説明

スイッチングハブ、通信帯域確認方法及び通信帯域確認システム

【課題】契約帯域が常に確保されているのか容易かつ低コストで確認することが可能なスイッチングハブ、通信帯域確認方法及び通信帯域確認システムを提供する。
【解決手段】実データとともにダミーデータを供給して契約帯域で送信する送信手段を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信キャリアの提供する帯域保証型ネットワーク接続サービスを所定の契約帯域で契約した際に、その契約帯域が確保されているのか確認するためのスイッチングハブ、通信帯域確認方法及び通信帯域確認システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信キャリアと利用者との間で、特定の経路を通過するパケット、または特定の送受信アドレスを付与されたパケット、または特定のアプリケーションのパケットに対する帯域を保証する帯域保証型のネットワーク接続サービスを契約することがある。この場合、ネットワークを提供する通信キャリアは、利用者に対して契約した帯域を保証する必要がある。
【0003】
帯域保証型のネットワーク接続サービスの一例として、通信キャリアと利用者との間で、10Mbpsの帯域を保証する広域イーサネット(登録商標)を契約した場合を説明する。
【0004】
図5に示すように、通信キャリアが提供するネットワーク51上に存在する収容スイッチ52aには、スイッチングハブ53aが接続され、ネットワーク51上に存在する他の収容スイッチ52bには、スイッチングハブ53bが接続される。
【0005】
図5では、スイッチングハブ53aが東京にある企業本社のLAN(Local Area Network)54aに接続され、スイッチングハブ53bが大阪にある企業支社のLAN54bに接続されている例を示している。
【0006】
企業支社側(大阪側)のスイッチングハブ53bから企業本社側(東京側)のスイッチングハブ53aに実データを送信する場合、契約帯域の10Mbpsを超えないようにデータを送信する必要がある。よって利用者は、例えば、10Mbpsのうち5Mbpsの帯域を使用してデータを送信することになる。
【0007】
このとき、利用者が使用している帯域は、例えば、企業本社側のスイッチングハブ53aに蓄積されているMIB(Management Information Base)データを参照して算出することができる。
【0008】
MIBデータには、通過パケット量のカウンタ値が保持されており、このカウンタ値を所定の時間ごと(例えば1秒ごと)に確認することで、使用している帯域を算出することができる。
【0009】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【0010】
【特許文献1】特開2001−197103号公報
【特許文献2】特開2001−197109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記方法では、利用者が実際に使用している帯域が得られるだけである。よって、使用している帯域が契約帯域を上回っている場合は契約帯域が確保されているか確認できるものの、使用している帯域が契約帯域を下回っている場合は、契約帯域が確保されているのか確認することができないという問題がある。
【0012】
また、特許文献1、2には、使用可能帯域確認装置を用いて負荷トラヒックを送信し、その負荷トラヒックを含む利用者の使用帯域を測定して、契約帯域が確保されているかを確認する方法が開示されている。
【0013】
しかし、これら特許文献1、2では、使用可能帯域確認装置を独立して配置しているため、負荷トラヒックを送信して帯域の測定を行っている最中に利用者の使用帯域が急激に増加すると、使用可能帯域確認装置の対応に時間がかかり、契約帯域を超えて利用者に不都合が生じるおそれがある。よって、測定を行った時に契約帯域が確保されているかを確認することはできるものの、常に負荷トラヒックを送信し続けることはできず、常に契約帯域が確保されているかを確認することはできないという問題がある。
【0014】
また、特許文献1、2では、使用可能帯域確認装置という専用の装置を用いる必要があるため、利用者が契約帯域を確認したい場合には、その目的のためだけに利用者がこの装置を購入する必要があり、コストが高くなってしまうという問題がある。
【0015】
そこで、本発明の目的は、帯域が確保されているのかを容易かつ低コストで確認することが可能なスイッチングハブ、通信帯域確認方法及び通信帯域確認システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、実データとともにダミーデータを供給して所定の帯域とし送信する送信手段を備えたスイッチングハブである。
【0017】
請求項2の発明は、前記送信手段は、前記実データを優先度別に格納する送信バッファと、前記送信バッファ内に設けられ、前記優先度が最も低く設定された、前記ダミーデータを格納するためのダミー供給用バッファと、前記ダミーデータを前記ダミー供給用バッファに供給するダミーデータ供給手段と、前記優先度にしたがって、前記送信バッファから前記実データあるいは前記ダミーデータを取り出して送信するスケジューラとからなる請求項1記載のスイッチングハブである。
【0018】
請求項3の発明は、送信側スイッチングハブと受信側スイッチングハブ間のネットワークの通信帯域を確認する通信帯域確認方法であって、前記送信側スイッチングハブは実データとともにダミーデータを供給して所定の帯域とし送信し、前記受信側スイッチングハブは受信したデータの帯域を確認する通信帯域確認方法である。
【0019】
請求項4の発明は、前記受信側スイッチングハブは、受信したデータから前記ダミーデータを除去する請求項3記載の通信帯域確認方法である。
【0020】
請求項5の発明は、実データとともにダミーデータを供給して所定の帯域とし送信する送信手段を備えた送信側スイッチングハブと、受信したデータの帯域を確認する通信帯域確認手段を備えた受信側スイッチングハブとを備えた通信帯域確認システムである。
【0021】
請求項6の発明は、前記受信側スイッチングハブは、受信したデータから前記ダミーデータを除去するダミーデータ除去手段を備える請求項5記載の通信帯域確認システムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、帯域が確保されているのかを容易かつ低コストで確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る通信帯域確認システムの概略図である。
【0025】
本発明の通信帯域確認システムは、通信キャリアの提供する帯域保証型ネットワーク接続サービスを所定の契約帯域で契約した際に、その契約帯域が確保されているのか確認するためのものである。
【0026】
本実施形態では、通信キャリアが提供する帯域保証型ネットワーク接続サービスの一例として、広域イーサネットを用いる場合を説明する。また、契約帯域は10Mbpsとして説明する。
【0027】
図1に示すように、通信帯域確認システム10では、通信キャリアが提供するネットワーク(広域イーサネット)11上に存在する収容スイッチ12aにスイッチングハブ13aが接続され、ネットワーク11上に存在する他の収容スイッチ12bにスイッチングハブ13bがそれぞれ接続される。
【0028】
図1では、スイッチングハブ13aが東京にある企業本社のLAN(Local Area Network)14aに接続され、スイッチングハブ13bが大阪にある企業支社のLAN14bに接続されている例を示している。
【0029】
本実施形態では、企業支社側(大阪側)のスイッチングハブ13bに本発明のスイッチングハブを用いる場合を説明する。以下、説明の簡略化のため、企業本社側(東京側)のスイッチングハブ13aを受信側スイッチングハブ13aといい、企業支社側(大阪側)のスイッチングハブ13bを送信側スイッチングハブ13bという。
【0030】
受信側スイッチングハブ13aは、受信したデータの帯域を確認する通信帯域確認手段を備える。この通信帯域確認手段については、公知であるため詳述しないが、例えば、MIB(Management Information Base)に保持されている通過パケット量のカウンタ値を所定の時間ごと(例えば1秒ごと)に確認して、使用している帯域を算出するものである。また、この受信側スイッチングハブ13aは、受信したデータから後述するダミーデータを除去するためのダミーデータ除去手段を備える。
【0031】
ここで、本発明のスイッチングハブである送信側スイッチングハブ13bについて詳細に説明する。
【0032】
図2に示すように、送信側スイッチングハブ13bは、ネットワーク11の収容スイッチ12bあるいはLAN14b内の各機器(端末やスイッチングハブなど)に接続されるポート21〜25と、データの中継処理を行う中継回路26と、送信側スイッチングハブ13bの種々の機能をソフトウェア処理で実現するプロセッサ27と、管理情報、送信情報などを格納するメモリ28とから構成される。
【0033】
中継回路26、プロセッサ27、およびメモリ28は、スイッチLSI(Large-Scale Integration)により実現される。
【0034】
ポート21〜24は、例えば、LAN14b内の端末やスイッチングハブなどに接続され、ポート25は、例えば、ネットワーク11の収容スイッチ12bに接続される。
【0035】
図3は、この送信側スイッチングハブ13bの機能に注目したブロック図である。
【0036】
図3に示すように、送信側スイッチングハブ13bは、受信ポート31で受信したデータの受信処理を行う受信処理手段32と、実データにダミーデータを付加し常に契約帯域で送信ポート34から送信する送信手段35とを主に備える。
【0037】
受信処理手段32は、受信ポート31で受信した実データの宛先アドレス(宛先MACアドレス)をもとに、FDB(Forwarding DataBase)を参照して出力ポート番号を決定し、決定した出力ポート番号に基づきスイッチングを行うものである。
【0038】
また、受信処理手段32は、受信した実データの優先度を判定し、その実データを優先度に応じて、後述する送信バッファ36の送信キューに振り分ける機能を有する。
【0039】
この受信処理手段32は、プロセッサ27のソフトウェア処理、メモリ28、および中継回路26により実現される。
【0040】
受信処理手段32は、上述した受信側スイッチングハブ13aと同様に、通信帯域確認手段およびダミーデータ除去手段を備えていてもよい。
【0041】
送信手段35は、送信する実データを優先度別に格納する送信バッファ36と、その送信バッファ36内に設けられた、優先度が最も低く設定されたダミー供給用バッファ37と、ダミーデータを常にダミー供給用バッファ37に供給し続けるダミーデータ供給手段38と、送信バッファ36の優先度にしたがって、送信バッファ36から実データあるいはダミーデータを取り出して送信ポート34から送信するスケジューラ39とからなる。
【0042】
送信バッファ36は、先にきたデータが先に出ていく(FIFO:First In First Out)キュー構造となっており、優先度高、優先度中、優先度低の3段階の送信キューを備える。本実施形態では、この送信バッファ36内に、優先度低の送信キューよりも優先度の低いダミー供給用バッファ37を設け、優先度を合計4段階とした。送信バッファ36の送信キューの数(優先度の段数)は、これに限定されず、4つ以上であってもよい。その場合、ダミー供給用バッファ37は最も低い優先度に設定される。
【0043】
ダミー供給用バッファ37は、利用者に認識されない、いわゆる隠しバッファとして用いるようにしてもよい。また、本実施形態では、送信バッファ36内に新たにダミー供給用バッファ37を設けたが、既存の最も優先度が低い送信キューをダミー供給用バッファ37として用いてもよい。
【0044】
ダミーデータ供給手段38は、ダミーデータをダミー供給用バッファ37に常に供給し続けるものである。ダミーデータ供給手段38により、ダミー供給用バッファ37は、常にダミーデータが溢れている状態に保持される。このダミーデータ供給手段38は、プロセッサ27でソフトウェア処理を行うことにより実現される。
【0045】
スケジューラ39は、送信バッファ36の優先度にしたがって、優先度が高いデータから順に送信ポート34から送信するものである。つまり、スケジューラ39は、優先度高の送信キューに実データがある場合はその実データを優先して送信し、優先度高の送信キューに実データがない場合は、優先度中の送信キューにある実データを送信し、優先度高および優先度中の送信キューに実データがない場合は、優先度低の送信キューにある実データを送信するものである。さらに、優先度高、優先度中、優先度低のいずれの送信キューにも実データがない場合、スケジューラ39は、ダミー供給用バッファ37のダミーデータを送信する。スケジューラ39は、プロセッサ27でソフトウェア処理を行うことにより実現される。
【0046】
このスケジューラ39は、送信するデータをシェーピングし、ネットワーク11に送信する帯域を契約帯域以下(本実施形態では10Mbps以下)に制御するシェーパ機能を有する。シェーパ機能については公知であるため、ここでは説明を省略する。
【0047】
ダミー供給用バッファ37内には常にダミーデータが存在しており、送信バッファ36が空になることはないので、スケジューラ39は、実データがないときもダミーデータを送信し続けることになり、常に一定の所定の帯域(本実施形態では、契約帯域である10Mbps)でデータを送信することになる。つまり、スケジューラ39の既存の機能を用いて、常に契約帯域の10Mbpsで受信側スイッチングハブ13aにデータを送信することができる。
【0048】
ここで、送信側スイッチングハブ13bから受信側スイッチングハブ13aに送信するデータ(実データおよびダミーデータ)のフレーム構成を説明する。
【0049】
図4に示すように、実データおよびダミーデータのフレームは、宛先アドレス(DA:Destination Address)41、送信元アドレス(SA:Source Address)42、VLAN TPID(Tag Protocol Identifier)43、VLAN TCI(Tag Control Information)44、およびデータ45の各領域を備える。宛先アドレス41および送信元アドレス42は、MACアドレスである。
【0050】
VLAN TPID43は、VLANタグであることを表す識別子であり、通常、“8100(16進数)”が格納される。
【0051】
VLAN TCI44は、フレームの優先度を0〜7で表すPCP(Priority Code Point)46、VLANタグのフォーマットを表すCFI(Canonical Format Indicator)47、およびVLAN IDを1〜4094で表すVLAN−ID48の各領域を備える。
【0052】
本発明では、送信側スイッチングハブ13bから受信側スイッチングハブ13aにダミーデータを送信するが、受信側スイッチングハブ13aに接続されている利用者はこのダミーデータを必要としない。よって、この不要なダミーデータを受信側スイッチングハブ13aで除去するために、ダミーデータと実データを判別できるように送信側スイッチングハブ13bにおいて情報を付加しておく必要がある。
【0053】
本実施形態では、ダミーデータの送信元アドレス42に送信側スイッチングハブ13bのアドレスを格納することで、ダミーデータを判別できるようにした。
【0054】
また、ダミーデータはできるだけ短いフレーム長にされる。フレーム長の長いダミーデータを送信している最中に実データを受信すると、ダミーデータを送信し終わってから実データを送信することになるので、中継遅延が生じてしまう。これに対して、本実施形態では、ダミーデータをできるだけ短いフレーム長としているため、すぐにダミーデータの送信を終えて実データを送信することができ、中継遅延が生じるのを防ぐことができる。また、ダミーデータの送信を中断して実データの送信を開始することで中継遅延を回避する方法も考えられるが、送信を中断したダミーデータはエラーフレームとなってしまうため好ましくない。ダミーデータのフレーム長は、例えば、64バイトである。
【0055】
受信側スイッチングハブ13aのダミーデータ除去手段は、送信側スイッチングハブ13bから送信されたデータのうち、送信元アドレス42がスイッチングハブ13bのアドレスとなっているデータをダミーデータと判断してこれを除去するように構成される。
【0056】
また、受信側スイッチングハブ13aは、契約帯域が確保されていない場合(通信帯域確認手段により算出した帯域が契約帯域より少ない場合)、契約帯域が確保されていないことを利用者に知らせるための通知手段を備える。この通知手段は、特に限定しないが、例えば、通信帯域確認手段により算出した帯域が契約帯域より少なくなったときに、管理者(例えば、LAN14aの管理者)にアラームを送信するものである。
【0057】
次に、本実施形態に係る通信帯域確認方法を説明する。
【0058】
送信側スイッチングハブ13bの受信ポート31(例えばポート21〜24のいずれか)で実データを受信すると、受信処理手段32が、受信した実データの宛先アドレス(宛先MACアドレス)をもとに、FDB(Forwarding DataBase)を参照して出力ポート番号を決定し、決定した出力ポート番号に基づいてスイッチングを行い、実データの優先度に応じて送信バッファ36の送信キューに振り分ける。
【0059】
一方、ダミーフレーム供給手段38は、常にダミーフレームをダミー供給用バッファ37に供給し続ける。これにより、ダミー供給用バッファ37は、常にダミーフレームが溢れている状態に保持される。
【0060】
スケジューラ39は、送信バッファ36に実データがある場合(優先度高、優先度中、優先度低のいずれかの送信キューにデータがある場合)、実データを優先して送信ポート34(例えばポート25)から送信し、実データがない場合(優先度高、優先度中、優先度低のいずれの送信キューにもデータがない場合)には、ダミー供給用バッファ37のダミーデータを送信ポート34から送信する。
【0061】
ダミー供給用バッファ37には常にダミーデータが存在しており、送信バッファ36が空になることはないので、スケジューラ39は、常に契約帯域でデータを送信する。
【0062】
具体的には、例えば、ある実データを送信するために5Mbps使用する場合、その実データ5Mbpsに5Mbps分のダミーデータを供給して送信することになる。実データが10Mbpsで送信されている場合には、ダミーデータは送信されず、送信バッファ36に実データがない場合は、ダミーデータのみが10Mbpsで送信される。
【0063】
受信側スイッチングハブ13aは、送信側スイッチングハブ13bからネットワーク11を介して送信されたデータを受信すると共に、パケット通過量をカウントして、そのカウント値をMIB(Management Information Base)に保持させる。受信側スイッチングハブ13aの通信帯域確認手段は、MIBのカウント値を所定時間ごと(例えば1秒ごと)に確認して使用している帯域を算出し、契約帯域(本実施形態では10Mbps)が確保されているか確認する。
【0064】
本実施形態では、送信側スイッチングハブ13bから受信側スイッチングハブ13aに、常に契約帯域でデータを送信しているため、受信側スイッチングハブ13aの通信帯域確認手段により算出する帯域は常に契約帯域と等しくなる。受信側スイッチングハブ13aの通信帯域確認手段は、算出した帯域が契約帯域より少ない場合、契約帯域が確保されていないと判断する。通信帯域確認手段は契約帯域が確保されていないと判断した場合、例えば、通知手段によりアラームを送信する。
【0065】
その後、受信側スイッチングハブ13aのダミーデータ除去手段は、送信側スイッチングハブ13bから受信したデータのうち、宛先アドレス41が送信側スイッチングハブ13bのアドレスになっているものをダミーデータと判断してこれを除去する。受信側スイッチングハブ13aは、ダミーデータを除去した後、実データのみをLAN14aに転送する。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係るスイッチングハブ(送信側スイッチングハブ13b)は、受信した帯域を確認する通信帯域確認手段を備えた受信側スイッチングハブ13aに、常に実データにダミーデータを付加して契約帯域で送信する送信手段35を備えている。
【0067】
これにより、送信側スイッチングハブ13bから受信側スイッチングハブ13aに、常に契約帯域のデータを送信することができるため、受信側スイッチングハブ13aの既存の機能を用いて受信した帯域を確認するだけで、契約帯域が確保されているのか容易に確認することができる。
【0068】
よって、ネットワーク11の提供者である通信キャリアが定常的に帯域を確認するために使用する場合のみならず、ネットワーク11を利用する利用者が契約帯域が確保されているのか確認したい場合であっても、本発明のスイッチングハブを用いれば、契約帯域を確認するための専用の装置を購入する必要が無くなり、低コストかつ容易に契約帯域が確保されているのか確認することが可能となる。
【0069】
また、本発明のスイッチングハブは、送信バッファ36内に設けられ優先度が最も低く設定されたダミー供給用バッファ37と、ダミーデータを常にダミー供給用バッファ37に供給するダミーデータ供給手段38とを備えている。
【0070】
これにより、ダミーデータ供給手段38によりダミーデータが常にダミー供給用バッファ37に供給され、送信バッファ36が空になることがないので、スケジューラ39の既存の機能を用いて、受信側スイッチングハブ13aに常に契約帯域でデータを送信することが可能となる。さらに、送信手段35にダミー供給用バッファ37およびダミーデータ供給手段38を設けるという簡単な構成で実現できるため、コストを抑制できる。
【0071】
また、本実施形態では、ダミー供給用バッファ37の優先度を最も低く設定しているため、実データの送信を妨げてしまうことがなく、実データを確実に送信しつつ、常に契約帯域が確保されているか確認することができる。
【0072】
さらに、利用者の使用帯域(実データの使用帯域)が急激に増加した場合でも、スケジューラ39により契約帯域以下でデータが送信されるので、使用帯域が契約帯域を超えて不都合が生じるおそれがない。
【0073】
さらに、本実施形態では、ダミーデータのフレーム長をできるだけ短くしているため、中継遅延なく実データを送信することができる。
【0074】
上記実施形態では、通信キャリアの提供する帯域保証型ネットワーク接続サービスの一例として、広域イーサネットを用いる場合を説明したが、これに限定されず、例えば、VPN(Virtual Private Network)や、IP(Internet Protocol)−VPN、あるいはNGN(Next Generation Network)などにも適用することができる。
【0075】
また、上記実施形態では、常に契約帯域のデータを送信する場合を説明したが、定期的に契約帯域のデータを送信して、契約帯域が確保されているか確認するようにしてもよい。
【0076】
この場合、ダミーデータ供給手段38が、定期的に所定時間ダミーデータを供給するようにし、ダミーデータ供給手段38がダミーデータを供給しているときの帯域を受信側スイッチングハブ13aで確認するようにするとよい。
【0077】
インターネット網を使用するIP−VPNなどでは、常に契約帯域のデータを送信すると他の利用者の使用帯域を圧迫して不都合が生じる場合も考えられるので、定期的に契約帯域のデータを送信するようにして、契約帯域が確保されているか確認するとよい。
【0078】
また、利用者(あるいは通信キャリア)が、契約帯域が確保されているのか確認したい時のみ、契約帯域のデータを送信するようにしてもよい。
【0079】
さらに、上記実施形態では、送信元アドレス42を送信側スイッチングハブ13bのアドレスとすることでダミーデータを判別、除去できるようにしたが、これに限定されず、例えば、送信側スイッチングハブ13bから制御情報などのデータを送信する必要がある場合などは、フレーム中に独自のダミーデータ判別用領域を設けるようにしてもよい。この場合、ダミーデータ除去手段は、ダミーデータ判別用領域に基づいてダミーデータを判別してこれを除去するように構成される。
【0080】
また、上記実施形態では、ネットワーク11の収容スイッチ12a,12bに接続される一方のスイッチングハブのみに本発明のスイッチングハブを適用する場合を説明したが、ネットワーク11に接続される両方のスイッチングハブに本発明のスイッチングハブを適用してもよい。
【0081】
この場合、本発明のスイッチングハブに、受信した帯域を確認するための通信帯域確認手段と、ダミーデータ除去手段を設けて、受信側スイッチングハブと送信側スイッチングハブの両方の機能を備えるようにすればよい。
【0082】
ネットワーク11に接続される両方のスイッチングハブに本発明のスイッチングハブを適用することにより、両方のスイッチングハブで契約帯域が確保されているか確認することが可能となる。
【0083】
さらに、上記実施形態では、受信側スイッチングハブ13aに通信帯域確認手段を設けたが、この通信帯域確認手段を送信側スイッチングハブ13bに設け、その通信帯域確認手段が、管理プロトコルであるSNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて、受信側スイッチングハブ13aのMIBよりカウンタ値を所定時間ごとに取得し、契約帯域が確保されているか確認するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の通信帯域確認システムの概略図である。
【図2】本発明のスイッチングハブの概略図である。
【図3】本発明のスイッチングハブのブロック図である。
【図4】本発明のスイッチングハブから送信する実データおよびダミーデータのフレーム構造を示す図である。
【図5】従来の通信帯域確認システムの概略図である。
【符号の説明】
【0085】
10 通信帯域確認システム
11 ネットワーク(広域イーサネット)
12a,12b 収容スイッチ
13a スイッチングハブ(受信側スイッチングハブ)
13b スイッチングハブ(送信側スイッチングハブ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実データとともにダミーデータを供給して所定の帯域とし送信する送信手段を備えたことを特徴とするスイッチングハブ。
【請求項2】
前記送信手段は、
前記実データを優先度別に格納する送信バッファと、
前記送信バッファ内に設けられ、前記優先度が最も低く設定された、前記ダミーデータを格納するためのダミー供給用バッファと、
前記ダミーデータを前記ダミー供給用バッファに供給するダミーデータ供給手段と、
前記優先度にしたがって、前記送信バッファから前記実データあるいは前記ダミーデータを取り出して送信するスケジューラとからなる請求項1記載のスイッチングハブ。
【請求項3】
送信側スイッチングハブと受信側スイッチングハブ間のネットワークの通信帯域を確認する通信帯域確認方法であって、
前記送信側スイッチングハブは実データとともにダミーデータを供給して所定の帯域とし送信し、
前記受信側スイッチングハブは受信したデータの帯域を確認することを特徴とする通信帯域確認方法。
【請求項4】
前記受信側スイッチングハブは、受信したデータから前記ダミーデータを除去する請求項3記載の通信帯域確認方法。
【請求項5】
実データとともにダミーデータを供給して所定の帯域とし送信する送信手段を備えた送信側スイッチングハブと、
受信したデータの帯域を確認する通信帯域確認手段を備えた受信側スイッチングハブとを備えたことを特徴とする通信帯域確認システム。
【請求項6】
前記受信側スイッチングハブは、受信したデータから前記ダミーデータを除去するダミーデータ除去手段を備える請求項5記載の通信帯域確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−45524(P2010−45524A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207123(P2008−207123)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】