=(πD2/4)/B(R1−R2) x 100
【0022】
また、Oリング40は、シャフト20と装着ボディ30をシールするに当たり、リング収容溝22に収納された上で挿入孔32に接することから潰されて圧縮されるので、その潰し率H(%)は次式で表される。
【0023】
H=(D−(R1−R2))/D x 100
【0024】
本実施例では、Oリング40によるシャフト20と装着ボディ30のシール耐性を50MPa以上とするため、容積率Vが91%以上、潰し率Hが30%以上となるよう、Oリング40の直径D、リング収容溝22の溝幅B、リング収容溝22の溝底面半径R1および挿入孔32の半径R2を定めた。
【0025】
また、収容溝内陥没溝24については、その溝幅Wとリング収容溝22の溝底面からの段差dが、共にOリング40の直径Dの1/3以下となるようにした。この場合、溝幅Wと段差dは後述するように熱膨張時のOリング40の入り込み体積を規定することから、溝幅Wと段差dの上下限範囲は、シール機構10の使用環境下でOリング40に起き得る熱膨張の度合いで定めればよい。例えば、溝幅Wと段差dをOリング40の直径Dの1/5〜1/3の範囲とすればよい。
【0026】
図1に戻り装着ボディ30へのシャフト20の装着に伴うOリング40の様子について説明する。シャフト20の先端を装着ボディ30の挿入孔32に差し込んでシャフト20の挿入を進めると、リング収容溝22に収容済みのOリング40は、挿入孔32の開口テーパ面31に押されて潰れ始める。この際、Oリング40は、開口テーパ面31から力を受けて、リング収容溝22における収容溝内陥没溝24側の溝側面22aに向けてリング収容溝22内を移動して、当該側面に接触する。更にシャフト20の挿入が進むと、Oリング40は、挿入孔32の内周面に接するよう潰されつつ、図1のシール後の状態のように、リング収容溝22の溝形状に倣って圧縮され、リング収容溝22の溝底面と溝側面22aおよび当該側面と対向した側面とも接触する。Oリング40の圧縮状態は、既述した容積率Vと潰し率Hで規定される。そして、Oリング40は、このように圧縮済みであることから、シャフト20と装着ボディ30との間において、高圧シール性を発揮する。
【0027】
図1のシール後の状態では、Oリング40はリング収容溝22の溝形状に倣って圧縮されるものの、収容溝内陥没溝24の溝底面や当該溝側面とは非接触である。よって、図示するように、リング収容溝22に収容されて圧縮済みのOリング40と収容溝内陥没溝24との間には間隙Kが残される。つまり、リング収容溝22に収容済みのOリング40は、こうして間隙Kを残したまま圧縮状態にあり、既述したように高圧シール性を発揮する。
【0028】
以上説明したシール機構10では、その使用状況下においてOリング40の温度が上昇すると、リング収容溝22に圧縮収容済みのOリング40は熱膨張する。図4はリング収容溝22に圧縮収容済みのOリング40の熱膨張時の様子を示す説明図である。この図4に示すように、Oリング40は、膨張分に相当する体積においてその膨張部40Bを収容溝内陥没溝24の底面より上の間隙Kに入り込ませる。よって、Oリング40の熱膨張に伴う内部応力の蓄積を抑制できるので、本実施例のシール機構10によれば、Oリング40の圧縮割れを起き難くして、高圧シールの信頼性を高めることができる。
【0029】
また、Oリング40による高圧シールの信頼性を高めるに当たり、本実施例のシール機構10では、リング収容溝22の溝底面の一部領域に収容溝内陥没溝24を陥没形成すればよいので、簡便である。しかも、リング収容溝22と収容溝内陥没溝24とを底面に段差があるようにすれば足りるので、段差のある第1刃先B1と第2刃先B2を有する切削バイトSBを旋盤切削に際して使用すればよい。そして、この際には切削バイトSBをx軸方向に駆動するだけでリング収容溝22と収容溝内陥没溝24とを同時に形成できるので、工程管理の簡略化や低コスト化を推進することもできる。
【0030】
また、本実施例のシール機構10では、収容溝内陥没溝24をリング収容溝22の溝底面の一部領域に陥没形成するに当たり、収容溝内陥没溝24をシャフト20の先端から離れた側のリング収容溝22の端部側に形成した。よって、シャフト20を装着ボディ30の挿入孔32に押し込んで挿入を図ると、その挿入の際には、リング収容溝22に収容済みのOリング40は、開口テーパ面31から力を受けて溝側面22aの側に移動して当該側面に接触し、この移動の際には図1のシール前拡大図に白抜き矢印Aで示すように、収容溝内陥没溝24に向けて逃げようとする。このため、本実施例のシール機構10によれば、装着ボディ30の挿入孔32へのシャフト20の挿入に際して、シャフト20の挿入に伴うOリング40の噛み込みが起き難くなり、噛み込み損傷を効果的に回避できる。加えて、収容溝内陥没溝24に向けたOリング40の逃げにより、シャフト20の挿入時におけるリング収容溝22からのOリング40の飛び出しも確実に回避できる。
【0031】
次に、シール機構10の変形例について説明する。図5は図1相当図であり装着ボディ30の側にてシールを図る変形例のシール機構10のシール前後の様子を示す説明図である。この変形例のシール機構10では、シャフト20が挿入される装着ボディ30の挿入孔32に、リング収容溝22と収容溝内陥没溝24とを形成した。この図5に示す変形例のシール機構10によっても、高い信頼性で高圧シールを図ることができる。
【0032】
図6は他の変形例のシール機構10を示す説明図である。この変形例のシール機構10は、二つの部材を面接合した際にこの接合面にて高圧シールを図る点に特徴がある。図示するように、この変形例のシール機構10では、上下に並べて接合される下ボディ50と上ボディ60とを備え、上下のボディの貫通孔52、62をボディ接合面でシールする。このため、下ボディ50の上面に貫通孔52を取り囲むよう環状に陥没形成されたリング収容溝22を備え、当該溝底面の外周側に、段差を持って収容溝内陥没溝24を陥没形成して備える。そして、このシール機構10は、上ボディ60の下面を下ボディ50の下面に接合させてOリング40をリング収容溝22の溝形状に倣って圧縮させることで、高圧シールを図る。Oリング40の熱膨張の際の高圧シール性についても、収容溝内陥没溝24へのOリング40の入り込みにより、高い信頼性で高圧シールを図ることができる。
【0033】
図7はまた別の変形例のシール機構10を示す説明図である。図示するように、この変形例では、リング収容溝22にバックアップリング42を収容した上で当該リングとOリング40とをリング収容溝22に収納した。この場合、リング収容溝22の形成寸法は、バックアップリング42の収容容積を除いたリング収容溝22の溝形状にて、既述した容積率Vや潰し率Hが確保されている。また、シャフト20には、その外周から収容溝内陥没溝24に達する細孔26を斜めに形成した。これにより、次の利点がある。
【0034】
細孔26は、装着ボディ30の挿入孔32へのシャフト20の挿入時においてOリング40が収容溝内陥没溝24に向けて逃げる場合の、収容溝内陥没溝24内のエア抜き孔として機能する。また、Oリング40が熱膨張して膨張部40Bを収容溝内陥没溝24に入り込ませる際の収容溝内陥没溝24内のエア抜き孔として機能する。このため、収容溝内陥没溝24に向けたシャフト20挿入時のOリング40の逃げと、収容溝内陥没溝24への膨張部40Bの入り込みが容易に起きるので、シャフト挿入時と熱膨張時のOリング40の損傷回避の実効性をより高めることができる。
【0035】
そして、バックアップリング42をOリング40に並べてリング収容溝22に収容することで、高圧シール性をより高めつつ、その信頼性を向上できる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態を実施例にて説明したが、本発明は上記した実施例や変形例の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。例えば、図7の変形例では、細孔26を形成した上で、バックアップリング42をOリング40と併用するようにしたが、Oリング40をOリング40と併用するだけの構成、例えば、図1におけるリング収容溝22にバックアップリング42とOリング40とを並べて収容する構成とすることもできる。また、図1に示したシール機構10において、細孔26を収容溝内陥没溝24に達するようにする構成とすることもできる。
【0037】
加えて、リング収容溝22の溝形状に倣って圧縮状態にあるOリング40は、既述したように収容溝内陥没溝24の溝底面には接触しないことから、収容溝内陥没溝24の溝表面には、特段の表面粗さ調整を必要としない。このため、収容溝内陥没溝24を転造や鍛造等の型成型手法で形成することもできる。つまり、断面が長方形状のリング収容溝22を切削等にて陥没形成した後に、転造ダイスをリング収容溝22の溝底面に押し当てて、収容溝内陥没溝24を陥没形成することもできる。
【符号の説明】
【0038】
10…シール機構
20…シャフト
22…リング収容溝
22a…溝側面
24…収容溝内陥没溝
26…細孔
30…装着ボディ
31…開口テーパ面
32…挿入孔
40…Oリング
40B…膨張部
42…バックアップリング
50…下ボディ
52…貫通孔
60…上ボディ
62…貫通孔
K…間隙
B1…第1刃先
B2…第2刃先
SB…切削バイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮可能な弾性材料からなるシール部材を対向する二つの部材の間に介在させて両部材間をシールするシール機構であって、
前記二つの部材の少なくとも一方の部材は、前記シール部材を収容するよう陥没形成されたシール収容溝と、該シール収容溝の溝底面の一部領域を該底面よりも陥没して形成された収容溝内陥没溝とを備え、
前記シール部材は、前記シール収容溝の溝形状に倣って圧縮した状態で前記シール収容溝に収容されている
シール機構。
【請求項2】
前記収容溝内陥没溝は、前記シール収容溝の溝底面の少なくとも一方の端部側に形成されている請求項1に記載のシール機構。
【請求項3】
前記二つの部材の相対的な摺動を経て前記シール部材が前記部材間に介在する請求項2記載のシール機構であって、
前記収容溝内陥没溝は、前記シール収容溝に収容済みの前記シール部材が前記二つの部材の摺動により移動する側の前記一方の端部側に形成されている
シール機構。
【請求項4】
前記シール収容溝と前記収容溝内陥没溝とを有する部材は、該部材の表面から前記収容溝内陥没溝に達するエア抜き孔を有する請求項1ないし請求項3いずれかに記載のシール機構。
【請求項5】
前記シール部材は高圧ガスのシール用途に用いられる請求項1ないし請求項4いずれかに記載のシール機構。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5いずれかに記載のシール機構であって、
前記シール収容溝は、前記シール部材とバックアップリングとを並べて収容するよう陥没形成されている
シール機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−145233(P2012−145233A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105944(P2012−105944)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【分割の表示】特願2007−272034(P2007−272034)の分割
【原出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】