説明

スイッチングレギュレータ

【課題】スイッチング周波数の高周波化を図ることができる電流モード制御方式のスイッチングレギュレータを得る。
【解決手段】演算増幅回路からなるセンスアンプ11は、反転入力端の電圧が入力電圧VinよりもオフセットVof分だけ小さくなるように動作するため、PMOSトランジスタM5がオフせずに、入力電圧Vinと接地電圧との間に直列に接続された抵抗R3、PMOSトランジスタM5及び抵抗R4にオフセットVofに応じた電流を流すようにし、このような状態からスイッチングトランジスタM1がオンし、電流センス回路4が電流検出を開始すると、すでにPMOSトランジスタM5がオンしているため、スイッチングトランジスタM1に流れる電流i1の立ち上がりに追従して電流センス回路4の出力電圧Viも上昇するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流モード制御方式のスイッチングレギュレータに関し、特に、スイッチング周波数の高周波化を実現することができるスイッチングレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電流モード制御方式のスイッチングレギュレータは、電圧モード制御方式よりも、出力電圧の変動に対する応答速度が速く、出力電圧と基準電圧との電圧差を増幅する誤差増幅回路の位相補償が容易になる等の利点から広く使用されるようになっている。
図3は、このような電流モード制御方式のスイッチングレギュレータの従来例を示した回路図であり、図3では、電流モード制御を実現するための電流センス回路の一例を示している(例えば、特許文献1参照。)。
図3で示すように、電流センス回路にセンスアンプを利用する方式はよく用いられ、図3ではセンスアンプ34と44が使用されており、スイッチング素子12に流れる正負の電流の検出を可能にしている。
しかし、特許文献1では、電流センス回路の応答速度の影響による出力波形の非線形領域については言及されておらず、その対策についても明記されていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、外付け部品の小型化を図る等の理由のために、スイッチングレギュレータにおけるスイッチング周波数の高周波化が進められている。高周波のスイッチング周波数でスイッチングレギュレータを動作させようとすると、低周波のときよりも短いオンパルス及びオフパルスが必要になる。このため、前記のような電流センス回路を使用した電流モード制御方式のスイッチングレギュレータでは、該電流センス回路の応答速度の影響が大きくなり、必要とするオンパルス及びオフパルスを出力することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、スイッチング周波数の高周波化を図ることができる電流モード制御方式のスイッチングレギュレータを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係るスイッチングレギュレータは、入力端子に入力された入力電圧を、所定の定電圧に変換して出力端子から出力電圧として出力するスイッチングレギュレータにおいて、
制御電極に入力された制御信号に応じてスイッチングを行うスイッチ素子と、
該スイッチ素子のスイッチングによって前記入力電圧による充電が行われるインダクタと、
前記スイッチ素子がオフして該インダクタへの充電が停止すると、該インダクタの放電を行う整流素子と、
前記出力電圧に比例した比例電圧と所定の基準電圧との電圧差を増幅して出力する誤差増幅回路部と、
前記スイッチ素子がオンして該スイッチ素子に電流が流れる状態になると、該スイッチ素子を流れる電流の検出を行う電流検出回路部と、
該電流検出回路部で検出された電流に応じた傾斜を有するスロープ電圧を生成して出力するスロープ電圧生成回路部と、
該スロープ電圧と前記誤差増幅回路部の出力電圧との電圧比較を行い、該比較結果に応じて前記スイッチ素子のスイッチング制御を行うスイッチング制御回路部と、
を有し、
前記電流検出回路部は、
前記スイッチ素子がオンすると前記スイッチ素子の電流出力端の電圧を出力し、前記スイッチ素子がオフすると前記入力電圧を出力する電圧切換回路部と、
対応する入力端に前記入力電圧と該電圧切換回路部の出力電圧が対応して入力される、差動入力に所定のオフセットが設けられた演算増幅回路を使用して、前記入力電圧と前記電圧切換回路部の出力電圧との電圧差に比例した比例電流を生成して出力する比例電流生成回路部と、
を備えるものである。
【0006】
具体的には、前記電流検出回路部は、前記比例電流を電圧に変換して出力する電流−電圧変換回路部を備え、
前記比例電流生成回路部は、
一端が前記入力電圧に接続された抵抗と、
電流入力端が該抵抗の他端に接続されると共に電流出力端が前記電流−電圧変換回路部に接続され、制御電極が前記演算増幅回路の出力端に接続されたトランジスタと、
を備え、
前記演算増幅回路は、一方の入力端に前記電圧切換回路部の出力電圧が入力され、他方の入力端が前記抵抗と前記トランジスタとの接続部に接続されるようにした。
【0007】
この場合、前記演算増幅回路は、前記電流−電圧変換回路部から出力された電圧が、前記スイッチ素子の電流出力端から出力された電流に比例した電圧になるように前記オフセットが設けられるようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスイッチングレギュレータによれば、電流モード制御方式のスイッチングレギュレータにおいてスイッチング周波数の高周波化を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるスイッチングレギュレータの回路例を示した図である。
【図2】図1の各部の波形例を示した図である。
【図3】電流モード制御方式のスイッチングレギュレータの従来例を示した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
第1の実施の形態.
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるスイッチングレギュレータの回路例を示した図である。
図1のスイッチングレギュレータ1は、入力端子INに入力された入力電圧Vinを所定の定電圧に降圧して出力電圧Voutとして出力端子OUTから出力する電流モード制御方式の降圧型スイッチングレギュレータをなしている。
【0011】
スイッチングレギュレータ1は、入力電圧Vinの出力制御を行うためのスイッチング動作を行うPMOSトランジスタからなるスイッチングトランジスタM1と、NMOSトランジスタからなる同期整流用トランジスタM2と、インダクタL1と、出力コンデンサC1と、出力電圧Voutを分圧して分圧電圧Vd1を生成し出力する出力電圧検出用の抵抗R1,R2とを備えている。また、スイッチングレギュレータ1は、所定の基準電圧Vrefを生成して出力する基準電圧発生回路2と、前記分圧電圧Vd1と基準電圧Vrefとの電圧差を増幅して誤差電圧Veを生成し出力する誤差増幅回路3と、スイッチングトランジスタM1に流れる電流を検出して電圧に変換し出力する電流センス回路4と、電流センス回路4の出力電圧に応じた傾斜を有するスロープ電圧Vcを生成して出力するスロープ電圧生成回路5とを備えている。
【0012】
また、スイッチングレギュレータ1は、スロープ電圧Vcと誤差電圧Veとの電圧比較を行って、誤差電圧Veに応じたパルス幅を有するPWM制御を行うためのパルス信号Spwを生成して出力するPWMコンパレータ6と、所定のクロック信号CLKを生成して出力する発振回路7と、クロック信号CLKでセットされ、PWMコンパレータ6からのパルス信号SpwでリセットされるRSフリップフロップ回路8と、RSフリップフロップ回路8の出力端Qから出力された信号から、スイッチングトランジスタM1のスイッチング制御を行うための制御信号PDと、同期整流用トランジスタM2のスイッチング制御を行うための制御信号NDとを生成して出力するドライバ回路9とを備えている。
また、電流センス回路4は、非反転入力端に負のオフセットVofを有する演算増幅回路からなるセンスアンプ11、インバータ回路12、PMOSトランジスタM3〜M5及び抵抗R3,R4で構成されている。
【0013】
なお、スイッチングトランジスタM1はスイッチ素子を、同期整流用トランジスタM2は整流素子を、基準電圧発生回路2、誤差増幅回路3及び抵抗R1,R2は誤差増幅回路部を、電流センス回路4は電流検出回路部を、スロープ電圧生成回路5はスロープ電圧生成回路部をそれぞれなし、PWMコンパレータ6、発振回路7、RSフリップフロップ回路8及びドライバ回路9はスイッチング制御回路部をなす。また、PMOSトランジスタM3,M4及びインバータ回路12は電圧切換回路部を、抵抗R3、PMOSトランジスタM5及びセンスアンプ11は比例電流生成回路部を、抵抗R4は電流−電圧変換回路部をそれぞれなす。また、スイッチングレギュレータ1において、インダクタL1及び出力コンデンサC1を除く各回路を1つのICに集積するようにしてもよく、場合によっては、スイッチングトランジスタM1及び/又は同期整流用トランジスタM2、インダクタL1並びに出力コンデンサC1を除く各回路を1つのICに集積するようにしてもよい。
【0014】
入力端子INと接地電圧との間にはスイッチングトランジスタM1と同期整流用トランジスタM2が直列に接続され、スイッチングトランジスタM1と同期整流用トランジスタM2との接続部LXと、出力端子OUTとの間にインダクタL1が接続されている。出力端子OUTと接地電圧との間には、抵抗R1及びR2の直列回路と出力コンデンサC1が並列に接続されている。抵抗R1と抵抗R2との接続部の電圧である分圧電圧Vd1は誤差増幅回路3の反転入力端に入力され、誤差増幅回路3の非反転入力端には基準電圧Vrefが入力されている。
【0015】
電流センス回路4は、スイッチングトランジスタM1を流れた電流の検出を行い、該検出した電流を電圧に変換してスロープ電圧生成回路5に出力する。スロープ電圧生成回路5は、例えば所定の傾斜を有したのこぎり波信号を生成し該のこぎり波信号の電圧に、電流センス回路4から入力された電圧Viを加算してスロープ電圧Vcを生成するように、スイッチングトランジスタM1に流れる電流に応じた傾斜を有するスロープ電圧Vcを生成して出力する。PWMコンパレータ6の反転入力端には、誤差増幅回路3から出力された誤差電圧Veが入力され、PWMコンパレータ6の非反転入力端にはスロープ電圧Vcが入力されている。
【0016】
また、RSフリップフロップ回路8において、セット入力端Sにはクロック信号CLKが入力され、リセット入力端RにはPWMコンパレータ6から出力されたパルス信号Spwが入力されている。ドライバ回路9は、RSフリップフロップ回路8の出力端Qから出力された信号から制御信号PD及びNDをそれぞれ生成し、スイッチングトランジスタM1及び同期整流用トランジスタM2の各ゲートに対応して出力する。
【0017】
電流センス回路4において、入力電圧Vinとセンスアンプ11の非反転入力端との間にはPMOSトランジスタM3が接続され、センスアンプ11の非反転入力端と接続部LXとの間にはPMOSトランジスタM4が接続されている。PMOSトランジスタM3のゲートにはインバータ回路12を介して制御信号PDが入力され、PMOSトランジスタM4のゲートには制御信号PDが入力されている。入力電圧VinとPMOSトランジスタM5のソースとの間には抵抗R3が接続され、PMOSトランジスタM5のドレインと接地電圧との間には抵抗R4が接続されている。センスアンプ11の出力端はPMOSトランジスタM5のゲートに接続され、センスアンプ11の反転入力端はPMOSトランジスタM5のソースに接続されている。
【0018】
PMOSトランジスタM5のドレインと抵抗R4との接続部が電流センス回路4の出力端をなしており、該出力端から電圧Viが出力される。電圧Viは、スイッチングトランジスタM1がオンしているときの接続部LXの電圧VLXに比例した電圧になる。スイッチングトランジスタM1がオンしているときの接続部LXの電圧VLXは、入力電圧Vinから、スイッチングトランジスタM1のオン抵抗とスイッチングトランジスタM1に流れる電流値を掛け合わせたものを引いた値で表される。このようなことから、電圧Viは、スイッチングトランジスタM1に流れた電流に比例したものになる。
【0019】
このような構成において、誤差増幅回路3は、入力された分圧電圧Vd1と基準電圧Vrefとの電圧差を増幅して誤差電圧Veを生成し出力する。PWMコンパレータ6は、誤差電圧Veとスロープ電圧Vcとの電圧比較を行い、該比較結果を示す信号であるパルス信号Spwを生成してRSフリップフロップ回路8のリセット入力端Rに出力する。PWMコンパレータ6は、スロープ電圧Vcが誤差電圧Ve以下である場合はローレベルの信号を出力する。この場合、RSフリップフロップ回路8は、ハイレベルのクロック信号CLKが入力されると出力端Qをハイレベルにセットする。
【0020】
RSフリップフロップ回路8の出力端Qからハイレベルの信号が出力されると、ドライバ回路9は、スイッチングトランジスタM1及び同期整流用トランジスタM2の各ゲートにローレベルの制御信号PD及びNDをそれぞれ出力し、スイッチングトランジスタM1がオンして導通状態になると共に同期整流用トランジスタM2がオフして遮断状態になる。このため、インダクタL1と出力コンデンサC1との直列回路に入力電圧Vinが印加され、スイッチングトランジスタM1から出力される電流は時間の経過と共に直線的に増加し、電流センス回路4から出力される電流検出電圧Viも直線的に上昇する。インダクタL1に流れる電流であるインダクタ電流iLが、出力端子OUTから出力される出力電流ioutよりも大きくなると、出力コンデンサC1に電荷が蓄積され、出力電圧Voutが上昇する。
【0021】
また、RSフリップフロップ回路8の出力端Qからローレベルの信号が出力されると、ドライバ回路9は、スイッチングトランジスタM1及び同期整流用トランジスタM2の各ゲートにハイレベルの制御信号PD及びNDをそれぞれ出力し、スイッチングトランジスタM1がオフして遮断状態になると共に同期整流用トランジスタM2がオンして導通状態になる。このため、インダクタL1に蓄えられていたエネルギーが放出され、これに伴って、インダクタ電流iLは時間の経過と共に直線的に減少し、インダクタ電流iLが出力電流ioutよりも小さくなると、出力コンデンサC1から電力が供給され、出力電圧Voutが低下する。
【0022】
また、PWMコンパレータ6は、スロープ電圧Vcが誤差電圧Veを超えると、ハイレベルのパルス信号Spwを出力してRSフリップフロップ回路8をリセットする。RSフリップフロップ回路8は、ハイレベルのパルス信号Spwが入力されている間は、クロック信号CLKの信号レベルに関係なく出力端Qをローレベルにし、前記と同様の動作が行われて出力電圧Voutが低下する。
出力電圧Voutが低下すると、誤差増幅回路3からの誤差電圧Veが上昇するため、スロープ電圧Vcが誤差電圧Veを超えるまでの時間が長くなることからスイッチングトランジスタM1がオンする時間が長くなり、出力電圧Voutを上昇させる。逆に、出力電圧Voutが上昇した場合は、スイッチングトランジスタM1のオン時間が短くなって出力電圧Voutは低下する。このように、出力電圧Voutの電圧変動に応じてスイッチングトランジスタM1と同期整流用トランジスタM2を相補的にオン/オフさせる時間を制御することで、出力電圧Voutが所定の電圧に安定化される。
【0023】
ここで、図2は、図1の各部の波形例を示した図であり、図2(a)は、センスアンプ11の非反転入力端にオフセットVofがない場合を示しており、図2(b)は、センスアンプ11の非反転入力端に負のオフセットVofがある場合を示している。図2を参照しながら図1の電流センス回路4の動作についてもう少し詳細に説明する。
PMOSトランジスタM3及びM4は、制御信号PDに応じたゲート信号を受けて、センスアンプ11の非反転入力端への接続を切り換えている。制御信号PDがハイ(High)レベルであるとき、すなわちスイッチングトランジスタM1がオフしているときは、PMOSトランジスタM3がオンすると共にPMOSトランジスタM4がオフし、センスアンプ11の非反転入力端には入力電圧Vinが入力される。
【0024】
一方、制御信号PDがロー(Low)レベルのとき、すなわちスイッチングトランジスタM1がオンしているときは、PMOSトランジスタM3がオフすると共にPMOSトランジスタM4がオンし、センスアンプ11の非反転入力端には接続部LXの電圧VLXが入力される。スイッチングトランジスタM1がオンしているときの電圧VLXは、スイッチングトランジスタM1に流れた電流に比例したものになる。このため、電流センス回路4は、PMOSトランジスタM3及びM4でセンスアンプ11の非反転入力端への入力電圧を切り換えることにより、スイッチングトランジスタM1がオンしているときのみ電流検出を行い、スイッチングトランジスタM1がオフしているときには電流未検出状態になる構成をなしている。
【0025】
仮にセンスアンプ11の非反転入力端にオフセットVofがない場合、スイッチングトランジスタM1がオフ、すなわち電流未検出状態であるとき、センスアンプ11の非反転入力端には入力電圧Vinが入力される。このとき、センスアンプ11は、反転入力端の電圧が入力電圧Vinになるようにするために、PMOSトランジスタM5のゲート電圧を上昇させてPMOSトランジスタM5を完全にオフさせ、入力電圧Vinと接地電圧との間に直列に接続された抵抗R3、PMOSトランジスタM5及び抵抗R4の直列回路に電流を流さなくなる。このような状態によりスイッチングトランジスタM1がオンし、電流センス回路4が電流検出を開始しようとすると、PMOSトランジスタM5を完全にオフした状態からオンさせなければならず、スイッチングトランジスタM1に流れる電流i1の立ち上がりに追従できない領域が発生する。
【0026】
このため、オフセットVofがない場合を示した図2(a)における電流センス回路4の出力電圧Vi波形で示しているように、出力電圧Viの立ち上がり部分に非線形領域が存在するようになる。このような非線形領域が存在すると、PWM制御で入出力電圧差が大きく、しかも小さいデューティサイクルが必要とされる場合、特に1回のスイッチング周期が短くなる高周波発振周波数での動作では、スロープ電圧Vcにも非線形領域が発生し、安定したPWM制御動作を行うことができなくなるというように、スロープ電圧Vcにも影響を及ぼす。
【0027】
これに対して、センスアンプ11の非反転入力端に負のオフセットVofがある図2(b)の場合、電流センス回路4が電流未検出状態であると、センスアンプ11は、反転入力端の電圧が入力電圧VinよりもオフセットVof分だけ小さくなるように動作するため、PMOSトランジスタM5がオフせずに、入力電圧Vinと接地電圧との間に直列に接続された抵抗R3、PMOSトランジスタM5及び抵抗R4にオフセットVofに応じた電流を流すようにする。このような状態からスイッチングトランジスタM1がオンし、電流センス回路4が電流検出を開始すると、すでにPMOSトランジスタM5がオンしているため、スイッチングトランジスタM1に流れる電流i1の立ち上がりに追従して電流センス回路4の出力電圧Viも上昇していき、図2(a)のような非線形領域はなくなる。
【0028】
このように、本第1の実施の形態におけるスイッチングレギュレータは、電流未検出状態から電流検出状態への遷移時における電流検出動作の追従性がよくなるよう、センスアンプ11の差動入力にオフセットVofを設けるようにした。このようにすることにより、入出力電圧差が大きく、小さいデューティサイクルが必要とされ、1回のスイッチング周期が短くなる高周波発振周波数での動作において、安定したPWM制御動作を行うことができ、スイッチング周波数の高周波化を図ることができる
【0029】
なお、前記第1の実施の形態では、同期整流方式の降圧型スイッチングレギュレータを例にして説明したが、これは一例であり、本発明はこれに限定するものではなく、非同期整流方式の降圧型スイッチングレギュレータや、昇圧型スイッチングレギュレータや、反転型スイッチングレギュレータ等にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、スイッチングレギュレータのスイッチングにおいて短いオン/オフ動作を可能にし、高周波での安定動作を実現できるため、外付け部品の小型化を可能にし、スイッチングレギュレータが使用される携帯機器の小型化につながるものである。
【符号の説明】
【0031】
1 スイッチングレギュレータ
2 基準電圧発生回路
3 誤差増幅回路
4 電流センス回路
5 スロープ電圧生成回路
6 PWMコンパレータ
7 発振回路
8 RSフリップフロップ回路
9 ドライバ回路
11 センスアンプ
12 インバータ回路
M1 スイッチングトランジスタ
M2 同期整流用トランジスタ
M3〜M5 PMOSトランジスタ
L1 インダクタ
C1 出力コンデンサ
R1〜R4 抵抗
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特開2006−109689

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子に入力された入力電圧を、所定の定電圧に変換して出力端子から出力電圧として出力するスイッチングレギュレータにおいて、
制御電極に入力された制御信号に応じてスイッチングを行うスイッチ素子と、
該スイッチ素子のスイッチングによって前記入力電圧による充電が行われるインダクタと、
前記スイッチ素子がオフして該インダクタへの充電が停止すると、該インダクタの放電を行う整流素子と、
前記出力電圧に比例した比例電圧と所定の基準電圧との電圧差を増幅して出力する誤差増幅回路部と、
前記スイッチ素子がオンして該スイッチ素子に電流が流れる状態になると、該スイッチ素子を流れる電流の検出を行う電流検出回路部と、
該電流検出回路部で検出された電流に応じた傾斜を有するスロープ電圧を生成して出力するスロープ電圧生成回路部と、
該スロープ電圧と前記誤差増幅回路部の出力電圧との電圧比較を行い、該比較結果に応じて前記スイッチ素子のスイッチング制御を行うスイッチング制御回路部と、
を有し、
前記電流検出回路部は、
前記スイッチ素子がオンすると前記スイッチ素子の電流出力端の電圧を出力し、前記スイッチ素子がオフすると前記入力電圧を出力する電圧切換回路部と、
各入力端に前記入力電圧と該電圧切換回路部の出力電圧が対応して入力される、差動入力に所定のオフセットが設けられた演算増幅回路を使用して、前記入力電圧と前記電圧切換回路部の出力電圧との電圧差に比例した比例電流を生成して出力する比例電流生成回路部と、
を備えることを特徴とするスイッチングレギュレータ。
【請求項2】
前記電流検出回路部は、前記比例電流を電圧に変換して出力する電流−電圧変換回路部を備え、
前記比例電流生成回路部は、
一端が前記入力電圧に接続された抵抗と、
電流入力端が該抵抗の他端に接続されると共に電流出力端が前記電流−電圧変換回路部に接続され、制御電極が前記演算増幅回路の出力端に接続されたトランジスタと、
を備え、
前記演算増幅回路は、一方の入力端に前記電圧切換回路部の出力電圧が入力され、他方の入力端が前記抵抗と前記トランジスタとの接続部に接続されることを特徴とする請求項1記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項3】
前記演算増幅回路は、前記電流−電圧変換回路部から出力された電圧が、前記スイッチ素子の電流出力端から出力された電流に比例した電圧になるように前記オフセットが設けられることを特徴とする請求項2記載のスイッチングレギュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−220355(P2010−220355A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63208(P2009−63208)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】