説明

スイッチング電源回路

【課題】 エネルギー効率を向上させることができるスイッチング電源回路を提供すること。
【解決手段】 入力電圧Vinによりスイッチング動作を行い、入力電圧Vinより低い所定電圧を電源供給のために出力するスイッチング電源回路において、入力電圧Vinの印加により電流が流れ始めるとともに、スイッチ駆動信号により駆動して、スイッチ動作を行うスイッチSW1と、入力電圧Vinの印加により流れ始めるスイッチSW1の電流Iswにより動作し、スイッチ駆動信号を出力する駆動パルス発生回路21を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧から機器制御回路用の低い電圧に変換するスイッチング電源回路の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、レギュレータICの電源ピンに抵抗とトランジスタで電圧降下させた電圧を入力している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−168883号公報(第2−12頁、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来にあっては、抵抗で電圧降下させる分の電流分が損失となってしまっていた。またトランジスタにおいても同様に電流損失が生じてしまっていた。
【0004】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、エネルギー効率を向上させることができるスイッチング電源回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、入力電圧によりスイッチング動作を行い、前記入力電圧より低い所定電圧を電源供給のために出力するスイッチング電源回路において、前記入力電圧の印加により電流が流れ始めるとともに、スイッチ駆動信号により駆動して、スイッチ動作を行うスイッチ手段と、前記入力電圧の印加により流れ始めるスイッチ手段の電流により動作し、前記スイッチ駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明にあっては、エネルギー効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のスイッチング電源回路を実現する実施の形態を、請求項1,2,4に係る発明に対応する実施例1と、請求項1,3,4に係る発明に対応する実施例2と、請求項1,2,5に係る発明に対応する実施例3と、請求項1,4,5,6に係る発明に対応する実施例4と、請求項1,4,5,7に係る実施例5と、請求項1,3に係る実施例6に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のスイッチング電源回路を補助電源回路として組み込んだ電源回路の例を示す図である。
実施例1の電源回路1は、補助電源回路2と主電力変換回路3を備えている。
補助電源回路2は、駆動パルス発生回路21、コンデンサC1,C2、抵抗R1、ダイオードD1、スイッチ素子SW1、コイルL1を備えている。
抵抗R1の上流端は、電源回路1へ供給入力される入力電圧Vinに接続し、下流端はスイッチ素子SW1の上端に接続する。そして、また、抵抗R1と並列させてコンデンサC1、駆動パルス発生回路21を設ける。
【0009】
抵抗R1の上流端からコンデンサC1の上流端の間には、コンデンサC1の上流端へ向かう電流のみを許可するダイオードD1を設けている。
次に、スイッチ素子SW1の上流端は抵抗R1の下流端に接続し、スイッチ素子SW1の下流端は、コイルL1の上流端に接続する。
コイルL1の上流端はスイッチ素子SW1の下流端に接続し、コイルL1の下流端は、コンデンサC2の上流端に接続する。
コンデンサC2の上流端は、コイルL1の下端に接続し、下流端は接地する。
そして、コイルL1の下端とコンデンサC2の間を電圧Vccとして、主電力変換回路3へ入力する構成である。
【0010】
主電力変換回路3は、電源制御回路31、スイッチ素子SW10,SW11、コイルL10、コンデンサC10を備えている。
電源制御回路31は、補助電源回路2からのVccにより作動し、スイッチ素子SW10,SW11を制御して、所定電圧の出力を生成する。
スイッチ素子SW10とスイッチ素子SW11は、電源回路1へ供給入力される入力電圧Vinからグランドまでの間に直列に設ける。つまり、スイッチSW10の上流端は、電源Vinに接続し、スイッチSW11の下流端は接地する。
【0011】
さらに、スイッチ素子SW10とスイッチ素子SW11の間をコイルL10の一端に接続し、他端を主電力変換回路3及び電源回路1の出力端子に接続する。
また、この出力端子とコイルL1との間とグランドの間には、コンデンサC10を設ける。
そして、出力端子からは、電源回路1の出力、電圧Voutが出力される。
また、補助電源回路2の出力と主電力変換回路3の間には、補助電源回路2から主電力変換回路3へ向かう方向のみ電流を流れを許可するダイオードD2を設ける。さらに、主電力変換回路3から電圧Voutの出力端子の間から、ダイオードD2のカソード側へのみ電流の流れを許可するダイオードD3を設ける。
【0012】
作用を説明する。
[補助電源回路がエネルギー効率を向上する作用]
まず電源回路1における補助電源回路2について説明する。
図2は補助電源回路2(スイッチング回路)の回路構成を示す図である。図3は図2の補助電源回路の電圧Vin、電流Isw、電圧Vc1、駆動パルス、スイッチ信号、電圧Vccのタイムチャートである。
補助電源回路2では、入力電圧Vinに対して、抵抗R1とスイッチSW1、及びコイルL1の直列回路部分を接続し、この直列回路部分の入力電圧Vinと反対側から補助電源回路2の出力となる電圧Vccを取り出すようにする。
【0013】
まず、スイッチSW1の初期状態はオンであり、電圧Vinが印加される(図3(a)参照)とスイッチSW1に電流Iswが流れ始める(図3(b)参照)。
スイッチSW1と直列にコイルL1が入っているために、電流Iswは、次の数式1の値に制限される。
【0014】
(数1)
【0015】
Isw=(Vin−Vcc−R1・Isw)・t/L1
【0016】
ここで、R1・Iswは、駆動パルス発生回路21の電源を供給できる程度の低い値、数V程度とする。従って、入力電圧Vinが高電圧の場合には、数式1におけるR1・Iswの寄与度はごく小さい、
なお、ダイオードD1、コンデンサC1によって抵抗R1の両端の電圧は清流平滑化される(図3(c)参照)。
【0017】
次に、R1・Iswが発生することにより、駆動パルス発生回路21に電力が供給され、スイッチSW1の駆動パルスを発生し、出力する(図3(d)参照)。これによりスイッチSW1はスイッチング(ON/OFF)を開始する(図3(e)参照)。
そして、スイッチングによる断続電流Iswは、コンデンサC2にチャージされ、コンデンサC2により平滑化され電圧Vccとして出力される(図3(f)参照)。
【0018】
このように実施例1の補助電源回路2は、電流Iswが流れるとただちに駆動パルス発生回路21の電源が供給されるので(図3(c)参照)、出力である電圧Vccの値が上昇する前に駆動パルス発生回路21が動作を開始してスイッチSW1がオン・オフをはじめる。そのため、電圧Vinの印加からスイッチSW1のオン・オフ開始までの時間遅れを小さくする。よって、電圧Vccの立上り時のオーバーシュートを抑えることになる。このように、実施例1の補助電源回路2では、従来のような損失の発生が抑制され、回路としてのエネルギー効率は良くなる。
【0019】
[電源回路がエネルギー効率を向上する作用]
図1に示す電源回路1は全体で一つの電源回路として作用する。
電源回路1は主電力変換回路3により入力電圧Vinを出力電圧Voutに変換して出力する。電源制御回路31の動作電圧は入力電圧Vinと合致しないため、電源制御回路31には、補助電源回路2により電力を供給する。
【0020】
なお、電源制御回路31には、電源回路1からの出力Voutから電力を供給する場合がある。この場合においても、電源回路1の起動時には電圧Voutが発生していないため、電源制御回路31への給電ができない。その場合にも、実施例1のように補助電源回路2により電源制御回路31への給電を行う。
補助電源回路2の起動動作については、上記説明のため省略する。
【0021】
電源起動時には、電源制御回路31は補助電源回路2からの電圧Vccが供給されて、主電力変換回路3の動作が開始する。この時、電圧Vccの値は正確に一定でなくても良い(定電圧精度が悪くてもよい)。
主電力変換回路3が動作することで、出力電圧Voutが立上る。主電力変換回路3の出力電圧Voutは、補助電源回路2の出力電圧Vccとのダイオードオアにて、電源制御回路31へ接続している(ダイオードD2,D3)。
そして、このダイオードオアにおいて、電圧Vcc<Voutに設定されているので、出力電圧Voutが立上ると、電源制御回路31へは電圧Voutから電力が供給される。
この電源回路1において、補助電源回路2は、上記説明したエネルギー効率の向上作用を有するため、電源回路全体においても起動時の抵抗、トランジスタによる電力損失が抑制される。
【0022】
さらに説明を追加する。
図4は、抵抗やトランジスタにより電力損失が生じる従来の場合を説明するための図である。
図4(a)には、起動時の電源供給回路部分が、抵抗R0とコンデンサC0からなるスイッチング回路を示す。図4(b)には、トランジスタTR0、抵抗R0、ツェナーダイオードZD0により起動時の電源供給回路の構成したものを示す。
【0023】
この図4の構成は、スイッチ駆動パルス発生回路21aを動作させるための電源を入力電圧Vinを降下した電圧Vccから供給するものである。回路の起動時には、電圧Vccが発生していないため、起動時のみスイッチ駆動パルス発生回路21aへ電源を供給する、抵抗R0またはトランジスタTR0による電圧降下を用いた回路を設けたものである。
【0024】
例として図4(a)について動作を説明する。
回路の起動時には、電圧Vccが発生していない。抵抗R0を介してコンデンサC0をチャージすることで、電圧Vcc0を得て、スイッチ駆動パルス発生回路21aへ供給する。そして、スイッチSW0が動作し、電圧Vccが発生すると、スイッチ駆動パルス発生回路21aの動作電源をVccから供給する。図4(a)では、ダイオードオア構成になっている。
【0025】
この図4(a)の回路では、入力電圧Vinが印加されると、コンデンサC0のチャージが始まり、電圧Vcc0が上昇を始める。
そして、コンデンサC0のチャージ電圧がスイッチ駆動パルス発生回路21aの動作電圧範囲まで上昇すると、スイッチSW0がオン・オフを開始する。電源回路として、ほぼ一定の電圧Vccを得るためには、一定のエネルギーをスイッチSW0のオン・オフによりコイルL0に蓄積して、コンデンサC2へ移すことを繰り返す動作が必要である。図4(a)の起動時の電源供給回路部分では、発生させる電圧Vccにてスイッチ駆動パルス発生回路21aを動作させるため、オンオフ開始の遅れが大きく、発生する電圧Vccは大きなオーバーシュートを発生する。電圧オーバーシュートは、電源の負荷回路に電圧ストレスを与えてしまう。
【0026】
また、抵抗R0に電力損失Icc・(Vin−Vcc0)が発生する。この電力損失は、電圧Vinが高くVcc0との差が大きいときには、大きくなる。同じく電流Iccが大きいときも損失は大きくなる。
【0027】
さらにまた、図4(b)に示すトランジスタTR0を用いた起動時の電源供給回路においても、同様に損失Icc・(Vin−Vcc0)が発生する。ここで、トランジスタTR0のベース電位を与えるツェナーダイオードZD0の損失と、ツェナーダイオードZD0へ電流を供給する抵抗の損失についての説明は省略する。
このような回路では、結果として、機器のエネルギー効率が悪化し、発熱で信頼性が低下し、発熱対策のため、部品R0が大型化して機器が大型化、コストが増加する。
【0028】
実施例1では、電圧Vccが発生する前から駆動パルス発生回路21を動作させ、オーバーシュートを抑制し、さらに、電力損失も抑制するため、図4に示す回路で発生するような問題が生じることがない。
【0029】
次に、効果を説明する。
実施例1のスイッチング電源回路にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0030】
(1)入力電圧Vinによりスイッチング動作を行い、入力電圧Vinより低い所定電圧を電源供給のために出力するスイッチング電源回路において、入力電圧Vinの印加により電流が流れ始めるとともに、スイッチ駆動信号により駆動して、スイッチ動作を行うスイッチSW1と、入力電圧Vinの印加により流れ始めるスイッチSW1の電流Iswにより動作し、スイッチ駆動信号を出力する駆動パルス発生回路21を備えるため、エネルギー効率を向上させることができる。また、小型化、信頼性の向上、コストの抑制に寄与できる。
【0031】
(2)上記(1)において、入力電圧Vinが印加される上流と、スイッチSW1の間に、駆動パルス発生回路21と抵抗R1を並列に配置し、入力電圧Vinの印加により流れ始めるスイッチSW1の電流Iswと、抵抗R1の抵抗値の積R1・Iswで得られる電圧値が、駆動パルス発生回路21の動作可能電圧となるよう抵抗R1の抵抗値が設定されているため、抵抗R1で生じる電力損失を非常に小さい値に抑制することができ、オーバーシュートを生じないようにでき、エネルギー効率を向上させることができる。また、これにより、小型化、信頼性の向上、コストの抑制に寄与できる。
【0032】
(4)上記(1)又は(2)において、スイッチSW1の下流側を電源供給のための出力部分とし、スイッチSW1の下流側に、一端を接地させて、電源供給のための出力を平滑化するコンデンサC2を接続したため、出力される電圧Vccを一定の電圧に安定させ、供給された装置や素子、回路が良好に安定して駆動することができる。
【実施例2】
【0033】
実施例2は、スイッチング電源回路(補助電源回路)がツェナーダイオードを用いた例である。
構成を説明する。
図5は実施例2のスイッチング電源回路(補助電源回路)の回路構成を示す図である。
実施例2では、ツェナーダイオードDz1とスイッチSW1、コイルL1を直列回路部分として、入力電圧Vinに接続する構成であり、ツェナーダイオードDz1のアノードをスイッチSW1側とする。そして、駆動パルス発生回路21は、ツェナーダイオードDz1と並列して設けるようにする。
その他構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0034】
作用を説明する。
[動作安定性の向上作用]
実施例2のスイッチング回路(補助電源回路2)では、スイッチSW1の初期状態はオンであり、入力電圧Vinが印加されると、電流Iswが流れ始める。ここで、スイッチSW1と直列にコイルLが入っているために、電流Iswは以下の式の値に制限される。
【0035】
(数2)
【0036】
Isw=(Vin−Vcc−Vdz1)・t/L
数式2において、電圧Vdz1はツェナーダイオードDz1のクランプ電圧であり、駆動パルス発生回路21の電源を供給できる程度の低い値(数V以下)とする。従って、電圧Vinが高電圧の場合には、数式2におけるVdz1の寄与度はごく小さい。
【0037】
次にツェナー電圧Vdz1が発生することで駆動パルス発生回路21が動作を始めてスイッチSW1の駆動パルスを発生し、スイッチSW1がスイッチング(ON/OFF)を開始する。このスイッチング動作により断続電流IswをコンデンサC2にチャージし、電圧Vccを供給する。
【0038】
このように、実施例2においても、電流Iswが流れるとただちに駆動パルス発生回路21の電源が供給され、出力である電圧Vccの値が上昇する前に駆動パルス発生回路21が動作を開始してスイッチSW1がオン・オフをはじめる。そのため、電圧Vinの印加からスイッチSW1のオン・オフ開始までの時間遅れを小さくする。よって、電圧Vccの立上り時のオーバーシュートを抑えることになる。また、Vdz1は駆動パルス発生回路21への電源供給ができる程度に抑制しているため、損失は従来より非常に抑制される。
【0039】
効果を説明する。実施例2のスイッチング電源回路にあっては、上記(1),(4)に加えて、以下の効果を有する。
(3)上記(1)において、入力電圧Vinが印加される上流と、スイッチSW1の間に、駆動パルス発生回路21とツェナーダイオードDz1を並列に配置し、入力電圧Vinの印加により流れ始めるスイッチSW1の電流Iswと、ツェナーダイオードDz1のツェナー電圧Vdz1の電圧値が、駆動パルス発生回路21の動作可能電圧となるようツェナーダイオードDz1のツェナー電圧Vdz1の電圧値が設定されているため、電力損失を非常に小さい値に抑制することができ、オーバーシュートを生じないようにでき、エネルギー効率を向上させることができる。また、これにより、小型化、信頼性の向上、コストの抑制に寄与できる。
【0040】
さらに、ツェナーダイオードDz1を用いることにより、電流Iswのピークの大小に関わらず図5に示す電圧V1の最大電圧が一定となり、駆動パルス発生回路21の電源電圧が安定するので、回路の動作安定性向上ができる。また、電圧V1の最大電圧がツェナーダイオードDz1でクランプされるので、駆動パルス発生回路21の過電圧保護を行うことができる。
その他作用効果は実施例1と同様であるので説明を省略する。
【実施例3】
【0041】
実施例3は、スイッチング電源回路の出力部分にツェナーダイオードDz2を設けた例である。
構成を説明する。
図6は実施例3のスイッチング電源回路(補助電源回路)の回路構成を示す図である。
実施例3では、コイルLの下流側に配置されたコンデンサC2と並列にツェナーダイオードDz2を設ける。
その他構成は実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0042】
作用を説明する。
[過電圧保護作用]
実施例3では、実施例2の動作安定性の向上作用と同様の作用に加えて、過電圧保護作用を有する。
図6に示す実施例3のスイッチング電源回路の出力電圧Vccは、ツェナーダイオードDz2によりクランプされることになる。そのため、電圧Vccを一定電圧に調整することになる。または、一定電圧を越えて電圧Vccが上昇するのを防ぐ、過電圧保護の機能を付加することになる。
【0043】
効果を説明する。実施例3のスイッチング電源回路にあっては、上記(1),(4)に加えて、以下の効果を有する。
(5)上記(4)において、コンデンサC2と並列に接続されたツェナーダイオードDz2を備えたため、電圧Vccのさらなる安定化ができ、または電圧Vccの過電圧保護を行うことができる。
その他作用効果は実施例2と同様であるので、説明を省略する。
【実施例4】
【0044】
実施例4は、コイルLと並列にダイオードを設けた例である。
構成を説明する。
図7は実施例4のスイッチング電源回路(補助電源回路)の回路構成を示す図である。
実施例4では、スイッチSW1とコンデンサC2の間のコイルL1と並列にダイオードD2を設ける。上流側への接続をカソードとする。
その他構成は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
作用を説明する。
[サージ電圧の抑制作用]
実施例4では、コイルL1と並列にダイオードD2を設けている。そのため、スイッチSW1がオン時にコイルL1に蓄えられるエネルギが、スイッチSW1のオフ時に回生される。これによりコイルL1の逆起電力によるサージ電圧を抑制する。
【0046】
効果を説明する。実施例4のスイッチング回路においては、上記(1),(4),(5)に加えて、以下の効果を有する。
(6)上記(4)又は(5)において、スイッチSW1とコンデンサC2の間に接続され、スイッチングによる変動分を滑らかにするコイルL1と、コイルL1と並列に接続されたダイオードD2を備えるため、サージ電圧を抑制することができ、信頼性を向上させることができる。
その他作用効果は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【実施例5】
【0047】
実施例5は、コイルL1及びコンデンサC2と並列にダイオードを設けた例である。
構成を説明する。
図8は実施例5のスイッチング電源回路(補助電源回路)の回路構成を示す図である。
実施例5では、スイッチSW1の下流に接続したコイルL1及びコンデンサC2と並列にダイオードD2を設ける。上流側への接続をカソードとする。なお、アノード側は、コンデンサC2とグランドの間に接続する。
その他構成は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0048】
作用を説明する。
[サージ電圧の抑制作用]
実施例5では、コイルL1及びコンデンサC2と並列にダイオードD2を設けている。そのため、スイッチSW1がオン時にコイルL1に蓄えられるエネルギが、スイッチSW1のオフ時に回生される。これによりコイルL1の逆起電力によるサージ電圧を抑制する。
【0049】
効果を説明する。実施例5のスイッチング回路においては、上記(1),(4),(5)に加えて、以下の効果を有する。
(7)上記(4)又は(5)において、スイッチSW1とコンデンサC2の間に接続され、スイッチングによる変動分を滑らかにするコイルL1と、コイルL1及びコンデンサC2と並列に接続されたダイオードD2を備えるため、サージ電圧を抑制することができ、信頼性を向上させることができる。
その他作用効果は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【実施例6】
【0050】
実施例6はスイッチとしてMOSFET4を用い、駆動パルス発生回路を反転電源回路とパルス発生回路で構成した例である。
構成を説明する。
図9は実施例6のスイッチング電源回路(補助電源回路)の回路構成を示す図である。
実施例6のスイッチング電源回路では、スイッチとしてPチェネルのMOSFET4を用い、入力電圧Vinの下流に、ツェナーダイオードDz1、MOSFET4、コイルLの順に直列に配置する。そして、コイルLとグランドの間には、コンデンサC2を配置し、コイルLとコンデンサC2の間からスイッチング電源回路の出力である電圧Vccを出力する構成にする。
さらに、コンデンサC2と並列にツェナーダイオードDz2を接続し、さらにコンデンサC2とコイルLと並列にダイオードD2を接続する。
【0051】
次に実施例6では、駆動パルス発生回路21を、パルス発生回路211と反転電源回路212で構成する。そして、パルス発生回路211の出力をMOSFET4のゲート信号とする。なお、パルス発生回路211とMOSFET4の間には、ゲート信号調整のために抵抗R3を設ける。
さらに、MOSFET4と接地間に抵抗R2を設け、MOSFET4のゲート−ソース間にツェナーダイオードDz3を設ける。
その他構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0052】
作用を説明する。
[動作安定性の向上作用]
実施例6では、抵抗R2によって初期状態では、MOSFET4のソース−ドレイン間をオン状態にする。このとき、抵抗R2は相当に大きい値とし、抵抗R2に流れる電流を非常に小さくし、電力損失を非常に小さくする。
そして、PチャネルのMOSFET4を駆動させるために、反転電源回路212にて負電圧を発生させ、パルス発生回路211にてMOSFET4を駆動するための負電圧パルスを発生させる。
【0053】
これにより、スイッチ素子であるMOSFET4が駆動され、スイッチ動作が行われる。
ツェナーダイオードDz3によりMOSFET4のゲート−ソース間の電圧Vgsが定格値を越えないように、保護を行う。
【0054】
このように、実施例6においても、電流Iswが流れるとただちに反転電源回路212、パルス発生回路211の電源が供給され、出力である電圧Vccの値が上昇する前に反転電源回路212、パルス発生回路211が動作を開始してMOSFET4がオン・オフをはじめる。そのため、電圧Vinの印加からMOSFET4のオン・オフ開始までの時間遅れを小さくする。よって、電圧Vccの立上り時のオーバーシュートを抑えることになる。また、Vdz1は反転電源回路212、パルス発生回路211への電源供給ができる程度に抑制しているため、損失は従来より非常に抑制される。
【0055】
図10に示すのは、実施例6のスイッチング電源回路の試験用の回路を示す図である。図11は図10のスイッチング電源回路におけるスイッチのドライブ電圧、コイル電流、駆動パルス発生回路の動作電源電圧、電圧Vcc、スイッチのドレイン電圧のタイムチャートである。
【0056】
図10の回路構成では、図9の回路構成とほぼ同様の構成とし、特徴的には、スナバ回路部5を設けている。スナバ回路部5は、MOSFET4と並列して設けられ、抵抗とコンデンサを直列した構成であり、MOSFET4のオンオフ時のスパイク電圧を防止する。
この図10の回路構成における各波形の試験結果において、出力である電圧Vccの値が上昇する前に、駆動パルス発生回路が動作していることがわかる。
【0057】
効果を説明する。実施例6のスイッチング回路においては、上記(1),(3)に加えて、以下の効果を有する。
(8)スイッチ手段は、PチャネルのMOSFET4であり、抵抗R2により初期状態のMOSFET4をオンにし、駆動信号出力手段は、パルス発生回路211と反転電源回路212であり、反転電源回路212による負電圧によりパルス発生回路211が負電圧パルス(オン時はゲート電位がソースより低い)でMOSFET4を駆動するため、出力である電圧Vccの値が上昇する前に、パルス発生回路211と反転電源回路212が動作するようにし、エネルギー効率を向上させることができる。
【0058】
以上、本発明のスイッチング電源回路を実施例1〜実施例6に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0059】
実施例では、スイッチング電源回路を電源回路の補助電源回路として用いる具体例を示したが、他の装置に組み込まれ、補助電源となるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施例1のスイッチング電源回路を補助電源回路として組み込んだ電源回路の例を示す図である。
【図2】補助電源回路2(スイッチング回路)の回路構成を示す図である。
【図3】図2の補助電源回路の電圧Vin、電流Isw、電圧Vc1、駆動パルス、スイッチ信号、電圧Vccのタイムチャートである。
【図4】抵抗やトランジスタにより電力損失が生じる従来の場合を説明するための図である。
【図5】実施例2のスイッチング電源回路(補助電源回路)の回路構成を示す図である。
【図6】実施例3のスイッチング電源回路(補助電源回路)の回路構成を示す図である。
【図7】実施例4のスイッチング電源回路(補助電源回路)の回路構成を示す図である。
【図8】実施例5のスイッチング電源回路(補助電源回路)の回路構成を示す図である。
【図9】実施例6のスイッチング電源回路(補助電源回路)の回路構成を示す図である。
【図10】実施例6のスイッチング電源回路の試験用の回路を示す図である。
【図11】図10のスイッチング電源回路におけるスイッチのドライブ電圧、コイル電流、駆動パルス発生回路の動作電源電圧、電圧Vcc、スイッチのドレイン電圧のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 電源回路
2 補助電源回路
3 主電力変換回路
4 MOSFET
5 スナバ回路部
21a スイッチ駆動パルス発生回路
21 駆動パルス発生回路
31 電源制御回路
211 パルス発生回路
212 反転電源回路
C0〜C2 コンデンサ
D1〜D3 ダイオード
Dz0〜Dz3 ツェナーダイオード
L0,L1,L10 コイル
R0〜R3 抵抗
SW1,SW1,SW10,SW11 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧によりスイッチング動作を行い、前記入力電圧より低い所定電圧を電源供給のために出力するスイッチング電源回路において、
前記入力電圧の印加により電流が流れ始めるとともに、スイッチ駆動信号により駆動して、スイッチ動作を行うスイッチ手段と、
前記入力電圧の印加により流れ始めるスイッチ手段の電流により動作し、前記スイッチ駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、
を備えることを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチング電源回路において、
前記入力電圧が印加される上流と、前記スイッチ手段の間に、前記駆動信号出力手段と抵抗を並列に配置し、
前記入力電圧の印加により流れ始めるスイッチ手段の電流と、前記抵抗の抵抗値の積で得られる電圧値が、前記駆動信号出力手段の動作可能電圧となるよう前記抵抗の抵抗値が設定されている、
ことを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項3】
請求項1に記載のスイッチング電源回路において、
前記入力電圧が印加される上流と、前記スイッチ手段の間に、前記駆動信号出力手段とツェナーダイオードを並列に配置し、
前記入力電圧の印加により流れ始めるスイッチ手段の電流と、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧の電圧値が、前記駆動信号出力手段の動作可能電圧となるよう前記ツェナーダイオードのツェナー電圧の電圧値が設定されている、
ことを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のスイッチング電源回路において、
前記スイッチ手段の下流側を電源供給のための出力部分とし、
前記スイッチ手段の下流側に、一端を接地させて、電源供給のための出力を平滑化する平滑化手段を接続した、
ことを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項5】
請求項4に記載のスイッチング電源回路において、
前記平滑化手段と並列に接続されたツェナーダイオードを備えた、
ことを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のスイッチング電源回路において、
前記スイッチ手段と前記平滑化手段の間に接続され、スイッチングによる変動分を滑らかにするコイルと、
前記コイルと並列に接続されたダイオードと、
を備えることを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項7】
請求項4又は請求項5に記載のスイッチング電源回路において、
前記スイッチ手段と前記平滑化手段の間に接続され、スイッチングによる変動分を滑らかにするコイルと、
前記コイル及び前記平滑化手段と並列に接続されたダイオードと、
を備えることを特徴とするスイッチング電源回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−261108(P2009−261108A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106093(P2008−106093)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】