説明

ジチオカルバメートおよびホスファイト配合物

ジチオカルバメートおよびホスファイト含有肥料、ならびにこれらの肥料を製造する方法および使用する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に援用される、2005年5月23日出願の米国仮特許出願第60/683,812号明細書に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
従来から、ジチオカルバメートおよびリンの組成物が殺真菌剤として用いられている。例えば、米国特許第4,698,334号明細書(Horriereら)および米国特許第4,806,445号明細書(Horriereら)によって、マンコゼブなどの種々の殺真菌剤と組み合わせた亜リン酸アルキルをベースとする殺真菌性組成物が提案されている。米国特許第4,139,616号明細書(Ducretら)によって、亜リン酸アルキルをベースとする殺真菌性組成物が記載されている。米国特許第5,336,661号明細書(Lucasら)および米国特許第5,665,672号明細書(Lucasら)によって、亜リン酸のモノエステル塩または亜リン酸アルキルおよびジチオカルバメートをベースとする殺真菌性組成物が記載されている。アルキル置換基を有さないホスファイト(phosphite)を含有する組成物は、これらの参考文献のいずれにも記載されていない。さらに、肥料としてのこれらの組成物の使用は、これらの参考文献のいずれにも記載されていない。
【0003】
ホスファイト殺真菌性製品の水分散性顆粒が、当技術分野において記載されている。例えば、米国特許第5,656,281号明細書(Hytteら)によって、ホスファイト、ジチオカルバメートおよび湿潤剤または分散剤を有する濃縮殺真菌性組成物が開示されている。Hytteにおける組成物はすべて、湿潤剤または分散剤を含有する。さらに、Hytteは、肥料としてこれらの組成物を使用することを記載していない。
【0004】
ホスファイトは、Lovattを通じて少なくとも1990年代からその肥料特性に関して知られている(1996年5月7日発行の米国特許第5,514,200号明細書;1998年11月3日発行の米国特許第5,830,255号明細書;2000年9月5日発行の米国特許第6,113,665号明細書;2003年11月11日発行の米国特許第6,645,268 B2号明細書)(2000年8月11日出願の米国特許出願第09/637,621号明細書;2003年10月14日出願の米国特許出願第10/686,411号明細書)。この発見以前には、ホスファイトは、殺真菌剤(米国特許第4,075,324号明細書)および食品保存剤としての使用のみに分類されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リンならびに亜鉛およびマグネシウムなどの他の栄養素を植物に効率的に与えることができる、改善された肥料および殺真菌剤組成物が当技術分野において依然として必要とされている。これらの組成物は、容器から注ぐことが容易であるべきであり、かつ分散剤または湿潤剤を含有してはならない。本発明は、この要求ならびに他の事項を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の簡単な概要
本発明は、ジチオカルバメートおよびホスファイト含有肥料、ならびにこれらの肥料を製造する方法およびそれを使用する方法を開示する。
【0007】
したがって、一態様において、本発明は、ジチオカルバメートと、少なくとも1種類の亜リン酸塩とを含有する肥料濃縮物を提供する。肥料濃縮物は本質的に、分散剤および湿潤剤を含有しない。
【0008】
例示的な実施形態において、前記肥料濃縮物の顆粒の少なくとも約90%が、直径約0.2mm〜約4mmを有する。本発明の実施形態において、ジチオカルバメートは、マンコゼブ、マネブ、メチラム、チウラムおよびジネブから選択されるメンバーである。本発明の他の実施形態において、亜リン酸塩は、亜リン酸一カリウムおよび亜リン酸二カリウムから選択されるメンバーである。
【0009】
例示的な実施形態において、ジチオカルバメートは、ジチオカルバメート約10質量%/肥料濃縮物質量〜ジチオカルバメート約35質量%/肥料濃縮物質量の量で存在する。亜リン酸塩は、ホスファイト塩約15質量%/肥料濃縮物質量〜ホスファイト塩約35質量%/肥料濃縮物質量の量で存在する。肥料濃縮物はさらに、水約30質量%/肥料濃縮物質量〜水約40質量%/肥料濃縮物質量の量で水を含有する。
【0010】
他の態様において、本発明は、ジチオカルバメート約10質量%/肥料濃縮物質量〜ジチオカルバメート約35質量%/肥料濃縮物質量の量で存在する、ジチオカルバメートと、亜リン酸塩約15質量%/肥料濃縮物質量〜亜リン酸塩約35質量%/肥料濃縮物質量の量で存在する、少なくとも1種類の亜リン酸塩と、懸濁化剤約5質量%/肥料濃縮物質量の量で存在する、懸濁化剤と、水約30質量%/肥料濃縮物質量〜水約40質量%/肥料濃縮物質量の量で存在する、水と、を含有する肥料濃縮物を提供する。例示的な実施形態において、ジチオカルバメートは、マンコゼブ、マネブ、ジネブ、チラムおよびメチラムから選択されるメンバーである。他の例示的な実施形態において、亜リン酸塩は、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸モノアンモニウム、亜リン酸二アンモニウム、次亜リン酸カルシウム、および次亜リン酸カリウムから選択されるメンバーである。さらに他の例示的な実施形態では、亜リン酸塩は、亜リン酸カルシウムである。
【0011】
第2の態様において、本発明は、肥料および殺真菌剤を植物に与える方法である。この方法は、水と本発明の肥料を混合し、したがって、使用時希釈肥料を形成することを含む。この使用時希釈肥料は次いで、植物の葉に適用され、したがって、肥料および殺真菌剤が植物に与えられる。
【0012】
第3の態様において、本発明は、本発明の肥料濃縮物および希釈剤を含有する、即時使用可能な肥料を提供する。本発明の他の実施形態において、希釈剤は液体である。本発明の他の実施形態において、希釈剤は固体である。本発明の他の実施形態において、肥料濃縮物と希釈剤との比は、約1:10〜約1:10,000である。本発明の他の実施形態において、肥料濃縮物と希釈剤との比は、約1:20〜約1:2,000である。
【0013】
本発明の他の目的および利点は、以下の詳細な説明から、当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明の詳細な説明
I.A.定義
別段の指定がない限り、本明細書で使用される技術的および科学的用途はすべて、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を一般に有する。一般に、本明細書で使用される学術用語および農学および化学における実験手順は、当技術分野でよく知られており、かつ一般に用いられているものである。標準技術が、組成物の合成に使用される。技術および手順は一般に、当技術分野における従来の方法および種々の一般参照(一般に、参照により本明細書に援用される、Tisdaleら、Soil FERTILITY AND FERTILIZERS、第6版(1998年)Prentice Hall、New York参照)に従って行われ、それらは本明細書全体にわたって提供される。本明細書で使用される学術用語および以下に記載される分析化学および有機合成における実験手順は、よく知られており、当技術分野で一般に用いられるものである。標準技術またはその修正形態が、化学合成および科学分析に使用される。
【0015】
本明細書で使用される、「肥料」という用語は、植物に栄養素を供給し、かつ植物の成長を促進する組成物を意味する。肥料は、液体または固体であることができる。
【0016】
本明細書で使用される、「水性懸濁液」とは、肥料中の主な液体が水であることを意味する。一部の実施形態では、肥料中の唯一の液体が水である。他の実施形態では、肥料中に複数種の液体が存在するが、主な液体は水である。例えば、水性懸濁液肥料の液体部分は、水75%およびダイズ油25%を含み得る。水性懸濁液は、液体肥料濃縮物または即時使用可能な液体肥料のいずれかを意味し得る。
【0017】
本明細書で使用される、「非水性懸濁液」という用語は、肥料中の主な液体が油であることを意味する。一部の実施形態において、肥料中の唯一の液体は油である。油の例としては、ダイズ油、カノーラ油、および鉱油が挙げられる。他の実施形態では、肥料中に2種以上の液体が存在するが、主な液体は油である。例えば、非水性懸濁液肥料の液体部分は、ダイズ油66%および水33%を含み得る。非水性懸濁液は、液体肥料濃縮物または即時使用可能な液体肥料のいずれかを意味し得る。
【0018】
本明細書で使用される、「有機酸」という用語は、炭素を含み、かつ水に対するpKa約10以下を有する分子を意味する。
【0019】
本明細書で使用される、「N−P−K」という用語は、N、P、およびKOの質量パーセンテージに相当する量で肥料中に存在する、その順序での窒素、リン、およびカリウムの量を意味する。例えば、10−20−15肥料は、N10質量%、P20質量%、KO15質量%に相当する栄養を含有する。栄養素は、N、P、またはKOの形で肥料中に実際には存在しないが、歴史的理由から、これらの化学種が基準尺度として使用されている。
【0020】
本明細書で使用される、「増粘剤」という用語は、液体の粘度を増加する材料を意味する。本明細書において、「増粘剤」、「懸濁化剤」、「安定剤」、「粘度向上剤」および「結合剤」は、同義で使用される。
【0021】
本明細書で使用される、「保湿剤」という用語は、水分の保持および吸収を促進する化合物を意味する。
【0022】
本明細書で使用される、「抗菌」とは、微生物の成長を破壊または阻害することができることを意味する。本明細書において、「抗菌」、「抗菌性」および「抗生」は同義で使用される。
【0023】
本明細書で使用される、「界面活性剤」という用語は、水の表面張力を低減する化合物を意味する。本明細書において、「界面活性剤」、「洗浄剤」、「湿潤剤」および「分散剤」は、同義で使用される。
【0024】
本明細書で使用される、「植物成長調整剤」という用語は、植物の成長を阻害するまたは促進する、合成または天然産生化学物質を意味する。本明細書において、「植物成長調整剤」および「ホルモン」は、同義で使用される。
【0025】
本明細書で使用される、「希釈剤」という用語は、肥料のサイズおよび体積を増加するために使用される材料を意味する。希釈剤は、液体または固体のいずれかであることができる。液体希釈剤の例としては、水、ダイズ油、および鉱油が挙げられる。固体希釈剤の例としては、粘土、砂、泥炭およびチョークが挙げられる。
【0026】
本明細書で使用される、「肥料濃縮物」という用語は、植物に適用する前に、希釈剤を添加する必要がある肥料を意味する。肥料濃縮物は、液体または固体のいずれかであることができる。この用語は時に、「配合製品(formulated product)」として当技術分野で公知である。
【0027】
本明細書で使用される、「即時使用可能な肥料」という用語は、植物に適用した後に、少なくとも植物毒性を生じない材料を意味する。最適条件下では、この材料は、植物におけるカルシウムおよびリンの取り込みを促進するであろう。この用語は時に、「タンクミックス」として当技術分野で公知である。
【0028】
本明細書で使用される、「本発明の肥料」という用語は、肥料濃縮物ならびに即時使用可能な肥料を含む。
【0029】
それ自体での、または他の置換基の一部としての「アルキル」という用語は、別段の指定がない限り、完全飽和、一価または多価不飽和であることができ、かつ指定の炭素原子数を有する二価および多価ラジカル(つまり、C−C10は、炭素原子1〜10個を意味する)を含む、直鎖または分枝鎖、または環状炭化水素ラジカル、あるいはその組み合わせを意味する。飽和炭化水素ラジカルの例としては、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルの同族体および異性体等の基が挙げられる。不飽和アルキル基は、1つまたは複数の二重結合または三重結合を有する基である。不飽和アルキル基の例としては、限定されないが、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、およびそれより高級な同族体および異性体が挙げられる。別段の指定がない限り、「アルキル」という用語は、「ヘテロアルキル」など、以下により詳細に定義されるアルキルの誘導体を包含することも意味する。炭化水素基に限定されるアルキル基は、「ホモアルキル」と呼ばれる。
【0030】
それ自体での、または他の用語と組み合わされた、「ヘテロアルキル」という用語は、別段の指定がない限り、指定数の炭素原子と、O、N、SiおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子とからなり、その窒素および硫黄原子が任意に酸化されていてもよく、かつ窒素ヘテロ原子が任意に四級化されていてもよい、安定な直鎖または分枝鎖、または環状炭化水素ラジカル、あるいはその組み合わせを意味する。ヘテロ原子、O、NおよびSおよびSiは、ヘテロアルキル基の内部のいずれかの位置に、またはアルキル基がその分子の残り部分に結合している位置に配置される。その例としては、限定されないが、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、および−CH=CH−N(CH)−CHが挙げられる。例えば、−CH−NH−OCHおよび−CH−O−Si(CHなど、2個までのヘテロ原子が連続することができる。同様に、それ自体での、または他の置換基の一部としての「ヘテロアルキレン」という用語は、限定されないが、−CH−CH−S−CH−CH−および−CH−S−CH−CH−NH−CH−により例示されるような、ヘテロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子は、鎖の末端のいずれかまたは両方を占有することもできる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ等)。さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン結合性基については、結合性基の配向は、結合性基の式が書かれる方向によって示されるわけではない。例えば、式−C(O)R’−は、−C(O)R’−と−R’C(O)−のどちらも表す。
【0031】
それ自体での、または他の用語と組み合わせての、「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」という用語は、別段の指定がない限り、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状形を表す。さらに、ヘテロシクロアルキルについては、ヘテロ原子は、複素環が、その分子の残り部分に結合している位置を占めることができる。シクロアルキルの例としては、限定されないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチル等が挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としては限定されないが、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル等が挙げられる。
【0032】
それ自体での、または他の置換基の一部としての「ハロ」または「ハロゲン」は、別段の指定がない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを包含することを意味する。例えば、「ハロ(C−C)アルキル」は、限定されないが、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピル等を包含することを意味する。
【0033】
別段の指定がない限り、「アリール」という用語は、互いに縮合されているか、または共有結合されている、単環または多環(好ましくは、1〜3個の環)である、多価不飽和、芳香族、炭化水素置換基を意味する。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、およびSから選択されるヘテロ原子1〜4個を含有するアリール基(または環)を意味し、その窒素または硫黄原子は任意に酸化されており、窒素原子は任意に四級化されている。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残り部分に結合されることができる。アリールおよびヘテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルが挙げられる。上記のアリールおよびヘテロアリール環構造それぞれの置換基は、以下に記載の許容可能な置換基の群から選択される。
【0034】
簡潔には、他の用途と組み合わせて用いられる「アリール」という用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)は、上記で定義されるアリールおよびヘテロアリール環の両方を含む。したがって、「アリールアルキル」という用語は、それにおける炭素原子(例えば、メチレン基)が、例えば酸素原子によって置換されている、アルキル基(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピル等)を含むアルキル基に、アリール基が結合している、ラジカル(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチル等)を包含することを意味する。
【0035】
上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)のそれぞれが、示されるラジカルの置換および非置換形態の両方を含む。ラジカルの各種類に対する好ましい置換基を以下に示す。
【0036】
アルキルおよびヘテロアルキルラジカルの置換基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと呼ばれることが多い基を含む)は一般に、それぞれ「アルキル置換基」および「ヘテロアルキル置換基」と呼ばれ、それらは、限定されないが:−OR’、=O、=NR’=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−NRSOR’、−CNおよび−NOから、ゼロから(2m’+l)(m’は、かかるラジカルにおける炭素原子の総数である)までの範囲の数で選択される様々な基のうちの1つまたは複数であり得る。R’、R’’、R’’’およびR’’’’はそれぞれ好ましくは独立して、水素、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、例えば、ハロゲン1〜3個で置換されたアリール、置換または非置換アルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を意味する。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、例えば、2つ以上のこれらの基が存在する場合に各R’、R’’、R’’’およびR’’’’基と同様にR基のそれぞれが独立して選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子に結合している場合、それらは、窒素原子と組み合わせられ、5−、6−、または7−員環を形成し得る。例えば、−NR’R’’は、限定されないが、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを包含することを意味する。置換基の上記の説明から、当業者であれば、「アルキル」という用語は、ハロアルキル(例えば、−CFおよび−CHCF)およびアシル(例えば、−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCH等)など、水素基以外の基に結合した炭素原子を含有する基を包含することを意味することを理解されよう。
【0037】
アルキルラジカルに関して記載の置換基と同様に、アリール置換基およびヘテロアリール置換基は一般に、それぞれ「アリール置換基」および「ヘテロアリール置換基」と呼ばれ、様々であり、例えば:ハロゲン、−OR’、=O、=NR’、=N−0R’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−NRSOR’、−CNおよび−NO、−R’、−N、−CH(Ph)、フルオロ(C−C)アルコキシ、およびフルオロ(C−C)アルキルから、ゼロから芳香族環系上の開放原子価の総数までの範囲の数で選択され;R’、R’’、R’’’およびR’’’’は好ましくは独立して、水素、(C−C)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリールおよびヘテロアリール、(非置換アリール)−(C−C)アルキル、および(非置換アリール)オキシ−(C−C)アルキルから選択される。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、例えば、2つ以上のこれらの基が存在する場合に各R’、R’’、R’’’およびR’’’’基と同様にR基のそれぞれが独立して選択される。
【0038】
アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上のアリール置換基のうち2つが任意に、式−T−C(O)−(CRR’)−U−(式中、TおよびUは独立して、−NR−、−O−、−CRR’−または単結合であり、qは、0〜3の整数である)の置換基で置換され得る。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうち2つが任意に、式−A−(CH−B−(式中、AおよびBが独立して、−CRR’−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−または単結合であり、rは、1〜4の整数である)の置換基で置換され得る。そのようにして形成された新たな環の単結合のうちの1つが任意に、二重結合で置換され得る。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つが任意に、式−(CRR’)−X−(CR’’R’’’)−(式中、sおよびdは独立して、0〜3の整数であり、Xは、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)NR’−である)の置換基で置換され得る。置換基R、R’、R’’およびR’’’は好ましくは独立して、水素または置換または非置換(C−C)アルキルから選択される。
【0039】
本明細書で使用される、「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)およびケイ素(Si)を含む。
【0040】
I.B.概説
本発明は、肥料組成物、これらの組成物を製造する方法、およびこれらの組成物を使用する方法を提供する。
【0041】
II.肥料濃縮物
本発明は、肥料濃縮物組成物を提供する。肥料濃縮物は、ジチオカルバメート、少なくとも1種類の亜リン酸塩を含有し、本質的に分散剤または湿潤剤を含有しない。肥料濃縮物組成物は、液体または固体の状態で提供することができる。これらの組成物はさらに、有機酸、硫黄化合物、増粘剤、保湿剤、抗菌剤、農薬、除草剤、植物成長調整剤、ホウ素化合物、その他の殺真菌剤および希釈剤を含有し得る。
【0042】
II.A.ジチオカルバメート
本発明において、いくつかの目的のうちの1つのために、ジチオカルバメートが使用され得る。第1に、ジチオカルバメートは硫黄を含有し、したがって、植物にこの栄養素を供給することができる。さらに、マンコゼブ、マネブ、メチラムおよびザネブなどの大部分のジチオカルバメートが亜鉛を含有し、したがって、植物にこの栄養素を供給することができる。マンコゼブなどの一部のジチオカルバメートは、マグネシウムなどの他の栄養素を含有し、したがって、植物にこの栄養素を供給することができる。最後に、ジチオカルバメートは、接触性殺真菌剤として広く使用されており、したがって、有害生物の広がりを抑えることによって植物の成長を助けることができる。これらの有害生物の例としては、セプトリア(Septoria)属、ボトリチス(Botrytis)属、炭素菌(Anthracnose)属、およびうどん粉(mildew)菌が挙げられる。
【0043】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、ジチオカルバメートを含有する。肥料濃縮物において使用されるジチオカルバメートの量は、ジチオカルバメート約0.125kg以上/肥料濃縮物kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるジチオカルバメートの量は、約0.125kg/kg〜約1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態では、肥料濃縮物において使用されるジチオカルバメートの量は、約0.125kg/kg〜約0.85kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態では、肥料濃縮物において使用されるジチオカルバメートの量は、約0.5kg/kg〜約0.9kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるジチオカルバメートの量は、約0.6kg/kg〜約0.9kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるジチオカルバメートの量は、約0.3kg/kg〜約0.7kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるジチオカルバメートの量は、約0.55kg/kg〜約0.95kg/kgである。他の例示的な実施形態では、肥料濃縮物において使用されるジチオカルバメートの量は、約0.15kg/kg〜約0.5kg/kgである。
【0044】
II.B.亜リン酸塩
植物にリンを供給するために、ホスファイト(HPO)が本発明で使用される。ホスファイトの使用はいくつかの利点を与える。
【0045】
第1に、硫酸およびリン酸と異なり、ホスファイトは、葉によって容易に吸収される。このため、ホスファイトは、葉面散布で使用するのに優れた肥料物質であることができる。
【0046】
第2に、リン酸と異なり、ホスファイトは、土壌溶解性が高く、土壌中で急速には固定化されない。ホスファイトはそれ自体が直ぐに、根に移動し、植物によって吸収される。このため、ホスファイトは、土壌および植物適用で使用するのに優れた安定性の緩効性肥料物質である。
【0047】
ホスファイトは、様々な異なる対イオンを有する塩の形で存在することができる。これらの対イオンの例としては、カリウム、ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウムが挙げられる。適切な対イオンのさらに完全な一覧は、その開示内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第5,514,200号明細書に記載されている。
【0048】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、亜リン酸塩を含有する。肥料濃縮物において使用される亜リン酸塩の量は、亜リン酸塩約0.005kg以上/肥料濃縮物kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される亜リン酸塩の量は、約0.005kg/kg〜約0.5kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される亜リン酸塩の量は、約0.01kg/kg〜約0.5kg/kgである。他の例示的な実施形態では、肥料濃縮物において使用される亜リン酸塩の量は、約0.05kg/kg〜約0.4kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される亜リン酸塩の量は、約0.1kg/kg〜約0.45kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される亜リン酸塩の量は、約0.125kg/kg〜約0.3kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される亜リン酸塩の量は、約0.2kg/kg〜約0.35kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態では、肥料濃縮物において使用される亜リン酸塩の量は、約0.25kg/kg〜約0.4kg/kgである。
【0049】
II.C.リン含有酸および脱プロトン化(deprotonating)塩基
リン含有酸が肥料濃縮物において使用され得る。リン含有酸の例としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリ亜リン酸、ポリ次亜リン酸、およびその組み合わせが挙げられる。リン含有酸は、溶液の緩衝能を維持することから、本発明において有用であり得る。さらに、溶液の緩衝能を維持するために、脱プロトン化塩基も本発明において使用することができる。脱プロトン化塩基の例としては、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、および水酸化アンモニウムが挙げられる。
【0050】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるリン含有酸の量は、リン含有酸約0.008kg/肥料濃縮物kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるリン含有酸の量は、約0.008kg/kg〜約0.3kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるリン含有酸の量は、約0.01kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるリン含有酸の量は、約0.1kg/kg〜約0.3kg/kgである。他の例示的な実施形態では、肥料濃縮物において使用されるリン含有酸の量は、約0.1kg/kg〜約0.3kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるリン含有酸の量は、約0.05kg/kg〜約0.2kg/kgである。
【0051】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される無機塩基の量は、無機塩基約0.008kg/肥料濃縮物kg〜約0.2kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される無機塩基の量は、約0.01kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される無機塩基の量は、約0.1kg/kg〜約0.2kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される無機塩基の量は、約0.05kg/kg〜約0.15kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される無機塩基の量は、約0.05kg/kg〜約0.2kg/kgである。
【0052】
II.D.有機酸
有機酸は、いくつかの方法で本発明において有用であり得る。第1に、有機酸は、肥料組成物への亜リン酸塩の溶解性を高めることができる。第2に、有機酸は、酸化防止剤として作用し、スプレータンク中の温度、太陽光、エアレーション、および化学酸化剤などの非生物的および生物的因子が原因で起こり得る、ホスファイトのホスフェートへの酸化を遅くすることができる。本発明で使用される他の有機酸としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、およびポリリンゴ酸などのより高い分子量のカルボン酸が挙げられる。本発明で使用される有機酸としては、アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸、セリントレオニンおよびシステインなど)および脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸などの飽和酸、ならびにオレイン酸、リノール酸、ケイ皮酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、およびアラキドン酸などの不飽和酸の両方を含む)が挙げられる。有機酸の更なる例としては、フェノールおよびトルエンスルホン酸が挙げられる。本発明のカルボン酸は、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリール部位を含有する。肥料濃縮物において使用されるモノカルボン酸としては、メタン酸(ギ酸)、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)およびブタン酸(酪酸)が挙げられる。肥料濃縮物において使用され得るジカルボン酸としては、エタン二酸(シュウ酸)、プロパン二酸(マロン酸)、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、シス−2−ブテン二酸(リンゴ酸)、トランス−2−ブテン二酸(フマル酸)、ベンゼン−1,2ジカルボン酸(フタル酸)、ベンゼン−1,3ジカルボン酸(イソフタル酸)、およびベンゼン−1,4ジカルボン酸(テレフタル酸)、酒石酸、および2,3ジヒドロキシル化コハク酸が挙げられる。肥料濃縮物において使用されるトリカルボンとしては、クエン酸ならびにα−ケト酸が挙げられる。
【0053】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される有機酸はクエン酸である。他の例示的な実施形態において、使用される有機酸はマレイン酸である。さらに他の例示的な実施形態において、2種類以上の有機酸が使用される。
【0054】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される有機酸の量は、有機酸約0.005kg/肥料濃縮物kg〜約0.2kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される有機酸の量は、約0.005kg/kg〜約0.05kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される有機酸の量は、約0.01kg/kg〜約0.2kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される有機酸の量は、約0.01kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される有機酸の量は、約0.1kg/kg〜約0.2kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される有機酸の量は、約0.05kg/kg〜約0.15kg/kgである。
【0055】
他の例示的な実施形態において、本発明は、多重緩衝化ジチオカルバメートおよびリン含有肥料濃縮物である。肥料濃縮物は、亜リン酸および亜リン酸の塩を含有する第1緩衝系と、有機酸および有機酸の塩を含有する第2緩衝系と、を含み得る。この肥料濃縮物における有機酸は、約0.02kg/kg以上の量で存在する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、2つの緩衝系を含む。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物が水で希釈される場合、硫黄、亜鉛およびリンを取り込むため、葉が許容可能なpHを有する、即時使用可能な肥料が形成される。
【0056】
II.E.硫黄化合物
本発明の他の態様において、肥料組成物はさらに、硫黄化合物を含有する。硫黄化合物は、植物の栄養素として有利である。主要栄養素として、硫黄は、タンパク質構造ならびに窒素代謝における重要な構成成分である。
【0057】
例示的な実施形態において、硫黄化合物は、スルフェート、スルフィド、スルファイト、および有機硫黄から選択されるメンバーである。他の例示的な実施形態において、硫黄化合物はスルホンである。さらに他の例示的な実施形態において、硫黄化合物はジメチルスルホンである。さらに他の例示的な実施形態において、硫黄化合物はスルホキシドである。
【0058】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される硫黄化合物の量は、硫黄化合物約0.005kg/肥料濃縮物kg〜約0.2kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される硫黄化合物の量は、約0.005kg/kg〜約0.05kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される硫黄化合物の量は、約0.01kg/kg〜約0.2kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される硫黄化合物の量は、約0.01kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される硫黄化合物の量は、約0.1kg/kg〜約0.2kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される硫黄化合物の量は、約0.05kg/kg〜約0.15kg/kgである。
【0059】
II.F.増粘剤/懸濁化剤/安定剤/粘度向上剤/結合剤
本発明の他の態様において、肥料組成物はさらに、増粘剤を含有する。増粘剤は、溶液粘度を制御し、かつより高い濃度のジチオカルバメートおよび亜リン酸塩を懸濁液に維持することを可能にする利益を提供することができる。
【0060】
例示的な実施形態において、増粘剤は、ポリマー沈着剤(polymeric deposition agent)である。これらの例としては、限定されないが、セルロース、デンプン、ポリアクリルアミド、またはそのコポリマーもしくは誘導体、アクリル酸およびメタクリル酸のポリマーおよびコポリマーまたはその塩、ポリメタクリルアミドまたはそのコポリマーもしくは誘導体、ポリアクリロニトリル、その加水分解生成物、コポリマー、ポリビニルポリマー、コポリマー、または誘導体が挙げられる。
【0061】
他の例示的な実施形態において、増粘剤は天然ゴムである。これらの例としては、限定されないが、アラビア、アカシア、ファーセレラン、トラガカント、ガッチ(ghatti)、グアー、カラヤ、ローカストビーン、およびキサンタンなどのゴムが挙げられる。これらのゴムは、その誘導体化、非誘導体化、カチオンおよび非カチオン形で組み込まれ得る。
【0062】
他の例示的な実施形態において、増粘剤は、油または油代替品である。これらの例としては、限定されないが、アルキル化脂肪酸エステル、アルキル化天然油、炭化水素油および脂肪酸が挙げられる。
【0063】
アルキル化脂肪酸エステルとしては、限定されないが、メチル化脂肪酸、エチル化脂肪酸、およびブチル化脂肪酸が挙げられる。メチル化脂肪酸としては、限定されないが、メチル化C6−19脂肪酸、メチル化トール油脂肪酸、メチル化オレイン酸、メチル化リノール酸、メチル化リノレン酸、メチル化ステアリン酸、メチル化パルミチン酸、およびそのブレンドが挙げられる。エチル化脂肪酸としては、限定されないが、エチル化C6−19脂肪酸、エチル化トール油脂肪酸、エチル化オレイン酸、エチル化リノール酸、エチル化リノレン酸、エチル化ステアリン酸、エチル化パルミチン酸、およびそのブレンドが挙げられる。ブチル化脂肪酸としては、限定されないが、ブチル化C6−19脂肪酸、ブチル化トール油脂肪酸、ブチル化オレイン酸、ブチル化リノール酸ブチル化リノレン酸、ブチル化ステアリン酸、ブチル化パルミチン酸、およびそのブレンドが挙げられる。
【0064】
アルキル化天然油としては、限定されないが、アルキル化ダイズ油、アルキル化カノーラ油、アルキル化ヤシ油、およびアルキル化ヒマワリ油が挙げられる。アルキル化ダイズ油としては、限定されないが、メチル化ダイズ油、エチル化ダイズ油、ブチル化ダイズ油、およびそのブレンドが挙げられる。アルキル化カノーラ油としては、限定されないが、メチル化カノーラ油、エチル化カノーラ油、ブチル化カノーラ油、およびそのブレンドが挙げられる。アルキル化ヤシ油としては、限定されないが、メチル化ヤシ油、エチル化ヤシ油、ブチル化ヤシ油、およびそのブレンドが挙げられる。アルキル化ヒマワリ油としては、限定されないが、メチル化ヒマワリ油、エチル化ヒマワリ油、ブチル化ヒマワリ油、およびそのブレンドが挙げられる。
【0065】
炭化水素油としては、限定されないが、パラフィン鉱油、ナフテン鉱油、芳香族鉱油、およびそのブレンドなどの、限定されないが、鉱油、が挙げられる。植物油としては、限定されないが、ダイズ油、カノーラ油、綿実油、およびそのブレンドが挙げられる。脂肪酸としては、限定されないが、C−C19脂肪酸、トール油脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、およびそのブレンドが挙げられる。エポキシ化種子油、ポリブテン、および沈降シリカまたは沈降シリケートなどのケイ素含有増粘剤も、本発明において増粘剤として使用することができる。
【0066】
油は、上記の油またはその等価物のうちの少なくとも1つを含有することができる。油は、少なくとも2種類の油のブレンドであることもできる。油が使用される場合、組成物が水性スプレー用に意図されるならば、界面活性剤または乳化剤も使用しなければならない。
【0067】
増粘剤の更なる例としては、カルボキシメチルセルロース、カラゲナン、カルボマー(carbomer)−940A、カルボマー(carbomer)−956、アルジネート(プロピレングリコールアルジネート)、カゼイン(カゼイン酸ナトリウム)、ゼラチン、マンニトール、およびソルビトールが挙げられる。
【0068】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される増粘剤の量は、増粘剤約0.0001kg/肥料濃縮物kg〜約0.1kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される増粘剤の量は、約0.001kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される増粘剤の量は、約0.001kg/kg〜約0.05kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される増粘剤の量は、約0.05kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される増粘剤の量は、約0.03kg/kg〜約0.08kg/kgである。
【0069】
II.G.保湿剤
本発明の他の態様において、肥料組成物はさらに、保湿剤を含有する。保湿剤は、肥料における水分の保持および吸収を促進する利益を提供することができる。保湿剤は空気中から水を吸収するため、保湿剤の添加は、特に乾燥気候において相対湿度が上昇したとき(夜など)、適用後に、および再水和においても、肥料を乾燥させないようにする効果を有する。
【0070】
本発明で使用される保湿剤の例としては、脂肪族多価アルコールおよび糖アルコール、およびその塩、例えば、マクロゴール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ジグリセロール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、グリセロール、ソルビトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチルカルビトール、D−キシリトール、ポリソルベート60、65または80が挙げられ、ヒアルロン酸も本発明に組み込むことができる。
【0071】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される保湿剤の量は、保湿剤約0.0005kg/肥料濃縮物kg〜約0.2kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される保湿剤の量は、約0.001kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される保湿剤の量は、約0.01kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される保湿剤の量は、約0.05kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される保湿剤の量は、約0.01kg/kg〜約0.05kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される保湿剤の量は、約0.03kg/kg〜約0.08kg/kgである。
【0072】
II.H.抗菌剤
本発明の他の態様において、肥料組成物はさらに、抗菌剤を含有する。抗菌剤は、配合製品を劣化させ得る、微生物の成長を抑制することができることから有用である。
【0073】
抗菌剤の例としては、キノロンカルボン酸、ニトロフラン、スルホンアミド、安息香酸誘導体、スルファイト、オキシハロゲン化物化合物、および金属塩(銀、銅、およびマグネシウムなど)が挙げられる。キノロンカルボン酸としては、シプロフロキサシン、ナリジクス酸、シノキサシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、ペフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、スパルフロキサシン、レフロキサシン、テマフロキサシン、アミフロキサシン、イルロキサシンおよびピロミド酸が挙げられる。ニトロフランとしては、フリウム(furium)、フラゾリドン、Z−フラン、フリルフルアミド、ニトロビン、フララジン、アセチルフラトリジン、パンフラン−S、ニフロキシム、ニトロフラゾン、ニフラルデゾン、ニヒドラゾン、ニトロフラントイン、ニフラテル、ニトロフラチアジド(nitrofurathiazide)、ニフルトイノール、ニフルトイノールが挙げられる。スルホンアミドとしては、N−アシルスルファニルアミド、N−複素環式−N−アシルスルファニルアミド、おびN−複素環式−N−アセチルスルファニルアミドが挙げられる。
【0074】
抗菌剤のその他の例としては、塩化ベンザルコニウム、感光性エレメントNo.201、グルコン酸クロルヘキシジン溶液、クロロキシレノール、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、モノニトログアヤコール、セファロスポリン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが挙げられる。
【0075】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される抗菌剤の量は、抗菌剤約0.00005kg/肥料濃縮物kg〜約0.1kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される抗菌剤の量は、約0.0005kg/kg〜約0.05kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される抗菌剤の量は、約0.005kg/kg〜約0.05kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される抗菌剤の量は、約0.0005kg/kg〜約0.005kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される抗菌剤の量は、約0.005kg/kg〜約0.05kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される抗菌剤の量は、約0.001kg/kg〜約0.03kg/kgである。
【0076】
II.I.農薬
本発明の他の態様において、本発明の肥料組成物はさらに、農薬を含有する。農薬の例としては、有機リン剤、カルバメート剤、昆虫成長調整剤、および天然由来殺虫剤が挙げられる。天然由来殺虫剤の一例は、ニンニク油である。
【0077】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される農薬の量は、農薬約0.0008kg/肥料濃縮物kg〜約0.7kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される農薬の量は、約0.01kg/kg〜約0.6kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される農薬の量は、約0.05kg/kg〜約0.3kg/kgである。またさらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される農薬の量は、約0.1kg/kg〜約0.3kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される農薬の量は、約0.3kg/kg〜約0.6kg/kgである。
【0078】
II.J.除草剤
本発明の他の態様において、本発明の肥料組成物はさらに、除草剤を含有する。除草剤の例としては、ホルモンベースの除草剤、発芽前除草剤、ならびに発芽後または接触性除草剤が挙げられる。発芽前除草剤の例としては、スルホニル尿素が挙げられる。発芽後除草剤の例としては、グリホサート、パラコート、および2,4Dが挙げられる。
【0079】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される除草剤の量は、除草剤約0.0008kg/肥料濃縮物kg〜約0.7kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される除草剤の量は、約0.01kg/kg〜約0.6kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される除草剤の量は、約0.05kg/kg〜約0.3kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される除草剤の量は、約0.1kg/kg〜約0.3kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される除草剤の量は、約0.3kg/kg〜約0.6kg/kgである。
【0080】
II.K.植物成長調整剤/ホルモン
本発明の他の態様において、本発明の肥料組成物はさらに、植物成長調整剤を含有する。植物成長調整剤は、天然植物ホルモンに類似の合成化合物(例えば、IBAおよびサイコセル(Cycocel))であることができ、または植物組織から抽出された天然ホルモン(例えば、IAA)であることができる。
【0081】
オーキシン、ジベレリン(GA)、サイトカイニン、エチレン、アブシジン酸(ABA)、ブラシノライド、およびジャスモネートを含む、植物成長調整化合物のいくつかの群がある。大体において、各群は、天然ホルモンと合成物質の両方を含有する。
【0082】
オーキシンは、植物にいくつかの応答を生じさせ、主に細胞伸長に影響を及ぼす。これらの応答としては、屈光性(光源に対する屈曲)、屈地性(重力に受けての、下方への根の成長)、頂芽優性の促進、花芽形成、果実の結実および成長、および不定根の形成が挙げられる。実際に、オーキシンは、栄養繁殖時に切り口が浸される、大部分の発根化合物における活性成分である。オーキシンの例としては、トリプトファンから合成されるインドール酢酸(IAA)、ならびにインドール酪酸(IBA)、ならびにオーキシンの合成誘導体が挙げられる。
【0083】
ジベレリンも、細胞分裂および伸長の促進、種子休眠の終止、および発芽の促進など、植物にいくつかの応答を生じさせる。ジベレリンはRNAを刺激して、発芽中の速い細胞呼吸に必要とされる糖へと貯蔵栄養素(デンプン)を変換する、酵素の合成を促進する。ジベレリンはオーキシンと協働して、その効果を達成する場合が多い。ジベレリンの例としては、炭素4個〜12個の長さの範囲の炭素鎖を有するジベレリン酸が挙げられる。
【0084】
サイトカイニンは、アデニンのフェニル尿素誘導体の群である。他の植物成長調整剤と異なり、サイトカイニンは、植物と動物の両方で発見されている。サイトカイニンは、細胞質分裂または細胞分裂を促進し、かつ加齢および老化を遅らせる。サイトカイニンの例としては、ゼアチンが挙げられる。
【0085】
エチレンは、気体状でのみ見出される点で珍しい。エチレンは、成熟を誘導し、葉を下垂(上偏成長)させ、落下(落葉)させ、老化を促進する。植物は、応力を受けてエチレン生成を増加する場合が多く、エチレンはしばしば、植物の寿命の終わりに細胞内に高濃度で見られる。エチレンは、果実(例えば、青いバナナ)を成熟させるためにも使用される。
【0086】
アブシジン酸(ABA)は、一般的な植物成長阻害剤である。アブシジン酸は、休眠を誘導し、種子が発芽するのを防ぎ;葉、果実、および花の脱離を生じさせ;気孔を閉じさせる。乾燥ストレス期間中の孔辺細胞における高濃度のABAはおそらく、気孔の閉鎖においてある役割を果たす。
【0087】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される植物成長調整剤の量は、植物成長調整剤約0.0005kg/肥料濃縮物kg〜約0.2kg/kgである。例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される植物成長調整剤の量は、約0.0005kg/kg〜約0.1kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される植物成長調整剤の量は、約0.001kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される植物成長調整剤の量は、約0.1kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される植物成長調整剤の量は、約0.5kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される植物成長調整剤の量は、約0.1kg/kg〜約0.05kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される植物成長調整剤の量は、約0.03kg/kg〜約0.08kg/kgである。
【0088】
II.L.ホウ素化合物
微量栄養素として分類されるが、植物肥料がホウ素(B)を欠いていることによって、窒素などの主要栄養素を欠くのと同程度に成長に影響が及ぶであろう。ホウ素は、膜を通じての糖の輸送、細胞分裂、細胞発達、およびオーキシン代謝を調節する。ホウ素欠乏は、種子および果実の生成障害で明らかになる場合が多い。それは、北米太平洋岸北西地区において、すべての微量栄養素欠乏のうちで最も広まっている。本発明において有用なホウ素化合物としては、ホウ酸(HBO);ホウ砂またはホウ酸二ナトリウム十水和物(Na・10HO);ホウ酸塩処理セッコウ、または硫酸カルシウム二水和物+ホウ酸二ナトリウム(CaSO,2HO+Na);ホウ酸塩肥料(Fertilizer Borate)48、またはホウ酸二ナトリウム五水和物(Na・5HO);ホウ酸塩肥料(Fertilizer Borate)68、またはホウ酸二ナトリウム(Na);Solubor、またはホウ酸二ナトリウム五水和物およびホウ酸二ナトリウム十水和物(Na・5HO+Na1016・10HO)が挙げられる。ホウ砂およびホウ酸塩処理セッコウは、ホウ素肥料の固形組成物において使用されることが多い。ホウ酸およびホウ酸二ナトリウム六水和物およびホウ酸二ナトリウム十水和物は、土壌または葉面散布に使用することができる。
【0089】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるホウ素化合物の量は、ホウ素化合物約0.0001kg/肥料濃縮物kg〜約0.1kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるホウ素化合物の量は、約0.001kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるホウ素化合物の量は、約0.001kg/kg〜約0.05kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるホウ素化合物の量は、約0.05kg/kg〜約0.1kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用されるホウ素化合物の量は、約0.03kg/kg〜約0.08kg/kgである。
【0090】
II.M.植物栄養素化合物
植物に更なる栄養素を与えるために、本発明の組成物はさらに、1種または複数種の更なる植物栄養素を含有することができる。これらは、窒素またはカリウムなどの主要栄養素であることができる。植物栄養素は、マグネシウムおよびナトリウムなどの第二栄養素であることもできる。最後に、植物栄養素は、コバルト、銅、鉄、マンガン、モリブデン、および亜鉛などの微量栄養素であることもできる。
【0091】
II.N.更なる殺真菌剤
本発明の他の態様において、本発明の肥料組成物はさらに、更なる殺真菌剤を含有する。更なる殺真菌剤の例としては、第1の殺真菌剤と異なるジチオカルバメート殺真菌剤、オキシクロリド、オキシサルフェート、(テトラヒドロ)フタルイミド(カプタン、カプタホル、ホルペル)などの銅含有殺真菌剤、トリアゾール殺真菌剤、例えば、プロピコナゾール、テブコナゾール、およびミクロブタニル、チオファネート−メチル、N−(1−ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾール、メチルカルバメート(ベノミル)、1,2−ジ−(3−メトキシまたはエトキシ)カルボニル−2−チオウレイドベンゼン(チオファネート)、メチル2−ベンズイミダゾールカルバメート、ストロビルリンA−H、ジチアノン、シモキサニル、フェナリモル、クロロタロニル、およびその組み合わせが挙げられる。クロロタロニルは、易流動包装(free flow packaging)に変更可能であり、それは、クロロタロニルが計量し易く、かつ水と混合しやすいことを意味する。さらに、クロロタロニルの大部分の配合物は、殺虫剤とタンク混合することができ、その結果、殺真菌剤と殺虫剤の両方を含有する「ピギーバック(piggy−back)」散布を同時に行うことができる。
【0092】
本発明の肥料組成物は、他の殺真菌剤、抗うどん粉病(anti−mildew)リン誘導体、特に、特に2−ヒドロキシ−1,3,2−ジオキサホスホランおよびβ−ヒドロキシエチルホスファイトとも混合することができる。
【0093】
例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される更なる殺真菌剤の量は、更なる殺真菌剤約0.08kg/肥料濃縮物kg〜約0.7kg/kgである。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される更なる殺真菌剤の量は、約0.01kg/kg〜約0.6kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される更なる殺真菌剤の量は、約0.05kg/kg〜約0.3kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される更なる殺真菌剤の量は、約0.1kg/kg〜約0.3kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される更なる殺真菌剤の量は、約0.1kg/kg〜約0.2kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される更なる殺真菌剤の量は、約0.15kg/kg〜約0.25kg/kgである。さらに他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物において使用される更なる殺真菌剤の量は、約0.3kg/kg〜約0.6kg/kgである。
【0094】
II.O.顆粒サイズ
本発明の組成物は、顆粒に形成することができる。例示的な実施形態において、顆粒は、直径約0.001mm〜約0.5mmを有する。例示的な実施形態において、顆粒は、直径約0.005mm〜約0.1mmを有する。例示的な実施形態において、顆粒は、直径約5ミクロン〜約100ミクロンを有する。例示的な実施形態において、顆粒は、直径約5ミクロン〜約100ミクロンを有する。例示的な実施形態において、顆粒は、直径約5ミクロン〜約50ミクロンを有する。
【0095】
他の例示的な実施形態において、組成物中の顆粒の少なくとも約90%が、上述のパラメーター内の直径を有する。他の例示的な実施形態において、組成物中の顆粒の少なくとも約80%が、上述のパラメーター内の直径を有する。他の例示的な実施形態において、組成物中の顆粒の少なくとも約70%が、上述のパラメーター内の直径を有する。他の例示的な実施形態において、組成物中の顆粒の少なくとも約60%が、上述のパラメーター内の直径を有する。
【0096】
本発明の顆粒は、様々な方法で製造することができる。これらの顆粒の製造は一般に、本発明による肥料組成物と同じ化学組成を有する粉末を始めとして行われ、次いで、この粉末を湿らせ、成形し、最後に乾燥させる。
【0097】
本発明による粉末を得るために、1種または複数種の活性物質を適切なミキサーで更なる物質と均質に混合し、適切な場合には、多孔質賦形剤にそれらを含浸させ、ミルまたは他の適切なグラインダーですべて粉砕する。例えば、塊を粉砕するために、約0.5mmメッシュの格子を有するハンマーミルに種々の組成物の構成成分を通すことができる。このようにして、粒径約5〜約50ミクロンの粉末が得られる。
【0098】
本発明による顆粒の第1の製造方法に従って、液体の水(水約1〜約20%、好ましくは約10〜約18%)を直接添加することによって、粉末を湿らせ、軟塊(dough)の稠度を有する、時にロールまたはスパゲッティとも呼ばれる、多数の長い円柱状の押出し物が得られるように、この湿った粉末をグリルプレートまたは多孔プレートを通して押出し、続いて、本発明による顆粒を構成する小さく短い多数の円柱が形成されるように、それを縦方向に分割する。これらは湿っており、販売することができる本発明による適切な顆粒を得るために、乾燥させることのみ必要である(換気された雰囲気中で例えば、約80℃を超え、好ましくは約100℃を超える温度)。例えば、組成物は、押出し成形によって顆粒に成形され得る。ミキサー/ビーターにおいて、粉末500gを水15%で約5分間湿らせる。次いで、多孔ロール押出機(直径1.5mmの開口)を使用して、その粉末を連続押出し成形する。このようにして形成された、入る空気の温度が100℃である流動床で、湿った顆粒を乾燥させ、サイズ0.5〜1.6mm、平均約1.5mmの顆粒が得られるように、混合物をふるいにかける。
【0099】
本発明による顆粒の第2の製造方法において、粉末で形成された流動床において水(水5〜35%、好ましくは20〜30%)を吹付けることによって、粉末を湿らせた。この作業によって、湿った顆粒が直接形成され、したがって、販売することができる本発明による適切な顆粒を得るために、それを乾燥させることのみ必要である。例えば、流動床技術によって、組成物が顆粒に形成される。均質化された粉末500gを流動床造粒機において流動化する。粉末床上に周囲温度にて水25%を吹付けることによって、凝塊が得られる。次いで、入る空気の温度を100℃に上げることによって、形成された顆粒を乾燥させ、次いで、混合物を上記のようにふるいにかけ、ほぼ同じサイズの顆粒が得られる。
【0100】
本発明による顆粒の第3の製造方法に従って、勾配の付いた、かつ回転するプレート上に位置する粉末上に液体の水(水1〜20%、好ましくは10〜18%)を直接吹付けることによって、粉末を湿らせた。このプレートが回転する事実から、粉末粒子は互いに解離した状態のままになる。運動中にこれらの粒子上に水を吹付けることによっても、湿った顆粒が形成され、販売することができる本発明による適切な顆粒を得るためには、それを乾燥させることのみ必要である(例えば、換気された雰囲気中、約80℃を超える温度、好ましくは100℃)。
【0101】
本発明による顆粒の第4の製造方法(微粒化と呼ばれる)に従って、液体の水(水20〜70%、好ましくは30〜50%)を直接添加することによって、粉末から濃縮懸濁液を調製する;次いで、熱風を用いた乾燥機(噴霧器)内でこの懸濁液を噴霧し、懸濁液の液滴中に含有される水を迅速に蒸発させることによって、微細な、かつ乾燥した顆粒が得られる。乾燥用空気の温度は一般に、120〜300℃、好ましくは150〜250℃である。例えば、組成物は、微粒化によって顆粒に形成される。懸濁液が形成されるように、粉末600gを水400gに分散させ、その懸濁液は、入口の空気温度が180℃であり、かつ出口の空気温度が90℃である、ジェット噴霧器において噴霧される。サイズ0.1〜0.4mmの顆粒が得られる。
【0102】
III.即時使用可能な肥料
本発明は、即時使用可能な肥料組成物も提供する。即時使用可能な肥料は、肥料濃縮物および希釈剤を含有する。この即時使用可能な肥料組成物は、液体または固体の状態で提供されることができる。即時使用可能な肥料は肥料濃縮物を含むため、即時使用可能な肥料は、有機酸、硫黄化合物、増粘剤、保湿剤、抗菌剤、農薬、除草剤、植物成長調整剤、ホウ素化合物、その他の殺真菌剤および希釈剤など、上述の成分のいずれかを含有することもできる。
【0103】
IV.組成物を製造する方法
本発明の肥料濃縮物および即時使用可能な肥料は、ジチオカルバメートと少なくとも1種類の亜リン酸塩との混合懸濁液を最初に形成することによって調製される。ジチオカルバメートおよび少なくとも1種類の亜リン酸塩を直接、液体に添加することによって、または適切な対イオン含有化合物と共にホスファイト含有化合物を液体に添加することにより亜リン酸塩をその場で生成することによって、この懸濁液を調製することができる。絶えず攪拌しながら、保湿剤、増粘剤等の懸濁液を維持するのに必要な薬剤を添加することができる。所望の栄養素も、絶えず攪拌しながら添加することができる。本発明の肥料は、単にすべての水を除去することによって、液体組成物に等しい固形組成物として製造することもできる。その特性は、液体組成物と同じであるが、同量の栄養素に対して質量が少ないという更なる利点を有する。
【0104】
V.組成物を使用する方法
適用方法、および肥料が土壌または植物に適用されるかどうかに応じて異なる、作物に固有の推奨に従って、本発明の肥料が適用される。液体ベースの肥料に関するいくつかの一般的な肥料適用方法がある。第1の方法は、マイクロ灌漑、畦間灌漑および湛水灌漑に細分され得る灌漑システムによる適用方法である。灌漑目的に適するようにするために、肥料濃縮物は通常、500〜10,000倍に希釈される。果物および野菜作物は、灌漑目的に特に適している。第2の適用方法は、地上の方法または従来の噴霧である。この方法は、トラクターに取り付けられた噴霧器、または動噴霧器、背負い式噴霧器、および静電噴霧器による適用を包含する。地上目的に適するようにするために、肥料濃縮物は通常、10〜1,000倍に希釈される。果物および野菜作物は、地上適用にも適している。第3の適用方法は空中噴霧である。空中目的に適するようにするために、肥料濃縮物は通常、10〜100倍に希釈される。穀類、飼料作物および栽培場で成長した作物などの大きなエーカー数の作物は、空中散布に適している。その他の肥料適用方法は、樹木注入であり、通常、幹、主枝または冠根において植物に直接、肥料が注入される。肥料適用は、葉面散布、土壌散布、散布時期、散布速度、製品組成に分けられる。本発明の肥料から利益を得る作物としては、限定されないが、アボカド、シトラス、マンゴー、コーヒー、落葉樹作物、ブドウおよび他の液果作物、ダイズおよび他の市販の豆、青野菜、ネギ属(aliums)、アスパラガス、アーティチョーク、バナナ、トウモロコシ、トマト、カボチャおよびククミス属、レタス(青野菜)、ジャガイモ、テンサイ糖、コショウ、サトウキビ、ホップ、タバコ、パイナップル、茶、コーヒー、サイザル、穀類および草、飼料作物、糖および油産生作物、森林、医薬作物、綿、シダ類、ココヤシおよび他の商業用かつ観賞用ヤシ、ヘベアゴム、飼料植物および観賞植物が挙げられる。
【0105】
上記の葉面、土壌、および灌漑適用方法に加えて、本発明の肥料は、他の適用方法によって特定の作物に有益であることが判明している。例えば、樹幹塗布または他の方法論は、例えば、「静脈内(intravenous)」供給などの本発明の肥料の連続的な低供給を提供する。更なる情報は、http://www.extension.umn.edu/distribution/horticulture/DG7410.htmlに記載されている。他の実施例において、樹木注入システムもまた、本発明によって包含される。樹木注入システムにおいて、肥料は、植物の樹幹または主枝に注入される。樹木注入システムは、ヤシおよび他の柔らかい茎植物に、ならびにバナナの生産に特に適している。樹木注入システムについての更なる情報は、(http://www.na.fs.fed.us/spfo/pubs/misc/ded/ded.htm)に記載されている。
【0106】
本発明は、ジチオカルバメートおよびリンを植物に与える方法を含む。この方法は、水を肥料濃縮物と混合し、このように即時使用可能な肥料を形成することと、植物の葉にこの即時使用可能な肥料を適用することを含む。例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、分散剤または湿潤剤が存在することなく、ジチオカルバメートおよび少なくとも1種類の亜リン酸塩を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は懸濁液であることができる。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、水性または非水性懸濁液から選択されるメンバーであることができる。
【0107】
本発明は、即時使用可能な肥料の葉面散布によって、植物における成長を促進する方法を含む。この方法は、肥料濃縮物に水を加えることによって即時使用可能な肥料を形成することと、植物の葉にこの即時使用可能な肥料を適用することを含む。例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、分散剤または湿潤剤が存在することなく、ジチオカルバメートおよび少なくとも1種類の亜リン酸塩を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は懸濁液であることができる。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、水性または非水性懸濁液から選択されるメンバーであることができる。
【0108】
本発明は、ジチオカルバメートおよびリンを種子に与える方法を含む。この方法は、水と肥料濃縮物を混合し、このように、リン取り込みのために種子が許容可能なpHを有する即時使用可能な肥料を形成することと、種子にこの即時使用可能な肥料を適用することを含む。例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、分散剤または湿潤剤が存在することなく、ジチオカルバメートおよび少なくとも1種類の亜リン酸塩を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は懸濁液であることができる。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、水性または非水性懸濁液から選択されるメンバーであることができる。
【0109】
本発明は、葉および/または果実および/または貯蔵器官の褐変を予防する方法を含む。この方法は、その葉および/または果実および/または貯蔵器官の褐変を予防するのに十分な量で、即時使用可能な肥料を植物に適用することを含む。例示的な実施形態において、即時使用可能な肥料は、肥料濃縮物および希釈剤を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、分散剤または湿潤剤が存在することなく、ジチオカルバメートおよび少なくとも1種類の亜リン酸塩を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は懸濁液であることができる。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、水性懸濁液または非水性懸濁液から選択されるメンバーであることができる。
【0110】
本発明は、亜リン酸塩を植物に与える持続放出の方法を含む。この方法は、植物にホスファイトを与えるのに十分な量で、固形肥料濃縮物または即時使用可能な固形肥料を適用することを含む。例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、分散剤または湿潤剤が存在することなく、ジチオカルバメートおよび少なくとも1種類の亜リン酸塩を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は懸濁液であることができる。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、水性懸濁液または非水性懸濁液から選択されるメンバーであることができる。
【0111】
本発明は、植物の貯蔵寿命を延ばす(つまり、「強化する」)方法を含む。この方法は、作物の収穫前のある時点で、植物に即時使用可能な肥料を適用することを含む。作物の収穫前の時点とは、12時間〜7日前の時点であり得る。例示的な実施形態において、即時使用可能な肥料は、肥料濃縮物および希釈剤を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、分散剤または湿潤剤が存在することなく、ジチオカルバメートおよび少なくとも1種類の亜リン酸塩を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は懸濁液である。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、水性懸濁液または非水性懸濁液から選択されるメンバーであることができる。
【0112】
本発明は、産物の収穫後の状態を改善する方法を含む。この方法は、作物の収穫後のある時点で、植物に本発明の肥料を適用することを含む。本出願は、作物収穫直後の田畑において、または果実もしくは野菜の包装作業場においてなど、様々な場所で行われる。例示的な実施形態において、本発明の肥料は、肥料濃縮物を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、分散剤または湿潤剤が存在することなく、ジチオカルバメートおよび少なくとも1種類の亜リン酸塩を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は懸濁液であることができる。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、水性懸濁液または非水性懸濁液から選択されるメンバーであることができる。
【0113】
本発明は、植物組織中の窒素の量を低減する方法を含む。この方法は、作物収穫前のある時点で、本発明の肥料を植物に適用することを含む。作物収穫前の時点とは、12時間〜50日前の時点であり得る。他の例示的な実施形態において、作物収穫前の時点とは、12時間〜10日前の時点であり得る。例示的な実施形態において、本発明の肥料は、肥料濃縮物を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、分散剤または湿潤剤が存在することなく、ジチオカルバメートおよび少なくとも1種類の亜リン酸塩を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は懸濁液であることができる。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、水性懸濁液または非水性懸濁液から選択されるメンバーであることができる。
【0114】
本発明は、植物の根によって吸収されるマンガンまたは亜鉛の量を増加する方法を含む。この方法は、作物収穫前のある時点で、植物の根に直接、または植物の周囲の土壌に、本発明の肥料を適用することを含む。例示的な実施形態において、本発明の肥料は、肥料濃縮物を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、分散剤または湿潤剤が存在することなく、ジチオカルバメートおよび少なくとも1種類の亜リン酸塩を含有する。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は懸濁液であることができる。他の例示的な実施形態において、肥料濃縮物は、水性懸濁液または非水性懸濁液から選択されるメンバーであることができる。
【0115】
本明細書に記載の本発明をより完全に理解するために、以下の実施例が示される。使用されるすべての化学物質は、分析用試薬品質であり、別段の指定がない限り、ほぼ100質量%である。別段の指定がない限り、すべての組成物が、肥料の質量に対する亜リン酸カルシウムの質量によって表される。これらの実施例は、あくまで例示のために示されており、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではないことを理解されたい。
【実施例】
【0116】
以下の実施例は、権利請求される本発明の組成物および方法を説明するために提供されるが、限定されるものではない。
【0117】
実施例1
マンコゼブ肥料の固形配合物
0−14−9のNPK分析を有する肥料濃縮物を調製した。マンコゼブ0.75kg;亜リン酸一カリウム0.25kg(すべての量が、成分kg/肥料濃縮物kgである);を含有する1容器(one−container)システムにそれを包装した。この肥料濃縮物は固形であり、かつ本出願のセクションIIIに記載の方法に従って組み立てられた。
【0118】
実施例2
マンコゼブ肥料の液体配合物
2つの液体肥料濃縮物を調製した。1つの液体配合物では、マンコゼブ(400g)と亜リン酸カルシウム(250g)を水(300g)および懸濁化剤(50g)と混合する。その混合物は、懸濁液濃縮物であり、安定である。第2の液体配合物では、マンコゼブ(400g)と亜リン酸カリウム(250g)を水(300g)および懸濁化剤(50g)と混合する。この第2液体配合物では、凝集が起こる。
【0119】
図2から分かるように、マンコゼブまたはマネブと組み合わせた亜リン酸カルシウムの液体配合物から、安定な、凝集しない配合物が得られる。配合物のpHは7.5〜9であった。
【0120】
実施例3
胞子発芽試験
マンコゼブと比較して、胞子発芽を抑制するその能力について、上記の実施例に記載のマンコゼブに加えて、流動性カルシウム配合物(カルシファイト(Calciphite)と呼ばれる)の組み合わせを試験した。水寒天平板を作製し、カルシファイト/マンコゼブの組み合わせ(50ppm)またはマンコゼブ(100ppm)のみで変更した。胞子濃度4×10のMycosphearella真菌属の胞子をプレート表面上に吹付け、12時間インキュベートし、その後、プレートを発芽について評価した。これらの結果を以下の表に示す。
【0121】
【表1】

【0122】
本明細書に記載の実施例および実施形態は、あくまで例示のために示されており、それに照らして種々の修正および変更が当業者に提案され、かつ本出願の趣旨および範囲、および添付の特許請求の範囲内に包含されることを理解されたい。本明細書に記載のすべての出版物、特許、および特許出願の全体が、あらゆる目的のために、参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の例示的なジチオカルバメートの構造を含む表である。この図面において、xは、1〜約1,000,000の数字であり;yは、1〜約1,000,000の数字であり;nは、1〜約1,000,000の数字である。
【図2】2種類の異なるマンコゼブ液体配合物を表す。上の写真(図2A)における配合物は、マンコゼブ400g、亜リン酸カルシウム250g、水300g、懸濁化剤50gを含有する。この液体配合物は安定であり、かつ流動性の液体配合物を形成する。下の写真(図2B)における配合物は、マンコゼブ400g、亜リン酸カリウム250g、水300gおよび懸濁化剤50gを含有する。この液体配合物では凝集が起こる。
【図3】カルシファイト(calciphite)およびマンコゼブを含有する第1の寒天平板(図3A)上にMycosphearella真菌属の胞子を置いて12時間後の結果を示し、第2の寒天平板(図3B)は、マンコゼブを含有し、カルシファイトを含有しない。第2の寒天平板と比較して、第1の寒天平板において胞子の発芽が大幅に減少している。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジチオカルバメートと、
少なくとも1種類の亜リン酸塩と、
を含有する肥料濃縮物であって、前記肥料濃縮物が、分散剤および湿潤剤を本質的に含有しない肥料濃縮物。
【請求項2】
前記ジチオカルバメートが、顆粒状であり、
前記ジチオカルバメートが、ジチオカルバメート約0.55kg/肥料濃縮物kg〜ジチオカルバメート約0.95kg/肥料濃縮物kgの量で存在し、
前記亜リン酸塩が、亜リン酸塩約0.01kg/肥料濃縮物kg〜亜リン酸塩約0.45kg/肥料濃縮物kgの量で存在する、請求項1に記載の肥料濃縮物。
【請求項3】
前記肥料濃縮物の顆粒の少なくとも約90%が、直径約0.001mm〜約0.5mmを有する、請求項2に記載の肥料濃縮物。
【請求項4】
前記ジチオカルバメートが、マンコゼブ、マネブ、ジネブ、チラムおよびメチラムから選択されるメンバーである、請求項1に記載の肥料濃縮物。
【請求項5】
前記亜リン酸塩が、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸モノアンモニウム、亜リン酸二アンモニウム、次亜リン酸カルシウム、および次亜リン酸カリウムから選択されるメンバーである、請求項1に記載の肥料濃縮物。
【請求項6】
肥料および殺真菌剤を植物に与える方法であって、
(a)水と請求項1に記載の肥料を混合して、使用時希釈肥料を形成する工程と、
(b)植物の葉に前記使用時希釈肥料を適用して、前記肥料および前記殺真菌剤を植物に与える工程と、
を含む方法。
【請求項7】
前記ジチオカルバメートが、ジチオカルバメート約10質量%/肥料濃縮物質量〜ジチオカルバメート約35質量%/肥料濃縮物質量の量で存在し、
前記亜リン酸塩が、亜リン酸塩約15質量%/肥料濃縮物質量〜亜リン酸塩約35質量%/肥料濃縮物質量の量で存在し、
水約30質量%/肥料濃縮物質量〜水約40質量%/肥料濃縮物質量の量で水をさらに含有する、請求項1に記載の肥料濃縮物。
【請求項8】
ジチオカルバメート約10質量%/肥料濃縮物質量〜ジチオカルバメート約35質量%/肥料濃縮物質量の量で存在する、ジチオカルバメートと、
亜リン酸塩約15質量%/肥料濃縮物質量〜亜リン酸塩約35質量%/肥料濃縮物質量の量で存在する、少なくとも1種類の亜リン酸塩と、
懸濁化剤約5質量%/肥料濃縮物質量の量で存在する、懸濁化剤と、
水約30質量%/肥料濃縮物質量〜水約40質量%/肥料濃縮物質量の量の水と、
を含有する肥料濃縮物。
【請求項9】
前記ジチオカルバメートが、マンコゼブ、マネブ、ジネブ、チラムおよびメチラムから選択されるメンバーである、請求項8に記載の肥料濃縮物。
【請求項10】
前記亜リン酸塩が、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸モノアンモニウム、亜リン酸二アンモニウム、次亜リン酸カルシウム、および次亜リン酸カリウムから選択されるメンバーである、請求項8に記載の肥料濃縮物。
【請求項11】
前記亜リン酸塩が、亜リン酸カルシウムである、請求項10に記載の肥料濃縮物。
【請求項12】
肥料および殺真菌剤を植物に与える方法であって、
(a)水と請求項7に記載の肥料を混合して、使用時希釈肥料を形成する工程と、
(b)植物の葉に前記使用時希釈肥料を適用して、前記肥料および前記殺真菌剤を植物に与える工程と、
を含む方法。

【公表番号】特表2008−542170(P2008−542170A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513737(P2008−513737)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/020348
【国際公開番号】WO2006/127954
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507387413)プラント プロテクタンツ,エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】