説明

ジフルオロベンゼン誘導体の製造方法

【課題】 ジフルオロベンゼン誘導体の効率的な製造方法を提供し、さらにその製造に有用な中間体化合物を提供する。
【解決手段】 以下に示す工程により、ハイドロキノン骨格を有するジフルオロベンゼン誘導体(8)が製造される。


一般式(8)で表される化合物は、液晶組成物の構成部材として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジフルオロベンゼン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、低電圧作動、薄型表示等の優れた特徴から現在広く用いられている。従来の液晶表示素子の表示方式にはTN(ねじれネマチック)、STN(超ねじれネマチック)、又はTNをベースにしたアクティブマトリックス(TFT:薄膜トランジスタ)等があり、これらは誘電率異方性値が正の液晶組成物を利用するものである。しかし、これら表示方式の欠点の一つとして視野角の狭さがあり、近年高まっている液晶パネルの大型化の要求に伴い、その改善が大きな課題となっている。
【0003】
この解決策として近年、垂直配向方式、IPS(インプレインスイッチング)等の表示方式が新たに実用化されてきた。垂直配向方式は液晶分子の垂直配向を利用して視野角の改善を図った方式であり、誘電異方性値が負の液晶組成物が使用される。またIPSは、ガラス基板に対して水平方向の横電界を用いて液晶分子をスイッチングさせることで視野角の改善を図った方法であり、誘電異方性値が正又は負の液晶組成物が使用される。このように、視野角改善のために有効な表示方式である垂直配向方式及びIPSには誘電率異方性値が負である液晶化合物ならびに液晶組成物が必要であり、強く要望されるようになってきた。
【0004】
誘電率異方性が負の液晶組成物に使用される液晶化合物としては、2,3-ジフルオロベンゼン誘導体が挙げられる(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1は側鎖がアルキル基の化合物のみが開示されており、側鎖にアルケニル基を有する化合物の開示は全くなく、製造方法は知られていなかった。また、ベンゼン環の1位および4位にシクロヘキシルメトキシ基を有する化合物は化学的に不安定で液晶材料として使用できないとの知見(非特許文献1参照)により、当該化合物の製造方法の開発は進行していなかった。
【0005】
【特許文献1】特公表2−503568号公報
【非特許文献1】沼田、「液晶材料の動向」、月刊ディスプレイ、1998年3月、第4巻、第3号(5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
側鎖にアルケニル基を有するジフルオロベンゼン誘導体の製造方法を提供することである。また、側鎖にアルケニル基を有するジフルオロベンゼン誘導体の製造に有用な中間体化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本件発明を完成するに至った。
本発明は、一般式(1)
【0008】
【化1】

(式中、R1およびR2はそれぞれ独立的にメチル基、エチル基またはプロピル基を表すか、R1およびR2は-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-または-CH2C(CH3)2CH2-を表し、X1は塩素、臭素、よう素、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)で表される化合物に2,3-ジフルオロフェノールより調製されるフェノラートを反応させることにより一般式(2)
【0009】
【化2】

(式中、R1およびR2は一般式(1)と同じ意味を表す。)で表される化合物とし、この化合物を脱保護して式(3)
【0010】
【化3】

で表される化合物とし、この化合物をメトキシメチルリンイリドと反応させた後加水分解することにより式(4)
【0011】
【化4】

で表される化合物とし、この化合物にアルキルリンイリドを反応させることにより一般式(5)
【0012】
【化5】

(式中、R3は水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
で表される化合物とし、この化合物を酸化して一般式(6)
【0013】
【化6】

(式中、R3は一般式(5)と同じ意味を表す。)
で表される化合物とし、この化合物から調製されるフェノラートを一般式(7)
【0014】
【化7】

(式中、X2は塩素、臭素、よう素、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、R4は炭素原子数1から12のアルキル基、炭素原子数2から12のアルケニル基、炭素原子数1から12のアルコキシ基、炭素原子数3から12のアルケニルオキシ基を表し、nは1または2を表す。)で表される化合物と反応させることによる一般式(8)
【0015】
【化8】

(式中、R3は一般式(5)と同じ意味を表し、R4およびnは一般式(7)と同じ意味を表す。)で表される化合物の製造方法を提供する。また、各製造中間体化合物もあわせて提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法は、ジフルオロベンゼン誘導体の製造方法として有用である。また、本発明の化合物は、ジフルオロベンゼン誘導体の製造中間体として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
2,3-ジフルオロフェノールに塩基を作用させてフェノラートとし、その後一般式(1)で表される化合物と反応させることによって一般式(2)で表される化合物を得るが、使用する塩基としては金属水素化物、金属炭酸塩、金属リン酸塩、金属水酸化物、金属カルボン酸塩、金属アミドおよび金属等を挙げることができ、中でもアルカリ金属水素化物、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アミドおよびアルカリ金属が好ましく、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水素化物およびアルカリ金属炭酸塩は更に好ましい。アルカリ金属水素化物としては水素化リチウム、水素化ナトリウムおよび水素化カリウムを、アルカリ金属リン酸塩としてはリン酸三カリウムを、アルカリ金属炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムをそれぞれ好ましく挙げることができる。
【0018】
反応溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、エーテル系溶媒、塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒および極性溶媒等を好ましく用いることができる。エーテル系溶媒としては、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびt-ブチルメチルエーテル等を、塩素系溶媒としてはジクロロメタン、1,2-ジクロロエタンおよび四塩化炭素等を、炭化水素系溶媒としてはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンおよびオクタン等を、芳香族系溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼンおよびジクロロベンゼン等を、極性溶媒としてはN,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドおよびスルホラン等を好例として挙げることができる。中でも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒およびN,N-ジメチルホルムアミド等の極性溶媒がより好ましい。また、前記の各溶媒を単独で使用しても、2種もしくはそれ以上の溶媒を混合して使用してもよい。
【0019】
反応温度は溶媒の凝固点から還流温度範囲で行うことができるが、0℃から150℃が好ましく、30℃から120℃がより好ましい。なお、生成したフェノラートを一度単離してから一般式(1)で表される化合物と反応させてもよく、単離せずに反応させてもよいが、作業の容易さから単離せずに反応させたほうがよい。
【0020】
なお、R1およびR2はそれぞれ独立的にメチル基、エチル基またはプロピル基を表すかまたは、R1およびR2は-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-または-CH2C(CH3)2CH2-を表すが、R1およびR2が共にメチル基であるか、R1およびR2が-CH2CH2-または-CH2CH2CH2-であることが好ましい。X1は塩素、臭素、よう素、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表すが、臭素またはメタンスルホニルオキシ基が好ましい。
【0021】
一般式(2)で表される化合物の脱保護は、酸性条件下で行うことが好ましい。使用する酸としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、しゅう酸、p-トルエンスルホン酸等のプロトン酸および三フッ化ほう素等のルイス酸等が挙げられるが、ギ酸を用いるのが好ましい。
【0022】
反応溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、エーテル系溶媒、塩素系溶媒、ケトン系溶媒、炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒および極性溶媒等を好ましく用いることができ、無溶媒で反応させてもよい。エーテル系溶媒としては、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびt-ブチルメチルエーテル等を、塩素系溶媒としてはジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルムおよび四塩化炭素等を、ケトン系溶媒としてはアセトンおよび2-ブタノン等を、炭化水素系溶媒としてはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンおよびオクタン等を、芳香族系溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼンおよびジクロロベンゼン等を、極性溶媒としてはアセトニトリルおよびジメチルスルホキシド等を好例として挙げることができる。中でも、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンおよびオクタン等の炭化水素系溶媒およびベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒等がより好ましい。また、前記の各溶媒を単独で使用しても、2種もしくはそれ以上の溶媒を混合して使用してもよい。
反応温度は溶媒の凝固点から還流温度範囲で行うことができるが、0℃から100℃が好ましく、30℃から60℃がより好ましい。
【0023】
式(3)で表される化合物をメトキシメチルリンイリドと反応させた後加水分解することにより式(4)で表される化合物を得ることができる。リンイリドはホスホニウム塩、ホスホン酸エステル等から調整することができるが、メトキシメチルトリフェニルホスホニウム塩から調整することが好ましい。
【0024】
メトキシメチルトリフェニルホスホニウム塩を用いてイリドを調整する場合塩基を作用させて行うが、使用する塩基としてはカリウム-t-ブトキシド、n-ブチルリチウム、フェニルリチウム、水素化ナトリウム等が好ましく、カリウム-t-ブトキシドがより好ましい。反応溶媒はエーテル系溶媒、芳香族系溶媒および極性溶媒等を好ましく用いることができる。エーテル系溶媒としては、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびt-ブチルメチルエーテル等を、芳香族系溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を、極性溶媒としてはN,N-ジメチルホルムアミド等を好例として挙げることができる。中でもテトラヒドロフランおよびトルエンがより好ましい。また、前記の各溶媒を単独で使用しても、2種もしくはそれ以上の溶媒を混合して使用してもよい。
反応温度は溶媒の凝固点から還流温度範囲で行うことができるが、-40℃から30℃が好ましく、-20℃から20℃がより好ましい。得られたイリドは単離することなく式(3)で表される化合物と反応させるのが好ましい。また、メトキシメチルトリフェニルホスホニウム塩および式(3)で表される化合物の混合物に対して塩基を加えてもよい。
【0025】
加水分解は酸触媒下で行うことができる。使用する酸としては、希塩酸、硫酸水溶液等を好例として挙げることができる。反応溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒等を好ましく用いることができ、無溶媒で反応させてもよい。エーテル系溶媒としては、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびt-ブチルメチルエーテル等を、炭化水素系溶媒としてはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンおよびオクタン等を、芳香族系溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼンおよびジクロロベンゼン等を好例として挙げることができる。中でも、テトラヒドロフランがより好ましい。また、前記の各溶媒を単独で使用しても、2種もしくはそれ以上の溶媒を混合して使用してもよい。
反応温度は溶媒の凝固点から還流温度範囲で行うことができるが、0℃から80℃が好ましい。
【0026】
こうして得られる式(4)で表される化合物は、シクロヘキサン環に関するシス体およびトランス体の混合物として得られるが、液晶化合物の中間体として使用するためにはトランス体であることが好ましい。式(4)で表される化合物のシクロヘキサン環に関しては、塩基を作用させることによりシス−トランス異性化を行うことができ、トランス体を過剰に得ることができる。この際使用する塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好ましく、反応溶媒はメタノール、エタノールおよびテトラヒドロフラン等が好ましく、反応温度は-40℃から20℃が好ましく、-20℃から10℃がより好ましい。
【0027】
式(4)で表される化合物にアルキルリンイリドを反応させることによって一般式(5)で表される化合物を得ることができる。リンイリドはホスホニウム塩、ホスホン酸エステル等から調整することができるが、アルキルトリフェニルホスホニウム塩から調整することが好ましい。
【0028】
アルキルトリフェニルホスホニウム塩を用いてイリドを調整する場合塩基を作用させて行うが、使用する塩基としてはカリウム-t-ブトキシド、n-ブチルリチウム、フェニルリチウム、水素化ナトリウム等が好ましく、カリウム-t-ブトキシドがより好ましい。反応溶媒はエーテル系溶媒、芳香族系溶媒および極性溶媒等を好ましく用いることができる。エーテル系溶媒としては、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびt-ブチルメチルエーテル等を、芳香族系溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を、極性溶媒としてはN,N-ジメチルホルムアミド等を好例として挙げることができる。テトラヒドロフランおよびトルエンがより好ましい。また、前記の各溶媒を単独で使用しても、2種もしくはそれ以上の溶媒を混合して使用してもよい。反応温度は溶媒の凝固点から還流温度範囲で行うことができるが、-40℃から30℃が好ましく、-20℃から20℃がより好ましい。得られたイリドは単離することなく式(4)で表される化合物と反応させるのが好ましい。また、アルキルトリフェニルホスホニウム塩および式(4)で表される化合物の混合物に対して塩基を加えてもよい。アルキルトリフェニルホスホニウム塩としてはメチルトリフェニルホスホニウム塩が好ましい。
【0029】
一般式(5)で表される化合物の酸化は、有機金属試薬により脱プロトン化した後ほう酸トリアルキルと反応させてほう素化合物とし、その後酸化剤を作用させることによって行うことができる。反応溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、エーテル系溶媒および炭化水素系溶媒等を挙げることができる。エーテル系溶媒としては、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびt-ブチルメチルエーテル等を、炭化水素系溶媒としてはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンおよびオクタン等が挙げられ、中でもテトラヒドロフランが好ましい。有機金属試薬としてはn-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、メチルリチウムおよびリチウムジイソプロピルアミド等を挙げることができ、入手および取り扱いの容易さからn-ブチルリチウムおよびsec-ブチルリチウムが好ましく、効率的に脱プロトン化が可能であるsec-ブチルリチウムがより好ましい。また、脱プロトン化の際には、上記有機金属試薬と共にカリウム-t-ブトキシド、テトラメチルエチレンジアミン等の塩基を添加剤として用いてもよい。脱プロトン化の際の反応温度は-100℃から-20℃が好ましく、-78℃から-40℃がより好ましい。
【0030】
ほう酸トリアルキルとしては、ほう酸トリメチルを用いるのが好ましい。ほう素化の際の反応温度は-100℃から-20℃が好ましく、-78℃から-40℃がより好ましい。得られたほう素化合物は一度単離してもよく、単離せずそのまま酸化剤と反応させてもよい。また、得られたほう素化合物を加水分解してほう酸化合物へと変換した後に酸化剤と反応させても構わない。
【0031】
酸化剤としては、過酸化水素水、過酢酸または過ギ酸を用いるのが好ましい。反応温度は-78℃から70℃が好ましく、0℃から50℃がより好ましい。また、酸化剤との反応時には、溶媒に水が含まれていても構わない。
【0032】
一般式(6)で表される化合物を一般式(8)で表される化合物に変換する反応は、一般式(1)で表される化合物を一般式(2)へ変換する反応(前述)と同様に行うことができる。この際X2は塩素、臭素、よう素、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表すが、臭素またはメタンスルホニルオキシ基が好ましい。
【0033】
一般式(7)および一般式(8)において、R4は炭素原子数1から12のアルキル基、炭素原子数2から12のアルケニル基、炭素原子数1から12のアルコキシ基、炭素原子数3から12のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1から12のアルキル基または炭素原子数2から12のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1から7のアルキル基を表す化合物の製造が特に好ましい。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。化合物の構造は、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、質量スペクトル(MS)等により確認した。
化合物記載に下記の略号を使用する。
THF :テトラヒドロフラン
DMF :N, N-ジメチルホルムアミド
Me :メチル基
Et :エチル基
Bu :ブチル基
Ph :フェニル基
Ms :メタンスルホニル基
(実施例1)1-((4’,4’-エチレンジオキシ)シクロヘキシル)メトキシ-2,3-ジフルオロベンゼン(Ia)の合成
【0035】
【化9】

【0036】
メタンスルホン酸 ((4’,4’-エチレンジオキシ)シクロヘキシル)メチル721 g、2,3-ジフルオロフェノール393 g、炭酸ナトリウム320 gおよびDMF 2.1 Lを混合し、130℃で2時間攪拌した。水4.2 Lを加え、ヘキサン/トルエン=1/1で抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、カラムクロマトグラフィーに付し、溶媒を減圧留去した。残渣を再結晶により精製し、1-((4’, 4’-エチレンジオキシ)シクロヘキシル)メトキシ-2,3-ジフルオロベンゼン(Ia)493 gを得た。化合物(Ia)は、液晶化合物の製造中間体として有用である。
MS m/z : 284 (M+)
1H-NMR (60 MHz, CDCl3)
δ: 1.3 2.0 (m, 9 H), 3.8 4.0 (m, 6 H), 6.4 6.6 (m, 2 H), 6.8 7.0 (m, 1 H)
(実施例2)2,3-ジフルオロ-1-(4-オキソシクロヘキシル)メトキシベンゼン(Ib)の合成
【0037】
【化10】

【0038】
1-((4’, 4’-エチレンジオキシ)シクロヘキシル)メトキシ-2,3-ジフルオロベンゼン(Ia)493 gをトルエン1 Lに溶解し、ギ酸1 Lを加えて室温で2時間攪拌後、50℃で1.5時間攪拌した。室温まで冷却後、水および飽和食塩水を加えて有機層を分取し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィーに付した後溶媒を減圧留去して2,3-ジフルオロ-1-(4-オキソシクロヘキシル)メトキシベンゼン(Ib)412.4 gを得た。化合物(Ib)は、液晶化合物の製造中間体として有用である。
MS m/z : 240 (M+)
1H-NMR (60 MHz, CDCl3)
δ: 1.6 1.9 (m, 4 H), 2.0 2.4 (m, 5 H), 3.8 4.0(m, 2 H), 6.4 6.6 (m, 2 H), 6.8 7.0 (m, 1 H)
(実施例3)2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-ホルミルシクロヘキシル)メトキシベンゼン(Ic)の合成
【0039】
【化11】

【0040】
2,3-ジフルオロ-1-(4-オキソシクロヘキシル)メトキシベンゼン(Ib)412.4 gおよびメトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリド706 gをTHF 1200 mLに分散し、カリウム-t-ブトキシド231 gのTHF(450 mL)溶液を内温-10〜5℃で加え、30分攪拌した。水50 mLを加えた後溶媒を減圧留去し、残渣に50%メタノール水溶液およびヘキサンを加えて有機層を分取した。有機層を50%メタノール水溶液および飽和食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィーに付した後溶媒を減圧留去した。残渣にTHF 800 mLおよび10%塩酸400 mLを加え、1.5時間加熱還流した。室温まで冷却後THF/ヘキサン混合溶媒で抽出し、有機層を飽和食塩水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣に水酸化ナトリウム20 gのメタノール(1 L)溶液を加え、内温-20〜-5℃で1時間攪拌した。水1 L、飽和食塩水500 mL、THF 200 mLおよび酢酸エチル500 mLを加えて有機層を分取し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後溶媒を減圧留去して2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-ホルミルシクロヘキシル)メトキシベンゼン(Ic)363 gを得た。化合物(Ic)は、液晶化合物の製造中間体として有用である。
MS m/z : 254 (M+)
1H-NMR (60 MHz, CDCl3)
δ: 1.3 2.0 (m, 9 H), 2.2 2.4 (m, 1 H), 3.8 4.0 (m, 2 H), 6.4 6.6 (m, 2 H), 6.8 7.0 (m, 1 H), 9.6 9.8 (m, 1 H)
(実施例4)2,3-ジフルオロ-1- (トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メトキシベンゼン(Id)の合成
【0041】
【化12】

【0042】
メチルトリフェニルホスホニウムクロリド612 gおよび2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-ホルミルシクロヘキシル)メトキシベンゼン(Ic)363 gをTHF 1 Lに分散し、カリウム-t-ブトキシド192 gのTHF(200 mL)溶液を内温-10℃で滴下し、30分攪拌した。水50 mLを加えた後溶媒を減圧留去し、残渣に50%メタノール水溶液およびヘキサンを加えて有機層を分取した。有機層を50%メタノール水溶液および飽和食塩水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー、減圧蒸留および再結晶により精製し、無色結晶として2,3-ジフルオロ-1- (トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メトキシベンゼン(Id)146.8 gを得た。化合物(Id)は、液晶化合物の製造中間体として有用である。
沸点 125℃/0.4 mmHg
MS m/z : 252 (M+)
1H-NMR (60 MHz, CDCl3)
δ: 1.3 1.5 (m, 8 H), 1.8 2.2 (m, 2 H), 3.8 4.0 (m, 2 H), 4.8 5.0 (m, 2 H), 5.7 5.9 (m, 1 H), 6.4 6.6 (m, 2 H), 6.8 7.0 (m, 1 H)
(実施例5)2,3-ジフルオロ-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メトキシフェノール(Ie)の合成
【0043】
【化13】

【0044】
2,3-ジフルオロ-1- (トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メトキシベンゼン(Id)146.8 gをTHF 500 mLに溶解し、sec-ブチルリチウム(1.0 M in hexane, cyclohexane)611 mLを内温-40〜-55℃で滴下し、内温を保ったまま20分攪拌した。ほう酸トリメチル66.5 gを内温-40〜-55℃で滴下し、0℃まで昇温した。30%過酸化水素水99 mLを5分で滴下し、40℃で2時間攪拌した。希塩酸を加えてしばらく攪拌し、ヘキサン/THF混合溶媒で抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して、ほぼ無色結晶として2,3-ジフルオロ-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メトキシフェノール(Ie)165 gを得た。化合物(Ie)は、液晶化合物の製造中間体として有用である。
MS m/z : 268 (M+)
1H-NMR (60 MHz, CDCl3)
δ: 1.3 1.5 (m, 8 H), 1.8 2.2 (m, 2 H), 3.8 4.0 (m, 2 H), 4.8 5.0 (m, 2 H), 5.7 5.9 (m, 1 H), 6.3 6.5 (m, 2 H), 4.0 6.0 (s, 1 H)
(実施例6)2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-ブチルシクロヘキシル)メトキシ-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メトキシベンゼン(If)の合成
【0045】
【化14】

【0046】
2,3-ジフルオロ-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メトキシフェノール(Ie)80 g 、(トランス-4-ブチルシクロヘキシル)ブロモメタン83.4 g、リン酸三カリウム76 gおよびDMF 240 mLを混合し、100 110℃で4.5時間攪拌した。室温まで冷却後、水、トルエンおよびヘキサンを加えて有機層を分取した。水層をトルエン/ヘキサン混合溶媒で抽出し、有機層を合わせて水および飽和食塩水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。残渣を再結晶およびカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色結晶として2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-ブチルシクロヘキシル)メトキシ-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メトキシベンゼン(If)を得た。
相転移温度 : C 55.2 N 95.8 I
MS m/z : 420 (M+), 146 (100)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ: 0.80 1.35 (m, 15 H), 0.889 (t, J = 6.8 Hz, 3 H), 1.65 2.00 (m, 11 H), 3.76 (d, J = 6.4 Hz, 2 H), 3.78 (d, J = 6.4 Hz, 2 H), 4.85 5.05 (m, 2 H), 5.79 (ddd, J = 6.8 Hz, J = 10.4 Hz, J = 17.2 Hz, 1 H), 6.59 (d, J = 5.6 Hz, 2 H)
(実施例7)2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシ-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メトキシベンゼン(IIf)の合成
【0047】
【化15】

【0048】
実施例6において、(トランス-4-ブチルシクロヘキシル)ブロモメタンの代わりにメタンスルホン酸 (トランス-4-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メチルを用い、同様の操作を行うことにより、2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシ-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メトキシベンゼン(IIf)を得た。
相転移温度 : C 75.6 N 195.2 I
MS m/z : 474 (M+), 146 (100)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ: 0.75 1.25 (m, 17 H), 0.86 (t, J = 7.2 Hz, 3 H), 1.65 2.00 (m, 15 H), 3.75 (d, J = 6.8 Hz, 2 H), 3.78 (d, J = 6.4 Hz, 2 H), 4.87 5.03 (m, 2 H), 5.79 (ddd, J = 6.8 Hz, J = 10.4 Hz, J = 17.2 Hz, 1 H), 6.59 (d, J = 5.2 Hz, 2 H)
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の製造方法は、液晶化合物の製造方法として有用である。また、本発明の化合物は、液晶化合物の製造中間体として有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、R1およびR2はそれぞれ独立的にメチル基、エチル基またはプロピル基を表すか、R1およびR2は-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-または-CH2C(CH3)2CH2-を表し、X1は塩素、臭素、よう素、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)で表される化合物に2,3-ジフルオロフェノールより調製されるフェノラートを反応させることにより一般式(2)
【化2】

(式中、R1およびR2は一般式(1)と同じ意味を表す。)で表される化合物とし、この化合物を脱保護して式(3)
【化3】

で表される化合物とし、この化合物をメトキシメチルリンイリドと反応させた後加水分解することにより式(4)
【化4】

で表される化合物とし、この化合物にアルキルリンイリドを反応させることにより一般式(5)
【化5】

(式中、R3は水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
で表される化合物とし、この化合物を酸化して一般式(6)
【化6】

(式中、R3は一般式(5)と同じ意味を表す。)
で表される化合物とし、この化合物から調製されるフェノラートを一般式(7)
【化7】

(式中、X2は塩素、臭素、よう素、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、R4は炭素原子数1から12のアルキル基、炭素原子数2から12のアルケニル基、炭素原子数1から12のアルコキシ基、炭素原子数3から12のアルケニルオキシ基を表し、nは1または2を表す。)で表される化合物と反応させることによる一般式(8)
【化8】

(式中、R3は一般式(5)と同じ意味を表し、R4およびnは一般式(7)と同じ意味を表す。)で表される化合物の製造方法。
【請求項2】
一般式(2)
【化9】

(式中、R1およびR2はそれぞれ独立的にメチル基、エチル基またはプロピル基を表すか、R1およびR2は-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-または-CH2C(CH3)2CH2-を表す。)で表される化合物を脱保護して式(3)
【化10】

で表される化合物とし、この化合物をメトキシメチルリンイリドと反応させた後加水分解することにより式(4)
【化11】

で表される化合物とし、この化合物にアルキルリンイリドを反応させることにより一般式(5)
【化12】

(式中、R3は水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
で表される化合物とし、この化合物を酸化して一般式(6)
【化13】

(式中、R3は一般式(5)と同じ意味を表す。)
で表される化合物とし、この化合物から調製されるフェノラートを一般式(7)
【化14】

(式中、X2は塩素、臭素、よう素、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、R4は炭素原子数1から12のアルキル基、炭素原子数2から12のアルケニル基、炭素原子数1から12のアルコキシ基、炭素原子数3から12のアルケニルオキシ基を表し、nは1または2を表す。)で表される化合物と反応させることによる一般式(8)
【化15】

(式中、R3は一般式(5)と同じ意味を表し、R4およびnは一般式(7)と同じ意味を表す。)で表される化合物の製造方法。
【請求項3】
式(3)
【化16】

で表される化合物をメトキシメチルリンイリドと反応させた後加水分解することにより式(4)
【化17】

で表される化合物とし、この化合物にアルキルリンイリドを反応させることにより一般式(5)
【化18】

(式中、R3は水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
で表される化合物とし、この化合物を酸化して一般式(6)
【化19】

(式中、R3は一般式(5)と同じ意味を表す。)
で表される化合物とし、この化合物から調製されるフェノラートを一般式(7)
【化20】

(式中、X2は塩素、臭素、よう素、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、R4は炭素原子数1から12のアルキル基、炭素原子数2から12のアルケニル基、炭素原子数1から12のアルコキシ基、炭素原子数3から12のアルケニルオキシ基を表し、nは1または2を表す。)で表される化合物と反応させることによる一般式(8)
【化21】

(式中、R3は一般式(5)と同じ意味を表し、R4およびnは一般式(7)と同じ意味を表す。)で表される化合物の製造方法。
【請求項4】
式(4)
【化22】

で表される化合物にアルキルリンイリドを反応させることにより一般式(5)
【化23】

(式中、R3は水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
で表される化合物とし、この化合物を酸化して一般式(6)
【化24】

(式中、R3は一般式(5)と同じ意味を表す。)
で表される化合物とし、この化合物から調製されるフェノラートを一般式(7)
【化25】

(式中、X2は塩素、臭素、よう素、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、R4は炭素原子数1から12のアルキル基、炭素原子数2から12のアルケニル基、炭素原子数1から12のアルコキシ基、炭素原子数3から12のアルケニルオキシ基を表し、nは1または2を表す。)で表される化合物と反応させることによる一般式(8)
【化26】

(式中、R3は一般式(5)と同じ意味を表し、R4およびnは一般式(7)と同じ意味を表す。)で表される化合物の製造方法。
【請求項5】
一般式(5)
【化27】

(式中、R3は水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
で表される化合物を酸化して一般式(6)
【化28】

(式中、R3は一般式(5)と同じ意味を表す。)
で表される化合物とし、この化合物から調製されるフェノラートを一般式(7)
【化29】

(式中、X2は塩素、臭素、よう素、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、R4は炭素原子数1から12のアルキル基、炭素原子数2から12のアルケニル基、炭素原子数1から12のアルコキシ基、炭素原子数3から12のアルケニルオキシ基を表し、nは1または2を表す。)で表される化合物と反応させることによる一般式(8)
【化30】

(式中、R3は一般式(5)と同じ意味を表し、R4およびnは一般式(7)と同じ意味を表す。)で表される化合物の製造方法。
【請求項6】
一般式(6)
【化31】

(式中、R3は水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
で表される化合物から調製されるフェノラートを一般式(7)
【化32】

(式中、X2は塩素、臭素、よう素、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、R4は炭素原子数1から12のアルキル基、炭素原子数2から12のアルケニル基、炭素原子数1から12のアルコキシ基、炭素原子数3から12のアルケニルオキシ基を表し、nは1または2を表す。)で表される化合物と反応させることによる一般式(8)
【化33】

(式中、R3は一般式(6)と同じ意味を表し、R4およびnは一般式(7)と同じ意味を表す。)で表される化合物の製造方法。
【請求項7】
一般式(5)
【化34】

(式中、R3は水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
で表される化合物を酸化することによる一般式(6)
【化35】

(式中、R3は一般式(5)と同じ意味を表す。)
で表される化合物の製造方法。
【請求項8】
メトキシメチルリンイリドがメトキシメチルトリフェニルホスホニウム塩より調製されるイリドである請求項1、2、3又は4記載の製造方法。
【請求項9】
アルキルリンイリドがアルキルトリフェニルホスホニウム塩より調製されるイリドである請求項1、2又は3記載の製造方法。
【請求項10】
一般式(5)で表される化合物を酸化する方法が、一般式(5)で表される化合物の4位を有機金属試薬により脱プロトン化し、ほう酸トリアルキルと反応させた後、過酸化物を反応させることによる請求項1、2、3、4、5または7の何れかに記載の製造方法。
【請求項11】
有機金属試薬としてn-ブチルリチウムまたはsec-ブチルリチウムを用い、ほう酸トリアルキルとしてほう酸トリメチルを用いる請求項8の製造方法。
【請求項12】
酸化剤として過酸化水素、過ギ酸または過酢酸を用いる請求項8または9記載の製造方法。
【請求項13】
X1が臭素またはメタンスルホニルオキシ基を表す請求項1記載の製造方法。
【請求項14】
X2が臭素またはメタンスルホニルオキシ基を表す請求項1から6の何れかに記載の製造方法。
【請求項15】
R1およびR2が共にメチル基を表すかまたは、R1およびR2が-CH2CH2-または-CH2CH2CH2-を表す請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項16】
式(3)
【化36】

で表される化合物。
【請求項17】
式(4)
【化37】

で表される化合物。
【請求項18】
一般式(5)

(式中、R3は水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
で表される化合物。
【請求項19】
一般式(6)
【化38】

(式中、R3は水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
で表される化合物。
















【公開番号】特開2007−145785(P2007−145785A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345632(P2005−345632)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】