説明

ジアルキルカーボネートからジアリールカーボネートを製造する方法

【課題】ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシル化合物からジアリールカーボネートを製造する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも2つの反応塔、反応において用いるジアルキルカーボネートを回収するための、および反応アルコールを除去するための処理部、ジアルキルカーボネートの沸点とジアリールカーボネートを製造する間に生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点を有する、プロセスにおいて得られる副生成物を除去するための1またはそれ以上の処理工程、ならびに反応塔から得られるジアリールカーボネートを更に精製するための処理工程を用いて行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの反応塔を用いて、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシル化合物からジアリールカーボネートを製造する方法、反応に用いたジアルキルカーボネートを回収するための、および反応アルコールを除去するための処理部、ジアルキルカーボネートの沸点と、ジアリールカーボネートを製造する間に生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点を有する、プロセスにおいて得られる副生成物を除去する1または複数の処理工程、ならびに反応塔から得られるジアリールカーボネートを更に精製する処理工程を提供する。
【背景技術】
【0002】
脂肪族カルボン酸エステルと芳香族ヒドロキシル化合物から開始するエステル交換による、芳香族および脂肪族−芳香族カルボン酸エステル(カーボネート)の製造は基本的に知られている。これは、平衡の位置が、脂肪族で置換されたカーボネートの方向にほぼ完全にシフトしている平衡反応である。従って、芳香族カーボネートとアルコールから脂肪族カーボネートを製造することは比較的容易である。しかし、芳香族カーボネートへと向かう反対方向に反応を実施するためには、非常に不利な平衡を、芳香族カーボネートの側に有効にシフトさせることが必要であり、そのためには、非常に活性な触媒だけでなく適切なプロセス体系を用いなければならない。
【0003】
そのような平衡反応を塔において実施し得ること、および前記並行反応が、所望の生成物形成の方向に、このように好都合にシフトし得ることが知られている(例えば、Chem.−Ing.Techn.第49号第151頁(1977年)(U.Block);独国特許出願公開第3809417号A;Chem.−Ing.−Techn.第62号第226頁(1990年)(B.Schleper、B.Gutsche、J.WnuckおよびL.Jeromin);Ullmans Encyclopaedie der techn.Chemie(ウルマンの工業化学百科事典)第4版第3巻第375頁以降(1973年))。
【0004】
従って、公知の方法において、エステル交換はまた、好ましくは1または複数の反応塔における向流エステル交換において連続的に行われる。
【0005】
しかし、文献(例えば欧州特許出願公開第461274号A、独国特許出願公開第4226755号A、独国特許出願公開第4226756号A)から公知の方法は一般に、ジアリールカーボネートを与える反応がエステル交換および/または不均化によっておこる、それらの処理工程のみを記載している。国際公開第2006/033291号A、欧州特許出願公開第1775280号A、欧州特許出願公開第1767516号A、欧州特許出願公開第1767517号A、欧州特許出願公開第1767518号A、欧州特許出願公開第1762559号A、および欧州特許出願公開第1762560号Aは、ジアリールカーボネートを製造するための反応塔の装置構造に関する手掛かりを追加で与える。しかし、方法の経済的な実行可能性のためには、反応領域における処理部(または処理セクション)だけでなく、それに続くワークアップのための工程が(いくつかの場合においてはかなり)関連する。今日までの文献は、この問題についてごく僅かの情報しか含んでいない。
【0006】
経験が示しているように、芳香族ヒドロキシル化合物のジアルキルカーボネートとの反応によるジアリールカーボネートの製造は、エネルギー的に要求が非常に厳しいので、エネルギー消費を減少させるための手段が、非常に重要な役割を同様に果たす。現在入手可能な文献は、この問題についてもごく僅かの情報しか与えていない。
【0007】
欧州特許出願公開第781760号Aにおいて、触媒の存在下でジアルキルカーボネートを芳香族ヒドロキシル化合物と反応させることによって芳香族カーボネートを製造し、アルコール副生成物、ジアルキルカーボネート、芳香族ヒドロキシル化合物および反応において生成される芳香族カーボネートを連続的に除去し、ジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシル化合物を反応に戻して再利用する連続的プロセスが記載されている。しかし、反応に用いられるジアルキルカーボネートをアルコール副生成物(反応アルコール)からどのように分離するかは、記載されていない。しかし、特にジアルキルカーボネートと反応アルコールとを互いに分離することが難しい場合において、この工程が非常にエネルギー集約的で要求が厳しいことを、経験は示している。更に、反応後のジアリールカーボネートの単離も記載されていないが、上述のジアリールカーボネートの単離は、そこでは高純度が要求されるので非常に複雑である。更に、可能なエネルギーの節約に関する提示がなされていない。
【0008】
欧州特許出願公開第1638917号Aにおいて、アルキルアルコールと接触させることによって廃ストリームから生成物を回収する方法、回収される前記生成物がジアリールカーボネート、芳香族アルコール、サリチル酸アルキル、およびアルキルアルコールを含むことが記載されている。記載されている方法の不都合な点の1つは、反応が3段階で行われ、そのことによって方法が非常に複雑になることである。別の不都合な点は、高沸点廃ストリームが2つの地点で得られることである。ジアリールカーボネートを単離する前に触媒を除去することによって第1廃ストリームが生じ、2つの蒸留塔から成る後続のワークアップによって第2廃ストリームが生じる。それゆえに、ジアリールカーボネートを単離するためのワークアップは、装置およびエネルギー条件の両方において、要求が非常に厳しい。更に、そのようにして99.5wt%で生成するジアリールカーボネートの品質は非常に悪く、ポリカーボネート製造に対する適合性は疑わしい。反応で得られる反応アルコールとジアルキルカーボネートの混合物の分離も記載されていない。
【0009】
国際公開第2005/000776号Aにおいて、ジアルキルカーボネートの芳香族ヒドロキシル化合物との反応において生成されるアルキルアリールエーテルを製造する方法が記載されている。この方法において、ジアリールカーボネートも更に得られる。プロセス構造は、3つの反応塔および更に2つのアルキルアリールエーテルを単離するための蒸留塔を含む。制御されたアルキルアリールエーテル精製がここで記載されている方法の目的であるという事実は、反応において生成される量が多いという結論を導く。しかし、ジアリールカーボネートの製造においては、高純度のアルキルアリールエーテルの回収は最優先事項でなく、目的は、それよりも、エステル交換において得られるこの副生成物の生成を最小にすることである。更に、3つの反応段階を含む反応体系は非常に複雑であり、ジアリールカーボネートのワークアップ、および、反応において得られ、ジアルキルカーボネートおよび反応アルコールを含む混合物の分離に関して何ら提示していない。欧州特許出願公開第1237842号Aにおいても、類似の方法が記載されており、従って、既に同様に言及した不都合な点がこれに適用される。
【0010】
国際公開第2004/016577号において、反応器配置の、分割され直列に接続された複数の反応ゾーンにおいて、触媒の存在下で、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシル化合物から芳香族カーボネートを製造する方法であって、最後の反応ゾーンの蒸気ストリームの凝縮において得られる凝縮熱を、第1反応ゾーンに導入される液体ストリームを加熱するのに用いる方法が記載されている。しかし、この方法の不都合な点は、複雑な反応器配置である。更に、この方法のエネルギーの統合は、改良する必要があり、反応の処理部のみに限定されている。ワークアップのための後続の工程は、記載されていない。
【0011】
特開2002−20351号において、ジアリールカーボネートを製造するための回分式方法が記載されており、前記方法からの熱を、スチームを発生させるために利用することが可能である。しかし、この方法の不都合な点は、回分式の実行および反応に用いられる反応器の配置であり、前記配置は付属の蒸留塔を有する。ワークアップのための後続の工程は記載されていない。
【0012】
従って、芳香族カーボネート、好ましくはジアリールカーボネートを製造する方法であって、生成物および廃ストリームのワークアップを含み、上で明記した不都合な点を有さず、上で明記した公知の方法と比較して、エネルギーの統合が有効な方法で可能であり、改良されたエネルギーの統合を行うことが可能である方法を提供する必要性がいまだ存在する。
【0013】
従って、本発明が基礎とした課題は、芳香族カーボネート、好ましくはジアリールカーボネートを製造する方法を提供することに存し、前記方法は、生成物および廃ストリームのワークアップを含み、公知の方法と比較して、エネルギーの統合が有効な方法で可能であり、改良されたエネルギーの統合を達成し得る。
【0014】
驚くべきことに、少なくとも1種類のジアルキルカーボネートと少なくとも1種類の芳香族ヒドロキシル化合物から、少なくとも1種類のジアリールカーボネートを、
(a)塔の上部に少なくとも1つの精留部を含み、少なくとも2つのセクター(または区域)を有する当該精留部の下に、少なくとも1つの反応ゾーンを含む第1反応塔において、少なくとも1種類のエステル交換触媒の存在下で、(1または複数の)ジアルキルカーボネートを(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物と反応させること、
(b)塔の上部に少なくとも1つの精留部を含み、前記精留部の下に少なくとも1つの反応ゾーンを含む、少なくとも1つの別の反応塔に、第1反応塔の缶出液を供給すること、および、前記缶出液をそこで更に転化すること、
(c)工程(a)および/若しくは(b)の反応塔において未転化のジアルキルカーボネート、または反応の間に生成されるジアルキルカーボネートを、少なくとも1つの蒸留塔を含む少なくとも1つの別の処理工程において、反応の間に生成されるアルキルアルコールから完全にまたは一部分離すること、
(d)(b)からの、少なくとも1つの反応塔の頂部で取り出された(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を含む蒸気を、場合により少なくとも1つの凝縮器において凝縮した後に、ジアルキルカーボネートの沸点と、ジアリールカーボネートを製造する間に生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点を有する化合物を除去するために少なくとも1つの蒸留塔を含む、少なくとも1つの別の処理工程に、完全にまたは一部供給すること、および
(e)ジアリールカーボネートを含み、工程(b)の(1または複数の)別の反応塔において得られる缶出液を、塔の上部に少なくとも1つの精留部を含み、塔の下部に少なくとも1つの回収部を含む少なくとも1つの蒸留塔において精製するための、少なくとも1つの別の処理工程に供給すること
によって製造する方法であって、第1反応塔または別の(1または複数の)反応塔から選択される反応塔の少なくとも1つが、1または複数の凝縮器を備えており、これらの凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱を、プロセスに戻して直接または間接的に再利用する方法が、生成物および廃ストリームのワークアップ、ならびに有効なエネルギーの統合の両方を可能にすることを発見した。
【0015】
従って、本発明は、少なくとも1種類のジアルキルカーボネートと少なくとも1種類の芳香族ヒドロキシル化合物から、少なくとも1種類のジアリールカーボネートを、
(a)塔の上部に少なくとも1つの精留部を含み、少なくとも2つのセクターを有する前記精留部の下に少なくとも1つの反応ゾーンを含む第1反応塔において、少なくとも1種類のエステル交換触媒の存在下で、(1または複数の)ジアルキルカーボネートを(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物と反応させること
(b)第1反応塔の缶出液を、塔の上部に少なくとも1つの精留部を含み、前記精留部の下に少なくとも1つの反応ゾーンを含む、少なくとも1つの別の反応塔に供給すること、および、前記缶出液をそこで更に転化すること、
(c)工程(a)および/若しくは(b)の反応塔において未転化のジアルキルカーボネート、または反応の間に生成されるジアルキルカーボネートを、少なくとも1つの蒸留塔を含む少なくとも1つの別の処理工程において、反応の間に生成されるアルキルアルコールから完全にまたは一部分離すること、
(d)少なくとも1つの反応塔の頂部において取り出された(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を含む(b)からの蒸気を、場合により少なくとも1つの凝縮器において凝縮した後に、ジアルキルカーボネートの沸点と、ジアリールカーボネートを製造する間に生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点を有する化合物を除去するために、少なくとも1つの蒸留塔を含む、少なくとも1つの別の処理工程に、全てまたは一部を供給すること、および
(e)ジアリールカーボネートを含み、(1または複数の)別の反応塔において得られる工程(b)からの缶出液を、塔の上部に少なくとも1つの精留部を含み、塔の下部に少なくとも1つの回収部を含む、少なくとも1つの蒸留塔において精製するために、少なくとも1つの別の処理工程に供給すること
によって製造する方法であって、第1反応塔または別の(1または複数の)反応塔から選択される少なくとも1つの反応塔が、1または複数の凝縮器を備えており、これらの凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱を、プロセスに戻して直接または間接的に再利用することを特徴とする方法を提供する。
【0016】
本発明との関連で製造されるジアリールカーボネートは好ましくは、一般式(I)のジアリールカーボネートであり、
【0017】
【化1】

ここで、R、R’、およびR”は各々独立してH、直鎖または分枝の、場合により置換されたC〜C34アルキル、好ましくはC〜Cアルキル、より好ましくはC〜Cアルキル、C〜C34アルコキシ、好ましくはC〜Cアルコキシ、より好ましくはC〜Cアルコキシ、C〜C34シクロアルキル、C〜C34アルキルアリール、C〜C34アリール、またはハロゲンラジカル、好ましくは塩素ラジカルであり、式(I)の2つの側のR、R’、およびR”は、同一であってよく、または異なっていてよい。Rは−COO−R’’’であってもよく、ここでR’’’はH、分枝または非分枝のC〜C34アルキル、好ましくはC〜Cアルキル、より好ましくはC〜Cアルキル、C〜C34アルコキシ、好ましくはC〜Cアルコキシ、より好ましくはC〜Cアルコキシ、C〜C34シクロアルキル、C〜C34アルキルアリールまたはC〜C34アリールである。式(I)の両側におけるR、R’、およびR”は、好ましくは同一である。最も好ましくは、R、R’、およびR”は各々Hである。
【0018】
一般式(I)のジアリールカーボネートは、例えば:ジフェニルカーボネート、メチルフェニルフェニルカーボネート、およびジ(メチルフェニル)カーボネートであり、それらの混合物でもあり、それらにおいてフェニル環におけるメチル基の位置は所望のとおりであってよく、ジメチルフェニルフェニルカーボネートおよびジ(ジメチルフェニル)カーボネートでもあり、それらの混合物でもあり、そこでフェニル環におけるメチル基の位置は所望のとおりであってよく、クロロフェニルフェニルカーボネートおよびジ(クロロフェニル)カーボネートであり、そこでフェニル環におけるメチル基の位置は所望のとおりであってよく、4−エチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−エチルフェニル)カーボネート、4−n−プロピルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−プロピルフェニル)カーボネート、4−イソプロピルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−イソプロピルフェニル)カーボネート、4−n−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ブチルフェニル)カーボネート、4−イソブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−イソブチルフェニル)カーボネート、4−tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、4−n−ペンチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ペンチルフェニル)カーボネート、4−n−ヘキシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ヘキシルフェニル)カーボネート、4−イソオクチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−イソオクチルフェニル)カーボネート、4−n−ノニルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ノニルフェニル)カーボネート、4−シクロヘキシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−シクロヘキシルフェニル)カーボネート、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネート、ジ[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル]カーボネート、ビフェニル−4−イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル−4−イル)カーボネート、1−ナフチルフェニルカーボネート、2−ナフチルフェニルカーボネート、ジ(1−ナフチル)カーボネート、ジ(2−ナフチル)カーボネート、4−(1−ナフチル)フェニルフェニルカーボネート、4−(2−ナフチル)フェニルフェニルカーボネート、ジ[4−(1−ナフチル)フェニル]カーボネート、ジ[4−(2−ナフチル)フェニル]カーボネート、4−フェノキシフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−フェノキシフェニル)カーボネート、3−ペンタデシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(3−ペンタデシルフェニル)カーボネート、4−トリチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−トリチルフェニル)カーボネート、(メチルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(メチルサリチレート)カーボネート、(エチルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(エチルサリチレート)カーボネート、(n−プロピルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(n−プロピルサリチレート)カーボネート、(イソプロピルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(イソプロピルサリチレート)カーボネート、(n−ブチルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(n−ブチルサリチレート)カーボネート、(イソブチルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(イソブチルサリチレート)カーボネート、(tert−ブチルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(tert−ブチルサリチレート)カーボネート、ジ(フェニルサリチレート)カーボネートおよびジ(ベンジルサリチレート)カーボネートである。
【0019】
好ましいジアリールカーボネートは以下のものである:ジフェニルカーボネート、4−tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニル−4−イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル−4−イル)カーボネート、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネート、およびジ[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル]カーボネート。
【0020】
ジフェニルカーボネートが特に好ましい。
【0021】
本発明に関連して、好ましく用いられるジアルキルカーボネートは、式(II)のジアルキルカーボネートであり、
【0022】
【化2】

ここで、RおよびRは各々独立して、直鎖または又は分枝の、場合により置換されたC〜C34アルキル、好ましくはC〜Cアルキル、より好ましくはC〜Cアルキルである。RおよびRは同一であってよく、または異なっていてよい。RおよびRは好ましくは同一である。
【0023】
本発明に関連して、C〜Cアルキルは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルであり;C〜Cアルキルはそれに加えて、例えば、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピルまたは1−エチル−2−メチルプロピルであり;C〜C34アルキルはそれに加えて、例えば、n−ヘプチルおよびn−オクチル、ピナシル、アダマンチル、異性体メンチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシルまたはn−オクタデシルである。同じことが、対応するアルキルラジカル、例えばアラルキルまたはアルキルアリールラジカルにも当てはまる。対応するヒドロキシアルキルまたはアラルキル若しくはアルキルアリールラジカルにおけるアルキレンラジカルは、例えば上述のアルキルラジカルに対応するアルキレンラジカルである。
【0024】
アリールは、6〜34の骨格炭素原子を有する炭素環式芳香族ラジカルである。同じことが、アリールアルキルラジカル(アラルキルラジカルとしても知られている)の芳香族部分にも当てはまり、より複雑な基(例えばアリールカルボニルラジカル)のアリール成分にも当てはまる。
【0025】
アリールアルキルまたはアラルキルは、各々の場合において独立して、直鎖の、環状の、分枝の、または非分枝の、上で規定されたようなアルキルラジカルであり、前記アルキルラジカルは、上で規定されたようなアリールラジカルによって、単置換、複置換、または過置換されてよい。
【0026】
上述の一覧は例示的なものであり、限定として理解するべきでない。
【0027】
好ましいジアルキルカーボネートは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ(n−プロピル)カーボネート、ジ(イソプロピル)カーボネート、ジ(n−ブチル)カーボネート、ジ(sec−ブチル)カーボネート、ジ(tert−ブチル)カーボネート、またはジヘキシルカーボネートである。ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートが特に好ましい。ジメチルカーボネートが極めて特に好ましい。
【0028】
本発明に関連して、適切な芳香族ヒドロキシル化合物は、好ましくは一般式(III)の芳香族ヒドロキシル化合物であり、
【0029】
【化3】

ここで、R、R’およびR”は各々独立して、一般式(I)に対して規定したようなものであってよい。
【0030】
そのような芳香族ヒドロキシル化合物は、例えば:フェノール、o−、m−、またはp−クレゾールであり、前記クレゾールの混合物でもあり、ジメチルフェノールであり、それらの混合物でもあり、それらにおいて、フェノール環におけるメチル基の位置は所望のとおりであってよく、例えば、2,4−、2,6−、または3,4−ジメチルフェノールであってよく、o−、m−、またはp−クロロフェノール、o−、m−、またはp−エチルフェノール、o−、m−、またはp−n−プロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、4−n−ブチルフェノール、4−イソブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、4−n−ペンチルフェノール、4−n−ヘキシルフェノール、4−イソオクチルフェノール、4−n−ノニルフェノール、o−、m−、またはp−メトキシフェノール、4−シクロヘキシルフェノール、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、ビフェニル−4−オール、1−ナフトール、2−1−ナフトール、4−(1−ナフチル)フェノール、4−(2−ナフチル)フェノール、4−フェノキシフェノール、3−ペンタデシルフェノール、4−トリチルフェノール、メチルサリチル酸、エチルサリチル酸、n−プロピルサリチル酸、イソプロピルサリチル酸、n−ブチルサリチル酸、イソブチルサリチル酸、tert−ブチルサリチル酸、フェニルサリチル酸、およびベンジルサリチル酸である。
【0031】
好ましいジアリール化合物は、フェノール、4−tert−ブチルフェノール、ビフェニル−4−オール、および4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールである。
【0032】
フェノールが特に好ましい。
【0033】
本発明に関連して、中間体として得られるアルキルアリールカーボネートは、好ましくは一般式(IV)のアルキルアリールカーボネートであり、
【0034】
【化4】

ここで、R、R’、およびR”は各々、一般式(I)で規定されたものであってよく、Rは一般式(II)で規定されたようなものであってよい。
【0035】
好ましいアルキルアリールカーボネートは、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、プロピルフェニルカーボネート、ブチルフェニルカーボネート、およびヘキシルフェニルカーボネート、メチル−o−クレジル(cresyl)カーボネート、メチル−p−クレジルカーボネート、エチル−o−クレジルカーボネート、エチル−p−クレジルカーボネート、メチルまたはエチル−p−クロロフェニルカーボネートである。特に好ましいアルキルアリールカーボネートは、メチルフェニルカーボネートおよびエチルフェニルカーボネートである。メチルフェニルカーボネートが極めて特に好ましい。
【0036】
芳香族ヒドロキシル化合物と本発明の方法に適したジアルキルカーボネートの両方は、当業者に公知であり、商業的に入手可能であり、または、当業者に同様に公知である方法によって製造することが可能である。
【0037】
本発明の方法において、(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物および(1または複数の)ジアルキルカーボネートを、第1反応塔において、好ましくは1:0.1〜1:10、より好ましくは1:0.2〜1:5、最も好ましくは1:0.5〜1:3のモル比で用いる。ここで特定したモル比は、1若しくは複数の頂部凝縮器または(存在するならば)1若しくは複数の底部蒸発器を介して、芳香族ヒドロキシル化合物またはジアルキルカーボネートを反応塔に再循環させることを考慮に入れていない。
【0038】
本発明の方法は、少なくとも2つの反応塔において実施する。
【0039】
有用な第1および第2反応塔、または第3若しくは更なる塔のいずれにも、当業者に公知の塔が含まれる。これらは、例えは、蒸留塔および精留塔であり、好ましくは反応性蒸留塔および反応性精留塔である。
【0040】
第1反応塔は、塔の上部に少なくとも1つの精留部を含み、前記精留部の下に、少なくとも2つのセクターを有する少なくとも1つの反応ゾーンを含む。2つのセクターの各々は独立して、好ましくは0〜20段、好ましくは0.1〜20段の理論段数を各々有する。好ましい態様において、第1反応塔の少なくとも1つの精留部は、少なくとも1つの中間凝縮器を備える。前記中間凝縮器は、好ましくは精留部の2つのセクターの間に設置される。この場合において、精留部を、上側精留部と下側精留部とに分割する。本発明に関連して、”セクター”は、供給点および/または取り出し点がこのセクターの下および/または上に存在することに関して注目に値する。
【0041】
第1反応塔は、好ましくは向流で操作し、その場合において、芳香族ヒドロキシル化合物を、好ましくは液体の状態で、この塔の少なくとも1つの反応ゾーンに頂部から底部へと導き、ジアルキルカーボネートを、ガスの状態で、この液体に対して向流で導く。第1反応塔は、好ましくは、芳香族ヒドロキシル化合物および場合により溶解したエステル交換触媒を含む1または複数のストリームを、液体の状態で、または低い含有量のガスのみと共に、少なくとも1つの反応ゾーンにおいて、好ましくは反応ゾーンの上から3分の1のところにおいて、好ましくは塔のこの地点において存在する温度で計量供給するような方法で操作し、前記ガスの含有量は好ましくは20wt%未満である。更に、ジアルキルカーボネートを含む1または複数のストリームを、反応ゾーンに、好ましくはこの反応ゾーンの下から3分の1のところに送り、計量供給される添加は好ましくはガスの状態または過熱状態で行う。好ましい態様において、蒸気ストリームの過熱は0〜50℃であってよい。更に、露点温度は好ましくは、ジアルキルカーボネートを含む特定のストリームの計量供給点において、反応ゾーンに存在する圧力によって支配される。
【0042】
(1または複数の)反応ゾーンを通過した後、反応の間に生成されるアルキルアルコールは、(1または複数の)精留部を通過した後に、第1反応塔の頂部において取り出される。反応の間に生成したアルキルアルコール(反応アルコールとしても知られている)は、本発明においては、エステル交換の過程で放出されるアルコールであり、好ましくはR−OHおよび/またはR−OHであり、ここでRおよびRは各々、一般式(II)で特定されたように定義される。第1反応塔の頂部において取り出されるストリームは一般に、反応の間に生成されるアルキルアルコールに加えて、過剰量の又は未転化のジアルキルカーボネートおよび低沸点二次化合物、例えば二酸化炭素またはジアルキルエーテルを含む。(1または複数の)精留部が存在することにより、このストリームは、より高沸点の成分(例えば芳香族ヒドロキシル化合物)を少量のみ含む。精留部は、反応ゾーンにおいても蒸発する、より高沸点の成分(例えば芳香族ヒドロキシル化合物またはアルキルアリールカーボネート)を、低沸点の反応アルコールまたはジアルキルカーボネートから取り除く作用をする。これは、反応の間に生成されるアルキルアルコールの、ジアルキルカーボネートからの分離が、低温レベルで実施し得るという有利な点を有する。
【0043】
好ましい態様において、第1反応塔は還流条件下で操作する。”還流条件”は、蒸気ストリームを精留部の上端部で全てまたは一部凝縮し、得られる凝縮物を還流として精留部の上端部に全てまたは一部再循環させる方法を意味すると理解される。還流比は好ましくは0.1〜20、より好ましくは0.1〜10、最も好ましくは0.1〜3であり、本発明に関連して還流比は、塔の頂部において取り出される蒸気(再循環される凝縮物を含まない)に対する、塔内に再循環される凝縮物の重量比に対応する。
【0044】
好ましい態様において、第1反応塔は、反応ゾーンの下に、少なくとも1つの回収部を有する。
【0045】
第1反応塔は、更に好ましくは、1または複数の底部蒸発器を備えていてよい。第1反応塔が回収部を含んで設計される場合、回収部から流出する液体の全てまたは一部を蒸発させる底部蒸発器を追加で用いることが好ましい。この、全てまたは一部を蒸発させられた液体ストリームを、全てまたは一部、第1反応塔内に戻して再利用する。回収部を含まない態様の場合において、使用するいずれの底部蒸発器においても、反応ゾーンから流出する液体を、全てまたは一部蒸発させ、全てまたは一部を、第1反応塔に戻して再利用する。
【0046】
更に好ましくは、第1反応塔は、1つまたはそれより多くの中間加熱器または中間蒸発器を、回収部および/または反応ゾーンの領域に有してよい。
【0047】
第1反応塔の少なくとも1つの精留部が少なくとも1つの中間凝縮器を備えている、好ましい態様において、第1反応塔の精留部であって、少なくとも1つの中間凝縮器を備えた精留部が、下側精留部と上側精留部とに(2つのセクターに)分割され、前記下側精留部は中間凝縮器の下に存在し、前記上側精留部は中間凝縮器の上に存在する。
【0048】
少なくとも1つの中間凝縮器を含む(1または複数の)精留部は、好ましい態様において、(1または複数の)反応部および場合により少なくとも1つの回収部と共に、反応塔内に設置してよい。この場合において、(1または複数の)反応ゾーンから来る蒸気混合物を、精留部の下側セクター内に、および/または適切な場合においては下側精留部内に、下から送り、芳香族ヒドロキシル化合物を枯渇させる(または減らす)。この下側セクターまたは適切な場合においては下側精留部から来る蒸気混合物を、中間凝縮器に送り、そこで一部凝縮し、得られる凝縮物を、精留部の下側セクターの上端、または適切であるならば、下側精留部に送り込む。
【0049】
本発明の方法の別の好ましい態様において、中間凝縮器は第1反応塔内に組み込まれず、第1反応塔の外側にて別個の分離した中間凝縮器として構成される。
【0050】
本発明の方法の別の好ましい態様において、中間凝縮器および精留部の上側セクターは、反応塔に組み込まれず、第1反応塔の外側にて別個に設置される。
【0051】
反応ゾーンおよび存在する場合には回収部の下において、アルキルアリールカーボネート、過剰のまたは未転化のフェノール、ジアリールカーボネート、エステル交換触媒、ジアルキルカーボネート、反応アルコール、および、反応において生成される、または反応物内に既に存在している高沸点化合物を含む混合物が得られる。回収部を用いる場合、低沸点化合物(例えばジアルキルカーボネートおよび反応アルコール)の含有量が減少し、エステル交換触媒の存在下で、いくつかの状況の下で、更にアルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネートが生成される。この目的に必要とされるエネルギーは、好ましくは1個またはそれより多くの蒸発器によって供給する。
【0052】
第1反応塔の全ての部分(セクション)において、また、以下に記載される塔の全ての部分においても、即ち、精留および/もしくは回収部、ならびに/または反応ゾーンの両方において、問題になっている分離能を達成するために、ランダム充填物または規則充填物を用いることが可能である。用いられるランダム充填物または規則充填物は、例えばUllmann’s Encyclopaedie der Technischen Chemie(ウルマンの工業化学百科事典)第4版第2巻第528頁以降に記載されているような、蒸留のための通例のものである。ランダム充填物の例としては、ラシヒ(Raschig)またはポール(Pall)およびノバロックス(Novalox)リング、ベルル(Berl)、インタレックス(Intalex)またはトラス(Torus)サドル、インターパックボディ(Interpack bodies)が含まれ、規則充填物の例としては、種々の物質(ガラス、せっ器、磁器、ステンレス鋼、プラスチック等)から作られる、シートメタルおよび構造(fabric)充填物(例えばBX充填物、モンツパック(Montz Pak)、メラパック(Mellapak)、メラデュア(Melladur)、ケラパック(Kerapak)およびCY充填物)を含む。大きい表面積、良好な濡れ、および液相の十分な滞留時間を有するランダム充填物および規則充填物が好ましい。これらは、例えば、ポールおよびノバロックスリング、ベルルサドル、BX充填物、モンツパック、メラパック、メラデュア、ケラパック、およびCY充填物である。
【0053】
ランダム充填物およびまたは規則充填物を使用する場合において、セクターが4より多くの、好ましくは10より多くの、より好ましくは15段より多くの理論段数を有する場合、セクターは複数の部分に分割し得る。
【0054】
別法として、塔トレイ(例えばシーブトレイ、バブルキャップトレイ、バルブトレイ、トンネルキャップトレイ)も適している。反応塔の(1または複数の)反応ゾーンにおいて、良好な物質移動と組み合わせた滞留時間の長い塔トレイ、例えば、高いオーバーフロー堰を有するトンネルキャップトレイ、バブルキャップトレイまたはバルブトレイが特に好ましい。
【0055】
第1反応塔の反応ゾーンの理論段数の数は、好ましくは3〜50段、より好ましくは10〜50段、最も好ましくは10〜40段である。液体のホールドアップは好ましくは、反応ゾーンの塔内部の体積の1〜80%、より好ましくは5〜70%、最も好ましくは7〜60%である。(1または複数の)反応ゾーン、任意の使用する回収部も、および(1または複数の)精留部のより具体的な設計は、当業者が行なうことが可能である。
【0056】
第1反応塔において、反応ゾーンの領域における塔径は、気体のスループットに支配されるが、制限事項のみを有する。それは、達成すべきホールドアップにも影響される。
【0057】
ホールドアップトレイを使用する場合において、トレイの液体高さは、塔の圧力降下を目的にふさわしい程度に制限するためには、好ましくは50〜1000mm、より好ましくは100〜500mm、最も好ましくは100〜250mmであるべきである。塔の圧力降下は好ましくは50%未満であり、より好ましくは30%未満であり、最も好ましくは25%未満であるべきである。
【0058】
境界条件において、塔におけるFファクターは好ましくは0.05〜2.51Pa0.5、好ましくは0.05〜1.51Pa0.5、およびより好ましくは0.08〜1Pa0.5である。トレイの分離は、好ましくは250〜1500mm、より好ましくは300〜1000mm、最も好ましくは500〜1000mmであってよい。Fファクターは、塔における気体の水圧荷重(gaseous hydrolraulic loading)の尺度であり、以下のように計算する:
【0059】
(Fファクター)=(ガス密度)1/2・(ガス速度)
【0060】
本方法において使用する蒸留および/または反応塔の残りの部分の適切な塔の設計(塔高および塔径の設計、塔内容物の選択、および供給および取り出しラインの寸法出しを含む)は、当業者に公知であり、関連する参考文献(例えば”Distillation Design(蒸留設計)”(Henry Z.Kister、McGraw Hill)、”Distillation Operation(蒸留操作)”(Henry Z.Kister、McGraw Hill)、”Perry’s Chemical Engineering Handbook(ペリーの化学工学ハンドブック)”(PerryおよびGreen))から手に入れることが可能である。
【0061】
(1または複数の)反応ゾーンの温度は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜250℃、最も好ましくは150〜240℃の範囲である。好ましい態様において、最適な反応温度は、第1に操作条件の選択によって、第2に1または複数の反応トレイの領域における追加の熱供給によって、反応ゾーンにおいて設定する。熱は、熱交換器、または熱を導入する手段を有する反応トレイのいずれかによって、反応トレイに供給することが可能である。大気圧においてだけでなく加圧または減圧下でも、本発明のエステル交換を実施することが好都合である。従って、反応ゾーンにおける圧力は好ましくは、0.5〜20bar(絶対圧力)、より好ましくは0.8〜15bar(絶対圧力)、最も好ましくは0.9〜10bar(絶対圧力)の範囲である。
【0062】
第1反応塔において起こる反応工程に対して、文献で公知のエステル交換触媒を用いることが可能である。これらは、文献で公知の、ジアルキルカーボネート−フェノールエステル交換のためのエステル交換触媒であり、例えばAlX、TiX、UX、TiX、VOX、VX、ZnX、FeX、PbXおよびSnX等の金属化合物であり、ここでXはハロゲン、アセトキシ、アルコキシ、またはアリールオキシラジカルを表している(独国特許出願公開第258412号A)。本発明に従って使用可能な特に好ましい触媒は、AlX、TiX、PbX、およびSnX等の金属化合物であり、例えば四塩化チタン、チタンテトラメトキシド、チタンテトラフェノキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラドデコキシド、スズテトライソオクトキシド、およびアルミニウムトリイソプロポキシドである。金属化合物TiXが極めて特に好ましい。言及した金属化合物は、転化すべき反応混合物の重量を基準として、0.001〜5wt%、好ましくは0.005〜5wt%、より好ましくは0.01〜5wt%の量で使用することが好ましい。
【0063】
本発明に関連して、ハロゲンは、フッ素、塩素または臭素であり、好ましくはフッ素または塩素であり、より好ましくは塩素である。
【0064】
本発明に従って使用可能な更なる触媒は、一般式(R114−X−Sn(Y)の有機スズ化合物であって、式中、YはOCOR12、OHまたはORラジカルであり、R12はC〜C12アルキル、C〜C12アリール、またはC〜C13アルキルアリールであり、R11はR12とは独立に、R12に関して定義したものであり、xが1〜3の整数である有機スズ化合物、アルキルラジカルにおいて1〜12の炭素原子を有するジアルキルスズ化合物またはビス(トリアルキルスズ)化合物、例えば、0.001〜20wt%の量の、トリメチルスズアセテート、トリエチルスズベンゾエート、トリブチルスズアセテート、トリフェニルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズアジペート、ジブチルジメトキシスズ、ジメチルスズグリコレート、ジブチルジエトキシスズ、トリエチルスズヒドロキシド、ヘキサエチルスタノキサン、ヘキサブチルスタノキサン、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、ブチルスズトリイソオクトキシド、オクチルスズトリイソオクトキシド、ブチルスズ酸、およびオクチルスズ酸(欧州特許出願公開第879号、欧州特許出願公開第880号、欧州特許出願公開第39452号、独国特許出願公開第3445555号A、特開昭54−063023号を参照のこと)、式−[−RR11Sn−O−]−の重合体のスズ化合物であって、式中、RおよびR11は各々独立してR12に関して上で定義したものであるスズ化合物、例えばポリ[オキシ(ジブチルスタニレン)](poly[oxy(dibutylstannylene)])、ポリ[オキシ(ジオクチルスタニレン)]、ポリ[オキシ(ブチルフェニルスタニレン)]、およびポリ[オキシ(ジフェニルスタニレン)](独国特許出願公開第3445552号)、式−[−RSn(OH)−O−]−のヒドロキシスタノキサン重合体、例えば、ジアルキルカーボネートを基準として0.001〜20wt%、好ましくは0.005〜5wt%の量の、ポリ(エチルヒドロキシスタノキサン)、ポリ(ブチルヒドロキシスタノキサン)、ポリ(オクチルヒドロキシスタノキサン)、ポリ(ウンデシルヒドロキシスタノキサン)およびポリ(ドデシルヒドロキシスタノキサン)である(独国特許出願公開第4006520号A)。本発明に従って使用可能な更なるスズ化合物は、一般式
X−RSn−O−RSn−Y
の酸化スズ(II)であり、ここでXおよびYは各々独立してOH、SCN、OR13、OCOR13、またはハロゲンであり、Rはアルキル、アリールであり、R13は、R12に関して上で定義したものである(欧州特許出願公開第0338760号)。
【0065】
本発明に従って使用可能な更なる触媒として、オプションとしてトリ有機ホスフィン、キレート化合物またはハロゲン化アルカリ金属と共に用いられる、鉛化合物、例えば、ジアルキルカーボネート1mol当たり0.001〜1mol、好ましくは0.005〜0.25molの量の、Pb(OH)−2PbCO、Pb(OCO−CH、Pb(OCO−CH・2LiCl、Pb(OCO−CH・2PPhが適しており(特開昭57−176932号、特開平01−093580号)、他の鉛(II)および鉛(IV)化合物(PbO、PbO、鉛丹、亜鉛酸塩および鉛酸塩等)も適しており(特開平01−093560号)、鉄(III)アセテート(特開昭61−172852号)、銅の塩および/または金属錯体、例えばアルカリ金属錯体、亜鉛錯体、チタン錯体および鉄錯体もまた、適している(特公平01−005588号)。
【0066】
更に、不均一触媒系が、本発明の方法において使用可能である。これらは例えば、ケイ素およびチタン酸化物の混合物(ハロゲン化ケイ素およびハロゲン化チタンの加水分解を組み合わせることによって得られる(特開昭54−125617号))、または、20m/gより大きい高BET表面積を有する二酸化チタンである(独国特許出願公開第4036594号)。
【0067】
本発明の方法に好ましい触媒は、上で特定した金属化合物、AlX、TiX、UX、TiX、VOX、VX、ZnX、FeX、PbX、およびSnXである。AlX、TiX、PbX、およびSnXが特に好ましく、その中で、例として、四塩化チタン、チタンテトラメトキシド、チタンテトラフェノキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラドデコキシド、スズテトライソオクトキシド、およびアルミニウムトリイソプロポキシドを挙げるべきである。金属化合物TiXが極めて特に好ましい。チタンテトラメトキシド、チタンテトラフェノキシド、およびチタンテトラエトキシドが特に好ましい。
【0068】
触媒は好ましくは、(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリームと共に、溶解または懸濁した状態で、第1反応塔に導入する。別法として、触媒はまた、例えば、反応アルコールに対応するアルコールまたは適切な不活性溶媒中で、独立して計量供給する。不均一触媒を使用する場合において、それらは、前述のランダム充填物と混合して、またはランダム充填物の代わりに適切な形状で、または設置されたいずれかの塔トレイにおける床として使用することが可能である。
【0069】
第1反応塔における反応に必要とされるエネルギーは、第1に、内側または外側の装置、例えば熱交換器、蒸発器および/もしくは加熱可能な塔トレイによって発生させることが可能であり、ならびに/または、第2に、(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を含む液体ストリーム、またはジアルキルカーボネートを含み、気体の状態で計量供給されるストリームのいずれかと共に導入することが可能である。特に(1または複数の)反応ゾーンの領域において、熱はこのような方法で供給し得る。この熱を、好ましくは(1または複数の)反応ゾーンの領域において、蒸発器または加熱可能な塔トレイによって、全てまたは一部供給する。第1反応塔における反応に必要とされるエネルギーを、(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を含む液体ストリーム、または、ジアルキルカーボネートを含み気体の状態で計量供給されるストリームのいずれかと共に、そして更に内側および/または外側の熱交換器によって、第1反応塔に少なくとも部分的に導入することが、特に好都合である。
【0070】
本発明の方法において、第1反応塔の缶出液は第2反応塔に供給する。
【0071】
第2反応塔は、塔の上部において、少なくとも1つの精留部を含み、前記精留部の下に、少なくとの1つの反応ゾーンを含む。精留部は好ましくは1〜50段、より好ましくは1〜25段の理論段数を有する。
【0072】
第2反応塔において、第1反応塔の缶出液(これは、生成したアルキルアリールカーボネートおよびジアリールカーボネートを既に含む)は、液体の状態で、または気体−液体混合物として、好ましくは反応ゾーンへ、より好ましくは反応ゾーンの上部へ、最も好ましくは反応ゾーンの上から3分の1のところへ供給する。この場合において、第2反応塔は好ましくは、アルキルアリールカーボネートを、例えば更なるエステル交換または不均化によって、好ましくは不均化によって、ジアリールカーボネートに、全てまたは一部転化するように操作される。第1反応塔の缶出液に加えて、アルキルアリールカーボネートを含む1または複数のストリームを、液体の状態で、または気体−液体混合物として、反応ゾーンの領域において計量供給することが可能である。そのような、アルキルアリールカーボネートを含む追加のストリームは、例えば別のワークアップに由来してよく、従ってプロセス内へ再循環してよい。
【0073】
第2反応塔の頂部において、未転化の芳香族ヒドロキシル化合物、ジアルキルカーボネート、反応アルコール、中間沸点の二次化合物(例えばアルキルアリールエーテル)、およびわずかな量の低沸点二次化合物を除去する。本発明に関連して、中間沸点の二次化合物は、アルキルアリールカーボネートの沸点より低い沸点を有し、かつジアルキルカーボネートの沸点より高い沸点を有するものを意味すると理解する。そのような中間沸点の二次化合物は、例えばアルキルアリールエーテルであり、例えば、アニソール又はフェネトールである。第2反応塔において除去される中間沸点の二次化合物は、第1および/または第2反応塔における反応で生成し得、または反応物によって本プロセスに既に導入され得る。
【0074】
第2反応塔の精留部は、反応ゾーンにおいても蒸発させられる、より高沸点の成分、例えばアルキルアリールエーテルを除去するように作用する。
【0075】
好ましい態様において、第2反応塔は、第1反応塔について記載された、それらの還流条件下と同様に操作する。
【0076】
第2反応塔は、反応ゾーンの下に、少なくとも1つの回収部を有してよい。しかし、好ましい態様において、第2反応塔の反応ゾーンは、同時に回収部として機能する。この場合、不均化において放出されるジアルキルカーボネートを、放出される反応アルコールおよび未転化の芳香族ヒドロキシル化合物のエステル交換によって除去し、同時に、ジアリールカーボネートおよび不均化を通じて本質的に使い尽くされるアルキルアリールカーボネートを濃縮する。
【0077】
第2反応は、更に好ましくは、1または複数の底部蒸発器を備えてよい。
【0078】
更に好ましくは、第2反応塔は、回収部および/または反応ゾーンの領域において、1または複数の中間加熱器または中間蒸発器を有してよい。
【0079】
原則として、第2反応塔の精留部は、1または複数の中間凝縮器を同様に備えていてよい。このことは、精留部を下側精留部と上側精留部(2つのセクター)に分割し、下側精留部は中間凝縮器の下に存在し、上側精留部は中間凝縮器の上に存在する。好ましい態様において、第2反応塔は、中間凝縮器を有しない。
【0080】
第2反応塔は、1または複数の凝縮器を備えている。これらは好ましくは、第2反応塔の頂部における1または複数の凝縮器((1または複数の)頂部凝縮器)である。頂部凝縮器のカスケードを用いることが特に好ましい。
【0081】
第2反応塔の頂部の(1または複数の)凝縮器における凝縮の間に、蒸気は、比較的高沸点の成分(例えば芳香族ヒドロキシル化合物)については激減させられる。従って、得られる凝縮熱を、熱の統合(または集積)を目的として特に効果的に利用することを可能にするために、凝縮は、好ましくはいくつかの段階、より好ましくは少なくとも2段階で行い、好ましい態様においては、2または3段階で行う。
【0082】
2または3段階凝縮の特に好ましい態様において、第1凝縮段階の、または第1および第2凝縮段階の凝縮熱を、プロセス内のストリームまたは塔を加熱するために、直接または間接的に使用し、一方、第2または第3凝縮段階から得られる凝縮熱を、冷却水または空気冷却によって除去する。
【0083】
更に好ましい態様において、中間沸点の二次化合物の選択的排出を可能にするために、第2反応塔の頂部における凝縮を、第二反応塔の頂部で取り出した蒸気の一部を凝縮することなく、追加的に実施することができる。
【0084】
反応ゾーンの下および存在するいずれの回収部の下においても、アルキルアリールカーボネート、過剰の又は未転化の芳香族ヒドロキシル化合物、ジアリールカーボネート、(1または複数の)エステル交換触媒、ジアルキルカーボネート、反応アルコール、および反応において生成した、または反応物中に既に存在している中間沸点または高沸点の二次化合物を含む混合物が得られる。本発明の態様において、高沸点二次化合物は、アルキルアリールカーボネートの沸点よりも高い沸点を有する化合物を意味すると理解される。そのような高沸点二次化合物は、沸点がアルキルアリールカーボネートの沸点とジアリールカーボネートの沸点の間である化合物(高沸点物(high boiler))と、沸点がジアリールカーボネートの沸点より高い化合物(超高沸点物)に分離することが可能である。
【0085】
第2反応塔の全ての部分(セクション)において、即ち、精留部およびいずれかの回収部の両方において、ならびに反応ゾーンにおいて、第1反応塔に関して上で既に言及したランダム充填物または規則充填物を使用し得る。
【0086】
(1または複数の)反応ゾーン、使用する任意の回収部、および(1または複数の)精留部のより正確な設計は、当業者が行うことが可能である。
【0087】
(1または複数の)反応ゾーンの温度は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜250℃、最も好ましくは180〜250℃の範囲である。
【0088】
特定の態様において、第1に操作条件の選択によって、第2に1または複数の反応トレイの領域における追加の熱供給によって、最適な反応温度を反応ゾーンにおいて設定する。熱は、熱交換器によって、または熱導入手段を有する反応トレイを介して、反応トレイに供給することが可能である。標準的な圧力においてだけでなく、加圧または減圧下においても、好ましくは減圧下で、本発明のエステル交換を実施することが好都合である。従って、第2反応塔の圧力は好ましくは、0.05〜20bar(絶対圧力)、より好ましくは0.1〜10bar(絶対圧力)、最も好ましくは0,1〜2bar(絶対圧力)の範囲である。
【0089】
第2反応塔において起こる反応工程に関して、第1反応塔におけるエステル交換に関して既に上で言及したエステル交換触媒を使用することが可能である。好ましい態様において、第1および第2反応塔において同一の触媒を使用する。
【0090】
触媒は、好ましくは、溶解または懸濁した状態で、第1反応塔の缶出液と共に第2反応塔に導入される。別法として、触媒は、例えば反応アルコールに対応するアルコールまたは適切な不活性溶媒中で、独立して計量供給してよい。不均一触媒を使用する場合において、それらは、前述のランダム充填物と混合して、ランダム充填物の代わりに適切な形状で、または設置されたいずれかの塔トレイの床としても、使用することが可能である。
【0091】
第2反応塔に必要とされるエネルギーは、第1に、内部または外部の装置、例えば熱交換器、蒸発器および/若しくは加熱可能な塔トレイによって発生させることが可能であり、第2に、(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を含む液体ストリームと共に導入することが可能である。(1または複数の)反応ゾーンの領域における蒸発器によって、この熱を全てまたは一部供給することが好ましい。
【0092】
第2反応塔の後に、1または複数の別の反応塔が下流に続いてよい。そのような別の反応塔に関して、上で第2反応塔に関して特定された条件およびパラメーター範囲を適用するが、前記別の反応塔の条件およびパラメーター範囲は、第2反応塔における条件およびパラメーター範囲と同一である必要はなくて、上述の条件の範囲内およびパラメーター範囲内であって、第2反応塔における条件およびパラメーター範囲と異なることが好ましい。第2反応塔に加えて、1つの反応塔を、例えば第2反応塔よりも低圧で操作することが好ましい;還流比および底部温度も、第2反応塔における還流比および底部温度と比較して変更してよい。好ましい態様において、本発明の方法において、第1反応塔の後に、ただ1つの別の反応塔、即ち上述の第2反応塔が下流に続いてよい。しかし、反応塔の後に、取り出されるストリームの成分を精製および分離するための別の塔が下流に続いてよい。成分を精製および分離するためのそのような塔は、本発明に関連して反応塔であるとは理解されず、蒸留塔と呼ぶ。
【0093】
第1反応塔または別の(1または複数の)反応塔から選択される少なくとも1つの反応塔に備えられている凝縮器であって、そこから得られる凝縮熱をプロセスに戻して直接または間接的に再利用し得る凝縮器は、塔の頂部における凝縮器(以後頂部凝縮器とも呼ぶ)、または塔の精留部における凝縮器(以後、中間凝縮器とも呼ぶ)であってよい。
【0094】
本発明の方法において、第1反応塔の少なくとも1つの精留部が、少なくとも1つの中間凝縮器を備えていることが好ましく、この中間凝縮器における凝縮により得られる凝縮熱を、プロセスに戻して直接または間接的に再利用する。
【0095】
追加として好ましくは、本発明の方法において、反応塔または少なくとも1つの別の反応塔は、1つまたはそれより多くの凝縮器を、(1または複数の)反応塔の頂部に備えており、これらの凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱をプロセスに戻して直接または間接的に再利用する。
【0096】
(1または複数の)凝縮器、好ましくは第2反応塔または(1または複数の)別の反応塔(好ましくは第2反応塔)の(1または複数の)頂部凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱は、本発明に従って、プロセスに戻して直接または間接的に、全てまたは一部再利用する。第1反応塔が1つまたはそれより多くの中間凝縮器を備えている場合において、(1または複数の)中間凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱は、本発明に従って、プロセスに戻して直接または間接的に、全てまたは一部、同様に再利用する。本発明に関連して、凝縮熱をプロセス中で直接再利用することは、この凝縮熱を、中間加熱媒体無しで、例えば本方法内の1もしくはそれより多くのストリームを加熱するために、またはプロセス内の塔の1つもしくはそれより多くの部分を加熱するために、プロセス中に再循環されることを意味すると理解される。これは、例えば、熱交換器内で行うことが可能である。この場合において、いずれか1つのそのような交換器を(1または複数の)凝縮器と組み合わせることが好ましい。本発明に関連して、凝縮熱をプロセス中に間接的に再循環させることは、得られる凝縮熱を、まず、プロセス中に凝縮熱を再循環させる働きをする加熱媒体を発生させるために使用することを意味すると理解される。この加熱媒体は、例えば、プロセス内で、1若しくはそれより多くのストリームまたは塔の1若しくはそれより多くの部分を加熱するために使用し得る。有用な加熱媒体には、気体、蒸気、または液体が含まれ、好ましくは蒸気または液体の工業用熱キャリア媒体であり、例えば水、鉱物油をベースとする加熱媒体、または合成熱キャリア(例えばDiphyl(商標)、Marlotherm(登録商標))である。特に好ましい加熱媒体は水または水蒸気である。
【0097】
(1または複数の)別の反応塔の(1または複数の)凝縮器(好ましくは(1または複数の)頂部凝縮器)、および/または第1反応塔に存在する(1または複数の)いずれかの中間凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱を、反応の間に生成されるアルキルアルコールからジアルキルカーボネートを分離するために、および/または第1反応塔に導入されるジアルキルカーボネートを蒸発させるために、直接または間接的に、全てまたは一部用いることが特に好ましい。(1または複数の)凝縮器、好ましくは(1または複数の)頂部凝縮器、(1または複数の)別の凝縮器、および/または第1反応塔に存在する(1または複数の)いずれかの中間凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱を、直接または間接的に、反応の間に生成されるアルキルアルコールからジアルキルカーボネートを分離するために一部使用し、また、第1反応塔に導入されるジアルキルカーボネートを蒸発させるために一部使用することが極めて特に好ましい。本発明の方法の好ましい態様において、(1または複数の)別の反応塔の(1または複数の)凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱を、反応の間に生成されるアルキルアルコールからジアルキルカーボネートを分離するために、直接または間接的に、全てまたは一部使用し、第1反応塔の(1または複数の)中間凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱を、第1反応塔に導入されるジアルキルカーボネートを蒸発させるために、直接または間接的に、全てまたは一部使用する。
【0098】
本発明の方法において、第1反応塔および/または(1または複数の)別の反応塔におけるエステル交換および/または不均化の過程で、反応の間に生成されるアルキルアルコール(反応アルコール)、および未転化のまたは反応の間に生成されるジアルキルカーボネートを含むストリームが得られ、好ましくは1または複数のストリームにおいて混合物の状態で取り出される。反応塔において未転化の、または反応の間に生成される、このジアルキルカーボネートは、本発明に従って、少なくとも1つの蒸留塔を含む少なくとも1つの別の処理工程において、反応の間に生成されるアルキルアルコール(反応アルコール)から、全てまたは一部分離する。未転化の、または反応の間に生成されるジアルキルカーボネート、および反応の間に生成されるアルキルアルコールを含む、少なくとも1つのストリームを第1反応塔の頂部において取り出すこと、ならびに、それを、少なくとも1つの蒸留塔を含む少なくとも1つの別の処理工程に供給することによって分離することが好ましい。
【0099】
第1反応塔の頂部において取り出した、ジアルキルカーボネートおよび反応の間に生成されるアルキルアルコールを含む蒸気混合物を、ジアルキルカーボネートおよびアルキルアルコールを分離するために、第1反応塔の頂部における凝縮の後に、全てまたは一部、少なくとも1つの蒸留塔(以後、(1または複数の)分離蒸留塔と呼ぶ)を含む少なくとも1つの更なる処理工程に供給することが好ましい。場合により別の精製の後で、取り除いたジアルキルカーボネートを第1反応塔に戻して供給することが、特に好ましい。
【0100】
ジアルキルカーボネートおよび反応アルコールは好ましくは、1もしくはそれより多くの分離蒸留塔における蒸留によって、または蒸留と膜分離の組み合わせ(以後、混成法と呼ぶ)において分離される。
【0101】
反応アルコールおよびジアルキルカーボネートが共沸混合物を形成する場合(例えばメタノールとジメチルカーボネート)、少なくとも2段階のプロセス(例えば2段階圧力法、抽出蒸留、低沸点共沸混合物を有する不均一共沸蒸留、または混成法)を用いることが好ましい。2段階圧力法または混成法を採用することが特に好ましい。2段階圧力法を採用することが極めて特に好ましい。そのようなプロセスは原則として当業者に公知である(例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(ウルマンの工業化学百科事典)第7巻(2007年)第6.4章および第6.5章;Chemie Ingenieur Technik(化学工学技術)第67巻第11号(95年)を参照のこと)。
【0102】
反応アルコールおよびジアルキルカーボネートが共沸混合物を形成しない場合(例えばエタノールとジエチルカーボネート)、分離は好ましくは単一の蒸留塔で行う。
【0103】
反応アルコールとジアルキルカーボネートが共沸混合物を形成する場合、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコール(反応アルコール)とを分離する処理工程の第1分離蒸留塔の留出物は、好ましくは実質的に共沸混合物の組成を有する。この場合、2段階圧力法において、第1分離蒸留塔の操作圧力より低い操作圧力で作動する少なくとも1つの別の分離蒸留塔に供給することが好ましい。操作圧力が異なるので、共沸混合物の位置は、反応アルコールのより低い割合に向かってシフトする。この第2分離蒸留塔またはこれらの(1または複数の)別の分離蒸留塔から得られる缶出液は、単離した缶出液の総重量を基準として90〜100wt%の純度の反応アルコールであり、得られる留出物は、実質的に共沸の混合物である。より低い操作圧力で作動する、第2分離蒸留塔または(1または複数の)別の分離蒸留塔は、極めて特に好ましい態様において、好ましくは第1分離蒸留塔の(1または複数の)頂部凝縮器の凝縮熱で運転される。
【0104】
2段階圧力法は、2物質混合物の共沸組成の圧力依存性を利用する。反応アルコール(アルキルアルコール)とジアルキルカーボネート(例えばメタノールとジメチルカーボネート)との混合物の場合において、共沸混合物の組成は、圧力の増加と共に、より高い反応アルコール含有量に向かってシフトする。これら2つの成分を第1分離蒸留塔(ジアルキルカーボネート塔)に供給する場合、反応アルコール含有量が、この塔の操作圧力に対して、対応する共沸組成よりも少ないので、得られる留出物は、実質的に共沸組成を有する混合物であり、缶出液は実質的に純粋なジアルキルカーボネートである。従って、得られた共沸混合物は更なる分離蒸留塔(アルキルアルコール塔)に供給される。これは、ジアルキルカーボネート塔と比較して、より低い操作圧力で作動する。結果として、共沸混合物の位置は、より低い反応アルコール含有量に向かってシフトする。このことにより、ジアルキルカーボネート塔において得られる共沸混合物を、実質的に共沸組成の留出物と実質的に純粋な反応アルコールとに分離することが可能となる。アルキルアルコール塔の留出物を、ジアルキルカーボネート塔に、適切な地点にフィードバックする。
【0105】
アルキルアルコール塔の操作圧力は、好ましくは、ジアルキルカーボネート塔の廃熱で操作し得るように選択する。操作圧力は、0.1〜2bar、好ましくは0.3〜1barである。ジアルキルカーボネート塔の操作圧力は1〜50barの範囲であり、好ましくは2〜20barである。
【0106】
2段階圧力法によるジアルキルカーボネートと反応アルコールとの分離における、例示的な反応形式を図1に示す。
【0107】
反応アルコールとジアルキルカーボネートの共沸混合物を分離する、別の好ましい方法は、混成法である。混成法においては、2物質混合物を、蒸留と膜プロセスを組み合わせることによって分離する。成分を、それらの極性特性およびそれらの異なる分子量のため、膜によって、少なくとも部分的に、互いから分離し得るという事実を利用する。反応アルコールとジアルキルカーボネートの混合物(例えばメタノールとジメチルカーボネート)の場合において、適切な膜を使用すると、パーベーパレーションまたは蒸気透過によって、反応アルコールに富む混合物が透過物として得られ、反応アルコールの激減した混合物が非透過物として得られる。これら2成分の混合物を分離蒸留塔(ジアルキルカーボネート塔)に供給する場合、反応アルコールの含有量が、この塔の操作圧力に対して対応する共沸混合物組成より低いので、得られる留出物は、供給物と比較して反応アルコール含有量の著しく増加した混合物であり、缶出液は実質的に純粋なジアルキルカーボネートである。
【0108】
蒸留および蒸気透過から成る混成法の場合において、留出物を塔から蒸気の状態で取り出す。そのようにして得られる蒸気混合物を、場合により、過熱後に蒸気透過に供給する。この蒸気透過は、非透過側において塔の操作圧力とほぼ同じ操作圧力を設定し、透過側においてより低い圧力を設定して行う。塔の操作圧力は1〜50barの範囲、好ましくは1〜20、より好ましくは2〜10barである。透過側の圧力は0.05〜2barである。これにより、透過側において、反応アルコール含有量が、フラクションの総重量を基準として少なくとも70wt%、好ましくは少なくとも90wt%である、反応アルコールに富むフラクションが得られる。非透過物(これは塔の留出物と比較して含有量の少ない反応アルコールを含む)を、場合により凝縮し、蒸留塔に戻して供給する。
【0109】
蒸留およびパーベーパレーションで構成される混成法の場合において、留出物は、塔から液体の状態で取り出す。そのようにして得られる混合物は、場合により加熱した後に、パーベーパレーションに供給する。これは、塔と比較して等しい操作圧力または高い操作圧力を非透過側において形成し、より低い圧力を透過側において形成するような方法で行う。塔における操作圧力は1〜50bar、好ましくは1〜20bar、より好ましくは2〜10barである。透過側における圧力は、0.05〜2barである。これにより、反応アルコール含有量が、透過側において、フラクションの総重量を基準として少なくとも70wt%、好ましくは少なくとも90wt%である、反応アルコールに富む蒸気フラクションが得られる。液体非透過物(これによって塔の留出物と比較して含有量の減少した反応アルコールが得られる)は、分離蒸留塔にフィードバックする。透過物の蒸発は熱を必要とし、熱は、パーベーパレーションへの供給ストリームにおいて、十分な程度存在しないことがある。従って、パーベーパレーションによる膜分離(物)は、場合により追加の熱交換器で加熱し、前記熱交換器は統合され、または場合により、直列に接続する複数のパーベーパレーション工程の間に挿入される。
【0110】
混成法の場合において、ジアルキルカーボネートおよび反応アルコールは、より好ましくは、蒸留と蒸気透過の組み合わせによって分離する。
【0111】
蒸気透過による混成法によってジアルキルカーボネートと反応アルコールとを分離する例示的態様を、図3に示す。
【0112】
ジアルキルカーボネートと反応アルコールとを分離するために選択される方法に関係なく、圧力および温度等の処理条件は、(1または複数の)別の反応塔の(1または複数の)凝縮器、および/または第1反応塔に存在する(1または複数の)いずれかの中間凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱を有効に利用し得るように、好都合に選択する。
【0113】
この目的を達成するために、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールとを分離するための処理工程の(1または複数の)分離蒸留塔における操作圧力、およびそれに従って操作温度も、(1または複数の)分離蒸留塔を、(1または複数の)別の反応塔の(1または複数の)凝縮器および/または第1反応塔に存在するいずれかの(1または複数の)中間凝縮器における凝縮熱によって、完全に又は部分的に操作し得るように調節する。この目的を達成するために、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールとを分離するための処理工程の(1または複数の)分離蒸留塔における操作圧力は、好ましくは、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールとの分離のための処理工程の(1または複数の)分離蒸留塔の底部における蒸発温度が、(1または複数の)別の反応塔の(1または複数の)凝縮器および/または第1反応塔において存在する(1または複数の)いずれかの中間凝縮器における凝縮温度よりも低くなるように調節される。
【0114】
反応アルコールとジアルキルカーボネートとを分離するのに必要とされる熱は、100〜300℃、好ましくは100〜230℃、より好ましくは120〜200℃の温度で供給する。熱の統合を、第1反応塔の中間凝縮器または第2反応塔の凝縮器を用いて有効に可能にするために、(1または複数の)別の反応塔の(1または複数の)凝縮器および/または第1反応塔において存在するいずれかの中間凝縮器における凝縮を、1〜100℃、好ましくは2〜50℃、より好ましくは5〜40℃高い温度で実施する。
【0115】
(1または複数の)別の反応塔の(1または複数の)凝縮器および/または第1反応塔に存在する(1または複数の)いずれかの中間凝縮器からの凝縮熱は、例えば、(1または複数の)分離蒸留塔への供給ストリームを予熱するために、および/または1または複数の塔の部分を加熱するために、全てまたは一部使用し得る。好ましい態様において、(1または複数の)別の反応塔の(1または複数の)凝縮器、および/または第1反応塔に存在する(1または複数の)いずれかの中間凝縮器からの凝縮熱は、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールとを分離する処理工程の(1または複数の)分離蒸留塔への(1または複数の)供給ストリームを予熱するために一部使用し、(1または複数の)分離蒸留塔における缶出液を蒸発させるために一部使用する。少なくとも2つ、好ましくは3つの頂部凝縮器のカスケードを第2反応塔の頂部で使用する、本発明の方法の非常に好ましい態様において、このカスケードの第1凝縮器からの凝縮熱は、分離蒸留塔、またはジアルキルカーボネートとアルキルアルコールとを分離するための処理工程の第1分離蒸留塔の缶出液を蒸発させる働きをし、前記カスケードの第2凝縮器からの凝縮熱は、分離蒸留塔、またはジアルキルカーボネートとアルキルアルコールとを分離するための処理工程の第1分離蒸留塔への供給ストリームを予熱する働きをする。
【0116】
(1または複数の)分離蒸留塔は、好ましくは、反応アルコールを濃縮するための5〜40段の理論段数を有する精留部、およびジアルキルカーボネートを濃縮するための5〜40段の理論段数を有する回収部を有する。
【0117】
(1または複数の)別の反応塔の(1または複数の)凝縮器、および適切であるならば第1反応塔の(1または複数の)中間凝縮器からの凝縮熱を利用することにより、過剰のジアルキルカーボネートからの反応アルコールの分離を、エネルギー消費を著しく減少させて実施することが可能となる。エステル交換工程における冷却能力を、同程度まで減少させることが可能である。従って、従来技術の方法と比較した本発明の方法の著しい利点は、ジアルキルカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネートの製造におけるエネルギー消費が著しく減少することにある。同時に、前記方法は、塔配列を使用するため、直列で接続された複数の独立した反応ゾーンを有する複雑な反応器配列を必要としないので、単純な装置で実施することが可能である。
【0118】
本発明に従って、ジアルキルカーボネートを含む、工程(b)からの(1または複数の)別の反応塔において得られる缶出液を、少なくとも1つの精留部を塔の上部に含み、少なくとも1つの回収部を塔の下部に含む少なくとも1つの蒸留塔(第1ジアルキルカーボネート蒸留塔とも呼ぶ)で精製するための、少なくとも1つの別の処理工程に供給する。ジアリールカーボネート含有測流を、好ましくはこの第1ジアリールカーボネート蒸留塔から取り出す。更に好ましくは、ジアリールカーボネートを含む、工程(b)からの(1または複数の)別の反応塔において得られる缶出液は、ジアリールカーボネートの沸点と、ジアリールカーボネートの製造の間に中間体として生成されるジアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点を有する化合物を不純物として含み、前記化合物は、ジアリールカーボネート蒸留塔から、別の測流において取り出し、場合により、反応塔または工程(b)からの(1または複数の)別の反応塔の1つで再利用する。
【0119】
好ましくは、(1または複数の)反応塔における工程(b)から得られる缶出液(粗ジアリールカーボネートとも呼ぶ)は、10〜90wt%、好ましくは20〜80wt%、最も好ましくは40〜80wt%のジアリールカーボネートおよび5〜90wt%、より好ましくは5〜60wt%、最も好ましくは5〜40wt%のアルキルアリールカーボネート、1〜90wt%、より好ましくは1〜50wt%、最も好ましくは1〜30wt%の芳香族ヒドロキシル化合物、0〜5wt%、より好ましくは0〜2wt%、最も好ましくは0〜0.5wt%の高沸点二次化合物、0〜5wt%、より好ましくは0.0001〜2wt%、最も好ましくは0.0001〜1wt%の中間沸点二次化合物、ならびに0.01〜10wt%、より好ましくは0.1〜5wt%、最も好ましくは1〜5wt%の触媒を含み、精製すべきジアリールカーボネート中の上述の全ての成分の合計は、100wt%となる。重量パーセンテージは、各々、精製すべき粗ジアリールカーボネートの総重量を基準としている。
【0120】
本発明の方法によって、精製されたジアリールカーボネートの総重量を基準として、ジアリールカーボネートの純度、即ち純ジアリールカーボネート含有量が、99〜100wt%、より好ましくは99.5〜100wt%、最も好ましくは99.9〜100wt%であるジアリールカーボネートを得ることが、好ましくは可能である
【0121】
第一ジアリールカーボネート蒸留塔の測流内で取り出されたジアリールカーボネートは、液体または蒸気の状態で、取り出され得る。第一ジアリールカーボネート蒸留塔の測流において取り出されるジアリールカーボネートは、好ましくは蒸気の状態で取り出される。しかし、好ましい態様においては、より特には構造の理由のため、測流中のジアリールカーボネートを液体で取り出すことが好ましいこともある。
【0122】
第1ジアリールカーボネート蒸留塔は、少なくとも二つのセクター、即ち、塔の上部の精留部および塔の下部の回収部を有する。第一ジアリールカーボネート蒸留塔の精留部は、好ましくは下側精留部と上側精留部とに分離することが可能である。更に好ましくは、第1ジアリールカーボネート蒸留塔の回収部は、下側回収部と上側回収部とに分離することが可能である。
【0123】
本発明の方法の好ましい態様において、ジアリールカーボネートを含み、反応塔または工程(b)からの(1または複数の)別の反応塔において得られる缶出液の精製は、少なくとも3つのセクターを有する少なくとも1つのジアリールカーボネート蒸留塔において実施する。これらの少なくとも3つのセクターは、少なくとも1つの精留部および少なくとも1つの回収部であり、前記回収部は下側回収部と上側回収部とに分割される。より好ましくは、精留部および回収部を有し、前記回収部が下側回収部および上側回収部に分割されている第1ジアリールカーボネート蒸留は、4つのセクターを有し、前記精留部も、下側精留部および上側精留部に分割される。
【0124】
全体としては、第1ジアリールカーボネート蒸留塔は、好ましくは、3〜160段、より好ましくは10〜90段、最も好ましくは13〜50段の理論段数の全体の分離能を有する。上側精留部は、好ましくは0〜40段、より好ましくは1〜20段、最も好ましくは1〜10段の理論段数を有し、下側精留部は、好ましくは1〜40段、より好ましくは5〜20段、最も好ましくは5〜15段の理論段数であり、上側回収部は好ましくは1〜40段、より好ましくは2〜30段、最も好ましくは5〜20段の理論段数であり、下側回収部は好ましくは1〜40段、より好ましくは2〜20段、最も好ましくは2〜15段の理論段数である。
【0125】
蒸発は、塔の底部において、好ましくは100〜300℃、好ましくは150〜240℃、より好ましくは180〜230℃の温度範囲で行う。塔頂における蒸気の凝縮は、1または複数の段階、好ましくは1または2段階で、好ましくは40〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは60〜180℃の温度範囲で行うことが可能である。
【0126】
第1ジアリールカーボネート蒸留塔は、好ましくは1〜1000mbar(絶対圧力)、より好ましくは1〜100mbar(絶対圧力)、最も好ましくは5〜50mbar(絶対圧力)の頂部圧力で操作する。還流比は好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜5、最も好ましくは0.5〜2である。
【0127】
本発明の方法の好ましい態様において、第1ジアリールカーボネート蒸留塔は、分離壁塔であってよい。
【0128】
分離壁塔は、混合物を3つのフラクション(即ち、塔頂生成物、缶出液および高純度測流)に分割するのに同様に適している。分離壁塔は、測流の取り出し側から供給側を分離する概して直立した分離壁を有する。分離壁は、好ましくは、塔の長さ全体にわたって連続していない。通常、分離壁の上にも精留部が存在し、分離壁の下にも回収部が存在する。分離壁の領域において、供給側および測流の取り出し側の両方において、好ましくは少なくとも2つのセクターが存在する。供給側において、上側セクターは、フィード中に存在する高沸点物を減少させる働きをし、下側セクターはフィード中に存在する低沸点物(low boiler)を減少させる働きをする。測流の取り出し側において、取り出し箇所の上に上側セクターが同様に存在し、前記上側セクターは、精留部から低沸点物を減少させる働きをする。取り出し箇所の下に配置される下側セクターは、分離壁の下の回収部から来る高沸点物を減少させる働きをする。
【0129】
精留部から流出する液体の分割は、特定の分離タスクにおける要求に支配され、構造および制御技術手段の両方に影響され得る。同じことが、回収部から来る蒸気ストリームに当てはまる。
【0130】
分離壁塔は、当業者に公知であり、例えば独国特許出願公開第3302525号Aまたは独国特許出願公開第19914966号Aに記載されている。
【0131】
分離壁塔は、好ましくは、塔の上部の少なくとも1つの精留部および塔の下部の少なくとも1つの回収部に加えて、分離壁の供給側および分離壁の取り出し側において上側および下側セクターを各々の場合において有し、供給および取り出しの各々を、前記上側および下側セクターの間で行う。
【0132】
本発明の方法の特に好ましい態様において、分離壁塔の精留部は2つのセクター、即ち下側精留部および蒸留精留部を有する。
【0133】
本発明の方法の極めて特に好ましい態様において、分離壁塔は少なくとも7つのセクターを有し、前記少なくとも7つのセクターは、塔の下部に少なくとも1つの回収部、分離壁の供給側および分離壁の取り出し側に、各々の場合において上側および下側セクター、ならびに塔の上部に上側および下側精留部を含む。
【0134】
そのような分離壁塔における分離壁を、好ましくは塔の長さ方向に設置する。それにより、供給側と取り出し側との間の、蒸気物質移動と液体物質移動の両方を防止する。
【0135】
精製されたジアリールカーボネートは、分離壁の取り出し側において、液体または蒸気の状態で取り出すことが可能である。塔設計において、取り出しの種類が塔内の分離壁の配置に著しく影響を与え得る場合もある。分離壁は、各々の場合において取り出し側または供給側にシフトさせて塔内に配置してよく、従って、特定の側の断面積が他の側と比較して小さく、または大きい。分離壁の取り出し側において、精製されたジアリールカーボネートを蒸気で取り出す場合において、塔の取り出し側の断面積は、好ましくは供給側の断面積より大きい(即ち、より多くの蒸気が回収部から取り出し側に入る)。分離壁の取り出し側において精製されたジアリールカーボネートを液体で取り出す場合において、塔の供給側の断面積は、好ましくは取り出し側の断面積と同一である。
【0136】
そのような分離壁塔の上側精留部は、好ましくは、0〜40段、より好ましくは1〜20段、最も好ましくは1〜10段の理論段数の分離能、好ましくは1〜40段、より好ましくは5〜20段、最も好ましくは5〜15段の理論段数の下側精留部、好ましくは1〜40段、より好ましくは2〜20段、最も好ましくは2〜15段の理論段数の回収部を有する。分離壁の供給側における上側セクターおよび下側セクター、ならびに分離壁の取り出し側における上側セクターおよび下側セクターは、各々、1〜40段、より好ましくは2〜20段、最も好ましくは5〜20段の理論段数の分離能を有することが好ましい。
【0137】
第1ジアリールカーボネート蒸留塔の缶出液は、ジアリールカーボネートの残存含有量が、95wt%未満、好ましくは90wt%未満、より好ましくは75wt%未満である。
【0138】
触媒の減損を防止するために、第1ジアリールカーボネート蒸留塔の缶出液を全てまたは一部、好ましくは少なくとも50wt%程度まで、より好ましくは少なくとも80wt%程度まで、最も好ましくは少なくとも90wt%程度まで、少なくとも1種のジアルキルカーボネートおよび少なくとも1種の芳香族ヒドロキシル化合物からのエステル交換に戻して再利用することが可能である。第1ジアリールカーボネート蒸留塔の缶出液の残存部分は、残留物を濃縮する目的のために、および第1ジアリールカーボネート蒸留塔の缶出液中にいまだ存在しているジアリールカーボネートを一部回収する目的のために、ワークアップ段階(以下、残留物濃縮とも呼ぶ)に供給することが可能である。残留物濃縮において回収したジアリールカーボネートは、本発明の特定の態様において、液体または蒸気の状態で、好ましくは蒸気の状態で、第1ジアリールカーボネート蒸留塔に戻して供給することが可能である。残留物濃縮からの濃縮された残留物は、プロセスから排出することが可能であり、または触媒を回収する目的のために別のワークアップ工程に送ることが可能である。従って、処理工程(e)からの少なくとも1つのジアリールカーボネート蒸留塔における缶出液から、場合により別の精製の後に、完全にまたは一部回収された触媒含有ストリームを得て、プロセス、好ましくは処理工程(a)に戻すことが優先的に可能である。このことにより、高価な触媒の減損と所望のジアリールカーボネートの減損の両方を回避し、従って、本発明の方法を更により経済的に実行可能に構成することが可能となる。
【0139】
本発明の方法の好ましい態様において、
(f)触媒含有ストリームを、処理工程(e)からの少なくとも1つのジアリールカーボネート蒸留塔の缶出液から得て、場合により別の精製の後に、全てまたは一部を再循環させて、プロセス、好ましくは処理工程(a)に戻し、
(g)(1または複数種の)芳香族ヒドロキシル化合物およびアルキルアリールカーボネートを含むストリームを、処理工程(e)の少なくとも1つのジアリールカーボネート蒸留塔から得て、完全にまたは一部回収してプロセス、好ましくは処理工程(a)または(b)に戻し、
(h)ジアリールカーボネートの沸点より高い沸点を有する化合物およびジアルキルカーボネートの沸点とジアリールカーボネートの製造の間に生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点を有する化合物を、プロセスから、一緒に又は互いに別々に、処理工程(e)の少なくとも1つのジアリールカーボネート蒸留塔から全てまたは一部排出する。
【0140】
(h)において記載した排出は、好ましくは、少なくとも1つのジアリールカーボネート蒸留塔の精留部からの液体測流として、および/またはこの塔の留出物の測流として達成することが可能である。
【0141】
本発明に従って、(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を含み、(b)からの少なくとも1つの反応塔の頂部で取り出される蒸気を、適切であるならば少なくとも1つの凝縮器における凝縮の後に、少なくとも1つの蒸留塔を含む少なくとも1つの別の処理工程に全てまたは一部供給し、前記蒸留塔は、ジアルキルカーボネートの沸点とジアリールカーボネートの製造の間に生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点の化合物(以下、中間沸点2次化合物とも呼ぶ)を除去する。ジアルキルカーボネートの沸点とジアリールカーボネートの製造の間に生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点の化合物を除去するためのこの処理工程に用いられる(1または複数の)蒸留塔は、以下、中間沸点物蒸留塔(intermediate boiler distillation column)とも呼ぶ。
【0142】
本発明の方法の好ましい態様において、(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を含み、少なくとも1つの反応塔の頂部において取り出される(b)からの蒸気を、適切であるならば少なくとも1つの凝縮器における凝縮の後に、少なくとも2つの中間沸点物蒸留塔を含む少なくとも1つの別の処理工程に供給し、第1中間沸点物蒸留塔の缶出液を第2中間沸点物蒸留塔に供給する。
【0143】
好ましくは、(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を含み、少なくとも1つの反応塔の頂部において完全にまたは一部取り出される(b)からの蒸気から、ジアルキルカーボネートの沸点とジアリールカーボネートの製造の間に生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点の化合物を除去するための(1または複数の)処理工程から得られる(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を、場合により少なくとも1つの凝縮器における凝縮の後に、第1反応塔にフィードバックする。前記除去の後に得られる(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を、好ましくは、第1の、および唯一の中間沸点物蒸留塔から缶出液として、または、第2もしくは別の中間沸点物蒸留塔から測流もしくは缶出液として取り出す。
【0144】
好ましくは、第1中間沸点物蒸留塔の頂部において取り出される生成物は、ジアルキルカーボネートを含み、アルキルアルコールを除去するための少なくとも1つの分離蒸留塔を含む処理工程(c)に全てまたは一部供給する。
【0145】
好ましい態様において、(1または複数の)第1中間沸点物蒸留塔において、反応アルコール、ジアルキルカーボネートおよび場合により中間沸点2次化合物の一部を、塔頂生成物として除去する(例えば図6を参照のこと)。この場合において、この塔は、好ましくは、反応アルコールおよびジアルキルカーボネートを濃縮するための5〜40段の理論段数を有する精留部、並びに中間沸点二次化合物を濃縮するための5〜40段の理論段数を有する回収部を有する。操作圧力は、好ましくは0.005〜3bar(絶対圧力)、より好ましくは0.1〜2bar(絶対圧力)、最も好ましくは0.5〜1.5bar(絶対圧力)である。還流比は、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜5、最も好ましくは0.5〜2である。
【0146】
第1中間沸点物蒸留塔の上述の好ましい態様の場合において、芳香族ヒドロキシル化合物を、缶出液または測流として、より好ましくは測流として取り出し、芳香族ヒドロキシル化合物より高い沸点を有する中間沸点二次化合物を底部において取り出し、芳香族ヒドロキシル化合物より低い沸点を有する中間沸点二次化合物を留出物として取り出す。この好ましい態様において、塔は、好ましくは、少なくとも一つのセクターおよび5〜40段の理論段数の分離能を有する精留部、5〜60段の理論段数の分離能を有する好ましくは少なくとも1つのセクター、より好ましくは少なくとも2つのセクターを有する回収部を有する。操作圧力は好ましくは0.05〜3bar(絶対圧力)、より好ましくは0.1〜2bar(絶対圧力)、最も好ましくは0.5〜1.5bar(絶対圧力)である。還流比は好ましくは1〜1000、より好ましくは10〜500、最も好ましくは50〜200である。
【0147】
第二中間沸点物蒸留塔の特に好ましい態様の場合において、芳香族ヒドロキシル化合物を、蒸気測流として取り出す。蒸気測流の凝縮で得られる熱は、熱媒体を発生させるために、またはジアリールカーボネートを製造するための他の処理工程を直接加熱するために利用することが可能である。
【0148】
別の好ましい態様において、芳香族ヒドロキシル化合物を、分離壁塔を有する第2中間沸点物蒸留塔において除去する(例えば図12を参照のこと)。本発明の方法のそのような態様の場合において、分離壁塔は好ましくは少なくとも6つのセクターを有し、前記セクターには、塔の下部において少なくとも1つの回収部、各々の場合において、分離壁の供給側および分離壁の取り出し側の上側セクターおよび下側セクター、ならびに塔の上部において精留部を含む。前記セクターは、好ましくは5〜40段の分離能を有し、前記セクターは、それらの分離能に関して各々異なっていてよい。
【0149】
そのような分離壁塔における分離壁は好ましくは塔の長さ方向に配置する。前記分離壁は、供給側と取り出し側との間の蒸気および液体の物質移動を防ぐ。
【0150】
ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシル化合物とが最高共沸混合物を形成する場合、中間沸点二次化合物を除去するのに、異なる分離手順が有利であることもある。第1中間沸点物蒸留塔の、このような別の態様において、反応アルコール、ジアルキルカーボネート、および中間沸点二次化合物を、留出物として取り出し、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシル化合物との共沸混合物を缶出液として取り出す。
【0151】
この態様の場合において、第1中間沸点物蒸留塔は、好ましくは、少なくとも1つのセクターおよび5〜40段の理論段数の分離能を有する精留部、少なくとも1つのセクターおよび5〜40段の理論段数の分離能を有する回収部を有する。操作圧力は好ましくは0.05〜3bar(絶対圧力)、より好ましくは0.1〜2bar(絶対圧力)、最も好ましくは0.1〜1.5bar(絶対圧力)である。還流比は好ましくは0.1〜10、優先的には0.2〜5、より好ましくは0.4〜2である。
【0152】
第1中間沸点物蒸留塔の留出物としてジアルキルカーボネート、反応アルコールおよび中間沸点二次化合物を除去する場合において、中間沸点二次化合物は好ましくは第2中間沸点物蒸留塔において缶出液として除去する。この場合において、第2中間沸点物蒸留塔から得られる留出物は、反応アルコールおよびジアルキルカーボネートの混合物である。この態様の場合において、第2中間沸点物蒸留塔は、好ましくは、少なくとも1つのセクターおよび5〜40段の理論段数の分離能を有する精留部、少なくとも1つのセクターおよび5〜40段の理論段数の分離能を有する回収部を同様に有する。操作圧力は好ましくは0.05〜10bar(絶対圧力)、より好ましくは0.05〜2bar(絶対圧力)、最も好ましくは0.08〜1bar(絶対圧力)である。還流比は好ましくは0.1〜10、優先的には0.2〜5、より好ましくは0.4〜2である。
【0153】
本発明の方法の好ましい態様において、本方法で用いる少なくとも1つの反応塔および/または本方法で用いる少なくとも1つの蒸留塔は、塔内に組み込まれている1または複数の頂部凝縮器を有してよく、塔の塔径(D)に対する、塔から(1または複数の)頂部凝縮器への蒸気ラインの径(d)のd/D比は、0.2〜1、好ましくは0.5〜1である。特に好ましい態様において、頂部凝縮器は蒸留塔に組み込んでよく、その結果、蒸留塔と頂部凝縮器との間で蒸気線が必要でなくなる。この場合におけるd/D比は1である。この場合において、頂部凝縮器の入口の後の塔の断面積を、いくつかの状況下での凝縮の進行に適応させることも可能である。このような好ましい態様を、部分毎に、また、ジアリールカーボネート蒸留塔を例として、図5aおよび図5bに示す。対応する配置は、本方法において用いられる他の蒸留塔および/または反応塔に対しても可能である。好ましくは、本方法において用いられる複数の反応塔および/または蒸留塔は、上述の頂部凝縮器の1つを有する。
【0154】
図5aにおいて示される態様において、塔径は、凝縮の領域において不変のままである。精留部、存在するならば好ましくは上側精留部KVTから上昇する蒸気(70)を、組み込まれた(1または複数の)頂部凝縮器K1−Nにおいて凝縮する。凝縮物の一部は、還流(71)として上側塔セクターに戻して導入する。凝縮物の残りの部分は、留出物(72)として塔から排出する。不活性および/または凝縮されない蒸気(73)を、塔の頂部において取り出す。
【0155】
凝縮器の種類によっては、塔の断面積を可変的に設定することが好都合であるものもある。凝縮すべき蒸気が例えば底部から上向きに導かれる場合、蒸気の量は上向きの方向で減少する。塔頂方向の塔径の減少によって、蒸気が利用できる塔の断面積を、上向きの方向に減少する蒸気の量に対して調節することが可能となる。そのような態様を、例として図5bに示す。この場合において、凝縮されていない蒸気を頂部で取り出す必要は必ずしもない。例えば、プレートバンドル(plate bundle)またはチューブバンドル(tube bundle)を塔に頂部から挿入する構成を選択する場合、凝縮されていない蒸気の取り出し箇所は、測部であってもよい。
【0156】
本発明の方法の好ましい態様において、30℃より高い、好ましくは40℃より高い融点を有する混合物を導くラインおよびユニットは、この融点より高い温度、好ましくはこの融点より1℃より高い温度、より好ましくはこの融点より5℃より高い温度に加熱してよい。このことにより、これらのラインおよびユニット内の沈殿が防止され、対応するシステムの、運転停止後の再起動がかなり容易になる。
【0157】
本発明の方法は、好ましくは連続的に行う。本発明の方法を、例として図1〜14を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】図1は、中間凝縮器を通常有する第1反応塔における反応性精留による第1エステル交換工程、第2反応塔におけるアルキルアリールカーボネートのエステル交換または不均化のための第2反応工程、ならびに、ジアルキルカーボネートおよび反応アルコールを含み、第1反応塔において頂部生成物として得られる混合物の、少なくとも1つの分離蒸留塔を含む別の処理工程における分離を記載している。
【図2】図2は、中間凝縮器を外部に配置し、得られる凝縮熱を再利用するためのジアルキルカーボネートの蒸発との組み合わせを有する第1反応塔(反応性精留塔)の特に好ましい態様を記載している。
【図3】図3は、混成法による、ジアルキルカーボネートと反応アルコールとの分離の好ましい態様を記載している。
【図4】2段階反応において得られるジアリールカーボネートを精製する処理部(e)の好ましい態様を記載する。
【図5a】図5aは、凝縮の領域において塔径が不変のままである、本方法で使用する反応塔または蒸留塔の頂部の凝縮部を記載している。
【図5b】図5bは、塔頂の方向に塔径が減少している、本方法において用いられる反応塔または蒸留塔の頂部の凝縮部を記載している。
【図6】使用されるジアルキルカーボネートの沸点と、反応において生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点を有する、中間沸点二次化合物を除去するための処理部(d)を記載している。
【図7】図7は、少なくとも2段階の反応において得られるジアリールカーボネートを精製するための処理部(e)であって、唯一の単独の蒸留塔を有する処理部(e)の好ましい態様を記載している。
【図8】図8は、少なくとも2段階の反応において得られるジアリールカーボネートを、組み込まれた測流塔で精製するための処理部(e)の別の好ましい態様を記載している。
【図9】図9は、少なくとも2段階の反応において得られるジアリールカーボネートを、測流塔で精製するための処理部(e)であって、前記測流塔が精留部と回収部の両方を有している処理部(e)の別の好ましい態様を記載している。
【図10】図10は、少なくとも2段階の反応において得られるジアリールカーボネートを精製するための処理部(e)であって、蒸留塔が、液体測流の取り出しを有する分離壁として設計されている処理部(e)の別の好ましい態様を記載している。
【図11】図11は、少なくとも2段階の反応において得られるジアリールカーボネートを精製するための処理部(e)であって、蒸留塔が、蒸気測流の取り出しを有する分離壁として設計されている処理部(e)の別の好ましい態様を記載している。
【図12】図12は、ジアルキルカーボネートの沸点と反応において生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点を有する中間沸点二次化合物を除去するための処理部(d)であって、第2中間沸点物蒸留塔が分離壁塔として設計されている処理部(d)の好ましい態様を記載している。
【図13】図13は、本方法において用いられる反応塔または蒸留塔の頂部における凝縮部であって、凝縮を別の塔セクターで行い、凝縮熱を外部の熱交換器によって取り出す、別の好ましい態様の凝縮部を記載している。
【図14】図14は、処理工程(a)〜(e)を含むプロセス全体の好ましい態様を記載している。
【発明を実施するための形態】
【0159】
図は、発明を例として説明するのに役立つものであり、限定として解釈するべきでない。
【0160】
図1は、2つの反応物ストリーム、即ち、芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリーム16およびジアルキルカーボネートを含むストリーム15を、反応ゾーンRZの領域において向流エステル交換をするやり方で互いに逆向きで導き、アルキルアリールカーボネートと少量のジアリールカーボネートに転化する第1反応塔Kを、特に示す。
【0161】
ジアルキルカーボネートを含むストリーム15は、(特に連続的方法において)ジアルキルカーボネートだけでなく、芳香族ヒドロキシル化合物、反応で得られる脂肪族ヒドロキシル化合物R−OHおよび/またはR−OH(反応アルコール)の一部、エステル交換で得られる極めて少量のアルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネート、ならびに反応において生成される望まない二次化合物も含んでよい。ジアルキルカーボネートを含むストリーム15は、各々の場合においてジアルキルカーボネートを含むストリームの総重量を基準として、例えば、0〜5wt%、好ましくは0.05〜3wt%、より好ましくは0.05〜2wt%の反応アルコール、0〜40wt%、好ましくは0〜10wt%、より好ましくは0〜5wt%の芳香族ヒドロキシル化合物、0〜5wt%のアルキルアリールカーボネート、0〜5wt%のジアリールカーボネートおよび0〜5wt%の反応で得られる他の二次化合物(例えばアルキルアリールエーテル)または反応物中に既に存在している不純物を含んでよい。ジアルキルカーボネートを含むストリーム15は、好ましくは、ジアルキルカーボネートを含むストリームの総重量を基準として50〜100wt%のジアルキルカーボネートを含み、ストリーム15において、上で述べた個々の成分の割合は、合計100wt%となる。芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリーム16は、(特に連続的方法において)芳香族ヒドロキシル化合物だけでなく、ジアルキルカーボネート、エステル交換で得られるアルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネートの一部、極めて少量の反応アルコールおよび反応において生成される望まない副生成物も含んでよい。例えば、ジアルキルカーボネートの含有量は、各々の場合において芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリームの総重量を基準として、0〜50wt%であってよく、反応アルコールの含有量は0〜10wt%、好ましくは0〜5wt%であってよく、アルキルアリールカーボネートおよびジアリールカーボネートの含有量は各々の場合において0〜10wt%、好ましくは0〜5wt%であってよく、望まない副生成物の含有量は0〜5wt%、好ましくは0〜1wt%であってよい。触媒は、芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリーム16と共に、反応塔に更に供給してよい。この場合において、触媒の含有量は、芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリームを基準として、好ましくは0〜5wt%である。芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリーム16は、芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリームの総重量を基準として、好ましくは50〜100wt%の芳香族ヒドロキシル化合物を含み、上述の個々の成分の割合は、合計100wt%となる。
【0162】
ジアルキルカーボネートを含むストリーム15を、塔Kに導入する前に一部または全て蒸発させ、場合により過熱する。芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリーム16は、塔Kに導入する前に加熱し、場合により、同時に一部蒸発させる。反応物ストリーム17および18を、各々の場合において、蒸発および場合により過熱の後または加熱の後に、互いに向流で反応ゾーンKRZに導く。即ち、芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリーム18を、加熱した、主に液体の状態で、反応ゾーンKRZの上端に供給し、ジアルキルカーボネートを含むストリーム17を、主に蒸気の状態で、または場合によりわずかに過熱した状態で反応ゾーンKRZの下端に供給する。反応で得られる脂肪族ヒドロキシル化合物R−OHおよび/またはR−OHを、塔頂において、今までのところ未転化のジアルキルカーボネートと共に蒸気の状態で抜き出し(drawn off)(19)、より揮発性の低いアルキルアリールカーボネートを、今のところ未転化の芳香族ヒドロキシル化合物、ジアリールカーボネートおよび別のいずれの不揮発性化合物も一緒に、Kの液体缶出液として取り出す(6)。所望の温度プロファイルを形成するのに必要とされるエネルギーは、とりわけ、塔の底部において、1つまたはそれより多くの蒸発器K1−Nによって生じることが可能である。この目的を達成するために、回収部KATから、または、回収部のない場合反応ゾーンKRZから流出する液体混合物(20)を、一部蒸発させる。蒸発器の構造に従って、蒸気のみ、または蒸気−液体混合物(ストリーム21)が、蒸発器の出口で得られる。ストリーム21に存在する蒸気を、回収部(KAT)に底部から、または、回収部が存在しない場合、反応ゾーンKRZに底部から供給する。反応ゾーンの領域において、別の中間蒸発器KE_RZ1−Nによって、熱を供給することが可能である。反応ゾーンKRZと蒸発器K1−Nとの間に設けられる回収部KATにおいて、生成されるアルキルアリールカーボネートおよびジアリールカーボネートを濃縮し、その間に、アルキルアリールカーボネートのジアリールカーボネートへの不均化反応が、ジアルキルカーボネートの枯渇の結果として、塔Kのこの部分におけるそれと同じ位早く、高い度合いで始まる。
【0163】
(1または複数の)凝縮器K1−Nと反応ゾーンKRZとの間に存在する、1または複数の精留部において、反応で生成される脂肪族ヒドロキシル化合物(反応アルコール)および過剰のジアルキルカーボネートを濃縮する。これは、留出物4において、留出物4の総重量を基準として0〜40wt%、好ましくは0〜10wt%、より好ましくは0〜5wt%の(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物の含有量を形成する。精留部は少なくとも2つのセクター、上側および下側精留部に分割され、その場合において、1つまたはそれより多くの中間凝縮器KIC1−N、好ましくは少なくとも1つの中間凝縮器KICが、上側精留部KVTと下側精留部KVTとの間に存在する。この/これらの中間凝縮器KIC1−Nまたはこの中間凝縮器KIC1−Nは、下側精留部KVTから上昇する蒸気22の一部を凝縮する。(1または複数の)中間凝縮器KIC1−N、好ましくは少なくとも1つの中間凝縮器KICに入る蒸気混合物22は、好ましくは10〜80wt%の芳香族ヒドロキシル化合物を含む。従って、芳香族ヒドロキシル化合物が比較的大量であるため、(1または複数の)中間凝縮器KIC1−Nにおける凝縮温度は、頂部凝縮器K1−N(N:凝縮器は場合により複数の段階である)における凝縮温度と比較して著しく高い。操作圧力および濃縮プロファイルの位置に従って、(1または複数の)中間凝縮器における凝縮温度は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜250℃、最も好ましくは150〜240℃の範囲であってよく、頂部凝縮器における凝縮温度は、好ましくは0〜250℃、より好ましくは40〜200℃である。(1または複数の)中間凝縮器KIC1−Nにおいて得られる凝縮物23、およびその上の上側精留部KVTから流出する液体24を、下側精留部KVTに送る。(1または複数の)中間凝縮器の下流の蒸気混合物を、上側精留部KVTに送る。上側精留部KVTから来る蒸気19を、(1または複数の)凝縮器K1−Nにおいて極めて十分に凝縮し、凝縮物を一部、上側精留部KVTに還流としてフィードバックし(25)、留出物ストリーム4として一部取り出す。留出物ストリーム4は本質的に、過剰に用いられるジアルキルカーボネート、ならびに反応において生成される、対応するアルキルアルコールR−OHおよび/またはR−OH(反応アルコール)、および場合により少量の芳香族ヒドロキシル化合物を含む。(1または複数の)凝縮器K1−Nからの残存蒸気混合物を、蒸気ストリーム26として取り出す。
【0164】
(1または複数の)中間凝縮器KIC1−N、好ましくは少なくとも中間凝縮器KICにおいて放出される凝縮熱は、本発明の方法に関して上述したように、プロセスに戻して直接または間接的に再利用することが可能である(図1および14には示されていない)。
【0165】
本発明の方法の好ましい態様において、(1または複数の)中間凝縮器KIC1−N、好ましくは少なくとも中間凝縮器KICにおいて得られる凝縮熱は、熱媒体を加熱するのに用いる。この凝縮熱は、今度は、反応塔Kにおける向流エステル交換において用いるジアルキルカーボネート含有ストリーム15を蒸発および過熱するのに用いる。この好ましい態様は、凝縮熱の間接的利用である。
【0166】
少なくとも1つの中間凝縮器が存在する、第1反応塔におけるエステル交換の別の好ましい態様を、図2に示す。この場合において、(1または複数の)中間凝縮器は、第1反応塔の外に設置する。ジアルキルカーボネート含有ストリーム15の加熱、蒸発および場合により過熱を、中間凝縮器において同様に行う。この場合において、下側精留部KVTの蒸気混合物22を、(1または複数の)中間凝縮器KIC1−N、好ましくは少なくとも1つの中間凝縮器KICに送り、そこで蒸気混合物を一部凝縮する。得られる凝縮物23を下側精留部KVTにフィードバックし、凝縮されない蒸気を上側精留部KVTに送る。他の点では、図1に示す方法は、図2に示す方法と一致する。従って図1に関する上述の説明が同様に適用される。
【0167】
図1に従って、第1反応塔Kの缶出液6を第2反応塔Kに供給する。これは、各々の場合において缶出液ストリーム6の総重量を基準として、0〜60wt%のジアリールカーボネート、5〜80wt%のアルキルアリールカーボネート、5〜95wt%の芳香族ヒドロキシル化合物、1〜80wt%のジアルキルカーボネート、0〜5wt%の触媒および0〜5wt%の反応において得られる他の2次化合物(例えばアルキルアリールエーテル)または既に反応物中に存在している不純物を含んでよい。割合は、缶出液ストリーム6の総重量を基準としており、上述の個々の成分の割合は合計100wt%となる。
【0168】
第1反応塔の缶出液に加えて、アルキルアリールカーボネートを含む少なくとも1つの別のストリーム9を更に第2反応塔に供給してよい。このストリーム9は、例えばジアリールカーボネートの精製のためのワークアップ工程、例えばジアリールカーボネート蒸留塔Kから発生し得る。
【0169】
これは、各々の場合において前記ジアルキルカーボネート含有ストリームの総重量を基準として、0〜10wt%のジアリールカーボネート、10〜100wt%のアルキルアリールカーボネート、0〜90wt%の芳香族ヒドロキシル化合物、0〜20wt%のジアルキルカーボネートおよび0〜20wt%の反応において得られる他の2次化合物(例えばアルキルアリールエーテル)または既に反応物中に存在している不純物を含んでよい。割合は、ストリーム9の総重量を基準としており、上述の個々の成分の割合は合計100wt%となる。
【0170】
ストリーム6および9を、第2反応塔の反応ゾーンKATに供給する。
【0171】
エステル交換で得られる反応アルコールR−OHおよび/またはR−OHを、今のところ未転化の、または不均化において放出されるジアルキルカーボネートおよび未転化の芳香族ヒドロキシル化合物と共に、塔Kの頂部において蒸気の状態で抜き出し(27)、揮発性のより低いジアリールカーボネートを、今のところ未転化の芳香族ヒドロキシル化合物、アルキルアリールカーボネートおよび可能な別の不揮発性化合物と共に、第2反応塔Kの底部における液体ストリームとして取り出す(8)。
【0172】
所望の温度プロファイルを形成するのに必要とされるエネルギーは、とりわけ、塔の底部において、1または複数の蒸発器K1−Nによって生じ得る。この目的を達成するために、反応ゾーンから流出する液体混合物(28)を一部蒸発させる。蒸発器の構成に従って、蒸気のみまたは蒸気−液体混合物(ストリーム29)を、蒸発器の出口において得る。ストリーム29に存在する蒸気を、底部から回収部(KAT)に供給する。前記回収部は、同時に反応ゾーンとしても機能し、複数のセクターから成る。反応ゾーンの領域において、追加の中間凝縮器KE_AT1−Nは熱を供給してよい。反応ゾーンKATおよび蒸発器K1−Nにおいて、生成される低沸点生成物(反応アルコールおよびジアルキルカーボネート)と芳香族ヒドロキシル化合物の反応(エステル交換および/または好ましくは不均化)および除去の両方が進行する。
【0173】
(1または複数の)凝縮器K1−Nと反応ゾーンKATとの間に存在する精留部KVTにおいて、高沸点化合物(例えばアルキルアリールカーボネートまたはジアリールカーボネート)の含有量が減少する。これは、好ましくは、留出物3の総重量を基準として、留出物3において0〜20wt%、好ましくは0〜5wt%、より好ましくは0〜2wt%のアルキルアリールカーボネート含有量を形成する。1または複数の中間凝縮器を有する精留部を、第1反応塔に同様に設置してよい。しかし、図1および図14に示す好ましい態様においては、Kの精留部は(1または複数の)中間凝縮器なしで設置する。
【0174】
の頂部における(1または複数の)凝縮器K1−N(極めて特に好ましい態様においては、凝縮器のカスケード)は、精留部KVTから上昇する蒸気27の一部を凝縮する。(1または複数の)凝縮器K1−Nに入る蒸気混合物27は、好ましくは10〜90wt%の芳香族ヒドロキシル化合物を含む。従って、(1または複数の)凝縮器K1−Nにおける凝縮温度は、比較的大量の芳香族ヒドロキシル化合物に負うところが大きい。操作圧力および蒸気混合物27の組成に従って、(1または複数の)凝縮器における凝縮温度は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜250℃、最も好ましくは150〜240℃の範囲であってよい。凝縮物を、精留部KVTに還流30として一部フィードバックし、留出物ストリーム3として一部取り出す。
【0175】
留出物ストリーム3は、本質的に芳香族ヒドロキシル化合物および少量(好ましくは0〜5wt%)の反応アルコールを含み、第1反応塔の反応物ストリームにフィードバックすることが可能である。
【0176】
第1反応塔の留出物(4)を、生成される反応アルコールからジアルキルカーボネートを分離するために、場合により、反応アルコールおよびジアルキルカーボネートを含む別のストリーム(5および/または12)と共に、場合により加熱および/または部分蒸発の後に、蒸留塔K(ジアルキルカーボネート蒸留塔)に供給し、得られるジアルキルカーボネート含有ストリーム11を、ジアルキルカーボネートを含む第1反応塔への供給ストリーム15にフィードバックし、除去した反応アルコールを、プロセスから排出する(10)。ストリーム5は、例えば、別の精製または副生成物除去工程(例えばKにおける中間沸点二次化合物の除去)から発生し得る。
【0177】
反応アルコールおよびジアルキルカーボネートが共沸混合物を形成する場合、蒸留塔Kから得られる留出物(13)は好ましくはほぼ共沸混合物である。従って、反応アルコールとジアルキルカーボネートとを完全に分離するために、少なくとも1つの別の分離工程が必要とされる。
【0178】
反応アルコールとジアルキルカーボネートとが共沸混合物を形成しない場合、得られる留出物は好ましくは反応アルコールの含有量が95〜100wt%である。
【0179】
蒸留塔Kから取り出す缶出液は、反応アルコールの含有量が5wt%未満の、ジアルキルカーボネートを含む混合物である。
【0180】
ジアルキルカーボネート蒸留塔Kは、反応アルコールを濃縮するために好ましくは5〜40段の理論段数を有する精留部、ジアルキルカーボネートを濃縮するために好ましくは5〜40段の理論段数を有する回収部を有する。
【0181】
ジアルキルカーボネート蒸留塔における蒸留に必要とされるエネルギーは、とりわけ、塔の底部において、1または複数の蒸発器K1−Nによって生じ得る。回収部KATの領域において、熱は、追加の中間蒸発器KE_AT1−Nによって供給することが可能である。
【0182】
(1または複数の)凝縮器K1−Nは、精留部KVTから上昇する蒸気31を凝縮する。凝縮物は、精留部KVTに還流32として一部フィードバックし、留出物ストリーム13として一部取り出す。
【0183】
留出物ストリーム13は、反応アルコールおよびジアルキルカーボネートを、実質的に共沸混合物の組成で含む。反応アルコールおよびジアルキルカーボネートが共沸混合物を形成しない場合、得られる留出物は実質的に純粋な反応アルコールである。
【0184】
ジアルキルカーボネート蒸留塔(K)における操作圧力は、塔をエステル交換プロセスからの廃熱で操作し得るように調節する。その目的のために、第1反応塔の中間凝縮器および/または第2反応塔の(1または複数の)凝縮器からの凝縮熱を利用することが好ましい。塔Kの底部における蒸発温度が、第1反応塔の中間凝縮器および/または第2反応塔の(1または複数の)凝縮器における凝縮温度より低くなるように、塔Kにおける操作圧力を調節することが好ましい。
【0185】
反応アルコールとジアルキルカーボネートとが、蒸留塔Kにおける条件の下で共沸混合物を形成する場合、前記共沸混合物は、共沸剤(entraining agent)または抽出精留によって、2段階圧力法で、または精留と膜分離とを組み合わせて分離し得る。反応アルコールとジアルキルカーボネートとを分離するために、2段階圧力法を用いることが特に好ましく、これを、例として、図1を参照して同様に説明する。
【0186】
蒸留塔Kの留出物が共沸組成を有する場合、前記留出物は別の塔(反応アルコール蒸留塔;図1および14におけるK)に供給し、前記別の塔は、蒸留塔Kの操作圧力より低い操作圧力で作動する。異なる操作圧力の結果、共沸混合物の位置は、反応アルコールの割合がより低い方向に向かってシフトする。蒸留塔Kにおいて得られる缶出液10は、90〜100wt%の純度を有する反応アルコールであり、塔Kから得られる留出物は、実質的に共沸混合物である。より低い操作圧力で作動する塔Kは、特に好ましい態様において、塔Kの(1または複数の)頂部凝縮器の凝縮熱で運転される。
【0187】
反応アルコール蒸留塔Kは、反応アルコールを濃縮するために5〜40段の理論段数を有する精留部KVT、およびジアルキルカーボネートを濃縮するために5〜40段の理論段数を有する回収部を有する。
【0188】
更に好ましくは、反応アルコールおよびジアルキルカーボネートから成る共沸混合物は、精留と膜分離とを組み合わせた形態の混成法によっても分離することが可能である(図3を参照のこと)。この場合において、Kの留出物を、種々の態様を既に上述した膜分離Mに供給する。この場合において、反応アルコールに富み、フラクションの総重量を基準として、反応アルコール含有量が少なくとも70wt%、好ましくは少なくとも90wt%であるフラクション37が透過側で得られ、凝縮器MPCにおいて凝縮される。塔Kの留出物と比較して含有量の減少した反応アルコールを含む非透過物35を、凝縮器MRCにおいて凝縮し、好ましくは蒸留塔K(36)にフィードバックする。
【0189】
図7は、ジアリールカーボネートを含み、(1または複数の)別の反応塔において得られる工程(b)からの缶出液を精製するための、本発明の方法の特に好ましい変形例を例として示す。この好ましい態様における第1ジアリールカーボネート蒸留塔は、4つのセクター、下側回収部(KAT)および上側回収部(KAT)、並びに下側精留部(KVT)および上側精留部(KVT)も有する。第2反応塔(8)の缶出液を、塔へ、下側精留部KVTと上側回収部KAT)との間に供給する。
【0190】
第1ジアリールカーボネート蒸留塔は、1段階または多段階(N段階)の頂部凝縮器K1−N、および缶出液のための1段階または多段階(N段階)蒸発器K1−Nを追加で有する。複数の装置(凝縮器および/または蒸発器)における凝縮または蒸発の場合において、並列および/または直列接続ならびに並列接続と直列接続との組み合わせが可能である。
【0191】
頂部凝縮器における凝縮に関して種々の態様があり得る。図5aおよび5bにおいて示す組み込まれた頂部凝縮器の態様に加えて、図13は頂部凝縮器の別の好ましい態様を示し、前記頂部凝縮器は、本発明の方法の他の処理部において同様に使用することも可能である。この場合において、精留部から上昇する蒸気(70)を、1つまたはそれより多くの追加の塔セクター(KCS1−N)において、外部の回路で冷却される凝縮物によって凝縮する。この塔セクターの下端において出る液体を一部取り出し(71)、1または複数の外部冷却器K1−Nに供給し、前記外部冷却器は、得られる凝縮熱を除去するために、直列または並列のいずれかで接続してよい。残りの液体は、留出物(72)として排出するか、または還流(71)として精留部KVTに導入する。冷却の後に、液体(75)を、(1または複数の)追加の塔セクターKCS1−Nの上の蒸留塔にフィードバックする。塔における凝縮において、既に上で説明した塔トレイ、ランダム充填物、または規則充填物を用いることが可能である。凝縮されない蒸気または不活性物質(73)を、(1または複数の)塔セクターKCS1−Nの上で取り出す。
【0192】
図7の説明図における、下側回収部KATから流出する液体64を、1段階または多段階(N段階)蒸発における蒸発によって濃縮し、得られる蒸気/液体混合物の蒸気を下側回収部KATにフィードバックする。蒸発は、好ましくは、塔の底部において、150〜300℃、好ましくは160〜240℃、より好ましくは180〜230℃の温度範囲で行う。塔の頂部における温度は、好ましくは40〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは60〜180℃である。これは、95wt%未満、好ましくは90wt%未満、より好ましくは75wt%のジアリールカーボネート残留含有量の缶出液(55)を提供する。
【0193】
精製されたジアリールカーボネートを、好ましくは、下側回収部KATの上方で蒸気測流(57)として取り出し、その後、1段階または多段階(N段階)凝縮器KSC1−Nにおいて凝縮させ、液体(51)として除去する。
【0194】
(1または複数の)凝縮器KSC1−Nにおける凝縮で得られる凝縮熱は、好ましくは、スチームを生じさせるために、または他の処理部(例えばジアリールカーボネートの製造における処理部)を加熱するために使用することが可能である。
【0195】
第1ジアリールカーボネート蒸留塔Kは、好ましくは1〜1000mbar(絶対圧力)、より好ましくは1〜100mbar(絶対圧力)、最も好ましくは5〜50mbar(絶対圧力)の頂部圧力で運転される。還流比は、好ましくは、留出物10中のジアリールカーボネート含有量が、留出物の総重量を基準として好ましくは10wt%未満、より好ましくは5wt%未満、最も好ましくは1wt%未満になるように調節する。その目的のために、0.2〜5、より好ましくは0.2〜2、最も好ましくは0.3〜1.6の還流比を形成することが好ましい。
【0196】
粗ジアリールカーボネートが、ジアリールカーボネートの沸点と、ジアリールカーボネートの製造の間に副生成物として生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点を有する化合物を不純物として含む場合、これらを、本発明に従って、別の測流(53)において第1蒸留塔から取り出してよい。
【0197】
触媒の減損を防止するために、図7に示すように、第1ジアリールカーボネート蒸留塔の缶出液(55)を、少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の程度まで、少なくとも1種のジアルキルカーボネートと少なくとも1種の芳香族ヒドロキシル化合物とのエステル交換に戻して再利用して(52)、ジアリールカーボネートを製造することが可能である。缶出液の残りの部分(55)は、特に好ましい態様において、残留物を濃縮し、且つ第1ジアリールカーボネート蒸留塔の缶出液中に未だ存在するジアリールカーボネートを一部回収する目的で、直列または並列に接続される1または複数の蒸発器KN+1に供給する。残留物の濃縮において回収されたジアリールカーボネート(56)は、液体または蒸気の状態で、好ましくは蒸気の状態で、第1蒸留塔にフィードバックすることが可能である。濃縮された残留物(54)は、プロセスから排出することが可能であり、または、触媒を回収するために別のワークアップ段階に供給することが可能である。
【0198】
濃縮した残留物(54)を排出する場合において、ジアリールカーボネートの減損は、精製したジアリールカーボネートの量を基準として、5%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、最も好ましくは0.5%未満である。
【0199】
第1ジアリールカーボネート蒸留塔の缶出液の上述のワークアップは、場合により、以下の別の態様の全てにおいても行うことが可能である。
【0200】
本発明の方法の特に好ましい別の態様において、第1ジアリールカーボネート蒸留塔の測流において取り出されたジアリールカーボネート(57)を、少なくとも1つのジアリールカーボネート蒸留塔、好ましくは第2ジアリールカーボネート蒸留塔において精製する。この好ましい態様の特に好ましい変形例において、この第2ジアリールカーボネート蒸留塔は、回収部無しで構成される。この好ましい態様の、そのような特に好ましい変形例を、例として図4に示す。
【0201】
例として図7に関連して既に説明したように、この特に好ましい変形例において、ジアリールカーボネートは、第1ジアリールカーボネート蒸留塔Kおよび追加の測流塔Kにおいて精製する。蒸気測流57を、第2ジアリールカーボネート蒸留塔K、好ましくはその下部に供給する。図7における構成と比較して、蒸留塔Kは、下側回収部KATの上で追加のフィード(61)を有し、それを介して、塔Kからの液体缶出液を再循環させてKに戻すことが可能である。
【0202】
塔Kは好ましくは少なくとも1つのセクターを有する。それは、図4に示すように、より好ましくは純粋な精留部KVTとして運転され、好ましくは1〜50段、より好ましくは2〜30段、最も好ましくは5〜20段の理論段数の分離能を有する。
【0203】
第2ジアリールカーボネート蒸留塔Kは、1〜1000mbar(絶対圧力)、より好ましくは1〜100mbar(絶対圧力)、最も好ましくは5〜50mbar(絶対圧力)の頂部圧力で操作する。塔Kは好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.2〜5、最も好ましくは0.2〜2の還流比で操作する。
【0204】
塔Kの頂部における蒸気(62)の凝縮は、頂部凝縮器K1−Nにおいて、1つまたはそれより多くの段階で行うことが可能である。それは、好ましくは、70〜250℃、より好ましくは90〜230℃、最も好ましくは90〜210℃の温度範囲において、1または2段階で行う。凝縮で得られる廃熱は、好ましくは、スチームを生じさせるために、または他の処理部、例えばジアリールカーボネートの製造における処理部を加熱するために用いることが可能である。凝縮で得られる凝縮物は、一部、還流(63)として塔Kに戻して導入する。凝縮物の残留部分を、留出物(51)(精製したジアリールカーボネート)として取り出す。不活性物質および/または凝縮されない蒸気(66)を排出する。
【0205】
凝縮器K1−Nにおける凝縮に関連して、第1ジアリールカーボネート蒸留塔K(K1−N)の頂部における凝縮に関して既に説明したものと同一の態様が適切である。
【0206】
ジアリールカーボネートを含み、(1または複数の)別の反応塔において得られる工程(b)からの缶出液の精製の、別の特に好ましい態様を図8に示す。第2ジアリールカーボネート蒸留塔が回収部無しで構成されている特に好ましい変形例において、この第2ジアリールカーボネート蒸留塔の精留部は、第1ジアリールカーボネート蒸留塔(K)に組み込んでよい。この場合において、第1蒸留塔の下側回収部(KAT)から来る蒸気の一部(57)を、超高沸点物の含有量を減らすために、組み込まれた精留部(KVT)に送る。この組み込まれた測流塔の頂部において出る蒸気(62)を、(1または複数の)外部の凝縮器K1−Nにおいて凝縮し、一部を、還流(63)として、第2ジアリールカーボネート蒸留塔の頂部に戻して再利用する。凝縮物の残りの部分を、留出物(51)(精製されたジアリールカーボネート)として取り出す。凝縮されない蒸気(66)を排出する。
【0207】
第2ジアリールカーボネート蒸留塔を用いる本発明の方法の特に好ましい態様の、別の特に好ましい変形例において、この第2ジアリールカーボネート蒸留塔は、少なくとも1つの精留部および少なくとも1つの回収部の両方で構成されている。この好ましい態様の、そのような特に好ましい変形例を、例として図9に示す。
【0208】
図9に示す第2ジアリールカーボネート蒸留塔Kは、回収部KATと精留部KATの両方を有する。第1ジアリールカーボネート蒸留塔Kの蒸気測流57は、まず、1段階または多段階測流凝縮器KSC1−Nで凝縮してよく、その後、塔Kに供給する。第2ジアリールカーボネート蒸留塔Kは好ましくは1〜1000mbar(絶対圧力)、好ましくは1〜100mbar(絶対圧力)より好ましくは5〜50mbar(絶対圧力)で運転される。このことは、底部において、150〜300℃、好ましくは160〜240℃、更に好ましくは180〜230℃の温度を生じさせる。
【0209】
図9の第2ジアリールカーボネート蒸留塔Kは、5〜100段、好ましくは10〜80段、より好ましくは30〜80段の全体分離能を有し、その内、精留部が1〜99段、好ましくは1〜79段、より好ましくは2〜79段の分離能を有することが好ましい。測流塔Kは、0.5〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の還流比で運転されることが好ましい。
【0210】
の頂部における蒸気(62)の凝縮は、頂部凝縮器K1−Nにおける1または複数の段階で行うことが可能である。それは、70〜250℃、より好ましくは90〜230℃、最も好ましくは90〜210℃の温度範囲において、1または2段階で行うことが好ましい。スチームを生じさせるため、または他の処理部、例えばジアリールカーボネートの製造における処理部を加熱するために、凝縮で得られる廃熱を好ましくは使用することが可能である。凝縮において得られる凝縮物は、一部を、還流(63)として第2ジアリールカーボネート蒸留塔に戻して導入する。凝縮物の残りの部分は留出物(51)として取り出す(精製したジアリールカーボネート)。凝縮されない蒸気(66)を排出する。
【0211】
第2ジアリールカーボネート蒸留塔の回収部KATから流出する液体の蒸発は、蒸発器K1−Nにおける1または複数の段階で同様に行う。
【0212】
その後、第2ジアリールカーボネート蒸留塔Kの缶出液(67)は、プロセスから全てまたは一部排出し、および/または第1ジアリールカーボネート蒸留塔Kに全てまたは一部フィードバックすることが可能である。
【0213】
第2ジアリールカーボネート蒸留塔を用いる、本発明の方法の上述の特に好ましい態様は、品質に関して要望が高まっているジアリールカーボネートの精製に特に適している。そのように高まっている要望は、例えば高沸点二次化合物の割合の減少に存することがあり、ジアリールカーボネート中の前記高沸点二次化合物の割合は、ただ1つの蒸留塔しかないプロセスと比較して、10〜100wt%、好ましくは20〜90wt%、より好ましくは25〜85wt%減少させることが可能である。
【0214】
本発明の方法の特に好ましい別の態様において、第1ジアリールカーボネート塔は、分離壁塔として作製することが可能である。
【0215】
7つのセクターを有する分離壁塔としての第1ジアリールカーボネート蒸留塔のそのような態様を、例として図10に示す。図10の分離壁塔Kは、塔Kの下部に回収部KATを有し、分離壁Tの供給側に上側セクターKTLOおよび下側セクターKTLU、ならびに分離壁Tの取り出し側に上側セクターKTROおよび下側セクターKTRUを各々の場合において有し、ならびに塔の上部に上側精留部KVTおよび下側精留部KVTも有する。粗ジアリールカーボネート(8)を、塔に、分離壁Tの供給側における上側セクターKTLOと下側セクターKTLUとの間に供給する;精製したジアリールカーボネート(51)を、塔の分離壁Tの取り出し側における上側セクターKTROと下側セクターKTRUとの間で取り出す。
【0216】
分離壁の供給側に存在する上側セクターKTLOは、供給物中に存在する高沸点物質を取り除く働きをする。分離壁の供給側における下側セクターKTLUは、粗ジアリールカーボネート中に存在する、または第二反応塔の缶出液(8)中に存在する低沸点物を取り除く働きをする。分離壁の取り出し側に存在する上側セクターKTROは、塔の上部の精留部KVTから出る液体ストリーム(78)に存在する低沸点物を取り除く働きをする。取り出し側の下側セクターKTRUは、回収部KATから出る蒸気ストリーム(76)に存在する高沸点物を取り除く働きをする。
【0217】
分離壁の取り出し側における精製したジアリールカーボネートの取り出しは、液体または蒸気の状態で行うことが可能である。塔の設計において、除去方法が塔内の分離壁の配置に著しく影響を与える場合もあり得る。各々の場合において、分離壁は、塔内で、取り出し側または供給側にシフトして配置してよく、従って、特定の側の断面積が他の側と比較して減少し、または増加する。精製したジアリールカーボネートを分離壁の取り出し側において蒸気で取り出す場合において、塔の取り出し側の断面積は、供給側の断面積よりも大きい、即ち、より多くの蒸気が、回収部から取り出し側に送られることが好ましい。精製したジアリールカーボネートを分離壁の取り出し側において液体で取り出す場合において、塔の供給側の断面積が取り出し側の断面積と等しいことが好ましい。
【0218】
精製したジアリールカーボネートを液体で取り出す場合において(例として図10に示す)、取り出し側の回収部KTROから流出する液体の10〜90%、好ましくは20〜90%、より好ましくは50〜85%を、測流51として取り出す。残りの液体を、取り出し側の下側セクターKTRUに供給する。精留部KVTから流出する液体を、5〜50%程度まで、好ましくは10〜50%程度まで、より好ましくは10〜40%、分離壁の供給側、即ちKTLOの上に導入する(77)。残りの液体を、分離壁の取り出し側の上端、即ちKTROに導入する(78)。回収部KATから上昇する蒸気を、5〜90%程度まで、好ましくは10〜80%程度まで、より好ましくは20〜75%程度まで、分離壁の供給側に供給する(69)。
【0219】
精製したジアリールカーボネートを蒸気で取り出す場合において(例として図11に示す)、取り出し側の下側セクターKTRUから出る蒸気の10〜90%、好ましくは20〜90%、より好ましくは50〜85%を、測流として取り出す(57)。残りの蒸気を、取り出し側の上側セクターKTROに供給する。精留部KVTから流出する液体を、5〜90%程度まで、好ましくは10〜80%程度まで、より好ましくは20〜60%を、分離壁の供給側、即ちKTLOの上に導入する(77)。残りの液体を、分離壁の取り出し側の上端、即ちKTROに導入する(78)。回収部KATから上昇する蒸気を、5〜90%程度まで、好ましくは10〜80%程度まで、より好ましくは20〜60%程度まで、分離壁の供給側に導入する(69)。蒸気で取り出す場合において、蒸気の状態で取り出す測流(57)を、好ましくは1または複数の測流凝縮器KSC1−Nで凝縮し、液体ジアリールカーボネートストリームとして取り出す(51)。
【0220】
そのような分離壁塔の上側精留部は、好ましくは0〜40段、より好ましくは1〜20段、最も好ましくは1〜10段の理論段数の分離能を有し、下側精留部は、好ましくは1〜40段、より好ましくは5〜20段、最も好ましくは5〜15段の理論段数を有し、回収部は好ましくは1〜40段、より好ましくは2〜20段、最も好ましくは2〜15段の理論段数を有する。分離壁の供給側における上側セクターKTLOおよび下側セクターKTLU、ならびに分離壁の取り出し側における上側セクターKTROおよび下側セクターKTRUは、各々、好ましくは1〜40段、より好ましくは2〜20段、最も好ましくは5〜20段の理論段数の分離能を有する。
【0221】
分離壁塔は、1段階または多段階(N段階)の頂部凝縮器K1−N、および缶出液のための1段階または多段階(N段階)の蒸発器K1−Nを追加で含む。
【0222】
分離壁塔の頂部における蒸気の凝縮は、1または複数の段階、好ましくは1または2段階で、40〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは60〜180℃の温度範囲で行うことが可能である。頂部凝縮器における凝縮に関連して、蒸留塔に関して上で既に述べた凝縮器の種々の態様が可能である。
【0223】
回収部KATから流出する液体(64)を、1段階または多段階(N段階)蒸発における蒸発によって凝縮し、得られる蒸気/液体混合物の蒸気を、下側回収部KATにフィードバックする。蒸発は、100〜250℃、好ましくは150〜240℃、より好ましくは180〜220℃の温度範囲内で行うことが好ましい。
【0224】
分離壁塔は、1〜1000mbar(絶対圧力)、より好ましくは1〜100mbar(絶対圧力)、最も好ましくは5〜50mbar(絶対圧力)の頂部圧力で操作する。還流比は、留出物10におけるジアリールカーボネート含有量が、留出物の総重量を基準として、好ましくは10wt%未満、より好ましくは5wt%未満、最も好ましくは1wt%未満となるように調節する。この目的のために、0.2〜5、より好ましくは0.2〜2、最も好ましくは0.3〜1.6の還流比を形成することが好ましく、本発明に関連する、塔の頂部で取り出される蒸気(再循環される凝縮物を除く)に対する、塔内に再循環される凝縮物の重量比に相当する。
【0225】
精製すべきジアリールカーボネートが、ジアリールカーボネートの沸点とジアリールカーボネートを製造する間に中間体として生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点を有する化合物を不純物として含む場合、それらは、本発明に従って、別の測流(53)において分離壁塔から取り出される。
【0226】
本発明の方法の好ましい態様において、中間沸点二次化合物の除去は、2つの蒸留塔において行う。そのような好ましい態様を図6に示す。
【0227】
図6に示す第1中間沸点物塔(アルキルアリールエーテル予濃縮塔)Kは、5〜40段の理論段数の回収部KATを有し、5〜40段の理論段数の精留部KVTをも有する。好ましくは第2反応塔Kから液体の状態で供給されるストリーム8を、塔Kへ、回収部の上に供給する(38)。第1中間沸点物塔Kは、50〜3000mbar(絶対圧力)、好ましくは100〜2000mbar(絶対圧力)、より好ましくは500〜1500mbar(絶対圧力)の頂部圧力で操作することが好ましい。
【0228】
更に、第1中間沸点物塔Kは、0.1〜10、好ましくは0.5〜5、より好ましくは0.5〜2の還流比で操作することが好ましい。
【0229】
の頂部における蒸気の凝縮(44)は、頂部凝縮器K1−Nにおける1または複数の段階で行うことが可能である。凝縮において得られる凝縮物は、一部を第1中間沸点物塔Kに戻して還流(45)として導入する。凝縮物の残りの部分を留出物(15)として取り出し、前記留出物は反応アルコールおよびジアルキルカーボネートを含む。凝縮されない蒸気(46)を排出する。
【0230】
第1中間沸点物塔Kの回収部KATから流出する液体の蒸発は、蒸発器K1−Nにおける1または複数の段階において行うことが可能である。
【0231】
芳香族ヒドロキシル化合物および中間沸点二次化合物を含む、第1中間沸点物塔Kの缶出液(43)を、図6に示す特定の態様の場合において、第二中間沸点物塔K(アルキルアリールエーテル塔)に供給する。
【0232】
第二中間沸点物塔Kは、二つのセクター(KATおよびKAT)を有する回収部を有し、5〜40段の理論段数の精留部KVTをも有し、前記セクターの各々は、5〜40段の理論段数の分離能を有する。第1中間沸点物塔Kの缶出液を、第2中間沸点物塔Kへ、上側回収部KATの上方で供給する。第2中間沸点物塔Kは、好ましくは50〜3000mbar(絶対圧力)、好ましくは100〜2000mbar(絶対圧力)、より好ましくは500〜1500mbar(絶対圧力)の頂部圧力で操作することが好ましい。
【0233】
第2中間沸点物塔Kは、1〜1000、好ましくは10〜500、より好ましくは50〜200の還流比で操作することが更に好ましい。
【0234】
の頂部における蒸気(47)の凝縮は、頂部凝縮器K1−Nにおける1または複数の段階において行うことが可能である。凝縮で得られる凝縮物は、一部を還流(48)として第2中間沸点物塔Kに戻して導入する。凝縮物の残りの部分を、芳香族ヒドロキシル化合物の沸点より低い沸点の中間沸点二次化合物を含む留出物(40)として取り出す。凝縮されない蒸気(49)を排出する。
【0235】
第2中間沸点物塔Kの回収部KATから流出する液体の蒸発は、蒸発器K1−Nにおける1または複数の段階において行うことが可能である。
【0236】
第2中間沸点物塔Kの缶出液(65)(芳香族中間沸点二次化合物およびアルキルアリールカーボネートを含む)は、芳香族ヒドロキシル化合物の沸点より高い沸点を有する中間沸点二次化合物の含有量に従ってプロセスから排出され(41)、またはもう一度再利用する(42)。
【0237】
芳香族ヒドロキシル化合物は、好ましくは測流として、より好ましくは蒸気測流として、下側回収部KATの上方で取り出す。蒸気測流を取り出す場合において、ストリーム(68)を凝縮器KSC1−Nにおいて凝縮し、第1反応塔において反応にフィードバックする(39)。蒸気測流(68)の凝縮で得られる凝縮熱は、熱媒体を発生させるために、またはプロセスにおけるエネルギーの統合のために使用することが可能である。
【0238】
別の好ましい態様において、中間沸点二次化合物の除去は、二つの蒸留塔において行うことが可能であり、その場合において、第二中間沸点物塔は分離壁塔として作製する。そのような特定の態様を図12に示す。
【0239】
この場合において、測流(68)は、蒸気または液体の状態で、より好ましくは蒸気の状態で取り出す。
【0240】
分離壁塔Kは、好ましくは少なくとも六つのセクター、塔Kの下部における回収部KAT、各々の場合において分離壁Tの供給側における上側セクターKTLOおよび下側セクターKTLU、並びに分離壁Tの取り出し側における上側セクターKTROおよび下側セクターKTRU、並びに塔の上部における精留部KVTも有し、各々の場合において5〜40段の理論段数を有する。
【0241】
第1中間沸点物塔Kに関する説明、並びに図6において示す好ましい態様による第二中間沸点物塔Kの別のストリーム並びに凝縮器および蒸発器に関する説明は、図12の好ましい態様に同様に適用される。
【0242】
以下の実施例は、本発明を、例として説明するための働きをするが、限定として解釈するべきでない。
【実施例】
【0243】
実施例1(発明)
例として、図14に示すような全体的構成を用いることが可能である。
【0244】
85.4wt%のフェノール、9.2wt%のジメチルカーボネート、3.2wt%のジフェニルカーボネート、1.5wt%のチタンテトラフェノキシド、0.3wt%のアニソール、0.3wt%のメチルフェニルカーボネートおよび0.1wt%のメタノールから成る、399.3kg/hの混合物(18)を、4段の理論段数を有する上側精留部(KVT)、中間凝縮器(KIC)、4段の理論段数を有する下側精留部(KVT)、30の反応トレイ(3つのトレイは加熱要素(KE_RZ1−3)を備えている)を有する反応ゾーン(KRZ)(ホールドアップ:12 1)、および6つのトレイを有する回収部KAT(ホールドアップ:12 1)を含む第1反応塔(K)の反応ゾーンの上端に計量供給する。反応ゾーン(KRZ)の下端に、5℃過熱した、98.8wt%のジメチルカーボネート、0.9wt%のフェノール、0.2wt%のアニソール、および0.1wt%のメタノールから成る、539.6kg/hの蒸気混合物(17)を供給する。
【0245】
これは、塔の底部において、49.8wt%のフェノール、28.2wt%のメチルフェニルカーボネート、12.3wt%のジフェニルカーボネート、8.1wt%のジメチルカーボネート、0.2wt%のアニソール、および1.4wt%のチタンテトラフェノキシドから成る、452.4kg/hの生成物混合物(6)を提供する。
【0246】
は、3.6barの頂部圧力(KVTの上方)および1.15の還流比で運転される。塔の底部において230℃の温度が確立され、反応ゾーン(KRZ)において、215℃の平均温度が確立される。底部蒸発器Kおよび反応ゾーンにおける3つの中間蒸発器(KE_RZ1−3)を、35barの蒸気圧のスチームで運転し、使用する底部蒸発器(K)は、自然循環蒸発器であり、反応トレイに組み込まれる加熱レジスター(heating register)を中間蒸発器として用いる。(KICの上方の)中間凝縮器への入口温度は205℃であり、出口温度は193℃であり、冷却出力は57kWである。中間凝縮において得られる凝縮熱は、8bar(露点:170.4℃)のスチーム圧力を有するスチームを生じさせるのに用いることが可能である。ジメチルカーボネート含有ストリーム(15)を蒸発させるのに必要とされる加熱出力は52kWである。ジメチルカーボネートの蒸発および過熱は、135〜152℃の温度で行い、そのために、中間凝縮器において用いる蒸気を、何の問題もなく用いることが可能である。
【0247】
第1反応塔(K)の缶出液(6)を、10段の理論段数を有する精留部(KVT)および22段の理論段数を有する回収部(KAT)を含む第2反応塔(K)に供給する。
【0248】
更に、ジフェニルカーボネート精留(K)からの、69.9wt%のメチルフェニルカーボネート、28.3wt%のフェノール、1.2wt%のジメチルカーボネート、0.5wt%のジフェニルエーテルおよび0.1wt%のジフェニルカーボネートから成る、81.9kg/hの混合物(9)を、回収部(KAT)の領域において計量供給する。
【0249】
これは、第2反応塔(K)の底部において、62.8wt%のジフェニルカーボネート、24.2wt%のメチルフェニルカーボネート、9.8wt%のフェノール、0.4wt%のジメチルカーボネート、2.6wt%のチタンテトラフェノキシドおよび0.2wt%のジフェニルエーテルから成る、236.6kg/hの生成物混合物(8)を提供する。
【0250】
83.5wt%のフェノール、15.5wt%のジメチルカーボネート、0.6wt%のメチルフェニルカーボネート、0.3wt%のアニソール、および0.1wt%のメタノールを含む、238.2kg/hの液体留出物(3)を更に取り出す。
【0251】
第2反応塔(K)から来る蒸気混合物を一部のみ凝縮し、中間沸点二次化合物、特にアニソールを排出する目的のために、60kg/hの蒸気生成物ストリーム(7)も、凝縮(K1−3)の後に取り出す。この蒸気生成物ストリームは、59.8wt%のジメチルカーボネート、38.2wt%のフェノール、1.6wt%のメタノール、0.3wt%のアニソールおよび0.1wt%のメチルフェニルカーボネートを含む。
【0252】
第2反応塔(K)を、1barの頂部圧力(KVTの上方)および0.65の還流比で運転する。精留部および回収部において規則充填物を使用した結果、塔内の圧力降下は、50mbar未満である。回収部(KAT)から流出する混合物は、198℃の温度を有し、2段階蒸発に供給する。第1蒸発段階(K)の下流の出口温度は、209℃であり、第2蒸発段階(K)の下流の出口温度は230℃である。使用する蒸発器は、第1段階においては自然循環蒸発器であり、第2段階においてはケトル型蒸発器である。蒸発器の全出力は66.4kWである。触媒が不揮発性であるので、反応は回収部、塔底、および蒸発器に限定される。回収部において温度が比較的低い(188〜198℃)ために、反応は、主に塔底および蒸発器でおこる。
【0253】
第2反応塔の頂部で取り出される蒸気混合物(27)の凝縮は3段階で、具体的には、第1段階において174−165℃(45kW)で、第2段階において165−155℃(17kW)で、および第3段階において155−154℃(1kW)で行う。第1および第2段階の凝縮熱を、ジメチルカーボネートとメタノールとの混合物を分離するのに用いる。
【0254】
総量が486.6kg/hの、第1反応塔Kの留出物(4)は、90.6wt%wtのジメチルカーボネート、8.2wt%のメタノール、1wt%のフェノールおよび0.2wt%のアニソールを含み、97.3wt%のジメチルカーボネートおよび2.7wt%のメタノールを含む、36.6kg/hの別のストリーム(5)と共に、メタノールを除去し、ジメチルカーボネートを回収する目的のために、2つの蒸留塔KおよびKにおける処理工程に供給する。
【0255】
これは、98.75wt%のジメチルカーボネート、1wt%のフェノール、0.2wt%のアニソールおよび0.05wt%のメタノールを含む、482kg/hのジメチルカーボネートフラクション(11)、ならびに99.5wt%のメタノールおよび0.5wt%のジメチルカーボネートを含む、41kg/hのメタノールフラクション(10)を提供する。
【0256】
メタノールとジメチルカーボネートは共沸混合物を形成するので、混合物の分離は、2段階圧力法を用いて行う。この場合において、混合物を、まず、予熱器において137℃に加熱し、同時に一部蒸発させ、その後、ジメチルカーボネート蒸留塔Kにおいて、まず、缶出液(11)としての上述のジメチルカーボネートフラクションと、76.1wt%のメタノールおよび23.9wt%のジメチルカーボネートを含む、実質的に共沸混合物の組成の113.4kg/hの留出物としてのフラクションとに分離する。
【0257】
ジメチルカーボネート蒸留塔(K)は、5.5barの頂部圧力および1.2の還流比で稼働し、16段の理論段数を有する精留部(KVT)および7段の理論段数を有する回収部(KAT)を有する。
【0258】
これは、塔の底部における155.8℃の温度をもたらす。必要とされる蒸発熱は58.2kWである。缶出液を、2つの自然循環蒸発器(K1−2)において蒸発させ、熱の大部分(45kW)を、第2反応塔の第1凝縮器として同時に機能する循環蒸発器において交換する。残りの蒸発熱を、スチームによって、第2循環蒸発器に供給する。
【0259】
ジメチルカーボネート蒸留塔(K)の供給ストリームを加熱するための熱交換器は、第2反応塔の第2凝縮器として同時に機能し、交換される熱の量は17kWである。
【0260】
600mbarの頂部圧力および2.3の還流比で稼働するメタノール蒸留塔(K)において、メタノールを缶出液(41kg/h;メタノール/ジメチルカーボネート=99.5/0.5wt%)として除去する。総量が72.3kg/hの、62.4wt%のメタノールおよび37.6wt%のジメチルカーボネートを有する留出物(12)を、ジメチルカーボネート蒸留塔にフィードバックする。
【0261】
メタノール蒸留塔(K)は、30段の理論段数の分離能を有し、前記理論段数を、精留部と回収部との間で等分する。
【0262】
メタノール蒸留塔の蒸発で必要とされる熱(56kW)を、ジメチルカーボネート蒸留塔からの蒸気の凝縮によって供給する。従って、ジメチルカーボネート蒸留塔の凝縮器は、メタノール蒸留塔の蒸発器として同時に機能する。
【0263】
非常に高沸点の物質および触媒ならびに低沸点化合物を除去してジフェニルカーボネートを単離するために、第2反応塔(K)において得られる、62.7/24.2/9.8/0.4/2.6/0.03wt%のジフェニルカーボネート/メチルフェニルカーボネート/フェノール/ジメチルカーボネート/チタンテトラフェノレート/ザロールおよび236.6kg/hの総量を含む缶出液混合物(6)を、蒸留ワークアップに供給する。これは、ジフェニルカーボネート精留塔Kおよび図4に従ってワークアップされるジフェニルカーボネート測流塔Kから成る。
【0264】
ジフェニルカーボネート精留塔(K)は、4つのセクター、5段の理論段数の上側精留部(KVT)、3段の理論段数の下側精留部(KVT)、16段の理論段数の上側回収部(KAT)、および9段の理論段数の下側回収部(KAT)から成る。塔頂から出る蒸気の、頂部凝縮器(K)における凝縮、および下側回収部(KAT)から流出する液体の、蒸発器(K)における缶出液の部分的な蒸発は、各々、1段階で行う。
【0265】
ジフェニルカーボネート精留塔(K)は、15mbarの頂部圧力および0.7の還流比で運転する。
【0266】
これは、留出物(9)として、69.9/28.3/1.2/0.5wt%のメチルフェニルカーボネート/フェノール/ジメチルカーボネート/DPEを含むストリームを提供する。測流(53)中で中間沸点物を排出するために、上側精留部(KVT)の下で、0.02kg/hの液体を取り出す。更に、上側精留部(KVT)の下で、99.9wt%のジフェニルカーボネートを含む201kg/hの蒸気測流(57)を取り出す。得られる缶出液(55)は、70/29.8/0.2wt%のジフェニルカーボネート/チタンテトラフェノレート/ザロールを含む、20.6kg/hの混合物である。
【0267】
蒸気測流(57)を、測流塔(K)に供給する。これは、9段の理論段数の精留部(KVT)のみを有する。
【0268】
測流塔(K)を、ジフェニルカーボネート精留塔(K)と同じ圧力条件下で、0.5の還流比にて操作する。
【0269】
測流塔(K)の頂部から出る蒸気(62)を、凝縮器(K1−2)において2段階凝縮で凝縮し、凝縮熱を、スチームを生じさせるため、またはジフェニルカーボネート製造の他の処理部を加熱するために使用する。
【0270】
これは、99.96wt%のジフェニルカーボネートおよび僅か300ppmのザロールを含む留出物(51)を提供する。測流塔の底部から流出する液体(61)を、ジフェニルカーボネート精留塔(K)へ、下側回収部(KAT)の上方で供給する。
【0271】
第2反応塔(K1−3)の凝縮の後に残存する蒸気混合物を、場合により、まず、凝縮し(K)、その後、別のワークアップに送って、中間沸点二次化合物、特にアニソールを除去する。
【0272】
ワークアップは2つの蒸留塔で行う。アニソール予濃縮塔(K)において、低沸点フラクションを頂部生成物として取り出す。これは、97.3wt%のジアルキルカーボネートおよび2.7wt%の反応アルコールを含み、36.6kg/hの総量を有する。取り出される缶出液は、99.0/0.1/0.65wt%のフェノール/ジメチルカーボネート/アニソールを含む、23kg/hの混合物である。
【0273】
アニソール予濃縮塔(K)は、8段の理論段数の精留部(KVT)および14段の理論段数の回収部(KAT)を有する。塔頂で取り出される蒸気(44)の凝縮(K)を、88〜80℃の凝縮温度にて1段階で行う。塔は、1barの頂部圧力および0.8の還流比で運転する。エネルギーは、自然循環蒸発器(K)によって、塔の底部において供給する。
【0274】
アニソール予濃縮塔(K)の缶出液(43)を、アニソール塔(K)に供給する。アニソール除去から取り出す留出物(5)は、46.4/41.3/9.8/2.5wt%のフェノール/アニソール/ジメチルカーボネート/他の中間沸点二次化合物の、0.2kg/hの混合物である。測流の取り出し(68)を、蒸気の状態で行う。取り出される蒸気ストリームは、フェノールを99.7wt%の純度で含む。これを凝縮し、フェノールおよび場合により触媒を含む別のストリームと混合した後に、第1反応塔(K)にフィードバックする。凝縮(KSC)で得られる凝縮熱を、7bar(絶対圧力)のスチーム圧力を有するスチームを生じさせるのに用いる。
【0275】
アニソール除去の底部において、0.1kg/h(41)を取り出し、プロセスから完全に排出する。
【0276】
アニソール塔(K)は、14段の理論段数の精留部(KVT)および14段の理論段数の回収部(KAT)を有し、前記回収部は、10段の理論段数の上側回収部(KAT)および4段の理論段数の下側回収部(KAT)を含む。測流を、下側回収部(KAT)の上で取り出す。塔の頂部において取り出される蒸気(47)の凝縮(K)を1段階で行う。塔は、84の還流比で還流条件下にて運転する。塔の底部において、流下膜式蒸発器(K)によってエネルギーを供給する。塔の頂部圧力は1bar(絶対圧力)である。
【0277】
実施例は、目覚ましい方法で、いかにしてジフェニルカーボネートの製造におけるエネルギー消費を有効な熱の統合によって著しく減少させることを可能にするかを示している。
【0278】
例えば、第1反応塔において、中間凝縮器を使用することにより、反応物の加熱および蒸発、塔の底部における蒸発、並びに反応ゾーンの加熱を含む熱の需要が183.3kWから131,3kWに(即ち28.4%)減少することが許容される。同時に、冷却剤の消費を183.2から126.2kWに、即ち31.1%減少させる。
【0279】
第2反応塔とメタノール/ジメチルカーボネート混合物の分離との熱の統合により、メタノールとジメチルカーボネートとを分離するための熱媒体の要求が、76kWから13kWに、即ち83%減少することが許容される。同時に、第2反応塔の冷却要求は、64から1kWに、即ち98.4%減少する。
【符号の説明】
【0280】
アルキルアリールカーボネート反応塔(第1反応塔)
1−Nの頂部凝縮器1〜N
1−Nの蒸発器1〜N
IC1−Nの中間凝縮器1〜N
VTの下側精留部
VTの上側精留部
ジアルキルカーボネート含有ストリームのための、Kの予熱器/蒸発器/過熱器
芳香族ヒドロキシル化合物を含む反応物ストリームのための、Kの予熱器/蒸発器
RZ Kの反応ゾーン
AT Kの回収部
E_RZ1−Nの反応ゾーンの領域の中間蒸発器1〜N

ジアリールカーボネート反応塔(第2反応塔)
1−Nの頂部凝縮器1〜N
N+11−Nからの、中間沸点二次化合物を含む残存蒸気ストリームのための凝縮器
1−Nの蒸発器1〜N
VT Kの精留部
AT Kの回収部および反応ゾーン
E_AT1−Nの回収部における中間蒸発器1〜N

ジアリールカーボネート精留塔(第1ジアリールカーボネート蒸留塔)
1−Nのオプションの多段階頂部凝縮器1〜N
1−Nのオプションの多段階蒸発器1〜N
N+1 塔Kの底部および/または(1または複数の)塔蒸発器K1−Nからの、プロセスへ再循環させない缶出液ストリームを濃縮するための追加の蒸発器
SC1−Nの蒸気測流のためのオプションの多段階凝縮器1〜N
VTの上側精留部
VTの下側精留部
ATの上側回収部
ATの下側回収部
T Kの分離壁
TLO Kの分離壁の供給側の精留部
TLU Kの分離壁の供給側の回収部
TRU Kの分離壁の取り出し側の精留部
TRO Kの分離壁の取り出し側の回収部

ジアリールカーボネート測流塔(第2ジアリールカーボネート蒸留塔)
1−Nのオプションの多段階凝縮器1〜N
VT Kの精留部
AT Kの回収部
1−Nのオプションの多段階蒸発器1〜N
ジアルキルカーボネート蒸留塔
VT Kの精留部
AT Kの回収部
反応アルコールおよびジアルキルカーボネートを含むストリームのための、Kの予熱器/蒸発器
1−Nの頂部凝縮器1〜N
1−Nの蒸発器1〜N
E_AT1−Nの回収部の中間蒸発器1〜N

反応アルコール蒸留塔
1−Nの頂部凝縮器1〜N
1−Nの蒸発器1〜N
VT Kの精留部
AT Kの回収部

M 膜分離(蒸気透過またはパーベーパレーション)
MRC 膜分離後の非透過物の凝縮器
MPC 膜分離後の透過物の凝縮器

アルキルアリールエーテルの予濃縮塔(第1中間沸点物塔)
1−Nのオプションの多段階頂部凝縮器1〜N
1−Nのオプションの多段階蒸発器1〜N
VT Kの精留部
AT Kの回収部

アルキルアリールエーテル塔(第2中間沸点物塔)
1−Nのオプションの多段階頂部凝縮器1〜N
SC1−Nの蒸気測流のための1〜Nのオプションの多段階凝縮器
1−Nのオプションの多段階蒸発器1〜N
VT Kの精留部
ATの上側回収部
ATの下側回収部
T Kの分離壁
TLO Kの分離壁の供給側の精留部
TLU Kの分離壁の供給側の回収部
TRU Kの分離壁の取り出し側の精留部
TRO Kの分離壁の取り出し側の回収部

〜Kの反応塔または蒸留塔の1つ
1−Nの1〜N個のオプションの多段階頂部凝縮器
VT Kの精留部
CS1−Nの、直接凝縮を含む塔セグメント1〜N
1−NのKCS1−Nにおける凝縮のための循環ストリームを冷却するための熱交換器1〜N

1 ジアルキルカーボネートを含む反応物供給ストリーム
2 芳香族ヒドロキシル化合物を含む反応物供給ストリーム
3 Kの留出物
4 Kの留出物
5 ジアルキルカーボネートおよび反応アルコールを含むストリーム
6 Kの缶出液
7 中間沸点物パージ
8 Kの缶出液
9 アルキルアリールカーボネートおよび芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリーム
10 Kからの反応アルコールの排出
11 Kからの、ジアルキルカーボネート含有ストリーム
12 Kの留出物
13 Kの留出物
14 ジアルキルカーボネートおよび反応アルコールを含むストリーム
15 Kへの、ジアルキルカーボネート含有ストリーム
16 Kへの、芳香族ヒドロキシル化合物含有ストリーム
17 蒸発後のジアルキルカーボネート含有ストリーム
18 加熱後の、芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリーム
19 Kの頂部の蒸気ストリーム
20 Kの回収部からの液体流出物
21 Kの底部蒸発器からの蒸気−液体混合物
22 Kの下側精留部からの蒸気混合物
23 Kの(1または複数の)中間凝縮器の凝縮物
24 Kの上側精留部からの液体混合物の流出
25 Kの還流
26 Kの凝縮からの残存蒸気混合物
27 Kの頂部の蒸気ストリーム
28 Kの反応ゾーンまたは必要であるならば回収部からの液体混合物の流出
29 Kの底部蒸発器からの蒸気−液体混合物
30 Kの還流
31 Kの頂部の蒸気ストリーム
32 Kの還流
33 Kへの供給混合物
34 膜分離(M)への留出物K
35 凝縮器(MRC)への膜分離(M)非透過物
36 Kへの液体非透過物
37 凝縮器(MPC)への膜分離(M)透過物
38 中間沸点二次化合物を含むストリーム
39 Kからの、芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリーム
40 中間沸点物を含む蒸留物ストリーム
41 処分するための、中間沸点物を含む缶出液
42 KまたはKへの、Kの缶出液
43 芳香族ヒドロキシル化合物および中間沸点二次化合物を含む缶出液
44 Kの頂部の蒸気ストリーム
45 Kの還流
46 K1−Nにおける凝縮後の残存蒸気ストリーム
47 Kの頂部の蒸気ストリーム
48 Kの還流
49 K1−Nにおける凝縮後の残存蒸気ストリーム
50 芳香族ヒドロキシル化合物および触媒を含むストリーム
51 高純度のジアリールカーボネートを含むストリーム
52 高沸点二次化合物および触媒を含むストリーム
53 中間沸点二次化合物を含むストリーム
54 処分するための、高沸点二次化合物および触媒を含むストリーム
55 高沸点二次化合物および触媒を含むストリーム
56 ジアリールカーボネートを含む、Kへの蒸気ストリーム
57 ジアリールカーボネートを含む、Kへの蒸気ストリーム
58 Kの蒸気ストリーム
59 K1−Nにおける凝縮後の残存蒸気ストリーム
60 Kの還流
61 Kの缶出液
62 Kの蒸気ストリーム
63 Kの還流
64 Kの下側回収部からの液体の流出
65 Kの缶出液
66 K1−Nにおける凝縮後の残存蒸気ストリーム
67 Kの缶出液からのパージストリーム
68 Kからの、芳香族ヒドロキシル化合物を含む測流
69 Kの回収部から供給側への蒸気ストリーム(分離壁塔としての態様)
70 Kの精留部から凝縮への蒸気ストリーム
71 Kの精留部への還流
72 留出物
73 凝縮後の残存蒸気ストリーム
74 冷却前の、塔セグメントにおける凝縮の場合の外部の循環
75 冷却後の、塔セグメントにおける凝縮の場合の外部の循環
76 Kの回収部から取り出し側への蒸気ストリーム(分離壁塔としての態様)
77 Kの精留部から供給側への液体(分離壁塔としての態様)
78 Kの回収部から取り出し側への液体(分離壁塔としての態様)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類のジアルキルカーボネートと少なくとも1種類の芳香族ヒドロキシル化合物から、少なくとも1種類のジアリールカーボネートを、
(a)塔の上部に少なくとも1つの精留部、少なくとも2つのセクターを有する当該精留部の下に少なくとも1つの反応ゾーンを含む第1反応塔において、少なくとも1種類のエステル交換触媒の存在下で、(1または複数の)ジアルキルカーボネートを(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物と反応させること
(b)塔の上部に少なくとも1つの精留部を含み、当該精留部の下に少なくとも1つの反応ゾーンを含む、少なくとも1つの別の反応塔に、第1反応塔の缶出液を供給すること、および、前記缶出液をそこで更に転化すること、
(c)少なくとも1つの蒸留塔を含む少なくとも1つの別の処理工程において、工程(a)および/若しくは(b)の反応塔からの未転化のジアルキルカーボネート、または反応の間に生成される未転化のジアルキルカーボネートを、反応の間に生成されるアルキルアルコールから完全にまたは一部分離すること、
(d)少なくとも1つの反応塔の頂部において取り出された、(b)からの(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を含む蒸気を、場合により少なくとも1つの凝縮器において凝縮した後に、沸点が、ジアルキルカーボネートの沸点と、ジアリールカーボネートを製造する間に生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間にある化合物を除去するために、少なくとも1つの蒸留塔を含む少なくとも1つの別の処理工程に、完全にまたは一部供給すること、および
(e)ジアリールカーボネートを含み、前記(1または複数の)別の反応塔において得られる工程(b)からの缶出液を、塔の上部に少なくとも1つの精留部を含み、塔の下部に少なくとも1つの回収部を含む少なくとも1つの蒸留塔において精製するための、少なくとも1つの別の処理工程に供給すること
によって製造する方法であって、第1反応塔または前記別の(1または複数の)反応塔から選択される少なくとも1つの反応塔が、1または複数の凝縮器を備えており、これらの凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱を、プロセスに戻して直接または間接的に再利用することを特徴とする方法。
【請求項2】
第1反応塔の少なくとも1つの精留部が少なくとも1つの中間凝縮器を備えており、この中間凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱をプロセスに戻して直接または間接的に再利用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(1または複数の)別の反応塔が、前記(1または複数の)別の反応塔の頂部において1または複数の凝縮器を備えており、これらの凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱を、プロセスに戻して直接または間接的に再利用することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記(1または複数の)別の反応塔の(1または複数の)凝縮器、および/または第1反応塔に存在する(1または複数の)いずれかの中間凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱を、反応の間に生成されるアルキルアルコールからジアルキルカーボネートを分離するために、および/または第1反応塔に導入されるジアルキルカーボネートを蒸発させるために直接または間接的に、好ましくは一部を反応の間に生成されるアルキルアルコールからジアルキルカーボネートを分離するために、一部を第1反応塔に導入されるジアルキルカーボネートを蒸発させるために、直接または間接的に用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記(1または複数の)別の反応塔の(1または複数の)凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱を、反応の間に生成されるアルキルアルコールからジアルキルカーボネートを分離するために、直接または間接的に、全てまたは一部使用し、第1反応塔の(1または複数の)中間凝縮器における凝縮によって得られる凝縮熱を、第1反応塔に導入されるジアルキルカーボネートを蒸発させるために、直接または間接的に、全てまたは一部使用することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ジアリールカーボネートを含み、前記(1または複数の)別の反応塔において得られる、工程(b)からの缶出液が、ジアリールカーボネート製造からのエステル交換触媒を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ジアリールカーボネートを含み、前記(1または複数の)別の反応塔において得られる、工程(b)からの缶出液を、精製のために少なくとも1つの別の処理工程に供給し、当該処理工程が少なくとも1つの蒸留塔を含み、ジアリールカーボネート含有測流をこの蒸留塔から取り出すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ジアリールカーボネートを含み、前記(1または複数の)別の反応塔において得られる、工程(b)からの缶出液が、ジアリールカーボネートの沸点と、ジアリールカーボネートの製造の間に副生成物として生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点を有する化合物を不純物として含み、前記化合物を蒸留塔から別の測流において取り出し、場合により、反応塔または工程(b)の(1または複数の)別の反応塔の1つに再循環することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記蒸留塔が分離壁塔であることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
(c)で取り出されたジアルキルカーボネートを、場合により更に精製した後に、第1反応塔にフィードバックすることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を含み、(b)からの少なくとも1つの反応塔の頂部において全てまたは一部取り出された蒸気から、適切な場合少なくとも1つの凝縮器における凝縮の後に、ジアルキルカーボネートの沸点と、ジアリールカーボネートを製造する間に生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点を有する化合物を除去するための(1または複数の)処理工程において得られる(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を、第1反応塔に供給することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を含み、(b)からの少なくとも1つの反応塔の頂部において全てまたは一部取り出された蒸気を、適切な場合少なくとも1つの凝縮器における凝縮の後に、少なくとも2つの蒸留塔を含む少なくとも1つの別の処理工程に供給し、第1蒸留塔の缶出液を第2蒸留塔に供給することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ジアルキルカーボネートの沸点と、ジアリールカーボネートを製造する間に生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点との間の沸点を有する化合物を除去するための(1または複数の)処理工程において得られる(1または複数の)芳香族ヒドロキシル化合物を、第1かつ唯一の蒸留塔から缶出液として取り出す、または第2または更なる蒸留塔から測流として取り出すことを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
第1蒸留塔の頂部において取り出される生成物が、ジアルキルカーボネートを含み、その全てまたは一部を、アルキルアルコールを除去するための少なくとも1つの蒸留塔を含む別の処理工程(c)に供給することを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法に用いる少なくとも1つの反応塔および/または前記方法に用いる少なくとも1つの蒸留塔が、塔内に組み込まれている1または複数の頂部凝縮器を有し、塔の塔径(D)に対する、塔から(1または複数の)頂部凝縮器への蒸気ラインの径(d)のd/D比が、0.2〜1の範囲であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
30℃より高い、好ましくは40℃より高い融点を有する、混合物を導くラインおよびユニットを、この融点より高い温度に加熱することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
a.触媒含有ストリームを、処理工程(e)からの少なくとも1つの蒸留塔の缶出液から得て、適切な場合さらに精製した後に、全てまたは一部を、プロセス、好ましくは処理工程(a)に戻して再利用すること、
b.(1または複数種の)芳香族ヒドロキシル化合物およびアルキルアリールカーボネートを含むストリームを、処理工程(e)の少なくとも1つの蒸留塔から得て、全てまたは一部を、プロセス、好ましくは処理工程(a)または(b)に戻して再利用すること、および
c.ジアリールカーボネートの沸点より高い沸点を有する化合物およびジアルキルカーボネートの沸点とジアリールカーボネートの製造の間に生成されるアルキルアリールカーボネートの沸点の間の沸点を有する化合物を、プロセスから一緒に、または互いに別々に、処理工程(e)の少なくとも1つの蒸留塔から全てまたは一部排出すること
を特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−6808(P2010−6808A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−146450(P2009−146450)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】