説明

ジオキサン排出量が少ないポリエステルポリオールの製造方法

本発明は、特別な反応制御がジエチレングリコールからの1,4−ジオキサンの形成を実質的に抑制する、少なくとも1つのカルボン酸無水物およびジエチレングリコールから形成されたポリエステルポリオールの製造および使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのカルボン酸無水物およびジエチレングリコールから形成されたポリエステルポリオールの製造および使用に関し、ジエチレングリコールからの1,4−ジオキサンの形成を特別な反応手順によりかなり抑制する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルポリオールは、多くの発泡および非発泡ポリウレタン系の重要な構成物質である。ポリウレタンを形成するために用いるポリエステルポリオールは、イソシアネート基とのさらなる反応に利用可能なヒドロキシル末端基をかなり優勢に有する。ポリエステルポリオールのモル質量は通常、200〜5000ダルトンの範囲である。これらは、ポリカルボン酸、特にジカルボン酸と、ポリオール、特にジオールとの重縮合により、カルボキシル基およびヒドロキシル基を脱水条件下で反応させてエステル基を形成することにより大部分が製造される。ポリカルボン酸の無水物、例えば無水フタル酸を、代替物として用いることもできる。
【0003】
脱水条件は、例えば真空の適用により、反応水を不活性ガス流を用いて吹き飛ばすことにより、または連行剤との共沸パージにより得られる(Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie、第14/2、Makromolekulare Stoffe、 Thieme Verlag Stuttgart、ed.E.Mueller、第1〜47頁、1963年)
【0004】
無水フタル酸の形態で通常用いられる芳香族フタル酸をジエチレングリコールとエステル化させる際、1,4−ジオキサンが望ましくない副生成物として形成されることが当業者に知られている。工業設備における製造中に、形成されるジオキサンは、反応水と共に排出され、次いで例えば、排水処理プラントにおいて分解されるか、または濃縮され、次いで焼却されなければならない。この更なるプロセス工程は、ポリエステルポリオール製造のコストを増加させる。
【0005】
副生成物として形成される1,4−ジオキサンは、所望の生成物の収率を減少させ、用いるジエチレングリコールの一部は、形成されるポリエステル中へ組み込まれる代わりに1,4−ジオキサンの形態で反応混合物から取り除かれる。従って、1,4−ジオキサンの形成により、重大な経済的欠点が生じる。
【0006】
さらに、製造設備が製造してよい1,4−ジオキサンの量は、規定の許容により制限される。従って、このような場合、ジオキサンの量の制限により、ポリエステルポリオール製造設備の製造能力が間接的に制限される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「Methoden der organischen Chemie」、Houben−Weyl、第14/2
【非特許文献2】「Makromolekulare Stoffe」、 Thieme Verlag Stuttgart、ed.E.Mueller、1963年、第1〜47頁、
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、先行技術の欠点を克服する、少なくとも1つのカルボン酸無水物およびジエチレングリコールから合成されたポリエステルポリオールの製造方法を提供することである。
【0009】
本発明の目的は、特に、少なくとも1つのカルボン酸無水物およびジエチレングリコールからのポリエステルポリオールの製造において、用いるジエチレングリコールの量に対して生成するジオキサンの量を制限することである。このようにして、ジオキサンの量は、用いるエチレングリコール1kgあたり8g未満、好ましくは1kgあたり6g未満に制限することができる。
【0010】
本発明の具体的な目的は、少なくとも1つのカルボン酸無水物およびジエチレングリコールからのポリエステルポリオールの製造において、形成されるポリエステルポリオールの量に対して生成するジオキサンの量を制限することである。こうして、ジオキサンの量は、形成されるポリエステルポリオール1kgあたり4g未満、好ましくは1kgあたり3g未満に制限することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、少なくとも1つのカルボン酸無水物(A)、ジエチレングリコール(B)および少なくとも1つのさらなるC〜Cグリコール(C)、および少なくとも1つの脂肪族C〜C12ジカルボン酸(D)または少なくとも1つのC〜C10グリコール(E)および少なくとも1つのCジカルボン酸(F)を混合し、成分(B)と(A)のモル比は、1.5:1.0〜1.1:1.0の範囲であり、成分(A)および(B)の割合は、混合物の全ての成分の重量を基準として66重量%〜95重量%の範囲である、ポリエステルポリオールの製造方法により達成される。
【0012】
成分(C)、(D)、(E)および(F)の量は、工程a)において、全成分(A)、(B)、(C)および(D)または(E)および(F)の量が混合物中において合計100重量%となるように選択される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい実施態様では、カルボン酸無水物(A)は、芳香族化合物である。
【0014】
カルボン酸無水物(A)は、好ましくは、無水フタル酸、無水トリメリット酸および無水ピロメリット酸からなる群から選択される。カルボン酸無水物は、特に好ましくは無水フタル酸である。
【0015】
芳香族ジカルボン酸の少量を脂肪族ジカルボン酸(D)または(F)の当量に変換すること、および少量のジエチレングリコールを当量のグリコール(C)または(E)の当量に変換することにより、ポリエステルポリオールの製造において生じるジオキサン排出の量は、希釈効果の結果により予想される量をはるかに超えて減少される。製造されるポリエステルポリオールの特性は、実質的には、同一であり、すなわち、本発明による方法により製造されるポリエステルポリオールは、脂肪族ジカルボン酸(D)または(F)を添加せずに、およびグリコール(C)または(E)を添加せずに製造される対応するポリオールと同一の特性を有する。
【0016】
〜Cグリコール(C)は、好ましくは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオールからなる群から選択される。C〜Cグリコール(C)は、特に好ましくはエチレングリコールである。
【0017】
脂肪族C〜C12ジカルボン酸(D)は、好ましくは、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸およびドデカン二酸からなる群から選択される。特に好ましいC〜C12ジカルボン酸(D)は、アジピン酸またはセバシン酸である。
【0018】
〜C10グリコール(E)は好ましくは、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,8−オクタンジオールからなる群から選択される。C〜C10グリコール(E)は、特に好ましくは、3−メチル−1,5−ペンタンジオールまたは1,6−ヘキサンオールである。
【0019】
ジカルボン酸(F)は、好ましくは、コハク酸、フマル酸およびマレイン酸からなる群から選択される。Cジカルボン酸(F)は特に好ましくはコハク酸である。
【0020】
好ましくは、得られるポリエステルポリオールの分子量は、750〜350の範囲、特に好ましくは620〜370の範囲である。
【0021】
好ましくは、得られるポリエステルポリオールのOH価は、150〜320gKOH/kgの範囲、好ましくは180〜300gKOH/kgの範囲である。
【0022】
OH価は、まず、ポリエステルポリオールの試料中のヒドロキシル末端基と、所定の過剰の無水物、例えば無水酢酸とを反応させ、過剰の無水物を加水分解し、遊離カルボキシル基の含量を強塩基、例えば水酸化ナトリウムとの直接滴定により測定決定することにより決定する。無水物の形態で導入されるカルボキシル基と実験により見出されるカルボキシル基との間の差は、試料中におけるヒドロキシル基の数の尺度である。この値が、不完全なエステル化の結果、元の試料流に含まれるカルボキシル基の数について、すなわち酸価について修正される場合、OH価が得られる。水酸化ナトリウムにより主に行われる滴定は、酸およびヒドロキシル価がいずれも単位gKOH/kgであるように水酸化ナトリウムの当量へ変換される。以下の数学的関係:
M=(56100×F)/OH#
が、ヒドロキシル価(OH#)と数平均分子量(M)の間に存在する。ここで、Fは、数平均官能価(官能価は、1分子あたりのヒドロキシル基の数に関係し、ヒドロキシル官能価と称される)を表す。ヒドロキシル官能価は、通常、公式から近似により誘導することができる。
【0023】
得られるポリエステルポリオールの粘度は、50℃の温度で、400〜3000mPasの範囲、好ましくは450〜1500mPasの範囲である。
【0024】
粘度は、ゼロのせん断速に外挿される、コーン/プレート粘度計、例えばAnton PaarからのPhysica MCR 51を用いて決定される。本発明のポリオールは、可能な限り非構造的粘性である。
【0025】
成分(A)および(B)の割合は、全成分の重量を基準として好ましくは66重量%〜90重量%の範囲、特に好ましくは70重量%〜85重量%の範囲である。
【0026】
得られるポリエステルポリオールは、0.5〜3.5gKOH/kgの酸価を有する。
【0027】
得られるポリエステルポリオールの官能価は、1.9〜3の範囲である。2を越える官能価は、エステル化を行うことにより、2を越える官能価を有する構造単位の一部、例えばトリオールまたはテトラオールおよび/またはトリカルボン酸またはテトラカルボン酸および/または三官能性ヒドロキシカルボン酸を併用することにより得られる。典型的な代表例は、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリメリット酸、トリメシン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ジメチロールプロピオン酸等である。官能価は、好ましくは、グリセロールまたは1,1,1−トリメチロールプロパンを用いることにより2.0〜2.3の範囲に調節することができる。こうして、25℃で計測した粘度は、官能価増加性成分(例えば1,1,1−トリメチロールプロパン)とは別に、専ら無水フタル酸およびジエチレングリコールから合成される、同じ官能価およびヒドロキシル価を有するポリエステルポリオールについて計測した値から20%未満外れる。
【0028】
好ましくは、本発明によるポリエステルポリオールを製造するために、真空法を、標準圧から5mbar、好ましくは10mbarの最終真空までの範囲の圧力で、100〜230℃、好ましくは180〜215℃の範囲の温度で行う。
【0029】
好ましくは、本発明によるポリエステルポリオールの製造方法は、全成分を同時に反応器中に入れ、まず、標準圧力下で、不活性ガスを用いて、100〜230℃の範囲の温度で、特に好ましくは180〜215℃の範囲の温度で、さらなる反応水が蒸留されなくなるまで凝縮を行い、次いで1〜4時間にわたって20mbar未満に圧力を低減し、必要に応じて、エステル化触媒を添加し、最後に180〜215℃の範囲の温度で、酸価が5gKOH/kg未満になるまで、完全ウォータージェット真空下で重縮合を行うことにより行う。
【0030】
当業者に既知の全ての触媒は、本発明によるポリエステルポリオールを製造するのに用いることができる。塩化錫(II)およびチタンテトラアルコキシレートを好ましく用いる。
【0031】
本発明によるポリエステルポリオールを製造するための成分の反応は、好ましくは、バルク中で行う。
【0032】
あるいは、ポリエステルポリオールは、凝縮物が、窒素流により反応容器から取り出される窒素吹き込み法により製造することもできる(J.H.Saunders and H.T. Frisch in Polyurethanes: Chemistry and Technology、Part I.Chemistry、InterScience published by John Wiley and Sons、ニューヨーク 1962年、第45頁)。
【0033】
本発明はまた、以下の工程:
a)上記の方法により得られるポリエステルポリオールと、
b)ポリイソシアネート含有成分、
c)発泡剤、
d)1以上の触媒
e)必要に応じて、難燃剤および/または更なる補助物質および添加剤
との反応工程
を含むPUR−PIRフォームを製造するための方法を提供する。
【0034】
ポリイソシアネート含有成分には、ポリイソシアネートが包含される。
【0035】
用いるポリイソシアネートは、ポリウレタンの分野に通常用いるイソシアネートである。適当イソシアネートは通常、脂肪族、アリール脂肪族および芳香族多価イソシアネートである。芳香族ジ−およびポリイソシアネートを好ましく用いる。好ましい例は、2,4−および2,6−トルイレンジイソシアネートおよびこれらの異性体の混合物、2,2’−、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびこれらの異性体の混合物、2,2’−、2,4’−、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(二核MDI)の混合物およびポリフェニレン−ポリメチレンポリイソシアネート(MDI))である。あるいは、トルイレンジイソシアネートおよびMDIの混合物を用いることもできる。
【0036】
化学作用または物理作用を有する一般に知られている化合物を発泡剤として用いることができる。水は、化学的に働く発泡剤として好ましくは用いることができる、物理発泡剤の例は、4〜8個の炭素原子を有する(シクロ)脂肪族炭化水素、ならびにHFCおよびHCFCであり、これらは、ポリウレタン形成の条件下で蒸発する。好ましい実施態様では、ペンタンおよびシクロペンタンならびにペンタンおよびシクロペンタンの混合物を発泡剤として用いる。
【0037】
用いる発泡剤の量は、フォームの所望の密度により主に決定する。水は通常、完成処方物を基準として0〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の量で用いる。通常、0〜8重量%、好ましくは0.1〜5重量%の量の物理作用を有する発泡剤を用いることもできる。用いることができる他の発泡剤は、二酸化炭素であり、好ましくは出発成分中にガスとして溶解させる。
【0038】
本発明のポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを製造するための触媒は、従来法により既知のポリウレタンまたはポリイソシアネートを形成するための触媒、例えば有機錫化合物、例えば錫二酢酸、錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、および/または強塩基アミン、例えば2,2,2−ジアザビシクロオクタン、トリエチルアミンまたは好ましくはトリエチレンジアミンまたはビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル、ならびにPIR反応を触媒するための酢酸カリウムおよび脂肪族第4級アンモニウム塩である。
【0039】
触媒は、全成分の重量を基準として、好ましくは0.1〜3重量%、好ましくは0.5〜2重量の量で用いる。
【0040】
上記の成分の反応は、補助物質および/または添加剤、例えば気泡調整剤、離型剤、顔料、強化材料、例えばガラス繊維など、表面活性化合物および/または酸化、熱分解、加水分解または微生物分解または老化を防止するための安定剤などの存在下で必要に応じて行う。ポリウレタンフォームは通常、20〜250g/L、有利には25〜150g/L、特に好ましくは30〜100g/L、最も好ましくは35〜75g/Lの密度を有する。
【0041】
本発明のポリウレタンフォーム通常、従来法による高圧または低圧混合ヘッドを用いて混合した全ての成分を、NCO基と反応性水素原子の合計の当量比が純粋PURフォームの場合に、1:0.8〜1:1.60の範囲、好ましくは1:0.9〜1:1.15の範囲であるような量で反応させることにより製造される。1:1の比は、100のNCO指数に対応する。
【0042】
PUR−PIRフォームの場合には、NCO基と反応性水素原子の合計の当量比が、1:1.60〜1:5.0の範囲、好ましく1:2.0〜1:4.0の範囲である。
【0043】
本発明はまた、ポリウレタンを製造する上記の方法により製造されるポリエステルポリオールの使用を提供する。ポリウレタンは、多くの領域に用いる多彩な材料である。用いることができる多種多様の原料により、極めて種々の特性を有する生成物、例えば断熱のための硬質フォーム、マットレスのための柔軟性ブロックフォーム、車両シートおよびクッションのための柔軟性成形フォーム、防音のための音響フォーム、熱可塑性フォーム、シューフォームまたは微小細胞フォームだけでなく圧縮キャスト系および熱可塑性ポリウレタンを製造することができる。
【0044】
本発明は、金属複合材料要素を製造する上記の方法により製造されるPURまたはPIRフォームの使用をさらに提供する。
【0045】
金属複合材料要素は、少なくとも2つの外側層およびこれらの間にある中心層からなるサンドイッチ複合材料要素である。とりわけ、金属フォーム複合材料要素は、少なくとも2つの金属外側層、およびフォーム、例えば硬質ポリウレタン(PUR)フォームまたは硬質ポリウレタン−ポリイソシアヌレート(PUR−PIR)フォームから構成される中心層からなる。このような金属フォーム複合材料要素は、先行技術から十分に知られており、金属複合材料要素と称される。他の層が、中心層および外側層の間にあってよい。例えば外側層は、例えばラッカーで被覆することができる。
【0046】
このような金属複合要素の使用の例は、工場建造物および冷蔵倉庫の構築のための、ならびに大型トラックの上部構造、工場のドアまたは運送用コンテナーのための平面または裏打ち壁要素およびプロファイルされた屋根要素である。
【0047】
これらの金属複合要素は、連続または回分式に製造することができる。連続製造のためのデバイスは、例えばDE1609668AまたはDE1247612Aから知られている。
【実施例】
【0048】
実施例に用いる原料の組成物
無水フタル酸(PA):Lanxessからの工業PA
アジピン酸:BASFからのアジピン酸
Diエチレングリコール(DEG):IneosからのDEG
エチレングリコール(EG):IneosからのEG
塩化錫(II)二水和物 Aldrichから
用いた分析法:
粘度計:Anton PaarからのMCR 51
【0049】
A)ポリエステルポリオールの製造
実施例1(比較)(標準法、比較)
窒素ブランケット下で140℃にて、1437.1g(9.71mol)のPAを、加熱マントル、機械スターラー、内部温度計、40cm充填カラム、カラムヘッド、降下式ジャケット付きコイル凝縮器およびドライアイスで冷却された受け器をダイアフラム真空ポンプと共に備えた4リットル4つ口フラスコ中に入れ、および1737.3g(16.39mol)のDEGを緩やかに添加した。1時間後に、温度を190℃に上昇させ、65mgの塩化錫(II)二水和物を、撹拌投入し、圧力を700mbarに減少させ、反応温度を215℃に上昇した。さらなる5時間にわたり、圧力を、160mbarの最終値に連続的に減少させ、該反応を26時間の全運転時間において完了した。反応を通して、蒸留物を、ドライアイスで冷却した受け器に集めた。形成された1,4−ジオキサンの量を、ガスクロマトグラフィーにより決定した:34.3g。
【0050】
ポリエステルの分析
ヒドロキシル価:238.2mgKOH/g
酸価:1.7mgKOH/g
粘度:10,400mPas(25℃)、890mPas(50℃)、180mPas(75℃)
形成されたポリエステルポリオールの量:2965g
ポリエステルポリオールの量に基づくジオキサンの量:34.3g/2.965kg=11.6gジオキサン/kgポリエステル
用いたDEGの量に基づくジオキサンの量:34.3g/1.738kg=19.7gジオキサン/kgDEG
【0051】
実施例2(比較)(標準法、より低い温度、比較)
窒素ブランケット下で140℃にて、1437.1g(9.71mol)のPAを、実施例1に従う装置に入れ、および1737.3g(16.39mol)のDEGを緩やかに添加した。1時間後に、温度を180℃に上昇させ、65mgの塩化錫(II)二水和物を、撹拌投入し、圧力を700mbarに減少させた。さらなる5時間にわたり、圧力を、45mbarの最終値に連続的に減少させた。温度を200℃に、圧力を115mbarに上昇させ、該反応を27時間の全運転時間において完了した。反応を通して、蒸留物を、ドライアイスで冷却した受け器に集めた。形成された1,4−ジオキサンの量を、ガスクロマトグラフィーにより決定した:17.6g。
【0052】
ポリエステルの分析
ヒドロキシル価:234.5mgKOH/g
酸価:1.6mgKOH/g
粘度:11300mPas(25℃)、930mPas(50℃)、190mPas(75℃)
形成されたポリエステルポリオールの量:2982g
ポリエステルポリオールの量に基づくジオキサンの量:17.6g/2.982kg=5.9gジオキサン/kgポリエステル
用いたDEGの量に基づくジオキサンの量:17.6g/1.738kg=10.2gジオキサン/kgDEG
【0053】
実施例3(標準法、本発明による)
窒素ブランケット下で室温にて、1444g(9.76mol)のPA、1386g(13.86mol)のDEG、356g(2.44mol)のアジピン酸および429g(6.92mol)のEGを実施例1に従う装置に計量投入し、および1時間140℃で撹拌した。次いで温度を3時間200℃に上昇した。次いで、65mgの塩化錫(II)二水和物を撹拌投入し、圧力を400mbarに減少させた。さらなる5時間にわたり、圧力を、60mbarの最終値に連続的に減少させた。反応を32時間の全運転時間において110mbarで完了した。反応を通して、蒸留物を、ドライアイスで冷却した受け器に集めた。形成された1,4−ジオキサンの量を、ガスクロマトグラフィーにより決定した:6.9g。
【0054】
ポリエステルの分析
ヒドロキシル価:242mgKOH/g
酸価:0.3mgKOH/g
粘度:7310mPas(25℃)、740mPas(50℃)、170mPas(75℃)
形成されたポリエステルポリオールの量:3353g
ポリエステルポリオールの量に基づくジオキサンの量:6.9g/3.353kg=2.1gジオキサン/kgポリエステル
用いたDEGの量に基づくジオキサンの量:6.9g/1.386kg=5.0gジオキサン/kgDEG
【0055】
【表1】

【0056】
実施例1(比較)および2(比較)は、表1において、215から200℃への反応温度の低下は、形成されるジオキサンの量について実質的に改善をもたらすことを示す:形成されるジオキサンの量は、エステル1kgあたり11.56gから5.92gへ、または用いるDEG1kgあたり19.73gから10.16gへ低下する。しかしながら、本発明の実施例3は、この改善をはるかに上回り、エステル1kgあたり約4.6gジオキサン、または用いるDEG1kgあたり約7.92gのジオキサンの値が蒸留効果から予想することができるが(このエステルの78.3%は、DEGおよびPAからなる)、検出される値はそれぞれ、有利に2.06または4.96である。
【0057】
硬質フォームのための原料
(a)実施例1(比較)、実施例2(比較)および実施例3のポリエステル
b)〜f)からなるフォーム添加剤:
(b)TCPP、Lanxessからのトリス(1−クロロ−2−プロピル)ホスフェート、
(c)TEP、Levagardからのトリエチルホスフェート、
(d)Bayer MaterialScienceからのAdditive 1132、
(e)PET V 657、Bayer MaterialScience AGからの分子量約660Daの三官能性ポリエーテルポリオール、
(f)安定化剤、Evonikからのポリエーテルポリシロキサンコポリマー、
(g)活性剤、BMSからのDesmorapid VP.PU 30HB13
(h)Desmodur VP.PU 44V70L、Bayer MaterialScience AGからのポリイソシアネート
【0058】
【表2】

【0059】
実験室規模では、ポリイソシアネート成分を除く硬質フォーム形成の全原料は、ボール紙製ビーカーへ計量投入し、23℃の温度で、Pendraulik laboratory mixer(例えばPendraulikからのLM−34)により混合し、任意の揮発性発泡剤(ペンタン)を投入する。次いで、ポリイソシアネート成分(同様に23℃にする)を撹拌しながらポリオール混合物に添加し、全体を、強力に混合し、反応混合物を、金属外側層を有する金型(Corus)中へ注いだ。2.5分後、フォーム硬度を、圧痕法を用いて決定し、8〜10分後、最大中心温度を決定した。該反応を少なくともさらに24時間23℃で継続し、次いで以下の特性を決定した:
【0060】
燃焼:構成物質の可燃性度を計測するためのSwiss Vereinigung kantonaler Feuerversicherungenの基本試験に対応するBVD試験、1988年版、1990年、1994年、1995年および2005年に補足(Vereinigung kantonaler Feuerversicherungen、Bundesstr.20、3011、ベルン、スイスから得られる)。
【0061】
接着性:発泡外側層を剥離し、バネばかりを用いて、必要な力を測定することにより決定。
【0062】
欠陥:ボイド形成の視覚評価、異なった区分は「なし、低い、中間および高い」である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルポリオールの製造方法であって、
少なくとも1つのカルボン酸無水物(A)、ジエチレングリコール(B)および少なくとも1つのC〜Cグリコール(C)、および少なくとも1つの脂肪族C〜C12ジカルボン酸(D)、または
少なくとも1つのC〜C10グリコール(E)および少なくとも1つのCジカルボン酸(F)を混合し、成分(B)と(A)のモル比は、1.5:1.0〜1.1:1.0の範囲であり、成分(A)および(B)の重量割合は、混合物の全ての成分の重量を基準として66重量%〜95重量%の範囲である、前記方法。
【請求項2】
カルボン酸無水物(A)は、無水フタル酸、無水トリメリット酸、および無水ピロメリット酸を含む群から選択され、好ましくは無水フタル酸であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
〜Cグリコール(C)は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオールを含む群から選択され、好ましくはエチレングリコールであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
脂肪族C〜C12ジカルボン酸(D)は、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸およびドデカン二酸を含む群から選択され、好ましくはアジピン酸またはセバシン酸であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
〜C10グリコール(E)は、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,8−オクタンジオールを含む群から選択され、好ましくは3−メチル−1,5−ペンタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ジカルボン酸(F)は、コハク酸、フマル酸およびマレイン酸を含む群から選択され、好ましくはコハク酸であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
成分(B)と(A)のモル比は、1.5:1〜1.1:1の範囲であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
得られるポリエステルポリオールの分子量は、750〜350の範囲、好ましくは620〜370の範囲であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
得られるポリエステルポリオールのOH価は、150〜320gKOH/gの範囲、好ましくは180〜300gKOH/gの範囲であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
得られるポリエステルポリオールの粘度は、50℃の温度で、400〜3000mPasの範囲、好ましくは450〜1500mPasの範囲であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
成分(A)および(B)の重量割合は、混合物の全成分の重量を基準として66重量%〜95重量%の範囲、好ましくは70〜85重量%であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
以下の工程:
a)請求項1〜11のいずれかに従って得られるポリエステルポリオールと、
b)ポリイソシアネート含有成分、
c)発泡剤、
d)1以上の触媒、
e)必要に応じて、難燃剤および/または更なる補助物質および添加剤
との反応工程
を含む、PURまたはPIRフォームの製造方法。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれかに従って得られるポリエステルポリオール。
【請求項14】
請求項12に記載の方法により得られるPURまたはPIRフォーム。
【請求項15】
金属複合材料要素を製造するための、請求項12に記載の方法により得られるPURまたはPIRフォームの使用。

【公表番号】特表2012−507616(P2012−507616A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535026(P2011−535026)
【出願日】平成21年10月24日(2009.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007626
【国際公開番号】WO2010/051917
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】