説明

スイッチノブ及びスイッチ装置

【課題】スイッチノブと保持部材との隙間を小さく抑えながら当該スイッチノブをスイッチ素子に不都合なく連結する。
【解決手段】特定方向に変位可能な操作軸(変位部)34を有するスイッチ素子30と、その操作軸34を押圧操作するためのスイッチノブ10と、これを保持する保持部材20とを備える。スイッチノブ10は、押圧操作方向に変位可能となるように保持部材20に保持され、押圧操作方向に押圧操作を受けるノブ本体部12と、その押圧操作力を操作軸34に伝達して当該操作軸34を変位させる一対の係合片17とを備える。両係合片17は、操作軸34に係合してこの操作軸34と一体に変位する係合部17aと、当該係合部17aとノブ本体部12とを連結し、かつ前記押圧操作方向と直交する方向に当該係合部17aとノブ本体部12とが相対変位するのを許容するように同方向に弾性変形する形状の連結部17bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ素子の切換のために押圧操作を受けるスイッチノブ及びこのスイッチノブを備えたスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のハザードスイッチ等として、例えば特許文献1に記載されるようなプッシュロック機構が組み込まれたスイッチ装置が知られている。このスイッチ装置は、押圧操作を受けるスイッチノブ(同文献では押釦)と、これが固定される可動部材と、この可動部材を前記押圧操作方向にスライド可能に保持する保持部材(同文献では第1、第2固定部材)とを有している。可動部材および保持部材はそれぞれ接点を有し、かつハートカム及びロックピン等で構成されるプッシュロック機構を介して互いに連結されており、前記スイッチノブが押圧力を受けるたびに位置切換され、この位置切換に伴い接点の開閉が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−320387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、前記のようなスイッチ装置を構築するにあたり、基板に実装されて検出信号を出力するスイッチ素子を用い、かつこのスイッチ素子として前記プッシュロック機構と同等の機構をもつ機構が予め組み込まれたものを用いるものが開発されている。このスイッチ素子は、操作軸を有し、この操作軸が押圧力を受けるたびに位置切換されてスイッチがオンオフされる。
【0005】
このようにスイッチ素子そのものがプッシュロック機構を備える装置では、当該スイッチ素子の外部に別途プッシュロック機構を付加する必要がなく、その分構造が簡素化される。例えば、このようなプッシュロック機構を含むスイッチ素子を用いて上記のようなハザードスイッチ等のスイッチ装置を構成する場合には、基板に実装された前記スイッチ素子の操作軸に、その軸方向に押圧操作を受けるスイッチノブを連結し、このスイッチノブを保持部材により前記軸方向にスライド可能に保持すればよい。
【0006】
しかし、このようなタイプのスイッチ装置では、前記スイッチ素子と前記スイッチノブとの連結について次のような課題が生じる。すなわち、前記スイッチ素子を用いたスイッチ装置では、スイッチ素子が実装される基板とスイッチノブを保持する保持部材との相対位置について組付誤差が発生する。その一方、スイッチノブは操作軸と一体に変位可能となるようにこの操作軸に連結されなければならないので、上記組付誤差が生じた場合には、スイッチノブと操作軸との連結に支障が生じたり、スイッチノブに連結された操作軸が不要な力を受けることによりスイッチ素子の作動不良や破損等を誘発することが考えられる。このような不都合は各部品の寸法精度のバラツキによっても同様に発生し得る。
【0007】
このような不都合を伴うことなく、前記スイッチノブが前記スイッチ素子に連結され、かつ前記保持部材に保持されることを可能とするためには、当該スイッチノブの外側面と保持部材の内側面との間に前記誤差を吸収するための隙間を確保することが考えられる。しかし、当該隙間を大きく設定することは、スイッチノブのガタツキの要因になるため必ずしも得策とは言えない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、スイッチノブと保持部材との隙間を小さく抑えながら、保持部材とスイッチ素子との相対位置のバラつき等にかかわらず前記スイッチノブを前記スイッチ素子に不都合なく連結できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、特定方向に変位可能な変位部を有するスイッチ素子の当該変位部に連結され、この変位部の変位方向と平行な押圧操作方向に押圧操作を受けることが可能となるように保持部材に保持されるスイッチノブであって、前記押圧操作方向に変位可能となるように前記保持部材に保持され、前記押圧操作方向に押圧操作を受けるノブ本体部と、前記スイッチ素子の前記変位部に係合してこの変位部と一体に変位する係合部と、当該係合部と前記ノブ本体部とを連結し、かつ前記押圧操作方向と直交する方向に当該係合部と前記ノブ本体部とが相対変位するのを許容するように同方向に弾性変形する形状の連結部とを有するものである。
【0010】
また、本発明は、スイッチ装置であって、特定方向に変位可能な変位部を有し、前記スイッチノブの係合部が前記変位部に係合することにより前記スイッチノブに連結されるスイッチ素子と、前記スイッチノブのノブ本体部が前記変位部の変位方向と平行な押圧操作方向に変位可能となるように当該ノブ本体部を保持する保持部材とを備えたものである。
【0011】
前記スイッチノブおよびこれを備えた前記スイッチ装置では、前記スイッチ素子と前記保持部材との相対位置について誤差(押圧操作方向と直交する方向についての誤差)が存在しても、この誤差をスイッチノブにおけるノブ本体部と係合部との相対変位により吸収することができる。従って、当該スイッチノブと保持部材との隙間を大きく確保しなくても、スイッチノブを前記スイッチ素子の変位部に不都合なく連結することが可能となる。
【0012】
本発明は、特に、前記スイッチ素子が、前記変位部がその変位方向に押圧力を受ける度に当該変位部の位置が第1の切換位置とこの第1の切換位置から前記変位方向に離れた第2の切換位置とに切換られるプッシュロックスイッチである場合に有効である。この場合には、前記スイッチノブは、前記変位部と一体にその変位方向に変位するように前記係合部が当該変位部に係合していることが必要であり、当該変位部と当該係合部との間の相対変位は殆ど期待できないため、前記係合部とノブ本体部との相対変位により前記スイッチ素子と前記保持部材との相対位置の誤差を吸収することはきわめて有効となる。
【0013】
スイッチノブのより具体的な構成として、例えば前記ノブ本体部は、前記押圧操作方向と直交する方向における前記係合部の両側の位置に被連結部分を有しており、これら被連結部分と前記係合部との間に前記連結部がそれぞれ介在しているのが好適である。この構成では、ノブ本体部が受ける押圧操作力が前記変位部に対しての両側から伝達される。そのため、係合部とノブ本体部との相対変位を許容する一方で、ノブ本体部が受ける押圧操作力を安定的に前記変位部に伝達して当該変位部を適正に変位させることが可能となる。
【0014】
なお、前記ノブ本体部が押圧操作を受ける被押圧壁とこの被押圧壁の周囲から前記押圧操作方向に延びる側壁とを有する中空状をなすスイッチノブでは、前記係合部は、前記ノブ本体部の前記側壁の外側に設けられ、前記被連結部分は、前記側壁の外側面上に形成されているものでもよい。この構成によれば、ノブ本体部の側壁の外側の位置にスイッチ素子が配置されるような場合において、上記のような作用を享受しつつスイッチノブと前記スイッチ素子の変位部とを連結することが可能となる。このようなスイッチノブによれば、例えばスイッチ装置として、当該スイッチノブと、特定方向に変位可能な変位部を有し、前記スイッチノブの係合部が前記変位部に係合することにより前記スイッチノブに連結されるスイッチ素子と、前記スイッチノブのノブ本体部が前記変位部の変位方向と平行な押圧操作方向に変位可能となるように当該ノブ本体部を保持する保持部材と、前記スイッチノブの前記ノブ本体部の側壁の内側の位置に配置されかつ前記スイッチ素子の接点開閉に応じて発光する光源とを備え、前記スイッチ素子が、前記ノブ本体部の側壁の外側の位置に配置され、その変位部に前スイッチノブの係合部が係合することにより当該スイッチノブに連結されたものを構築することができる。
【0015】
また、前記ノブ本体部は、前記係合部が前記スイッチ素子の変位部に係合した状態で、当該変位部に対して前記押圧操作方向と直交する方向の相対変位が許容されながら前記押圧操作方向と平行な方向に沿って前記変位部に当接する当接部を有しているのが好適である。この構成では、前記係合部及び連結部とは別に、ノブ本体部が受ける押圧操作力が前記当接部を介してノブ本体部から直接前記変位部に伝達される。そのため、前記連結部の変形等の影響を受けることなく前記押圧操作力がより確実に前記変位部に伝達される。
【0016】
上記のようなスイッチノブは、前記ノブ本体部、係合部及び連結部の全部又は一部が別体として形成された上で互いに組付けられた構成のものであってもよいが、前記ノブ本体部、係合部及び連結部が同一材料により一体に形成されている構成によれば、当該スイッチノブの生産性を高める上で有利となる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、スイッチノブにおけるノブ本体部と係合部との相対変位により保持部材とスイッチ素子との相対位置の誤差を吸収することができるので、当該スイッチノブと保持部材との隙間を小さく抑えながら当該スイッチノブをスイッチ素子に不都合なく連結することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るスイッチ装置を示す平面図である。
【図2】スイッチ装置を示す斜視図(外装パネルは仮想線で示す)である。
【図3】スイッチ装置を示す分解斜視図である。
【図4】スイッチ装置を示す縦断面図(図1のIV−IV線断面図)である。
【図5】スイッチ装置を示す縦断面図(図1のV−V線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳述する。
【0020】
図1〜図5は、本発明に係るスイッチ装置を概略的に示している。この図に示すスイッチ装置は、スイッチノブ10及びその保持部材20と、スイッチ素子30が実装された回路基板40と、これら全体を覆う外装パネル50とを備える。
【0021】
前記スイッチ素子30は、いわゆるプッシュロックスイッチであり、回路基板40に実装される本体部32と、この本体部32に保持される操作軸34(本発明の変位部に相当する)とを有する。この操作軸34は、前記本体部32に対して当該操作軸34の軸方向、当例では前記回路基板40の法線方向と平行な方向に変位可能なものであり、同方向の押圧力を受ける度に、図2及び図4に示す第1の切換位置と、この第1の切換位置よりも前記本体部32内に没入する(すなわち前記軸方向に沿って前記回路基板40側に近づく)第2の切換位置とに交互に切換えられる。この切換により、前記本体部32内の接点が開閉される。
【0022】
なお、前記回路基板40には、LED等の発光素子36(本発明の光源に相当する)が実装されており、これが前記操作軸34の位置切換に応じて点灯する。この発光素子36は、スイッチノブ10の後記側壁12bの内側の位置に配置され、当例では、操作軸34が第2の切換位置に切換られた状態で点灯するように当該発光素子36が基板上回路に接続されている。
【0023】
前記保持部材20は、前記スイッチノブ10が前記操作軸34の変位方向と平行な押圧操作方向に変位可能となるように当該スイッチノブ10を保持するもので、前記回路基板40上に重ねられている。
【0024】
前記スイッチノブ10は、外装パネル50の外側から指等で押圧操作を受けることにより、その押圧操作方向、すなわち前記操作軸34の変位方向と平行な方向に変位し、当該押圧操作力を前記スイッチ素子30の操作軸34に伝達する。そのために、このスイッチノブ10は、前記押圧操作方向にスライド可能となるように前記保持部材20により保持されている。
【0025】
このスイッチノブ10は、外装パネル50から露出して前記押圧操作を受けるノブ本体部12と、ノブ本体部12が受ける押圧操作力を前記スイッチ素子30の操作軸34に伝達して当該操作軸34をその軸方向に変位させる一対の係合片17とを備え、これらノブ本体部12と両係合片17とが同一材料により一体成型されたものである。
【0026】
前記ノブ本体部12は、前記押圧操作を受ける被操作壁12aと当該被操作壁12aの周縁部から前記押圧操作方向に延びる側壁12bとを有した中空状をなす。前記側壁12bは、ほぼ四角筒状をなし、前記押圧操作方向と平行な外側面を有する。当該側壁12bのうち一側面には、当該側面から突出して前記押圧操作方向と平行な方向に延びる一対の平行リブ13(本発明の被連結部分に相当する)が形成され、この平行リブ13の内側に前記一対の係合片17が設けられている。一方、前記保持部材20は、ノブ本体部12の前記側壁12bを、前記平行リブ13が設けられる側面を除く三方から囲み、かつその外側面と略平行な内側面をもつ案内壁24を有しており、当該案内壁24の内側に前記ノブ本体部12が前記押圧操作方向と平行な方向にスライド可能となるように嵌入されている。
【0027】
前記ノブ本体部12の各平行リブ13の外側面、及び前記側壁12bのうち当該平行リブ13が設けられる外側面とは反対側の外側面には、それぞれ当該外側面から突出して前記押圧操作方向に延びる案内用凸部14が形成されている。一方、前記保持部材20の案内壁24には、これら案内用凸部14に対応して前記押圧操作方向に延びる案内溝26が形成されており、各案内用凸部14がそれぞれ対応する案内溝26に挿入されている。
【0028】
スイッチノブ10の前記一対の係合片17は、ノブ本体部12の側壁12bの外側であってかつ前記両平行リブ13の間の位置に配置される前記スイッチ素子30の操作軸34を左右両側から挟持するように各平行リブ13の間に内向きに設けられている。
【0029】
各係合片17は、スイッチ素子30の前記操作軸34に係合してこの操作軸34と一体に変位する係合部17aと、当該係合部17aと前記平行リブ13(つまりノブ本体部12)とを連結する連結部17bとを有している。当例では、前記係合部17aが前記押圧操作方向に延びてスイッチ素子30の前記操作軸34を左右両側から挟持するように形成され、連結部17bが前記係合部17aの上端(回路基板40側とは反対側の端部)と前記平行リブ13とを連結するように形成されることにより、各係合片17は、全体として略逆L字型の形状をなしている(図4参照)。
【0030】
前記各係合片17の係合部17aの先端には内向きの突起17cが形成される一方、前記操作軸34の外周面には当該突起17cが係合可能な溝部34aが形成されている。この係合により、前記操作軸34と前記スイッチノブ10とが一体に変位するように互いに両係合片17を介して連結されている。
【0031】
前記各係合片17のうち前記連結部17bは、前記押圧操作方向と直交する方向、当例では当該両係合片17の並び方向と平行な方向における前記ノブ本体部12と前記係合部17aとの相対変位が許容されるように同方向に弾性変形可能な形状を有している。具体的には、前記連結部17bは、前記係合部17aと前記平行リブ13との間の位置で前記押圧操作方向に一乃至複数回屈曲しながら同方向と直交する方向に延びる形状を有しており、当例では、当該直交する方向の線分を基準として蛇行するように前記連結部17bが形成されている。
【0032】
なお、前記ノブ本体部12は、当該操作軸34に対して前記押圧操作方向と直交する方向の相対変位が許容されながら前記押圧操作方向と平行な方向に沿って前記操作軸34に当接する当接部18を有している。この当接部18は、前記両係合片17の間に介在するように前記側壁12bの外側面上に突設されたリブからなる。当該当接部18は、各係合片17(係合部17a)がスイッチ素子30の操作軸34に係合した状態で当該操作軸34の先端面(図2では上端面)に当接するように形成されており、一方、当該操作軸34の先端面は前記押圧操作方向と直交する平坦面とされている。この構成によりノブ本体部12の前記被操作壁12aが受ける押圧操作力が、前記係合片17とは別に上記当接部18を介して操作軸34に伝達される。
【0033】
前記外装パネル50は、開口部52aが形成された天井壁52とその周縁部から前記押圧操作方向に延びる側壁54とを有した中空状をなし、スイッチノブ10(ノブ本体部12の被操作壁12a)が前記開口部52aから外部に臨むように当該スイッチノブ10、保持部材20及び回路基板40に被せられる。詳しくは、前記外装パネル50の側壁54は、ほぼ四角筒状をなしている。一方、保持部材20は、その一端部(回路基板40側の一端部)の外周面上に形成されるフランジ22により当該一端部における外面形状が前記側壁54の内面形状と一致する四角形状とされ、前記回路基板40の外面形状も側壁54の当該内面形状と一致する四角形状とされている。そして、図4に示すように、前記外装パネル50が保持部材20(フランジ22の部分)及び回路基板40に外嵌するようにこれら回路基板40等に対して被せられている。
【0034】
上記のようなスイッチ装置では、スイッチノブ10のノブ本体部12と、スイッチ素子30の操作軸34に係合する係合部17aとが前記押圧操作方向と直交する方向(前記係合片17の並び方向)に相対変位可能となっているので、前記保持部材20と前記スイッチ素子30との相対位置に多少の誤差(前記係合片17の並び方向の誤差)があっても、これを前記ノブ本体部12と係合部17aとの相対変位によって吸収することができる。また、前記押圧操作方向と直交する方向であっって前記係合片17の並び方向と直交する方向については、両係合片17の係合部17a(突起17c)の係合位置を前記操作軸34の溝部34aに沿ってずらすことで前記保持部材20と前記スイッチ素子30との相対位置の誤差を吸収することができる。従って、このスイッチ装置によれば、前記ノブ本体部12と保持部材20との隙間を極力抑えながらも、前記誤差(バラつき)にかかわらず前記スイッチノブ10と前記スイッチ素子30の操作軸34とを不都合なく連結することができる。
【0035】
しかも、このスイッチ装置では、前記操作軸34及びこれに係合する係合部17aを中心としてこれらと前記両平行リブ13(ノブ本体部12)との間にそれぞれ前記連結部17bが介在した構成となっているので、ノブ本体部12が受ける押圧操作力が前記操作軸34に対しての両側から伝達される。特に、このスイッチ装置では、前記操作軸34に当接することにより前記ノブ本体部12が受ける押圧操作力を前記係合片17とは別に前記操作軸34に伝達する当接部18をノブ本体部12が有しているので、前記ノブ本体部12が受ける押圧操作力を上記連結部17bの変形等にかかわらず前記操作軸34に確実に伝達することができる。従って、このスイッチ装置によれば、係合部17aとノブ本体部12との相対変位を許容する一方で、ノブ本体部12が受ける押圧操作力を安定的に前記操作軸34に伝達して当該操作軸34を適正に変位させることができるという利点もある。
【0036】
なお、上述したスイッチ装置は本発明に係るスイッチ装置(本発明に係るスイッチノブが適用されたスイッチ装置)の好ましい実施形態の一例であってその具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0037】
例えば、上記実施形態のスイッチ装置では、スイッチノブ10は、その外側、すなわちノブ本体部12の側壁12bの外側に前記係合片17が設けられた構成であるが、スイッチノブ10は、スイッチノブ10の内側に係合片17が設けられた構成、具体的には、前記ノブ本体部12の被操作壁12aの裏面又は側壁12bの内側面に前記係合片17が形成されたものであってもよい。例えば、スイッチ装置の構成において、スイッチノブ10の内側に上記のような発光素子36を配置する必要がない場合には、スイッチノブ10としてその内側に係合片17を備えたものを適用し、スイッチノブ10の内側にスイッチ素子30を配置した上で当該スイッチノブ10とスイッチ素子30とを当該スイッチノブ10の内側の位置で連結するようにしてもよい。
【0038】
また、スイッチノブ10と操作軸34とを連結するための部分は、操作軸34に係合してこの操作軸34と一体に変位する係合部と、この係合部とノブ本体部12とを連結し、かつ前記押圧操作方向と直交する方向に当該係合部とノブ本体部12とが相対変位するのを許容するように同方向に弾性変形する形状の連結部とを有するものであれば上記のような一対の係合片17に限定されるものではなく、他の形状のものを適用することもできる。例えば、上記係合片17を一体化した形状、すなわち操作軸34の先端部を被う単一の係合部と、この係合部をその両側でノブ本体部12に連結する弾性変形可能な連結部とを設けた構成であってもよい。
【0039】
なお、本発明のスイッチ装置は、上記のように箱型の外装パネル50にスイッチノブ10、保持部材20及びスイッチ素子30等が組み込まれた独立型の構成に限らず、車両の車室内に臨むように設けられた操作パネル(インストルメントパネル)等に組み込まれた構成も含む。この構成では、例えば操作パネルの後側に前記保持部材20が一体に形成され、前記操作パネルの外側から押圧操作可能となるように前記スイッチノブ10がこの保持部材20に保持される。そして、前記操作パネルの後側にこれと略平行に前記回路基板40が配置され、この回路基板40に実装される前記スイッチ素子30の操作軸34に前記両係合片17を介して前記スイッチノブ10が連結される。
【符号の説明】
【0040】
10 スイッチノブ
12 ノブ本体部
17 係止片
17a 係合部
17b 連結部
18 当接部
20 保持部材
24 案内壁
30 スイッチ素子
32 本体部
34 操作軸(変位部)
40 回路基板
50 外装パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定方向に変位可能な変位部を有するスイッチ素子の当該変位部に連結され、この変位部の変位方向と平行な押圧操作方向に押圧操作を受けることが可能となるように保持部材に保持されるスイッチノブであって、
前記押圧操作方向に変位可能となるように前記保持部材に保持され、前記押圧操作方向に押圧操作を受けるノブ本体部と、
前記スイッチ素子の前記変位部に係合してこの変位部と一体に変位する係合部と、
当該係合部と前記ノブ本体部とを連結し、かつ前記押圧操作方向と直交する方向に当該係合部と前記ノブ本体部とが相対変位するのを許容するように同方向に弾性変形する形状の連結部とを有することを特徴とするスイッチノブ。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチノブにおいて、
前記ノブ本体部は、前記押圧操作方向と直交する方向における前記係合部の両側の位置に被連結部分を有しており、これら被連結部分と前記係合部との間に前記連結部がそれぞれ介在していることを特徴とするスイッチノブ。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチノブにおいて、
前記ノブ本体部は、押圧操作を受ける被押圧壁とこの被押圧壁の周囲から前記押圧操作方向に延びる側壁とを有する中空状をなし、前記係合部は、前記ノブ本体部の前記側壁の外側に設けられ、前記被連結部分は、前記側壁の外側面上に形成されていることを特徴とするスイッチノブ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のスイッチノブにおいて、
前記ノブ本体部は、前記係合部が前記スイッチ素子の変位部に係合した状態で、当該変位部に対して前記押圧操作方向と直交する方向の相対変位が許容されながら前記押圧操作方向と平行な方向に沿って前記変位部に当接する当接部を有していることを特徴とするスイッチノブ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のスイッチノブにおいて、
前記ノブ本体部、係合部及び連結部が同一材料により一体に形成されていることを特徴とするスイッチノブ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のスイッチノブと、
特定方向に変位可能な変位部を有し、前記スイッチノブの係合部が前記変位部に係合することにより前記スイッチノブに連結されるスイッチ素子と、
前記スイッチノブのノブ本体部が前記変位部の変位方向と平行な押圧操作方向に変位可能となるように当該ノブ本体部を保持する保持部材とを備えたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項7】
請求項3に記載のスイッチノブと、
特定方向に変位可能な変位部を有し、前記スイッチノブの係合部が前記変位部に係合することにより前記スイッチノブに連結されるスイッチ素子と、
前記スイッチノブのノブ本体部が前記変位部の変位方向と平行な押圧操作方向に変位可能となるように当該ノブ本体部を保持する保持部材と、
前記スイッチノブの前記ノブ本体部の側壁の内側の位置に配置されかつ前記スイッチ素子の接点開閉に応じて発光する光源とを備え、
前記スイッチ素子は、前記ノブ本体部の側壁の外側の位置に配置され、その変位部に前スイッチノブの係合部が係合することにより当該スイッチノブに連結されていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のスイッチ装置において、
前記スイッチ素子は、前記変位部がその変位方向に押圧力を受ける度に当該変位部の位置が第1の切換位置とこの第1の切換位置から前記変位方向に離れた第2の切換位置とに切換られるプッシュロックスイッチであり、前記スイッチノブは、前記変位部と一体にその変位方向に変位するように前記係合部が当該変位部に係合していることを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−150962(P2011−150962A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12900(P2010−12900)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】