説明

スイッチングデバイス内蔵装置及び放送受信妨害抑制方法

【課題】
内蔵されるスイッチングデバイスの動作による、スイッチングデバイスの周辺で行われる放送受信に対する受信妨害を抑制する。
【解決手段】
スイッチング信号に従って動作するD級アンプを備える放送受信装置100Aにおいて、制御ユニット190Aが、位置検出ユニット160から送られた測位結果CPTに基づいて、放送受信装置100Aの現在位置を特定する。引き続き、制御ユニット190Aが、特定された現在位置に基づいて記憶ユニット170内の受信周波数テーブル171を参照し、当該現在位置が含まれる地域、すなわち、放送受信装置100Aが在圏している地域において受信可能な放送周波数を読み取る。そして、制御ユニット190Aが、読み取られた放送周波数に基づいて、当該受信可能な放送周波数に対応する放送の受信の妨害を抑制できるスイッチング周波数を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチングデバイス内蔵装置、放送受信妨害抑制方法及び放送受信妨害抑制プログラム、並びに、当該放送受信妨害抑制プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、設定されたスイッチング周波数で動作するスイッチング電源等のスイッチングデバイスを備える装置が広く普及している。こうしたスイッチングデバイスは、一般に、スイッチング周波数及びその整数倍の周波数の電波を放射する。こうして放射される電波の周波数が放送周波数の近傍となる場合には、放送受信装置にとっては、スイッチングデバイスが放射する電波は、妨害ノイズ電波に他ならない。
【0003】
このため、スイッチングデバイスを内蔵する放送受信装置による放送受信に際して、内蔵されているスイッチングデバイスによる妨害ノイズ電波の放射を抑制する技術が提案されている(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。この従来例では、当該スイッチングデバイスのスイッチング動作を指定するスイッチング信号の周波数及びその整数倍の周波数が、当該放送受信装置により受信処理を行っている放送波の周波数の近傍とならないように制御するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−154146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来例の技術では、放送受信装置がスイッチングデバイスを内蔵する場合に、当該スイッチングデバイスが放射する電波による、当該放送受信装置が行っている受信処理への悪影響を抑制することはできる。しかしながら、放送受信装置の周囲に存在する別の放送受信装置が行っている受信処理に対しては、当該スイッチングデバイスの動作に起因する悪影響を及ぼす可能性があった。
【0006】
このため、スイッチングデバイスの動作に起因する放送受信装置による受信処理への悪影響を、放送受信装置が当該スイッチングデバイスを内蔵するか否かにかかわらず、当該スイッチングデバイスの周辺で行われる受信処理に対して抑制することができる技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0007】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、内蔵するスイッチングデバイスの動作による、スイッチングデバイスの周辺で行われる放送受信に対する受信妨害を抑制することができるスイッチングデバイス内蔵装置及び放送受信妨害抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、指定されたスイッチング周波数で動作を行うスイッチングデバイスを備えるスイッチングデバイス内蔵装置であって、前記スイッチングデバイス内蔵装置の位置を含む周辺領域における放送受信波の周波数情報を取得する取得手段と;前記取得された周波数情報に基づいて、前記周辺領域での放送波の受信における受信妨害を抑制可能なスイッチング周波数を決定し、前記決定されたスイッチング周波数を前記スイッチングデバイスに対して指定する制御手段と;を更に備えることを特徴とするスイッチングデバイス内蔵装置である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、指定されたスイッチング周波数で動作を行うスイッチングデバイスを備えるスイッチングデバイス内蔵装置で使用される放送受信妨害抑制方法であって、前記スイッチングデバイス内蔵装置の位置を含む周辺領域における放送受信波の周波数情報を取得する取得工程と;前記取得された周波数情報に基づいて、前記周辺領域での放送波の受信における受信妨害を抑制可能なスイッチング周波数を決定し、前記決定されたスイッチング周波数を前記スイッチングデバイスに対して指定する制御工程と;を備えることを特徴とする放送受信妨害抑制方法である。
【0010】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の放送受信妨害抑制方法を、演算手段に実行させる、ことを特徴とする放送受信妨害抑制プログラムである。
【0011】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の放送受信妨害抑制プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る放送受信装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1の選局ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】図1の再生処理ユニットの構成を示すブロック図である。
【図4】図1の受信周波数テーブルの内容を説明するための図である。
【図5】領域分割の例を説明するための図である。
【図6】図1の装置におけるスイッチング周波数の決定処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る放送受信装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】図7の装置におけるスイッチング周波数の決定処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係るスイッチングデバイス内蔵装置としての放送受信装置100Aを、図1〜図6を参照して説明する。なお、本第1実施形態においては、車両に搭載されたAMラジオ放送等の放送受信装置を例示して説明する。
【0015】
<構成>
図1には、放送受信装置100Aの概略的な構成がブロック図にて示されている。この図1に示されるように、放送受信装置100Aは、アンテナ110と、選局ユニット120Pと、第1検出手段の一部としての選局ユニット120Aとを備えている。また、放送受信装置100Aは、再生処理ユニット130と、第1検出手段の一部としてのレベル検出ユニット(DET)135とを備えている。
【0016】
さらに、放送受信装置100Aは、スピーカ140と、操作入力ユニット150と、記憶手段としての記憶ユニット170とを備えている。また、放送受信装置100Aは、取得手段及び制御手段としての制御ユニット190Aを備えている。
【0017】
上記のアンテナ110は、様々な放送局(基地局)から送信された放送波を受信する。そして、アンテナ110による受信結果は、受信信号RFSとして、選局ユニット120P,120Aへ送られる。
【0018】
上記の選局ユニット120Pは、放送内容の再生のために利用される。この選局ユニット120Pは、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSLPに従って、再生チャンネルの信号を受信信号RFSから抽出する選局処理を行い、所定の中間周波数を有する信号IFSPを生成する。こうして生成された信号IFSPは、再生処理ユニット130へ送られる。なお、選局ユニット120Pの構成については、後述する。
【0019】
上記の選局ユニット120Aは、各放送チャンネルの放送波の電界強度の検出のために利用される。この選局ユニット120Aは、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSLAに従って、選局された放送チャンネルの信号を受信信号RFSから抽出する選局処理を行い、所定の中間周波数を有する信号IFSAを生成する。こうして生成された信号IFSAは、レベル検出ユニット135へ送られる。なお、選局ユニット120Aの構成については、後述する。
【0020】
上記の再生処理ユニット130は、制御ユニット190Aによる制御のもとで、選局ユニット120Pから送られた信号IFSPを処理して、音声出力信号AOSを生成する。こうして生成された音声出力信号AOSは、スピーカ140へ送られる。なお、再生処理ユニット130の構成については、後述する。
【0021】
上記のレベル検出ユニット135は、選局ユニット120Aから送られた信号IFSAを受ける。そして、レベル検出ユニット135は、信号IFSAの信号レベルを検出する。レベル検出ユニット135による検出結果は、検出結果DSLとして、制御ユニット190Aへ送られる。
【0022】
上記のスピーカ140は、再生処理ユニット130から送られた音声出力信号AOSを受ける。そして、スピーカ140は、音声出力信号AOSに従って音声を再生し、車室内へ出力する。
【0023】
上記の操作入力ユニット150は、放送受信装置100Aの本体部に設けられたキー部及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、不図示の表示ユニットに設けられたタッチパネルを用いることができる。なお、キー部を有する構成に代えて、又は、併用して音声認識技術を利用して音声にて入力する構成を採用することもできる。操作入力ユニット150への操作入力結果は、操作入力データIPDとして制御ユニット190Aへ送られる。
【0024】
上記の位置検出ユニット160は、本第1実施形態では、GPS(Global Positioning System)受信装置等を備えて構成される。そして、位置検出ユニット160は、複数のGPS衛星から送信された電波の受信結果に基づいて、車両の現在位置(以下、「測位結果」という)を算出する。こうして算出された測位結果は、測位結果CPTとして、制御ユニット190Aへ送られる。
【0025】
上記の記憶ユニット170には、放送受信装置100Aで利用される様々な情報データが記憶される。ここで、記憶ユニット170には、受信周波数テーブル171が記憶されている。また、記憶ユニット170には、制御ユニット190Aがアクセスできるようになっている。なお、受信周波数テーブル171の内容については、後述する。
【0026】
上記の制御ユニット190Aは、放送受信装置100Aの全体の動作を制御する。この制御ユニット190Aは、操作入力ユニット150に入力された再生チャンネル指定が操作入力データIPDとして通知されると、当該再生チャンネル指定に従って再生チャンネルの選局指令CSLPを生成する。そして、制御ユニット190Aは、生成された選局指令CSLPを選局ユニット120Pへ送る。
【0027】
また、制御ユニット190Aは、特定の放送チャンネルの放送波の受信レベルの検出に際して、受信レベルの検出対象となる放送チャンネルを選局するための選局指令CSLAを生成する。そして、制御ユニット190Aは、生成された選局指令CSLAを選局ユニット120Aへ送る。
【0028】
また、制御ユニット190Aは、操作入力ユニット150に入力された出力音量指定が操作入力データIPDとして通知されると、当該出力音量指定に従って、音量調整指令VLCを生成する。そして、制御ユニット190Aは、生成された音量調整指令VLCを再生処理ユニット130へ送る。
【0029】
また、制御ユニット190Aは、位置検出ユニット160から送られた測位結果CPTに基づいて、記憶ユニット170内の受信周波数テーブル171を参照して、車両の現在位置で受信可能な放送波の周波数情報を取得する。引き続き、制御ユニット190Aは、取得された周波数情報にのみ基づいて、車両の現在位置を含む車両の周辺領域における放送受信に対する妨害を抑制することができるスイッチング周波数の第1次スイッチング周波数決定処理を行う。
【0030】
この第1次スイッチング周波数決定処理により、適切なスイッチング周波数を決定できなかった場合には、制御ユニット190Aは、選局ユニット120Aに対して選局指令CSLAを送ることにより、レベル検出ユニット135に当該受信可能な放送波の受信レベルの検出を行わせる。そして、制御ユニット190Aは、レベル検出ユニット135から送られた当該受信可能な放送波の受信レベルを考慮して、当該周辺領域における放送受信に対する妨害を抑制することができるスイッチング周波数の第2次スイッチング周波数決定処理を行う。
【0031】
こうして、第1次スイッチング周波数決定処理又は第2次スイッチング周波数決定処理により決定されたスイッチング周波数は、指定スイッチング周波数ASFとして、再生処理ユニット130へ送られる。なお、第1次スイッチング周波数決定処理及び第2次スイッチング周波数決定処理の詳細については、後述する。
【0032】
次に、上記の選局ユニット120P及び選局ユニット120Aの構成について説明する。これらの選局ユニット120k(k=P,A)のそれぞれは、図2に示されるように、入力フィルタ121と、高周波増幅器(RF AMP:Radio Frequency-Amplifier)122と、バンドパスフィルタ(以下、「RFフィルタ」とも呼ぶ)123とを備えている。また、選局ユニット120kは、ミキサ(混合器)124と、中間周波フィルタ(以下、「IFフィルタ」とも呼ぶ)125と、局部発振回路(OSC)126とを備えている。
【0033】
上記の入力フィルタ121は、アンテナ110から送られた受信信号RFSの低周波成分を遮断するハイパスフィルタである。上記の高周波増幅器122は、入力フィルタ121を通過した信号を増幅する。
【0034】
上記のRFフィルタ123は、高周波増幅器122から出力された信号のうち、特定の周波数範囲の信号を選択的に通過させる。上記のミキサ124は、RFフィルタ123を通過した信号と、局部発振回路126から供給された局部発振信号とを混合する。上記のIFフィルタ125は、ミキサ124から出力された信号のうち、予め定められた中間周波数範囲の信号を選択して通過させる。
【0035】
上記の局部発振回路126は、電圧制御等により発振周波数の制御が可能な発振器等を備えて構成される。この局部発振回路126は、制御ユニット190Aから供給された選局指令CSLkに従って、選局ユニット120kにおいて選局すべきチャンネルに対応する周波数の局部発振信号を生成し、ミキサ124へ供給する。
【0036】
選局ユニット120Pの場合には、IFフィルタ125を通過した信号IFSPは、再生処理ユニット130へ送られる。また、選局ユニット120A場合には、IFフィルタ125を通過した信号IFSは、レベル検出ユニット135へ送られる。
【0037】
次いで、上記の再処理ユニット130の構成について説明する。この再生処理ユニット130は、図3に示されるように、音声検波部131と、音量調整部132と、スイッチングデバイスとしてのパワー増幅部133とを備えている。
【0038】
上記の音声検波部131は、選局ユニット120Pから送られた信号IFSPを受ける。そして、音声検波部131は、信号IFSPに対して、所定方式で検波処理を施して音声検波信号DASを生成する。こうして生成された音声検波信号DASは、音量調整部132へ送られる。
【0039】
上記の音量調整部132は、音声検波部131から送られた音声検波信号DASを受ける。そして、音量調整部132は、制御ユニット190Aから送られた音量調整指令VLCに従って、音声検波信号DASに対して音量調整処理を施して音量調整信号VCSを生成する。こうして生成された音量調整信号VCSは、パワー増幅部133へ送られる。
【0040】
上記のパワー増幅部133は、音量調整部132から送られた音量調整信号VCSを受ける。そして、パワー増幅部133は、音量調整信号VCSに対してパワー増幅処理を施して、音声出力信号AOSを生成する。かかる機能を有するパワー増幅部133は、スイッチング信号生成部136と、D級アンプ137とを備えている。
【0041】
上記のスイッチング信号生成部136は、制御ユニット190Aから送られた指定スイッチング周波数ASFを受ける。そして、スイッチング信号生成部136は、指定スイッチング周波数ASFに対応する周波数を有するスイッチング信号SWSを生成する。こうして生成されたスイッチング信号SWSは、D級アンプ137へ送られる。
【0042】
上記のD級アンプ137は、音量調整部132から送られた音量調整信号VCSを受ける。そして、D級アンプ137は、音量調整信号VCSに対して、いわゆるD級増幅処理を施して音声出力信号AOSを生成する。こうして生成された音声出力信号AOSは、スピーカ140へ送られる。
【0043】
次に、上記の受信周波数テーブル171の内容について説明する。この受信周波数テーブル171には、図4に示されるように、予め定められた方式で日本全国を地域分割した個別の地域R(m,n)(m=1,2,…、n=1,2,…)と、当該地域R(m,n)内で受信可能な放送波の周波数(単に、「受信可能な放送周波数」ともいう)Fj(m,n)(j=1,2,…)とが関連付けて登録されている。
【0044】
こうした受信周波数テーブル171は、放送受信装置100Aの製造時に記憶ユニット170に記憶させておくようにてもよい。また、不図示の通信ユニットを使用して、各地域内で受信可能な放送周波数の情報を保持しているサーバ装置からダウンロードして、記憶ユニット170に記憶させるようにてもよい。
【0045】
なお、本第1実施形態においては、地域R(m,n)のそれぞれは、図5に示されるように矩形状となっている。
【0046】
<動作>
次に、上記のように構成された放送受信装置100Aの動作について、制御ユニット190Aによるスイッチング周波数の決定処理に主に着目して説明する。
【0047】
かかるスイッチング周波数の決定処理が開始されると、図6に示されるように、まず、ステップS11において、制御ユニット190Aが、最新に位置検出ユニット160から送られた測位結果CPTに基づいて、車両(ひいては、放送受信装置100A)の現在位置を特定する。引き続き、ステップS12において、制御ユニット190Aが、特定された現在位置に基づいて記憶ユニット170内の受信周波数テーブル171を参照し、当該現在位置が含まれる地域、すなわち、車両(ひいては、放送受信装置100A)が在圏している地域において受信可能な放送周波数を読み取る。
【0048】
次に、ステップS13において、制御ユニット190Aが、読み取られた放送周波数に基づいて、第1次スイッチング周波数決定処理を行う。かかる第1次スイッチング周波数決定処理に際して、制御ユニット190Aは、受信妨害の抑制の観点から、次の(i)及び(ii)の条件を満たすスイッチング周波数を探す。
(i)スイッチング周波数の自然数倍の周波数を有する輻射のうちで、放送受信装置100A内で所定レベル以上となるものの周波数(以下、「スイッチング周波数等」と呼ぶ)が、受信可能な放送周波数のそれぞれと、所定周波数間隔以上離すことができること
(ii)上述したスイッチング信号生成部136が生成可能なスイッチング信号の周波数であること
【0049】
ここで、「所定レベル」は、現在位置又はその周辺領域において、放送波の受信妨害が発生すると考えられるとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。また、「所定周波数間隔」は、本第1実施形態では、受信可能な放送周波数のそれぞれに対応する放送波として利用される周波数帯域幅の2倍の周波数間隔としている。
【0050】
上述した(i)及び(ii)の条件を満たすスイッチング周波数を探し出せた場合には、当該探し出されたスイッチング周波数を、現時点において採用すべきスイッチング周波数に決定し、ステップS13の処理を終了する。一方(i)及び(ii)の条件を満たすスイッチング周波数を探し出せなかった場合には、現時点において採用すべきスイッチング周波数を決定することなく、ステップS13の処理を終了する。
【0051】
次いで、ステップS14において、制御ユニット190Aが、ステップS13における第1次スイッチング周波数決定処理により、スイッチング周波数が決定できたか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS14:Y)には、制御ユニット190Aは、決定されたスイッチング周波数を、指定スイッチング周波数ASFとして、再生処理ユニット130へ送る(図1参照)。そして、処理はステップS15へ進む。
【0052】
ステップS15では、ステップS11と同様にして、制御ユニット190Aが、現在位置を新たに特定する。引き続き、ステップS16において、制御ユニット190Aが、新たに特定された現在位置及び前回に特定された現在位置に基づいて、放送受信装置100Aが在圏する地域が変化したか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS16:Y)には、処理はステップS12へ戻る。
【0053】
一方、ステップS16における判定の結果が否定的であった場合(ステップS16:N)には、処理はステップS15へ戻る。この後、ステップS16における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS15,S16の処理が繰り返される。
【0054】
上述したステップS14における判定の結果が否定的であった場合(ステップS14:N)には、処理はステップS17へ進む。このステップS17では、制御ユニット190Aの制御のもとで、受信可能な放送周波数のそれぞれに対応する放送波の現在位置における電界強度が検出される。
【0055】
かかる電界強度の検出に際しては、制御ユニット190Aが、受信可能な放送周波数を指定した選局指令CSLAを生成し、順次、選局ユニット120Aへ送る。この結果、選局ユニット120Aにより、当該受信可能な放送周波数の放送波に対応する中間周波数の信号IFSAを生成され、生成された信号IFSAがレベル検出ユニット135へ送られる(図1参照)。
【0056】
信号IFSAを受けたレベル検出ユニット135は、信号IFSAのレベルを検出する。そして、レベル検出ユニット135による検出結果は、検出結果DSLとして、制御ユニット190Aへ送られる(図1参照)。
【0057】
こうしてレベル検出ユニット135から送られた検出結果DSLを、制御ユニット190Aが収集する。この結果、制御ユニット190Aにより、受信可能な放送周波数のそれぞれに対応する放送波の現在位置における電界強度が収集される。
【0058】
次に、ステップS18において、制御ユニット190Aが、先に読み取られた放送周波数、及び、収集された電界強度に基づいて、第2次スイッチング周波数決定処理を行う。かかる第2次スイッチング周波数決定処理に際して、制御ユニット190Aは、受信妨害の抑制の観点から、次の(iii)〜(v)の条件を考慮して、スイッチング周波数を探す。
(iii)所定周波数間隔以上離すことができない放送周波数については、電界強度の検出値が低かった放送波に対応する放送周波数ほど、その放送周波数と、スイッチング周波数等との周波数間隔を広くすること
(iv)所定周波数間隔以上離すことができない放送周波数については、電界強度の検出値が低かった放送波に対応する放送周波数ほど、レベルが低い輻射成分を、当該放送周波数と所定周波数間隔以下となってしまう成分とすること
(v)上述したスイッチング信号生成部136が生成可能なスイッチング信号の周波数であること
【0059】
上述した(iii)〜(v)の条件を考慮した上で探し出されたスイッチング周波数を、制御ユニット190Aは、現時点において採用すべきスイッチング周波数に決定する。そして、制御ユニット190Aは、決定されたスイッチング周波数を、指定スイッチング周波数ASFとして、再生処理ユニット130へ送る(図1参照)。
【0060】
次いで、ステップS19において、ステップS11,S15と同様にして、制御ユニット190Aが、現在位置を新たに特定する。引き続き、ステップS20において、制御ユニット190Aが、新たに特定された現在位置及び前回に特定された現在位置に基づいて、放送受信装置100Aが在圏する地域が変化したか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS20:Y)には、処理はステップS12へ戻る。
【0061】
一方、ステップS20における判定の結果が否定的であった場合(ステップS20:N)には、処理はステップS21へ進む。このステップS21では、制御ユニット190Aが、最新に特定された現在位置と、前回のスイッチング周波数の決定時に特定された現在位置との距離を算出し、前回のスイッチング周波数の決定時から所定距離以上を移動したか否かを判定する。
【0062】
なお、「所定距離」は、受信可能な放送周波数に対応する放送波の電界強度が、スイッチング周波数の決定で考慮した上述の(iii)及び(iv)の条件に関して、再度考慮し直す必要が生じ得るとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0063】
上述のステップS21における判定の結果が否定的であった場合(ステップS21:N)には、スイッチング周波数の変更が必要ないと判断し、処理はステップS19へ戻る。そして、ステップS20における判定の結果が肯定的とならない限り、ステップS21における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS19〜S21の処理が繰り返される。
【0064】
上述のステップS21における判定の結果が肯定的となると(ステップS21:Y)、スイッチング周波数の変更は必要である可能性があるとして、処理はステップS17に戻る。以後、ステップS20における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS17〜S21の処理が繰り返される。
【0065】
以上のようにして、パワー増幅部133におけるスイッチング信号発生部136(図3参照)が生成するスイッチング信号SWSの周波数(スイッチング周波数)が決定され、決定されたスイッチング周波数のスイッチング信号SWSに従ったD級増幅がD級アンプ137により実行される。かかるパワー増幅部133の動作が実行されている状態で、操作入力ユニット150に入力された再生チャンネル指定が操作入力データIPDとして通知されると、制御ユニット190Aが、当該再生チャンネル指定に従って再生チャンネルの選局指令CSLPを生成する。そして、制御ユニット190Aは、生成された選局指令CSLPを選局ユニット120Pへ送る。
【0066】
この結果、選局ユニット120Pにおいて、再生指定された放送チャンネルが選局され、当該選局された放送チャンネルの放送波に対応する中間周波数の信号IFSPが、再生処理ユニット130へ送られる(図1参照)。信号IFSPは、再生処理ユニット130において、音声検波部131による検波処理、音量調整部132による音量調整処理、及び、パワー増幅部133によるパワー増幅処理が順次施された後、音声出力信号AOSとして、スピーカ140へ送られる。この結果、当該選局された放送チャンネルを介して放送された音声が、スピーカ140から、車室内に再生出力される。
【0067】
以上説明したように、本第1実施形態では、スイッチング信号SWSに従って動作するD級アンプ137を備える放送受信装置100Aにおいて、制御ユニット190Aが、位置検出ユニット160から送られた測位結果CPTに基づいて、車両(ひいては、放送受信装置100A)の現在位置を特定する。引き続き、制御ユニット190Aが、特定された現在位置に基づいて記憶ユニット170内の受信周波数テーブル171を参照し、当該現在位置が含まれる地域、すなわち、放送受信装置100Aが在圏している地域において受信可能な放送周波数を読み取る。そして、制御ユニット190Aが、読み取られた放送周波数に基づいて、当該受信可能な放送周波数に対応する放送波の受信における受信妨害を抑制できるスイッチング周波数を決定する。
【0068】
したがって、放送受信装置100Aによる放送受信に加えて、放送受信装置100Aの周辺領域における他の放送受信装置による放送受信に際して、受信妨害を抑制することができる。
【0069】
また、本第1実施形態では、受信可能な放送周波数からでは、受信妨害を有効に抑制することができる適切なスイッチング周波数を決定できない場合には、受信可能な放送周波数のそれぞれに対応する放送波の電界強度を検出する。そして、検出された電界強度を更に考慮して、当該受信可能な放送周波数に対応する放送波の受信における受信妨害を抑制できる適切なスイッチング周波数を決定する。このため、放送受信装置100Aによる放送受信に加えて、放送受信装置100Aの周辺領域における他の放送受信装置による放送受信に際して、受信妨害を有効に抑制することができる。
【0070】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るスイッチングデバイス内蔵装置としての放送受信装置100Bを、図7及び図8を主に参照して説明する。なお、本第2実施形態においても、上述した第1実施形態と同様に、車両に搭載されたAMラジオ放送等の放送受信装置を例示して説明する。
【0071】
<構成>
図7には、放送受信装置100Bの概略的な構成がブロック図にて示されている。この図7に示されるように、放送受信装置100Bは、上述した放送受信装置100Aと比べて、記憶部170に代えて、取得手段としての通信ユニット180を備える点、及び、制御ユニット190Aに代えて、制御手段としての制御ユニット190Bを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して、説明する。
【0072】
本第2実施形態では、選局ユニット120Aとレベル検出ユニット135により、第2検出手段が構成されるようになっている。
【0073】
上記の通信ユニット180は、放送受信装置100Bの周辺領域で放送受信している他の放送受信装置のそれぞれから送信された受信放送周波数及び現在位置を受信する。そして、通信ユニット180は、受信した受信放送周波数及び現在位置を、受信状況情報PRIとして、制御ユニット190Bへ送る。
【0074】
上記の制御ユニット190Bは、通信ユニット180から送られた受信状況情報PRIを、上述した受信周波数テーブル171から読み取られた受信可能な放送周波数に代えて用い、スイッチング周波数を決定する。かかる決定のための動作を除いては、制御ユニット190Bは、上述した制御ユニット190Aと同様に動作する。
【0075】
なお、制御ユニット190Bによるスイッチング周波数を決定処理については、後述する。
【0076】
<動作>
次に、上記のように構成された放送受信装置100Bの動作について、制御ユニット190Bによるスイッチング周波数の決定処理に主に着目して説明する。
【0077】
スイッチング周波数の決定処理が開始されると、図8に示されるように、まず、ステップS31において、制御ユニット190Bが、最新に位置検出ユニット160から送られた測位結果CPTに基づいて、車両(ひいては、放送受信装置100B)の現在位置を特定する。この後、制御ユニット190Bが、通信ユニット180から送られた受信状況情報PRI及び放送受信装置100Bの現在位置に基づいて周辺受信状況を特定し、周辺受信状況情報を作成する。
【0078】
かかる周辺受信状況情報の作成に際して、制御ユニット190Bは、まず、放送受信装置100Bの現在位置と、受信状況情報PRIに含まれる他の放送受信装置の現在位置とに基づいて、放送受信装置100Bとの距離が所定距離以下の他の放送受信装置を抽出する。なお、「所定距離」は、スイッチング信号SWSに起因する受信妨害が発生する可能性があるか否かを判断するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0079】
引き続き、制御ユニット190Bは、放送受信装置100Bが放送受信中の場合には、抽出された他の放送受信装置の受信中の放送周波数及び現在位置に、放送受信装置100Bが放送受信中の放送の放送周波数及び放送受信装置100Bの現在位置を加えたものを、周辺受信状況情報とする。一方、制御ユニット190Bは、放送受信装置100Bが放送受信中ではない場合には、抽出された他の放送受信装置の受信中の放送周波数及び現在位置を周辺受信状況情報とする。
【0080】
次に、ステップS32において、制御ユニット190Bが、生成された周辺受信状況情報に含まれる受信中の放送周波数に基づいて、第1’次スイッチング周波数決定処理を行う。かかる第1’次スイッチング周波数決定処理に際して、制御ユニット190Bは、受信妨害の抑制の観点から、次の(i)及び(ii)の条件を満たすスイッチング周波数を探す。
(i)スイッチング周波数等が、受信中の放送周波数のそれぞれと、所定周波数間隔以上離すことができること
(ii)上述したスイッチング信号生成部136が生成可能なスイッチング信号の周波数であること
【0081】
上述した(i)及び(ii)の条件を満たすスイッチング周波数を探し出せた場合には、当該探し出されたスイッチング周波数を、現時点において採用すべきスイッチング周波数に決定し、ステップS32の処理を終了する。一方(i)及び(ii)の条件を満たすスイッチング周波数を探し出せなかった場合には、現時点において採用すべきスイッチング周波数を決定することなく、ステップS32の処理を終了する。
【0082】
次いで、ステップS33において、制御ユニット190Bが、ステップS32における第1’次スイッチング周波数決定処理により、スイッチング周波数が決定できたか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS33:Y)には、制御ユニット190Bは、決定されたスイッチング周波数を、指定スイッチング周波数ASFとして、再生処理ユニット130へ送る(図7参照)。そして、処理は、後述するステップS36へ進む。
【0083】
一方、ステップS33における判定の結果が否定的であった場合(ステップS33:N)には、処理はステップS34へ進む。このステップS34では、制御ユニット190Bの制御のもとで、受信中の放送周波数のそれぞれに対応する放送波の現在位置における電界強度が検出される。
【0084】
かかる電界強度の検出に際しては、制御ユニット190Bが、受信中の放送周波数を指定した選局指令CSLAを生成し、順次、選局ユニット120Aへ送る。この結果、選局ユニット120Aにより、当該受信可能な放送周波数の放送波に対応する中間周波数の信号IFSAを生成され、生成された信号IFSAがレベル検出ユニット135へ送られる(図7参照)。
【0085】
信号IFSAを受けたレベル検出ユニット135は、信号IFSAのレベルを検出する。そして、レベル検出ユニット135は、検出結果DSLを制御ユニット190Bへ送る(図7参照)。
【0086】
こうしてレベル検出ユニット135から送られた検出結果DSLを、制御ユニット190Bが収集する。この結果、制御ユニット190Bにより、受信中の放送周波数のそれぞれに対応する放送波の現在位置における電界強度が収集される。
【0087】
次に、ステップS35において、制御ユニット190Bが、先に作成された周辺受信状況情報、及び、収集された電界強度に基づいて、第2’次スイッチング周波数決定処理を行う。かかる第2’スイッチング周波数決定処理に際して、制御ユニット190Bは、受信妨害の抑制の観点から、次の(iii)〜(v)の条件を考慮して、スイッチング周波数を探す。
(iii)所定周波数間隔以上離すことができない放送周波数については、電界強度の検出値が低かった放送波に対応する放送周波数ほど、その放送周波数と、スイッチング周波数等との周波数間隔を広くすること
(iv)所定周波数間隔以上離すことができない放送周波数については、電界強度の検出値が低かった放送波に対応する放送周波数ほど、当該放送周波数を受信している放送受信装置の現在位置におけるレベルが低い輻射成分を、当該放送周波数と所定周波数間隔以下となってしまう成分とすること(ここで、「放送周波数を受信している放送受信装置の現在位置における輻射成分のレベル」は、放送受信装置100Bとの距離を勘案して予測される)
(v)上述したスイッチング信号生成部136が生成可能なスイッチング信号の周波数であること
【0088】
上述した(iii)〜(v)の条件を考慮した上で探し出されたスイッチング周波数を、制御ユニット190Bは、現時点において採用すべきスイッチング周波数に決定する。そして、制御ユニット190Bは、決定されたスイッチング周波数を、指定スイッチング周波数ASFとして、再生処理ユニット130へ送る(図7参照)。
【0089】
次いで、ステップS36において、ステップS31と同様にして、制御ユニット190Bが、新たな周辺受信状況情報を作成する。そして、処理はステップS37へ進む。
【0090】
ステップS37において、周辺受信状況が、前回のスイッチング周波数の決定時と比べて、スイッチング周波数を新たに決定すべきほど変化したか否かを、制御ユニット190Bが判定する。例えば、周辺受信状況における受信中周波数が、前回のスイッチング周波数の決定時から変化した場合には、制御ユニット190Bは、スイッチング周波数を新たに決定すべきと判定する。また、放送受信装置190Bと、周辺受信状況における他の放送受信装置との距離関係が、予め定められた基準を超えて変化した場合には、制御ユニット190Bは、スイッチング周波数を新たに決定すべきと判定する。
【0091】
なお、「予め定められた基準」は、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0092】
ステップS37における判定の結果が否定的であった場合(ステップS37:N)には、処理はステップS36へ戻る。そして、ステップS37における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS36,S37の処理が繰り返される。
【0093】
ステップS37における判定の結果が肯定的となると(ステップS37:Y)、処理は、ステップS32へ戻る。この後、ステップS32〜S37の処理が繰り返される。
【0094】
以上のようにして、パワー増幅部133におけるスイッチング信号発生部136(図3参照)が生成するスイッチング信号SWSの周波数(スイッチング周波数)が決定され、決定されたスイッチング周波数のスイッチング信号SWSに従ったD級増幅がD級アンプ137により実行される。かかるパワー増幅部133の動作が実行されている状態で、操作入力ユニット150に入力された再生チャンネル指定が操作入力データIPDとして通知されると、上述した第1実施形態の場合と同様に、制御ユニット190Bが、当該再生チャンネル指定に従って再生チャンネルの選局指令CSLPを生成する。そして、制御ユニット190Bは、生成された選局指令CSLPを選局ユニット120Pへ送る。
【0095】
この結果、選局ユニット120Pにおいて、再生指定された放送チャンネルが選局され、当該選局された放送チャンネルの放送波に対応する中間周波数の信号IFSPが、再生処理ユニット130へ送られる(図7参照)。信号IFSPは、再生処理ユニット130において、音声検波部131による検波処理、音量調整部132による音量調整処理、及び、パワー増幅部133によるパワー増幅処理が順次施された後、音声出力信号AOSとして、スピーカ140へ送られる(図3参照)。この結果、当該選局された放送チャンネルを介して放送された音声が、スピーカ140から、車室内に再生出力される。
【0096】
以上説明したように、本第2実施形態では、スイッチング信号SWSに従って動作するD級アンプ137を備える放送受信装置100Bにおいて、制御ユニット190Bが、放送受信装置100B、又は、放送受信装置100Bの周辺領域で放送受信している他の放送受信装置の放送受信の状況を示す周辺受信状況情報を作成する。ここで、周辺受信状況情報は、位置検出ユニット160から送られた測位結果CPTに基づいて特定された放送受信装置100Bの現在位置、及び、放送受信装置100Bにおける放送受信状況、並びに、通信ユニット180から送られた受信状況情報PRI(放送受信装置100Bの周辺領域で放送受信している他の放送受信装置のそれぞれから送信された受信放送周波数及び現在位置)に基づいて作成される。そして、制御ユニット190Bが、作成された周辺受信状況情報に基づいて、受信中の放送周波数に対応する放送波の受信における受信妨害を抑制できるスイッチング周波数を決定する。
【0097】
したがって、放送受信装置100Bによる放送受信に加えて、放送受信装置100Bの周辺領域における他の放送受信装置による放送受信に際して、受信妨害を抑制することができる。
【0098】
また、本第2実施形態では、受信中の放送周波数からでは、受信妨害を有効に抑制することができる適切なスイッチング周波数を決定できない場合には、受信中の放送周波数のそれぞれに対応する放送波の電界強度を検出する。そして、検出された電界強度を更に考慮して、当該受信中の放送周波数に対応する放送波の受信における受信妨害を抑制できる適切なスイッチング周波数を決定する。このため、放送受信装置100Bによる放送受信に加えて、放送受信装置100Bの周辺領域における他の放送受信装置による放送受信に際して、受信妨害を有効に抑制することができる。
【0099】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0100】
例えば、上記の第1及び第2実施形態では、スイッチングデバイスとしてD級アンプを備えるようにしたが、スイッチング電源等の他のスイッチングデバイスを備える場合、又は、更に備える場合にも、本発明を適用することができる。
【0101】
また、上記の第1及び第2実施形態では、車両に搭載される放送受信装置について本発明を適用したが、家屋内等の固定的な位置に配設される放送受信装置についても、本発明を適用することができる。
【0102】
また、上記の第1及び第2実施形態では、受信すべき放送としてAMラジオ放送を例示したが、他の種類の放送についても、本発明を適用することができる。
【0103】
また、上記の第2実施形態では、他の放送受信装置の受信放送周波数及び現在位置を取得するようにしたが、近距離通信により受信状況情報を取得する場合には、他の放送受信装置の受信放送周波数のみを取得するようにしてもよい。
【0104】
また、上記の第1実施形態における第2次スイッチング周波数決定処理で、予め定められた適切度に達することができるスイッチング周波数を決定できなかったときに、上記の第2実施形態における第1’スイッチング周波数決定処理、及び、必要に応じて第2’スイッチング周波数決定処理を順次行うようにしてもよい。
【0105】
また、上記の第1及び第2実施形態におけるスイッチング信号生成部は、連続的にスイッチング周波数を変化できるものであってもよいし、非連続的に複数のスイッチング周波数を変化させることができるものであってもよい。
【0106】
なお、上記の第1及び第2実施形態における制御ユニットを中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、読出専用メモリ(ROM:Read Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における処理の一部又は全部を実行するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0107】
100A,100B … 放送受信装置(スイッチングデバイス内蔵装置)
120A … 選局ユニット(第1及び第2検出手段の一部)
125 … レベル検出ユニット(第1及び第2検出手段の一部)
133 … パワー増幅部(スイッチングデバイス)
170 … 記憶ユニット(記憶手段)
180 … 通信ユニット(取得手段)
190A … 制御ユニット(取得手段、制御手段)
190B … 制御ユニット(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定されたスイッチング周波数で動作を行うスイッチングデバイスを備えるスイッチングデバイス内蔵装置であって、
前記スイッチングデバイス内蔵装置の位置を含む周辺領域における放送受信波の周波数情報を取得する取得手段と;
前記取得された周波数情報に基づいて、前記周辺領域での放送波の受信における受信妨害を抑制可能なスイッチング周波数を決定し、前記決定されたスイッチング周波数を前記スイッチングデバイスに対して指定する制御手段と;
を更に備えることを特徴とするスイッチングデバイス内蔵装置。
【請求項2】
前記周波数情報には、前記周辺領域において受信可能な放送波の周波数の情報である受信可能周波数情報が含まれ、
前記制御手段は、前記受信可能な放送波の受信における受信妨害を抑制可能なスイッチング周波数を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチングデバイス内蔵装置。
【請求項3】
前記受信可能周波数情報を記憶する記憶手段を更に備え、
前記取得手段は、前記記憶手段から前記受信可能周波数情報を読み取ることにより、前記受信可能周波数情報を取得する、
ことを特徴とする請求項2に記載のスイッチングデバイス内蔵装置。
【請求項4】
前記周辺領域において受信可能な放送波のそれぞれの電界強度を検出する第1検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記第1検出手段による検出結果を考慮して、前記スイッチング周波数を決定する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のスイッチングデバイス内蔵装置。
【請求項5】
前記周波数情報には、前記周辺領域において受信されていることが報告された放送波の周波数の情報である受信中周波数情報が含まれ、
前記制御手段は、前記周辺領域において受信されていることが報告された放送波の受信における受信妨害を抑制可能なスイッチング周波数を決定する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス内蔵装置。
【請求項6】
前記周辺領域において受信されていることが報告された放送波のそれぞれの電界強度を検出する第2検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記第2検出手段による検出結果を考慮して、前記スイッチング周波数を決定する、
ことを特徴とする請求項5に記載のスイッチングデバイス内蔵装置。
【請求項7】
指定されたスイッチング周波数で動作を行うスイッチングデバイスを備えるスイッチングデバイス内蔵装置で使用される放送受信妨害抑制方法であって、
前記スイッチングデバイス内蔵装置の位置を含む周辺領域における放送受信波の周波数情報を取得する取得工程と;
前記取得された周波数情報に基づいて、前記周辺領域での放送波の受信における受信妨害を抑制可能なスイッチング周波数を決定し、前記決定されたスイッチング周波数を前記スイッチングデバイスに対して指定する制御工程と;
を備えることを特徴とする放送受信妨害抑制方法。
【請求項8】
請求項7に記載の放送受信妨害抑制方法を、演算手段に実行させる、ことを特徴とする放送受信妨害抑制プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の放送受信妨害抑制プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−95169(P2012−95169A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241716(P2010−241716)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】