説明

スイッチング電源装置

【課題】本発明は、簡単な構成でサージ耐圧を高めつつ、出力電圧精度の高いスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一次側回路と二次側回路とを備えたスイッチング電源装置が、二次側回路の出力電圧を検出する検出回路と、一次側回路及び二次側回路と電気的に絶縁された状態で検出回路の検出結果を一次側回路にフィードバックする中継回路とを備え、検出回路は検出した出力電圧に応じた光量の光を発光する第1の発光素子を有し、中継回路は、第1の発光素子からの光を受光して光量に応じた電流を生成する第1の受光素子と、該第1の受光素子により生成された電流の大きさに応じた光量の光を発光する第2の発光素子とを有し、一次側回路は、第2の発光素子からの光を受光し光量に応じた電流を生成する第2の受光素子を有し、一次側回路は、第2の受光素子により生成された電流の大きさに基づいて一次巻線の電流をオン/オフを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源電圧を直流電源電圧に変換するスイッチング電源装置に関し、特に、一次側回路−二次側回路間のサージ耐圧を高めることを可能にしたスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な電子機器において、スイッチング電源装置が使用されている。スイッチング電源装置は、交流電源(商用電源)に接続された整流回路と、この整流回路からの整流出力を平滑する平滑コンデンサと、この平滑コンデンサからの直流電圧が供給されるトランスと、平滑コンデンサからの直流電圧がトランスの一次巻線を介して供給されるスイッチング素子とを有している。スイッチング素子は、スイッチング制御回路によってオン/オフ制御され、このスイッチング素子のオフ期間に一次巻線に蓄えたエネルギーを、スイッチング素子のオン期間に二次巻線に励起し、二次巻線に発生する電圧を整流することで直流電圧出力を得ている。また、安定した直流電圧出力を得るために、直流電圧出力の変動をモニタし、スイッチング制御回路にフィードバックすることにより、スイッチング素子のオン/オフ時間を制御している。そして、直流電圧出力の変動のモニタ及びフィードバックには、一次側回路と二次側回路間の絶縁性を維持する目的からフォトカプラが用いられている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−153234号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、スイッチング電源装置は機器が必要とする所定の電圧を出力するもので、通常、商用電源に接続される。そのため、各種安全規格に適合するように設計されており、例えば、特許文献1のような構成では、一次側回路−二次側回路間のサージ耐圧が安全規格に適合するように高耐圧(例えば、5kV)のフォトカプラを用いることにより、一次側回路−二次側回路間の絶縁耐圧を保証している。スイッチング電源装置が、電話交換機、サーバー等、常時安定した電源の供給が必要とされる機器に用いられる場合には、とりわけ高度な信頼性が要求され、安全規格上求められるサージ耐圧以上のサージ耐圧が求められるが、特許文献1の構成ではサージ耐圧がフォトカプラの耐圧に依存するため、フォトカプラの耐圧までしか保証できない。
【0005】
サージ耐圧を高める方法としては、フォトカプラを使用せず、一次側補助巻線に発生する電圧をモニタしフィードバックすることも考えられるが、負荷によって変動する二次側回路の電圧を直接モニタする構成ではないため、フォトカプラを用いる構成と比較して出力電圧の精度が悪くなる。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、高耐圧で出力電圧精度の高いスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本願発明のスイッチング電源装置は、一次巻線と、一次巻線の他端に接続され一次巻線に流れる電流をオン/オフするスイッチング素子と、スイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路とを有する一次側回路と、二次巻線と、二次巻線に生じる電圧を整流し平滑化する直流化回路とを有する二次側回路と、を備えたスイッチング電源装置であって、直流化回路の出力電圧を検出する検出回路と、一次側回路及び二次側回路と電気的に絶縁された状態で、検出回路の検出結果を制御回路にフィードバックする中継回路とを備え、検出回路は、検出した出力電圧に応じた光量の光を発光する第1の発光素子を有し、中継回路は、入射される光を受光して光量に応じた電流を生成する第1の受光素子と、該第1の受光素子と直列に接続され、該第1の受光素子により生成された電流の大きさに応じた光量の光を発光する第2の発光素子とを有し、制御回路は、第2の発光素子からの光を受光し、光量に応じた電流を生成する第2の受光素子を有し、制御回路は、第2の受光素子により生成された電流の大きさに基づいてスイッチング素子のオン/オフを制御し、中継回路は、第1の発光素子からの光を受光することを特徴とする。
【0008】
このような構成により、第1の発光素子の光が、中継回路の第1の受光素子と第2の発光素子とで中継され、第2の受光素子に送られてフィードバック制御される。すなわち、一次側回路と二次側回路とは、2組の発光素子と受光素子を介して電気的に絶縁されることとなるため、従来技術と比較して、サージ耐圧は2倍となる。また、発光素子と受光素子によって出力電圧が一次側回路にフィードバックされるため精度の良い出力電圧制御が可能となる。
【0009】
また、中継回路が、一次巻線及び二次巻線とから絶縁された第3の巻線を有することが好ましい。このような構成により、中継回路を簡単に構成することができる。
【0010】
また、第1の発光素子と第1の受光素子とが第1のフォトカプラを構成し、第2の発光素子と前記第2の受光素子とが第2のフォトカプラを構成することが好ましい。
【0011】
また、中継回路をN個有し、1番目の中継回路は、第1の発光素子からの光を受光して2番目の中継回路に向けて光を発光し、n番目(nは、2以上、N−1以下の整数)の中継回路は、(n−1)番目の中継回路からの光を受光して(n+1)番目の中継回路に向けて光を発光し、N番目の中継回路は、(n−1)番目の中継回路からの光を受光して第2の受光素子に向けて光を発光する構成としてもよい。このような構成とすることにより、サージ耐圧をさらに高めることが可能となる。
【0012】
また、一次側回路と中継回路との間のインピーダンスと、二次側回路と中継回路との間のインピーダンスとが略等しいことが好ましい。この場合、一次側回路のグラウンドと中継回路のグラウンドとの間に挿入される第1の抵抗と、二次側回路のグラウンドと中継回路のグラウンドとの間に挿入される第2の抵抗とをさらに備え、第1の抵抗のインピーダンスは、一次側回路と中継回路との間のインピーダンスよりも低く、第2の抵抗のインピーダンスは、二次側回路と中継回路との間のインピーダンスよりも低い構成としても良い。このような構成とすることにより、一次側回路から中継回路を見た場合のインピーダンスと、二次側回路から中継回路を見た場合のインピーダンスとを整合させることが可能となり、安定したサージ耐圧を得ることができる。
【0013】
また、一次側回路が一次補助巻線を有し、制御回路が、一次補助巻線に生じる電圧を整流し平滑化して得られる直流電圧によって駆動される構成としても良い。このような構成により、回路を簡素化できる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、高耐圧で出力電圧精度の高いスイッチング電源装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係るスイッチング電源装置について以下に説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置1の回路図である。本実施形態に係るスイッチング電源装置1は、一次側回路に入力される交流電力をトランス400によって変換し、二次側回路に一定の直流電力を出力する電源装置である。トランス400は、一次側巻線120、一次側補助巻線150、二次側巻線220及び中間巻線320を有する。スイッチング電源装置1の一次側回路は、ダイオードブリッジ回路110、コンデンサ115、一次側巻線120、FET125、抵抗126、127、制御用IC130、一次側補助巻線150、ダイオード155、コンデンサ145、後述する第2フォトカプラ205を構成する第2フォトトランジスタ140を有する。また、スイッチング電源装置1の二次側回路は、二次側巻線220、ダイオード210、コンデンサ215、抵抗225、240、245、シャントレギュレータ235、第1発光ダイオード230を有する。また、スイッチング電源装置1は、中間巻線320、ダイオード310、第1フォトトランジスタ330、第2発光ダイオード340、抵抗345を備えた光中継回路300有している。第1発光ダイオード230と第1フォトトランジスタ330は、第1フォトカプラ200(点線部)を構成し、第1発光ダイオード230から出射された光は第1フォトトランジスタ330で受光され光電変換される。また、第2発光ダイオード340と第2フォトトランジスタ140は、第2フォトカプラ205(点線部)を構成し、第2発光ダイオード340から出射された光は第2フォトトランジスタ140で受光されて光電変換される。なお、図1の回路は、説明の便宜上、回路を簡易化して示している。
【0018】
ダイオードブリッジ回路110に入力(印加)される商用電源(AC100〜220V)は、ダイオードブリッジ回路110によって整流され、コンデンサ115によって平滑化されてコンデンサ115の端子間に一次直流電圧V1を生成する。なお、コンデンサ115の負端子側は、ダイオードブリッジ回路110の負端子側と接続され一次側回路のグラウンドレベル(GND1)となっている。そして、一次直流電圧V1は、トランス400の一次側巻線120の一端及び制御用IC130のVH端子に供給される。
【0019】
一次側巻線120の他端は、FET125のドレイン端子に接続される。また、FET125のソース端子は、抵抗126及び127を介して一次側回路のGND1(グラウンド)及び制御用IC130のIS端子にそれぞれ接続され、ゲート端子は、制御用IC130のOUT端子に接続される。
【0020】
FET125は、例えば、パワーMOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)であり、ゲート端子に入力される電圧によって、ドレイン端子−ソース端子間に流れる電流が制御される。本実施形態のFET125は、N型のMOSFETであり、ゲート端子に入力される電圧が上昇するとドレイン端子−ソース端子間に電流が流れる(すなわち、オンする)ように構成されている。
【0021】
制御用IC130は、FET125のオン/オフを制御するためのICである。制御用IC130は、内部にクロック(不図示)を有しており、所定の周波数のスイッチングパルスを生成して制御用IC130のOUT端子より出力する。スイッチングパルスが、FET125のゲート端子に入力されると、FET125がオンし、一次直流電圧V1に起因する電流(一次電流)が一次側巻線120、FET125及び抵抗126を通って一次側回路のGND1(グラウンド)に流れる。FET125がオンしている期間、一次側巻線120を流れる電流によって、一次側巻線120に磁気エネルギーが蓄えられる。そして、FET125がオフすることによって、一次側巻線120に蓄えられた磁気エネルギーが、一次側巻線120とは逆極性となるように構成された二次側巻線220、一次側補助巻線150及び中間巻線320に伝達される。すなわち、制御用IC130の制御によりFET125が断続的にオン/オフすることにより、二次側巻線220、一次側補助巻線150及び中間巻線320に断続的な電圧が誘起される。
【0022】
一次側補助巻線150に誘起された電圧は、ダイオード155によって整流され、コンデンサ145によって平滑化されて、制御用IC130のVcc端子(電源端子)に印加される。なお、起動時においては、一次側補助巻線150に電圧が誘起されないため、制御用IC130に内蔵される起動回路(不図示)が、一次直流電圧V1に起因する電流を制御用IC130のVH端子に供給することによって制御用IC130が起動される。
【0023】
制御用IC130のIS端子には、抵抗127を介してFET125のソース端子が接続される。FET125と抵抗126は、いわゆるソースフォロアを構成し、FET125のソース端子の電圧は、FET125を流れる電流に比例する。制御用IC130は、IS端子に印加される電圧を監視することにより、過電流を検出している。
【0024】
制御用IC130のFB端子には、第2フォトトランジスタ140のコレクタが接続され、第2フォトトランジスタ140のエミッタはGND1に接続される。第2フォトトランジスタ140は、後述するように、二次直流電圧V2(DC出力)の電圧値によって光量が変化する第2発光ダイオード340からの光を受光し、光電変換することによってその受光量に応じた電流を流す。制御用IC130は、第2発光ダイオード340を流れる電流から二次直流電圧V2の電圧値を検出し、二次直流電圧V2の電圧値が一定となるように(すなわち、第2発光ダイオード340を流れる電流が一定となるように)、FET125に供給するスイッチングパルスのデューティー比を変化させる。上述のように、FET125のデューティー比(すなわち、オンしている時間)を制御することは、一次側巻線120に蓄えられる磁気エネルギーを制御することに他ならないため、これによって二次側巻線220に誘起される電圧を制御することが可能となる。以上のように、第2発光ダイオード340と第2フォトトランジスタ140によって、二次直流電圧V2の電圧値が、電気的に絶縁された一次側回路にフィードバックされることとなる。
【0025】
二次側巻線220の両端に断続的に誘起された電圧は、ダイオード210によって整流され、コンデンサ215によって平滑化されて二次直流電圧V2を生成する。そして、二次直流電圧V2が、DC出力として不図示の負荷に供給される。
【0026】
第1発光ダイオード230、シャントレギュレータ235、抵抗225、240、245は、二次直流電圧モニタ回路を構成している。
【0027】
シャントレギュレータ235は、リファレンス端子の電圧によって、シャントレギュレータ235を流れる電流を制御する素子である。抵抗240と245は、二次直流電圧V2と二次側回路のGND2(グラウンド)間に直列に挿入され、シャントレギュレータ235のリファレンス端子には、抵抗240と245の接続点の電圧が印加される。シャントレギュレータ235のリファレンス端子の電圧が所定値よりも小さい場合にはシャントレギュレータ235に流れる電流は少なくなり、逆にリファレンス端子の電圧が所定値よりも大きい場合にはシャントレギュレータ235に流れる電流は大きくなる。このため、抵抗225を介して第1発光ダイオード230に流れる電流、すなわち第1発光ダイオード230の発光量がリファレンス端子の電圧によって制御される。本実施形態の場合、シャントレギュレータ235のリファレンス端子には、二次直流電圧V2を抵抗240と245によって抵抗分圧した電圧が印加されるため、二次直流電圧V2の電圧値に応じて第1発光ダイオード230の発光量が変化する。
【0028】
中間巻線320、ダイオード310、コンデンサ315、第1フォトトランジスタ330、第2発光ダイオード340及び抵抗345は、光中継回路300を構成している。中間巻線320は、一次側巻線120、二次側巻線220、一次側補助巻線150のそれぞれと絶縁されたトランス400の巻線である。上述のように、一次側巻線120に断続的に電流が流れることにより、中間巻線320の両端に断続的な電圧が誘起される。そして、この電圧は、ダイオード310によって整流され、コンデンサ315によって平滑化されて中間直流電圧V3を生成する。そして、中間直流電圧V3とそのグラウンド(GND3)間には、第1フォトトランジスタ330、第2発光ダイオード340及び抵抗345が直列に挿入されている。
【0029】
第1フォトトランジスタ330は、第1発光ダイオード230からの光にほぼ比例した電流を流す。そして、この電流は、第2発光ダイオード340及び抵抗345を経由して、GND3に流れ込む。このとき、第2発光ダイオード340は、第1フォトトランジスタ330で発生する電流に応じた光量で発光する。第1フォトトランジスタ330で発生する電流は、第1発光ダイオード230の光量、すなわち二次直流電圧V2の電圧値に基づくものであるため、第2発光ダイオード340の光量は、二次直流電圧V2の電圧値を表していることとなる。そして、第2発光ダイオード340から発光された光は、第2フォトトランジスタ140で受光され、上述のフィードバック制御がなされる。
【0030】
以上のように、本実施形態のスイッチング電源装置1では、二次直流電圧V2の電圧値に応じた光量の光が、第1発光ダイオード230から出力される。そして、第1発光ダイオード230から発光された光が、一次側回路及び二次側回路から絶縁された第1フォトトランジスタ330と第2発光ダイオード340(すなわち、光中継回路300)で中継され、第2フォトトランジスタ140に送られるように構成されている。すなわち、一次側回路と二次側回路とは、一次側回路と二次側回路間に直列に挿入された2つのフォトカプラ(第1フォトカプラ200、第2フォトカプラ205)を介して電気的に絶縁されている。従って、一次側回路と二次側回路間にサージ電圧が印加された場合のサージ耐圧は、第1フォトカプラ200のサージ耐圧と第2フォトカプラ205のサージ耐圧との和となるため、従来技術のような一次側回路と二次側回路とを1つのフォトカプラで絶縁する構成と比較して、サージ耐圧は2倍となる。また、フォトカプラによって二次直流電圧V2の電圧値が一次側回路にフィードバックされるため精度の良い出力電圧制御が可能となる。
【0031】
なお、一次側回路から光中継回路300を見た場合のインピーダンスは、第2フォトトランジスタ140と第2発光ダイオード340間のインピーダンスと考えられ、二次側回路から光中継回路300を見た場合のインピーダンスは、第1フォトトランジスタ330と第1発光ダイオード230間のインピーダンスと考えられる。従って、第1フォトカプラ200と第2フォトカプラ205の回路配置、配線等の条件がほぼ等しい場合、両インピーダンスはほぼ等しく、一次側回路―2次側回路間にサージ電圧が印加された場合、このサージ電圧は、第1フォトトランジスタ330と第1発光ダイオード230間、第2フォトトランジスタ140と第2発光ダイオード340間にほぼ等しく加わることとなる。よって、一方のフォトカプラに偏ってサージ電圧が加わることはなく、フォトカプラが破壊されることもない。
【0032】
次に、本発明の第2の実施形態として、一次側回路から光中継回路300を見た場合のインピーダンスと、二次側回路から光中継回路300を見た場合のインピーダンスとの整合を図ったスイッチング電源装置について説明する。第1フォトカプラ200と第2フォトカプラ205の回路配置等の条件が異なり、一次側回路から光中継回路300を見た場合のインピーダンスと、二次側回路から光中継回路300を見た場合のインピーダンスとが異なる場合には、両インピーダンスの整合を図ることが望ましい。
【0033】
図2は、本発明の第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置1Mの構成を示す回路図である。本実施形態に係るスイッチング電源装置1Mは、図1に示される第1の実施形態に係るスイッチング電源装置1に、インピーダンスを整合させるための抵抗350、355を追加したものである。なお、図2において、第1の実施形態と共通する構成については、図1と同一の符号を付している。
【0034】
図2に示されるように、本実施形態のスイッチング電源装置1Mにおいては、一次側回路の接地端子G1(GND1)と光中継回路300の接地端子G3(GND3)とが抵抗355を介して接続され、二次側回路の接地端子G2(GND2)と光中継回路300の接地端子G3とが抵抗350を介して接続されている。
【0035】
抵抗350は、第1フォトトランジスタ330と第1発光ダイオード230間のインピーダンスよりも低い(例えば、約1/10)インピーダンスを有する抵抗であり、抵抗355は、第2フォトトランジスタ140と第2発光ダイオード340間のインピーダンスよりも低い(例えば、約1/10)インピーダンスを有する抵抗である。この場合、一次側回路から光中継回路300を見た場合のインピーダンスは、第1フォトトランジスタ330と第1発光ダイオード230との間のインピーダンスと、抵抗355のインピーダンスとの合成インピーダンスと考えられ、二次側回路から光中継回路300を見た場合のインピーダンスは、第2フォトトランジスタ140と第2発光ダイオード340との間のインピーダンスと、抵抗350のインピーダンスとの合成インピーダンスと考えられる。よって、抵抗350と抵抗355の抵抗値を調整することによって、一次側回路から光中継回路300を見た場合のインピーダンスと、二次側回路から光中継回路300を見た場合のインピーダンスとを正確にマッチングさせることが可能となる。
【0036】
以上のように、本実施形態のスイッチング電源装置1Mによれば、一次側回路から光中継回路300を見た場合のインピーダンスと、二次側回路から光中継回路300を見た場合のインピーダンスとをマッチングさせることが可能となるため、一次側回路―2次側回路間にサージ電圧が印加された場合、このサージ電圧は、第1フォトトランジスタ330と第1発光ダイオード230間、第2フォトトランジスタ140と第2発光ダイオード340間に等しく加わることとなる。例えば、第1フォトカプラ200及び第2フォトカプラ205の耐圧が5kVである場合、5kVを上回るサージ電圧が加わっても、これら2つのフォトカプラが直列に接続されているため、各フォトカプラに印加される電圧が5kVを下回れば、フォトカプラが破損することはない。すなわち、フォトカプラが2個の場合、サージ電圧の最大許容値は10kVとなる。
【0037】
上記のように、本発明の第1及び第2の実施形態においては、第1発光ダイオード230の光を一つの光中継回路300(すなわち、第1フォトトランジスタ330と第2発光ダイオード340)で第2フォトトランジスタ140に中継する構成として説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、複数の光中継回路300を設けて、光が複数のフォトカプラ間で順次伝搬される構成としても良い。このような構成を採ることにより、一次―二次間のサージ耐圧は、さらに高いものとなる。なお、この場合であっても、一次側回路から各光中継回路300を見た場合のインピーダンスと、二次側回路から各光中継回路300を見た場合のインピーダンスは、ほぼ等しくなる。
【0038】
また、本発明の第1及び第2の実施形態においては、制御用IC130は、一次側補助巻線150に誘起された電圧によって動作する構成として説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、一次側補助巻線をなくし、一次直流電圧V1によって動作する制御用ICを使用する構成としても良い。
【0039】
また、本発明の第1及び第2の実施形態においては、中間巻線320は、二次側巻線220と同極となるように構成したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。中間巻線320は、光中継回路300を駆動するための電圧を生成するものであればよく、一次側巻線120と同極となるように構成しても良い。
【符号の説明】
【0040】
1、1M スイッチング電源装置
110 ダイオードブリッジ回路
115、145、215、315 コンデンサ
120 一次側巻線
125 FET
130 制御用IC
140 第2フォトトランジスタ
150 一次側補助巻線
155、210、310 ダイオード
200 第1フォトカプラ
205 第2フォトカプラ
220 二次側巻線
126、127、225、240、245、345、350、355 抵抗
230 第1発光ダイオード
235 シャントレギュレータ
300 光中継回路
320 中間巻線
330 第1フォトトランジスタ
340 第2発光ダイオード
400 トランス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次巻線と、前記一次巻線の他端に接続され前記一次巻線に流れる電流をオン/オフするスイッチング素子と、前記スイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路と、を有する一次側回路と、
二次巻線と、前記二次巻線に生じる電圧を整流し平滑化する直流化回路と、を有する二次側回路と、
を備えた、スイッチング電源装置において、
前記直流化回路の出力電圧を検出する検出回路と、
前記一次側回路及び前記二次側回路と電気的に絶縁された状態で、前記検出回路の検出結果を前記制御回路にフィードバックする中継回路とを備え、
前記検出回路は、検出した出力電圧に応じた光量の光を発光する第1の発光素子を有し、
前記中継回路は、入射される光を受光して光量に応じた電流を生成する第1の受光素子と、該第1の受光素子と直列に接続され、該第1の受光素子により生成された電流の大きさに応じた光量の光を発光する、第2の発光素子とを有し、
前記制御回路は、前記第2の発光素子からの光を受光し、光量に応じた電流を生成する、第2の受光素子を有し、
前記制御回路は、前記第2の受光素子により生成された電流の大きさに基づいて前記スイッチング素子のオン/オフを制御し、
前記中継回路は、前記第1の発光素子からの光を受光する
ことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記中継回路が、前記一次巻線及び二次巻線とから絶縁された第3の巻線を有することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記第1の発光素子と前記第1の受光素子とが第1のフォトカプラを構成し、前記第2の発光素子と前記第2の受光素子とが第2のフォトカプラを構成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記中継回路をN個有し、
1番目の中継回路は、前記第1の発光素子からの光を受光して2番目の中継回路に向けて光を発光し、
n番目(nは、2以上、N−1以下の整数)の中継回路は、(n−1)番目の中継回路からの光を受光して(n+1)番目の中継回路に向けて光を発光し、
N番目の中継回路は、(n−1)番目の中継回路からの光を受光して前記第2の受光素子に向けて光を発光する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記一次側回路と前記中継回路との間のインピーダンスと、前記二次側回路と前記中継回路との間のインピーダンスとが略等しいことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記一次側回路のグラウンドと前記中継回路のグラウンドとの間に挿入される第1の抵抗と、
前記二次側回路のグラウンドと前記中継回路のグラウンドとの間に挿入される第2の抵抗と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記一次側回路が、一次補助巻線を有し、
前記制御回路が、前記一次補助巻線に生じる電圧を整流し平滑化して得られる直流電圧によって駆動されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−90466(P2012−90466A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236306(P2010−236306)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】