説明

スイッチング制御装置

【課題】デッドタイムを確保するとともに、スイッチング信号のデューティ比を0%から100%まで連続的に変化させる。
【解決手段】実施形態のスイッチング制御装置は、第1信号波の値が三角波の中央値以上の場合、第1信号波に対しデッドタイムに相当するオフセット値を加算し、加算結果が三角波の最大値を超えるときには当該最大値に等しく制限して第2信号波を生成する。第2、第1信号波と三角波を比較して上、下アームのスイッチング信号を生成する。第1信号波の値が三角波の中央値未満の場合、第1信号波からオフセット値を減算し、減算結果が三角波の最小値を超えるときには当該最小値に等しく制限して第2信号波を生成する。第1、第2信号波と三角波を比較して上、下アームのスイッチング信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、上下アーム間のデッドタイムが設けられたスイッチング信号を生成するスイッチング制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源線間に接続されたブリッジ回路の上アームのスイッチング素子と下アームのスイッチング素子とをオンオフ駆動する場合、オンオフ切り替え時の電源短絡を防止するため、デッドタイムと称される時間が設けられている。このデッドタイムでは、上下アームのスイッチング信号は何れもスイッチング素子をオフさせるレベル(以下、オフレベルと称す)となる。
【0003】
スイッチング信号は、三角波と信号波の大きさを比較することにより生成されている。例えば、信号波のレベルが三角波のレベル以上になると、上アームのスイッチング信号が直ちにオフレベルに変化し、その時点からデッドタイムが経過した時点で下アームのスイッチング信号がスイッチング素子をオンさせるレベル(以下、オンレベルと称す)に変化する。
【0004】
実際のマイクロプロセッサでは、一定周波数を持つパルス信号をカウンタで計数し、所定の最小値と最大値でアップカウントとダウンカウントを切り替えることにより三角波を生成する。また、上記最小値から最大値までの範囲内において、ブリッジ回路の出力電圧に対応した値を信号波としてレジスタにセットする。そして、コンパレータを用いてカウンタとレジスタの値を比較してスイッチング信号を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−263104号公報
【特許文献2】特開2005−12857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
信号波が三角波の最大値または最小値に向かって単調に増加または減少する場合、信号波が三角波の最大値または最小値に近づいた時点で一方のスイッチング信号のオンレベルの幅がゼロになる。その後、他方のスイッチング信号のオフレベルの幅は次第に短くなるが、信号波が三角波の最大値または最小値に達すると、オフレベルの幅がデッドタイムに相当する値だけ不連続に変化してゼロになる。このようにデューティ比が不連続に変化すると、特に出力電圧が低い場合に急激な電圧変化が生じてしまう。
【0007】
そこで、デッドタイムを確保するとともに、スイッチング信号のデューティ比を0%から100%まで連続的に変化させることができるスイッチング制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のスイッチング制御装置は、上下アーム間のデッドタイムが設けられたスイッチング信号を生成するスイッチング制御装置である。三角波を生成する三角波生成手段と、三角波の最小値から最大値までの値を取り得る第1信号波を入力して第2信号波を生成する信号波生成手段と、上アームおよび下アームのスイッチング信号を生成する比較手段とを備えている。
【0009】
信号波生成手段は、第1信号波の値が三角波の中央値以上の場合には、第1信号波に対し三角波の変化率に基づいてデッドタイムに相当するオフセット値を加算し、当該加算結果が三角波の最大値を超えるときには当該最大値に等しく制限して第2信号波を生成する。また、第1信号波の値が三角波の中央値未満の場合には、第1信号波からオフセット値を減算し、当該減算結果が三角波の最小値を超えるときには当該最小値に等しく制限して第2信号波を生成する。
【0010】
比較手段は、第1信号波の値が三角波の中央値以上の場合には、第2および第1信号波と三角波とを比較してそれぞれ上アームおよび下アームのスイッチング信号を生成する。第1信号波の値が三角波の中央値未満の場合には、第1および第2信号波と三角波とを比較してそれぞれ上アームおよび下アームのスイッチング信号を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態によるインバータ装置の構成図
【図2】デッドタイムとオフセット値との関係を示す説明図
【図3】第1信号波が三角波の中央値以上のときのスイッチング信号の生成に係る波形図
【図4】第1信号波が三角波の中央値未満のときのスイッチング信号の生成に係る波形図
【図5】第1信号波が三角波の中央値を超える前後におけるスイッチング信号の生成に係る波形図
【図6】第2信号波が最大値に等しく制限されているときのスイッチング信号の生成に係る波形図
【図7】第2信号波が最小値に等しく制限されているときのスイッチング信号の生成に係る波形図
【図8】第2の実施形態によるスイッチング信号の生成に係る波形図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1ないし図7を参照しながら第1の実施形態を説明する。図1は、インバータ装置の構成を示している。このインバータ装置1は、バッテリ2の電圧VDCを入力し、三相指令電圧に対応したU相信号波S1u、V相信号波S1v、W相信号波S1wに基づいてPWM制御を行い、負荷例えばモータ3に対し三相交流電圧Vu、Vv、Vwを出力する。
【0013】
主回路において、バッテリ2が接続される直流母線4、5間にはコンデンサ6と三相ブリッジ回路7が接続されている。三相ブリッジ回路7は、上アームUA側のスイッチング素子7up、7vp、7wpと下アームLA側のスイッチング素子7un、7vn、7wnがそれぞれ直列に接続されたU相、V相、W相のブリッジ回路から構成されている。各ブリッジ回路の中間接続点がU相、V相、W相の出力端子9u、9v、9wとされている。各スイッチング素子7up〜7wnには、それぞれ還流ダイオードとして機能する寄生ダイオード8up〜8wnが並列に形成されている。
【0014】
スイッチング制御装置10は、入力した第1信号波S1u、S1v、S1wに基づいてスイッチング素子7up〜7wnに対しスイッチング信号Sup〜Swnを出力する。図中、素子ドライブ回路は省略されている。このスイッチング制御装置10は、パルス幅変調回路11u、11v、11wと三角波生成回路12(三角波生成手段)とを備えている。
【0015】
三角波生成回路12は、例えば一定周波数を持つパルス信号をカウンタで計数し、カウント値が所定の最小値または最大値となった時点でアップカウントとダウンカウントを切り替えて三角波Scを生成する。第1信号波S1u、S1v、S1wは、三角波Scの最小値から最大値までの値を取り、設定される値が小さいほど出力端子9u、9v、9wから出力される電圧が高くなる。
【0016】
パルス幅変調回路11u、11v、11wの構成は同じであるため、以下ではパルス幅変調回路11uの構成および作用について図2ないし図7を参照しながら説明する。パルス幅変調回路11uは、信号波生成回路13(信号波生成手段)により第1信号波S1uとデッドタイムTdとから第2信号波S2uを生成し、比較回路14(比較手段)により第1、第2信号波S1u、S2uと三角波Scとを比較してスイッチング信号Sup、Sunを生成する。この構成によれば、三角波Scを生成するためのカウンタの数が少なくて済む。
【0017】
オフセット演算回路15は、三角波Scの変化率に基づいてデッドタイムTdに相当するオフセット値を(1)式で算出する。fcは三角波Scの周波数(PWMのキャリア周波数)、Aは三角波Scの(最大値−最小値)である。
オフセット値=2・fc・A・Td …(1)
【0018】
図2は、デッドタイムTdとオフセット値との関係を示す説明図である。三角波Scが最大値から最小値まで変化するのに要する時間はTc/2=1/(2・fc)なので、デッドタイムTdの間に変化する三角波Scの値すなわちオフセット値は(1)式に示す値となる。
【0019】
信号波生成回路13および比較回路14は、三角波Scが最大となった時点および最小となった時点ごとに、第1信号波S1uの値が三角波Scの中央値B(=(最大値+最小値)/2)以上か否かを判定する。第1信号波S1uの値が三角波Scの中央値B以上のときには切替回路16のa−c間をオンさせ、(2)式に示すとおり加算器17により第1信号波S1uとオフセット値を加算する。そして、当該加算結果が三角波Scの最大値を超えるときには当該最大値に等しく制限して第2信号波S2uを生成する。
第2信号波S2u=第1信号波S1u+2・fc・A・Td …(2)
【0020】
一方、第1信号波S1uの値が三角波Scの中央値B未満のときには切替回路16のb−c間をオンさせ、加算器17により第1信号波S1uと符号反転回路18を通したオフセット値とを加算する。すなわち、(3)式に示すとおり第1信号波S1uからオフセット値を減算する。そして、当該減算結果が三角波Scの最小値を超えるときには当該最小値に等しく制限して第2信号波S2uを生成する。
第2信号波S2u=第1信号波S1u−2・fc・A・Td …(3)
【0021】
比較回路14は、比較器19、20と切替回路21とから構成されている。比較回路14は、第1信号波S1uの値が三角波Scの中央値B以上のときには切替回路21のa−c間をオンさせる。このとき、比較器20により第2信号波S2uと三角波Scとを比較して上アームのスイッチング信号Supを生成し、比較器19により第1信号波S1uと三角波Scとを比較して下アームのスイッチング信号Sunを生成する。
【0022】
図3は、このときの第1信号波S1u、第2信号波S2u、三角波Scおよびスイッチング信号Sup、Sunを示している。時刻t1で第1信号波S1uが三角波Scよりも小さくなると、下アームのスイッチング信号Sunがオンレベルからオフレベルに変化する。その後、時刻t2で第2信号波S2uが三角波Scよりも小さくなると、上アームのスイッチング信号Supがオフレベルからオンレベルに変化する。この時刻t1からt2までの時間はデッドタイムTdに等しくなる。
【0023】
時刻t3で第2信号波S2uが三角波Sc以上になると、上アームのスイッチング信号Supがオンレベルからオフレベルに変化し、時刻t4で第1信号波S1uが三角波Sc以上になると、下アームのスイッチング信号Sunがオフレベルからオンレベルに変化する。この時刻t3からt4までの時間もデッドタイムTdに等しくなる。
【0024】
一方、比較回路14は、第1信号波S1uの値が三角波Scの中央値B未満のときには切替回路21のb−c間をオンさせる。このとき、比較器19により第1信号波S1uと三角波Scとを比較して上アームのスイッチング信号Supを生成し、比較器20により第2信号波S2uと三角波Scとを比較して上アームのスイッチング信号Sunを生成する。
【0025】
図4は、このときの第1信号波S1u、第2信号波S2u、三角波Scおよびスイッチング信号Sup、Sunを示している。時刻t11で第2信号波S2uが三角波Sc以下になると、下アームのスイッチング信号Sunがオンレベルからオフレベルに変化する。その後、時刻t12で第1信号波S1uが三角波Sc以下になると、上アームのスイッチング信号Supがオフレベルからオンレベルに変化する。
【0026】
時刻t13で第1信号波S1uが三角波Scより大きくなると、上アームのスイッチング信号Supがオンレベルからオフレベルに変化し、時刻t4で第2信号波S2uが三角波Scより大きくなると、下アームのスイッチング信号Sunがオフレベルからオンレベルに変化する。時刻t11からt12までの時間および時刻t13からt14までの時間もデッドタイムTdに等しくなる。
【0027】
図5は、第1信号波S1uの値が三角波Scの中央値Bを超える前後における波形図である。上述したように、信号波生成回路13および比較回路14は、三角波Scの最大時点(図5では時刻t23)および最小時点(図5では時刻t26)で第1信号波S1uの値と三角波Scの中央値Bとの大小関係を判定している。時刻t26で第1信号波S1uの値が三角波Scの中央値B以上と判定されたので、第2信号波S2uの生成方法が(3)式から(2)式に切り替わっていることが分かる。
【0028】
図6は、指令電圧が低いため、第2信号波S2uの値が最大値に等しく制限されているときの波形図である。このとき、上アームのスイッチング信号Supはオフレベル一定となる。下アームのスイッチング信号Sunは、第1信号波S1uが大きくなるのに比例してオフレベルの幅が短くなり、やがて第1信号波S1uが最大値に達するとオンレベル一定となる。
【0029】
図7は、指令電圧が高いため、第2信号波S2uの値が最小値に等しく制限されているときの波形図である。このとき、下アームのスイッチング信号Sunはオフレベル一定となる。上アームのスイッチング信号Supは、第1信号波S1uが小さくなるのに比例してオフレベルの幅が短くなり、やがて第1信号波S1uが最小値に達するとオンレベル一定となる。
【0030】
以上説明した本実施形態によれば、第1信号波S1uが最大値に近づくと、上アームのスイッチング信号Supのオンレベルの幅がゼロになり、その後も第1信号波S1uの上昇に伴い下アームのスイッチング信号Sunのデューティ比を連続的に変化させることができる。逆に、第1信号波S1uが最小値に近づくと、下アームのスイッチング信号Sunのオンレベルの幅がゼロになり、その後も第1信号波S1uの低下に伴い上アームのスイッチング信号Supのデューティ比を連続的に変化させることができる。V相、W相についても同様となる。その結果、上下アーム間のデッドタイムを確保できるとともに、スイッチング信号Sup、Sun、Svp、Svn、Swp、Swnのデューティ比を0%から100%まで連続的に変化させることができる。
【0031】
本実施形態のインバータ装置1によれば、デッドタイムを確保した上で、より低い電圧からより高い電圧までの広範囲の電圧を出力できるので、ブラシレスDCモータ、誘導モータなどの可変速範囲を広げることができる。また、出力電圧が低い場合でも、出力電圧を連続的に変化させることができるので、電流やトルクの制御性能を高める効果も期待できる。
【0032】
次に、U相のパルス幅変調回路11uを例に、第1信号波S1uの値と三角波Scの中央値Bとの大小関係を判定し、その判定結果に基づいて切替回路16、21を切り替える理由について説明する。上述したように、スイッチング制御装置10に入力される第1信号波S1uは、三角波Scの最小値から最大値までの値を取るようになっている。第1信号波S1uを最小値または最大値を超えた値に設定可能とすることは、第1信号波S1uが変化したにもかかわらず出力電圧が変化しない不感帯を作ることになるからである。
【0033】
仮に、第1信号波S1uの値にかかわらず第2信号波S2uを常に(2)式により生成し、切替回路16のa−c間および切替回路21のa−c間を常にオンすれば、第2信号波S2uの値を(最小値+オフセット値)よりも小さく設定することができない。その結果、第1信号波S1uの値が最小値まで低下しても、上アームのスイッチング信号SupにデッドタイムTdだけのオフレベルが残り、スイッチング信号Supのデューティ比を100%まで設定することができなくなる。
【0034】
これに対し、本実施形態のスイッチング制御装置10は、第1信号波S1uの値が三角波Scの中央値B以上の場合に、第1信号波S1uにオフセット値を加算して第2信号波S2uを生成し、第1信号波S1uの値が三角波Scの中央値B未満の場合に、第1信号波S1uからオフセット値を減算して第2信号波S2uを生成している。これにより、第1信号波S1u、第2信号波S2uともに最小値から最大値までの値を設定可能となり、上述したようにスイッチング信号Sup、Sunのデューティ比を0%から100%まで連続的に設定することが可能となる。
【0035】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る波形図である。以下、同図を参照しながらU相を例に説明する。第1信号波S1uの値が三角波Scの中央値B以上のとき、比較回路14の比較器19(図1参照)は、第1信号波S1uと三角波Scとの比較により下アームのスイッチング信号Sunを生成する。そして、第2信号波S2uが三角波Scの最大値に等しく制限されているとき、下アームのスイッチング信号Sunを、三角波Scのn周期(n=2、3、…)ごとに比較結果に従ってオフレベルとし、それ以外の周期ではオンレベルのまま保持する。
【0036】
同様に、第1信号波S1uの値が三角波Scの中央値B未満のとき、比較回路14の比較器19は、第1信号波S1uと三角波Scとの比較により上アームのスイッチング信号Supを生成する。第2信号波S2uが三角波Scの最小値に等しく制限されているとき、上アームのスイッチング信号Supを、三角波Scのn周期ごとに比較結果に従ってオフレベルとし、それ以外の周期ではオンレベルのまま保持する。
【0037】
第1の実施形態で説明したスイッチング制御に加え本制御を実行すると、デッドタイムTdの設定により減少した電圧を補償することができる。例えば図8に示すように、第2信号波S2uが上昇して三角波Scの最大値に等しくなった時点において、デッドタイムに基づくスイッチング信号Sunのオフレベルの幅は2・Tdとなる。これに対し、n周期につき1回だけオフレベルとする本制御では、デッドタイムに基づくスイッチング信号Sunの平均的なオフレベルの幅は2・Td/nとなる。従って、デッドタイムを設定したことにより減少する電圧分のうち(1−1/n)×100%を補償することができる。
【0038】
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態に加えて以下のような構成を採用してもよい。
オフセット演算回路15は、各相のパルス幅変調回路11u、11v、11wに対し共通に設けてもよい。
スイッチング制御装置10は、マイクロプロセッサに組み込まれたPWMユニットとして適用できる他、独立した回路として種々の機能回路にも適用できる。また、スイッチング制御装置10をソフトウェアにより実現することもできる。
【0039】
以上説明した実施形態によれば、上下アーム間のデッドタイムを確保できるとともに、スイッチング素子の駆動に供するスイッチング信号のデューティ比を0%から100%まで連続的に変化させることができる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0041】
図面中、10はスイッチング制御装置、12は三角波生成回路(三角波生成手段)、13は信号波生成回路(信号波生成手段)、14は比較回路(比較手段)、S1u、S1v、S1wは第1信号波、S2u、S2v、S2wは第2信号波、Scは三角波、Sup、Sun、Svp、Svn、Swp、Swnはスイッチング信号である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下アーム間のデッドタイムが設けられたスイッチング信号を生成するスイッチング制御装置において、
三角波を生成する三角波生成手段と、
前記三角波の最小値から最大値までの値を取り得る第1信号波を入力し、前記第1信号波の値が前記三角波の中央値以上の場合には、前記第1信号波に対し前記三角波の変化率に基づいて前記デッドタイムに相当するオフセット値を加算し、当該加算結果が前記三角波の最大値を超えるときには当該最大値に等しく制限して第2信号波を生成し、前記第1信号波の値が前記三角波の中央値未満の場合には、前記第1信号波から前記オフセット値を減算し、当該減算結果が前記三角波の最小値を超えるときには当該最小値に等しく制限して第2信号波を生成する信号波生成手段と、
前記第1信号波の値が前記三角波の中央値以上の場合には、前記第2および第1信号波と前記三角波とを比較してそれぞれ上アームおよび下アームのスイッチング信号を生成し、前記第1信号波の値が前記三角波の中央値未満の場合には、前記第1および第2信号波と前記三角波とを比較してそれぞれ上アームおよび下アームのスイッチング信号を生成する比較手段とを備えていることを特徴とするスイッチング制御装置。
【請求項2】
前記三角波の最大値と最小値の差分をA、中央値をB、周波数をfcとし、前記デッドタイムをTdとしたとき、前記信号波生成手段は、前記第1信号波の値がB以上の場合には、
第2信号波=第1信号波+2・fc・A・Td
により前記第2信号波を生成し、前記第1信号波の値がB未満の場合には、
第2信号波=第1信号波−2・fc・A・Td
により前記第2信号波を生成することを特徴とする請求項1記載のスイッチング制御装置。
【請求項3】
前記比較手段は、前記第2信号波が前記三角波の最大値に等しく制限されているとき、前記第1信号波と前記三角波との比較により生成される下アームのスイッチング信号を、前記三角波のn周期(n=2、3、…)ごとに前記比較結果に従ってオフレベルとし、それ以外の周期ではオンレベルに保持し、前記第2信号波が前記三角波の最小値に等しく制限されているとき、前記第1信号波と前記三角波との比較により生成される上アームのスイッチング信号を、前記三角波のn周期ごとに前記比較結果に従ってオフレベルとし、それ以外の周期ではオンレベルに保持することを特徴とする請求項1または2記載のスイッチング制御装置。
【請求項4】
前記第1信号波の値が前記三角波の中央値以上か否かの判定は、前記三角波が最大となった時点および最小となった時点で行われることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載のスイッチング制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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