説明

ジチオエーテルを用いたカルボプラチンの毒減少効果

【課題】カルボプラチン誘導の毒性を予防又は軽減するための保護剤を提供する。
【解決手段】式R−(CH−S−S−(CH−R(I)(式中、R及びRのそれぞれがSOH又はPOを意味し、かつm及びnのそれぞれが1、2、3又は4を意味する)で表されるジチオエーテル又はその薬学的に許容可能な塩で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保護剤としてジチオエーテルを用いたカルボプラチン(シス−ジアミン−1,1−シクロブタンジカルボキシレート−白金II、CBDCA、JM−8及びNSC241240)毒性の減少に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボプラチン(以降、[CBDCA」又は「CBP」と略称する)は、肺、頭及び首、卵巣、食道、嚢、精巣及びその他の癌治療に、他の抗癌剤との組合せで通常使用される抗癌剤として広く用いられている。カルボプラチンの毒により投与が制限される一般かつ最も重要なものの1つは、血液毒である。特に、脊髄抑制(骨髄内に形成される血液要素の低下)が血小板減少、好中球減少、白血球減少症及び種々の貧血症の形でしばしば発症される。カルボプラチン誘導又は原因による他の大きな毒性は胃腸(吐き気及び嘔吐)関連のものである。
【0003】
カルボプラチンが細胞性DNAのある核酸配列と反応し、最初にシクロブタンジカルボキシレート(CBDC)配位子及び/又は塩化物の部分的又は完全な置換により活性種への化学的変換を受ける。モノクロロ及びジクロロ種は、DNAのイミダゾールの窒素と反応して癌細胞に対抗して作用すると信じられている。これらのクロロ種は生体内で代謝され活性のヒドロキシ種になると信じられている。
【0004】
カルボプラチンはシスプラチンに似ず体内で比較的安定である。そのシクロブタンジカルボキシレート(CBDC)基はカルボプラチンに対して、入ってくる求核性試薬による置換に敏感とならないように作用する。カルボプラチンはDNAに対しての活性がシスプラチンより弱い。事実、その作用は他の抗癌薬との組み合わせにおいて通常起こっている。シスプラチンとの組み合わせでは腎毒性を引き起こすのは軽減されるけれども、脊髄毒及び胃腸毒は増加する。まず最初に考えられうることは、活性クロロ種を持つカルボプラチンはシスプラチンと類似の挙動をするはずであり、それ故それと同様にさらに代謝されるということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第96/14852号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】TAKASE,S. et al, Mutagenicity tests of cis-diammine(glycolato)platinum (254-S), a new platinum analogue. (II). Chromosome aberration test with human lymphocyte cells and mouse bone marrow cells, Iyakuhin Kenkyu, 1991, Vol.22, No.5, p.821-835
【非特許文献2】SUGIYAMA,K. et al, Protective effect of Juzen-taiho-to against carboplatin-induced toxic side effects in mice, Biological & Pharmaceutical Bulletin, 1995, Vol.18, No.4, p.544-548
【非特許文献3】TRESKES,M. et al, WR2721 as a modulator of cisplatin- and carboplatin-induced side effects in comparison with other chemoprotective agents: A molecular approach, Cancer Chemotherapy and Pharmacology, 1993, Vol.33, No.2, p.93-106
【非特許文献4】GREEN,D. et al, Preclinical evaluation of WR-151327: an orally active chemotherapy protector, Cancer Research, 1994, Vol.54, No.3, p.738-741
【非特許文献5】EAST,C.J. et al, Diethyldithiocarbamate induction of cytokine release in human long-term bone marrow cultures, Blood, 1992, Vol.80, No.5, p.1172-1177
【非特許文献6】GRINGERI,A. et al, Diethyldithiocarbamate inhibition of murine bone marrow toxicity caused by cis-diamminedichloroplatinum(II) or diammine-(1,1-cyclobutanedicarboxylato)platinum(II), Cancer Res, 1988, Vol.48, No.20, p.5708-5712
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、以下のこと、即ちカルボプラチン誘導又は原因の毒(骨髄及びGI路細胞)により殆ど逆に影響される体内細胞は、シスプラチン(腎細胞)により殆ど逆に影響される体内細胞と異なり、カルボプラチンはシスプラチンと同じではない。このように、毒に応答する代謝種は同じではない。それ故、カルボプラチン用の保護剤を見出すことは、シスプラチン慣用の保護剤とは、相違するもので、かつ新規な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
式:R−(CH−S−S−(CH−R(I)
(式中、R及びRのそれぞれがSOH又はPOを意味し、かつm及びnのそれぞれが1、2、3又は4を意味する)で表されるジチオエーテル又はその薬学的に許容可能な塩が、カルボプラチンに適合した保護剤であることが見出された。
【0009】
本発明は当地の特許法に従って、異なる方法で表現されている。したがって、本発明は薬剤の製造におけるジチオエーテルの使用を含み、その薬剤は患者にカルボプラチンとの組合せで実質的に同時か又は引き続いで投与するもので、そうすることによりジチオエーテルとカルボプラチンが患者の血液中に共存し、ジチオエーテルがカルボプラチンの毒を軽減するように作用する。本発明はさらにカルボプラチン治療に敏感な癌を煩っている患者を治療する方法をも含み、この方法は上記のスケジュールで患者にジチオエーテルを投与することを含む。ジチオエーテル含むものとカルボプラチン治療との組合せで癌を治療する薬剤も本発明の範囲内である。好ましいジチオエーテルは、ナトリウム−2,2’−ジチオビス(エタンスルホネート)であり、以降ジメスナと略記する。
【0010】
本発明はいかなる癌の治療に関しても有効であり、その治療はカルボプラチンを、特に上記に例示した癌に投与することからなるか、又はその投与を含む治療である。
【0011】
本発明は癌患者に投与するのに適合した組成物も含み、この組成物はカルボプラチン及び上記定義のジチオエーテルを含み、特にpHが2−6であって、無菌の注射可能な溶液のものが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、カルボプラチン誘導の毒性を予防又は軽減する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい具体例の記載
本発明に用いられる代表的なカルボプラチン処方は溶液である。この溶液はカルボプラチンの処方に適するか又は利便性のよいものならば、いかなる形態をも取りうる。処方の形態は当然ながら、投与の経路に依存し、投与は通常非経口、特に静脈内への、好ましくは注入によるものである。カルボプラチンは14mg/mLの水溶解性を有しているので、溶媒は水溶液が好ましい。処方は通常0.05mg/mLからカルボプラチンの最大溶解量までの量を含む。処方は(防腐剤として)マンニトールを含有することもできる。さらに、他の賦形剤及び/又は稀釈剤を含むこともできる。
【0014】
カルボプラチン処方は通常2から6のpH値を有する。約pH7の中性が最も好ましくない。塩酸を含む薬学的に許容可能ないかなる酸をもpH調整に使用されうる。しかしながら、添加された塩素イオンのない又は少なくとも添加された食塩からの塩素イオンが実質的に含まれない処方は優れた安定性が示されている。反対に、シスプラチンは等張又は高張の生理的食塩水のような塩素イオン溶液中で注射用が良好に処方される。
【0015】
ジチオエーテル保護剤は、カルボプラチンとは別に処方される。経口投与用には錠剤、カプセル、カプレト、コロイド状の懸濁液又は溶液、又は患者が容易に摂取できるような他の形態として処方される。非経口投与用には上記記載のような無菌の注射用溶液として処方されるのが好ましい。経口及び/又は非経口処方は、水溶液又は水若しくは他の溶媒で再調合するのに適した凍結乾燥粉末として貯蔵されうる。
【0016】
以下には、主にジチオエーテルであるジナトリウム−2,2’−ジチオビス(エタンスルホネート)(ジメスナ)に関連して論議するが、当業者は、式(I)の他のジチオエーテル、特に式(I)におけるm及びnが1−3で、ナトリウム塩の化合物に本発明の原理を容易に適用できる。
【0017】
好ましいジチオエーテルはスルホネート、特にその二ナトリウム塩であるが、−ナトリウム、−カリウム、ナトリウム−カリウム、二カリウム、カルシウム、及びマグネシウム塩も好ましいものに含まれる。そのジチオ基はカルボプラチンの反応性種を停止させる反応性求核試薬を提供し、かつスルホネート基は分子に水溶性を授けるので、そのスルホネート基はホスホネート基に置き換え可能である。したがって、ジナトリウム−及びテトラナトリウム−2,2’−ジチオビス(エタンホスホネート)もまた本発明の使用には好ましいジチオエーテルである。
【0018】
ジチオエーテルの処方において、ジチオエーテルはジメスナとして、例えば300mg/mLまで水に溶けるので、水溶液が好ましい溶媒である。シチオエーテルの濃度は通常1mg/mLから最大溶解度の量までである。原理的には、ジチオエーテルの量が多量、例えば500mg/mLまで使用されれば、勿論溶解性の問題が起こる可能性がある。処方は1種以上の賦形剤及び/又は1種以上の希釈剤を含みうる。
【0019】
カルボプラチン/ジチオエーテルの組合せが、カルボプラチン効果のプロフィールとして述べられたように、種々の癌の治療としてひと又はひと以外の患者に投与可能である。カルボプラチンは「単一の薬剤治療」(唯一の細胞毒又は抗癌治療剤であるカルボプラチン)又は他の細胞毒、抗癌又は他の化学治療剤との組合せで投与されうる。
【0020】
典型的なカルボプラチン及びジチオエーテル処方は無菌状の静脈注射、1回投与コンテナーとして調製される。双方とも経口にも投与可能である。
【0021】
ジチオエーテルはカルボプラチンの前、特に好ましくは5分から1時間前に投与されるのが好ましい。ジメスナでは15分から30分前で著しい効果が見出されている。カルボプラチンとジチオエーテルとの組合せの投与は、一方又は双方の投与の時間及び/又は投与量における調節を必要とする。治療における目標は、生体内でのジチオエーテル濃度の最高とカルボプラチンの毒性代謝物濃度の最高とを合致させることである。生体内で活性求核性種を生成するカルボプラチンの反応は緩慢ではあるが、この活性種はいくつかの細胞、特に骨髄及びGI路細胞に究極的には損傷を引き起こすので、カルボプラチンの前に、少なくともより多くのジチオエーテルが投与されるべきであり、カルボプラチンの後では、時々残りの、比較的少量のジチオエーテルの投与が望ましく、その結果緩慢に生成し、又は長い間残留するカルボプラチンの活性求核性種に効果的に作用する。カルボプラチンは体内では比較的長い半減期を持つ。保護剤の望ましくかつ必要な追加的投与は、患者の白金の排出を注意深く監視し、体内からの薬の排出速度を評価して決定される。
【0022】
本発明はカルボプラチン及びジチオエーテル成分を、好ましくはpHが2から6の水溶液として含む組成物の形で、少なくともジチオエーテルの1部を投与することも含むものである。そのような組成物の好ましい特色は、上記に個々の成分において詳細に述べられている。
【0023】
カルボプラチンはいかなる慣用の投与方法でも投与されうる。カルボプラチンの従来の投与量は、本発明が緩和する毒問題によってたびたび制限されていたので、カルボプラチンの従来の投与量を超えることが可能と思われる。カルボプラチンの投与は、通常0.3から45mg/kg(相当するジチオエーテルの投与は20から2500mg/kgであり、カルボプラチンの投与に大ざっぱに比例して増加する)である。体の表面積との関連では、カルボプラチンが100から1000mg/mであり、ジチオエーテルが、1000から40,000mg/mの範囲が提案される。
【0024】
保護剤の毒は非常に少なく(式Iで表される全てのジチオエーテルについて、非経口及び経口LD50値が、通常の食卓塩の値よりも一般的に大きく、尿の排泄により全て速やかに除去される)、大量の保護剤が経口又は非経口的に与えられることができ、いかなる残留カルボプラチン毒に対しても、一定不変かつ安全な保護をつかさどる。したがって、治療に使われる典型的なカルボプラチンとジチオエーテルの重量比率は、6:1から1000:1、特に好ましくは25:1から700:1である。
【0025】
以下に本発明の実施例を具体的に示すが、これにより本発明が制限されるものではない。使用されている「小瓶」は光の照射からカルボプラチンを保護する「琥珀色の小瓶」を意味する。実施例1から4はカルボプラチンとジチオエーテルが共存の溶液に関するが、カルボプラチンは酸性のpHでそれぞれ別々に調合可能であり、それぞれの有効成分は実施例の溶液に示されている。
【実施例】
【0026】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0027】
実施例1
(a)2,2’−ジチオビス(エタンスルホネート)(ジメスナ)の調製
L.Lamaire及びM.ReigerによりJ.Org.Chem.26,1330−1,(1961)で報告されたように、ジナトリウム−2,2’−ジチオビス(エタンスルホネート)は、水中の2−メルカプトエタンスルホネートを当モル量の沃度で酸化して調製された。式(I)の他のスルホネート−及びホスホネート−ジチオエーテルも同様に調製可能である。
【0028】
(b)ジメスナの安定性
調製したジメスナ50mgを水1mLに溶解し、これに1N塩酸水溶液を加え溶液のpHを1.5、2.0、3.0、4.0、5.0及び6.0に調節し、または1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8.0及び9.0に調節した。溶液を室温で24時間攪拌し、減圧下で水を除去し、残さを分光用の重水に溶解した。陽子NMRスペクトルは対象物質に相当するピークのみを示した。pH1.5の溶液を100℃で10分間加熱しても陽子NMRスペクトルに変化はなかった。これらのデータは、ジメスナがpH1.5から9.0の水溶液で安定であることを示している。
【0029】
(c)カルボプラチン及びジメスナの無菌溶液の調製
純粋の塩酸(99.999%)を無菌で、注射可能の乳酸加リンゲル(LR)液(米国薬局方)に添加し、2.0から6.0のpHを得た。上記LR溶液1mL当たり純粋のカルボプラチン1mgを添加し、室温の暗所で約60から90分間攪拌(1500から2500rpm)して完全に溶解した。次に、上記調製の溶液1mL当たり15mgのジメスナを加え、完全に溶解するまで混合物を攪拌した。さらに純粋の塩酸を添加して、最終のpHを2.0から6.0に調製した。溶液を無菌の0.2ミクロン濾布(VWR Scientificより入手)で濾過して無菌化し、無菌の注射小瓶に貯蔵した。それぞれの小瓶は、溶液mL当たりカルボプラチン約0.9mg及びジメスナ14.3mgを含んでいた。
【0030】
実施例2
無菌で、注射可能の乳酸加リンゲル(LR)液(米国薬局方)水溶液に、その水溶液mL当たりジメスナ15mgを添加した。室温で5から10分間攪拌(1500から2500rpm)し、ジメスナを完全に溶解できた。純粋の塩酸(99.999%)を添加して溶液のpHを2.0から6.0に調節した。ジメスナ溶液1mL当たり純粋(98.0%)のカルボプラチン1mgを添加し、その混合物が完全に溶解するまで暗所で攪拌した。以下の調合は実施例1(c)と同様に行って、ほぼ同じ組成物の溶液を得た。それぞれの小瓶は、注射溶液mL当たり約1.0mgのカルボプラチン及び14.3mgのジメスナを含んでいた。
【0031】
実施例3
0.5mg/mLのカルボプラチン及び30mg/mLのジメスナを用いることを除いて実施例1(c)を繰り返した。それぞれの小瓶は、注射溶液mL当たり約0.5mgのカルボプラチン及び12.9mgのジメスナを含んでいた。
【0032】
実施例4
純粋のマンニトール(Aldrich化学会社製99+%純度)をLR溶液に溶解し、濃度1.0%w/vのマンニトールを得、30mg/mLのジメスナを用いることを除いて実施例1(c)を繰り返した。それぞれの小瓶は、注射溶液mL当たり約1.0mgのカルボプラチン及び12.9mgのジメスナを含んでいた。
【0033】
実施例5
カルボプラチン毒減少のためのジメスナの使用
ビーグル成犬を用いカルボプラチン毒の減少についてのジメスナの効力を決定するための実験を行った。ジメスナの投与又は不投与とカルボプラチンの投与量を変えて毒の影響を試験した。使用したカルボプラチンは、「パラプラチン」(Bristol Myers Squibb製)の水溶液小瓶で、5から10分間かけて静脈にゆっくり滴下注入した。凍結乾燥のジメスナを再び水溶液とし、カルボプラチンの30分前に静脈注射した。
【0034】
表1は試験の投与条件を示し、それぞれのグループは2匹の動物で、雄1匹と雌1匹で構成されていた。
【0035】
【表1】

【0036】
その投与量が投与された後、動物達を注意深く観察し、組織検査のために30日間飼育した。組織をスライドガラスに採取し、形を整え、処理し、染色し以下の、すなわち胸腺、心臓、肺、胃、十二指腸、空腸、結腸、膵臓、肝、腎臓、尿、嚢、精巣、卵巣、脾、腸間膜及び下顎のリンパ結節、骨髄、座骨神経、及び全ての肉眼的病変のための調製を行った。発見した病変を厳格に1から5の5段階に分けて評価した。
【0037】
結果
45mg/kgのカルボプラチンのみを投与されたコントロールグループ1の2匹、及び30mg/kgのカルボプラチンのみを投与されたコントロールグループ3の雌からなる3匹の犬は、死ぬか又は30日の前に重体となり犠牲となった。コントロールグループ3、5及び7の他の犬の大抵は、中度から重度の大腿骨の骨髄の細胞減少、中度から重度の胸腺のリンパ減少、及び他の微細な病変、特に胃腸系の病変を示した。ジメスナを与えられたグループ2、4、6及び8の犬達は、大腿骨の骨髄の細胞減少または胸腺のリンパ減少を示さなかった。カルボプラチンの致命的量の投与を受けたグループ2の犬達は、生き残り、極く僅かなリンパ減少を示したのみで、骨随の細胞減少は示さなかった。ジメスナのみを与えられたコントロールグループ9の犬達は、生理学的な変化を一切示さなかった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、カルボプラチン誘導の毒性を予防又は軽減するために有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボプラチン誘導の毒性を予防又は軽減するための保護剤であって、式
−(CH−S−S−(CH−R (I)
(式中、R及びRのそれぞれがSOH又はPOを意味し、かつm及びnのそれぞれが1、2、3又は4を意味する)で表されるジチオエーテル又はその薬学的に許容可能な塩で構成されている保護剤。
【請求項2】
カルボプラチン誘導の毒性が、血液毒である請求項1記載の保護剤。
【請求項3】
カルボプラチン誘導の毒性が、骨髄抑制又は胃腸毒性である請求項1記載の保護剤。
【請求項4】
ジチオエーテルが、m及びnが1〜3である式(I)の化合物のナトリウム塩である請求項1〜3のいずれかに記載の保護剤。
【請求項5】
ジチオエーテルが、式(I)で表され、m及びnが2であり、R及びRがSOHである式(I)の化合物のジナトリウム塩であるジメスナを意味する請求項1〜4のいずれかに記載の保護剤。
【請求項6】
非経口又は経口投与のための投与形態である請求項1〜5のいずれかに記載の保護剤。
【請求項7】
カルボプラチンと組み合わせて投与される保護剤であり、カルボプラチンの投与の前に又はカルボプラチンの投与と同時に投与される請求項1〜6のいずれかに記載の保護剤。
【請求項8】
癌患者の投与に適した組成物であって、カルボプラチンと、請求項1〜7のいずれかの項に記載のジチオエーテルとを含む組成物。
【請求項9】
pHが2乃至6の無菌で注射可能の水溶液又は懸濁液である請求項8記載の組成物。
【請求項10】
ジチオエーテルとカルボプラチンとの重量割合が、25:1乃至700:1である請求項8又は9記載の組成物。
【請求項11】
癌治療用組成物である請求項8〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
カルボプラチン誘導の毒性を防止又は低減するための医薬品の製造における使用であって、式
−(CH−S−S−(CH−R (I)
(式中、R及びRのそれぞれがSOH又はPOを意味し、かつ m及びnのそれぞれが1、2、3又は4を意味する)
で表されるジチオエーテル又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項13】
医薬品が非経口又は経口投与するための投与形態である請求項12記載の使用。
【請求項14】
カルボプラチン誘導の毒性が、血液毒である請求項12又は13記載の使用。
【請求項15】
カルボプラチン誘導の毒性が、骨髄抑制又は胃腸毒である請求項12又は13記載の使用。
【請求項16】
ジチオエーテルが、m及びnが1〜3である式(I)の化合物のナトリウム塩である請求項12〜15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
ジチオエーテルが、式(I)で表され、m及びnが2であり、R及びRがSOHである式(I)の化合物のジナトリウム塩であるジメスナを意味する請求項12〜16のいずれかに記載の使用。

【公開番号】特開2009−143950(P2009−143950A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30370(P2009−30370)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【分割の表示】特願平10−514414の分割
【原出願日】平成9年9月23日(1997.9.23)
【出願人】(500175967)バイオニューメリック・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテッド (27)
【Fターム(参考)】