説明

スイッチ装置

【課題】操作部の変位の検出精度を向上できるスイッチ装置を提供することにある。
【解決手段】スイッチ装置SWは、ケース1と、当該ケース1に移動自在に取り付けられた操作部2と、ケース1に収納され操作部2のケース1に対する規定位置からの変位を検出する検出ブロックBKとを備え、検出ブロックBKは、操作部2の変位に応じて所定方向に移動する作動子3と、検出コイルを有する検出部4と、作動子3に取り付けられ作動子3の移動に伴って検出コイルとの距離が変化する被検出部5と、検出コイルに所定の周波数及び振幅の電流を出力し当該電流及び検出コイルのインピーダンスにより決まる電圧信号を操作部2の変位を示す電気信号に変換する信号処理部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部の変位を検出するスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、人が手で持つ把持部(例えば、操作レバーや操作ノブ)を有し、把持部の操作内容(例えば操作レバーを傾けた方向や、その傾きの大きさ)に応じた電気信号を出力する操作装置(一例としてはジョイスティック装置)が提供されている。この種の操作装置は、例えば、油圧ショベルやクレーンなどの建設機械を操作するために用いられ、油圧ショベルの場合は、操作装置によって、バケットの掘削/開放や、アームの曲げ/伸ばし、ブームの上げ/下げなどが行われる。
【0003】
ところで、上記のような油圧ショベルでは、アタッチメントとして、バケットの代わりに、圧砕機(クラッシャ)や、グラップル、リフティングマグネット、カッタなどを利用することができるようになっている。
【0004】
このようなアタッチメントは、その種類によって、アタッチメント用のアクチュエータ(例えば油圧シリンダやモータ)の数が異なっており、機構が複雑なものでは、把持部による操作だけでは操作することができない。
【0005】
そこで、把持部の先端部に、人が指で操作するスイッチ装置を設けた操作装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
上記特許文献1におけるスイッチ装置は、人が操作していないときは中立位置に位置し、人の操作によって中立位置から移動される操作部と、操作部とともに変位する磁石(永久磁石)と、磁石の変位によって生じた磁界の強度変化を検出する磁気センサ(例えば、磁気抵抗素子やホール素子など)とを備えている。このスイッチ装置は、磁石の変位(すなわち操作部の変位)を検出し、その変位に比例した電気信号を出力する、所謂比例制御スイッチである。
【特許文献1】特開2002−358133号公報(特に段落〔0033〕および図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のような磁気センサを利用したスイッチ装置では、磁気センサが外部磁場や、把持部の操作時の振動の影響を受け易く、外部磁場などを操作部の変位として誤検出するおそれがあり、操作部の変位の検出精度が悪いという問題があった。
【0008】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたもので、操作部の変位の検出精度を向上できるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明では、ケースと、当該ケースに移動自在に取り付けられた操作部と、ケースに収納され操作部のケースに対する規定位置からの変位を検出する検出ブロックとを備え、検出ブロックは、操作部の変位に応じて所定方向に移動する作動子と、検出コイルを有する検出部と、作動子に取り付けられ作動子の移動に伴って検出コイルとの距離が変化する被検出部と、検出コイルに所定の周波数及び振幅の電流を出力し当該電流及び検出コイルのインピーダンスにより決まる電圧信号を操作部の変位を示す電気信号に変換する信号処理部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明によれば、ホール素子や磁気抵抗素子などの磁気センサを用いる代わりに検出コイルを利用したので、磁気センサを用いる場合に比べれば外部磁場の影響を受け難くなって、操作部の変位の検出精度を向上できる。
【0011】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記操作部と上記ケースとの間には上記操作部を上記規定位置に復帰させる復帰ばねが介在され、上記作動子と上記ケースとの間には上記作動子を上記操作部側に付勢する作動子ばねが介在されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明によれば、復帰ばねのばね定数を変更することにより、操作荷重の変化量が容易に調整でき、しかも復帰ばねのばね定数を大きくすることにより操作荷重を高荷重とすることができるので、操作部の揺れ(がたつき)を抑えて、耐振動性、耐衝撃性の向上が図れ、その上、操作部の復帰信頼性の向上が図れる。また、作動子ばねは作動子の復帰に必要な最低限の荷重を与えるものでよいから、応力に余裕がある設計にできて、操作寿命を長くすることができる。
【0013】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、上記操作部は、上記規定位置と、当該規定位置から第1の回転方向に回転した第1の押し込み位置と、上記規定位置から上記第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に回転した第2の押し込み位置との間を移動自在に上記ケースに取り付けられ、上記検出ブロックは、上記操作部が第1の押し込み位置に移動する際に上記操作部により押動される第1の作動子と、上記操作部が第2の押し込み位置に移動する際に上記操作部により押動される第2の作動子とを有し、上記被検出部および上記検出部は、第1の作動子と第2の作動子の少なくとも一方に対応する形に設けられ、各作動子と上記ケースとの間には、各作動子を上記操作部側に付勢する作動子ばねが介在され、作動子ばねは、少なくとも上記操作部が上記規定位置に位置するまでは上記操作部に第1の作動子および第2の作動子それぞれが当接する形に第1の作動子および第2の作動子を付勢することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明によれば、各作動子を付勢する作動子ばねによって操作部が規定位置に復帰されるから、復帰ばねを用いる必要がなくなって、部品点数を削減でき、低コスト化が図れる。また、復帰ばねを用いる場合に比べて操作荷重を低荷重としながらも、操作部の揺れ(がたつき)を抑えて、耐振動性、耐衝撃性の向上が図れる。
【0015】
請求項4の発明では、請求項1の発明において、上記操作部と上記ケースとの間には上記操作部を上記規定位置に復帰させる復帰ばねが介在され、上記作動子は上記操作部とともに移動する形に上記操作部に連結されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明によれば、作動子を付勢する作動子ばねが必要なくなるから、部品点数を削減でき、低コスト化が図れる。また、作動子が復帰しているか否かを操作部が規定位置に復帰しているか否かによって容易に判断できる。また、復帰ばねのばね定数を変更することにより、操作荷重の変化量が容易に調整でき、しかも復帰ばねのばね定数を大きくすることにより操作荷重を高荷重とすることができるので、操作部の揺れ(がたつき)を抑えて、耐振動性、耐衝撃性の向上が図れ、その上、操作部の復帰信頼性の向上が図れる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、操作部の変位の検出精度を向上できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施形態1)
本実施形態のスイッチ装置SWは、図1に示すように、ケース1と、当該ケース1に移動自在に取り付けられた操作部2と、ケース1に収納され操作部2のケース1に対する規定位置からの変位を検出する検出ブロックBKとを備えている。
【0019】
検出ブロックBKは、操作部2の変位に応じて所定方向に移動する作動子3と、検出コイルL(図4参照)を有する検出部4と、作動子3に取り付けられ作動子3の移動に伴って検出コイルLとの距離が変化する被検出部5と、検出コイルLに所定の周波数及び振幅の電流を出力し当該電流及び検出コイルLのインピーダンスにより決まる電圧信号を操作部2の変位を示す電気信号に変換する信号処理部6と、金属板より形成され信号処理部6に接続された複数(図示例では3つ)の端子部7とを備えている。なお、図1,2,5,8では検出コイルLを省略している。
【0020】
作動子3は、絶縁性を有する樹脂材料により円柱状に形成されており、小径部3aと、小径部3aにおける操作部2側の端部(図1における上端部)に形成された大径部3bとを一体に備えている。大径部3bは、小径部3aと中心軸が一致する形に形成されており、その外周面には、溝部3cが大径部3bの外周面を一周する形に形成されている。
【0021】
検出部4は、円筒状のコイルボビン4aと、当該コイルボビン4aに巻回された検出コイルLとを有している。ここで、コイルボビン4aは、絶縁性を有する樹脂材料からなる樹脂成形品であって、検出コイルLが巻回される巻胴部4bと、巻胴部4bの軸方向一端側(図1における上端側)に形成された第1の鍔部4cと、巻胴部4bの軸方向他端側(図1における下端側)に形成された第2の鍔部4dとを一体に備えている。コイルボビン4aの内径は、作動子3の小径部3aの外径以上、大径部3bの外径未満に設定されている。また、第1の鍔部4cには、検出部4をケース1に取り付けるための取付孔4eが形成されている。第2の鍔部4dは、巻胴部4bの軸方向他端側の端部を軸方向他端側に突出させる形で巻胴部4bに形成されている。
【0022】
被検出部5は、例えば、フェライトなどの磁性材料や金属材料により形成された円柱状のコアからなり、その中心軸を小径部3aの中心軸に一致させる形で小径部3aにインサートされることで、作動子3に取り付けられている。
【0023】
ここで、作動子3の小径部3aの外面には、作動子3の中心軸方向を長手方向とする溝からなる流路部3dが形成されている。この流路部3dは、小径部3aをコイルボビン4aの内側に差し入れた際に、コイルボビン4aの軸方向一端側の空間部(図1における下側の空間部)と、軸方向他端側の空間部(図1における上側の空間部)とを連通させることで、空気の圧力が偏らないようにし、作動子3がコイルボビン4a内をスムーズに移動できるようにするためのものである。
【0024】
信号処理部6は、電子部品(図示せず)が実装された矩形板状のプリント基板6aにより構成されており、図4に示すように、駆動回路Aと、信号処理回路Bとを有している。プリント基板6aには、巻胴部4bの軸方向他端側の端部と凹凸嵌合する嵌合孔6bと、各端子部7用の挿通孔(図示せず)とが厚み方向に貫設されている。
【0025】
駆動回路Aは、検出コイルLに所定の周波数及び振幅の電流(つまり検出コイルLのインピーダンスに依存しない定電流)を出力する電流回路であり、所定の振幅の直流電圧に所定の周波数及び振幅の交流電圧を重畳した電圧を発生する発振回路A1と、発振回路A1が出力する電圧を電流に変換するV−I回路(電圧−電流変換回路)A2とから構成されている。
【0026】
信号処理回路Bは、駆動回路Aが出力する電流及び検出コイルLのインピーダンスにより決まる検出コイルLの両端電圧(検出信号)のピーク値V1に応じて、被検出部5と検出コイルLとの位置情報、すなわち、操作部2の変位を示す出力信号Voutを出力する。この信号処理回路Bは、ピークホールド回路B1と、AD変換回路B2と、レベルシフト部B3a、温度補償部B3b、及び増幅部B3cを有するデジタル演算ブロックB3とから構成されている。ピークホールド回路B1では、検出コイルLの両端電圧のピーク値V1を抽出し、AD変換回路B2では、ピーク値V1をデジタル信号DV1に変換するようになっている。そして、デジタル演算ブロックB3では、デジタル信号演算としてレベルシフト部B3aで所定のデジタル量を加算してレベルシフトを行ったデジタル信号DV2を出力し、温度補償部B3bでは、温度補償を実行する演算をデジタル信号DV2に対して行い、増幅部B3cでは、温度補償部B3bが出力するデジタル信号を増幅して、デジタル信号の出力信号Voutを出力するようになっている。
【0027】
ケース1は、絶縁性を有する樹脂材料からなる樹脂成形品であるボディ8およびカバー9により構成されている。
【0028】
ボディ8は、矩形箱状に形成されており、その厚み方向一面側(図1における上面側)および厚み方向他面側(図1における下面側)それぞれが開口されている。ボディ8の幅方向(図1において紙面に垂直な方向)における両側面それぞれには、図2に示すように、操作部2の揺動軸(ハンドル軸)となる軸部10用の軸受孔8aが厚み方向一面側の中央部に位置する形に形成されている。これら軸受孔8aは中心軸が一致している。また、ボディ8の外周面の厚み方向一面側には、側方に突出する鍔部8bがボディ8の外周面を一周する形に形成されている。また、ボディ8の長さ方向両側面それぞれには、上述したような操作装置の把持部にボディ8を取り付けるために用いられる取付片8cが一体に突設されている。
【0029】
ボディ8の内部には、ボディ8の内部を厚み方向一面側(図1における上面側)と他面側(図1における下面側)とに2分する隔壁部(仕切部)8dが形成されており、ボディ8の内部における隔壁部8dより厚み方向一面側の空間部は、操作部2が配置される操作部収納室8eとして、隔壁部8dより厚み方向他面側の空間部は、主として検出部4および信号処理部6を収納する電子部品収納室8fとして用いられる。
【0030】
電子部品収納室8fの内周面には、プリント基板6aの厚み方向一面(図1における上面)に当接するリブ8gが周設されている。つまり、プリント基板6aは、厚み方向一面がリブ8gに当接された状態で、電子部品収納室8fに収納される。
【0031】
隔壁部8dにおける厚み方向一面側(図1における上面側)には、一対の円形状の凹所8hが形成されている。一対の凹所8hは、図3に示すように、隔壁部8dの長さ方向(ケース1の長さ方向)において離間するとともに、当該長さ方向に沿った方向において、それぞれの中心が一直線上に位置しない(重ならない)形にずらして配置されている。また、各凹所8hの底面部には、円筒状の第1の周壁部8iと、第1の周壁部8iの外径よりも大きい内径を有する円筒状の第2の周壁部8jとが凹所8hと中心軸を一致させた形で突設されている。第1の周壁部8iの内径は、作動子3の大径部3bの外径よりも大きく設定されている。なお、図3では、作動子3および後述の被覆部12を省略している。
【0032】
ところで、本実施形態のスイッチ装置SWでは、片方の凹所8hの底面部(図1における左方の凹所8hの底面部)にのみ、作動子3用の挿通孔8kを形成している。挿通孔8kは、第1の周壁部8iで囲まれた底面部の中央に、その中心軸を凹所8hの中心軸と一致させる形で形成されており、その内径は、作動子3の小径部3aの外径以上、作動子3の大径部3bの外径未満の大きさに設定されている。作動子3は、小径部3aを挿通孔8kに挿通した状態で、ケース1に取り付けられる。ここで、作動子3の小径部3aを挿通孔8kに挿通させる際には、作動子3の小径部3aに、作動子3を操作部2側に付勢することで作動子3を復帰させる作動子ばね11が被嵌される。作動子ばね11としてはコイルスプリング(コイルばね)を用いている。この作動子ばね11は、軸方向一端部(図1における上端部)が大径部3bにおける軸方向他端面(図1における下面)に当接され、軸方向他端部(図1における下端部)が挿通孔8kの周縁部における軸方向一端側(図1における上端側)に当接される。また、作動子ばね11の自然長は、操作部2の位置(回動位置)によらずに、作動子3が操作部2に当接するような長さに設定している。
【0033】
隔壁部8dにおける厚み方向一面側には、一対の支持リブ8lが突設されている。支持リブ8lは、図3に示すように、ケース1の幅方向において一方の凹所8hに隣接するとともに、ケース1の長さ方向において他方の凹所8hと重なる形に配置されている(つまり、一対の凹所8h同士を結ぶ直線と、一対の支持リブ8l同士を結ぶ直線とが交差している)。一対の支持リブ8lそれぞれには、操作部2をケース1に取り付けた際に、後述する復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれが当接される。
【0034】
一方、隔壁部8dにおける厚み方向他面側には、検出部4の第1の鍔部4cの取付孔4eに挿通される取付リブ8mが一対の凹所8hそれぞれに対応する形に突設されている。
【0035】
ところで、隔壁部8dには、作動子3が挿通される挿通孔8kが形成されているため、操作部収納室8eと、電子部品収納室8fとは、挿通孔8kにより連通している。ここで、操作部収納室8eは被水環境下に置かれることが多いため、操作部収納室8e内に水や埃などの異物が入り込んだ場合には、これら異物が挿通孔8kを通じて電子部品収納室8f内に入り込むおそれがある。そのため、ケース1には、操作部収納室8eから電子部品収納室8fへの異物の侵入を防止するための前述の被覆部12を設けている。
【0036】
被覆部12は、防水性および可撓性を有する樹脂材料(一例としてはゴム)などにより形成され、第1の円筒部12aと、第1の円筒部12aより外径が小さい第2の円筒部12bと、第1の円筒部12aにおける軸方向一端側(図1における上端側)と、第2の円筒部12bにおける軸方向他端側(図1における下端側)とを連続一体に連結する連結部12cとを備えている。第1の円筒部12aにおける軸方向他端側には、外側に突出する円環状の第1のフランジ部12dが一体に形成され、第2の円筒部12bにおける軸方向一端側には、内側に突出する円環状の第2のフランジ部12eが一体に形成されている。
【0037】
第1の円筒部12aの内径は、第1の周壁部8iの外径と同程度の大きさに設定され、第2の円筒部12bの内径は、作動子3の大径部3bの外径と同程度の大きさに設定されている。また、第1のフランジ部12dの外径は、第2の周壁部8jの内径より小さく設定され、第2のフランジ部12eの内径は、作動子3の大径部3bの溝部3cにおける外径と同程度の大きさに設定されている。
【0038】
カバー9は、ボディ8の厚み方向他面側(図1における下面側)の開口を閉塞する形でボディ8に取り付けられる、所謂背面カバーである。カバー9は、ボディ8の厚み方向他面側(図1における下面側)の開口を閉塞できる大きさの矩形板状に形成されており、複数の端子部7それぞれをケース1から外方に突出させるための複数の貫挿孔(図示せず)が厚み方向に貫設されている。
【0039】
操作部2は、スイッチ装置SWを手動操作するための操作ハンドルであって、絶縁性を有する樹脂材料により箱状に形成されている。また、操作部2は、幅方向に直交する面内における外形形状が、厚み方向一面側の両側が中央より厚み方向一面側に突出するとともに、厚み方向他面側の中央が両側より厚み方向他面側に突出した形の略く字状に形成されている。操作部2の厚み方向一面(図1における上面)は人が接触する操作面として用いられ、厚み方向他面側(図1における下面側)は開口されている。なお、操作部2は、ケース1に取り付けられた状態において、操作面がケース1外に突出するように、厚み寸法が設定されている。
【0040】
この操作部2の幅方向両側面それぞれにおける長さ方向中央部には、軸部10が貫挿される貫挿孔2aが形成されている。操作部2の内底面(操作部2の厚み方向一面側の壁部における操作面とは反対側の面)の中央部には、操作部2をケース1に対する規定位置に復帰させる前述の復帰ばね13を固定するための一対の狭持片2bが、操作部2の長さ方向に離間する形に形成されている。ここで、復帰ばね13としては、コイル部13aと、コイル部13aの両端部それぞれからコイル部13aの巻き軸方向と直交する方向に延出された一対の腕部13bとを一体に備える所謂ねじりコイルばね(トーションバネともいう)を使用している。一方、操作部2の幅方向における内側面それぞれには、復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれが厚み方向一面側から弾接される一対の位置決めリブ2cが一体に突設されている。
【0041】
したがって、復帰ばね13は、コイル部13aが巻き軸方向を操作部2の幅方向に沿わせた形で一対の狭持片2b間に配置されるとともに、一対の腕部13bそれぞれが一対の位置決めリブ2cそれぞれに弾接された状態で、操作部2に取り付けられる。また、復帰ばね13を操作部2に取り付けた状態では、復帰ばね13のコイル部13aの内側は、各貫挿孔2aと連通し、一方の貫挿孔2aから操作部2内に挿入された軸部10は、コイル部13aの内側を通って、他方の貫挿孔2aより操作部2外へ突出する。
【0042】
操作部2の内底面において、隔壁部8dの一対の凹所8hそれぞれと対応する部位には、作動子3の大径部3bに当接される一対の当接リブ2dが一体に突設されている。なお、本実施形態では、作動子3を1つだけ用いているので、片方の当接リブ2dは使用されない。
【0043】
上述した本実施形態のスイッチ装置SWは次のようにして組み立てられている。まず、ボディ8の電子部品収納室8fには、検出部4が収納される。このとき、検出部4の第1の鍔部4cの取付孔4eには、挿通孔8kが設けられた凹所8hに対応する取付リブ8mが挿通される。そして、超音波などにより取付リブ8mを変形させることで、検出部4がボディ8(ケース1)に固定される。その後に、電子部品収納室8fには信号処理部6が収納される。このとき、信号処理部6は、プリント基板6aの厚み方向一面をリブ8gに当接させるとともに、プリント基板6aの嵌合孔6bに、検出部4の巻胴部4bの軸方向他端側の端部を嵌め合わされる。そして、検出部4の検出コイルLは半田付けなどにより信号処理部6に電気的に接続され、図4に示す回路が構成される。なお、信号処理部6のプリント基板6aには予め複数の端子部7が半田付けなどにより接続される。その後に、ボディ8には、カバー9が取り付けられ、複数の端子部7それぞれはカバー9の貫挿孔(図示せず)よりケース1外に突出される。
【0044】
次に作動子3が小径部3aを挿通孔8kに挿通させた状態で操作部収納室8eに収納される。ここで挿通孔8kはコイルボビン4aの内側に連通しているため、小径部3aはコイルボビン4aの内側(つまり被検出部5が検出コイルLの内側)に位置する。また、作動子3の小径部3aを挿通孔8kに挿通させる際には、作動子3の小径部3aに作動子ばね11が被嵌される。その後に、隔壁部8dには、被覆部12が、第1の円筒部12aを第1の周壁部8iに被せるとともに、第1のフランジ部12dを凹所8hの底面に当接させた状態で取り付けられる。このように被覆部12を隔壁部8dに取り付けた後には、超音波などにより第2の周壁部8jを、凹所8hの底面との間で第1のフランジ部12dを挟む形に変形させ、これにより被覆部12を隔壁部8dに固定する。また、被覆部12の第2の円筒部12aは、隔壁部8dの挿通孔8kを挿通させた作動子3の大径部3bに被嵌され、第2のフランジ部12eは、大径部3bの溝部3cに嵌め込まれる。これによって、挿通孔8kの内周面と、作動子3の外周面との隙間を通って異物が電子部品収納室8fに侵入することが防止される。
【0045】
その後には、上述したように復帰ばね13が取り付けられた操作部2がケース1に取り付けられる。操作部2は、操作面をケース1の隔壁部8dとは反対側に向けるとともに、貫挿孔2aおよび軸受孔8aそれぞれの中心軸を一致させた状態で、操作部収納室8e内に収納され、貫挿孔2aおよび軸受孔8の両方に軸部10を貫挿することによって、ケース1の厚み方向一端側に取り付けられる。このようにして操作部2をケース1に取り付けた状態において、復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれは、隔壁部8dに突設された一対の支持リブ8lそれぞれに当接し、操作部2の当接リブ2dが作動子3の大径部3bに当接している。
【0046】
以上によりスイッチ装置SWは構成され、スイッチ装置SWは、上述した操作装置の把持部に取り付けられる。このとき、スイッチ装置SWは、ケース1における鍔部8bより厚み方向他面側の部位が把持部の内部に、操作部2が把持部の外部に位置する形で取り付けられる(操作部2が外部に露出する形で取り付けられる)。なお、スイッチ装置SWを把持部に取り付けるにあたっては、図2に示すような取付金具14が用いられる。取付金具14は、ケース1の幅方向に沿った方向においてケース1を狭持する一対の狭持片14aと、狭持片14aの基端部同士を連結する連結片14bとを一体に備えたコ字状に形成されている。各狭持片14aには、ケース1の外面に設けられた嵌合突起(図示せず)と凹凸嵌合する嵌合孔14cが形成されており、各嵌合孔14cにケース1の嵌合突起が凹凸嵌合することによって、スイッチ装置SWが狭持片14a間に保持される。また、各狭持片14aの先端部からは、スイッチ装置SWを把持部に取り付けるための取付片14dが延設されており、ケース1の取付片8dおよび取付金具14の取付片14dを用いて、スイッチ装置SWが把持部に取り付けられる。ところで、把持部の内部には、各種電子部品やプリント基板などが収納される。そのため、スイッチ装置SWのケース1と把持部との間には、パッキン15が配置される。パッキン15は、ゴムなどにより矩形枠状に形成されており、スイッチ装置SWのボディ8の鍔部8bと把持部の外面との間に介在され、これによって把持部の内部への水などの浸入が防止される。この点は後述する実施形態2,3においても同様である。
【0047】
ところで、このスイッチ装置SWでは、操作部2は、軸部10の中心軸を回転軸として、ケース1に揺動自在に取り付けられている。
【0048】
ここで、復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれは、隔壁部8dに突設された一対の支持リブ8lそれぞれに当接しているから、操作部2を操作していない場合(操作部2に操作荷重がかけられていない場合)には、復帰ばね13による操作部2を第1の回転方向(図1にC1で示す反時計回り方向)に回転させる操作反力と、操作部2を第2の回転方向(図1にC2で示す時計回り方向)に回転させる操作反力とが平衡する位置に操作部2が位置する。この位置が、操作部2のケース1に対する中立位置(規定位置)となる。操作部2を第1の回転方向に回転させようとした際には、復帰ばね13によって、操作部2を第2の回転方向に回転させる操作反力が強くなり、操作部2を第2の回転方向に回転させようとした際には、復帰ばね13によって、操作部2を第1の回転方向に回転させる操作反力が強くなる。
【0049】
つまり操作部2は、軸部10の中心軸を回転軸として、ケース1に対する規定位置と、当該規定位置から第1の回転方向に所定角度だけ回転した第1の押し込み位置と、上記規定位置から第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に所定角度だけ回転した第2の押し込み位置との間を移動する(操作部2は、ケース1に対する規定位置と、当該規定位置から第1の回転方向に回転した第1の押し込み位置と、規定位置から第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に回転した第2の押し込み位置との間を移動自在にケース1に取り付けられる)。なお、本実施形態のスイッチ装置SWでは、操作部2が規定位置に位置しているときに、被検出部5が検出コイルLの半分まで挿入され、操作部2が第1の押し込み位置に位置したときに、被検出部5が検出コイルLに完全に挿入され、操作部2が第2の押し込み位置に位置したときに、被検出部5が検出コイルLから完全に引き抜かれるように、位置関係および各部の寸法を調整している。
【0050】
次に、スイッチ装置SWの動作について図1を参照して説明する。まず、初期状態において操作部2が規定位置に位置しているとする。
【0051】
当該初期状態から、操作部2の操作面の長さ方向一端側(図1における左側)を押圧して規定位置から第1の回転方向(図1にC1で示す反時計回り方向)に回転させると、その変位量に応じて、当接リブ2dが作動子3を押圧する力が強まり、作動子3は作動子ばね11のばね力に抗してケース1の厚み方向他端側(すなわち図1にM1で示す下方向)に移動し、これに伴って、被検出部5もケース1の厚み方向他端側に移動し、その結果、被検出部5の検出コイルLへの挿入量が増加する。その後に、操作部2の押圧操作を解除すると、操作部2は、復帰ばね13のばね力によって第2の回転方向(図1にC2で示す時計回り方向)に回転させられて、規定位置に復帰する。一方、作動子3は作動子ばね11によって操作部2側に付勢されているから、操作部2の当接リブ2dに当接した状態を維持しながら、ケース1の厚み方向一端側(すなわち図1にM2で示す上方向)に移動する。したがって、被検出部5もケース1の厚み方向一端側に移動して、被検出部5の検出コイルへの挿入量は、操作部2の押圧操作によって増加した分だけ減少する。
【0052】
一方、上記初期状態から、操作部2の操作面の長さ方向他端側(図1における右側)を押圧して規定位置から第2の回転方向(図1にC2で示す方向)に回転させると、その変位量に応じて、当接リブ2dが作動子3を押圧する力が弱まり、作動子3は作動子ばね11のばね力によってケース1の厚み方向一端側(すなわち図1にM2で示す上方向)に移動し、これに伴って、被検出部5もケース1の厚み方向一端側に移動し、その結果、被検出部5の検出コイルLへの挿入量が減少する。その後に、操作部2の押圧操作を解除すると、操作部2は、復帰ばね13のばね力によって第1の回転方向(図1にC1で示す反時計回り方向)に回転させられて、規定位置に復帰する。この復帰動作に伴って当接リブ2dが作動子3を押圧する力が元(規定位置のときの力)に戻るから、作動子3は作動子ばね11のばね力に抗してケース1の厚み方向他端側(すなわち図1にM1で示す下方向)に移動する。したがって、被検出部5もケース1の厚み方向他端側に移動して、被検出部5の検出コイルへの挿入量は、操作部2の押圧操作によって減少した分だけ増加する。
【0053】
上述したように、操作部2を操作した場合には、その変位量に応じて、被検出部5の検出コイルLへの挿入量が変化する。ここで、検出コイルLのインピーダンスは、被検出部5の検出コイルLへの挿入量(被検出部5と検出コイルLとの距離)に対してリニアに変化するから、信号処理部6の信号処理回路Bが出力する出力信号Voutは、操作部2の変位を示す。
【0054】
したがって、本実施形態のスイッチ装置SWによれば、ホール素子を用いる代わりに検出コイルLを利用したので、ホール素子や磁気抵抗素子などの磁場を直接的に検出する磁気センサとは異なり磁場による影響が少ないから、このような磁気センサを用いる従来例に場合に比べれば、外部磁場の影響を受け難くなって、操作部2の変位の検出精度を向上できる。
【0055】
また、スイッチ装置SWでは、操作部2とケース1の隔壁部8dとの間には操作部2を規定位置に復帰させる復帰ばね13が介在され、作動子3とケース1の隔壁部8dとの間には作動子3を操作部側に付勢して所定位置まで復帰させる作動子ばね11が介在されている。そのため、復帰ばね13のばね定数を変更することにより、操作荷重の変化量が容易に調整でき、しかも復帰ばね13のばね定数を大きくすることにより操作荷重を高荷重とすることができるので、操作部13の揺れ(がたつき)を抑えて、耐振動性、耐衝撃性の向上が図れ、その上、操作部2の復帰信頼性の向上が図れる。また、作動子ばね11は作動子3の復帰に必要な最低限の荷重を与えるものでよいから、応力に余裕がある設計にできて、操作寿命を長くすることができる。
【0056】
(実施形態2)
本実施形態のスイッチ装置SWは、主として、作動子3と、検出部4と、被検出部5とをそれぞれ2つずつ備えている点が実施形態1と異なっている。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、以下の説明では、2つの作動子3、検出部4、被検出部5を区別するために、必要に応じて、一方(図5における左方)の作動子(以下、「第1の作動子」と称する)3を符号3A、検出部4を符号4A、被検出部5を符号5Aでそれぞれ表し、他方(図5における右方)の作動子(以下、「第2の作動子」と称する)3を符号3B、検出部4を符号4B、被検出部5を符号5Bでそれぞれ表す。
【0057】
本実施形態におけるボディ8の隔壁部8dには、図5に示すように、一対の凹所8hそれぞれに対応して作動子3用の挿通孔8kが形成されている。なお、本実施形態のスイッチ装置SWで復帰ばね13を使用しないため、隔壁部8dには、一対の支持リブ8lが設けられておらず、一対の凹所8hは、実施形態1とは異なり、隔壁部8dの長さ方向(ケース1の長さ方向)において離間するとともに、当該長さ方向に沿った方向において、それぞれの中心が一直線上に位置する形に配置されている。
【0058】
本実施形態における信号処理部6のプリント基板6aには、検出部4A,4Bそれぞれの巻胴部4bの軸方向他端側の端部と凹凸嵌合する一対の嵌合孔6bが設けられている。また、本実施形態における信号処理部6は、検出部4毎に、駆動回路Aおよび信号処理回路Bの組を有するとともに、各信号処理回路Bの出力信号Voutに基づいて操作部2の変位を検出する総合判定部(図示せず)を有している。
【0059】
本実施形態のスイッチ装置SWは次のようにして組み立てられている。まず、ボディ8の電子部品収納室8fには、検出部4A,4Bが収納される。このとき、各検出部4は、コイルボビン4aの内側を挿通孔8kに連通させるとともに、第1の鍔部4cの取付孔4eに取付リブ8mが挿通した状態で、電子部品収納室8fに収納される。そして、超音波などにより取付リブ8mを変形させることで、各検出部4がボディ8(ケース1)に固定される。その後に、電子部品収納室8fには信号処理部6が収納される。このとき、信号処理部6は、プリント基板6aの厚み方向一面をリブ8gに当接させるとともに、プリント基板6aの嵌合孔6bに、各検出部4の巻胴部4bの軸方向他端側の端部を嵌め合わされる。そして、各検出部4の検出コイルLは半田付けなどにより信号処理部6に電気的に接続される。なお、信号処理部6のプリント基板6aには予め複数の端子部7が半田付けなどにより接続される。その後に、ボディ8には、カバー9が取り付けられ、複数の端子部7それぞれはカバー9の貫挿孔(図示せず)よりケース1外に突出される。
【0060】
次に一対の作動子3が小径部3aを一対の挿通孔8kそれぞれに挿通させた状態で操作部収納室8eに収納される。ここで挿通孔8kはコイルボビン4aの内側に連通しているため、小径部3aはコイルボビン4aの内側に位置する。また、各作動子3の小径部3aを挿通孔8kに挿通させる際には、各作動子3の小径部3aに作動子ばね11が被嵌される。その後に、隔壁部8dには、上記実施形態1で述べたようにして被覆部12が取り付けられる。
【0061】
その後には、操作部2がケース1に取り付けられる。操作部2は、操作面をケース1の隔壁部8dとは反対側に向けるとともに、貫挿孔2aおよび軸受孔8aそれぞれの中心軸を一致させた状態で、操作部収納室8e内に収納され、貫挿孔2aおよび軸受孔8の両方に軸部10を貫挿することによって、ケース1の厚み方向一端側に取り付けられる。
【0062】
上述したようにして操作部2をケース1に取り付けた状態において、操作部2の当接リブ2dそれぞれが作動子3それぞれの大径部3bに当接している。つまり、操作部2は、第1の作動子3Aおよび第2の作動子3Bによって、ケース1から離間する方向(図5における上方向)に付勢されている。
【0063】
このように本実施形態のスイッチ装置SWでは、検出ブロックBKは、操作部2が第1の押し込み位置に移動する際に操作部2により押動される第1の作動子3Aと、操作部2が第2の押し込み位置に移動する際に操作部2により押動される第2の作動子3Bとを有し、被検出部5および検出部4は、第1の作動子3Aと第2の作動子3Bのそれぞれに対応する形に設けられている。そして、各作動子3とケース1(ケース1の隔壁部8d)との間には、各作動子3を操作部2側に付勢する作動子ばね11が介在されている。この作動子ばね11は、操作部2の位置(回動位置)によらずに、第1の作動子3Aおよび第2の作動子3Bそれぞれが操作部2に当接する形に第1の作動子3Aおよび第2の作動子3Bを付勢する。
【0064】
ところで、本実施形態のスイッチ装置SWにおいても、実施形態1と同様に、操作部2は、軸部10の中心軸を回転軸として、ケース1に揺動自在に取り付けられている。
【0065】
ここで、各作動子3の大径部3bは、操作部2の当接リブ2dそれぞれに当接しているから、操作部2を操作していない場合(操作部2に操作荷重がかけられていない場合)には、第1の作動子3Aの作動子ばね11が操作部2を第2の回転方向(図5において矢印C2で示す時計回り方向)に回転させる操作反力と、第2の作動子3Bの作動子ばね11が操作部2を第1の回転方向(図5において矢印C1で示す反時計回り方向)に回転させる操作反力とが平衡する位置に操作部2が位置する。この位置が、操作部2のケース1に対する規定位置(中立位置)となる。
【0066】
そして、操作部2を第1の回転方向に回転させようとした際には、第1の作動子3Aの作動子ばね11によって、操作部2を第2の回転方向に回転させる操作反力が強くなり、操作部2を第2の回転方向に回転させようとした際には、第2の作動子3Bの作動子ばね11によって、操作部2を第1の回転方向に回転させる操作反力が強くなる。
【0067】
次に、スイッチ装置SWの動作について図5を参照して説明する。まず、初期状態において操作部2が規定位置に位置しているとする。
【0068】
当該初期状態から、操作部2の操作面の長さ方向一端側(図5における左側)を押圧して規定位置から第1の回転方向に回転させると、その変位量に応じて、一方(図5における左方)の当接リブ2dが作動子3Aを押圧する力が強まり、第1の作動子3Aは作動子ばね11のばね力に抗してケース1の厚み方向他端側(すなわち図5において矢印M1で示す下方向)に移動し、これに伴って、被検出部5Aもケース1の厚み方向他端側に移動し、その結果、被検出部5Aの検出コイルLへの挿入量が増加する。このとき、操作部2の変位量に応じて、他方(図5における右方)の当接リブ2dが第2の作動子3Bを押圧する力が弱まり、第2の作動子3Bは作動子ばね11のばね力によってケース1の厚み方向一端側(すなわち図5において矢印M2で示す上方向)に移動し、これに伴って、被検出部5Bもケース1の厚み方向一端側に移動し、その結果、被検出部5Bの検出コイルLへの挿入量が減少する。
【0069】
その後に、操作部2の押圧操作を解除すると、操作部2は、第1の作動子3Aの作動子ばね11のばね力によって第2の回転方向に回転させられて、規定位置に復帰する。これによって、被検出部5Aはケース1の厚み方向一端側に移動し、被検出部5Aの検出コイルLへの挿入量は操作部2の押圧操作によって増加した分だけ減少する。一方、被検出部5Bはケース1の厚み方向他端側に移動し、被検出部5Bの検出コイルLへの挿入量は操作部2の押圧操作によって減少した分だけ増加する。
【0070】
一方、上記初期状態から、操作部2の操作面の長さ方向他端側(図5における右側)を押圧して規定位置から第2の回転方向に回転させると、その変位量に応じて、上記他方の当接リブ2dが第2の作動子3Bを押圧する力が強まり、第2の作動子3Bは作動子ばね11のばね力に抗してケース1の厚み方向他端側に移動し、これに伴って、被検出部5Bもケース1の厚み方向他端側に移動し、その結果、被検出部5Bの検出コイルLへの挿入量が増加する。このとき、操作部2の変位量に応じて、上記一方の当接リブ2dが第1の作動子3Aを押圧する力が弱まり、第1の作動子3Aは作動子ばね11のばね力によってケース1の厚み方向一端側に移動し、これに伴って、被検出部5Aもケース1の厚み方向一端側に移動し、その結果、被検出部5Aの検出コイルLへの挿入量が減少する。
【0071】
その後に、操作部2の押圧操作を解除すると、操作部2は、第1の作動子3Aの作動子ばね11のばね力によって第2の回転方向に回転させられて、規定位置に復帰する。これによって、被検出部5Aはケース1の厚み方向一端側に移動し、被検出部5Aの検出コイルLへの挿入量は操作部2の押圧操作によって増加した分だけ減少する。一方、被検出部5Bはケース1の厚み方向他端側に移動し、被検出部5Bの検出コイルLへの挿入量は操作部2の押圧操作によって減少した分だけ増加する。
【0072】
上述したように、操作部2を操作した場合には、その変位量に応じて、各検出部4において被検出部5の検出コイルLへの挿入量が変化する。ここで、検出コイルLのインピーダンスは、被検出部5の検出コイルLへの挿入量(被検出部5と検出コイルLとの距離)に対してリニアに変化するから、信号処理部6の信号処理回路Bそれぞれの出力信号Voutは相補的に変化し、上記総合判定部は、このような出力信号Voutに基づいて操作部2の変位を検出する。
【0073】
以上述べた本実施形態のスイッチ装置SWによれば、ホール素子を用いる代わりに検出コイルLを利用しているので、上記実施形態1と同様の効果を奏し、その上、各作動子3を付勢する作動子ばね11によって操作部2が規定位置に復帰されるから、復帰ばね13を用いる必要がなくなって、部品点数を削減でき、低コスト化が図れる。
【0074】
実施形態1のように復帰ばね13を使用した場合には、図6に示すように、部品寸法のばらつきによって、復帰ばね13の脚片13bと支持リブ8lとの間や、脚片13bと位置決めリブ2cとの間に隙間が生じて操作部2ががたついてしまうおそれがあったが、本実施形態のスイッチ装置SWによれば、操作部2が一対の作動子ばね11によって規定位置に保持されるから、操作部2のがたつきを防止できる。
【0075】
本実施形態のスイッチ装置SWでは、一対の作動子ばね11によって操作部2を規定位置に復帰させるようになっており、図7(a)に示すような操作荷重特性(操作部2のストロークと荷重との関係)を有する一方、作動子ばね11と復帰ばね13の両方を用いる実施形態1の場合は、図7(b)に示すような操作荷重特性を有しており、本実施形態のスイッチ装置SWのほうが、操作荷重を低く抑えることができる。なお、図7(a),(b)に示すグラフでは、右方向がストローク(操作部2の規定位置からの変位量)の増加方向、上方向が荷重の増加方向としている。
【0076】
つまり、本実施形態のスイッチ装置SWによれば、復帰ばね13を用いる場合に比べて操作荷重を低荷重としながらも、操作部2の揺れ(がたつき)を抑えて、耐振動性、耐衝撃性の向上が図れる。
【0077】
なお、本実施形態のスイッチ装置SWでは、第1の作動子3Aと第2の作動子3Bのそれぞれに対応して、検出部4および被検出部5を設けているが、必ずしも作動子3A,3Bの両方に対応させる必要はなく、検出部4および被検出部5は、第1の作動子3Aと第2の作動子3Bとの少なくとも一方に対応する形に設けられていればよい。この場合、信号処理部6に総合判定部を設けなくてもよい。
【0078】
(実施形態3)
本実施形態におけるスイッチ装置SWは、図8(a),(b)に示すように、主として、作動子3と操作部2とが連結されている点が実施形態1と異なっている。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
本実施形態における作動子3の大径部3bにおける小径部3aとは反対側には、操作部2と連結するための断面円形状の連結部3dが一体に突設されている。なお、被覆部12の第2のフランジ部12eは、その内周面が作動子3の外周面と噛み合うことによって、作動子3に固定されている。
【0080】
本実施形態における操作部2は、当接リブ2dの代わりに、連結部3dが操作部2の幅方向を回転軸方向として回動自在かつ操作部2の幅方向に直交する方向においてスライド自在に嵌め込まれる連結凹部2eを有する保持部2fが一体に突設されている。なお、本実施形態のスイッチ装置SWは、作動子3を一つだけ備えているから、一対の当接リブ2dの少なくとも一方を保持部2fとすれば足りる。
【0081】
上述した本実施形態のスイッチ装置SWは次のようにして組み立てられている。まず、ボディ8の電子部品収納室8fには、実施形態1と同様にして、検出部4および信号処理部6が収納され、その後に、ボディ8には、カバー9が取り付けられる。
【0082】
次に作動子3が小径部3aを挿通孔8kに挿通させた状態で操作部収納室8eに収納される。ここで挿通孔8kはコイルボビン4aの内側に連通しているため、小径部3aはコイルボビン4aの内側に位置する。また、作動子3の小径部3aを挿通孔8kに挿通させる際には、作動子3の小径部3aに作動子ばね11が被嵌される。その後に、隔壁部8dには、被覆部12が実施形態1と同様にして固定される。また、被覆部12の第2の円筒部12aは、隔壁部8dの挿通孔8kを挿通させた作動子3の大径部3bに被嵌され、第2のフランジ部12eは、大径部3bに固定される。これによって、挿通孔8kの内周面と、作動子3の外周面との隙間を通って異物が電子部品収納室8fに侵入することが防止される。
【0083】
その後には、上述したように復帰ばね13が取り付けられた操作部2がケース1に取り付けられる。操作部2は、操作面をケース1の隔壁部8dとは反対側に向けるとともに、貫挿孔2aおよび軸受孔8aそれぞれの中心軸を一致させた状態で、操作部収納室8e内に収納され、貫挿孔2aおよび軸受孔8の両方に軸部10を貫挿することによって、ケース1の厚み方向一端側に取り付けられる。このとき、操作部2の保持部2fの連結凹部2eには、作動子3の連結部3dが嵌め込まれる。このようにして操作部2をケース1に取り付けた状態において、復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれは、隔壁部8dに突設された一対の支持リブ8lそれぞれに当接している。
【0084】
このように本実施形態のスイッチ装置SWでは、操作部2とケース1(ケース1を構成するボディ8の隔壁部8d)との間には操作部2を規定位置に復帰させる復帰ばね13が介在され、作動子3は操作部2とともに移動する形に操作部2に連結されている。作動子3の連結部3dは、連結凹部2eに、操作部2の幅方向を回転軸方向として回動自在かつ操作部2の幅方向に直交する方向においてスライド自在に嵌め込まれているから、操作部2の回動操作によって、作動子3は、ケース1の厚み方向に沿った方向に移動可能となっている。
【0085】
ところで、本実施形態のスイッチ装置SWにおいても、実施形態1と同様に、操作部2は、軸部10の中心軸を回転軸として、ケース1に揺動自在に取り付けられている。
【0086】
そして、復帰ばね13の一対の腕部13bそれぞれは、隔壁部8dに突設された一対の支持リブ8lそれぞれに当接しているから、操作部2を操作していない場合(操作部2に操作荷重がかけられていない場合)には、復帰ばね13による操作部2を第1の回転方向(図8(a)における反時計回り方向)に回転させる操作反力と、操作部2を第2の回転方向(図8(a)における時計回り方向)に回転させる操作反力とが平衡する位置に操作部2が位置する。この位置が、操作部2のケース1に対する規定位置(中立位置)となる。そして、操作部2を第1の回転方向に回転させようとした際には、復帰ばね13によって、操作部2を第2の回転方向に回転させる操作反力が強くなり、操作部2を第2の回転方向に回転させようとした際には、復帰ばね13によって、操作部2を第1の回転方向に回転させる操作反力が強くなる。
【0087】
次に、スイッチ装置SWの動作について図8(a),(b)を参照して説明する。まず、初期状態において操作部2が規定位置に位置しているとする。
【0088】
当該初期状態から、操作部2の操作面の長さ方向一端側(図8(a)における左側)を押圧して規定位置から第1の回転方向に回転させると、その変位量に応じて、操作部2が作動子3を押圧する力が強まり、作動子3は、ケース1の厚み方向他端側(すなわち図8(a)における下方向)に移動し、これに伴って、被検出部5もケース1の厚み方向他端側に移動し、その結果、被検出部5の検出コイルLへの挿入量が増加する。その後に、操作部2の押圧操作を解除すると、操作部2は、復帰ばね13のばね力によって第2の回転方向に回転させられて、規定位置に復帰する。一方、作動子3は操作部2に連結されているから、操作部2の回動に伴って、ケース1の厚み方向一端側(すなわち図8(a)における上方向)に移動する。したがって、被検出部5もケース1の厚み方向一端側に移動して、被検出部5の検出コイルへの挿入量は、操作部2の押圧操作によって増加した分だけ減少する。
【0089】
一方、上記初期状態から、操作部2の操作面の長さ方向他端側(図1における右側)を押圧して規定位置から第2の回転方向に回転させると、操作部2に連結されている作動子3は、操作部2の回動に伴って、図8(b)に示すように、ケース1の厚み方向一端側に移動し、これに伴って、被検出部5もケース1の厚み方向一端側に移動し、その結果、被検出部5の検出コイルLへの挿入量が減少する。その後に、操作部2の押圧操作を解除すると、操作部2は、復帰ばね13のばね力によって第1の回転方向に回転させられて、規定位置に復帰する。この復帰動作によって、操作部2が作動子3を押圧する力が強まり、作動子3はケース1の厚み方向他端側に移動する。したがって、被検出部5もケース1の厚み方向他端側に移動して、被検出部5の検出コイルへの挿入量は、操作部2の押圧操作によって減少した分だけ増加する。
【0090】
上述したように、操作部2を操作した場合には、その変位量に応じて、被検出部5の検出コイルLへの挿入量が変化する。ここで、検出コイルLのインピーダンスは、被検出部5の検出コイルLへの挿入量(被検出部5と検出コイルLとの距離)に対してリニアに変化するから、信号処理部6の信号処理回路Bが出力する出力信号Voutは、操作部2の変位を示す。
【0091】
したがって、本実施形態のスイッチ装置SWによれば、上記実施形態1と同様の効果を奏し、その上、作動子3を付勢する作動子ばね11が必要なくなるから、部品点数を削減でき、低コスト化が図れる。
【0092】
また、作動子3と操作部2とが連結されているので、作動子3の復帰不良時には、操作部2も規定位置まで復帰しなくなるから、作動子3が復帰しているか否かを操作部2が規定位置に復帰しているか否かによって容易に判断できる。さらに、復帰ばね13のばね定数を変更することにより、操作荷重の変化量が容易に調整でき、しかも復帰ばね13のばね定数を大きくすることにより操作荷重を高荷重とすることができるので、操作部2の揺れ(がたつき)を抑えて、耐振動性、耐衝撃性の向上が図れ、その上、操作部2の復帰信頼性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施形態1のスイッチ装置の断面図である。
【図2】同上のスイッチ装置の分解斜視図である。
【図3】同上のスイッチ装置の他の断面図である。
【図4】同上のスイッチ装置の回路ブロック図である。
【図5】実施形態2のスイッチ装置の断面図である。
【図6】比較例の拡大図である。
【図7】(a)は実施形態2の操作荷重特性を示すグラフ、(b)は実施形態1の操作荷重特性を示すグラフである。
【図8】実施形態3のスイッチ装置を示し、(a)は操作部が規定位置に位置した状態を示す断面図、(b)は操作部が規定位置から変位した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 ケース
2 操作部
3(3A,3B) 作動子(第1の作動子,第2の作動子)
4 検出部
5 被検出部
6 信号処理部
11 作動子ばね
13 復帰ばね
SW スイッチ装置
BK 検出ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、当該ケースに移動自在に取り付けられた操作部と、ケースに収納され操作部のケースに対する規定位置からの変位を検出する検出ブロックとを備え、
検出ブロックは、操作部の変位に応じて所定方向に移動する作動子と、検出コイルを有する検出部と、作動子に取り付けられ作動子の移動に伴って検出コイルとの距離が変化する被検出部と、検出コイルに所定の周波数及び振幅の電流を出力し当該電流及び検出コイルのインピーダンスにより決まる電圧信号を操作部の変位を示す電気信号に変換する信号処理部とを備えていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
上記操作部と上記ケースとの間には上記操作部を上記規定位置に復帰させる復帰ばねが介在され、
上記作動子と上記ケースとの間には上記作動子を上記操作部側に付勢する作動子ばねが介在されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
上記操作部は、上記規定位置と、当該規定位置から第1の回転方向に回転した第1の押し込み位置と、上記規定位置から上記第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に回転した第2の押し込み位置との間を移動自在に上記ケースに取り付けられ、
上記検出ブロックは、上記操作部が第1の押し込み位置に移動する際に上記操作部により押動される第1の作動子と、上記操作部が第2の押し込み位置に移動する際に上記操作部により押動される第2の作動子とを有し、
上記被検出部および上記検出部は、第1の作動子と第2の作動子の少なくとも一方に対応する形に設けられ、
各作動子と上記ケースとの間には、各作動子を上記操作部側に付勢する作動子ばねが介在され、
作動子ばねは、少なくとも上記操作部が上記規定位置に位置するまでは上記操作部に第1の作動子および第2の作動子それぞれが当接する形に第1の作動子および第2の作動子を付勢することを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項4】
上記操作部と上記ケースとの間には上記操作部を上記規定位置に復帰させる復帰ばねが介在され、
上記作動子は上記操作部とともに移動する形に上記操作部に連結されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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