説明

スイッチングレギュレータ及び電子機器

【課題】チップサイズと消費電流の増加を招くことなく入力電圧及び出力電流が変化してもスイッチング周波数と出力電圧を一定に保つ。
【解決手段】スイッチング時間制御回路3は、スイッチ素子SW1のオン時間とスイッチ素子SW2のオン時間との和に対するスイッチ素子SW1のオン時間の比を検出する。さらに、スイッチング時間制御回路3は、リセット解除タイミングから、検出された比に対応する時間期間Ton1が経過したときにスイッチ素子SW1のオン期間の終了タイミングを示すスイッチング時間制御信号TONを発生し、リセット解除タイミングから時間期間Ton1より長い所定の時間期間Ton2が経過する前にスイッチ素子SW2がオフされたことを検出したとき、リセット解除タイミングから時間期間Ton2が経過したときにリセット解除タイミングの次のリセットタイミングを表すリセット信号RSTを発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPU(Central Processing Circuit)などの負荷回路に高精度な電圧を供給するためのスイッチングレギュレータと、当該スイッチングレギュレータを備えた電子機器とに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯機器には多様なアプリケーションソフトウェアが搭載されるようになってきており、外付け部品の小型化とともに大電流出力及び低電圧出力に対応可能な電源回路が要求されている。また、携帯機器の一次側電源として使用されるリチウムイオンバッテリの放電特性が改善されることで、電源回路に入力される電圧の範囲が広くなっている。さらに、電源回路の出力端子に接続されるCPUなどの負荷回路の動作状態に応じて電源回路の設定電圧を変化させることで、CPUの動作スピード及び消費電力を最適化する技術が一般的となっている。このため、入力電圧及び出力電流が変化しても出力電圧を一定に保つことができる電源回路が要求されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、出力負荷電流が変動しても出力電圧特性の低下を避けることを目的とする従来技術に係る電源装置が記載されている(特許文献1の図7及び図8参照。)。また、特許文献2には、スイッチング周波数を安定化することを目的とする従来技術に係るDC−DCコンバータが記載されている。さらに、特許文献3には、機器の小型化を図ることを目的とするスイッチングレギュレータが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6は、第1の従来例に係るスイッチングレギュレータ1Pの構成を示す回路図である。スイッチングレギュレータ1Pは、オン時間固定かつリップル検出方式のスイッチングレギュレータの一例である。また、図7は、図6のスイッチング時間制御回路3Pの構成を示す回路図であり、図8は、図6のスイッチングレギュレータ1Pの動作を示すタイミングチャートである。
【0005】
図6において、スイッチングレギュレータ1Pは、スイッチ素子制御回路2と、コンパレータ6と、スイッチング時間制御回路3Pと、入力電圧VINが印加される入力端子TIと、出力端子LXと、入力端子TIと出力端子LXとの間に接続されたスイッチ素子SW1と、出力端子LXと接地との間に接続されたスイッチ素子SW2と、抵抗値Rf1を有する分圧抵抗8と抵抗値Rf2を有する分圧抵抗9とを備えた分圧回路7と、フィードバック端子TFとを備えて構成される。また、スイッチ制御回路2は、RSフリップフロップ22と、制御信号発生回路23とを備えて構成される。さらに、図7において、スイッチング時間制御回路3Pは、入力端子TIに接続された一端を有し所定の基準電流Icを出力する基準電流源51と、基準電流源51と接地との間に接続され容量Ccを有するコンデンサ52と、コンデンサ52に並列に接続されたスイッチ素子SW5と、所定の基準電圧VRを出力する電圧源54と、コンパレータ53とを備えて構成される。
【0006】
図6において、出力端子LXからの出力電圧は、インダクタンスLを有するインダクタ12と、容量Coutを有する出力コンデンサ14とを備えて構成される高周波除去及び平滑用ローパスフィルタを介して、例えばCPUである負荷回路10に出力される。なお、抵抗13は出力コンデンサ14の直列等価寄生抵抗であって、抵抗値Resrを有する。上述したローパスフィルタからの出力電圧VOUTは、フィードバック端子TFを介してスイッチングレギュレータ1Pに入力され、分圧回路7により分圧される。そして、分圧後のフィードバック電圧VFは、コンパレータ6の反転入力端子に出力される。コンパレータ6は、フィードバック電圧VFを、非反転入力端子に電圧源11から入力される所定の基準電圧VREFと比較し、フィードバック電圧VFが基準電圧VREFより大きいときはローレベルのスイッチング時間制御信号CMPO−PをRSフリップフロップ22のセット端子Sに出力する一方、フィードバック電圧VFが基準電圧VREFより小さいときはハイレベルのスイッチング時間制御信号CMPO−PをRSフリップフロップ22のセット端子Sに出力する。ここで、スイッチング時間制御信号CMPO−Pは、スイッチ素子SW2のオン期間の終了タイミングを示す。
【0007】
また、図7を参照して詳細後述するように、スイッチング時間制御回路3Pはスイッチ素子SW1のオン期間の終了タイミングを示すスイッチング時間制御信号TON−Pを発生して、RSフリップフロップ22のリセット端子Rに出力する。さらに、RSフリップフロップ22からの出力信号PSETは、制御信号発生回路23に出力される。制御信号発生回路23は、出力信号PSETの立ち下がりタイミングでスイッチ素子SW1のオン期間を終了し、出力信号PSETの立ち上がりタイミングでスイッチ素子SW2のオン期間を終了し、かつスイッチ素子SW1とSW2とが相補的にオンするように、スイッチ素子SW1をオンオフ制御するためのスイッチ素子制御信号PDRVと、スイッチ素子SW2をオンオフ制御するためのスイッチ素子制御信号NDRVとを発生して、スイッチ素子SW1及びSW2の各ゲートにそれぞれ出力する。さらに、制御信号発生回路23は、スイッチ素子制御信号PDRVと同期した出力信号TCHGB1を発生してスイッチング時間制御回路3Pに出力する。なお、本従来技術において、スイッチ素子SW1はローレベルのスイッチ素子制御信号PDRVに応答してオンする一方、ハイレベルのスイッチ素子制御信号PDRVに応答してオフする。また、スイッチ素子SW2はハイレベルのスイッチ素子制御信号NDRVに応答してオンする一方、ローレベルのスイッチ素子制御信号NDRVに応答してオフする。さらに、スイッチ素子SW1がオフするタイミングにおいてスイッチ素子SW2がオンし、スイッチ素子SW2がオフするタイミングにおいてスイッチ素子SW1がオンするように制御される。
【0008】
図7において、電圧源54は所定の基準電圧VRを発生してコンパレータ53の反転入力端子に出力する。また、基準電流源51とコンデンサ52との間の接続点の電圧VCはコンパレータ53の非反転入力端子に出力される。また、出力信号TCHGB1はスイッチ素子SW5のゲートに出力される。このため、スイッチ素子SW5は、出力信号TCHGB1に応答して、スイッチ素子SW1のオン期間においてオフする一方、スイッチ素子SW1のオフ期間においてオンする。また、コンパレータ53は、電圧VCを基準電圧VRと比較し、電圧VCが基準電圧VRより大きいときはハイレベルのスイッチング時間制御信号TON−Pを発生する一方、電圧VCが基準電圧VRより小さいときはローレベルのスイッチング時間制御信号TON−Pを発生する。
【0009】
図6において、フィードバック電圧VFが基準電圧VREFよりも小さくなると、コンパレータ6からのスイッチング時間制御信号CMPO−Pの電圧レベルはハイレベルになる。これに応答して、RSフリップフロップ22はセットされ、RSフリップフロップ22の出力信号PSETの電圧レベルはハイレベルになる。そして、制御信号発生回路23は、スイッチ素子SW1をオンしかつスイッチ素子SW2をオフするように、スイッチ素子制御信号PDRV及びNDRVを発生する。これに応答して、スイッチ素子SW1はオンする一方、スイッチ素子SW2はオフし、入力電圧VINと出力電圧VOUTとの電圧差によりインダクタ12にエネルギーが蓄積される。これに伴って、インダクタ12のインダクタ電流が増加し、出力コンデンサ14とその直列等価寄生抵抗13とによって、出力電圧VOUTが上昇する。
【0010】
次に、スイッチ素子SW1のオン期間が詳細後述する所定の時間だけ継続すると、スイッチング時間制御信号TON−Pの電圧レベルがローレベルからハイレベルに切り替わる。これに応答して、RSフリップフロップ22はリセットされ、RSフリップフロップ22からの出力信号PSETの電圧レベルはローレベルになる。そして、制御信号発生回路23は、スイッチ素子SW1をオフしかつスイッチ素子SW2をオンするように、スイッチ素子制御信号PDRV及びNDRVを発生する。これに応答して、スイッチ素子SW1はオフする一方、スイッチ素子SW2はオンし、接地電圧と出力電圧VOUTとの電圧差によりインダクタ12のエネルギーは放出される。これに伴って、インダクタ12のインダクタ電流が減少し、出力コンデンサ14とその直列等価寄生抵抗13とによって、出力電圧VOUTが低下する。
【0011】
ここで、スイッチ素子SW1のオン時間(オン期間の期間長である。)は次のように決められる。図7において、ローレベルのスイッチ素子制御信号PDRVに応答してスイッチ素子SW1がオンしている間、スイッチ素子制御信号PDRVに同期した出力信号TCHGB1に応答してスイッチ素子SW5はオフし、コンデンサ52は基準電流Icで充電される。充電されたコンデンサ52の両端の電圧VCはコンパレータ53で基準電圧VRと比較され、コンパレータ53は、電圧VCが基準電圧VRよりも大きいときはハイレベルのスイッチング時間制御信号TON−Pを出力し、電圧VCが基準電圧VRよりも小さいときはローレベルのスイッチング時間制御信号TON−Pを出力する。また、スイッチ素子SW1がオフしかつスイッチ素子SW2がオンしている期間において、制御信号発生回路23からのハイレベルの出力信号TCHGB1に応答してスイッチ素子SW5がオンし、コンデンサ52に充電された電荷は全て放電される。このとき、スイッチ素子SW1のオン時間ton1は次式(1)で示される。
【0012】
なお、当該明細書において、数式がイメージ入力された墨付き括弧の数番号と、数式が文字入力された大括弧の数式番号とを混在して用いており、また、当該明細書での一連の数式番号として「式(1)」の形式を用いて数式番号を式の最後部に付与して(付与していない数式も存在する)用いることとする。
【0013】
【数1】

【0014】
以上説明したように、図6のスイッチングレギュレータ1Pにおいて、スイッチング時間制御信号TON−Pに応答してスイッチ素子SW1のオン時間ton1が決まり、フィードバック電圧VFと基準電圧VREFとの比較結果を示すコンパレータ6からのスイッチング時間制御信号CMPO−Pに応答してスイッチ素子SW1のオフ時間toff1(スイッチ素子SW1のオフ期間の期間長であり、スイッチ素子SW2のオン期間の期間長に等しい。)が決まる。以上説明したようにスイッチ素子SW1とSW2とがオンオフを繰り返すことにより、出力電圧VOUTの時間平均値VOUTaが一定になるように制御される。
【0015】
しかしながら、図6の回路構成の場合、オン時間ton1が式(1)で表される固定値であるため、スイッチ素子SW1がオンのときのインダクタ12の磁束の増加分Δφonと、スイッチ素子SW2がオンのときのインダクタ12の磁束の減少分Δφoffは、スイッチ素子SW1とSW2との各オン抵抗Ronと、インダクタ12のインダクタ電流ILとを用いて次式で表される。
【0016】
【数2】

【数3】

【0017】
さらに、Δφon=Δφoffであるので、スイッチング周期tsw(=ton1+toff1)は次式で表される。
【0018】
【数4】

【0019】
従って、スイッチング周波数fswは次式で表される。
【0020】
【数5】

【0021】
式(3)からわかるように、入力電圧VIN、出力電圧VOUT、インダクタ電流IL(すなわち、負荷回路10への出力電流Iout)が変化すると、スイッチング周波数fswのばらつきが大きくなる。さらに、出力電圧VOUTの時間平均値VOUTaが変化して一定にならず、出力電圧精度が劣化する。
【0022】
例えば、図8に示すように、出力電流IOUTがI1のときスイッチング周期tswは周期tsw1であるが、出力電流IOUTがI2に増加したときのスイッチング周期tsw2は、I1<I2と式(2)からtsw1>tsw2となる。すなわち、出力電流IOUTがI1のとき及びI2のときの各スイッチング周波数fsw1及びfsw2の大小関係は、fsw1<fsw2となる。さらに図8からわかるように、出力電流IOUTがI1からI2に増加すると出力電圧VOUT(フィードバック電圧VFに対応する。)の時間平均値VOUTaは低下してしまう。同様に、式(2)及び式(3)から、入力電圧VIN又は出力電流Iout(インダクタ電流ILに対応する。)が変化してもスイッチング周波数fswと出力電圧VOUTが変化してしまうことがわかる。
【0023】
特許文献1には、入力電圧、出力電圧、及び出力電流の影響を低減して出力電圧とスイッチング周波数の精度を向上することを目的とする第2の従来例に係る電源装置を開示している(特許文献1の図7及び図8参照。)。第2の従来例に係る電源装置は、入力電圧、出力電圧、及び出力電流に基づいて各スイッチ素子を制御することにより、出力電圧特性を向上させる。
【0024】
図9は、特許文献1の図7記載の第2の従来例に係る電源回路1000の構成を示す回路図であり、図10は、図9のtonジェネレータ102の構成を示す回路図である。第2の従来例に係る電源回路1000の構成については、特許文献1に詳述されている。図9に示すように、電源回路1000は出力電流Iをフィードバックするための電流検出回路108を備える。さらに、図10に示すように、tonジェネレータ102は、入力電圧VINをフィードバックするための抵抗網と、オペアンプ121及び127と、出力電圧Vをフィードバックするための抵抗網と、出力電圧Vに対応する電圧と出力電流Iに対応する電圧Vsとを加算するための加算器128とを備えて構成されるため、チップサイズと消費電流の増加を招く。このため、電源回路1000は、特に小型、低消費電流を求められる携帯機器用の電源回路には適切ではない。
【0025】
また、電源装置1000のスイッチング周波数fswは、例えば以下のように導出される。図9において、ドライブロジック回路104からの制御信号DRVLの電圧レベルがハイレベルからローレベルに切り替わったタイミングから経過時間Tが経過したとき、図10のコンパレータ127の非反転入力端子に入力される電圧VCTと、反転入力端子に入力される電圧Vtrefとは、pMOSトランジスタ123に流れる電流I21と、コンデンサ125の容量C25と、抵抗値R51及びR52とを用いて、次式で表される。
【0026】
[数1]
CT=(I21×T)/C25
[数2]
Vtref=Vs+V×R52/(R51+R52
【0027】
さらに、電圧VCTと電圧Vtrefとが等しくなるときの経過時間Tがトランジスタ151のオン期間の期間長Tonであるので、次式が成り立つ。
【0028】
[数3]
(I21×Ton)/C25=Vs+V×R52/(R51+R52) (4)
【0029】
pMOSトランジスタ22及び23が同一の導電型のトランジスタであり、そのサイズ比がk1であると仮定すると、電流I21は、抵抗値Rt、R31及びR32とを用いて次式で表される。
【0030】
[数4]
21=VIN×R32/(R31+R32)/Rt×k1
【0031】
ここで、定数k2を以下のように定義する。
【0032】
[数5]
k2=R32/(R31+R32)/Rt×k1/C25
【0033】
従って、式(4)は定数k2を用いて次式のように変形される。
【0034】
[数6]
Ton×VIN×k2=Vs+V×R52/(R51+R52) (5)
【0035】
次に、図9において、電流検出回路102から出力される電圧Vsは、一般にトランジスタ151のオン抵抗Ronn1と、トランジスタ151に流れる電流ILXとにより発生するトランジスタ151の両端電圧ILX×Ronn1に所定の回路定数k3を乗算した電圧に対応するので、次式で表される。
【0036】
[数7]
Vs=Ronn1×ILX×k3
【0037】
従って、R52/(R51+R52)=k4と定義すると、式(5)は次式のように変形される。
【0038】
[数8]
Ton×VIN×k2=Ronn1×ILX×k3+V×k4
【0039】
従って、トランジスタ151のオン期間の期間長Tonは次式で表される。
【0040】
[数9]
Ton=(Ronn1×ILX×k3+V×k4)/(VIN×k2)
【0041】
さらに、デューティ比Dutyは図9のトランジスタ152のオン抵抗Ronn2を用いて次式で表される。
【0042】
[数10]
Duty=(V+ILX×Ronn2)/(Vin−ILX×Ronn1)
従って、スイッチング周波数fswは次式で表される。
【0043】
[数11]
fsw=Duty/Ton
=(V+ILX×Ronn2)/(VIN−ILX×Ronn1)
/((Ronn1×ILX×k3+Vo×k4)/(VIN×k2))
【0044】
ここで、Ronn1=Ronn2×k4/k3=kかつk2=k4となるように回路定数を設定すれば、上式の右辺から出力電圧Vの項を消去できて、スイッチング周波数fswは以下のように表される。
【0045】
[数12]
fsw=VIN/(VIN−ILX×k) (6)
【0046】
式(6)の定数kは、図9の電流検出回路108及びtonジェネレータ102を構成する各素子の素子値により決定される。すなわち、スイッチング周波数fswには入力電圧VINとインダクタ電流ILXの項が残り、スイッチング周波数の入力電圧VINと出力電流への依存性を完全には排除できない。特に、負荷がCPUの場合は、連続的に負荷電流(すなわち、出力電流である。)が急峻に変動するため、そのたびにスイッチング周波数が変化すると広い帯域のスイッチングノイズを発生してしまい、周辺機器への影響が極めて重大な問題となる。
【0047】
以上詳述したように、従来技術によれば、チップサイズ及び消費電流を増加させることなく、入力電圧及び出力電流が変化してもスイッチング周波数と出力電圧を一定に保つことはできなかった。
【0048】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較してチップサイズ及び消費電流を増加させることなく、入力電圧及び出力電流が変化してもスイッチング周波数と出力電圧を一定に保ち、CPUなどの負荷回路に高精度な電圧を供給できるスイッチングレギュレータと、当該スイッチングレギュレータを備えた電子機器とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0049】
本発明に係るスイッチングレギュレータ及び電子機器は、入力端子を介して入力された入力電圧を所定の出力電圧に変換し、出力端子を介して出力するスイッチングレギュレータにおいて、
上記入力端子と上記出力端子との間に接続された第1のスイッチ素子と、
上記出力端子と接地との間に接続された第2のスイッチ素子と、
上記第1のスイッチ素子のオン時間と上記第2のスイッチ素子のオン時間との和に対する上記第1のスイッチ素子のオン時間の比に対応する第1の時間期間が経過したときに、上記第1のスイッチ素子のオン期間の終了タイミングを示す第1のスイッチング時間制御信号を発生して出力するスイッチング時間制御回路と、
上記出力電圧に対応するフィードバック電圧を所定の第1の基準電圧と比較し、上記フィードバック電圧が上記第1の基準電圧より小さいとき、上記第2のスイッチ素子のオン期間の終了タイミングを示す第2のスイッチング時間制御信号を発生して出力する第1のコンパレータと、
上記第1のスイッチング時間制御信号に応答して上記第1のスイッチ素子をオフして上記第2のスイッチ素子をオンし、上記第2のスイッチング時間制御信号に応答して上記第2のスイッチ素子をオフして上記第1のスイッチ素子をオンするスイッチ素子制御回路とを備え、
上記第1の時間期間と、上記第1の時間期間より長い所定の第2の時間期間とは、それぞれリセット解除タイミングを起点として開始し、
上記スイッチング時間制御回路は、上記リセット解除タイミングから上記第2の時間期間が経過したときにリセット信号を発生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0050】
本発明に係るスイッチングレギュレータ及び電子機器によれば、第1のスイッチ素子のオン時間と第2のスイッチ素子のオン時間との和に対する第1のスイッチ素子のオン時間の比に対応する第1の時間期間が経過したときに、第1のスイッチ素子のオン期間の終了タイミングを示す第1のスイッチング時間制御信号を発生して出力するスイッチング時間制御回路を備えて構成される。ここで、第1の時間期間と、第1の時間期間より長い所定の第2の時間期間とは、それぞれリセット解除タイミングを起点として開始し、スイッチング時間制御回路は、リセット解除タイミングから第2の時間期間が経過したときにリセット信号を発生する。従って、チップサイズと消費電流の増加を招くことなく入力電圧及び出力電流が変化してもスイッチング周波数と出力電圧を一定に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るスイッチングレギュレータ1を備えた電子機器100の構成を示す回路図である。
【図2】図1のスイッチング時間制御回路3の構成を示す回路図である。
【図3】図1のスイッチングレギュレータ1の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るスイッチング時間制御回路3Aの構成を示す回路図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るスイッチング時間制御回路3Bの構成を示す回路図である。
【図6】第1の従来例に係るスイッチングレギュレータ1Pの構成を示す回路図である。
【図7】図6のスイッチング時間制御回路3Pの構成を示す回路図である。
【図8】図6のスイッチングレギュレータ1Pの動作を示すタイミングチャートである。
【図9】特許文献1の図7記載の第2の従来例に係る電源回路1000の構成を示す回路図である。
【図10】図9のtonジェネレータ102の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0053】
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチングレギュレータ1を備えた電子機器100の構成を示す回路図であり、図2は、図1のスイッチング時間制御回路3の構成を示す回路図である。また、図3は、図1のスイッチングレギュレータ1の動作を示すタイミングチャートである。
【0054】
本実施形態に係るスイッチングレギュレータ1は、例えばパーソナルコンピュータなどの電子機器100に搭載され、当該電子機器100のCPUなどの負荷回路10に直流電圧を供給するために用いられる。図1において、スイッチングレギュレータ1は、スイッチ素子制御回路2と、スイッチング時間制御回路3と、コンパレータ6と、スイッチ素子SW1及びSW2と、抵抗値Rf1を有する分圧抵抗8と抵抗値Rf2を有する分圧抵抗9とを備えた分圧回路7と、入力電圧VINが入力される入力端子TIと、出力端子LXと、フィードバック端子TFとを備えて構成される。また、スイッチ制御回路2は、RSフリップフロップ22と、制御信号発生回路23とを備えて構成される。さらに、スイッチング時間制御回路3は、オンデューティ検出回路4と、オン期間制御回路5とを備えて構成される。また、電子機器100は、インダクタンスLを有するインダクタ12と、容量Coutを有する出力コンデンサ14とを備えて構成される高周波除去及び平滑用ローパスフィルタと、スイッチングレギュレータ1とを備えて構成される。
【0055】
また、図2において、オンデューティ検出回路4は、スイッチ素子SW3及びSW4と、所定の基準電圧VRT1を出力する基準電圧源44と、抵抗値Riを有する積分抵抗42と、容量Ciを有するコンデンサ43とを備えて構成される。また、図2において、オン期間制御回路5は、スイッチング時間制御信号発生回路501と、リセット回路502とを備えて校正される。ここで、スイッチング時間制御信号発生回路501は、所定の基準電流Icを出力する基準電流源51と、容量Ccを有するコンデンサ52と、スイッチ素子SW5と、コンパレータ53と、インバータ58と、アンドゲート59とを備えて構成される。なお、コンパレータ53と、インバータ58と、アンドゲート59とは、コンパレータ回路530を構成する。さらに、リセット回路502は、所定の基準電圧VRT2を出力する基準電圧源55と、コンパレータ56と、ラッチ回路57とを備えて構成される。さらに、ラッチ回路57は、ノアゲート571及び572と、インバータ573とを備えて構成される。
【0056】
詳細後述するように、本実施形態に係るスイッチングレギュレータ1は、入力端子TIを介して入力された入力電圧VINを所定の出力電圧に変換し、出力端子LXを介して出力するスイッチングレギュレータ1において、
(a)入力端子TIと出力端子LXとの間に接続されたスイッチ素子SW1と、
(b)出力端子LXと接地との間に接続されたスイッチ素子SW2と、
(c)スイッチ素子SW1のオン時間ton1とスイッチ素子SW2のオン時間ton2との和に対するスイッチ素子SW1のオン時間ton1の比に対応する時間期間Ton1が経過したときに、スイッチ素子SW1のオン期間の終了タイミングを示すスイッチング時間制御信号TONを発生して出力するスイッチング時間制御回路3と、
(d)出力電圧に対応するフィードバック電圧VFを所定の基準電圧VREFと比較し、フィードバック電圧VFが基準電圧VREFより小さいとき、スイッチ素子SW2のオン期間の終了タイミングを示すスイッチング時間制御信号CMPOを発生して出力するコンパレータ6と、
(e)スイッチング時間制御信号TONに応答してスイッチ素子SW1をオフしてスイッチ素子SW2をオンし、スイッチング時間制御信号CMPOに応答してスイッチ素子SW2をオフしてスイッチ素子SW1をオンするスイッチ素子制御回路2とを備えて構成され、時間期間Ton1と、時間期間Ton1より長い所定の時間期間Ton2とは、それぞれリセット解除タイミングを起点として開始し、スイッチング時間制御回路3は、リセット解除タイミングから時間期間Ton2が経過したときにリセット信号を発生する。
【0057】
ここで、スイッチング時間制御回路3は、リセット解除タイミング(例えば、図3の第1のリセット解除タイミングt11である。)から時間期間Ton1が経過したときにスイッチング時間制御信号TONを発生する(例えば、図3のタイミングt12参照。)。さらに、スイッチング時間制御回路3は、リセット解除タイミングを起点として、時間期間Ton1より長い時間期間Ton2が経過したとき、ハイレベルのリセット信号RST(リセット信号)を発生する。
【0058】
また、スイッチング時間制御回路3は、リセット解除タイミング(例えば、図3の第1のリセット解除タイミングt11及びt30である。)から時間期間Ton2が経過して(図3のリセットタイミングt13及びt31参照。)、かつスイッチ素子SW2がオフされたことを検出したとき、当該検出したタイミングにおいて、第2のリセット解除タイミング(例えば、図3のリセット解除タイミングt14及びt32である。)を表すローレベルのリセット信号RST(リセット解除信号)を発生することを特徴としている。また、リセット解除タイミング(例えば、図3のt21である。)から時間期間Ton1より長い所定の時間期間Ton2が経過する前にスイッチ素子SW2がオフされた(例えば、図3のタイミングt22である。)ことを検出したとき、リセット信号(ハイレベルのリセット信号RST)を発生せず、これによりスイッチ素子SW1をオンする(図3のタイミングt22。)ことを特徴としている。その後、リセット解除タイミング(例えば、図3のリセット解除タイミングt21である。)から時間期間Ton2が経過したときに、スイッチング時間制御回路3はリセット解除タイミング(例えば、図3のリセット解除タイミングt21である。)の次のリセットタイミング(例えば、図3のリセットタイミングt23である。)を表すハイレベルリセット信号RSTを、スイッチ素子SW1及びSW2を切り替えることなしに、発生することを特徴としている。
【0059】
さらに、スイッチング時間制御回路3は、上述した比を表す検出電圧Von1を出力するオンデューティ検出回路4と、検出電圧Von1及びリセット信号RSTに基づいてスイッチング時間制御信号TONを発生するスイッチング時間制御信号発生回路501と、リセット信号RSTを発生するリセット回路502とを備えて構成される。また、オンデューティ検出回路4は、所定の基準電圧VRT1を発生する基準電圧源44と、基準電圧源44に接続された一端を有し、スイッチ素子SW1と連動してオンオフするように制御されるスイッチ素子SW3と、スイッチ素子SW3の他端と接地との間に接続され、スイッチ素子SW2と連動してオンオフするように制御される第4のスイッチ素子SW4と、スイッチ素子SW3と第4のスイッチ素子SW4との間の接続点C1に接続された一端を有する積分用抵抗素子42と、積分用抵抗素子42の他端と接地との間に接続されたコンデンサ43とを備えて構成される。ここで、オンデューティ検出回路4は、コンデンサ43の両端電圧を検出電圧Von1として出力する。また、スイッチング時間制御信号発生回路501は、所定の基準電流Icを出力する基準電流源51と、基準電流源51と接地との間に接続されたコンデンサ52と、コンデンサ52に並列に接続され、リセット信号RSTの電圧レベルがハイレベルからローレベルになる各リセット解除タイミングにおいてオンからオフに切り換えられるとともに、リセット信号RSTの電圧レベルがローレベルからハイレベルになる各リセットタイミングにおいてオフからオンに切り換えられるスイッチ素子SW5と、検出電圧Von1をコンデンサ52の両端電圧VCと比較し、コンデンサ52の両端電圧VCが検出電圧Von1を超えたとき、スイッチング時間制御信号TONを発生するコンパレータ回路530とを備えたことを特徴としている。
【0060】
またさらに、リセット回路502は、基準電圧VRT1以上の所定の基準電圧VRT2を発生する基準電圧源55と、スイッチング時間制御回路3のコンデンサ52の両端電圧VCを基準電圧VRT2(第3の基準電圧)と比較し、当該比較結果を表す出力信号TFを発生するコンパレータ56と、コンパレータ56からの出力信号TFに基づいて、リセット解除タイミングから時間期間Ton2が経過したことを検出したときにリセットタイミングを表すハイレベルのリセット信号RSTを発生するとともに、スイッチ素子制御回路2からのスイッチ素子SW2がオフされたタイミングを表す所定の信号PSETに基づいて、スイッチ素子SW2がオフされたこと又はオフされていることを検出して(すなわち、信号PSETの電圧レベルがローレベルからハイレベルに切り替わったこと又はハイレベルであることを検出して)、リセット解除タイミングを表すローレベルのリセット信号RST(リセット解除信号)を発生するラッチ回路57とを備えたことを特徴としている。より詳しくは、コンパレータ56は、スイッチング時間制御信号発生回路501のコンデンサ52の両端電圧VCが基準電圧VRT2より大きいときはハイレベルの出力信号TFを発生する一方、両端電圧VCが基準電圧VRT2より小さいときはローレベルの出力信号TFを発生する。
【0061】
また、ラッチ回路57は、スイッチ素子制御回路2からの所定の信号PSETの状態にかかわらず、コンパレータ56からの出力信号TFの電圧レベルがローレベルからハイレベルになって、各リセット解除タイミングから時間期間Ton2が経過したことを検出したとき、リセット信号の電圧レベルをローレベルからハイレベルにしてリセットタイミングを示すハイレベルのリセット信号RSTをスイッチ素子SW5に出力して、スイッチ素子SW5をオフからオンに切り替える。さらに、ラッチ回路57は、コンパレータ56からの出力信号TFの電圧レベルがローレベルであり、かつスイッチ素子SW2がオフされて所定の信号PSETの電圧レベルがローレベルからハイレベルになるときに、リセット信号RSTの電圧レベルをハイレベルからローレベルにして、リセット解除タイミングを表すローレベルのリセット信号RST(リセット解除信号)をスイッチ素子SW5に出力して、スイッチ素子SW5をオンからオフに切り替える。またさらに、ラッチ回路57は、スイッチ素子SW2がオフされて所定の信号PSETの電圧レベルがハイレベルであり、かつコンパレータ56からの出力信号TFの電圧レベルがハイレベルからローレベルになるときに、リセット信号RSTの電圧レベルをハイレベルからローレベルにして、リセット解除タイミングを表すローレベルのリセット信号RST(リセット解除信号)をスイッチ素子SW5に出力して、スイッチ素子SW5をオンからオフに切り替える。
【0062】
図1において、スイッチ素子SW1は入力端子TIと出力端子LXとの間に接続され、スイッチ素子SW2は出力端子LXと接地との間に接続される。出力端子LXからの出力電圧は、インダクタンスLを有するインダクタ12と、容量Coutを有する出力コンデンサ14とを備えて構成される高周波除去及び平滑用ローパスフィルタを介して、例えばCPUである負荷回路10に出力される。なお、抵抗13は出力コンデンサ14の直列等価寄生抵抗であって、抵抗値Resrを有する。上述したローパスフィルタからの出力電圧VOUTは、フィードバック端子TFを介してスイッチングレギュレータ1に入力され、分圧回路7により分圧される。そして、出力電圧VOUTに比例する分圧後のフィードバック電圧VFは、コンパレータ6の反転入力端子に出力される。コンパレータ6は、フィードバック電圧VFを、電圧源11から非反転入力端子に入力される所定の基準電圧VREFと比較し、フィードバック電圧VFが基準電圧VREFより大きいときはローレベルのスイッチング時間制御信号CMPOをRSフリップフロップ22のセット端子Sに出力する一方、フィードバック電圧VFが基準電圧VREFより小さいときはハイレベルのスイッチング時間制御信号CMPOをRSフリップフロップ22のセット端子Sに出力する。ここで、コンパレータ6からのスイッチング時間制御信号CMPOは、スイッチ素子SW2のオン期間の終了タイミングを示す。
【0063】
また、図2を参照して詳細後述するように、スイッチング時間制御回路3は、スイッチ素子SW1のオン期間の終了タイミングを示すスイッチング時間制御信号TONを発生して、RSフリップフロップ22のリセット端子Rに出力する。さらに、RSフリップフロップ22からの出力信号PSETは、制御信号発生回路23に出力される。制御信号発生回路23は、出力信号PSETの立ち下がりタイミングでスイッチ素子SW1のオン期間を終了し、出力信号PSETの立ち上がりタイミングでスイッチ素子SW2のオン期間を終了し、かつスイッチ素子SW1とSW2とが相補的にオンするように、スイッチ素子SW1をオンオフ制御するためのスイッチ素子制御信号PDRVと、スイッチ素子SW2をオンオフ制御するためのスイッチ素子制御信号NDRVとを発生して、スイッチ素子SW1及びSW2の各ゲートにそれぞれ出力する。さらに、制御信号発生回路23は、スイッチ素子制御信号PDRV及びNDRVを、オンデューティ検出回路4のスイッチ素子SW3及びSW4(図2参照。)の各ゲートに出力する。
【0064】
なお、本実施形態及び以下の各実施形態において、スイッチ素子SW1はローレベルのスイッチ素子制御信号PDRVに応答してオンする一方、ハイレベルのスイッチ素子制御信号PDRVに応答してオフする。また、スイッチ素子SW2はハイレベルのスイッチ素子制御信号NDRVに応答してオンする一方、ローレベルのスイッチ素子制御信号NDRVに応答してオフする。さらに、スイッチ素子制御信号PDRV及びNDRVは、スイッチ素子SW1がオフするタイミングにおいてスイッチ素子SW2がオンし、かつスイッチ素子SW2がオフするタイミングにおいてスイッチ素子SW1がオンするように発生される(図3参照。)。
【0065】
図1において、フィードバック電圧VFが基準電圧VREFよりも小さくなると、コンパレータ6からのスイッチング時間制御信号CMPOの電圧レベルはハイレベルになる。これに応答して、RSフリップフロップ22はセットされ、RSフリップフロップ22の出力信号PSETの電圧レベルはハイレベルになる。そして、制御信号発生回路23は、スイッチ素子SW1をオンしかつスイッチ素子SW2をオフするように、スイッチ素子制御信号PDRV及びNDRVを発生する。これに応答して、スイッチ素子SW1はオンする一方、スイッチ素子SW2はオフし、入力電圧VINと出力電圧VOUTとの電圧差によりインダクタ12にエネルギーが蓄積される。これに伴って、インダクタ12のインダクタ電流が増加し、出力コンデンサ14とその直列等価寄生抵抗13とによって、出力電圧VOUTが上昇する。
【0066】
次に、詳細後述するようにスイッチング時間制御信号TONの電圧レベルがローレベルからハイレベルに切り替わると、これに応答して、RSフリップフロップ22はリセットされ、RSフリップフロップ22からの出力信号PSETの電圧レベルはローレベルになる。そして、制御信号発生回路23は、スイッチ素子SW1をオフしかつスイッチ素子SW2をオンするように、スイッチ素子制御信号PDRV及びNDRVを発生する。これに応答して、スイッチ素子SW1はオフする一方、スイッチ素子SW2はオンし、接地電圧と出力電圧VOUTとの電圧差によりインダクタ12のエネルギーは放出される。これに伴って、インダクタ12のインダクタ電流が減少し、出力コンデンサ14とその直列等価寄生抵抗13とによって、出力電圧VOUTが低下する。
【0067】
図2のオンデューティ検出回路4において、スイッチ素子SW3は基準電圧源44と接続点C1との間に接続され、スイッチ素子SW4は接続点C1と接地との間に接続される。また、積分抵抗42は接続点C1に接続された一端を有し、コンデンサ43は積分抵抗42の他端と接地との間に接続される。さらに、接続点C1の電圧(コンデンサ43の両端電圧である。)は、検出電圧Von1としてコンパレータ53の反転入力端子に出力される。ここで、積分抵抗42とコンデンサ43とは積分回路を構成する。図2において、スイッチ素子制御信号PDRV及びNDRVは、それぞれスイッチ素子SW3及びSW4の各ゲートに出力される。これに応答して、スイッチ素子SW3はスイッチ素子SW1と連動し、スイッチ素子SW1のオン期間にオンする。また、スイッチ素子SW4はスイッチ素子SW2と連動し、スイッチ素子SW2のオン期間にオンする。
【0068】
図2において、スイッチ素子SW1がオンしかつスイッチ素子SW2がオフしているとき、スイッチ素子SW3はオンしかつスイッチ素子SW4はオフする。このため、基準電圧源44はスイッチ素子SW3を介して積分抵抗42に接続され、コンデンサ43は基準電圧VRT1によりスイッチ素子SW3及び積分抵抗42を介して充電される。一方、スイッチ素子SW1がオフしかつスイッチ素子SW2がオンしているとき、スイッチ素子SW3はオフしかつスイッチ素子SW4はオンする。このため、積分抵抗42の一端はスイッチ素子SW4を介して接地され、コンデンサ43は積分抵抗42及びスイッチ素子SW4を介して接地電位に放電される。
【0069】
図2において、スイッチ素子SW3がオンしかつスイッチ素子SW4がオフしている期間(すなわち、スイッチ素子SW1がオンしている期間である。)においてコンデンサ43に充電される電荷Qchgは、スイッチ素子SW1がオンしている期間の期間長(以下、スイッチ素子SW1のオン時間という。)ton1と、積分抵抗42とコンデンサ43との間の接続点の電圧V(t)(tは時間である。)とを用いて、次式で表される。
【0070】
【数6】

【0071】
また、スイッチ素子SW3がオフしかつスイッチ素子SW4がオンしている期間(すなわち、スイッチ素子SW2がオンしている期間である。)においてコンデンサ43に充電される電荷Qdchgは、スイッチ素子SW2がオンしている期間の期間長(以下、スイッチ素子SW2のオン時間という。)ton2を用いて、次式で表される。
【0072】
【数7】

【0073】
このとき、スイッチ素子SW3とSW4とがオンとオフを繰り返して、時間Te(≫Ri×Ci)が経過すると、電圧V(t)は一定の電圧Von1に収束する。このため、V(t)≒Von1と近似でき、式(7)及び式(8)を以下のように変形できる。
【0074】
【数8】

【0075】
【数9】

【0076】
さらに、時間Te(≫Ri×Ci)が経過すると、Qchg=Qdchgとなるため、式(9)及び式(10)により、オンデューティ検出回路4からの出力電圧Von1は次式で表される。
【0077】
【数10】

【0078】
すなわち、オンデューティ検出回路4は、スイッチ素子SW1のオンデューティ(ton1/(ton1+ton2))に比例する検出電圧Von1を発生して、コンパレータ53の反転入力端子に出力する。
【0079】
また、図2のスイッチング時間制御信号発生回路501において、基準電流源51は入力端子TIに接続された一端を有し、コンデンサ52は基準電流源51と接地との間に接続される。また、スイッチ素子SW5はコンデンサ52に並列に接続される。さらに、基準電流源51とコンデンサ52との間の接続点の電圧VC(すなわち、コンデンサ52の両端電圧である。)はコンパレータ53の非反転入力端子及びコンパレータ56の非反転入力端子に出力される。コンパレータ53からの出力信号は、アンドゲート59の第1の入力端子に出力されるとともに、インバータ58により反転及び遅延されてアンドゲート59の第2の入力端子に出力される。そして、アンドゲート59はスイッチング時間制御信号TONを発生してRSフリップフロップ22のリセット端子Rに出力する。
【0080】
図2において、スイッチ素子SW5は、ラッチ回路57からのローレベルのリセット信号RST(リセット解除タイミングを表すリセット解除信号であり、詳細後述する。)に応答してオフする。スイッチ素子SW5がオフすると、コンデンサ52は基準電流Icで充電される。また、スイッチ素子SW5はハイレベルのリセット信号RST(リセット信号)に応答してオンする。スイッチ素子SW5がオンすると、コンデンサ52に充電された電荷は全て接地電位に放電される。さらに、コンパレータ53は、コンデンサ52の両端電圧VCを検出電圧Von1と比較し、両端電圧VCが検出電圧Von1より大きいときはハイレベルの出力信号を発生する一方、両端電圧VCが検出電圧Von1より小さいときはローレベルの出力信号を発生する。従って、コンパレータ回路530は、両端電圧VCが検出電圧Von1より小さいときはローレベルのスイッチング時間制御信号TONを発生する。また、コンパレータ回路530は、両端電圧VCが検出電圧Von1を超えたタイミングにおいて、インバータ58の遅延時間と等しいパルス幅を有するハイレベルのパルス信号であるスイッチング時間制御信号TONを発生する。ここで、パルス信号であるスイッチング時間制御信号TONは、スイッチ素子SW1のオン期間の終了タイミングを示す。
【0081】
また、図2のリセット回路502において、コンパレータ56は両端電圧VCを基準電圧VRT2と比較し、両端電圧VCが基準電圧VRT2より大きいときはハイレベルの出力信号TFを発生する一方、両端電圧VCが基準電圧VRT2より小さいときはローレベルの出力信号TFを発生する。さらに、出力信号TFはノアゲート571の第1の入力端子に出力される。また、RSフリップフロップ22からの出力信号PSETは、ノアゲート572の第1の入力端子に出力される。ノアゲート571からの出力信号は、ノアゲート572の第2の入力端子に出力されるとともに、インバータ573を介してリセット信号RSTとしてスイッチ素子SW5のゲートに出力される。また、ノアゲート572からの出力信号はノアゲート571の第2の入力端子に出力される。
【0082】
従って、ラッチ回路57は、コンパレータ56からの出力信号TF及びRSフリップフロップ22からの出力信号PSETに基づいて、以下のようにリセット信号RSTを発生する。
【0083】
図2において、コンデンサ52が基準電流Icで充電され、その両端電圧VCが基準電圧VRT2より大きくなると、コンパレータ56からの出力信号TFの電圧レベルがローレベルからハイレベルに切り替わり、これに応答して、ラッチ回路57は、リセット信号RSTの電圧レベルをハイレベルにして、リセットタイミングを表すリセット信号RSTを発生する(図3のリセットタイミングt13、t23、t25、t27、t29及びt31参照。)。これに応答して、スイッチ素子SW5がオンし、コンデンサ52は接地電位まで放電される。すると、電圧VCが基準電圧VRT2より小さくなり、出力信号TFの電圧レベルはハイレベルからローレベルに切り替わる。出力信号TFの電圧レベルがハイレベルからローレベルに切り替わったときに、RSフリップフロップ22からの出力信号PSETの電圧レベルがハイレベルの場合(すなわち、スイッチ素子SW2がオフしているとき。)は、出力信号TFの電圧レベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことに応答して、リセット信号RSTの電圧レベルはローレベルになる(すなわち、リセット解除タイミングを表すリセット解除信号であるローレベルのリセット信号RSTが発生される。)。これに応答して、スイッチ素子SW5がオフし、再びコンデンサ52の充電が開始される(図3のリセット解除タイミングt24、t26及びt28参照。)。一方、出力信号TFの電圧レベルがハイレベルからローレベルに切り替わったときにRSフリップフロップ22からの出力信号PSETの電圧レベルがローレベルの場合は、出力信号PSETの電圧レベルがローレベルからハイレベルに切り替わったとき(すなわち、スイッチ素子SW2がオフしたとき。)、スイッチ素子SW2がオフされたことに応答して、リセット信号RSTの電圧レベルがローレベルになり、これに応答してスイッチ素子SW5がオフし、再びコンデンサ52の充電が開始される(図3のリセット解除タイミングt11、t14、t28及びt30参照。)。
【0084】
次に、本実施形態に係るスイッチングレギュレータ1のスイッチング周波数fswを説明する。図2において、パルス信号であるスイッチング時間制御信号TONが発生され、これに応答してスイッチ素子SW1がオンからオフに切り替わるタイミングにおいて、コンデンサ52の両端電圧VCは、スイッチ素子SW1のオン時間ton1を用いて次式で表される。
【0085】
【数11】

【0086】
従って、スイッチ素子SW1がオンからオフに切り替わるタイミングにおいて、式(11)及び式(12)から次式が成り立つ。
【0087】
【数12】

【0088】
従って、次式が得られる。
【0089】
【数13】

【0090】
従って、スイッチング周波数fswは次式で表される。
【0091】
【数14】

【0092】
式(14)において、スイッチング周波数fswはオンデューティ検出回路4及びスイッチング時間制御信号発生回路501を構成する各素子の素子値で決まる定数である。従って、本実施形態によれば、スイッチング周波数fswは、入力電圧VIN、出力電圧VOUT、及び出力電流Ioutに依存しない定数になる。
【0093】
次に、基準電圧VRT1及びVRT2の設定方法を説明する。基準電圧VRT1及びVRT2は、VRT1≦VRT2となるように設定される。一方、式(11)より、Von1<VRT1であるので、Von1<VRT2となる。従って、コンパレータ53からの出力信号の電圧レベルがローレベルである間は、コンパレータ56からの出力信号TFの電圧レベルも必ずローレベルになる。すなわち、スイッチ素子SW5がオンからオフに切替わってコンデンサ52の充電が開始してから、コンパレータ53からの出力信号の電圧レベルがローレベルからハイレベルになるまでの時間期間Ton1は、スイッチ素子SW5がオンからオフに切替わってコンデンサ52の充電が開始してから、コンパレータ56からの出力信号TFの電圧レベルがローレベルからハイレベルになるまでの時間期間Ton2未満になる(Ton1<Ton2。図3参照。)。
【0094】
ここで、時間期間Ton2は次式で表される。
【0095】
【数15】

【0096】
従って、式(13)及び式(15)より、次式が得られる。
【0097】
【数16】

【0098】
さらに、VRT1=VRT2となるように基準電圧VRT1及びVRT2を設定すると、上式は以下のように変形される。
【0099】
【数17】

【0100】
従って、基準電圧VRT1及びVRT2を互いに等しい値に設定すると、時間期間Ton2はスイッチング周期(1/fsw)と一致する。
【0101】
図3は、タイミングt21において出力電流IOUTがI1からI2(I1<I2)に急峻に増加したときのスイッチングレギュレータ1の動作を示すタイミングチャートである。図3において、基準電圧VRT1及びVRT2は同一の基準電圧VRTに設定されている。図3に示すように、コンデンサ52の充電開始タイミングであるリセット解除タイミングt11及びt21から、検出電圧Von1に対応する時間期間Ton1が経過したとき(例えば、タイミングt12。)に、パルス信号であるスイッチング時間制御信号TONが発生されている。また、ラッチ回路57は、コンパレータ56からの出力信号TFに基づいて、リセット解除タイミングt11から時間期間Ton1より長い時間期間Ton2が経過したことを検出したとき、スイッチ素子SW5をオフからオンに切り換えるタイミングを表すハイレベルのリセット信号RSTを発生する(タイミングt13及びt23)。さらに、ラッチ回路57は、リセット解除タイミングt11から、時間期間Ton1より長い時間期間Ton2が経過し(タイミングt13及びt23)、かつRSフリップフロップ22からの出力信号PSETの立ち上がりタイミングに基づいて、スイッチ素子SW2がオフされたことを検出したとき、当該検出したタイミングt14において、リセット解除タイミングt11(第1のリセット解除タイミング)の次のリセット解除タイミングt13(第2のリセット解除タイミング)を表すローレベルのリセット信号RST(リセット解除信号)を発生している。
【0102】
図3において、リセット解除タイミングt21において出力電流IOUTがI1からI2に増加すると、スイッチ素子SW1のオン時間ton1とスイッチ素子SW2のオン時間ton2との比率が変化するが、式(11)に従って検出電圧Von1が増加してオン時間ton1が増加するため、出力電流IOUTがI1であるときのスイッチング周期tsw1と、出力電流IOUTがI2であるときのスイッチング周期tsw2は等しくなり、スイッチング周波数fswが変化しない。さらに、図3からわかるように、出力電流IOUTがI1からI2に増加しても、出力電圧VOUTの時間平均値VOUTaは変化しない。また、式(14)により確認されたように、入力電圧VIN及び出力電流IOUTが変化してもスイッチング周波数fswと出力電圧VOUTの時間平均値VOUTaが変化しないことがわかる。
【0103】
図3において、リセット解除タイミングt21において出力電流IOUTが急峻に増加し、これに伴って出力電圧VOUTが低下する。その後、検出電圧Von1に対応する時間期間Ton1が経過したときに、パルス信号であるスイッチング時間制御信号TONが発生されている。そして、これに応答してスイッチ素子SW1がオフされ、スイッチ素子SW1のオン時間ton1が決まる。さらに、スイッチ素子SW1がオフされた後、スイッチ素子SW2がオンされる。ここで、リセット解除タイミングt21における出力電流IOUTの急峻な増加に伴って出力電圧VOUTが低下するので、両端電圧VCが基準電圧VRTに到達する前のタイミングt22において、フィードバック電圧VFが基準電圧VREFを下回り、コンパレータ6からのスイッチング時間制御信号CMPOの電圧レベルはハイレベルになり、これに応答してスイッチ素子SW2はオフされ、スイッチ素子SW1は再びオンされる(タイミングt22)。
【0104】
さらに、リセット解除タイミングt21から時間期間Ton2が経過したタイミングt23において、両端電圧VCが基準電圧VRT2に到達してコンパレータ56からの出力電圧TFの電圧レベルがローレベルからハイレベルに切り替わる。これに応答してハイレベルのリセット信号RSTが発生される(タイミングt23)。ハイレベルのリセット信号RSTに応答してスイッチ素子SW5がオンしてコンデンサ52は接地電位まで放電される。その後、コンパレータ56からの出力信号TFの電圧レベルがハイレベルからローレベルに切り替わる(タイミングt24)。このとき、RSフリップフロップ22からの出力信号PSETの電圧レベルはハイレベルであるので、スイッチ素子SW1はオンを継続する一方、タイミングt24においてローレベルのリセット信号RST(リセット解除信号)が発生され、これに応答して再びスイッチ素子SW5がオフしてコンデンサ52の充電が再開される。さらに、タイミングt24から検出電圧Von1に対応する時間期間tonaが経過して両端電圧VCが検出電圧Von1を超えると、これに応答してハイレベルのパルス形状のスイッチング時間制御信号TONが発生され、スイッチ素子SW1がオフし、スイッチ素子SW2がオンする。ここで、スイッチ素子SW2がオフしたタイミングt22からタイミングt24までの時間期間を時間期間textと定義する。
【0105】
以上説明したように、ラッチ回路57は、リセット解除タイミングt21から検出電圧Von1に対応する時間期間Ton1が経過したときにスイッチング時間制御信号TONを発生し、リセット解除タイミングt21から時間期間Tonが経過する前のタイミングt22(RSフリップフロップ22からの出力信号PSETの立ち上がりタイミングである。)にスイッチ素子SW2がオフされたことを検出したとき、リセット信号(ハイレベルのリセット信号RST)を発生せず、これによりスイッチ素子SW1をオンする(タイミングt22)。その後、リセット解除タイミングt21から時間期間Ton2が経過したときにリセット解除タイミングt21の次のリセットタイミングt23を表すハイレベルのリセット信号RSTを発生する。
【0106】
従って、図3に示すように、リセット解除タイミングt21において出力電流IOUTが急峻に変化すると、スイッチ素子SW1のオン時間ton1が定常状態におけるオン時間ton1から、オン時間(text+tona)に増えるので、出力電圧VOUTの時間平均値VOUTaの低下を抑えることができる。以上説明したように、本実施形態によれば、チップサイズ及び消費電流を従来技術に比較して増加させることなく、入力電圧VIN及び出力電流IOUTが変化してもスイッチング周波数fswと出力電圧VOUTの時間平均値VOUTaを一定に保ち、CPUなどの負荷回路10に高精度な電圧を供給できる。特に、出力電流IOUTが急峻に変化した場合でも、スイッチング周波数fswと出力電圧VOUTの時間平均値VOUTaを一定に保つことができる。
【0107】
第2の実施形態.
図4は、本発明の第2の実施形態に係るスイッチング時間制御回路3Aの構成を示す回路図である。本実施形態に係るスイッチング時間制御回路3Aは、第1の実施形態に係るスイッチング時間制御回路3に比較して、オンデューティ検出回路4に代えてオンデューティ検出回路4Aを備えたことを特徴としている。
【0108】
詳細後述するように、オンデューティ検出回路4Aは、基準電圧VRT1を発生する基準電圧源44と、基準電圧源44に接続された一端を有し、スイッチ素子SW1と連動してオンオフするように制御されるスイッチ素子SW3と、スイッチ素子SW3の他端に接続され、充電電流Icpを出力する充電用の基準電流源47と、接地された一端を有しスイッチ素子SW2と連動してオンオフするように制御されるスイッチ素子SW4と、スイッチ素子SW4の他端に接続され、所定の放電電流Icnを出力する放電用の基準電流源48と、基準電流源47と基準電流源48との間の接続点C2と接地との間に接続されたコンデンサ43とを備え、オンデューティ検出回路4Aは、コンデンサ43の両端電圧を検出電圧Von1として出力したことを特徴としている。
【0109】
図4において、オンデューティ検出回路4Aは、スイッチ素子SW3及びSW4と、所定の基準電圧VRT1を出力する基準電圧源44と、容量Ciを有するコンデンサ43と、所定の充電電流Icpを出力する基準電流源47と、所定の放電電流Icnを出力する基準電流源48とを備えて構成される。スイッチ素子SW3と、基準電流源47と、基準電流源48と、スイッチ素子SW4とは、基準電圧源44と接地電圧との間に直列に接続され、基準電流源47と48との間の接続点C2はコンデンサ43を介して接地される。また、コンデンサ43の両端電圧は、検出電圧Von1としてコンパレータ53の反転入力端子に出力される。図4において、第1の実施形態と同様に、制御信号発生回路23からのスイッチ素子制御信号PDRV及びNDRVはそれぞれ、スイッチ素子SW3及びSW4の各ゲートに出力される。これに応答して、スイッチ素子SW3はスイッチ素子SW1と連動し、スイッチ素子SW1のオン期間にオンする。また、スイッチ素子SW4はスイッチ素子SW2と連動し、スイッチ素子SW2のオン期間にオンする。
【0110】
図4において、スイッチ素子SW1がオンしかつスイッチ素子SW2がオフしているとき、RSフリップフロップ22からの出力信号PSETの電圧レベルはハイレベルであるので、スイッチ素子SW3はオンしかつスイッチ素子SW4はオフする。このため、基準電圧源44はスイッチ素子SW3を介して基準電流源47に接続され、コンデンサ43は充電電流Icpで充電される。一方、スイッチ素子SW1がオフしかつスイッチ素子SW2がオンしているとき、RSフリップフロップ22からの出力信号PSETの電圧レベルはローレベルであるので、スイッチ素子SW3はオフしかつスイッチ素子SW4はオンする。このため、コンデンサ43の一端は基準電流源48及びスイッチ素子SW4を介して接地され、コンデンサ43は放電電流Icnで接地電位に放電される。
【0111】
スイッチ素子SW3とSW4とがオンとオフを繰り返して、時間Te(≫Ri×Ci)が経過すると、第1の実施の形態と同様に、スイッチ素子SW1のオンデューティ(ton1/(ton1+ton2))に比例する検出電圧Von1(式(11)参照。)が発生される。
【0112】
一般に、スイッチングレギュレータは回路を駆動するための基準電流源を備えているので、この基準電流源を基準電流源47及び48として利用できる。このため、本実施形態に係るオンデューティ検出回路4Aは、第1の実施形態に係るオンデューティ検出回路4に比較して、より小さな面積で実現できる。さらに、スイッチ素子SW3がオンしたときの充電電流Icpと、スイッチ素子SW4がオンしたときの放電電流Icnとをそれぞれ別個に設定することで、検出電圧Von1のレベルを任意に設定できる。このため、検出電圧Von1のレベルを小さく設定するほど、コンパレータ53への入力電圧を小さくできるので、第1の実施形態に比較して、小さい面積及び低消費電流のコンパレータ53を用いることができる。
【0113】
第3の実施形態.
図5は、本発明の第3の実施形態に係るスイッチング時間制御回路3Bの構成を示す回路図である。本実施形態に係るスイッチング時間制御回路3Bは、第1の実施形態に係るスイッチング時間制御回路3に比較して、オンデューティ検出回路4に代えてオンデューティ検出回路4Bを備えたことを特徴としている。また、オンデューティ検出回路4Bは、オンデューティ検出回路4に比較して、基準電圧VRT1を分圧してスイッチ素子SW3に出力するための分圧回路49をさらに備えたことを特徴としている。ここで、分圧回路49は、基準電圧源44と接地との間に直列に接続された抵抗491及び492を備えて構成される。従って、図5において、コンデンサ43は、分圧後の基準電圧VRT1により充電されるので、オンデューティ検出回路4Bから出力される検出電圧Von1は、抵抗491の抵抗値Rv1と、抵抗492の抵抗値Rv2とを用いて、次式で表される。
【0114】
【数18】

【0115】
例えば、基準電圧VRT1としてバンドギャップリファレンス回路からの出力電圧を用いた場合、基準電圧VRT1は1.26Vである。本実施形態によれば、抵抗491及び492を用いて基準電圧VRT1を分圧するので、第1の実施形態に比較して検出電圧Von1の最大値は小さくなる。このため、コンパレータ53の入力電圧範囲が小さくなり、第1の実施形態に比較して消費電流及び回路面積を小さくできる。また、第1の実施形態に比較してより低い入力電圧VINでも動作できる。
【0116】
なお、図5の分圧回路49を図4のオンデューティ検出回路4Aに設けてもよい。
【0117】
また、上記各実施形態において、制御信号発生回路23は、スイッチ素子制御信号PDRV及びNDRVを、スイッチ素子SW1がオフするタイミングにおいてスイッチ素子SW2をオンし、かつスイッチ素子SW2がオフするタイミングにおいてスイッチ素子SW1をオンするように発生したが、本発明はこれに限られない。制御信号発生回路23は、スイッチ素子制御信号PDRV及びNDRVを、スイッチ素子SW1のオン期間の終了後、所定のマージン期間だけスイッチ素子SW1及びSW2をオフした後、スイッチ素子SW2をオンし、スイッチ素子SW2のオン期間の終了後、所定のマージン期間だけスイッチ素子SW1及びSW2をオフした後、スイッチ素子SW1をオンするように発生してもよい。
【符号の説明】
【0118】
1…スイッチングレギュレータ、
2…スイッチ素子制御回路、
3,3A,3B…スイッチング時間制御回路、
4,4A,4B…オンデューティ検出回路、
5…オン期間制御回路、
6…コンパレータ、
7…分圧回路、
8,9…抵抗、
10…負荷回路、
11…電圧源、
12…インダクタ、
13…抵抗、
14…コンデンサ、
22…RSフリップフロップ、
23…制御信号発生回路、
42…積分抵抗、
43…コンデンサ、
44…基準電圧源、
47,48…基準電流源、
49…分圧回路、
51…基準電流源、
52…コンデンサ、
55…基準電圧源、
53,56…コンパレータ、
57…ラッチ回路、
58…インバータ、
59…アンドゲート、
100…電子機器、
491,492…抵抗、
501…スイッチング時間制御信号発生回路、
502…リセット回路、
530…コンパレータ回路、
SW1,SW2,SW3,SW4,SW5…スイッチ素子。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開2010−200450号公報
【特許文献2】特開2010−226930号公報
【特許文献3】特開2007−159316号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子を介して入力された入力電圧を所定の出力電圧に変換し、出力端子を介して出力するスイッチングレギュレータにおいて、
上記入力端子と上記出力端子との間に接続された第1のスイッチ素子と、
上記出力端子と接地との間に接続された第2のスイッチ素子と、
上記第1のスイッチ素子のオン時間と上記第2のスイッチ素子のオン時間との和に対する上記第1のスイッチ素子のオン時間の比に対応する第1の時間期間が経過したときに、上記第1のスイッチ素子のオン期間の終了タイミングを示す第1のスイッチング時間制御信号を発生して出力するスイッチング時間制御回路と、
上記出力電圧に対応するフィードバック電圧を所定の第1の基準電圧と比較し、上記フィードバック電圧が上記第1の基準電圧より小さいとき、上記第2のスイッチ素子のオン期間の終了タイミングを示す第2のスイッチング時間制御信号を発生して出力する第1のコンパレータと、
上記第1のスイッチング時間制御信号に応答して上記第1のスイッチ素子をオフして上記第2のスイッチ素子をオンし、上記第2のスイッチング時間制御信号に応答して上記第2のスイッチ素子をオフして上記第1のスイッチ素子をオンするスイッチ素子制御回路とを備え、
上記第1の時間期間と、上記第1の時間期間より長い所定の第2の時間期間とは、それぞれリセット解除タイミングを起点として開始し、
上記スイッチング時間制御回路は、上記リセット解除タイミングから上記第2の時間期間が経過したときにリセット信号を発生することを特徴とするスイッチングレギュレータ。
【請求項2】
上記スイッチング時間制御回路は、上記リセット信号を発生しているときに上記第2のスイッチ素子がオフされたことを検出したとき、リセット解除タイミングを表すリセット解除信号を発生し、これにより上記第1のスイッチ素子をオンすることを特徴とする請求項1記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項3】
上記スイッチング時間制御回路は、上記リセット解除タイミングから上記第2の時間期間が経過する前に上記第2のスイッチ素子がオフされことを検出したとき、上記リセット信号を発生せず、これにより上記第1のスイッチ素子をオンすることを特徴とする請求項1又は2記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項4】
上記スイッチング時間制御回路は、
上記比を表す検出電圧を出力するオンデューティ検出回路と、
上記検出電圧及び上記リセット信号に基づいて上記第1のスイッチング時間制御信号を発生するスイッチング時間制御信号発生回路と、
上記リセット信号及び上記リセット解除信号を発生するリセット回路とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか1つに記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項5】
上記オンデューティ検出回路は、
所定の第2の基準電圧を発生する第1の基準電圧源と、
上記第1の基準電圧源に接続された一端を有し、上記第1のスイッチ素子と連動してオンオフするように制御される第3のスイッチ素子と、
上記第3のスイッチ素子の他端と接地との間に接続され、上記第2のスイッチ素子と連動してオンオフするように制御される第4のスイッチ素子と、
上記第3のスイッチ素子と上記第4のスイッチ素子との間の接続点に接続された一端を有する積分用抵抗素子と、
上記積分用抵抗素子の他端と接地との間に接続された第1の容量素子とを備え、
上記オンデューティ検出回路は、上記第1の容量素子の両端電圧を上記検出電圧として出力し、
上記スイッチング時間制御信号発生回路は、
所定の基準電流を出力する基準電流源と、
上記基準電流源と接地との間に接続された第2の容量素子と、
上記第2の容量素子に並列に接続され、上記リセット信号の電圧レベルがハイレベルからローレベルになる上記各リセット解除タイミングにおいてオンからオフに切り換えられるとともに、上記リセット信号の電圧レベルがローレベルからハイレベルになる上記各リセットタイミングにおいてオフからオンに切り換えられる第5のスイッチ素子と、
上記検出電圧を上記第2の容量素子の両端電圧と比較し、上記第2の容量素子の両端電圧が上記検出電圧を超えたとき、上記第1のスイッチング時間制御信号を発生するコンパレータ回路とを備えたことを特徴とする請求項4記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項6】
上記オンデューティ検出回路は、
所定の第2の基準電圧を発生する第1の基準電圧源と、
上記第1の基準電圧源に接続された一端を有し、上記第1のスイッチ素子と連動してオンオフするように制御される第3のスイッチ素子と、
上記第3のスイッチ素子の他端に接続され、所定の充電電流を出力する充電用基準電流源と、
接地された一端を有し、上記第2のスイッチ素子と連動してオンオフするように制御される第4のスイッチ素子と、
上記第4のスイッチ素子の他端に接続され、所定の放電電流を出力する放電用基準電流源と、
上記充電用基準電流源と上記放電用基準電流源との間の接続点と接地との間に接続された第1の容量素子とを備え、
上記オンデューティ検出回路は、上記第1の容量素子の両端電圧を上記検出電圧として出力し、
上記スイッチング時間制御信号発生回路は、
所定の基準電流を出力する基準電流源と、
上記基準電流源と接地との間に接続された第2の容量素子と、
上記第2の容量素子に並列に接続され、上記リセット信号の電圧レベルがハイレベルからローレベルになる上記各リセット解除タイミングにおいてオンからオフに切り換えられるとともに、上記リセット信号の電圧レベルがローレベルからハイレベルになる上記各リセットタイミングにおいてオフからオンに切り換えられる第5のスイッチ素子と、
上記検出電圧を上記第2の容量素子の両端電圧と比較し、上記第2の容量素子の両端電圧が上記検出電圧を超えたとき、上記第1のスイッチング時間制御信号を発生するコンパレータ回路とを備えたことを特徴とする請求項4記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項7】
上記オンデューティ検出回路は、
上記第1の基準電圧源と上記第3のスイッチ素子の一端との間に接続され、上記第2の基準電圧を分圧する第1の分圧回路をさらに備えたことを特徴とする請求項5又は6記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項8】
上記リセット回路は、
上記第2の基準電圧以上の所定の第3の基準電圧を発生する第2の基準電圧源と、
上記スイッチング時間制御信号発生回路の第2の容量素子の両端電圧を上記第3の基準電圧と比較し、当該比較結果を表す出力信号を発生する第2のコンパレータと、
上記第2のコンパレータからの出力信号に基づいて、上記リセット解除タイミングから上記第2の時間期間が経過したことを検出したときに上記リセットタイミングを表すリセット信号を発生し、上記スイッチ素子制御回路からの上記第2のスイッチ素子がオフされたタイミングを表す所定の信号に基づいて、上記第2のスイッチ素子がオフされたこと又はオフされていることを検出して、上記リセット解除タイミングを表すリセット解除信号を発生するラッチ回路とを備えたことを特徴とする請求項5乃至7のうちのいずれか1つに記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項9】
上記第2のコンパレータは、上記スイッチング時間制御信号発生回路の第2の容量素子の両端電圧が上記第3の基準電圧より大きいときはハイレベルの出力信号を発生する一方、上記両端電圧が上記第3の基準電圧より小さいときはローレベルの出力信号を発生し、
上記ラッチ回路は、上記スイッチ素子制御回路からの所定の信号の状態にかかわらず、上記第2のコンパレータからの出力信号の電圧レベルがローレベルからハイレベルになって、上記各リセット解除タイミングから上記第2の時間期間が経過したことを検出したとき、上記リセット信号の電圧レベルをローレベルからハイレベルにして上記リセットタイミングを示すリセット信号を上記第5のスイッチ素子に出力して、上記第5のスイッチ素子をオフからオンに切り替えることを特徴とする請求項8記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項10】
上記ラッチ回路は、
上記第2のコンパレータからの出力信号の電圧レベルがローレベルであり、かつ上記第2のスイッチ素子がオフされて上記所定の信号の電圧レベルがローレベルからハイレベルになるときに、上記リセット信号の電圧レベルをハイレベルからローレベルにして、上記リセット解除タイミングを表すリセット解除信号を上記第5のスイッチ素子に出力して、上記第5のスイッチ素子をオンからオフに切り替えることを特徴とする請求項8又は9記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項11】
上記ラッチ回路は、
上記第2のスイッチ素子がオフされて上記所定の信号の電圧レベルがハイレベルであり、かつ上記第2のコンパレータからの出力信号の電圧レベルがハイレベルからローレベルになるときに、上記リセット信号の電圧レベルをハイレベルからローレベルにして、上記リセット解除タイミングを表すリセット解除信号を上記第5のスイッチ素子に出力して、上記第5のスイッチ素子をオンからオフに切り替えることを特徴とする請求項8乃至10のうちのいずれか1つに記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項12】
上記出力電圧を分圧することにより上記フィードバック電圧を発生する第2の分圧回路をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至11のうちのいずれか1つに記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項13】
上記スイッチ素子制御回路は、上記出力電圧の時間平均値が実質的に一定になるように、上記第1及び第2のスイッチ素子をオンオフ制御することを特徴とする請求項1乃至12のうちのいずれか1つに記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項14】
請求項1乃至13のうちのいずれか1つに記載のスイッチングレギュレータを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項15】
ローパスフィルタをさらに備え、
上記スイッチングレギュレータの出力端子からの電圧は、上記ローパスフィルタを介して上記出力電圧として出力されることを特徴とする請求項14記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−94046(P2013−94046A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−201869(P2012−201869)
【出願日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】