説明

スイッチモジュール

【課題】第1操作部材20の押圧操作時に、摺動子61とエンコーダ接点72との間に作用する押圧力を低減させたスイッチモジュール1を提供する。
【解決手段】 スイッチモジュール1のベース部材10に対する押圧方向に沿って弾性復元可能に移動し、スイッチを押圧する可動部41を有するハウジング40と、ベース部材10に対して回転移動と押圧移動が可能なように可動部41の上面側41aに設けられ、押圧移動に応じて可動部41を移動させる第1操作部材20と、可動部41に固定され、第1操作部材20の回転移動に応じた信号を出力する第1導電回路層73を有する第1配線基板70と、第1配線基板20と対面するように第1操作部材20に固定され、第1導電回路層73上を摺動する摺動子61を含む摺動部材60と、を備えるスイッチモジュール1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯オーディオ機器、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどの電子機器に用いられ、押圧スイッチ機能とロータリースイッチ機能を備えるスイッチモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置に関し、操作面を回転可能に支持する回転体を、複数の弾性を有する腕部を有する環状の軸受部でハウジングに軸支することにより、操作面を傾倒可能にするスイッチモジュールが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−4209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、操作面を押圧して回転体を傾倒させるたびに、回転体に取り付けられた摺動子がエンコーダ接点に押しつけられ、両者の間に押圧力が作用するので、摺動子及びエンコーダ接点が損傷し、スイッチの動作安定性が損なわれるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、押圧スイッチ機能とロータリースイッチ機能を備えるスイッチモジュールにおいて、押圧スイッチ機能の押圧操作時に、摺動子とエンコーダ接点との間に作用する押圧力を低減することにより、摺動子及びエンコーダ接点の損傷を防止し、スイッチの動作安定性の高いスイッチモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スイッチモジュールのベース部材に対する押圧方向に沿って弾性復元可能に移動し、スイッチを押圧する可動部を有するハウジングと、前記ベース部材に対して回転移動と押圧移動が可能なように前記可動部の上面側に設けられ、前記押圧移動に応じて前記可動部を移動させる第1操作部材と、前記可動部に固定され、前記第1操作部材の回転移動に応じた信号を出力する第1導電回路層を有する第1配線基板と、前記第1配線基板と対面するように前記第1操作部材に固定され、前記第1導電回路層上を摺動する摺動子を含む摺動部材と、を備えることを特徴とするスイッチモジュールを提供することにより、上記課題を解決する。
【0007】
上記発明において、前記ハウジングは、前記スイッチモジュールのベース部材に固定された基部を備え、前記可動部を弾性ヒンジ部を介して前記基部に設けることができる。
【0008】
上記発明において、前記第1操作部材と接触可能であり、前記可動部に固定されたクリックバネをさらに有するように構成することができる。
【0009】
上記発明において、前記第1操作部材は、前記クリックバネと接触する凹凸部を有するように構成することができる。
【0010】
上記発明において、前記凹凸部は、前記入力操作がされる入力操作面において他の部分よりも相対的に高く形成された凸状部分の裏面に設けるように構成することができる。
【0011】
上記発明において、第2基材と、該第2基材の、前記第1配線基板の第1基材の一方主面側と対向する一方主面に実装された複数のメタルドームと、前記メタルドームの頭頂部と対向するように、前記第2基材の前記メタルドームが実装される一方主面に形成された押圧接点を含む第2導電回路層と、を有し、前記第1配線基板の一方主面側に配置される第2配線基板と、前記第2配線基板のメタルドームを押圧する押圧部を備える第2操作部材と、前記ベース部材に固定され、前記第2操作部材に設けられた押圧部が挿入される貫通孔を有する第3基材と、をさらに備え、前記第2操作部材に形成された係合部と、前記第3基材に形成された被係合部とが係合するように構成することができる。
【0012】
上記発明において、前記第3基材の前記第2操作部材側の主面には、前記第1又は第2導電回路層の接地回路パターン及び/又は導電性の前記ベース部材と短絡する導電接地層が形成されるように構成することができる。
【0013】
上記発明において、前記第1基材と前記第2基材と前記第3基材は、一つの連続した基材からなり、前記第1導電回路層と前記第2導電回路層は当該基材の同じ主面に形成されるように構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、第1操作部材に押圧操作がされたときに、第1導電回路層及び摺動部材が共に押圧方向に移動するように構成したため、押圧操作時に摺動部材とエンコーダ接点との間に作用する押圧力を低減することができる。これにより、第1導電回路層及び摺動部材の損傷を防止し、スイッチの動作安定性が損なわれることを防ぐことができ、この結果、信頼性が高く、長寿命のスイッチモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るスイッチモジュールを示す斜視図である。
【図2】図1に示すスイッチモジュールの入力操作面側から見た分解斜視図である。
【図3】図1に示すスイッチモジュールのベース部材側から見た分解斜視図である。
【図4】図1のIV-IV線に沿う断面図である。
【図5】図1に示すスイッチモジュールにおけるクリックバネの装着状態を示す斜視図である。
【図6】図1に示すスイッチモジュールにおけるハウジングの装着状態示す斜視図である。
【図7】ハウジングの平面図である。
【図8】ハウジングの底面図である。
【図9】第1配線基板を示す斜視図である。
【図10】第1配線基板と第2配線基板と第3基材を示す平面図である。
【図11】図10に示す第1配線基板と第2配線基板と第3基材の裏面側を示す平面図である。
【図12】第1配線基板、第2配線基板及び第3基材を組み立てた状態を示す図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る第1操作部材の図4に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態のスイッチモジュールは、携帯電話、携帯オーディオ装置、PDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器の入出力操作に用いられるスイッチである。本実施形態では、多方向押圧スイッチ機能とロータリースイッチ機能とを備える携帯オーディオ装置のスイッチに、本発明に係るスイッチモジュールを適用した例を説明する。
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明に係る本実施形態のスイッチモジュールについて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るスイッチモジュール1を示す斜視図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態のスイッチモジュール1は、ユーザからの入力を受け付ける入力操作面Aを形成する第1操作部材20及び第2操作部材30と、入力操作面Aと対向するように最下層に配置され、スイッチモジュール1を支持する樹脂製又は金属製のベース部材10と、第1操作部材20と第2操作部材30とベース部材10とを一体に保持するハウジング40とを備えている。
【0020】
同図に示すように、本実施形態のスイッチモジュール1では、略円形の第2操作部材30が略中央部に設けられ、環状の第1操作部材20が第2操作部材30を取り囲むように外周側領域に形成されている。本実施形態の第1操作部材20と第2操作部材30は別個独立の部材であり、両部材は隙間Eを介して配置されている。外周側に設けられた第1操作部材20は外周側上面に環状の入力操作面20Aを形成し、内周側に設けられた第2操作部材30は中心部上面に略円形の入力操作面30Aを形成し、入力操作面20Aと入力操作面30Aとはスイッチモジュール1の入力操作面Aを形成する。
【0021】
本実施形態の第1操作部材20は、押圧操作(指で押す)及び押圧解除操作(指をはなす)に応じて、図1に示すZ軸に沿ってベース部材10に対して上下方向又は斜め方向に押圧移動するとともに、回転操作(指で回す)に応じて、ベース部材10に対して図1乃至3のXY平面に沿う回転移動をすることができる。また、第2操作部材30は、押圧操作及び押圧解除操作に応じて、Z軸に沿ってベース部材10に対して上下方向又は斜め方向に押圧移動することができる。
【0022】
なお、本実施形態の第1操作部材20及び第2操作部材30の押圧移動は、上下動及び傾動などの押圧方向の成分を含む移動を含む。
【0023】
また、図1に示すように、ユーザの回転操作を補助する観点から、第1操作部材20の入力操作面20Aには、相対的に高い位置に形成された凸面部21aと、相対的に低い位置に形成された凹面部21bとが設けられている。
【0024】
さらに、第2操作部材30の入力操作面30Aには、操作方向を指示する三角形の操作表示30Gが示されている。操作表示30Gは、回転方向に指向性を有し、入力操作面Aと略平行なXY平面上の所定の座標(方向)を示す。本実施形態では、操作表示30Gが常に所定の座標(方向)を指し示すことができるように、第2操作部材30はベース部材10に対して回転しないように係合されている。この係合機構については後述する。
【0025】
なお、操作表示30Gの態様は特に限定されず、本例のように多角形の頂点を指示方向に配置する態様でもよいし、幾何図形ではなく文字や画像などを用いて所定方向を示すことも可能である。また、操作表示30Gを、第2操作部材30の操作入力面30Aのみではなく、第1操作部材20の操作入力面20Aにも表示することもできる。
【0026】
スイッチモジュール1を動作させるために第1操作部材20又は第2操作部材30を押圧移動させると、ベース部材10側に配置されたスイッチ(メタルドーム82のスイッチ)が押されて、押圧位置に応じた位置信号及び/又は押圧位置に応じたオンオフ信号を取得することができる。また、第1操作部材20を回転移動させると、ベース部材10側に配置されたエンコーダスイッチの接点が移動して、回転位置に応じた位置信号及び/又は回転量に応じた信号を取得することができる。
【0027】
各信号は、携帯オーディオ装置の所定機能の実行命令と予め対応づけられており、取得された各信号に応じて携帯オーディオ装置の所定の機能が実行される。例えば、ユーザは、第1操作部材20又は第2操作部材30を押圧し、又は第1操作部材30を回転させることにより、プログラムリストの表示、スクロール又は実行若しくは停止、ボリュームの調節などをすることができる。
【0028】
図2及び図3は、図1に示すスイッチモジュール1の分解斜視図であり、図2は入力操作面2A側から見た分解斜視図、図3はベース部材10側から見た分解斜視図である。また、図4は図1のIV-IV線に沿う断面図である。
【0029】
図2乃至図4に示すように、スイッチモジュール1の最上面を形成する第1操作部材20及び第2操作部材30と、底面を形成するベース部材10との間には、クリックバネ50と、可動部41及び基部42を有するハウジング40と、第1配線基板70と、摺動部材60と、第2配線基板80とが配置されている。
【0030】
同図に示すように、第1操作部材20、第2操作部材30、クリックバネ50、ハウジング40の可動部41、第1配線基板70と、摺動部材60と、第2配線基板80、及びベース部材10とは、XY平面に沿う平板状の部材であり、図2及び図3中に示す矢印PのP1側からP2側へ向かう方向に積層される。図2及び図3では積層状態が示されていない第3基材90もXY平面に沿う平板状の部材であり、XY平面に沿って第2操作部材30の下に配置される。
【0031】
以下、本実施形態のスイッチモジュール1を構成する各部材について、それぞれ説明する。
【0032】
まず、最上層に位置する第1操作部材20及び第2操作部材30について説明する。
【0033】
第1操作部材20はベース部材10に対して回転移動と押圧移動が可能な部材である。同図に示すように、第1操作部材20は環状の部材であり、外周側の表面(入力操作面)には入力操作時に指が滑らないようにするための凸面部21a及び凹面部21bが形成されている。また、図3に示すように、その裏面(ベース部材10側)には、凸面部21a及び凹面部21bに応じた凹凸部22が形成されている。なお、図4に示す組立された状態において、この凹凸部22は後述するクリックバネ50の接触子51と接触する。
【0034】
また、図4に示すように、第1操作部材20のベース部材10側の面には、ハウジング40の当接部43と当接する被当接面20Bが設けられており、第1操作部材20の押圧移動をハウジング40の可動部41に伝えることができる。つまり、第1操作部材20は、入力操作面20Aから入力された押圧力Fによる押圧移動に応じて、ハウジング40の可動部41を押圧移動させることができる。
【0035】
特に限定されないが、ハウジング40が備える当接部43は、スイッチモジュール1の高さ方向(図1のZ軸方向)に沿って所定の高さを有するように形成することができる。当接部43を所定高さの構成とすることにより、第1操作部材20と可動部41との距離を一定に保つことができ、その結果、第1操作部材20が押圧されても、第1操作部材20と、可動部41に固定された部材(クリックバネ50、第2配線基板70)及び第1操作部材20に固定された部材(摺動部材60)との間の距離を一定に保ち、これらが干渉しないようにすることができる。
【0036】
また、環状の第1操作部材20には、この第1操作部材20の内周縁からベース部材10側に延在する柱状の部材である係合凸部24が複数設けられている。この係合凸部24は、図4に示すように、後述する摺動部材60と係合している。さらに、係合部分周辺及び第1操作部材20の当接面25は摺動部材60の主面と接している。このため、摺動部材60は、第1操作部材20の押圧移動に伴い押圧移動するとともに、第1操作部材20の回転移動に伴い回転移動する。
【0037】
続いて、第2操作部材30について説明する。図2及び図3に示すように、第2操作部材30のベース部材10側の面には、略中央に第2スイッチ押圧部31が設けられ、第2スイッチ押圧部31以外の場所に一又は複数の係合部32が設けられている。
【0038】
第2スイッチ押圧部31の端部は、図4に示すように、第2配線基板80の中央に配置されたメタルドーム82に当接している。この第2操作部材30が押圧操作されると、押圧部31が第2配線基板80の中央のメタルドーム82を押圧し、対応するスイッチ信号が出力される。また、第2操作部材30の係合部32は、同図に示すように、後述する第3基材90の被係合部95bと係合する。
【0039】
特に限定されないが、これらの第1操作部材20及び第2操作部材30は、PC(Poly Carbonate)、ABS (Acrylonitrile Butadiene Styrene)、PBT (Poly Butylene Terephtalate)、PET (Poly Ethylene Terephthalate)などの絶縁性の樹脂材料を用い、一般的な樹脂成形技術により形成することができる。
【0040】
次に、第1操作部材20の下側(ベース部材10側)に配置されるクリックバネ50について説明する。図2〜図4に示すように、本実施形態のクリックバネ50は、円盤形状の部材であり、第1操作部材20側に突状に設けられ、弾性を有する接触子51と、ハウジング20に装着するための装着孔52とを有する。
【0041】
図5は、クリックバネ50の装着状態を示す斜視図である。図5に示すように、クリックバネ50は、接触子51が第1操作部材20の裏面に形成された凹凸部22と接触するように、ハウジング40の可動部41の上面に配置される。特に限定されないが、本実施形態のクリックバネ50は、例えばSUS(Stainless steel)や銅系金属などの金属製の薄板をプレス成形することにより得ることができる。クリックバネ50の材質は、弾性を備えたものであれば特に限定されない。
【0042】
また、同図に示すように、クリックバネ50の装着孔52には、ハウジング40の可動部41に設けられた当接部43が挿入されている。これにより、クリックバネ50を、第1操作部材20と接触可能としつつ可動部41に固定することができる。
【0043】
このように、クリックバネ50は、ハウジング40の可動部41に固定されているので、可動部41とともにベース部材10に対して押圧移動をすることができるが、ハウジング40に対して回転移動をすることができない。これに対し、第1操作部材20及び凹凸部22は回転移動が可能である。
【0044】
第1操作部材20が回転移動すると、第1操作部材20に設けられた凹凸部22は回転移動しながら、クリックバネ50の接触子51と接触する。凹凸部22との接触時において、接触子51は弾性変形するため、振動が発生する。この振動は第1操作部材20に伝達され、第1操作部材20に触れているユーザはクリックバネ50の振動、つまり、自らが行った回転操作に対する応答感、いわゆるクリック感を感じることができる。
【0045】
続いて、クリックバネ50が装着されるハウジング40について説明する。
【0046】
本実施形態のハウジング40は、スイッチモジュール1のベース部材10に対する押圧方向(図2及び3において矢印Pに沿う方向、図4において矢印Fに沿う方向)に沿って弾性復元可能に移動し、下側のスイッチ(メタルドーム82のスイッチ)を押圧する可動部41と、ベース部材10に固定された基部42とを有する。
【0047】
図6は、図1に示すスイッチモジュール1におけるハウジング40の装着状態示す斜視図である。図2、図3及び図6に示すように、スイッチモジュール1の側壁を形成するハウジング40の基部42には、ベース部材10方向に延在するベース固定部46が設けられている。図4に示すように組み立てられた後に、ベース固定部46はベース部材10の固定孔11に嵌入され、熱カシメなどにより、ハウジング40がベース部材10に固定される。
【0048】
図6に示すように、ハウジング40の基部42には、側壁から内側に延在する弾性ヒンジ部45が設けられている。可動部41は、複数の弾性ヒンジ部45を介して基部42に設けられている。弾性ヒンジ部45は、スイッチモジュール1の側壁に沿って所定の長さを有し、その一方端が基部45(ハウジング40の側壁)に固定されるとともに、その他方端が可動部41に固定されている。このため、複数の弾性ヒンジ部45により支持された可動部41は、無負荷状態においてはベース部材10に対して所定距離の位置に水平(図1のXY平面に沿う面)に位置するが、押圧力が与えられたときには、ベース部材10に対して押圧移動をすることが可能である。
【0049】
図7及び図8は、本実施形態のハウジング40を示す図であり、図7は先述したクリックバネ50が設けられる側の上面41aを示す平面図であり、図8は後述する第1配線基板70が設けられる側の下面41bを示す底面図である。
【0050】
図7に示す可動部41の上面41aには、クリックバネ50が装着され(図5参照)、図8に示す可動部41の下面41bには、後述する第1配線基板70が装着される。つまり、図4に示すように、可動部41はクリックバネ50と第1配線基板70とに挟まれた状態となり、可動部41がベース部材10に対する押圧方向(図4の矢印Fの方向)に沿って弾性復元可能に押圧移動する際には、クリックバネ50及び第1配線基板70も一緒に押圧移動する。ちなみに、ハウジング40はベース固定部46によりベース部材10に固定されているので、可動部41、クリックバネ50及び第1配線基板70は回転移動できない。
【0051】
また、図7に示すように、可動部41の上面41a側(第1操作部材20側)には、この第1操作部材20の被当接面20Bと当接する当接部43が設けられており、図8に示すように、可動部41のベース部材10側には、第2配線基板80のメタルドーム82を押圧する第1スイッチ押圧部44が設けられている。
【0052】
このような構成により、第1操作部材20の入力操作面20Aに入力された押圧力F(図4参照)は、第1操作部材20の被当接面20Bからハウジング40の当接部43に伝わり、可動部41を押圧移動させる。また、第1操作部材20の入力操作面20Aに入力された押圧力Fは、ハウジング40の当接部43から同じハウジング40の第1スイッチ押圧部44に伝わり、メタルドーム82を押圧する。
【0053】
なお、ハウジング40は、第1操作部材20、第2操作部材30と同様の絶縁性の樹脂材料を用い、一般的な樹脂成形技術により形成することができる。
【0054】
次に、可動部41に固定される第1配線基板70について説明する。図9は、第1配線基板70を示す斜視図である。
【0055】
本実施形態の第1配線基板70は、可動部41の下面(ベース部材側の面)41bに固定され、第1操作部材20の回転移動に応じた信号を出力するための例えばエンコーダ接点72を含む第1導電回路層73を有する。つまり、第1配線基板70は、エンコーダ接点72がベース部材10側に対向するように、配置されている。
【0056】
本実施形態の第1配線基板70は、第1基材71と、第1基材71の一方主面側に形成されたエンコーダ接点72を含む第1導電回路層73とを備える。また、本実施形態では、第1導電回路層73が形成された第1基材71の一方主面がベース部材10に対向するように配置されている。本例では、第1基材71の他方主面を可動部41の下面(ベース部材側)41bに接着剤を用いて貼りつけることにより、第1配線基板70をハウジング40に固定しているが、第1配線基板70をハウジング40に直接形成してもよい。例えば、ハウジング40の可動部41の下面41bに、エンコーダ接点72を含む第1導電回路層73を直接印刷して形成してもよい。
【0057】
続いて、エンコーダ接点72に接する摺動部材60について説明する。図2及び図3に示すように、本実施形態の摺動部材60は、第1操作部材20側に突出させた摺動子61と、係合孔62とを有し、第1配線基板70と対面するように配置されている。
【0058】
図4に示すように、第1操作部材20の係合凸部24が係合孔62に挿入されており、摺動部材60は第1操作部材20に固定されている。これにより、第1操作部材20が回転移動すると、摺動部材60も一緒に回転移動する。このとき、摺動部材60の摺動子61は、ハウジング40に固定された第1配線基板70のエンコーダ接点72を含む第1導電回路層73上を摺動する。
【0059】
なお、本実施形態において、摺動部材60及び摺動子61は、SUSや銅系金属などの導電性及び弾性を備えた金属板をプレス成形することにより得るが、摺動部材60と摺動子61を別々に作成し、接着又は溶着により一体にすることもできる。
【0060】
さらに、第1配線基板70の一方主面側には、第2配線基板80が配置される。本実施形態の第2配線基板80は、第2基材81と、該第2基材81の、第1配線基板70の第1基材71の一方主面側(第1導電回路層73が形成された主面側)と対向する一方主面に実装された複数のメタルドーム82と、メタルドーム82の頭頂部と対向するように、第2基材81のメタルドーム82が実装される一方主面に形成された押圧接点を含む第2導電回路層83とを有する。
【0061】
図10は、第1配線基板70と第2配線基板90と第3基材90を示す平面図であり、図11は、図10に示す基材の裏面側を示す平面図である。
【0062】
第2配線基板80に着目して説明すると、図10に示すように、第2基材81の一方主面(組み立て後における入力操作面A側)には、複数のメタルドーム82と、メタルドーム82の頭頂部と対向する押圧接点を含む第1導電回路層83が形成されている。
【0063】
本実施形態のメタルドーム82は、SUSや銅系金属などの導電性及び可撓性を持つ材料で構成されたドーム形状の部材である。このメタルドーム82は、頭頂部自体が可動接点として機能し、頭頂部が押圧されるとドーム形状が徐々に反転変形する一方で、頭頂部への押圧が解除されると自己弾性により当初のドーム形状に復元するようになっている。頭頂部が押圧されると、先述した第2導電回路層83の押圧接点とメタルドーム82の頭頂部が導通し、信号が出力される。
【0064】
このメタルドーム82は、このメタルドーム82の頭頂部(内側)が第2導電回路層83の押圧接点と対向するように、固定シートによって第2基材81に固定される。固定シートは、PETなどの合成樹脂材料から構成されるシート部材と、このシート部材の下面に塗布されたアクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤等の粘着層とを備えている。固定シートの粘着層がメタルドーム82を保持しつつ、このメタルドーム82が貼り付けられていない部分の粘着層が第2基材81に付着することにより、メタルドーム83を第2基材81に固定することができる。
【0065】
また、第2基材81には、複数のベース固定孔85が設けられている。このベース固定孔85及びベース部材10の固定孔11に、ハウジング40のベース固定部46が挿入され、これを熱カシメすることにより、第2配線基板80、ベース部材10及びハウジング40が一体になる。
【0066】
なお、図10に示す第1導電回路層83には、接地回路パターン83aが含まれている。この接地回路パターン83aは後述する第3基材90の導電接地層91〜93とスルーホールなどを介して接続させることができる。
【0067】
最後に、第3基材90について説明する。本実施形態の第3基材90は、二つの機能を備えている。
【0068】
まず、第3基材90の第1の機能及びその構成について説明する。
本実施形態の第3基材90は、入力操作面Aの中央部に形成された第2操作部材30が、これを取り囲む環状の第1操作部材20の操作時に一緒に回転してしまうこと、いわゆる連れ回り現象を防止する機能を有する部材である。
【0069】
本実施形態の第3基材90は、ベース部材10に固定されている。具体的に、本実施形態では、第3基材90(100c)をベース部材10に固定された第2基材81(100b)と連続した一つの基材100から構成することにより、第3基材90をベース部材10に固定している。
【0070】
本実施形態の第3基材90は、図10に示すように、貫通孔95aと、被係合部95bとを有する。図4に示すように、貫通孔95aには第2操作部材30の第2スイッチ押圧部31が挿入されており、被係合部95bには第2操作部材30の係合部32が挿入されている。
【0071】
このように、第3基材90の異なる位置に設けられた貫通孔95aと被係合部95bに、第2操作部材30に設けられた異なる部材が、回転面(図1のXY面)の略垂直方向にそれぞれ挿入されているため、第2操作部材30の回転が抑制される。
【0072】
なお、本例では、係合部32が突状部材であり、被係合部95bが貫通孔である場合を例にして説明したが、係合及び被係合の態様はこれに限定されず、切り欠きと、フックなどの組み合わせなどの通常用いられる係合機構を採用することができる。
【0073】
このような構成を備えた第3基材90を、第2配線基板80の第2基材81と同じ基材100から作製し、この基材100を折り曲げるだけで、第2操作部材30の連れ回りの発生を抑制できるので、部品コスト及び生産コストを低減させることができる。
【0074】
ちなみに、本実施形態の第3基材90及び先述した第1基材71、第2基材81は、可撓性を有する厚さが50μm〜150μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)又はポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂シートで構成されている。
【0075】
このため、連れ回りを防止するために連れまわり防止のために本構成を追加しても、この構成により増加するスイッチモジュール1の厚さ(図1のZ軸方向の厚さ)は、厚さ50μm〜150μmの基材100の折り返しに要する分だけであるので、連れ回りを防止する機能を有する製品の薄型化に貢献することができる。
【0076】
さらに、第3基材90を可撓性のある樹脂シートで構成することにより、入力操作に伴う押圧移動に対して第3基材90が柔軟に追従移動でき、第2操作部材30の押圧移動によって第3基材90が及ぼす反力は微小であるため、第2操作部材30の操作感に影響を与えることを防ぐことができる。
【0077】
加えて、第3基材90が可撓性を有する樹脂シートで構成されているので、押圧移動の繰り返しによって第3基材90自身及び他の部材に損傷が生じにくい。この結果、第2操作部材30の連れ回りを抑制しつつも、薄型で操作感の良好なスイッチモジュール1を低コストで製造することができる。
【0078】
続いて、第3基材90の第2の機能及びその構成について説明する。
本実施形態の第3基材90は、入力操作面Aの第1操作部材20と第2操作部材30の隙間E(図1参照)から進入する静電気を接地させる機能を有する部材である。
【0079】
本実施形態の第3基材90の第2操作部材30側の主面には、第1又は第2導電回路層73の接地回路パターン73a及び/又は導電性のベース部材10と短絡する導電接地層91〜93が形成されている。
【0080】
図11は、図10に示す第3基材90の裏面側を示す図であるが、第2操作部材30の第2スイッチ押圧部31及び係合部32が挿入される貫通孔95a及び被係合部95bを含む領域に第1導電接地層91が形成され、この第1導電接地層91に接続する基材100cと基材100bとの連続領域に第2導電接地層92が形成され、さらに、基材100b(第2配線基板80の裏面側)には第3導電接地層93が形成されている。第3導電接地層93は、金属などの導電性を備える材料で構成されたベース部材10又は第2導電回路層に含まれる接地回路パターン83aと接している。
【0081】
なお、第1導電接地層91で受けた静電気を接地させる経路は特に限定されず、スルーホールなどを適宜設け、第2導電回路層83に含まれる接地回路パターン83a及び/又は第1導電回路層73に含まれる接地回路パターン73aを介してベース部材10又は外部のアースに接地させることができる。
【0082】
以上のように構成することにより、第1操作部材20と第2操作部材30の隙間E(図1参照)から進入した静電気を、貫通孔95a及び被係合部95bを含む領域に形成された第1導電接地層91から、任意の導電接地層(例えば第2導電接地層92、第3導電接地層93)を介してベース部材10、接地回路パターン83a、外部のアース等に接地させることができる。
【0083】
次に、本実施形態のスイッチモジュール1の製造方法を説明する。まず、図10及び図11に示す第1配線基板70と第2配線基板80と第3基材90を作製する。
【0084】
本実施形態のスイッチモジュール1では、第1配線基板70の第1基材71と、第2配線基板80の第2基材81と、第3基材90とを一つの連続した基材100から構成することができる(第1基材71に対応する領域を100aで示し,第2基材81に対応する領域を100bで示し,第3基材90に対応する領域を100cで示す)。
【0085】
基材100を準備し、基材100の主面に、銀、銅、カーボンなどの導電材を含む導電性ペーストを用いて、第1導電回路層73、第2導電回路層83及び導電接地層91〜93をスクリーン印刷法により形成する。
【0086】
基材100としては、先述のとおり、可撓性を有する厚さが50μm〜150μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)又はポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂シートを用いることができる。なお、本実施形態では、第2基材811とは別体のベース部材10を備えたスイッチモジュール1の例を示すが、第2基材81を厚く構成し、第2基材81が本実施形態のベース部材10の機能を兼ね備えるようにしてもよい。
【0087】
そして、第2配線基板80にメタルドーム83を実装し、型抜きして第1配線基板70、第2配線基板80及び第3基材90を得る。
【0088】
図11及び図12に示すように、第1導電回路層73及び第2導電回路層83は基材100の同じ一方主面100Maに形成され、導電接地層91〜93は基材100の他方主面100Mbに形成されている。このように、所定のスイッチ機能を有する回路を含む第1導電回路層73及び第2導電回路層83を、基材100の同一の一方主面100Maに形成することができ、他方、接地機能のみの導電接地層91〜93を基材100の裏側の他方主面100Mbに形成できるので、製造工程においては、一方主面100Maの回路印刷の精度のみを高く設定すればよい。この結果、第1導電回路層73、第2導電回路層83及び導電接地層91〜93を効率的に作製することができる。
【0089】
次に、図12に示すように、第1導電回路層73、第2導電回路層83及び導電接地層91〜93が作製された基板100を所定の折れ線に沿って折り曲げる。
【0090】
具体的には、図10に示す基材100Maの折れ線Fcを谷折り(図11に示す基材100Mbの折れ線Fcを山折り)し、第2配線基板80の上に第3基材90を積層させる。続いて、基材100Maの折れ線Faを谷折り(図11に示す基材100Mbの折れ線Faを山折り)し、第2配線基板80及び第3基材90の上に第2基材70を積層させる。折れ線Faを谷折りする際には、位置決め部Fa1を目印にすることができる。
【0091】
そうすると、図12に示すように、中央部の最上層には第3基材90の第1導電接地層91が配置される。これにより、第1導電接地層91を、第1操作部材20と第2操作部材30との隙間Eに最も近い導電体として配置することができる(図4参照)。しかも、第1操作部材20及び第2操作部材30は絶縁性部材であるので、隙間Eから進入した静電気を第1導電回路層73や第2導電回路層83ではなく、第1導電接地層91に優先的に流すことができる。
【0092】
このように、第1導電回路層73と第2導電回路層83とを1枚の基材100の一方主面100Maに同時に印刷形成でき、同じ1枚の基材100の他方主面100Mbに導電接地層91〜93を印刷形成できるので、材料コストを低減させることができる。また、それぞれの基板を別々に作製する場合よりも製造工程を簡易にすることができ、製造に係るコストを低減させることができる。さらに、第1配線基板70、第2配線基板80及び第3基材90が連なっていることから、組立作業時において高い精度で位置合わせを行うことができる。その結果、歩留まりを向上させることができる。
【0093】
ベース部材10に第2配線基板80をベース部材10に積層し、摺動子60、第1配線基板70をセットする。続いて、第1配線基板70とハウジング40の可動部41を固定しつつハウジング40をセットする。ここで、ハウジング40のベース固定部46を、第2配線基板80のベース固定孔85及びベース部材10の固定孔11に挿入する。
【0094】
次に、クリックバネ50の装着孔52にハウジング40の可動部41の上面41aの当接部43を挿入して固定する。次いで、第2操作部材30の第2スイッチ押圧部31を第3基材90の貫通孔95aに挿入するとともに、第2操作部材30の係合部32を第3基材90の被係合部95bに挿入する。そして、第1操作部材20をハウジング40に嵌め込む。このとき第1操作部材20の係合凸部24を摺動部材60の係合孔62に挿入する。さらに、ベース部材10の裏面(入力操作面A側の面とは反対側の面)側でハウジング40のベース固定部46を溶融する。これにより、ハウジング40をベース部材10に固定し、本実施形態のスイッチモジュール1を得ることができる。
【0095】
最後に、図4に基づいて、本実施形態のスイッチモジュール1が奏する作用及び効果について説明する。
【0096】
図4に示すように、スイッチモジュール1のベース部材10に対する押圧方向(矢印F)に沿って入力操作面20Aを押圧すると、第1操作部材20が弾性復元可能にベース部材10に接近するように移動する。第1操作部材20の被当接面20Bはハウジング40の当接部43と接しているので、第1操作部材20の押圧移動による押圧力がハウジング40に伝わり、ハウジング40の第1スイッチ押圧部44が第2配線基板80のメタルドーム82を押圧する。これにより、押圧されたメタルドーム82に対応するスイッチ信号が出力される。
【0097】
また、第1操作部材20の被当接面20Bによりハウジング40の当接部43が押圧されると、第1操作部材20の押圧移動に応じて可動部41も押圧方向Fに向かって移動する。このとき、可動部41の下面41bに固定されたエンコーダ接点72を含む第1導電回路層73を有する第1配線基板70も押圧方向Fに沿って移動する。さらに、第1操作部材20の係合凸部24は摺動部材60の係合孔62と係合しており、この係合部分周辺及び当接面25において第1導電回路層73は摺動部材60の主面と接している。このため、第1操作部材20の押圧移動による押圧力は、摺動部材60に伝わり、摺動部材60も押圧方向Fに向かって移動させることができる。つまり、第1操作部材20を押圧移動させると、第1導電回路層73及び摺動部材60がともに押圧方向Fに向かって移動する。
【0098】
以上の構成により、第1操作部材20に押圧操作がされたときに、エンコーダ接点72を含む第1導電回路層73と摺動子61を含む摺動部材60が共に同じ寸法だけ押圧方向(図4のF方向)に移動するため、押圧操作時に摺動部材60の摺動子61とエンコーダ接点72との間に作用する押圧力を低減することができる。このため、摺動子61及びエンコーダ接点72の損傷を防止し、スイッチモジュール1の動作安定性が損なわれることを防ぐことができる。この結果、信頼性が高く、長寿命のスイッチモジュール1を提供することができる。なお、摺動子61とエンコーダ接点72の移動寸法は必ずしも同じである必要はなく、移動寸法差が小さくなればよい。
【0099】
上述したように、第1操作部材20の被当接面20Bによりハウジング40の当接部43が押圧されると、第1操作部材20の押圧移動に応じて可動部41も押圧方向Fに向かって移動するが、このとき、可動部41の上面41aに固定されたクリックバネ50及びその接触子51も押圧方向Fに向かって移動する。つまり、第1操作部材20を回転移動させたときに互いに接触してクリック感を発生させる第1操作部材20の凹凸部22及びクリックバネ50の接触子51は、第1操作部材20の押圧移動に応じてともに押圧方向Fに向かって移動する。
【0100】
以上の構成により、第1操作部材20に押圧操作がされたときに、第1操作部材20の凹凸部22及びクリックバネ50の接触子51が共に押圧方向(図4のF方向)に移動するため、押圧操作時において凹凸部22と接触子51との間に作用する押圧力を低減することができる。このため、凹凸部22と接触子51の摩耗を防止し、クリック操作以外の力が加わらないようにすることができる。この結果、経時的にクリック感が変化することなく、信頼性が高く、長寿命のスイッチモジュール1を提供することができる。
【0101】
また、第1操作部材20を回転移動させたときに、これに連られて第2操作部材30も回転してしまう場合がある。特に、図1に示すように第2操作部材30に回転方向に対して指向性を有する操作表示3Gが表されていると、第2操作部材30の回転により操作表示3Gが誤った方向を示してしまう場合がある。このため、本実施形態では第2操作部材30の第2スイッチ押圧部31が挿入される貫通孔91aと、第2操作部材30の係合部32が挿入される貫通孔状の被係合部91bを有し、ベース部材10に固定された第3基材90を設けている。本実施形態では第2基材81と連続する第3基材90を所定位置で折り曲げるという簡単な構成によって、第2操作部材30が第1操作部材20の回転移動に伴って回転してしまうことを防止することができる。この結果、第2操作部材30の連れまわり防止のための構成を追加しても、スイッチモジュール1の厚さが増えることもなく、部品点数が増えることもなく、組立作業が難しくなることもない。
【0102】
さらに、図4に示すように、入力操作面Aを構成する第1操作部材20と第2操作部材30との間には、隙間Eが形成されている。ユーザが入力操作面Aに触れようと手を接近させ又はユーザが入力操作面Aに接触すると、人体に帯電していた静電気が隙間Eから進入する場合がある。
【0103】
本実施形態において、隙間Eを構成する第1操作部材20及び第2操作部材30が絶縁性の材料から構成されているので、隙間Eから進入した静電気は第2操作部材30の下側に配置された第3基材90の第1導電接地層91に流れる。この第1導電接地層91は、第2及び第3導電接地層92,93を介して、第2配線基板80の接地回路パターン83a及び/又は導電性を備えたベース部材10と短絡しているため、第1導電接地層91が帯びた静電気を接地回路パターン83a及び/又はベース部材10に接地することができる。この結果、第1導電接地層91は、摺動部材60、第1導電回路層73、及び第2導電回路層83を、スイッチモジュール1の隙間Eを介して進入する静電気からシールド(防御)することができる。
【0104】
<他の実施形態>
以下、本発明に係る他の実施形態の第1操作部材20について説明する。図13は、第1操作部材20の図4に相当する断面図である。
【0105】
図13に示すように、本実施形態の第1操作部材20の入力操作面20Aには、高さの異なる面が形成されており、他の部分21cよりも相対的に高さが高い凸面部21aが形成されている。この構造により、凸面部21aの裏面側には、裏面の他の部分21dよりも相対的に高さが低い溝部23が形成されている。
【0106】
本実施形態の第1操作部材20では、クリックバネ50の接触子51が接触する凹凸部22が、入力操作面20Aの裏面に形成された溝部23の内壁に設けられている。
【0107】
このように、凹凸部22が設けられる溝部23を、入力操作面20Aの他の部分よりも高く構成した凸面部21aの裏面に形成するので、クリック機構を設けることによる厚さの増加を抑制することができる。この結果、スイッチモジュール1の薄型化を図ることができる。
【0108】
なお、入力操作面20Aにおいては、凸面部21aの隣に凹面部21bを設け、凸面部21aと凹面部21bを交互に配置し、図1に示すような回転操作を行う部分に凹凸面が形成されるようにすることもできる。この場合、凹面部21bは他の部分21cよりも高くすることが好ましい。
【0109】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0110】
100…スイッチモジュール
10…ベース部材
11…固定孔
20…第1操作部材
20A…入力操作面
20B…被当接面
21a…(入力操作面の)凸面部
21b…(入力操作面の)凹面部
22…凹凸部
23…溝部
24…係合凸部
25…当接面
30…第2操作部材
30A…入力操作面
30G…操作表示
31…第2スイッチ押圧部,押圧部
32…係合部
40…ハウジング
41…可動部
41a…可動部の上面(入力操作面側)
41b…可動部の下面(ベース部材側)
42…基部
43…当接部
44…第1スイッチ押圧部
45…弾性ヒンジ部
46…ベース固定部
50…クリックバネ
51…接触子
52…装着孔
60…摺動部材
61…摺動子
62…係合孔
70…第1配線基板
71…第1基材
72…エンコーダ接点
73…第1導電回路層
73a…接地回路パターン
80…第2配線基板
81…第2基材
82…メタルドーム
83…第2導電回路層
83a…接地回路パターン
85…ベース固定孔
90…第3基材
91…第1導電接地層,導電接地層
92…第2導電接地層,導電接地層
93…第3導電接地層,導電接地層
95a…貫通孔
95b…被係合部
100…基材
100a…第1基材
100b…第2基材
100c…第3基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチモジュールのベース部材に対する押圧方向に沿って弾性復元可能に移動し、スイッチを押圧する可動部を有するハウジングと、
前記ベース部材に対して回転移動と押圧移動が可能なように前記可動部の上面側に設けられ、前記押圧移動に応じて前記可動部を移動させる第1操作部材と、
前記可動部に固定され、前記第1操作部材の回転移動に応じた信号を出力する第1導電回路層を有する第1配線基板と、
前記第1配線基板と対面するように前記第1操作部材に固定され、前記第1導電回路層上を摺動する摺動子を含む摺動部材と、を備えることを特徴とするスイッチモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチモジュールであって、
前記ハウジングは、前記スイッチモジュールのベース部材に固定された基部を有し、前記可動部は、弾性ヒンジ部を介して前記基部に設けられていることを特徴とするスイッチモジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスイッチモジュールにおいて、
前記第1操作部材と接触可能であり、前記可動部に固定されたクリックバネをさらに有することを特徴とするスイッチモジュール。
【請求項4】
請求項3に記載のスイッチモジュールにおいて、
前記第1操作部材は、前記クリックバネと接触する凹凸部を有することを特徴とするスイッチモジュール。
【請求項5】
請求項4に記載のスイッチモジュールにおいて、
前記凹凸部は、前記入力操作がされる入力操作面において他の部分よりも相対的に高く形成された凸状部分の裏面に設けられていることを特徴とするスイッチモジュール。
【請求項6】
請求項1〜5何れか一項に記載のスイッチモジュールであって、
第2基材と、該第2基材の、前記第1配線基板の第1基材の一方主面側と対向する一方主面に実装された複数のメタルドームと、前記メタルドームの頭頂部と対向するように、前記第2基材の前記メタルドームが実装される一方主面に形成された押圧接点を含む第2導電回路層と、を有し、前記第1配線基板の一方主面側に配置される第2配線基板と、
前記第2配線基板のメタルドームを押圧する押圧部を備える第2操作部材と、
前記ベース部材に固定され、前記第2操作部材に設けられた押圧部が挿入される貫通孔を有する第3基材と、をさらに備え、
前記第2操作部材に形成された係合部と、前記第3基材に形成された被係合部とが係合することを特徴とするスイッチモジュール。
【請求項7】
請求項6記載のスイッチモジュールにおいて、
前記第3基材の前記第2操作部材側の主面には、前記第1又は第2導電回路層の接地回路パターン及び/又は導電性の前記ベース部材と短絡する導電接地層が形成されていることを特徴とするスイッチモジュール。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のスイッチモジュールであって、
前記第1基材と前記第2基材と前記第3基材は、一つの連続した基材からなり、前記第1導電回路層と前記第2導電回路層は当該基材の同じ主面に形成されていることを特徴とするスイッチモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−69328(P2012−69328A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212064(P2010−212064)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】