説明

ジベンゾアゼピン系重合体

【課題】均質な膜を容易かつ低廉に製造可能で、環境を汚染しにくい重合体を提供。
【解決手段】下記式(1)で表される化合物を主鎖の骨格とする重合体を、下記式(2)の化合物の脱ハロゲン化重縮合または下記式(3)の化合物の酸化重合にて合成する。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレンで架橋されたジフェニルアミンであるジベンゾアゼピン誘導体を主鎖に持つ新規なジベンゾアゼピン系重合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モノシランで架橋されたジフェニルアミンであるフェナザシリン化合物は酸化を防止する化合物として記載されている(非特許文献1参照)。また、フェナザシリン化合物は、ジェットエンジンの潤滑剤用の耐熱性添加剤として記載されている(非特許文献2参照)。
【非特許文献1】Issled.Obl.Fiz.Khim.Kauch.Rezin,2,14(1973)
【非特許文献2】Ann.N.Y.Acad.Sci.,125,242(1965)
【0003】
さらに、フェナザシリンの低分子化合物について、発光素子の正孔輸送材料として好適に用いられることが記載されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−302339号公報
【特許文献2】特開平10−218884号公報
【0004】
一方で、ポリアニリンを初めとする芳香族アミン型ポリマーは、高い電気活性を示すことが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来のフェナザシリンをはじめとする低分子化合物を発光素子を始めとする電子素子の構成材料として用いる場合、キャスト法では膜形成がうまくいかないので、真空蒸着等の方法が用いられる。その場合、真空蒸着装置等の高価な機器が必要とされるので、より簡便な手段によって電子素子の構成材料として利用できることが求められている。
【0006】
さらに、上記従来のフェナザシリンをはじめとする低分子化合物を酸化防止剤等の高分子への添加剤として用いる場合、それが環境へ溶けだすことが問題視されており、溶け出しにくい高分子材料の使用が求められている。
【0007】
また、ポリアニリンを初めとする芳香族アミン型ポリマーは、一般の有機溶媒への溶解性が低いため、膜形成がしにくく、素子化が難しいという問題を有する。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、均質な膜の作成を容易かつ低廉に製造することが可能であり、環境問題を生ずる恐れも少ない重合体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)で表されるジベンゾアゼピン化合物を主鎖骨格とする重合体が有機溶媒への溶解性が高いことを発見し、キャスト法による膜作成が可能であることを見いだした。即ち、第一発明の重合体は下記一般式(1)で示されるようなジベンゾアゼピン化合物を主鎖骨格とすることを特徴とする。
【0010】
【化4】

(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子を示し、nは平均重合度である)
【0011】
また、第一発明の重合体は、下記一般式(2)で表されるジベンゾアゼピン化合物をニッケル錯体を用いて脱ハロゲン化重縮合反応を行うことによって製造することができる。
【化5】

(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子を示し、X,Xはそれぞれ独立にハロゲン原子を示す。)
【0012】
また、第一発明の重合体は、下記一般式(3)で表されるジベンゾアゼピン化合物を酸化剤を用いて重縮合反応を行うことによって製造することができる。
【化6】

(式中、Rは、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子を示す。)

【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、新規なジベンゾアゼピン重合体が、簡単な方法で薄膜化ができるような素材として提供される。それにより、本発明の重合体を用いた有機電子素子を作成することが可能となる。また、蛍光強度が低下し難く、色移りのおそれが少ない蛍光性樹脂及びそうした蛍光性樹脂を製造するための蛍光顔料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
前記一般式(1)〜(3)において、Rで表されるアルキル基としては、メチル、エチル、n−またはiso−プロピル、n−、iso−またはtert−ブチル、n−、iso−またはneo−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等の直鎖、分岐、環状の炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルキル基が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−またはiso−プロポキシ、n−、iso−またはtert−ブトキシ、n−、iso−またはneo−ペントキシ、n−ヘキソキシ、シクロヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ等の直鎖、分岐、環状の炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基があげられる。アリール基としては、フェニル基、o−、m−、p−トリル基、1−および2−ナフチル基、アントリル基等の炭素数6〜20、好ましくは6〜14のアリール基が挙げられる。アリーロキシ基としては、フェノキシ基、o−、m−、p−トリロキシ基、1−および2−ナフトキシ基、アントロキシ基等の炭素数6〜20、好ましくは6〜14のアリーロキシ基が挙げられる。
【0015】
さらに、Rにおける「置換されていてもよい」の置換基としては、後記する重合反応に関与しないものであればよく、例えば、アミノ基や、前記したアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基が挙げられる。
【0016】
「置換されていてもよい」の置換基としてあげられるアミノ基としては、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等のアミノ基の窒素原子上に同一の置換基が導入されたもの、N−エチル−N−メチルアミノ基、N−ベンジル−N−メチルアミノ基等のアミノ基の窒素原子上に異なる置換基が導入されたものが挙げられる。
【0017】
前記一般式(2)において、X,Xで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、特に臭素原子が望ましい。
【0018】
前記一般式(1)で表される重合体は前記一般式(2)のハロゲン化されたジベンゾアゼピン化合物を溶媒に溶かし、このモノマーに対し0.1〜20当量のニッケル錯体を用いて脱ハロゲン化カップリング反応下にて重合を行うことによって製造することができる。この場合の反応は式(4)で表される。
【0019】
【化7】

(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子を示し、X,Xはそれぞれ独立にハロゲン原子を示し、nは平均重合度である。)
【0020】
ニッケル錯体を用いる脱ハロゲン化重縮合においては、この種の反応において通常用いられる種々の溶媒を用いることができる。これを例示すれば、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)等である。
【0021】
前記ニッケル錯体としては、テトラカルボニルニッケル(0)、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、(η−エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テトラキス(イソシアン化t−ブチル)ニッケル(0)、[(1,2,5,6,8,10−η)−trans,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエン]ニッケル(0)、等を例示することができる。ニッケル錯体は、前記(3)の化合物一当量あたり、0.1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で用いられる。
【0022】
また、ニッケル錯体には支持配位子として0.1〜10当量の2,2’−ビピリジルやトリフェニルホスフィン等の配位子を加えてもよい。例を挙げれば、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)に2,2’−ビピリジルを1当量加えて用いる、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)にトリフェニルホスフィンを2当量加えて用いる等である。
【0023】
脱ハロゲン化重縮合反応は、溶媒の融点〜溶媒の沸点まで種々の温度で実施できるが、特に0℃〜100℃程度が望ましい。反応後は、再沈等によって精製できる。
【0024】
また、前記一般式(1)で表される重合体は前記一般式(3)のジベンゾアゼピン化合物を溶媒に溶かし、このモノマーに対し1〜20当量の酸化剤を用いて重合を行うことによって製造することができる。この場合の反応は式(5)で表される。
【0025】
【化8】

(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子を示し、nは平均重合度を示す。)
【0026】
酸化重合においては、この種の反応において通常用いられる種々の溶媒を用いることができる。これを例示すれば、水、塩酸水溶液、アセトニトリル、クロロホルム等である。
【0027】
酸化剤としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、塩化鉄(III)、過塩素酸鉄(III)、酸化クロム(VI)等を例示することができる。酸化剤は、前記(3)の化合物一当量あたり、0.1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で用いられる。
【0028】
また、式(5)においては、過塩素酸リチウムや過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸ナトリウム、テトラフルオロほう酸テトラブチルアンモニウムの添加剤を加えて反応させてもよい。
【0029】
酸化重合は、溶媒の融点〜溶媒の沸点まで種々の温度で実施できるが、特に0℃〜100℃程度が望ましい。反応後は、再沈等によって精製できる。
【0030】
一般式(1)で示した重合体の平均重合度は2〜30000、好ましくは3〜10000である。
【0031】
前記の方法によって得られる重合体は、スピンコートなどの簡便な成形加工手法で容易に薄膜化することができる。本発明の重合体は、これを薄膜化することにより、有機薄膜エレクトロクロミック素子とすることができる。また、本発明の重合体を正孔輸送層に用いることにより、有機薄膜発光素子とすることができる。
【0032】
本発明の重合体を樹脂に含有させることにより、本発明の蛍光性樹脂となる。樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、塩化ビニル樹脂、MS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリスルフォン、ポリエーテルスルホン、ポリ−4−メチルペンテン−1、フッ素樹脂、フェノキシド樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリウレタン等を挙げることができる。これらの樹脂の内、透明性を有する樹脂を選べば、蛍光顔料の内部からの蛍光の放射が可能となるため、より優れた美観を奏することの可能な蛍光顔料となる。
【0033】
本発明の蛍光性樹脂における蛍光顔料の含有割合は任意とすることができるが、0.00001〜50質量%の範囲が望ましい。蛍光顔料が0.00001質量%より少ない場合、放射される蛍光が弱くなり、発明の効果を十分に発揮することができなくなる。また蛍光顔料が50質量%より多いと、樹脂としての本来の性質が発揮されなくなり、機械的強度が弱くなる等の不具合の生ずるおそれがある。特に好ましいのは蛍光顔料が0.0001〜1質量%の範囲である。
【0034】
蛍光顔料の樹脂への含有方法については特に限定はないが、例えばニーダー、エクストルーダ、ロールミル等により樹脂の軟化温度以上で合成樹脂と練り合わし、冷却後にチョッパーミル等にて粗粉砕した後に、ファインミル、ジェットミル、超音速ジェットミル等により微粉砕して、蛍光性樹脂とすることができる。
【実施例】
【0035】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0036】
(実施例1)脱ハロゲン化カップリング反応によるポリ(5−メチルジベンゾアゼピン−2,8−ジイル)(一般式1,R=メチル基)の合成
【0037】
【化9】

【0038】
窒素雰囲気下でビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)0.69g(2.5mmol)に1,5−シクロオクタジエン1mLを加えた後にトルエンを15mL加えて懸濁させた。更に2,2’−ビピリジル0.39g(2.5mmol)を加えてかくはんした。更に0.771g(2.1mmol)の2,8−ジブロモ−5−メチルジベンゾアゼピン(一般式2,R=メチル,X=X=Br)を加えた後に60℃に昇温して48時間かくはんした。反応液をメタノールに注ぎ、得られた粉末をろ過した。この粉末を水、メタノールの順で洗浄した後にジクロロメタンに溶かしてヘキサンで再沈殿することにより、432mg(モノマー単位として2.0mmol)のポリマーを単離した。得られたポリマーは文献未記載の新規化合物であった。ポリマーの重量平均分子量は1800(n=8.7)であった。また、ポリマーのTHF溶液の吸収極大波長は330nmであった。
【0039】
NMRスペクトルデータについては以下の通りである。
H−NMR(CDCl):δ7.0〜7.4(m,6H),3.42(s,4H),3.25(s,3H)
13C−NMR(CDCl):147.56,134.17,133.14,127.95,124,62,118.97,40.57,33.16。
【0040】
元素分析値は以下の通りである。
元素分析値:C1513N・
0.5HOとしての計算値:C,83.3%;H,6.5%;N,6.5%、実測値:C,83.3%;H,6.6%;N;6.6%。
【0041】
(実施例2)脱ハロゲン化カップリング反応によるポリ(5−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)ジベンゾアゼピン−2,8−ジイル)(一般式1,R=3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基)の合成
【0042】
【化10】

【0043】
窒素雰囲気下でビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)0.25g(0.91mmol)に1,5−シクロオクタジエン1mLを加えた後にトルエンを2.5mL加えて懸濁させた。更に2,2’−ビピリジル0.14g(0.91mmol)を加えてかくはんした。更に297mg(0.68mmol)の2,8−ジブロモ−5−メチルジベンゾアゼピン(一般式2,R=3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル,X=X=Br)を加えた後に60℃に昇温して48時間かくはんした。反応液をメタノールに注ぎ、得られた粉末をろ過した。この粉末を水、メタノールの順で洗浄した後にジクロロメタンに溶かしてヘキサンで再沈殿することにより、87mg(モノマー単位として0.31mmol)のポリマーを単離した。ポリマーの重量平均分子量は1800(n=6.5)であり、ポリマーのTHF溶液の吸収極大波長は322nmであった。
【0044】
NMRスペクトルデータについては以下の通りである。
H−NMR(CDCl):δ6.8〜7.6(m,6H),3.80(2H),3.21(4H),2.32(2H),2.17(6H),1.77(2H)
13C−NMR(CDCl):147.01,134.99,134.13,128.15,124,75,120.18,57.43,48.75,45.05,32.45,25.57
【0045】
(実施例3)酸化カップリング反応によるポリ(ジベンゾアゼピン−2,8−ジイル)(一般式1,R=水素原子)の合成
【0046】
【化11】

【0047】
ジベンゾアゼピン(一般式(3),R=水素原子)487.5mg(5mmol)を、過硫酸アンモニウム5mmol(570mg)を含む1M過塩素酸リチウム水溶液中100mlに加えて2日間撹拌して得られた粉末を、ヒドラジン水溶液、水、メタノールで洗浄した。ここで得られた粉末を減圧乾燥することにより、366mg(モノマー単位として1.89mmol)のポリマーを得た。
【0048】
NMRスペクトルデータについては以下の通りである。
H−NMR(DMSO−d):δ8.28(1H),6.6〜7.4(m,6H),2.9〜3.1(4H)
【0049】
(実施例4)ジベンゾアゼピン系重合体を含有するポリ乳酸
ポリ乳酸(ユニチカ(株)製、商品名:テラマックT4000)50gに実施例1で得たポリ(N−メチルジベンゾアゼピン−2,8−ジイル)を25mg加え、小型溶融混練機により180℃で溶融混練し、蛍光顔料としてのマスターバッチ1を得た。
【0050】
さらに、このマスターバッチ1を0.15g量り採り、マスターバッチ1を調製するために用いたポリ乳酸と同じポリ乳酸1.35gに加え、小型押し出し機により、180°Cの温度で溶融混練して蛍光性樹脂とし、この蛍光性樹脂を射出成形してダンベル形状の試験片1を得た。
【0051】
(実施例5)ジベンゾアゼピン系重合体を含有するポリスチレン
実施例5では、マスターバッチの調製及び蛍光性樹脂の調製に用いる樹脂として、ポリスチレン(A&M(株)製、商品名:ポリスチレンHF55、色番:クリスタル)を用い、それらの調製時の温度は180°Cとした。他の条件は実施例4と同様である。こうして実施例2に係るマスターバッチ2及び試験片2を得た。
【0052】
(比較例)
実施例4と同様の条件で、ジベンゾアゼピン誘導体の重合物を加えていないポリ乳酸の試験片を比較例1として作成した。また、比較例2として、ジベンゾアゼピン誘導体の重合物を加えていないポリスチレンの試験片を作成した。
【0053】
(蛍光スペクトル測定)
上記試験片1及び比較例1について、紫外線照射下における蛍光スペクトル測定を行った。その結果、図1に示すように、実施例1に示したジベンゾアゼピン誘導体の重合物を含有する試験片1では、380nm付近に蛍光のピークが認められた。また、図2に示すように、試験片2においても、380nm付近に蛍光のピークが認められた。これに対し、ジベンゾアゼピンを含まない樹脂である比較例1および比較例2については、蛍光が認められなかった。
【0054】
〔ポリマーを用いたエレクトロクロミック素子〕実施例1〜3で得たポリマーのエレクトロクロミック特性の評価を以下のように行った。ポリマー1mgを200μlのジクロロエタンに溶解させ、そのポリマー溶液を市販の透明電極に(50×5mm)上にポリマー溶液をキャストし、これを作用極とした。これを対極(白金板)、参照極と共に石英セル内に配置し、支持電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム、溶媒として脱水アセトニトリルを用い、電位変化におけるポリマーの色調変化を観察した。
【0055】
中性ではポリマーの色は無色であったがキャストフィルムに引加する電位を高くすることにより無色から赤、赤紫、紫と変化した。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】試験片1および比較例1の蛍光スペクトルである。
【図2】試験片2および比較例2の蛍光スペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるジベンゾアゼピン化合物を主鎖骨格とする重合体。
【化1】

(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子を示し、nは平均重合度である。)
【請求項2】
下記一般式(2)で表されるジベンゾアゼピン化合物をニッケル錯体を用いて脱ハロゲン化重縮合反応させて重合することを特徴とする請求項1に記載の重合体の製造方法。
【化2】

(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子を示し、X,Xはそれぞれ独立にハロゲン原子を示す。)
【請求項3】
下記一般式(3)で表されるジベンゾアゼピン化合物を酸化剤を用いて重合することを特徴とする請求項1に記載の重合体の製造方法。
【化3】

(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子を示す。)
【請求項4】
請求項1に記載の重合体が樹脂に含有されていることを特徴とする蛍光性樹脂。
【請求項5】
請求項1に記載の重合体の薄膜を電子素子材料として用いることを特徴とする電子素子。
【請求項6】
電子素子材料は、エレクトロクロミック材料であることを特徴とする請求項5記載の電子素子。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−77106(P2006−77106A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261762(P2004−261762)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(591270556)名古屋市 (77)
【Fターム(参考)】