説明

ジョイスティック装置及び車両用画面操作システム

【課題】操作に節度を付与するとともに、コスト安で且つ節度付与の応答性も良くする。
【解決手段】ジョイスティック装置に使用される第1の節度装置9及び第2の節度装置10は、軸13に設けられた回動抵抗受部15と、抵抗付与手段17と、電磁石14x(14y)とを備え、抵抗付与手段17は、鋼線製コイルばね19及び押圧部材20を有し、該コイルばね19のばね力により、押圧部材20を回動抵抗受部15の凹面部16に対して押圧して回動抵抗を与える。電磁石14xは装置ケース12内に設けられ、軸23には回動位置検出手段が設けられている。回動抵抗受部15を、軸13と一体回動可能に設けると共に、抵抗付与手段17を、電磁石14xの断電時に軸13と一体回動し電磁石14xの通電時に該電磁石14xに吸着されて非回動状態に固定される構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に搭載された表示装置の遠隔操作用に好適するジョイスティック装置及び車両用画面操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両においては、オーディオやカーナビゲーション装置などのための表示装置をユーザー(運転者)から見やすい位置(例えばインストルメントパネルの上部など)に配置することが行われている。この表示装置に表示された複数のアイコンを手元で指示するために、遠隔操作用としてジョイスティック装置が、ユーザーの手元近くの部位に設けるようになっている(例えば特許文献1)。
【0003】
そして、このものでは、ユーザーは目で表示装置を見ながら、手でジョイスティック装置を操作して、多数並んだアイコンを適宜選択することを行うが、該ジョイスティック装置に節度を付与することで、アイコン選択移行時に手で選択感を感じることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−84875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来のものでは、前記節度を付与するためにモータを用い、このモータのトルクを操作位置により変化させることで節度感を与えるようにしている。しかしながら、モータ自体がコスト高であり、またモータ応答性が悪いことから、機械式のはっきりとした節度感が得られないという問題があった。またこのジョイスティック装置では、二次元方向の操作を検出する必要から、前記モータも第1の方向用、第2の方向(第1の方向と直交)用の2つが必要であるから、かなりのコスト高を来たす問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作に節度を付与できるとともに、コスト安で且つ節度付与の応答性も良いジョイスティック装置及び車両用画面操作システムを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明のジョイスティック装置は、
ユーザーにより二次元方向へ操作されるジョイスティック部材と、このジョイスティック部材に対する第1の操作方向において節度を付与する第1の節度装置と、前記ジョイスティック部材に対する前記第1の操作方向と直交する第2の操作方向において節度を付与する第2の節度装置とを備えたジョイスティック装置であって、
前記第1及び第2の節度装置を、それぞれ、
装置本体と、
装置本体に設けられ、前記ジョイスティック部材の操作に応じて回動する回動部材と、
略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、
ばね及び押圧部材を有し、前記ばねのばね力により、前記押圧部材を前記回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段と、
前記装置本体に設けられた電磁石と、
前記回動部材の回動位置を検出して回動位置検出信号を出力する回動位置検出手段と、
前記回動部材の回動位置に応じた前記電磁石の通断電パターンを記憶し、前記回動位置検出手段により検出された前記回動部材の回動位置と前記通断電パターンとに応じて前記電磁石を通断電制御する制御手段とを備え、
前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方を、前記回動部材と一体回動可能に設けると共に、他方を、前記電磁石の断電時に前記回動部材と一体回動し電磁石の通電時に該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される構成とし、
且つ、前記ジョイスティック部材において操作される部分にユーザーの手指がタッチしたことを検出するタッチ検出手段を設け、
このタッチ検出手段により手指のタッチが検出されないときには前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、該タッチが検出されたときには前記ジョイスティック部材が所定断電領域に操作されるまでは前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を通電し、その後は、前記通断電パターンに基づいて各電磁石を通断電するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明の車両用画面操作システムは、
車両に搭載され択一選択される複数のアイコンを表示画面に表示する表示装置と、
この表示装置の前記表示画面に表示される複数のアイコンを択一指示するために設けられたジョイスティック装置とを備えた車両用画面操作システムであって、
前記ジョイスティック装置は、
ユーザーにより二次元方向へ操作されるジョイスティック部材と、このジョイスティック部材に対する第1の操作方向において節度を付与する第1の節度装置と、前記ジョイスティック部材に対する前記第1の操作方向と直交する第2の操作方向において節度を付与する第2の節度装置とを備え、
前記第1及び第2の節度装置が、それぞれ、
装置本体と、
装置本体に設けられ、前記ジョイスティック部材の操作に応じて回動する回動部材と、
略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、
ばね及び押圧部材を有し、前記ばねのばね力により、前記押圧部材を前記回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段と、
前記装置本体に設けられた電磁石と、
前記回動部材の回動位置を検出して回動位置検出信号を出力する回動位置検出手段と、
前記回動部材の回動位置に応じた前記電磁石の通断電パターンを記憶し、前記回動位置検出手段により検出された前記回動部材の回動位置と前記通断電パターンとに応じて前記電磁石を通断電制御する制御手段とを備え、
前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方を、前記回動部材と一体回動可能に設けると共に、他方を、前記電磁石の断電時に前記回動部材と一体回動し電磁石の通電時に該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される構成とし、
前記通断電パターンは、前記複数のアイコンの配置に合わせたパターンとし、
前記ジョイスティック部材において操作される部分にユーザーの手指がタッチしたことを検出するタッチ検出手段を設け、
このタッチ検出手段により手指のタッチが検出されないときには前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、該タッチが検出されたときには、前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を、前記ジョイスティック装置が所定断電領域を指示するまでは通電し、その後は、前記通断電パターンに基づく各電磁石の通断電を行うようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の車両用画面操作システムは、
車両に搭載され択一選択される複数のアイコンを表示画面に表示する表示装置と、
この表示装置の前記表示画面に表示される複数のアイコンを択一指示するために設けられたジョイスティック装置とを備えた車両用画面操作システムであって、
前記ジョイスティック装置は、
ユーザーにより二次元方向へ操作されるジョイスティック部材と、このジョイスティック部材に対する第1の操作方向において節度を付与する第1の節度装置と、前記ジョイスティック部材に対する前記第1の操作方向と直交する第2の操作方向において節度を付与する第2の節度装置とを備え、
前記第1及び第2の節度装置が、それぞれ、
装置本体と、
装置本体に設けられ、前記ジョイスティック部材の操作に応じて回動する回動部材と、
略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、
ばね及び押圧部材を有し、前記ばねのばね力により、前記押圧部材を前記回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段と、
前記装置本体に設けられた電磁石と、
前記回動部材の回動位置を検出して回動位置検出信号を出力する回動位置検出手段と、
前記回動部材の回動位置に応じた前記電磁石の通断電パターンを記憶し、前記回動位置検出手段により検出された前記回動部材の回動位置と前記通断電パターンとに応じて前記電磁石を通断電制御する制御手段とを備え、
前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方を、前記回動部材と一体回動可能に設けると共に、他方を、前記電磁石の断電時に前記回動部材と一体回動し電磁石の通電時に該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される構成とし、
前記通断電パターンは、前記複数のアイコンの配置に合わせたパターンとし、
前記ジョイスティック部材において操作される部分にユーザーの手指がタッチしたことを検出するタッチ検出手段を設け、
このタッチ検出手段により手指のタッチが検出されないときには前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、該タッチが検出されたときに前記ジョイスティック装置が前記表示装置の表示画面におけるアイコン以外の表示領域を指示している状態では前記アイコンを指示するまでは前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、アイコンを指示している状態では、前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を通電し、その後は、前記通断電パターンに基づいて各電磁石を通断電するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項4の車両用画面操作システムは、
車両に搭載され択一選択される複数のアイコンを表示画面に表示する表示装置と、
この表示装置の前記表示画面に表示される複数のアイコンを択一指示するために設けられたジョイスティック装置とを備えた車両用画面操作システムであって、
前記ジョイスティック装置は、
ユーザーにより二次元方向へ操作されるジョイスティック部材と、このジョイスティック部材に対する第1の操作方向において節度を付与する第1の節度装置と、前記ジョイスティック部材に対する前記第1の操作方向と直交する第2の操作方向において節度を付与する第2の節度装置とを備え、
前記第1及び第2の節度装置が、それぞれ、
装置本体と、
装置本体に設けられ、前記ジョイスティック部材の操作に応じて回動する回動部材と、
略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、
ばね及び押圧部材を有し、前記ばねのばね力により、前記押圧部材を前記回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段と、
前記装置本体に設けられた電磁石と、
前記回動部材の回動位置を検出して回動位置検出信号を出力する回動位置検出手段と、
前記回動部材の回動位置に応じた前記電磁石の通断電パターンを記憶し、前記回動位置検出手段により検出された前記回動部材の回動位置と前記通断電パターンとに応じて前記電磁石を通断電制御する制御手段とを備え、
前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方を、前記回動部材と一体回動可能に設けると共に、他方を、前記電磁石の断電時に前記回動部材と一体回動し電磁石の通電時に該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される構成とし、
前記通断電パターンは、前記複数のアイコンの配置に合わせたパターンとし、
前記ジョイスティック部材において操作される部分にユーザーの手指がタッチしたことを検出するタッチ検出手段を設け、
このタッチ検出手段により手指のタッチが検出されないときには前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、該タッチが検出されたときには前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、前記各電磁石のいずれかが通断電パターンの通電タイミングとなったところで該当電磁石を通電し、その後は、前記通断電パターンに基づいて各電磁石を通断電するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明の車両用画面操作システムは、
前記通断電パターンが、前記アイコンの略中心部をジョイスティック装置が指示するときに断電するパターンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前記請求項1のジョイスティック装置によれば、ジョイスティック部材の第1の操作方向において節度を付与する第1の節度装置と、第2の操作方向において節度を付与する第2の節度装置とのいずれも、電磁石を用いて節度を付与する構成であるから、コストの低廉化に寄与でき、しかも節度付与応答性も良い。さらに電磁石の通電及び断電により節度を付与できるので、この通断電のタイミング設定により、節度を付与するタイミングを適宜設定することができる。
【0013】
ところで、上述のジョイスティック装置では、不使用時には第1の節度装置及び第2の節度装置の各電磁石は断電する構成としておくと、ジョイスティック部材に対する拘束力がないので、ユーザーがジョイスティック部材に触れたときに該ジョイスティック部材がふらつく虞がある。これを防止するためには、ジョイスティック部材がどの位置にあっても、常に前記各電磁石を通電しておく必要がある。このようにすれば、ジョイスティック部材のふらつきを防止できるものの、不使用時に常に電力消費が無駄になされてしまう問題が残る。
【0014】
この点、上述の請求項1によれば、さらに、前記ジョイスティック部材において操作される部分にユーザーの手指がタッチしたことを検出するタッチ検出手段を設けたことで、ジョイスティック装置の使用・不使用を検出することができ、そして、このタッチ検出手段により手指のタッチが検出されないときには前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電するから、不使用時の電力消費を軽減できる。そしてタッチが検出されたときには前記ジョイスティック部材が所定断電領域に操作されるまでは前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を通電するようにしたから、ユーザーがジョイスティック部材に触れて操作しようとしたときには、該ジョイスティック部材が抵抗力を受けるようになり、ふらつくことを防止できる。その後は、前記通断電パターンに基づいて各電磁石を通断電するようにしたから、支障なく節度感を付与することができる。
【0015】
前記請求項2の車両用画面操作システムによれば、コストの低廉化に寄与でき、しかも節度付与応答性も良く、節度を付与するタイミングを適宜設定することができるジョイスティック装置を用いて、表示装置に表示されるアイコンの数や配置さらには大きさに合ったタイミングで節度を付与でき、表示画面と関連した操作性が向上する。そして、この請求項2によれば、さらに、タッチ検出手段により手指のタッチが検出されないときには第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電するから、不使用時の電力消費を軽減できる。また、該タッチが検出されたときには、前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を、前記ジョイスティック装置が所定断電領域を指示するまでは通電するようにしたから、ユーザーがジョイスティック部材に触れて操作しようとしたときには、該ジョイスティック部材が抵抗力を受け、ふらつくことを防止できる。その後は、前記通断電パターンに基づく各電磁石の通断電を行うようにしたから、アイコン変更時には、支障なく節度感を付与することができる。
【0016】
ここで、前記タッチが検出されたときに、ジョイスティック装置が表示装置の表示画面においてアイコン以外の部分を指示している状態であってこの状態で各電磁石を通電したとすると、ジョイスティック装置によりアイコンを指示しようとしたときに、アイコン指示を妨げるように電磁石の抵抗力が作用し、ユーザーが不自然に感じる虞が発生する。なお、前記タッチが検出されたときに、ジョイスティック装置が表示装置の表示画面においてアイコンを指示しているときには、ユーザーが電磁石によるジョイスティック部材への操作抵抗力を不自然に感じることはない。
【0017】
このような事情を考慮した請求項3の発明の車両用画面操作システムによれば、タッチが検出されたときにジョイスティック装置が表示装置の表示画面におけるアイコン以外の表示領域を指示している状態では前記アイコンを指示するまでは前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、アイコンを指示している状態では、前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を通電するようにしたから、ユーザーがアイコン以外の表示領域からアイコンを指示するときに不自然な操作抵抗力をなくすことができ、且つ、アイコン指示状態での最初の操作では、該ジョイスティック部材が抵抗力を受け、ふらつくことを防止できる。
【0018】
又、ジョイスティック装置が表示装置の表示画面においてアイコンを指示しているとき、及びアイコンを指示していないときのいずれにおいても、タッチ検出したときに一義的に電磁石に通電することも考えられる。この場合も、次のアイコン指示のためにジョイスティック部材を操作するときに、電磁石によるジョイスティック部材への操作抵抗力が増加する方向へ作用し、不自然に感じることがある。
【0019】
このような事情に考慮した請求項4の発明の車両用画面操作システムによれば、タッチが検出されたときには前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、前記各電磁石のいずれかが通断電パターンの通電タイミングとなったところで該当電磁石を通電するようにしたから、上述の操作抵抗力の不自然さを解消することができる。
【0020】
請求項5の発明の車両用画面操作システムによれば、前記通断電パターンを、前記アイコンの略中心部をジョイスティック装置が指示するときに断電するパターンとしたから、アイコンの略中心部といった一部のみで節度感が得られ、使用中におけるふらつき発生箇所を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施例を示す節度装置部分の縦断側面図
【図2】図1の矢印T−T線に沿う断面図
【図3】ジョイスティック装置全体の斜視図
【図4】ジョイスティック装置の分解斜視図
【図5】表示装置及びジョイスティック装置を組み込んだ車両のコンソールボックス部分の斜視図
【図6】電気的構成のブロック図
【図7】タッチ検出装置の回路図
【図8】(a)は図7の地点r1の波形図、(b)は同図地点r2の波形図、(C)は同図地点r3の波形図
【図9】電磁石に対する通断電制御と節度感とを説明するための図
【図10】作用を説明するための図2相当図
【図11】表示装置の表示画面を示す図
【図12】表示画面と電磁石通断電との関係を示す図
【図13】本発明の第2の実施例を示す図12相当図
【図14】本発明の第3の実施例を示す図12相当図
【図15】本発明の第4の実施例を示す図1相当図
【図16】図2相当図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施例につき図1ないし図12を参照して説明する。図5には、車両用画面操作システム1を示している。この車両用画面操作システム1は、表示装置2と、ジョイスティック装置3とを備えて構成されている。前記表示装置2は、カーナビゲーション装置やオーディオなどの表示装置として使用されるもので、車両のインストルメントパネル4a(運転者から見やすい位置)に設けられている。
【0023】
また、前記ジョイスティック装置3は前記コンソールボックス4bの下部(運転者が操作しやすい位置)に設けられている。このジョイスティック装置3について述べる。図3は、ジョイスティック装置3のカバー3aを外した状態を示している。図4はジョイスティック装置3を分解して示している。これら図3及び図4において、ジョイスティック装置3は、ジョイスティック部材6と、第1の揺動部材7と、第2の揺動部材8と、第1の節度装置9と、第2の節度装置10、制御装置11(図6参照)、タッチ検出装置12(図7参照)とを備えて構成されている。
【0024】
前記ジョイスティック部材6は下端部がジョイスティック装置ベース3bにいずれの方向へも傾動可能に支持されており、上部に摘み6aを有する。前記第1の揺動部材7は、湾曲状に形成された板部材から構成されており、該第1の揺動部材7は一端部が前記第1の節度装置9の後述する軸13により軸支され、他端部がX方向用位置センサ9aのセンサ軸9bにより軸支され、もって、該第1の揺動部材7は第1の操作方向たるX方向へ回動し得るように揺動可能に設けられている。この第1の揺動部材7の中央部には長手方向に沿ってスリット7aが形成されている。
【0025】
前記第2の揺動部材8は、第1の揺動部材7と同様に、湾曲状に形成された板部材から構成されており、該第2の揺動部材8は一端部が前記第2の節度装置10の後述する軸13により軸支され、他端部がY方向用位置センサ10aのセンサ軸10bにより軸支され、もって、該第2の揺動部材8は第2の操作方向たるY方向へ回動し得るように揺動可能に設けられている。この第2の揺動部材8の中央部には長手方向に沿ってスリット8aが形成されている。
【0026】
そして、これら第1の揺動部材7のスリット7a及び第2の揺動部材8のスリット8aには前記ジョイスティック部材6が挿通されている。従って、第1の揺動部材7及び第2の揺動部材8はジョイスティック部材6の操作方向に応じて揺動する。この場合、前記ジョイスティック部材6は、スリット7aの一端部(操作限度部分)と他端部(操作限度部分)との間で操作可能であり、すなわち、図3に示すように、矢印Y方向では角度αy°が操作可能範囲となっている。また、前記ジョイスティック部材6は、スリット8aの一端部(操作限度部分)と他端部(操作限度部分)との間で操作可能であり、すなわち、図3に示すように、矢印X方向では角度αx°が操作可能範囲となっている。
【0027】
さて、前記第1の節度装置9と、第2の節度装置10とは同一構成であり、今、第1の節度装置9について述べる。図1に示すように、この第1の節度装置9は、装置本体としての装置ケース22を備えている。この装置ケース22には回動部材たる軸13が回動可能に支承されている。この軸13において当該装置ケース22一端部から突出する端部には、前記第1の揺動部材7の一端部が一体回動する形態に取り付けられている。
【0028】
前記装置ケース22内の電磁石ホルダ22aにはほぼ円筒形の電磁石であるX方向用電磁石14x(図6にも図示)が取着されており、このX方向用電磁石14xの中空部を軸13が挿通している。なお、第2の節度装置10における電磁石はY方向用電磁石14y(図6参照)として設けている。
【0029】
また、軸13におけるX方向用電磁石14x右方部には、円筒スリーブ状の回動抵抗受部15が軸13と一体回動するように設けられており、この回動抵抗受部15の内面には、図2に示すように、略V形の凹面部16が形成されている。この凹面部16は、斜面16aと斜面16bとで略V形をなす。
【0030】
また、この回動抵抗受部15の内部における軸13部分には、抵抗付与手段17が設けられている。この抵抗付与手段17は、被吸着部材18と、鋼線製コイルばね19と、押圧部材20と、ガイド筒21とを有する。
【0031】
前記被吸着部材18は、磁性材から構成されており、円筒部18aと、これの下端部に形成された径大な被吸着部18bとを有した構成である。前記被吸着部18bは、前記X方向用電磁石14xと軸方向で対向している。この被吸着部材18は、軸13に回動可能に嵌合されている。
【0032】
前記ガイド筒21は前記被吸着部材18の円筒部18aに遠心方向へ延びるように取着されており、このガイド筒21の先端側の内部には前記押圧部材20を移動可能に収容配置している。さらにこのガイド筒21の内部には、前記コイルばね19が圧縮状態で収容配置されており、このコイルばね19は鋼線たとえばばね用鋼線から構成されたものである。このコイルばね19のばね力により、図2に示すように、押圧部材20が前記凹面部16の谷中心部に押圧付勢されている。
【0033】
前記X方向用位置センサ9aは回動位置検出手段たるものであり、例えばポテンショメータから構成されており、ジョイスティック部材6のX方向の回動位置(角度位置)を検出し、この回動位置検出信号は前記制御装置11に与えられる。このX方向用位置センサ9aも当該第1の節度装置9に含まれる。
【0034】
なお、前記Y方向用位置センサ10aも、回動位置検出手段たるものであり、例えばポテンショメータから構成されており、ジョイスティック部材6のY方向の回動位置(角度位置)を検出し、この回動位置検出信号は前記制御装置11に与えられる。このY方向用位置センサ10aは当該第2の節度装置10に含まれる。
【0035】
図6に示す制御装置11は、マイクロコンピュータなどを含んで構成されており、第1の節度装置9における制御手段と、第2の節度装置10における制御手段と、前記車両用画面操作システムの制御手段とを兼用するものであり、さらに、表示装置2に表示される複数のアイコンを択一指示する機能も有する。この制御装置11は、前記X方向用位置センサ9a及びY方向用位置センサ10aから回動位置検出信号を受けて、第1の節度装置9のX方向用電磁石14xと、第2の節度装置10のY方向用電磁石14yとを所定の回動位置で通電及び断電制御する。なお、この通断電パターンは、後述するが、前記表示装置2の表示画面のアイコンの位置に応じて設定されている。
【0036】
前記第1の節度装置9について、理解を助けるために、概略的な動作を説明する。今、図1及び図2の状態では、X方向用電磁石14xが断電されている(Y方向用電磁石14yも断電されているものとする)状態を示しており、この状態では、押圧部材20は、回動抵抗受部15の凹面部16の谷中心部に押圧付勢されており、前記被吸着部材18が軸13に対して回動可能である。この状態から、使用者がジョイスティック部材6を図3のXL方向へ傾動操作したとすると、第1の揺動部材7が当該XL方向へ揺動し、軸13、回動抵抗受部15、X方向用位置センサ9aが図2の矢印A方向へ一体回動する。
【0037】
この場合、上述したように、押圧部材20が回動抵抗受部15の凹面部16の谷中心部に押圧付勢され、且つ被吸着部材18が軸13に対して回動可能であるから、押圧部材20も一体回動する(図10(a)参照)。つまり、X方向用電磁石14xの断電時には、ジョイスティック部材6の傾動操作に伴って前記回動抵抗受部15と前記抵抗付与手段17との両方が回動し、節度感は発生しない(図、図10(a)の角度範囲a1°)。
【0038】
この角度範囲a1°を超えると、X方向用電磁石14xが通電されて、この通電により電磁石14が被吸着部材18において対向する被吸着部18bを吸着固定もしくは吸引固定する。これにより押圧部材20が回動不能状態に固定され、これに対し、回動抵抗受部15は、引き続き使用者による回動操作力を受けて矢印A方向へ回動される。このときに、図9(b)に示すように、該回動抵抗受部15の凹面部16の斜面16bが押圧部材20と摺接し、押圧方向へのコイルばね19のばね力が増加し、該回動抵抗受部15が回動抵抗を使用者が強く感じるようになる。この結果、ユーザーに抵抗感つまり節度感が作用する(図9の角度範囲a2°)。そして、この角度範囲a2°を超えたところでX方向用電磁石14xが断電されると、吸着固定もしくは吸引固定が解除されて、前記前記節度感が解除されてクリック感が作用することとなる。
【0039】
前記タッチ検出装置12は、タッチ検出手段たるものであり、前記ジョイスティック部材6の摘み6aに付設された導電材からなるタッチ電極23(図3参照)と、タッチ検出回路24(図8参照)とを備えて構成されている。このタッチ電極23は、ジョイスティック部材6外面に該タッチ電極23と導通するように付設された接続導体23aと、接続線23bとにより、タッチ検出回路24の入力端子24aに導通接続されている。
【0040】
前記タッチ検出回路24は、一般的な静電容量回路であり、入力端子24aとGRDとの間に抵抗25と交流発振部26とを直列に接続すると共に、入力端子24aと前記抵抗25との共通接続点24bと出力端子24cとの間に、整流子27、ローパスフィルタ28、タッチ判定回路29を接続して構成されている。前記タッチ判定回路29は、比較回路から構成されており、この比較回路の反転入力端子にローパスフィルタ28の出力(図8(b)に示す波形)が与えられるようになっており、さらに、しきい値k(図8(b)参照)を該比較回路の非反転入力端子に入力するようになっている。
【0041】
ユーザーがタッチ電極23に触れると(図8(a)の期間Sa参照)、電極23とGNDとのとの間に人体によるコンデンサが形成され、図7の地点r1での電圧波形(交流発振部の波形)が前記図8(a)の期間Saで示すように低振幅となる。この電圧波形は、地点r2で図8(b)で示すようにしきい値kに対してなり、ローレベルとなり、前記検出器28の出力がハイレベルとなる。このハイレベル信号がタッチ検出信号となる。このタッチ検出信号は前記制御装置11に与えられる。
【0042】
ここで、このような構成のジョイスティック装置3と表示装置2とで構成された前記車両用画面操作システム1において、ジョイスティック部材6のX方向の操作可能範囲である傾動範囲をαx°(図3参照)とし、Y方向の操作可能範囲である傾動範囲をαy°とする。この傾動範囲αx°は、前記表示装置2の表示画面Mのアクティブ領域MaのX方向範囲に相当し、また、傾動範囲αy°は、前記表示装置2の表示画面Mのアクティブ領域MaのY方向範囲に相当する。そして、前記表示装置2の表示画面Mには今図11のアイコンm1、m2、m3、m4、m5、m6が表示されるようになっている。なお、アイコンm1は、目的地設定や施設検索のための50音検索を意味している。
【0043】
ここで、ジョイスティック部材6は操作されると、X方向中心を検出しているX方向用位置センサ9aとY方向中心を検出しているY方向用位置センサ10aとの検出結果により、前記表示画面Mの任意の部分を指示するようになっており、この仮想の指示ポイントを便宜上符号Pで示している。ジョイスティック部材6が、図3のように中央位置にあるときには、指示ポイントPは図12に示すように表示装置2の画面Mのアクティブ領域(指示可能領域)Maのほぼ中央となっている。
【0044】
前記電磁石14x、14yの通断電パターンは図12に示すようになっている。すなわち、前記電磁石14xの断電領域であるX方向断電領域は、各アイコンm1〜m6の略中心部の狭い領域にあり、他の部分を通電領域としている。また、電磁石14yの断電領域であるY方向断電領域は、各アイコンm1〜m6の略中心部の狭い領域にあり、他の部分を通電領域としている。
【0045】
さて、前記制御装置11は制御用プログラムを保有しており、この制御用プログラムに従い、前記タッチ検出信号の入力、ジョイスティック部材6の操作に基づき、次のように動作する。
【0046】
この制御装置11は、まず、タッチ検出装置12が、タッチ検出状態からタッチ非検出に変化したときには、所定保持時間(数秒程度)は、両電磁石14x、14yをタッチ検出状態での通断電パターンの状態に保持し(通電状態であれば通電のまま、断電状態であれば断電のまま)、その所定保持時間が経過すると、一義的に両電磁石14x、14yを断電する。その後、タッチ検出装置12により手指のタッチが検出されない状態が続けば(上記タッチ検出信号の入力がなければ)前記第1の節度装置9の電磁石14x及び第2の節度装置10の電磁石14yを断電したままとする。
【0047】
このようにする理由は、ユーザーが操作を止めて(非タッチとなって)もすぐに操作を再開することがあり、ユーザーの操作停止時点で直ちに両電磁石14x、14yを断電すると、すぐにまた通電しなくてはいけないからであり、さらには、チャタリング防止のためでもある。なお、上記所定保持時間は数秒程度であるので、不使用時における消費電力軽減は十分に図ることができる。ただし、この所定保持時間の設定は、必要に応じて設ければ良い。
【0048】
今、図12に示すように、指示ポイントが符号PAで示すようにアイコンm5の中央にあったとする。この状態から、ジョイスティック部材6がユーザーにより例えばXL方向へ操作されたとする。この場合、ユーザーがジョイスティック部材6の摘み6aのタッチ電極23にタッチすることになり、タッチ検出装置12がタッチ検出信号を出力する(タッチ検出がなされる)。
【0049】
制御装置11は、該タッチが検出されたときには両電磁石14x、14yを通電する。そして、前記XL方向に操作されるジョイスティック部材6が所定断電領域(この場合アイコンm6のX方向断電領域)に操作されるまでは(矢印x1、タイミングt1参照)前記第1の節度装置9の電磁石14xを通電し(タイミングt1で断電し)、その後は、両電磁石14x、14yを前記通断電パターンに基づいて通断電する。
【0050】
なお、前記XL方向に操作されるジョイスティック部材6が矢印x2で示すように途中で戻し操作された場合には、アイコンm5のX方向断電領域に至ったときに電磁石14xを断電し(タイミングt2)、その後、両電磁石14x、14yを前記通断電パターンに基づいて通断電することになる。
【0051】
又、前記指示ポイントPAの状態から、ジョイスティック部材6がユーザーにより例えばYL方向へ操作されたとする。
この場合、ユーザーがジョイスティック部材6の摘み6aのタッチ電極23にタッチすることになり、タッチ検出装置12がタッチ検出信号を出力する(タッチ検出がなされる)。制御装置11は、該タッチが検出されたときには両電磁石14x、14yを通電する。そして、前記YL方向に操作されるジョイスティック部材6が所定断電領域(この場合アイコンm2のY方向断電領域)に操作されるまでは(矢印x3、タイミングt3参照)前記第2の節度装置10の電磁石14yを通電し(タイミングt3で断電し)、その後は、両電磁石14x、14yを前記通断電パターンに基づいて通断電する。
【0052】
なお、前記YL方向に操作されるジョイスティック部材6が矢印x4で示すように途中で戻し操作された場合には、アイコンm5のY方向断電領域に至ったときに電磁石14yを断電し(タイミングt4)、その後、両電磁石14x、14yを前記通断電パターンに基づいて通断電することになる。
【0053】
又、指示ポイントが図12に符号PやPBで示すように、もともと通電領域にあった場合や、符号PCで示すようにアイコン内にあって通電領域にあった場合でも、最初のタッチ検出で一義的に両電磁石14x、14yを通電し、各電磁石の断電領域に至ったときには、通断電パターンで各電磁石14x、14yを通断電する。
【0054】
なお、上述において電磁石14xあるいは14yが断電された瞬間で既述したようにクリック感が発生する。
このような本実施例のジョイスティック装置3によれば、ジョイスティック部材6のX方向(第1の操作方向)において節度を付与する第1の節度装置9及びY方向(第2の操作方向)において節度を付与する第2の節度装置10がいずれも電磁石14x、14yを用いて節度を付与する構成であるから、コストの低廉化に寄与でき、しかも節度付与応答性も良い。さらに電磁石14x、14yの通電及び断電により節度を付与できるので、この通断電のタイミング設定により、節度を付与するタイミングを適宜設定することができる。また、コイルばね19と凹面部16の傾斜角度の設定により節度感の強弱や間隔の設定が容易となる。
【0055】
さらにこのジョイスティック装置3によれば、前記ジョイスティック部材6において操作される部分である摘み6にタッチ電極23を設け、このタッチ電極23にユーザーがタッチしたことを検知するタッチ検出回路24を設けたことで、つまりタッチ検出装置12を設けたことで、ジョイスティック装置3の使用・不使用を検出することができ、そして、このタッチ検出装置12により手指のタッチが検出されないときには前記第1の節度装置9の電磁石14x及び第2の節度装置10の電磁石14yを断電するから、不使用時の電力消費を軽減できる。そしてタッチが検出されたときには前記ジョイスティック部材6が所定断電領域に操作されるまでは前記第1の節度装置9の電磁石14x及び第2の節度装置10の電磁石14yを通電するようにしたから、ユーザーがジョイスティック部材6に触れて操作しようとしたときには、該ジョイスティック部材6が抵抗力を受けるようになり、ふらつくことを防止できる。その後は、前記通断電パターンに基づいて各電磁石14x、14yを通断電するようにしたから、支障なく節度感を付与することができる。
【0056】
又、本実施例の車両用画面操作システム1によれば、コストの低廉化に寄与でき、しかも節度付与応答性も良く、節度を付与するタイミングを適宜設定することができるジョイスティック装置3を用いて、表示装置2に表示されるアイコンの数や配置さらには大きさに合ったタイミングで節度を付与でき、表示画面と関連した操作性が向上する。そして、この車両用画面操作システム1によれば、さらに、タッチ検出装置12により手指のタッチが検出されないときには第1の節度装置9の電磁石14x及び第2の節度装置10の電磁石14yを断電するから、不使用時の電力消費を軽減できる。
【0057】
また、該タッチが検出されたときには、前記第1の節度装置9及び第2の節度装置10の各電磁石14x、14yを、前記ジョイスティック装置3が所定断電領域を指示するまでは通電するようにしたから、ユーザーがジョイスティック部材6に触れて操作しようとしたときには、該ジョイスティック部材6が抵抗力を受け、ふらつくことを防止できる。その後は、前記通断電パターンに基づく各電磁石14x、14yの通断電を行うようにしたから、アイコン変更時には、支障なく節度感を付与することができる。
【0058】
又本実施例によれば、前記通断電パターンを、前記アイコンm1〜m6の略中心部をジョイスティック装置3が指示するときに断電するパターンとしたから、アイコンm1〜m6の略中心部といった一部のみで節度感が得られ、使用中におけるふらつき発生箇所を小さくすることができる。
【0059】
なお、上記第1の実施例では、制御装置11が、ジョイスティック装置3のジョイスティック部材6が指示するポイントがアイコン以外で通電領域である箇所(図12の符号PやPBで示す箇所)にあるときには、タッチ検出で一義的に両電磁石14x、14yを通電し、各電磁石の断電領域に至ったときには、通断電パターンで各電磁石14x、14yを通断電するようにしたが、このような場合には、制御装置11が、例外的に、最初のタッチ検出では両電磁石14x、14yを断電し、アイコンを指示するポイント位置になったときに通電するようにしても良い。
【0060】
すなわち、本発明の第2の実施例として示す図13のように、指示ポイントが符号PBで示すようにアイコン以外で通電領域である箇所にある状態で、ジョイスティック部材6がXL方向へ操作されると、制御装置11にタッチ検出信号が与えられる。制御装置11は、この最初のタッチ検出で電磁石14x、14yをいずれも断電し(矢印x3参照)、指示ポイントがアイコンm1に達すると(タイミングt4)、前記通断電パターンによる電磁石14x、14yの通断電を行う。
【0061】
このような制御の趣旨は次にある。すなわち、前記タッチが検出されたときに、ジョイスティック装置が表示装置の表示画面においてアイコン以外の部分を指示している状態であってこの状態で各電磁石を通電したとすると、ジョイスティック装置によりアイコンを指示しようとしたときに、アイコン指示を妨げるように電磁石の抵抗力(この抵抗力は増加する方向)が作用し、ユーザーが不自然に感じる虞が発生する。なお、前記タッチが検出されたときに、ジョイスティック装置が表示装置の表示画面においてアイコンを指示しているときには、ユーザーが電磁石によるジョイスティック部材への操作抵抗力を不自然に感じることはない。
【0062】
このような事情を考慮したこの第2の実施例によれば、タッチが検出されたときにジョイスティック装置3が表示装置2の表示画面Mにおけるアイコンm1〜m6以外の表示領域を指示している状態では前記アイコンm1〜m6のいずれかを指示するまでは両電磁石14x、14yを断電し、アイコンm1〜m6のいずれかを指示している状態では、前記両電磁石14x、14yを通電するようにしたから、ユーザーがアイコンm1〜m6以外の表示領域からアイコンを指示するときに不自然な操作抵抗力をなくすことができ、且つ、アイコン指示状態での最初の操作では、該ジョイスティック部材6が抵抗力を受け、ふらつくことを防止できる。
【0063】
次に図14は本発明の第3の実施例を示している。この第3の実施例では、タッチが検出されたときには前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、前記各電磁石のいずれかが通断電パターンの通電タイミングとなったところで該当電磁石を通電し、その後は、前記通断電パターンに基づいて各電磁石を通断電するようにしている。すなわち、タッチが検出されたときにおいて、指示ポイントが符号PBで示すようにアイコン以外の部位にある状態であっても、又、符号PCで示すようにアイコン(この場合m5)内にある状態でも、電磁石14x、14yを断電し、両電磁石14x、14yのいずれかの通断電パターンの通電タイミングとなったところで該当電磁石を通電し、その後は、通断電パターンで通断電する。
【0064】
例えば、指示ポイントが符号PBで示すようにアイコン以外の部位にある状態でタッチが検出されると、両電磁石14x、14yは断電され、そして、指示ポイントが矢印YR方向へ移動されると、通断電パターンの最初の通電タイミングまではそのまま断電され(期間y3)、電磁石14yの最初の通電タイミングt11で当該電磁石14yが通電され、その後は、両電磁石14x、14yの通断電パターンに従って両電磁石14x、14yが通断電される。又、指示ポイントが符号PCの位置から矢印YL方向へ移動されると、次の通電タイミングt12までは断電され(期間y5)、この通電タイミングt12となったところで電磁石14yが通電され、その後は両電磁石14x、14yの通断電パターンに従って、通断電される。
【0065】
又、指示ポイントが符号PCの位置の状態でタッチが検出されて、例えばXL方向へ移動されると、電磁石14xにおける最初の通電タイミングt13までは断電され(期間x7)、この通電タイミングt13となったところで電磁石14xが通電され、その後は両電磁石14x、14yの通断電パターンに従って、通断電される。
【0066】
又、指示ポイントが符号PBの位置(アイコン以外の位置)にある状態でタッチが検出されて、例えばXL方向へ移動されると、電磁石14xにおける最初の通電タイミングt14までは断電され(期間x5)、この通電タイミングt14となったところで電磁石14xが通電され、その後は両電磁石14x、14yの通断電パターンに従って、通断電される。
【0067】
この第3の実施例によれば、ジョイスティック装置3が表示装置2の表示画面においてアイコンを指示しているとき、及びアイコンを指示していないときのいずれにおいても、タッチ検出したときに一義的に電磁石14x、14yを断電し、前記各電磁石14x、14yのいずれかが通断電パターンの通電タイミングとなったところで該当電磁石を通電するようにしたから、次のアイコン指示のためにジョイスティック部材を操作するときに、通断電パターンの通電タイミングまでは電磁石によってジョイスティック部材への操作抵抗力が増加するということがなく、不自然に感じることがない。この結果、表示画面にあった操作となる。
【0068】
なお、上記各実施例では、前記回動抵抗受部15と前記抵抗付与手段17とのうち、回動抵抗受部15を、前記回動部材である軸13と一体回動可能に設けると共に、前記抵抗付与手段17を、前記電磁石14x、14yの断電時に前記軸13と一体回動し電磁石14x、14yの通電時に該電磁石14x、14yに吸着されて非回動状態に固定される構成としたが、本発明の第4の実施例として示す図15及び図16のように、抵抗付与手段17を、前記軸13に形成されたスリーブ13aと一体回動可能に設けると共に、前記回動抵抗受部15を、円形平板状をなす被吸着部材18に設けて、前記電磁石14x、14yの断電時に前記軸13と一体回動し電磁石14x、14yの通電時に該電磁石14x、14yに吸着されて非回動状態に固定される構成としても良い。要するに、前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方を、前記回動部材と一体回動可能に設けると共に、他方を、前記電磁石の断電時に前記回動部材と一体回動し電磁石の通電時に該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される構成とすれば良い。
【0069】
なお、上記各実施例では、アクティブ領域Maを表示画面Mよりやや小さめにしたが、表示画面Mの全部がアクティブ領域であっても良い。また、回動位置検出手段としては、ポテンショメータに限られず、ロータリーエンコーダや、複数のホールICと磁極との組み合わせ構成でも良い。また、押圧部材は球状に形成しても良いし、鋼球を用いても良い。また、凹面部は全体として略V形であればよく、その谷中心部の形状は図示した角部に限定されるものではなく、例えば凹面部の谷中心部は、丸みを帯びていても良いし、狭小な平坦部となっていても良い。
【符号の説明】
【0070】
図面中、1は車両用画面操作システム、2は表示装置、3はジョイスティック装置、6はジョイスティック部材、9は第1の節度装置、9aはX方向用位置センサ(回動位置検出手段)、10は第2の節度装置、10aはY方向用位置センサ(回動位置検出手段)、11は制御装置(制御手段)、13は軸(回動部材)、14xはX方向用電磁石、14yはY方向用電磁石、15は回動抵抗受部、16は凹面部、17は抵抗付与手段、18は被吸着部材、19は鋼線製コイルばね、20は押圧部材、22は装置ケース(装置本体)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーにより二次元方向へ操作されるジョイスティック部材と、このジョイスティック部材に対する第1の操作方向において節度を付与する第1の節度装置と、前記ジョイスティック部材に対する前記第1の操作方向と直交する第2の操作方向において節度を付与する第2の節度装置とを備えたジョイスティック装置であって、
前記第1及び第2の節度装置を、それぞれ、
装置本体と、
装置本体に設けられ、前記ジョイスティック部材の操作に応じて回動する回動部材と、
略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、
ばね及び押圧部材を有し、前記ばねのばね力により、前記押圧部材を前記回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段と、
前記装置本体に設けられた電磁石と、
前記回動部材の回動位置を検出して回動位置検出信号を出力する回動位置検出手段と、
前記回動部材の回動位置に応じた前記電磁石の通断電パターンを記憶し、前記回動位置検出手段により検出された前記回動部材の回動位置と前記通断電パターンとに応じて前記電磁石を通断電制御する制御手段とを備え、
前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方を、前記回動部材と一体回動可能に設けると共に、他方を、前記電磁石の断電時に前記回動部材と一体回動し電磁石の通電時に該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される構成とし、
且つ、前記ジョイスティック部材において操作される部分にユーザーの手指がタッチしたことを検出するタッチ検出手段を設け、
このタッチ検出手段により手指のタッチが検出されないときには前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、該タッチが検出されたときには前記ジョイスティック部材が所定断電領域に操作されるまでは前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を通電し、その後は、前記通断電パターンに基づいて各電磁石を通断電するようにしたことを特徴とするジョイスティック装置。
【請求項2】
車両に搭載され択一選択される複数のアイコンを表示画面に表示する表示装置と、
この表示装置の前記表示画面に表示される複数のアイコンを択一指示するために設けられたジョイスティック装置とを備えた車両用画面操作システムであって、
前記ジョイスティック装置は、
ユーザーにより二次元方向へ操作されるジョイスティック部材と、このジョイスティック部材に対する第1の操作方向において節度を付与する第1の節度装置と、前記ジョイスティック部材に対する前記第1の操作方向と直交する第2の操作方向において節度を付与する第2の節度装置とを備え、
前記第1及び第2の節度装置が、それぞれ、
装置本体と、
装置本体に設けられ、前記ジョイスティック部材の操作に応じて回動する回動部材と、
略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、
ばね及び押圧部材を有し、前記ばねのばね力により、前記押圧部材を前記回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段と、
前記装置本体に設けられた電磁石と、
前記回動部材の回動位置を検出して回動位置検出信号を出力する回動位置検出手段と、
前記回動部材の回動位置に応じた前記電磁石の通断電パターンを記憶し、前記回動位置検出手段により検出された前記回動部材の回動位置と前記通断電パターンとに応じて前記電磁石を通断電制御する制御手段とを備え、
前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方を、前記回動部材と一体回動可能に設けると共に、他方を、前記電磁石の断電時に前記回動部材と一体回動し電磁石の通電時に該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される構成とし、
前記通断電パターンは、前記複数のアイコンの配置に合わせたパターンとし、
前記ジョイスティック部材において操作される部分にユーザーの手指がタッチしたことを検出するタッチ検出手段を設け、
このタッチ検出手段により手指のタッチが検出されないときには前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、該タッチが検出されたときには、前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を、前記ジョイスティック装置が所定断電領域を指示するまでは通電し、その後は、前記通断電パターンに基づく各電磁石の通断電を行うようにしたことを特徴とする車両用画面操作システム。
【請求項3】
車両に搭載され択一選択される複数のアイコンを表示画面に表示する表示装置と、
この表示装置の前記表示画面に表示される複数のアイコンを択一指示するために設けられたジョイスティック装置とを備えた車両用画面操作システムであって、
前記ジョイスティック装置は、
ユーザーにより二次元方向へ操作されるジョイスティック部材と、このジョイスティック部材に対する第1の操作方向において節度を付与する第1の節度装置と、前記ジョイスティック部材に対する前記第1の操作方向と直交する第2の操作方向において節度を付与する第2の節度装置とを備え、
前記第1及び第2の節度装置が、それぞれ、
装置本体と、
装置本体に設けられ、前記ジョイスティック部材の操作に応じて回動する回動部材と、
略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、
ばね及び押圧部材を有し、前記ばねのばね力により、前記押圧部材を前記回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段と、
前記装置本体に設けられた電磁石と、
前記回動部材の回動位置を検出して回動位置検出信号を出力する回動位置検出手段と、
前記回動部材の回動位置に応じた前記電磁石の通断電パターンを記憶し、前記回動位置検出手段により検出された前記回動部材の回動位置と前記通断電パターンとに応じて前記電磁石を通断電制御する制御手段とを備え、
前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方を、前記回動部材と一体回動可能に設けると共に、他方を、前記電磁石の断電時に前記回動部材と一体回動し電磁石の通電時に該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される構成とし、
前記通断電パターンは、前記複数のアイコンの配置に合わせたパターンとし、
前記ジョイスティック部材において操作される部分にユーザーの手指がタッチしたことを検出するタッチ検出手段を設け、
このタッチ検出手段により手指のタッチが検出されないときには前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、該タッチが検出されたときに前記ジョイスティック装置が前記表示装置の表示画面におけるアイコン以外の表示領域を指示している状態では前記アイコンを指示するまでは前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、アイコンを指示している状態では、前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を通電し、その後は、前記通断電パターンに基づいて各電磁石を通断電するようにしたことを特徴とする車両用画面操作システム。
【請求項4】
車両に搭載され択一選択される複数のアイコンを表示画面に表示する表示装置と、
この表示装置の前記表示画面に表示される複数のアイコンを択一指示するために設けられたジョイスティック装置とを備えた車両用画面操作システムであって、
前記ジョイスティック装置は、
ユーザーにより二次元方向へ操作されるジョイスティック部材と、このジョイスティック部材に対する第1の操作方向において節度を付与する第1の節度装置と、前記ジョイスティック部材に対する前記第1の操作方向と直交する第2の操作方向において節度を付与する第2の節度装置とを備え、
前記第1及び第2の節度装置が、それぞれ、
装置本体と、
装置本体に設けられ、前記ジョイスティック部材の操作に応じて回動する回動部材と、
略V形の凹面部を有する回動抵抗受部と、
ばね及び押圧部材を有し、前記ばねのばね力により、前記押圧部材を前記回動抵抗受部の前記凹面部に対して押圧して回動抵抗を与えるための抵抗付与手段と、
前記装置本体に設けられた電磁石と、
前記回動部材の回動位置を検出して回動位置検出信号を出力する回動位置検出手段と、
前記回動部材の回動位置に応じた前記電磁石の通断電パターンを記憶し、前記回動位置検出手段により検出された前記回動部材の回動位置と前記通断電パターンとに応じて前記電磁石を通断電制御する制御手段とを備え、
前記回動抵抗受部と前記抵抗付与手段との一方を、前記回動部材と一体回動可能に設けると共に、他方を、前記電磁石の断電時に前記回動部材と一体回動し電磁石の通電時に該電磁石に吸着されて非回動状態に固定される構成とし、
前記通断電パターンは、前記複数のアイコンの配置に合わせたパターンとし、
前記ジョイスティック部材において操作される部分にユーザーの手指がタッチしたことを検出するタッチ検出手段を設け、
このタッチ検出手段により手指のタッチが検出されないときには前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、該タッチが検出されたときには前記第1及び第2の節度装置の各電磁石を断電し、前記各電磁石のいずれかが通断電パターンの通電タイミングとなったところで該当電磁石を通電し、その後は、前記通断電パターンに基づいて各電磁石を通断電するようにしたことを特徴とする車両用画面操作システム。
【請求項5】
前記通断電パターンは、前記アイコンの略中心部をジョイスティック装置が指示するときに断電するパターンであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用画面操作システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−186687(P2010−186687A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31206(P2009−31206)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】