説明

ジャンクションブロック構造体

【課題】ジャンクションボックスの固定、取り外し、位置決めが容易な、ワイヤーハーネス幹線を介して供給される電源を分配し、ワイヤーハーネス支線を介して電装品等に供給するジャンクションブロック構造体を提供する。
【解決手段】T字形の3つの端部にそれぞれ配置されるコネクタを備えた回路基板と、3つの側面に前記コネクタと対応する空間部が形成され、回路基板を収納する底面ケースと天面ケースとからなるジャンクションブロックと、1つの経路と他の経路が垂直に交わるT字形のハーネス収納用の開口部を備え、ジャンクションブロックのコネクタに対応する位置に、それぞれ開口部が位置するように、ジャンクションブロックを固定する固定部を備えた保護用プロテクタとを備えたジャンクションブロック構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤーハーネス幹線を介して供給される電源を分配し、ワイヤーハーネス支線を介して電装品等に供給するジャンクションブロック構造体、特にジャンクションボックスの固定、取り外し、位置決めが容易なジャンクションブロック構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ワイヤーハーネスとして、例えば特許第2929962号公報(特許文献1)に記載された技術がある。この従来技術では、電装品単位の内部回路を備える複数のジャンクションボックス間にワイヤーハーネス幹線を配線し、ジャンクションボックスと電装品間にワイヤーハーネス支線を配線している。
【0003】
更に、特開2008−284981号公報(特許文献2)にはワイヤーハーネスシステムが開示されている。この従来技術では、各ジャンクションボックス間に配策されるワイヤーハーネス幹線と、各ジャンクションボックスと電装品間に配策されるワイヤーハーネス支線と、車両制御系および安全系システムの信号情報が入出力される電装品間に配策されるワイヤーハーネス重要線とがそれぞれ独立して配策されている。
【0004】
更に、ジャンクションボックスは、天面ケースと、底面ケースと、これら両ケース内に収容される電子制御ユニット(基板)とからなっている。ワイヤーハーネス重要線は、底面ケースに形成された切り欠き部を通って配策されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2929962号公報
【特許文献2】特開2008−284981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された従来技術では、ワイヤーハーネス製造上の難作業である分岐点でのワイヤーハーネス幹線のテーピング作業が残り、分岐点でのワイヤーハーネス幹線の固定作業性やワイヤーハーネス幹線の寸法精度が悪化する恐れがある。
【0007】
特許文献2に記載された従来技術では、ワイヤーハーネス幹線の分岐点にそれぞれ搭載されるジャンクションボックスがリーンホース上に搭載され、リーンホースはブラケット等の取り付け部材によって車体側に固定されている。従って、ジャンクションボックスは、配置に際して位置決めに時間がかかり、取り付け、取り外し作業が容易でない。
【0008】
従って、この発明の目的は、ジャンクションボックスの固定、取り外し、位置決めが容易な、ワイヤーハーネス幹線を介して供給される電源を分配し、ワイヤーハーネス支線を介して電装品等に供給するジャンクションブロック構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は上述した従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、ジャンクションボックスの下部に、ジャンクションボックスとは別の部材で、1つの経路と他の経路が垂直に交わるT字形のハーネス収納用の開口部を備え、その上にジャンクションブロックを固定する保護用プロテクタを設けると、保護用プロテクタに設けられたガイド部によって、ジャンクションボックスの下部が誘導されて所定の位置に位置決めされ、ジャンクションボックスに設けられたロック構造部によって、解除可能にロックされることが判明した。
【0010】
また、ジャンクションボックスの位置を、ジャンクションボックスに搭載されたコネクタの幅方向の中心と、上述した保護用プロテクタの開口部の幅方向の中心が対応するように位置決めすることによって、ジャンクションボックスの固定、取り外し、位置決めが容易なジャンクションブロック構造体を提供することができる。この発明は、上述した研究成果に基づいてなされたものである。
【0011】
この発明のジャンクションブロック構造体の第1の態様は、T字形の3つの端部にそれぞれ配置されるコネクタを備えた回路基板と、3つの側面に前記コネクタと対応する空間部が形成され、前記回路基板を収納する底面ケースと天面ケースとからなるジャンクションブロックと、1つの経路と他の経路が垂直に交わるT字形のハーネス収納用の開口部を備え、前記ジャンクションブロックの前記コネクタに対応する位置に、それぞれ前記開口部が位置するように、前記ジャンクションブロックを固定する固定部を備えた保護用プロテクタとを備えることを特徴とするジャンクションブロック構造体である。
【0012】
この発明のジャンクションブロック構造体の第2の態様は、前記回路基板の前記コネクタの幅方向の中心と、前記保護用プロテクタの前記開口部の幅方向の中心が概ね対応して、前記ジャンクションブロックが前記保護用プロテクタに固定されているジャンクションブロック構造体である。
【0013】
この発明のジャンクションブロック構造体の第3の態様は、前記固定部は、前記開口部の上端部から前記保護用プロテクタの底面と垂直方向に延伸して一体的に配置された複数の壁面部を備え、前記固定部には、前記1つの経路を挟んで前記ジャンクションブロックが配置され、前記壁面部の一方の面が前記ジャンクションブロックの下部の一部を誘導するガイド部を備えて、前記ジャンクションブロックを前記保護用プロテクタに位置決めすることを特徴とするジャンクションブロック構造体である。
【0014】
この発明のジャンクションブロック構造体の第4の態様は、前記ジャンクションブロックの下部に、前記固定部の前記壁面部と嵌合して、ジャンクションブロックを前記保護用プロテクタに固定する複数のロック構造部を備えており、前記T字形の分岐していない側には、解除機能を備えないロック構造を備え、前記T字形の分岐している側には、解除機能を備えたロック構造を備えていることを特徴とするジャンクションブロック構造体である。
【0015】
この発明のジャンクションブロック構造体の第5の態様は、前記保護用プロテクタは、外周部に車体に固定するための車体固定部を備えていることを特徴とするジャンクションブロック構造体である。
【0016】
この発明のジャンクションブロック構造体の第6の態様は、前記保護用プロテクタの前記開口部の底面に、ハーネス固定用の孔部を備えていることを特徴とするジャンクションブロック構造体である。
【発明の効果】
【0017】
この発明のジャンクションブロック構造体によると、ジャンクションボックスの下部に、ジャンクションボックスとは別の部材で、1つの経路と他の経路が垂直に交わるT字形のハーネス収納用の開口部を備え、その上にジャンクションブロックを固定する保護用プロテクタを設けるので、保護用プロテクタに設けられたガイド部によって、ジャンクションボックスの下部が誘導されて所定の位置に位置決めされ、ジャンクションボックスに設けられたロック構造部によって、解除可能にロックすることができる。
【0018】
また、ジャンクションボックスの位置を、ジャンクションボックスに搭載されたコネクタの幅方向の中心と、上述した保護用プロテクタの開口部の幅方向の中心が対応するように位置決めすることによって、ジャンクションボックスの固定、取り外し、位置決めが容易なジャンクションブロック構造体を提供することができる。
【0019】
この発明のジャンクションブロック構造体によると、ジャンクションブロックが保護用プロテクタに容易に位置決めされて固定され、取り外しが容易であるので、ワイヤーハーネス線スルー経路にワイヤーハーネス重要線の配置が容易であり、効率良く配線ができるので、ワイヤーハーネスの余長部分を考慮することなく、ワイヤーハーネスの軽量化を実現するとともに、ワイヤーハーネス重要線の接続不良が無くなり、車両制御系や安全系システムの信頼性が向上する。更に、ジャンクションボックス内に余計な接続コネクタを設ける必要がなくなり、ジャンクションボックスの小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、この発明のジャンクションブロックの1つの態様を説明する斜視図である。
【図2】図2は、コネクタが配置されていない側から見たこの発明のジャンクションブロックの1つの態様を説明する斜視図である。
【図3】図3は、1つの態様の保護用プロテクタを説明する斜視図である。
【図4】図4は、この発明のジャンクションブロック構造体を説明する分解図である。
【図5】図5は、ワイヤーハーネス重要線を固定するバンド取り付け部を説明する図である。
【図6】図6は、保護用プロテクタにジャンクションボックスを取り付けた状態のジャンクションボックス構造体の平面図である。
【図7】図7は、図6におけるA−A線に沿った断面図である。
【図8】図8は,直交する経路側から見たジャンクションボックス構造体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明のジャンクションブロック構造体の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
この発明のジャンクションブロック構造体の1つの態様は、T字形の3つの端部にそれぞれ配置されるコネクタを備えた回路基板と、3つの側面に前記コネクタと対応する空間部が形成され、前記回路基板を収納する底面ケースと天面ケースとからなるジャンクションブロックと、1つの経路と他の経路が垂直に交わるT字形のハーネス収納用の開口部を備え、前記ジャンクションブロックの前記コネクタに対応する位置に、それぞれ前記開口部が位置するように、前記ジャンクションブロックを固定する固定部を備えた保護用プロテクタとを備えることを特徴とするジャンクションブロック構造体である。
【0022】
図1は、この発明のジャンクションブロックの1つの態様を説明する斜視図である。図1に示すように、ジャンクションボックス2は、底面ケース5と天面ケース4からなっている。底面ケース5および天面ケース4は、それぞれ平らな面と4つの壁面からなっている。底面ケース5の壁面と天面ケース4の壁面とが重ね合わせられて組み立てられる。
【0023】
底面ケース5と天面ケース4を対向して重ね合わせた4つの壁面の3方向に、回路基板に搭載され電気的に接続されたコネクタ6−1、6−2、6−3が嵌め込まれている。回路基板はジャンクションボックス2内に収納されている。コネクタ6−1、6−2、6−3は、後述する1つの経路と他の経路が垂直に交わるT字形のハーネス収納用の開口部の3つの端部に対応してそれぞれ配置される。
【0024】
1つの経路と垂直に交わる他の経路側のコネクタ6−1の両側下部には、底面ケース5と一体的に形成された突起状部材7−1、7−2が備えられている。突起状部材7−1、7−2は、下方に向かって漸次幅が狭くなっている。突起状部材7−1、7−2のそれぞれの先端部には、詳細を後述するロック機構8−1、8−2が設けられている。コネクタ6−1と反対側の底面ケース5の壁面には、別の突起状部材7−3、7−4が底面ケース5と一体的に形成されている。別の突起状部材7−3、7−4の先端部には、詳細を後述するロック機構8−3、8−4が設けられている。
【0025】
図2は、コネクタが配置されていない側から見たこの発明のジャンクションブロックの1つの態様を説明する斜視図である。図2に示すように、後述する1つの経路と他の経路が垂直に交わるT字形の開口部に対応してコネクタ6−1、6−2、6−3が配置されている。コネクタが配置されていない底面ケースの壁面上部には、別の突起状部材7−3、7−4が、底面ケース5と一体的に形成されている。別の突起状部材7−3、7−4の先端部には、詳細を後述するロック機構8−3、8−4が設けられている。図1および図2を参照して説明した少なくともロック機構8−1、8−2は、底面ケースの壁面に向かって弾性的に小移動が可能なように、それぞれ弾力性を備えている。
【0026】
図3は、1つの態様の保護用プロテクタを説明する斜視図である。図3に示すように、保護用プロテクタは、1つの経路10と他の経路9が垂直に交わるT字形のハーネス収納用の経路の端部に開口部24−1、24−2、24−3を備え、上述したジャンクションブロック2のコネクタ6−1、6−2、6−3に対応する位置に、それぞれ開口部24−1、24−2、24−3が位置するように、ジャンクションブロック2を搭載する基部14を備えている。基部14は、1つの経路10を挟んで両側にそれぞれ設けられている。
【0027】
開口部24−1、24−2、24−3は、1つの経路10と他の経路9を形成する底面部と垂直な部材11、12とから形成されている。保護用プロテクタ3は、開口部24−1、24−2、24−3を形成する垂直な部材11、12の上端部から垂直方向に延伸して、基部14、14、14、14と一体的に形成された複数の壁面部13−1、13−2、13−3、13−4を備えている。基部14、14、14、14と、壁面部13−1、13−2、13−3、13−4と、ロック機構とによって、ジャンクションブロック2を保護用プロテクタ3に固定する固定部を形成する。
【0028】
固定部には、1つの経路10を挟んでジャンクションブロック2が配置される。このように、保護用プロテクタの上方に、ジャンクションブロックを配置することで、構造体として、小型化を実現することができ、また、ジャンクションブロックを作業性よく、取り外すことができる。複数の壁面部13−1、13−2、13−3、13−4は、それぞれ、外側に位置する平らな垂直面とジャンクションブロック2の下部の一部を誘導する、内側(1つの経路10側)に位置するガイド部を備えている。ジャンクションブロック2は、保護用プロテクタ3の壁面部13−1、13−2、13−3、13−4に備えられたガイド部に誘導されて、基部14の上に正確に位置決めされて、載置される。
【0029】
これによって、回路基板のコネクタ6−1、6−2、6−3の幅方向の中心と、保護用プロテクタ3の開口部24−1、24−2、24−3の幅方向の中心が概ね対応して、ジャンクションブロック2が保護用プロテクタ3に固定される。保護用プロテクタの4隅の所定位置に、車体に固定するための車体固定部23−1、23−2、23−3、23−4を備えている。
【0030】
図4は、この発明のジャンクションブロック構造体を説明する分解図である。図4に示すように、図1および2を参照して説明したジャンクションブロック2を、図3を参照して説明した保護用プロテクタ3に搭載し、固定する。即ち、上述したように、天面ケース4は、平らな上面15と4つの壁面16からなっている。3方の壁面16には、コネクタ6−1、6−2、6−3に対応して、上部コネクタカバー部17−1、17−2、17−3が、それぞれ壁面部16と一体的に形成されている。
【0031】
同様に、底面ケース5は、平らな底面18と4つの壁面19からなっている。3方の壁面19には、コネクタ6−1、6−2、6−3に対応して、下部コネクタカバー部20−1、20−2、20−3が、それぞれ壁面19と一体的に形成されている。底面ケース5には、更に壁面19の下部コネクタカバー部20−1の両側の下部に、底面ケース5と一体的に形成された突起状部材7−1、7−2が形成され、突起状部材7−1、7−2のそれぞれの先端部には、ロック機構8−1、8−2が設けられている。下部コネクタカバー部20−1と反対側の底面ケース5の壁面には、別の突起状部材7−3、7−4が底面ケース5と一体的に形成されている。別の突起状部材7−3、7−4の先端部には、ロック機構8−3、8−4が設けられている。ロック機構8−1、8−2は、解除機能を備え、ロック機構8−3、8−4は、解除機能を備えていない。
【0032】
底面ケース5および天面ケース4は、天面ケース4の壁面が底面ケース5の壁面の内側に位置するように重ね合わされる。底面ケース5の壁面の端部が天面ケース4の平らな上面15の裏側に接触するように配置される。このように重ね合わされた底面ケース5および天面ケース4の内側に回路基板21が収納される。回路基板21には、各種の電子部品や電源切替リレー等が実装されている。更に、T字形の3つの端部にコネクタ6−1、6−2、6−3が搭載され、回路基板と電気的に接続されている。
【0033】
このように内部に回路基板が収納され、壁面部にコネクタが配置された状態で、ジャンクションボックス2が保護用プロテクタ3に固定される。経路10を挟んで配置された基部14上にジャンクションボックスの下部が載置される。その際、ジャンクションボックス2の突起状部材7−1、7−2が、壁面部13−1、13−2の内側に形成されたガイド部に沿って基部14に向かって移動する。
【0034】
同時に、ジャンクションボックス2の別の突起状部材7−3、7−4が、壁面部13−3、13−4の内側に形成されたガイド部に沿って基部14に向かって移動する。ジャンクションボックス2の下部が基部14上に搭載されると同時に、解除機能を備えたロック機構8−1、8−2、解除機能を備えないロック機構8−3、8−4によって、壁面部13−1、13−2、13−3、13−4がそれぞれロックされる。
【0035】
上述したように、ロックされたときの状態は、回路基板のコネクタ6−1、6−2、6−3の幅方向の中心と、保護用プロテクタ3の開口部24−1、24−2、24−3の幅方向の中心が概ね対応して、ジャンクションブロック2が保護用プロテクタ3に固定された状態である。
【0036】
なお、保護用プロテクタ3の経路9および10は、ワイヤーハーネス重要線をスルーさせる経路として使用する構造としている。
【0037】
上述したように、この発明のジャンクションブロック構造体によると、ジャンクションブロックが保護用プロテクタに容易に位置決めされて固定され、取り外しが容易であるので、ワイヤーハーネス線スルー経路にワイヤーハーネス重要線の配置が容易であり、効率良く配線ができるので、ワイヤーハーネスの余長部分を考慮することなく、ワイヤーハーネスの軽量化を実現するとともに、ワイヤーハーネス重要線の接続不良が無くなり、車両制御系や安全系システムの信頼性が向上する。更に、ジャンクションボックス内に余計な接続コネクタを設ける必要がなくなり、ジャンクションボックスの小型化が可能になる。
【0038】
図5は、ワイヤーハーネス重要線を固定するバンド取り付け部を説明する図である。バンド取り付け部は、ワイヤーハーネスの外周部を囲む円筒状部材25と、バンド取り付け部材26とからなっている。バンド取り付け部材26は、開口部24−1、24−2、24−3に形成されたバンド取り付け孔部22に取り付けられる。
【0039】
図6は、保護用プロテクタにジャンクションボックスを取り付けた状態のジャンクションボックス構造体の平面図である。図7は、図6におけるA−A線に沿った断面図である。図8は,直交する経路側から見たジャンクションボックス構造体の側面図である。
【0040】
図6に示すように、T字形の3つの端部に配置されたコネクタ6−1、6−2、6−3が、それぞれの開口部24−1、24−2、24−3に対応するように位置決めされて、ジャンクションボックス2が保護用プロテクタ3の上に固定されている。開口部24−1側では、突起状部材7−1、7−2が、壁面部の内側のガイド部に沿って挿入され、解除機能を備えたロック機構8−1、8−2によって固定されている。開口部を備えていない側では、別の突起状部材7−3、7−4が、壁面部の内側のガイド部に沿って挿入され、解除機能を備えないロック機構8−3、8−4によって固定されている。これによって、ジャンクションブロックを作業性よく、取り外すことが可能である。
【0041】
図7に示すように、底面ケースおよび天面ケース内に回路基板が配置されており、コネクタの背面から基板に連絡するように配置された電線によってコネクタと基板とが電気的に接続されている。開口部24−1側においては、垂直に延伸して形成された壁面部13−2の頂部28が、ロック機構8−2に形成された窓部29に装着されて、ロック機能を発揮し、ジャンクションボックスが保護用プロテクタに固定されている。このロック機構8−2は、解除機能を備えており、頭部30を底面ケース5の壁面に向かって押すことによって、壁面部13−2の頂部28が窓部29から離脱して、ロック機構が解除される。一方、開口部が設けられていない側においては、垂直に延伸して形成された壁面部13−4の頂部28が、ロック機構8−3の頭部と組み合わされてロック機能を発揮し、ジャンクションボックスが保護用プロテクタに固定されている。このロック機構8−3は、解除機能を備えていない。
【0042】
図8に示すように、コネクタ6−1が開口部24−1に対応して配置され、壁面部13−1、13−2が、それぞれロック機構8−1、8−2によってそれぞれ固定されている。
【0043】
上述したように、この発明によると、ジャンクションボックスの固定、取り外し、位置決めが容易な、ワイヤーハーネス幹線を介して供給される電源を分配し、ワイヤーハーネス支線を介して電装品等に供給するジャンクションブロック構造体を提供することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ジャンクションボックス構造体
2 ジャンクションボックス
3 保護用プロテクタ
4 天面ケース
5 底面ケース
6 コネクタ
7 突起部
8 ロック機構
9 経路
10 経路
11 垂直な部材
12 垂直な部材
13 壁面部
14 基部
15 平らな上面
16 壁面
17 上部コネクタカバー部
18 平らな底面
19 壁面
20 下部コネクタカバー部
21 回路基板
22 バンド取り付け孔部
23 車体固定部
24 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
T字形の3つの端部にそれぞれ配置されるコネクタを備えた回路基板と、
3つの側面に前記コネクタと対応する空間部が形成され、前記回路基板を収納する底面ケースと天面ケースとからなるジャンクションブロックと、
1つの経路と他の経路が垂直に交わるT字形のハーネス収納用の開口部を備え、前記ジャンクションブロックの前記コネクタに対応する位置に、それぞれ前記開口部が位置するように、前記ジャンクションブロックを固定する固定部を備えた保護用プロテクタとを備えることを特徴とするジャンクションブロック構造体。
【請求項2】
前記回路基板の前記コネクタの幅方向の中心と、前記保護用プロテクタの前記開口部の幅方向の中心が概ね対応して、前記ジャンクションブロックが前記保護用プロテクタに固定されている、請求項1に記載のジャンクションブロック構造体。
【請求項3】
前記固定部は、前記保護用プロテクタの底面と垂直方向に延伸して一体的に配置された複数の壁面部を備え、前記固定部には、前記1つの経路を挟んで前記ジャンクションブロックが配置され、前記壁面部の一方の面が前記ジャンクションブロックの下部の一部を誘導するガイド部を備えて、前記ジャンクションブロックを前記保護用プロテクタに位置決めすることを特徴とする、請求項1または2に記載のジャンクションブロック構造体。
【請求項4】
前記ジャンクションブロックの下部に、前記固定部の前記壁面部と嵌合して、ジャンクションブロックを前記保護用プロテクタに固定する複数のロック構造部を備えており、前記T字形の分岐していない側には、解除機能を備えないロック構造を備え、前記T字形の分岐している側には、解除機能を備えたロック構造を備えていることを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記載のジャンクションブロック構造体。
【請求項5】
前記保護用プロテクタは、外周部に車体に固定するための車体固定部を備えていることを特徴とする、請求項1から4の何れか1項に記載のジャンクションブロック構造体。
【請求項6】
前記保護用プロテクタの前記開口部の底面に、ハーネス固定用の孔部を備えていることを特徴とする、請求項5に記載のジャンクションブロック構造体。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−101511(P2011−101511A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254725(P2009−254725)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】