説明

ジルコニウム及びハフニウムの精製方法

本発明は、ZrCl4及びHfCl4を含む混合物からハフニウム及びジルコニウムを分離及び精製するための方法であって、下記の工程を具備する方法に関する:(1)ZrCl4及びHfCl4の混合物を蒸気の形態で連続抽出蒸留カラムの中に導入する工程;(2)前記蒸留カラムの中で前記蒸気の流れに対して向流で循環する抽出溶媒により、ZrCl4及びHfCl4蒸気を選択的に吸収する工程;(3)ZrCl4を富化されたZrCl4及びHfCl4の液体もしくは気体混合物を抜取る工程;(4)HfCl4を富化されたZrCl4及びHfCl4の液体もしくは気体混合物を抜取る工程;(5)工程(4)で得られた混合物を無機強酸の水溶液中で加水分解して、1リットル当り7〜12モルの酸を有する水溶液を形成する工程;(6)工程(5)で得られた溶液を陰イオン交換樹脂に通す工程;及び(7)ハフニウムが富化された画分を溶出及び回収する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハフニウム及びジルコニウムの精製を可能にする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジルコン鉱石は、その主成分として、ジルコニウム及びハフニウム(一般には1〜3重量%)を含んでいる。その原子力における用途のために、該鉱石のカーボクロリネーションの後、ジルコニウムはハフニウムをできる限り排除されなければならず、従って、ハフニウムはジルコニウムの精製プロセスの残留画分中に見出される。このハフニウムもまた使用されてよく、これにはその個別の精製を必要とする。
【0003】
例えば、ジルコニウムの精製のために現在使用されている最も効果的な方法の一つは、溶融塩における分離、又は溶融塩における抽出蒸留として知られているものである(FR−A−2 250 707、及びFR−A−2 629 360)。この方法は、各々が複数のプレートを有する蒸留カラムを使用する。ジルコン鉱石のカーボクロリネーションから誘導されるZrCl4及びHfCl4の混合物は、ガス状態でこのカラムの中に導入される。ZrCl4画分は、該カラムの基底において溶媒相のなかに回収されるのに対して、HfCl4が富化された残留画分は、カラムの頂部において気相の中に産生される。従って、残留画分は、例えば約70%のZrCl4及び30%のHfCl4(質量%)を含有する。この原理に従って運転される工業的プラントは、該残留画分を処理してハフニウムを回収するために再コンディショニングされる可能性があり、プラントの不連続な運転を生じる。
【0004】
更に、特定の工業において、より一層純粋なハフニウムについての要求は、非常に純粋なハフニウムの大量の精製を可能にする方法の必要性を生じている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、溶融塩における抽出蒸留によるジルコニウム/ハフニウム分離のための工業的方法に対する改善を提案し、ハフニウムの回収及び精製を可能にすることを目的とする。
【0006】
本発明はまた、大量のハフニウム及びジルコニウムを効率的に精製することを可能にする工業的方法を提案することを目的とする。従って、本発明は、金属ハフニウムに対して相対的に表したときに100モルppm以下、更には50モルppm以下の金属ジルコニウム含量を有する、ハフニウムが富化された画分を生成させる方法を目的とする。
【0007】
本発明はまた、連続的に運転することができる、このタイプの方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
出願人は、下記の工程を実行することによって、抽出蒸留から導かれたZrCl4及びHfCl4の粉末混合物からハフニウムを分離するための最良の結果が得られることを見出した:この混合物を無機強酸の水溶液中で加水分解して、1リットル当り7〜12モルの酸を有する水溶液を形成する工程;この先行工程で得られた溶液を陰イオン交換樹脂、好ましくはアミノ基、アンモニウム基又はアジン基を含む樹脂に通し、該樹脂は、好ましくは1リットル当り7〜12モルの無機強酸の水溶液で予備コンディショニングされている工程;次いで、1リットル当り7〜12モルの酸を有するハフニウムが富化された前記水溶液の画分を溶出及び回収する工程。
【0009】
従って、本発明は、ZrCl4及びHfCl4を含む混合物からハフニウム及びジルコニウムを分離及び精製するための方法に関し、該方法は下記を具備する:
(1)ZrCl4及びHfCl4の混合物を蒸気の形態で連続抽出蒸留カラムの中に導入すること;
(2)前記蒸留カラムの中で前記蒸気の流れに対して向流で循環する抽出溶媒により、ZrCl4及びHfCl4蒸気を選択的に吸収すること;
(3)ZrCl4を富化されたZrCl4及びHfCl4の液体もしくは気体混合物を抜取ること;
(4)HfCl4を富化されたZrCl4及びHfCl4の液体もしくは気体混合物を抜取ること;
(5)工程(4)で得られた混合物を無機強酸の水溶液中で加水分解して、1リットル当り7〜12モルの酸を有する水溶液を形成すること;
(6)工程(5)で得られた溶液を陰イオン交換樹脂に通すこと;及び
(7)ハフニウムが富化された画分を溶出及び回収すること。
なお、本明細書及び特許請求の範囲を通して、「具備する」、「具備している」等のような動詞「具備する」から誘導される用語の意味は、慣用的にアメリカ合衆国の法の下での意味に帰される。これらの用語は、他の特徴が加えられてもよいことを意味し;「含む」、「含んでいる」等と同じ意味を有する。
【0010】
本発明の一つの側面に従えば、ジルコニウム/ハフニウムを分離するための方法は、その出発点として、ジルコン鉱石のカーボクロリネーションに由来するZrCl4及びHfCl4の混合物を用いる。この鉱石は、通常は、1:99〜3:97のハフニウム/ジルコニウム%重量比を含んでいる。本発明の一実施形態に従えば、このジルコン鉱石のカーボクロリネーションに由来する塩化物の混合物は、既に特定の金属又は不純物を除去することを目的とした1以上の処理を受けている。
工程(1)〜(4)は、抽出蒸留によるジルコニウムの精製プロセスに対応する。このようなプロセスの例は、これらの工程を実施するために当業者が参照する文献、FR−A−2 250 707、FR−A−2 629 360、及びFR−A−2 823 740に開示されている。 工程(1)において、このZrCl4及びHfCl4の混合物は蒸気の形態で導入される。第一の実施形態に従えば、ZrCl4及びHfCl4の個体混合物が出発材料として使用され、該混合物は昇華されて、ZrCl4及びHfCl4の蒸気が蒸留カラムの中に導入される。典型的には、昇華温度は1気圧の圧力で約330℃である。第二の実施形態に従えば、ZrCl4及びHfCl4の溶液が使用され、該溶液は蒸発されて、ZrCl4及びHfCl4の蒸気が蒸留カラムの中に導入される。この蒸発温度は当該四塩化物を溶解するための溶媒に依存し、一般的には200〜550℃である。
【0011】
有利な実施形態に従えば、この蒸気形態での蒸留カラムへの導入、及び工程(2)における蒸留カラムでの蒸留は、大気圧に対する過剰圧の下で行われ、該過剰圧は典型的には0.0005〜0.5MPaであり、好ましくは0.0005〜0.15MPaである。
【0012】
一つの有利な実施形態に従えば、工程(1)は(FR−A−2 629 360の開示に従って)以下を具備する:
(a)前記塩化物を、所定濃度、即ち計算可能で且つ調節可能な濃度を有する溶液を得るために、大気圧及び温度

において液体溶媒中に溶解し;抽出溶媒として、前記四塩化物、例えば以下に記載するものの一つを溶解させる溶媒が使用される;
(b)この溶液を、任意に中間保存を伴って、保存タンクの中に輸送する;
(c)この溶液の流速を、既知の手段、例えば流量計又は流量コントローラを付設した真空ポンプ又は遠心ポンプを使用して、一定の値に加圧及び調節する;
(d)この加圧された溶液を、一定の流速で、前記蒸留カラムに接続された蒸発器の中に導入し、該蒸発器は前記蒸留カラムの供給点での圧力にある;
(e)この装置の中の溶液を選択された温度

に加熱し、該温度は

よりも高く、前記溶液中に含まれる塩化物の殆どを蒸発させるために十分であり、次いで、該蒸気は安定且つ基地の流速で前記蒸留カラムの中へ通される。
【0013】
前記溶解温度

は、200〜400℃、典型的には250〜350℃である。工程(c)からの圧力は、典型的には0.5MPa以下、好ましくは0.15MPa以下、好ましくは0.0005〜0.15Mpaである。蒸発温度

は、200〜550℃、特に430〜550℃、典型的には450〜500℃である。
【0014】
FR−A−2 629 360は、その図1を参照して、上記で説明したばかりの実施形態に基づいて、四塩化物を蒸気の形態で導入するための方法及び装置を詳細に開示している。この方法及び装置は、本発明を実施するために使用することができる。
【0015】
本発明の一つの側面に従えば、四塩化Zr及び四塩化Hfの間で、揮発性の可能な最大の差を有するように選択される液体溶媒が使用される。
【0016】
この抽出溶媒は、好ましくは溶融塩を含有している。該塩の溶融温度が、この塩の中に四塩化物が溶解される温度、及び前記蒸留カラムの中の温度を決定する。この温度は、前記塩が少なくとも実質的に溶融されるように選択される。該温度は、一般的には200〜400℃、典型的には250〜350℃である。
【0017】
第一のタイプに従えば、前記抽出溶媒は、塩化アルカリ金属及び酸金属塩化物(メタロイドもしくは繊維金属塩化物)を含有している。このアルカリ金属塩化物は、金属としてLi、Na、K又はCsを含有してよい。KCl及びNaClを形成するために、K及びNaが好ましい。前記酸金属塩化物は、好ましくはAlCl3もしくはFeCl3、又はこれら二つのタイプの混合物である。塩化アルミニウム及び/又は塩化鉄のアルカリ金属塩化物に対するモル比は、典型的には0.95よりも大きく、且つ1.30未満である。
【0018】
FR−A−2 250 707から導かれる第一の有利な実施例に従えば、以下の式を有する実質的に化学量論的溶媒が使用される:
nAlCl3 、 pNaCl
又は nAlCl3 、 pKCl
又は nFeCl3 、 pNaCl
又は nFeCl3 、 pKCl
又は n(AlCl3、FeCl3) 、 pNaCl
又は n(AlCl3、FeCl3) 、 pKCl
ここでのn/p比は、好ましくは0.95以上、優先的には1.04〜1.10である。
FR−A−2 250 707から導かれる好ましい方法に従えば、上記で述べたカリウム塩を含有する溶媒が使用される。
【0019】
FR−A−2 629 360から導かれる更に好ましい実施形態に従えば、クロロアルミン酸カリウムKAlCl4又は(AlCl3,KCl)が使用される。該溶液を430〜550℃、好ましくは450〜500℃に加熱することによって生じる蒸発速度は、この予備加熱が行われる蒸発器内での0.0005〜0.5MPa、好ましくは0.0005〜0.15MPaの圧力について、70%、典型的には80〜95%よりも大きい。前記濃度、溶液の流速、及び加熱温度が安定であるとすれば、ハフニウムを含んだZrCl4の流速は、安定な圧力下における前記蒸留カラムの中で容易に入手され、この流速を1%以内の精度で知ることができる。
【0020】
更なる側面に従えば、FR−A−2 823 740の教示に従って異なるタイプの溶媒が用いられる。この抽出溶媒は、ジルコニウムの抽出蒸留において慣用的に使用されるタイプの少なくとも一つのアルカリ金属溶媒、即ち、好ましくはアルカリ金属塩化物及び酸金属塩化物、例えばAlCl3又はFeCl3(これはクロロアルミン酸アルカリ又はクロロ鉄酸アルカリを与える)を含んでいる。1以上の酸金属もしくはメタロイドの塩化物は、この「基本溶媒(base solvent)」の組成物に導入されるものよりも弱く、前記「基本溶媒」に添加されて少なくとも一つの三元溶融塩を形成する。定義により、塩化物は、Cl-イオンと結合できるときは酸性であると言われる。金属塩化物の酸性を基準にして「弱い」の用語は、この酸金属(もしくはメタロイド)塩化物Bにおいて塩素に結合した元素が、酸金属塩化物Aにおける塩素に結合した元素よりも、Cl-イオンに対する低い親和性を有するという事実を意味する。塩化物又は塩化物の混合物の酸性、即ち、pCl=−log[Cl-]によって定義されるそのpClは,該塩化物又は混合物の遊離電位の測定から容易に決定されてよい。KClで飽和されたAlCl3−KCl中に浸漬されたアルミニウムワイヤからなる電極に対する、アルミニウムワイヤ上での前記電位を測定することが必要とされる全てである。このpClは、式:E=E0−(4RT/3F)ln[Cl-]によって得られ、ここでのE0=塩化物又は塩化物の混合物の遊離電位であり、R=一定=8.314であり、 T=ケルビン単位での温度であり、F=ファラデー定数であり、In[Cl-]=Cl-濃度の自然対数である。
【0021】
酸金属もしくはメタロイド塩化物は、特に、アルカリ土類(例えばMg)塩化物、遷移金属(例えばZn,Cu,Ni,Co、及び任意にFe;遷移金属のなかでもZn及びCuが好ましい)塩化物,又はPb及びSnのような特定のメタロイドから選択される。好ましくは、酸金属塩化物は酸化レベルIIにある。有利には、それらはまた該混合物中において配位数4を有している。それらは、好ましくは塩化マグネシウムMgCl2及び/又は塩化亜鉛ZnCl2である。
【0022】
前記「基本溶媒」において、アルカリ金属塩化物は、金属としてLi、Na、K又はCsを含んでよい。KCl及びNaClが好ましい。酸金属塩化物及び酸金属もしくはメタロイドの塩化物は、B/Aの最も弱い酸性度の上記で述べた規則を維持する上で選択される。好ましくは、酸金属塩化物は、AlCl3及び/又はFeCl3である。AlCl3+KCl及び/又はFeCl3+NaClの組合せが、基本溶媒として好ましい。基本溶媒中においてAlCl3を使用し、酸金属もしくはメタロイド塩化物Bとして塩化鉄を使用するのが好ましい。この場合、塩化鉄は、好ましくはFeCl2である。
【0023】
このタイプの抽出溶媒に関する好ましい実施形態に従えば:
・基本溶媒:
酸金属塩化物としてのAlCl3及び/又はFeCl3、好ましくはアルカリ金属塩化物としてのKCl及び/又はNaClを伴う:より好ましくは、AlCl3+KCl、及び/又はFeCl3 + NaCl;
・酸金属塩化物
MgCl2及び/又はZnCl2及び/又はCuCl2、好ましくは、MgCl2及び/又はZnCl2
が提供される。
【0024】
有利には、酸金属塩化物A(例えば塩化アルミニウム及び/又は塩化鉄)のアルカリ金属塩化物に対するモル比は、0.7〜1.3である。それは、好ましくは0.8〜1である。 酸金属もしくはメタロイド塩化物Bの酸金属塩化物A(例えば塩化アルミニウム及び/又は塩化鉄)に対するモル比は、有利には 0.01〜1.5、好ましくは0.1〜0.3である。
【0025】
このタイプの抽出溶媒を用いる場合、蒸留は、特に250〜550℃、好ましくは250〜350℃の温度で実行される。
【0026】
如何なる抽出溶媒が使用されるかに応じて、ジルコニウムに富む混合物は蒸気の形態でカラムの頂部で得られてよく、又は液体の形態でカラムの基部で得られてよい。ハフニウムに富む混合物は、他のラウンドにおいて、液体の形態でカラムの底部で得られ、又は蒸気の形態でカラムの頂部で得られる。次いで、好ましくは粉末混合物を回収するために、この混合物は処理されてコンデンサの中に通される。
【0027】
例えば、FR−A−2250707及びFR−A−2629 360に開示された第一のタイプの溶媒を用いれば、このジルコニウムに富んだ混合物は、工程(3)においてカラムの底部で得られるのに対して、ハフニウムに富んだ蒸気はカラムの頂部で回収される(工程(4))。HfCl4に富んだガス状のZrCl4及びHfCl4の混合物は、コンデンサの中に導入され、そこからは粉末混合物が回収される。
【0028】
FR−A−2823 740に開示された第二のタイプの溶媒を用いると、ハフニウムに富んだ混合物が工程(3)においてカラムの基部で得られる一方、ジルコニウムに富んだ蒸気はカラムの頂部で回収される(工程(4))。ZrCl4に富んだこのガス状のZrCl及びHfCl4混合物はコンデンサに導入され、そこから粉末の混合物が回収される。
【0029】
カラムの基部において富化された四塩化物(如何なる溶媒が使用されるかに応じてハフニウム又はジルコニウム)は、次のようにして回収されてよい。カラムの基部から導出された富化された溶液は、カラム(例えばストリップカラム)の中に導入され、そこでは該溶液がガス流(例えば窒素)に対して向流で流れる。このガスは該富化された四塩化物の蒸気をこのカラムの頂部に向けて駆動する。好ましい実施形態に従えば、この流れは、次いで該富化された四塩化物を固体の形態で回収するために、コンデンサの方に向けられる。従って、クロロアルミン酸アルカリ又はクロロ鉄酸アルカリのタイプの抽出溶媒、例えばKAlCl4又は(AlCl3、KCl)を用いると、該ガスは、四塩化ジルコニウムに富んだ蒸気をコンデンサの方に向けて駆動する。一つの変形例において、このガス駆動は、例えば真空ポンプを使用することにより、例えばコンデンサの中での僅かに減少した圧力の適用によって置換えられる。一つの特徴に従えば、該ストリップカラムの基部における溶液は、例えば以下で述べる吸収器を通して蒸留カラムの頂部へと再循環されてよい。更なる特徴に従えば、蒸留カラムの基部とストリップカラムとの間にボイラーを配置して、蒸留カラムの基部において溶媒の部分的再循環を可能にしてもよい。
【0030】
カラムの頂部における富化された四塩化物は、次のようにして回収されてよい。ハフニウム又はジルコニウム(如何なる溶媒が使用されるかに依存する)を富化された蒸気は、蒸留カラムから冷却装置を設けた吸収器の中へと通される。この吸収器は、四塩化物蒸気の一部を溶媒の中に溶解させる一方、残りの蒸気を回収することを可能にする。好ましい実施形態に従えば、これらの蒸気は、ハフニウムもしくはジルコニウム(如何なる抽出溶媒を用いるかに依存する)の四塩化物が富化された相を固形で回収するために、次いでコンデンサに向けられる。従って、クロロアルミン酸アルカリ又はクロロ鉄酸アルカリのタイプの抽出溶媒、例えばKAlCl4又は(AlCl3,KCl)を用いれば、ハフニウムを富化された蒸気がコンデンサの方に向けられる。
【0031】
一つの特徴に従えば、好ましくはハフニウムを富化された画分及びジルコニウムを富化された画分の両方から、存在し得る何れかのアルミニウムが除去される。第一の側面に従えば、アルミニウムはカラムの頂部から導出される蒸気から、コンデンサが設けられるときにはその上流で除去される。第二の側面に従えば、アルミニウムは、ストリップカラムの下流で、且つそれが設けられるときはコンデンサの上流で除去される。好ましくは、これら二つの工程が実施される。アルミニウムを除去するための装置の一例は、FR−A−2 543 162に開示されたものである。
【0032】
本発明の一つの特徴に従えば、抽出蒸留は、下記の組成を有するHf+Zrの混合物を製造するために行われる。
・70〜85モル%(55〜75質量%)の範囲のZr/(Zr + Hf)
・15〜30モル%(25〜45質量%)の範囲のHf/(Zr + Hf)
【0033】
工程(5)を実施するための第一の実施形態に従えば、コンデンサにおいて粉末形態で得られたハフニウムを富化された画分が使用される。一つの特徴に従えば、コンデンサにおいて得られた固体の富化された画分は、工程(5)に供給するためにコンデンサの基部から抜き取られ、該工程においては、工程(6)で樹脂へと向けられる前に、前記粉末画分が酸溶液を使用して加水分解される。有利な実施形態においては、抜取り及び樹脂に向う循環は連続的に行われる。
【0034】
第二の実施形態に従えば、工程(5)のために使用されるのは、工程(4)で得られる富化された蒸気である。一つの特徴に従えば、これらの蒸気は、該画分を加水分解するように酸溶液中にバブリングされ、該加水分解の生成物は、次いで工程(6)の樹脂の方に向けて運ばれる。有利な実施形態において、該蒸気は連続的に加水分解溶液の中に運ばれ、この得られた溶液は連続的に樹脂に向けて運ばれる。
【0035】
好ましい側面に従えば,工程(6)で使用される樹脂は、1リットル当り7〜12モルの酸を有する無機強酸の水溶液で濡らされる(コンディショニング又は予備コンディショニングされる)。好ましい実施形態は、工程(5)におけると同じ酸を含有し且つこの工程で得られる溶液に類似又は同一の酸濃度を有する溶液で、樹脂をコンディショニングすることからなる。
【0036】
理論に束縛されることを望むものではないが、工程(5)で得られる所謂供給溶液は、陰イオン形態のジルコニウム化合物及び一般的に非イオン形態のハフニウム化合物を含んでおり、また樹脂の中を通過する間に、主にジルコニウムに基づく陰イオンがイオン交換プロセスによって樹脂により保持される結果、一定の比率の樹脂の官能基がジルコニウムに基づくイオンによって飽和される前に、樹脂から流出する溶出液は主にハフニウム化合物を含んでいる。
【0037】
従って、該供給溶液は樹脂を通過して溶出液を生じ、ハフニウムに富む画分が、1リットル当り7〜12モルの酸を有する無機強酸の中に回収される。この純度又はハフニウム富化の程度は、サンプルが採取される時点の関数として変化する可能性があり、また異なる純度を有する画分又は複数の画分が回収され得る。例えば、金属ハフニウムに対して相対的に表された100モルppm以下の金属ジルコニウム含量を有する画分、50モルppm以下の含量を有する画分、30モルppm以下の含量を有する画分、及び任意に複数のこれら画分が回収される可能性がある。更に有利な実施形態に従えば、金属Hfに対して約20モルppmの金属Zrの純度を有する画分が得られる。
【0038】
このハフニウムに富む画分の溶出相は、精製プロセスの際にモニターされてよく、この場合は溶出サンプルが採取され、そのジルコニウム及び/又はハフニウム化合物含量がモニターされる。この溶出液は、ハフニウム又はジルコニウムに関する該画分の純度を決定するために、例えばICP−AES(誘導結合プラズマ−原子発光スペクトロスコピー)によって分析されてよく、これは、必要であればこれら画分の選択を可能にする。更なる情報が、詳細な説明に提供されるはずである。また、標準化された動作様式を得ることも可能であろう。
【0039】
樹脂の官能基の特定の飽和度が達成されたときは、樹脂から流出する溶出液は、全体として供給溶液に対応する傾向がある。この樹脂は、再コンディショニング及び/又は未だ存在するハフニウム及びジルコニウム金属を回収するために処理されてよい。
【0040】
本発明の一つの側面に従えば、工程(7)の後、前記樹脂の間隙中でこれに結合することなく存在するジルコニウム及びハフニウムを除去するために、該樹脂は洗浄される(工程(8))。
【0041】
この工程(8)の第一の実施形態に従えば、例えば重力によって、又は空気もしくはガス(例えば窒素)による放出によって、該樹脂の液体含有物を排除する。
【0042】
この工程(8)の第二の実施形態に従えば、イオン相互作用で前記樹脂に結合したジルコニウム化合物の脱離を生じさせない特有の特徴を有する濯ぎ溶液が、前記樹脂の中に循環される。1リットル当り7〜12モルの酸を有し、且つ工程(5)において形成される供給溶液よりも大きいか、又は同一の1リットル当りの酸の平均モル数を有する無機の強酸溶液が好ましく使用される。「実質的に同一」の用語は、該酸濃度が工程(5)に関して低い値へ向うことを含めて変化し得るが、同時に、イオン性相互作用により樹脂に結合したジルコニウム化合物の実質的な脱離を生じない限界内に残ることを意味する。工程(5)におけるのと同じ酸(例えば塩酸)が、好ましく使用される。また、同じ酸濃度も好ましく使用される。当該濯ぎ生成物は、次に、工程(5)において当該プロセスに再導入される。
【0043】
工程(8)の第三の実施形態に従えば、該樹脂は最初に、例えば重力又は排出によって全てパージされ、次いで上記で説明したようにして濯ぎが行われる。
【0044】
好ましい実施形態に従えば、工程(8)は、ハフニウムに富んだ画分又は最後のハフニウムに富む画分の回収の直後に実施される。溶出段階後の溶出物の分析は、上記で述べたように、ジルコニウム及びハフニウム混合物の供給を継続することが不要になる時点を決定することを可能にする。
【0045】
本発明の一つの側面に従えば、工程(8)の後に、イオン性相互作用によって前記樹脂に結合したジルコニウム化合物を脱離させることを可能にする水又は等価な水溶液での洗浄が実施され、ジルコニウムに富んだ、又はジルコニウム精製された溶液が回収される:工程(9)。
【0046】
「等価な水溶液」とは、ジルコニウム化合物を脱離させることができる水溶液、例えば、先の工程で使用された溶液よりも低い強度の酸溶液、例えば、先に使用された溶液よりも強度が低いように選択される1リットル当り0〜7モル、特に0〜6モルの酸を含有する水溶液を意味する。
【0047】
この工程(9)の特定の実施例に従えば、徐々に減少する酸濃度を有する水溶液を使用した段階的な脱離が実行される。水は、好ましくは全ての最後に使用される。例えば、適切な酸水溶液(例えば1リットル当り0.1〜7、特に0.1〜6モルのHCl)を使用して少なくとも1回の最初の脱離が行われ、続いて水を用いた仕上げの脱離が行われる。
【0048】
この脱離溶液又は溶液類は、イオン性相互作用にり樹脂に固定された金属化合物の脱離を生じ、従って、この工程は、回収すべきZr+Hfを基準にして表したときに、例えば250、50、40、25又は10モルppmの金属Hf含量を有する、1以上のジルコニウムに富んだ、又はジルコニウム精製された画分を回収することを可能にする。
【0049】
ジルコニウムに富む画分の回収が維持されなければ、工程(8)は省略し、工程(7)から直ちに工程(9)を実施してよい。
【0050】
種々の工程で使用される無機強酸は、水に対して−12〜4のpKaを有するように定義される。それは、好ましくはHCl及びH2SO4から選択される。好ましい実施形態に従えば、工程(5)で形成される酸溶液及び他の工程で使用される酸溶液は、1リットル当り7.5〜9.5モルの酸を含有する。種々の工程の際に使用される酸溶液は、好ましくは類似しており、又は同一である。本発明の好ましい実施形態に従えば、HClの水溶液、特に1リットル当り7.5〜9.5モルの酸を含む溶液が全ての工程で使用される。
【0051】
使用される樹脂は、当該プロセスの中で使用される酸溶液に耐性のある固相を含んでなるものである。陽イオン性官能基を含み、その対イオン(陰イオン)を、酸供給溶液中に存在する陰イオン性ジルコニウムと交換できる全ての慣用的な有機樹脂が適している。これらの基は、有利にはアミノ基、アンモニウム基及び/又はアジド基である。
【0052】
この有機樹脂は、強酸性又は弱酸性の樹脂であってよい。それらの官能基は、好ましくは下記に対応し、又はこれらを含んでいる:
・H以外の置換基が好ましくは直鎖もしくは分岐鎖のC1〜C6アルキル、フェニル、又はアルキルフェニルから選択される、一級、二級又は三級アミン;アルキルは上記で定義した通り、直鎖又は分岐鎖のC1〜C6ヒドロキシアルキル、及びそれらの組み合せである;好ましい実施形態において、該H以外の置換基はアルキルである;
・置換基が直鎖もしくは分岐鎖のC1〜C6アルキル、フェニル、又はアルキルフェニルから選択されてよい四級アンモニウム;アルキルは上記で定義した通り、直鎖又は分岐鎖のC1〜C6ヒドロキシアルキル、及びそれらの組み合せである;好ましい実施形態において、該置換基はアルキルである;
・アジン;窒素系ヘテロ環、例えばピリジン、1,2−ジアザベンゼン(又はピリダジン)、1,3−ジアベンゼン(又はピリミジン)、及び1,4−ジアザベンゼン(又はピラジン)、1,2,3−トリアザベンゼン(又は1,2,3−トリアジン)、1,2,4−トリアザベンゼン(又は1,2,4−トリアジン)、1,3,5−トリアザベンゼン(又は1,3,5−トリアジン)、及び直鎖もしくは分岐鎖のC1〜C6アルキルでの窒素の置換により得られる対応する四級アンモニウム類似体。
【0053】
その対イオンが酸溶液のために使用される酸と同じタイプである樹脂を使用するのが好ましい。HClを用いる場合、これら樹脂は、塩化物の形態(対イオンCl-)で好ましく使用される。硫酸を用いる場合、これら樹脂は硫酸塩の形態(対イオンSO4=)で使用される。
【0054】
第一の実施形態に従えば、該固相は特定の形態、例えば一般には30〜800マイクロメータの適切な平均寸法又は平均直径を有する、幾分球形のビーズ形態の樹脂で形成される。当業者は、該固相を形成するポリマー又は共重合体、その架橋度、及び粒子のサイズを選択する方法を完全に知っている。これらの例において使用される樹脂は、100〜700、好ましくは200〜600マイクロメータの平均粒子寸法が適していることが立証されている。
【0055】
使用され得るポリマー及び共重合体の例には、スチレン単位、アクリレート単位及びメタクリレート単位に基づくものが含まれる。従って、本発明に従えば、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びポリアクリレート/ポリメタクリレート共重合体のタイプの樹脂が使用されてよい。ポリスチレンに基づく樹脂が特に好ましい。
【0056】
第二の実施形態に従えば、該樹脂は、有機樹脂について記載したものと類似の官能基、特にアミン、四級アンモニウム及びアジン(上記参照)で官能化された無機粒子を含有する。このような樹脂を形成する無機粒子は、例えば、シリカ粒子、ゼオライト粒子、アルミノ珪酸粒子、及びそれらの混合物である。
【0057】
第三の実施形態に従えば、該樹脂は、上記で述べた官能化された有機ポリマー又は共重合体でコートされ、又はこれを表面に含む無機粒子(例えば、シリカ粒子、ゼオライト粒子、アルミノ珪酸粒子、及びそれらの混合物)を含有する。
【0058】
湿った樹脂1mL当りのミリ当量で表された金属イオンを固定する樹脂の能力は、好ましくは0.5より大きく、1以上が更に良好である。
【0059】
本発明の方法の工程(4)及びその後の工程は、複雑な設備を必要としない。従って、工程(5)及びその後の工程は、使用する樹脂の容積に適合された容積を有するカラム又は何れかの容器の中で行われてよく、この樹脂の容積自身は、ハフニウムを精製するように処理される同じカラム等からの溶液に対して適合される。
【0060】
一つの運転パラメータは、前記カラム等の中における酸溶液の流速である。該流速は、イオン交換が適切に生じ得るように、迅速過ぎてはならない。しかし、それは、樹脂がハフニウム化合物で飽和されてしまったときに、工程(7)における溶出物中の高ハフニウム濃度を促進するために充分でなければならない。従って、このパラメータは、単純なルーチンの試験、及び例えばICP−AESによる溶出物の分析によって、容易に達成することができる。また、標準化された方法も提供されてよい。しかし、1時間当り0.25〜10倍、好ましくは2〜5倍の容積の酸溶液の流速が適していると特定されてよい。
【0061】
今回の記載において、「容積」の概念は、使用される樹脂の容積を意味する。従って、2容積の溶液が指定されれば、これは使用する樹脂の2倍の容積に対応する容積の溶液が使用されることを意味する。
【0062】
工程(9)における水及び/又は低強度の酸溶液を用いた濯ぎの後、該樹脂は、新たなハフニウム精製段階のために再使用されてよい。好ましい実施形態に従えば、前記樹脂は酸溶液によって再度コンディショニングされ、これは水又は均等水溶液を除去すると共に、新たな分離/精製サイクルのための最適な条件で樹脂を配置することを可能にする。
【0063】
この再コンディショニングの前に、水又は均等水溶液は、重力(パージング)又は空気もしくはガスによる排出によって、予め除去されてよい。
【0064】
好ましい選択肢ではないが、工程(5)におけるコンディショニングを省略することも可能である。この場合、樹脂を再使用する前に、任意に、工程(9)から導かれる水又は均等な水溶液は重力(パージング)によって、又は空気もしくはガスによる排出によって除去されてよい。
【0065】
工程(5)に対応するプロセスの一部、及び前記樹脂が使用されるその後の工程は、イオン交換及び脱離/洗浄がアルカリ性媒質を使用することなく行われることにおいて、注目に値する。本発明のプロセスは、樹脂が酸性pHからアルカリ性pHへの変化に曝されない限り、樹脂の完全性及び保存性のために有利であることが立証されている。
【0066】
工程(5)及びこれに続く工程の動作条件の下で、温度は決定的に重要なパラメータではなく、従って、作業温度は、有利には0〜40℃、好ましくは15〜25℃であってよい。
【0067】
本発明の更なる利点は、当該プロセスが、水の中に天然に存在するイオン(アルカリ、アルカリ土類)の存在に対して敏感でないことである。
【0068】
好ましい実施形態に従えば、ジルコニウム精製のための工業プラントにおいては、並列に配置されて順次供給される複数のカラム等が設置されており、好ましくはコンディショニング又は再コンディショニングされて、工程(5)から誘導される処理すべき溶液をそのまま受取ることができる既成のカラム等が常に利用可能であるようになっている。従って、ジルコニウム精製のための工業プラント(工程(1)〜(4))から導かれる溶液から、ハフニウムを連続的に精製することが可能である。ハフニウムの精製、洗浄(例えば酸溶液での濯ぎ)、水溶液での脱離、及び樹脂の再コンディショニングのための工程は、上記で述べたようにして提供される。
【0069】
工程(5)及び後続の工程において使用される設備は、重力によって動作してよい;しかし、これらカラム等を通して溶液を押出すことが好ましく、更に好ましくは、これらカラム等には基部を通して供給され、溶液は上方に向けて循環される。
【0070】
工程(5)及びその後の工程は、少ない装置、即ち、1以上のカラム又は同様の装置、及び注入及び/又は抜取りポンプしか必要としない。
【0071】
樹脂の容積、カラムもしくは同様の装置、樹脂粒子の粒子サイズ分布、その種類、及び溶液の流速は、当業者が、処理すべき金属の量の関数として設備を最適化することを可能にする運転パラメータである。
【0072】
得られるジルコニウム又はハフニウムの純粋な化合物は、オキシ塩化物溶液ZrOCl2及びHfOCl2の形態である。これらのオキシ塩化物から金属ジルコニウム又は金属ハフニウムを得るための方法が存在しており、且つ当業者に既知である。該オキシ塩化物は、水酸化物(Zr(OH)4又はHf(OH)4)に変換され、脱水され、ZrO2及びHfO2に焼成され、次いで、Krollプロセスによってカーボクロリネーション及び還元されて、Zr及びHfの回収を可能にされてよい(Nouveau Traite de Chimie minerale, Paul Pascal, Vol. IX, pages 254 to 269)。もう一つの方法に従えば、オキシ塩化物溶液が最初に蒸発され、次いで金属へのカーボクロリネーション及び還元が行われる。
【0073】
本発明はまた、Hfを基準にして100モルppm、好ましくは50、30及び20モルppm以下のZr含量に対応する純度をもった、金属ハフニウムを製造するためのこの方法の使用に関する。
【0074】
それはまた、Zr+Hfを基準として表された250、50、40、25又は10モルppm以下の金属Hf含量に対応した純度を有する、金属ジルコニウムを製造するためのこの方法の使用に関する。
【0075】
それはまた、Zr+Hfを基準として表された250、50、40、25又は10モルppm以下の金属Hf含量に対応した純度を有する金属ジルコニウム、並びにHfを基準にして100モルppm以下、好ましくは50、30及び20モルppm以下のZr含量に対応する純度を有する金属ハフニウムを製造するための、この方法の使用に関する。
【0076】
次に、添付図面を参照し、非限定的な例として提示される下記に記載の実施形態を参照して、本発明を更に詳細に説明する。
(実験の部)
1.1 有機物
1.1.1 ジルコニウム及びハフニウムの供給源
このジルコニウム/ハフニウムの分離研究は、一方では、カーボクロリネーション後に得られたジルコニウム及びハフニウムの四塩化物(Zr/Hfの重量比:97.5/2.5)から、次いで抽出蒸留から行われた。
図6は、FR−A−2 250707及びFR−A−2 629 360の教示に従って、ZrCl4及びHfCl4の分離を導く抽出蒸留が行われる装置を示している。
この設備は、四塩化ハフニウムを含有する四塩化ジルコニウム蒸気(430〜550℃の温度)を、蒸留カラム2に供給するための手段1を具備している。ポンプ7は、蒸留カラムの中において、四塩化ジルコニウム及びハフニウムの蒸気の流れに対して向流で、抽出溶媒を本発明従って上方に向けて循環させる。循環が閉じられると、この溶媒は吸収器8、カラム2、ボイラー3、ストリップカラム5及びタンク6を通過し、そこからポンプ7によって吸収器8に向けて戻される。
【0077】
使用された溶媒は、揮発性の非常に低いクロロアルミン酸カリウム錯体KAlCl4 (KCl、AlCl3混合物)である。
【0078】
カラム2内において、向流で循環する溶媒との交換によるそれらの濯ぎの間に四塩化ハフニウムを富化された蒸気は、カラム2をその上部から出て吸収器8を通過し、その中で溶媒を飽和させる。この装置は、その温度を300〜350℃に制御するサーモスタット回路によって冷却される。溶媒によって保持されないこれら蒸気の画分は、吸収器8から放出される。AlCl3残渣を含み得るこの画分は、FR−A−2 543 162に実施例として開示されたアルミニウムをトラップするための装置4を通過し、コンデンサ13の中で凝集し、該コンデンサは通気管14を介して大気と連通すると共に、抜取り手段12を具備しており、該抜取り手段は四塩化ハフニウムを富化された凝集生成物の抜き取りを可能にする。
【0079】
カラム2の基部において、その温度が約500℃に調節されるボイラー3は、溶媒中の四塩化ジルコニウム溶液を受取り、その四塩化ハフニウム含量は、前記カラム2を通して下降する間に低下されている。この溶液は、ボイラ3からストリップカラム5の中へと通過する。ストリップカラム5においては、低下した四塩化ハフニウム含量を有する四塩化ジルコニウムが、このカラムの中を前記溶媒の流れに対して向流で上方へと循環する窒素流によって溶媒から抜取られ、また該窒素流は、こうして溶媒から抜取られた四塩化ジルコニウム蒸気を上方部分へと駆動する。AlCl3残渣を含み得るこれらの蒸気は、例えばFR−A−2 543 162に開示されたアルミニウムをトラップするための装置11を通して、窒素流によって駆動される。この装置の出口において、四塩化ジルコニウム蒸気はコンデンサ9の中へと駆動され、精製された四塩化ジルコニウムが10において抜取られる。
【0080】
この装置は、運転条件及び抽出設備構成に従って変化するZr/Hf比率で、ハフニウム(四塩化物の形態で)が富化された粉末を与える。例示の目的で言えば、70/30のZr/Hf比を有する粉末が製造された。
【0081】
1.1.2 樹脂
ジルコニウム及びハフニウムの固体/液体抽出のために使用される樹脂は、四級 アンモニウム型及びアジン型の樹脂である。
*樹脂Dowex(登録商標)1X8は、3.5meq/乾燥樹脂1gの官能化率で、スチレン−DVBマトリックス上にグラフトされたトリメチル化塩化アンモニウムである。この樹脂Dowex(登録商標)1X8は、Aldrich社によって供給される。粒子サイズ分布:150〜300マイクロメータ。
*樹脂Reillex(商標)HPQは、N−メチル−ポリ−塩化(4−ビニルピリジン)である。その最大能力は、4meq/乾燥樹脂1gである。その水含量は、67%〜75%である。粒子サイズ分布:250〜595マイクロメータ。
*樹脂Reillex(商標)PVP4O2は、ポリビニルピリジンである。その最大能力は、5meq/乾燥樹脂1gである。その水含量は、50%〜60%である。
*樹脂Amberjet(商標)4200.
樹脂Reillex(商標)HPQ及びReillex(商標)HPQは、Reilly社が製造している。
【0082】
使用される樹脂の構造
a−Dowex(登録商標)1X8
b−Reillex(商標)HPQ
c−Reillex(商標)PVP402
【化1】

【0083】
1.1.3 溶媒
水中の37重量%塩酸
1.2 ICP−AES分析
水相は、ICP−AES(誘導結合プラズマ−原子発光スペクトロスコピー)によって分析された。測定は、Spectro社からのSpectroD分光光度計上で行われた。ジルコニウムは波長339.198nmで測定され、又はフニウムは波長282.022nmで測定された。測定の不確実度は、+/−0.2mg/Lであった。
【0084】
1.3 固体−液体抽出に使用される定数の決定
Ci: 初期金属濃度(mg/L)
Cf: 最終金属濃度(mg/L)
Volaq: 樹脂と接触するときの水相の容積
m: 樹脂質量
E: 抽出(%)
D: 分配係数(mL/g)
D(Zr): ジルコニウムの分配係数(mL/g)
D(Hf): ハフニウムの分配係数(mL/g)
抽出パーセンテージは、次式によって定義される:
【数1】

【0085】
ジルコニウム及びハフニウムに対して使用される錯化剤の抽出特性は、分配係数を比較することによって評価した。この定数は、抽出の前後において水相の滴定により実験的に決定された。
【数2】

ハフニウムに対するジルコニウムの選択性S(Zr/Hf)は、分配係数D(Zr)及びD(Hf)の比率として定義される。
【数3】

【0086】
1.4 実験
1.4.1 水相の調製
水溶液は、0〜12モル/Lで変化する濃度を得るように、磁気撹拌により、ジルコニウム及びハフニウムの四塩化物粉末を塩酸溶液の中に溶解させることによって調製された。
【0087】
1.4.2 運転モード
ジルコニウム及びハフニウムの分離は、樹脂を用いた固体−液体抽出によって行われた。フラスコを、Vibramax(登録商標)100型水平機械式撹拌機(Bioblock scientific社)を使用して10分間撹拌した。実験は、周囲温度で行った。次いで、水相をICP−AESによって滴定した。ジルコニウム及びハフニウムの抽出パーセンテージ、及び分配係数を決定することが可能であった。この抽出は蒸留水を用いて行った。水相のICP−AES滴定は、Zr及びHfのための再抽出パーセンテージの計算を可能にする。次いで、抽出を行うために、抽出剤(樹脂)と共に該水相を撹拌した。HClの濃度は、フェノールフタレインの存在下で0.5モル/Lの水酸化ナトリウムを使用して、水相の酸−塩基添加量により全ての溶液において制御された。
【0088】
1.5 結果
1.5.1 Dowex(登録商標)1X8樹脂を用いた70/30モルジルコニウム/ハフニウムの分離に対するHCl濃度の影響。
表1:Dowex(登録商標)1X8樹脂を用いたZr/Hf分離に対するHCl濃度の影響
[Zr]=2500mg/L;Dowex(登録商標)1X8樹脂:m=1g;volaq=10mL;撹拌=10min;周囲温度.
【表1】

ND:抽出パーセンテージが低く過ぎるので決定されなかった
HCl濃度が増大したときには、分布係数における増大が観察される(表1)
9.5モル/LのHCl濃度について最適な結果が得られた:D(Zr)及びD(Hf)の間の大きな差、並びに高い選択性S(Zr/Hf)。
【0089】
1.5.2 Reillex(商標)HPQ樹脂を用いた70/30モルのジルコニウム/ハフニウムの分離に対するHCl濃度の影響。
表2:Reillex(商標)HPQ樹脂を用いたZr/Hf分離に対するHCl濃度の影響
[Zr]=2500mg/L;Reillex(商標)HPQ樹脂:m=1g;volaq=10mL;撹拌=10min;周囲温度
【表2】

【0090】
HCl濃度が増大するときには、分配係数における増大が観察された(表2)。なお、0〜5モル/LのHCl濃度を用いた実験は、より良好な抽出を観察するために、従って分配係数及び選択性に関する更に正確な情報を得るために、5gの樹脂を用いて実施された。最適な結果は、8.5及び9.5モル/LのHCl濃度について得られた。
【0091】
1.5.3 Reillex(商標)402PVP樹脂を用いた70/30モルのジルコニウム/ハフニウムの分離に対するHCl濃度の影響。
表3:Reillex(商標)402PVP樹脂を用いたZr/Hf分離に対するHCl濃度の影響
[Zr]=2500mg/L;Reillex(商標)402PVP樹脂:m=1g;volaq=10mL;撹拌=10min;周囲温度
【表3】

【0092】
HCl濃度が増大するときには、分配係数における増大が観察された(表3)。最適な結果は、9.5モル/LのHCl濃度について得られた。
【0093】
1.5.4 Reillex(商標)HPQ樹脂を用いたジルコニウム及びハフニウムの再抽出の研究。
再抽出の研究は、蒸留水を用いて行われた。
表4:蒸留水を用いたReillex(商標)HPQ樹脂からのZr/Hfの再抽出
[Zr]=2500mg/L;[HCl]=7モル/L;volaq=10mL;撹拌=10min;周囲温度
【表4】

ジルコニウム及びハフニウムは、ある量の蒸留水を用いて定量的に十分に抽出された。
【0094】
1.5.5 ジルコニウム/ハフニウム分離に対する水の品質の影響
固体−液体抽出によるZr/Hf分離が、蒸留水及び工業用水から調製された溶液について研究された(アルカリ性物質及びアルカリ土類の存在)。9.5モル/Lの濃度を有する塩酸中の70/30モル比を有するZrCl4/HfCl4混合物。
表5:Dowex(登録商標)1X8樹脂を用いたZr/Hf分離
[Zr]=2500mg/L;樹脂質量1g;[HCl]=9.5モル/L;volaq=20ml;撹拌=10min;周囲温度
【表5】

【0095】
蒸留水を用いて得られた結果と、天然水を用いて得られた結果との間には差がなかった(表5及び表6):これは、当該プロセスが水中に存在するイオンの存在に対して敏感ではないことを示している。この再抽出は、水の容積に対して定量的であった。
【0096】
2. カラム中の樹脂を使用したZr/Hf分離の例
2.1 Dowex(登録商標)1X8樹脂カラムを用いたZr/Hf分離
2.1.1 (70/30モル)のZr/Hf混合物から
80mLのDowex(登録商標)1X8樹脂をカラムの中に配置した。次いで、この樹脂を9.5モル/Lの塩酸(5容積)中でコンディショニングした。
ZrCl4/HfCl4粉末で表された10g/Lの濃度を達成するために、(70/30モル)のZrCl4/HfCl4粉末を、HCl酸溶液[9.5モル/L]中に溶解した。この溶液を樹脂の中に通した。Zr/Hf酸溶液が溶出し始めたときに、カラムの出口においてサンプルを採取し、分析した(図1)。
【0097】
図1から見ることができるように、ハフニウムが最初に溶出した。ジルコニウムの溶出は、ほぼ第10容積でのみ開始された結果、第5〜第10容積の間で高純度のハフニウムを回収することができた。ハフニウム純度は99.87%に達した。
【0098】
次いで、樹脂の間隙に残留する痕跡量の金属を除去するために、樹脂カラムを塩酸[9.5モル/L]で洗浄した(第21容積)。40/60のZr/Hfのモル比率で、ジルコニウム化合物及びハフニウム化合物を含有する画分又は中間部分を回収した。
【0099】
次いで、この樹脂は蒸留水で処理して(第25容積)、樹脂に結合された金属化合物の脱離を生じさせた。この脱離は、図1のほぼ第25容積に見られるピークに対応する。平均Zr/Hfモル比は、水相において85/15であった。
【0100】
2.1.2 Zr/Hf混合物(40/60)からのハフニウムの精製
(40/60モル)のZr/Hf部分を有する先のカラムの中間部分(容積20〜24)が、9.5モル/L塩酸でコンディショニングされた40mLのDowex(登録商標)1X8樹脂を含む第二のカラム上に溶出された。
図2は、ほぼ第11容積付近で最大ハフニウム溶出に到達したことを示している。99.87%の純度をもったハフニウムを回収することが可能であった。
【0101】
2.1.3 Reillex(商標)HPQカラムを用いたZr/Hf分離
115mLのReillex(商標)HPQ樹脂を、カラムの中に配置した。次いで、この樹脂を9.5モル/Lの塩酸(5容積)の中でコンディショニングした。
【0102】
ZrCl4/HfCl4粉末で表された10g/Lの濃度を達成するために、(70/30モル)のZrCl4/HfCl4粉末を、HCl酸溶液[9.5モル/L]中に溶解した。この溶液を樹脂の中に通した。この酸溶液が溶出し始めたときに、カラムの出口においてサンプルを採取した。
【0103】
図3は、第6容積付近にハフニウムピークをもった溶出プロファイルを示している。91%の平均純度でハフニウムを回収することができた。次いでジルコニウムが溶出した。ハフニウム純度は99.87%に達した。
【0104】
次いで、樹脂の間隙に残留する痕跡量の金属を除去するために、樹脂カラムを塩酸[9.5モル/L]で洗浄した。
【0105】
次いで、水を用いて脱離を行った。樹脂に固定された全てのジルコニウムを回収するために、2容積が必要とされた。93.7%の純度をもったジルコニウムが得られた。
【0106】
2.1.4 Reillex(商標)PVP402カラムを用いたZr/Hf分離
80mLのReillex(商標)PVP402樹脂を、カラムの中に配置した。次いで、この樹脂を9.5モル/Lの塩酸(5容積)の中でコンディショニングした。
【0107】
ZrCl4/HfCl4粉末で表された10g/Lの濃度を達成するために、(70/30モル)のZrCl4/HfCl4粉末を、HCl酸溶液[9.5モル/L]中に溶解した。この溶液を樹脂の中に通した。この酸溶液が溶出し始めたときに、カラムの出口においてサンプルを採取した。
【0108】
図4から分かるように、第10容積から精製されたハフニウムを回収することができた。ハフニウムは99.95%の純度で回収することができた。
【0109】
次いで、樹脂の間隙に残留する痕跡量の金属を除去するために、樹脂カラムを塩酸[9.5モル/L]で洗浄した。
【0110】
次いで、HCl濃度勾配を使用して樹脂に結合したジルコニウムを回収した。7モル/LのHCl容積を溶出させて、94%の純度をもったジルコニウムの回収を可能にした。次いで、ある容積の蒸留水を用いると、回収されたジルコニウムは97.5%の純度を有していた。 Reillex(商標)PVP樹脂を用いると、平均Zr/Hfモル比は96/4であった。
【0111】
3. 本発明の原理に従って動作する設備の説明
図5は、ハフニウム及びジルコニウムの精製を可能にする本発明の原理に従ったプロセスの、単純化された図である。図10の15において抜取られた四塩化ジルコニウム及びハフニウムの70/30モル比の混合物を、9.5N塩酸の中に溶解させた。この溶液を、本発明に従ってHClで予備コンディショニングされた樹脂を含むカラムの中に導入した。ハフニウムは該樹脂によって保持されず、従って、該カラムの出口で回収された(図の工程1)。樹脂がジルコニウムで飽和されたら、それをHClで洗浄し(図の工程2)、工程1で再処理するために該洗浄生成物を回収した。図の工程3は、水での洗浄を表しており、これはジルコニウムの脱離及び回収を可能にする。次いで、カラムは再生され(図の工程4)、HClでの新たなコンディショニングの後に再使用することができた。
【0112】
4. Zr/Hfの0.05/99.95モル混合物からの分離
四塩化ハフニウム粉末を塩酸溶液の中に溶解して、4.5g/LのHf濃度及び9.5モル/Lの塩酸濃度を得た。25mLのAmberjet4200樹脂をカラムの中に配置した。この樹脂を、9.5モル/L塩酸でコンディショニングした。このAmberjet4200樹脂を、Zr及びHf化合物の水溶液で飽和させた。この溶液が溶出しはじめたら、該カラムの出口でサンプルを採取した。図6は、Hf及びZrのプロファイルを示している。
99.99%の純度でHfを回収できた。
【0113】
特許請求の範囲によって定義される本発明は、上記の記載に示された特定の実施形態に限定されず、本発明の範囲及び精神から逸脱しない変形例をも包含することが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】図1は、Zr/Hfのモル比70/30の混合物をDowex(登録商標)1X8樹脂上で分離するプロセスの際に溶出した画分の、ICP−AES分析の結果をグラフの形態で示しており、X軸上には分析されたカラム容積を、Y軸上には金属Zr又は金属Hfの濃度が示されている。
【図2】図2は、Zr/Hfのモル比40/60の混合物をDowex(登録商標)1X8樹脂上で分離するプロセスの際に溶出した画分の、ICP−AES分析の結果をグラフの形態で示しており、X軸上には分析されたカラム容積を、Y軸上には金属Zr又は金属Hfの濃度が示されている。
【図3】図3は、Zr/Hfのモル比70/30の混合物をReillex(登録商標)HPQ樹脂上で分離するプロセスの際に溶出した画分の、ICP−AES分析の結果をグラフの形態で示しており、X軸上には分析されたカラム容積を、Y軸上には金属Zr又は金属Hfの濃度が示されている。
【図4】図4は、Zr/Hfのモル比70/30の混合物をReillex(登録商標)402PVP樹脂上で分離するプロセスの際に溶出した画分の、ICP−AES分析の結果をグラフの形態で示しており、X軸上には分析されたカラム容積を、Y軸上には金属Zr又は金属Hfの濃度が示されている。
【図5】図5は、工程(4)の後の、ハフニウムを分離するためのプロセスの単純化された図である。
【図6】図6は、Zr/Hfを分離するための設備を示す図である。
【図7】図7は、Zr/Hfのモル比0.5/99.95の混合物をAmberjet(登録商標)4200樹脂上で分離するプロセスの際に溶出した画分の、ICP−AES分析の結果をグラフの形態で示しており、X軸上には分析されたカラム容積を、Y軸上には金属Zr又は金属Hfの濃度が示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ZrCl4及びHfCl4を含む混合物からハフニウム及びジルコニウムを分離するための方法であって、
(1)ZrCl4及びHfCl4の混合物を蒸気の形態で連続抽出蒸留カラムの中に導入する工程、
(2)前記蒸留カラムの中で前記蒸気の流れと向流で循環する抽出溶媒により、ZrCl4及びHfCl4蒸気を選択的に吸収する工程、
(3)ZrCl4が富化したZrCl4及びHfCl4の液体又は気体混合物を抜取る工程、
(4)HfCl4が富化したZrCl4及びHfCl4の液体又は気体混合物を抜取る工程、
(5)工程(4)で得られた混合物を無機強酸の水溶液中で加水分解して、1リットル当り7〜12モルの酸を有する水溶液を形成する工程、
(6)工程(5)で得られた溶液を陰イオン交換樹脂に通す工程、
(7)ハフニウム富化画分を溶出及び回収する工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
出発材料としてZrCl4及びHfCl4の固体混合物を使用し、該混合物を昇華し、ZrCl4及びHfCl4の蒸気を前記蒸留カラムに導入する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
出発材料としてZrCl4及びHfCl4の溶液を使用し、該混合物を蒸発し、ZrCl4及びHfCl4の蒸気を前記蒸留カラムの中に導入する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が、KAlCl4又はAlCl3,KCl)を含む請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程(3)において、ZrCl4が富化したZrCl4及びHfCl4の液状混合物が、前記カラムの基部で抜取られ、工程(4)において、HfCl4が富化したZrCl4及びHfCl4のガス状混合物が、前記カラムの頂部で抜取られる請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程(3)において、ZrCl4が富化したZrCl4及びHfCl4のガス混合物が、前記カラムの頂部で抜取られ、工程(4)において、HfCl4が富化したZrCl4及びHfCl4の液状混合物が、前記カラムの基部で抜取られる請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
ZrCl4及び/又はHfCl4が富化したZrCl4及びHfCl4の前記液状又はガス状混合物が、粉末混合物を製造するためにコンデンサの中に通すことを含む処理を受ける請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
HfCl4で富化したZrCl4及びHfCl4の前記粉末混合物が、無機強酸の水溶液中に溶解される請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程(5)において、HfCl4で富化したZrCl4及びHfCl4の前記ガス状混合物が、前記無機強酸の水溶液中にバブリングされる請求項5に記載の方法。
【請求項10】
工程(6)において、前記樹脂が、1リットル当り7〜12モルの酸を有する無機強酸の水溶液でコンディショニングされる請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
工程(6)において、前記無機強酸が、HCl及びH2SO4から選択される請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記無機強酸が、HClである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記酸水溶液が、1リットル当り7.5〜9.5モルの酸を有する請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記陰イオン交換樹脂が、アミノ基、アンモニウム基又はアジン基を含む請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記陰イオン交換樹脂が、塩化物の形態である請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
工程(7)において、1以上のハフニウムに富む画分が回収される請求項1〜15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
Hfに対して表現された100モルppm以下のジルコニウム含量を含むハフニウムに富む画分が回収される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
Hfに対して表現された50モルppm以下のジルコニウム含量を含むハフニウムに富む画分が回収される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
Hfに対して表現された30モルppm以下のジルコニウム含量を含むハフニウムに富む画分が回収される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
Hfに対して表現された20モルppm以下のジルコニウム含量を含むハフニウムに富む画分が回収される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
工程(7)の後に、前記樹脂の間隙中に含まれ且つイオン相互作用によってこれに結合されていないジルコニウム及びハフニウムが除去される(工程8)請求項1〜20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
工程(8)において、前記樹脂が、1リットル当り7〜12モルの酸を有し、且つ工程(5)で形成される供給溶液と実質的に同一以上の1リットル当りモル数の酸を有する無機強酸の溶液を使用して濯がれる請求項21に記載の方法。
【請求項23】
工程(8)において、前記樹脂の液体含量が、パージされる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記樹脂が、次いで1リットル当り7〜12モルの酸を有し、且つ工程(5)で形成される供給溶液と実質的に同一以上の1リットル当りモル数の酸を有する無機強酸の溶液を使用して濯がれる請求項23に記載の方法。
【請求項25】
工程(8)の後に、前記樹脂が、1リットル当り0〜12モルで且つ先の工程で使用される1リットル当り0〜12モルの酸よりも低い酸濃度を有する水溶液を使用して洗浄され、ジルコニウム富化画分が回収される請求項1〜24の何れか1項に記載の方法。
【請求項26】
水が使用される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
順次減少する酸濃度を有する少なくとも二つの水溶液が使用される請求項25に記載の方法。
【請求項28】
水が最後に使用される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記酸が、HClである請求項25、26又は27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−506037(P2008−506037A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519843(P2007−519843)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001757
【国際公開番号】WO2006/016045
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(506121113)コンパニー ウーロペアンヌ デュ ジルコニアン セズ (4)
【Fターム(参考)】