スイッチ装置
【課題】自動車のインストルメントパネルに取り付けられるスイッチ装置にかかった雨水等の液体をその周囲に溜めないようにする
【解決手段】ケースとなるスイッチボディ201は、接点を切り替える切替突起402を有するスイッチ部材を収納している。スイッチボディ201に形成されたシーソー体取付用孔203の底面204から上方には、スイッチボディ201の内側と外側とを連通する筒部206が突出している。操作者が切替突起402を切り替えるためのシーソー体301は、筒部206の開口端を覆うとともに、筒部206の内部に延びて、切替突起402を挟みこんでいる。筒部206が突出するシーソー体取付用孔203の底面204からは、排水ガイド部501が突出している。排水ガイド部501は、この底面204の縁部と筒部206の外周面との間に連続して設けられている。
【解決手段】ケースとなるスイッチボディ201は、接点を切り替える切替突起402を有するスイッチ部材を収納している。スイッチボディ201に形成されたシーソー体取付用孔203の底面204から上方には、スイッチボディ201の内側と外側とを連通する筒部206が突出している。操作者が切替突起402を切り替えるためのシーソー体301は、筒部206の開口端を覆うとともに、筒部206の内部に延びて、切替突起402を挟みこんでいる。筒部206が突出するシーソー体取付用孔203の底面204からは、排水ガイド部501が突出している。排水ガイド部501は、この底面204の縁部と筒部206の外周面との間に連続して設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に取り付けられるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等には、自動車に備わる各部の制御操作を行うためのスイッチ装置が取り付けられる。スイッチ装置において、スイッチ基板はケースに収納されており、雨水やジュース等の液体がかからないようになっている。ところが、スイッチ装置には、ケースにその内側と外側とを連通する連通孔が開口してあり、スイッチ部材の接点を切り替える操作レバー等の操作部をこの連通孔に挿入して構成されるものがある(例えば、特許文献1に記載のスイッチ装置、特許文献2に記載のロッカースイッチ)。このようなスイッチ装置では、一般に、液体がこの連通孔からケースの内部に入り込まないような構造が採用されている。
【0003】
特許文献1に記載のスイッチ装置は、上下方向に変位する操作体9を有するプッシュ型のものである。このスイッチ装置のケース1の側壁には、排水孔14が設けられている。この排水孔14の下端から、仕切壁2が、ケース1の内側に向けて水平方向に延びている。そして、このスイッチ装置にかかった液体は、仕切壁2を伝って排水孔14からケース1の外側に出る。
【0004】
特許文献2に記載のロッカースイッチは、ピン4を中心に回転するボタン3を備えるシーソー型のものである。このロッカースイッチのケース10においてボタン3の両端部の近い箇所にある側壁には、埃や雨水を排出するための穴12が設けられている。そして、この穴12の下端から、内壁11が、ケース1の内側に向けて延びている。この内壁11は、斜め上に傾斜しており、ボタン3の下方まで延びている。このロッカースイッチにかかって隙間Aから浸入した埃や雨水は、内壁11を伝って穴12からケース10の外部に出る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−166938号公報(図1及び図2)
【特許文献2】実開昭62−25441号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スイッチ装置は、特許文献1や特許文献2の図面に記載された向きのように水平向きに自動車に取り付けられる場合以外にも、自動車のインストルメントパネルに取り付けられて垂直向きや傾斜した向きになる場合がある。この場合、操作部(特許文献1における操作体9、特許文献2におけるボタン3)にかかった液体が、排水孔(特許文献1における操作孔14、特許文献2における穴12)まで流れ着かずに、排出されずにケースの表面に溜まってしまうことがある。このように溜まった液体は、自動車が走行したり揺れたりした場合に跳ね上がって、連通孔からケースの内部に侵入するおそれがある。そして、溜まった液体の量が多くなると、自動車が揺れなくてもこの液体が連通孔に入り込みケースの内部に侵入してしまうことも起こりうる。
【0007】
本発明の目的は、スイッチ装置にかかった雨水等の液体をその周囲に溜めないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスイッチ装置は、接点を有するスイッチ部材を収納するケースと、前記ケースが有する一の面から突出し当該ケースの内側と外側とを連通する筒部と、前記筒部の開口端を覆うとともに前記筒部の内部に延び、外力によって変位して前記接点を切り替える操作部と、前記筒部が突出する面から突出し当該面の縁部と前記筒部の外周面との間に連続して設けられる排水ガイド部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スイッチ装置にかかった液体は、筒部を覆う操作部の表面を伝ってこの筒部が突出する面に落ちた後、排水ガイド部に堰き止められてこの面の縁部からケースの外部に流れ落ちるため、スイッチ装置にかかった雨水等の液体をその周囲に溜めないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一部を破断させて示すスイッチ装置の外観斜視図である。
【図2】図1とは反対側から見たスイッチ装置の外観斜視図である。
【図3】シーソー体をスイッチボディに装着する前の状態のスイッチ装置の分解斜視図である。
【図4】スイッチボディの上面の一部を破断させて示す、スイッチ装置の分解斜視図である。
【図5】シーソー体の手前側部分が押下された状態の、一部を破断させて示すスイッチ装置の外観斜視図である。
【図6】排水ガイド部の斜視図である。
【図7】排水ガイド部の右側面図である。
【図8】排水ガイド部の左側面図である。
【図9】(a)は、インストルメントパネルに傾斜させて取り付けられた状態のスイッチ装置の右断面図である。(b)は、インストルメントパネルに傾斜させて取り付けられ、さらにシーソー体の手前側部分が押下された状態のスイッチ装置の右断面図である。
【図10】(a)は、インストルメントパネルに垂直向きに取り付けられた状態のスイッチ装置の右断面図である。(b)は、インストルメントパネルに垂直向きに取り付けられ、さらにシーソー体の手前側部分が押下された状態のスイッチ装置の右断面図である。
【図11】排水ガイド部の斜視図である。
【図12】スイッチ装置の外観斜視図である。
【図13】インストルメントパネルに傾斜させて取り付けられた状態のスイッチ装置の外観斜視図である。
【図14】スイッチ装置の正面図である。
【図15】図14のA−A線断面図である。
【図16】スイッチ装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の一形態(第一の実施の形態)について、図1ないし図11に基づいて説明する。
【0012】
図1は、一部を破断させて示すスイッチ装置101の外観斜視図である。スイッチ装置101は、手前側から見て左右対称なる形状を有していて、自動車内の運転席側及び助手席側の各座席(図示せず)を暖めるシートヒータ(図示せず)の駆動切換操作に用いられる。このスイッチ装置101は、スイッチ基板401を内部に収納し、このスイッチ基板401に搭載されたスイッチ部材(図示せず)の接点の切り替えに連動する切替突起402を動かすための操作部としてのシーソー体301を二つ有するシーソー型スイッチである。なお、必ずしもスイッチ部材がスイッチ基板401に搭載されていなくてもよく、スイッチ部材とスイッチ基板401とが電気的に接続していればよい。図1は、手前側を紙面の左下側に、スイッチ装置101の奥側を紙面の右上側にそれぞれ向けたスイッチ装置101を示している。操作者がシーソー体301の奥側部分301a(「HI」と示されている側)を押すと、切替突起402が手前側に傾いて接点が切り替わり、シートヒータが座席を所定の温度で暖める。操作者がシーソー体301の手前側部分301b(「LO」と示されている側)を押すと、切替突起402が奥側に傾いて接点が切り替わり、シートヒータが、座席を、シーソー体301の奥側が押された場合よりも低い所定の温度で暖める。このスイッチ装置101は、例えば、自動車内で、インストルメントパネル等、運転者や助手席の同乗者にとって操作しやすい箇所に取り付けられる。
【0013】
スイッチ装置101は、ケースとしてのスイッチボディ201を有する。スイッチボディ201は、手前側から見て左右対称なる略直方体形状の筐体である。このスイッチボディ201の下面は開口していて、そこには、切替突起402を上方に突出させたスイッチ部材とスイッチ基板401とを上面に有するスイッチ基部403が装着される。このようにして、スイッチボディ201は、スイッチ部材とスイッチ基板401とを内部に収納する。
【0014】
スイッチボディ201は、その上面202に、二つのシーソー体取付用孔203を、横並びに有する。シーソー体取付用孔203は、スイッチボディ201の上面202に、手前側から見て前後方向に長い矩形形状に開口して、下方に陥没し、その底面204は平面状になっている。各シーソー体取付用孔203には、シーソー体301が取り付けられる。シーソー体301は、その奥側部分301a及び手前側部分301bのそれぞれが出没するように、揺動自在に取り付けられる。二つのシーソー体301は、概ね同じ構造を有しているが、下部構造の一部が異なる。下部構造の違いについては、図3に基づいて後述することとし、ここではまず、二つのシーソー体301に共通する構造について説明する。手前側から見て左側に位置する一方のシーソー体301(符号「301L」で示す)は、助手席側の座席の温度調整操作に対応する。手前側から見て右側に位置する他方のシーソー体301(符号「301R」で示す)は、運転席側の座席の温度調整操作に対応する。各シーソー体301(301L、301R)のいずれも、カバー体302(図9(a)、図9(b)、図10(a)及び図10(b)も参照)に、操作レバー体304(図3参照)を有する基体305(図3、図9(a)、図9(b)、図10(a)及び図10(b)も参照)が組み付けられて構成される。カバー体302は、平面視においてシーソー体取付用孔203よりも若干小さい縦長の器形状の部材であって、開口部を下に向け、底部の縁は面取り加工され、この底部を上に向けた状態で基体305に組み付けられる。その結果、カバー体302の底部は、シーソー体301の上面を構成する。カバー体302の底部には、奥側から順に、HI操作用突起302a、HI動作表示部302b、HIロゴ302c、シンボルマーク302d、LOロゴ302e、LO動作表示部302f、LO操作用突起302gを有する。また、このカバー体302の左側面の下端中央からは、半円形状の突部303(図2及び図3参照)が下方に突出している。この突部303は、カバー体302の右側面からは延出していない。
【0015】
図2は、図1とは反対側から見たスイッチ装置101の外観斜視図である。突部303は、カバー体302の左側面の下端中央からのみ延出している。そして、スイッチ装置101を左側から見ると、突部303は、排水用穴251の中に現れる。
【0016】
図1及び図2の両方を参照する。本実施の形態のスイッチ装置101は、操作者がシーソー体301の奥側部分301a及び手前側部分301bを押しやすいように、奥側が上方になるように傾けて自動車のインストルメントパネルに取り付けられる。そして、本実施の形態のスイッチ装置101は、このように取り付けられた状態で雨水やジュースのような液体がシーソー体取付用孔203の上方から入り込んだとしても、その液体は図1及び図2に示す流路LQに沿って流れて、スイッチボディ201の左右両側に設けられた排水用穴251から排出されるように構成したものである。以下、このスイッチ装置101の構造について、さらに詳しく説明する。
【0017】
図3は、シーソー体301をスイッチボディ201に装着する前の状態のスイッチ装置101の分解斜視図である。シーソー体301を構成している基体305は、内側面に、揺動軸207(図4参照)が嵌合する軸受孔307(図9(a)、図9(b)、図10(a)及び図10(b)参照)を有する。また、この基体305は、操作レバー体304を有する。操作レバー体304は、平板状の部材である。この操作レバー体304は、先端に、スイッチ部材の切替突起402(いずれも図1及び図5参照)を挟みこむためのU字孔306を有する。この操作レバー体304は、基体305の両側辺のいずれか一方から、下方に延出している。そして、カバー体302に、操作レバー体304が左下から延出する基体305を組み付けることで、シーソー体301Lが構成される。また、カバー体302に、操作レバー体304が右下から延出する基体305を組み付けることで、シーソー体301Rが構成される。この組付作業は、作業員が手作業で行う。このとき、作業員は、突部303を触ることでカバー体302の向きを把握し、今まさに行っている組付作業は、シーソー体301Lもしくはシーソー体301Rのどちらを作るための作業であるかを確実に認識することができる。
【0018】
スイッチボディ201に設けられる排水用穴251は、スイッチボディ201の手前側の側面に左右対称に二箇所、スイッチボディ201の奥側の側面に左右対称に二箇所、スイッチボディ201の左側の側面と右側の側面とにそれぞれ二箇所、計八箇所ある。そして、シーソー体取付用孔203のうち、手前側から見て左側に設けられたシーソー体取付用孔203Lは、スイッチボディ201に設けられた八つの排水用穴251のうち、図3において記号「HL」を付した手前側から見て左側に位置する四つの排水用穴251に連通している。また、手前側から見て右側に設けられたシーソー体取付用孔203Rは、図3において記号「HR」を付した、手前側から見て右側に位置する残りの四つの排水用穴251に連通している。いずれの排水用穴251も、その下端の高さは、シーソー体取付用孔203の底面204の高さに一致している。そして、この底面204の縁部204aは、下方に落ち込むように丸みを帯びるよう、面取りされている。
【0019】
図4は、スイッチボディ201の上面202の一部を破断させて示す、スイッチ装置101の分解斜視図である。二つのシーソー体取付用孔203のいずれにおいても、筒部206が、シーソー体取付用孔203の底面204から上方に垂直向きに突出している。筒部206は、平面視においてシーソー体301のカバー体302よりも若干小さい矩形形状の筒体である。この筒部206は、スイッチボディ201の内側と外側とを連通している。筒部206の内周面には、一対の揺動軸207が内側に突出している。
【0020】
シーソー体301は、筒部206の開口端208を覆う位置に取り付けられる。このとき、シーソー体301に備わる操作レバー体304は、筒部206の内側に挿入されて、その先端にあるU字孔306がスイッチ部材の切替突起402(図1参照)を挟みこむ位置に位置付けられる。U字孔306が切替突起402を挟みこんだ状態は、図1に示してある。また、カバー体302の周壁部分302hは、シーソー体取付用孔203の底面204、シーソー体取付用孔203の内周面209及び筒部206の外周面によって囲われる隙間SPに入り込む(図9(a)及び図9(b)も参照)。また、揺動軸207の延長線上に、カバー体302の突部303の半円形状の中心位置が位置付けられている。
【0021】
シーソー体301は、シーソー体301を構成する基体305の内側面に形成された軸受孔307(図9(a)及び図9(b)、図10(a)及び図10(b)参照)に揺動軸207が嵌合することで、揺動軸207を中心にスイッチボディ201に揺動自在に支持される。このようにすることで、操作者がカバー体302の奥側部分301aや手前側部分301bを押下すると、シーソー体301が揺動するようになる。
【0022】
図5は、シーソー体301Rの手前側部分301bが押下された状態の、一部を破断させて示すスイッチ装置101の外観斜視図である。シーソー体301がスイッチボディ201に取り付けられることで、スイッチ装置101は、図1及び図2に示す状態になる。そして、この状態から、操作者がシーソー体301Rの手前側部分301bを押下すると、シーソー体301が揺動軸207を中心に揺動し、シーソー体301Rの奥側部分301aは上方に変位し、シーソー体301Rの手前側部分301bは下方に変位して、シーソー体301Rに備わる操作レバー体304の先端のU字孔306が切替突起402を奥側に押す。その結果、接点が切り替わり、シートヒータ(図示せず)が作動する。ここで、操作者がシーソー体301Rの奥側部分301aを押下すると、U字孔306は切替突起402を押して切替突起402を図1に示す位置に位置付ける。その結果、接点が再び切り替わり、シートヒータ(図示せず)が停止する。
【0023】
図4を再び参照する。図4に示すように、スイッチボディ201において、二つのシーソー体取付用孔203の間に位置する中壁252には、孔が設けられていない。このため、左側にあるシーソー体取付用孔203及び筒部206の間の隙間SPに入り込んだ液体は、符号HLで示す左側に位置する四つの排水用穴251のいずれかから流れ出る。また、右側にあるシーソー体取付用孔203及び筒部206の間の隙間SPに入り込んだ液体は、符号HRで示す右側に位置する四つの排水用穴251のいずれかから流れ出る。
【0024】
ここで重要なのは、スイッチ装置101が排水ガイド部501を備えていることである。排水ガイド部501は、シーソー体取付用孔203と筒部206との間の隙間SPに入り込んだ液体の流路の途中に設けられていて、この液体の進行方向を流路LQのように変更し、液体を排水用穴251から排出させて、液体がスイッチボディ201の手前側に到達しないようにするものである。
【0025】
図6は、排水ガイド部501の斜視図である。排水ガイド部501は、シーソー体取付用孔203の底面204から突出し、底面204の縁部204aと筒部206の外周面との間に連続して設けられている。
【0026】
すなわち、スイッチボディ201の左側の側面に設けられた二つの排水用穴251の間には、支持柱210が立設している。支持柱210は、シーソー体取付用孔203の底面204から立ち上がり、スイッチボディ201の上面202(図1、図2等参照)を支持している。この支持柱210の一つの側面と、スイッチボディ201の左側の側面とは、面一となっている。そして、この支持柱210と筒部206との間には、塞止材211が配置されている。塞止材211は、平板状の部材であって、筒部206の内周面側に設けられた揺動軸207の軸心方向Xに延びる方向に設けられている。塞止材211は、シーソー体取付用孔203の底面204から立ち上がり、支持柱210と筒部206との間の隙間の下方を塞いでいる。
【0027】
図7は、排水ガイド部501の右側面図である。なお、図7は、支持柱210を点線で示している。排水ガイド部501の先端は、シーソー体301を構成するカバー体302の下端302iとの距離Dが最も小さく、かつ、シーソー体301の揺動による距離Dの変化が最も小さい位置に位置付けられている。このため、シーソー体301が揺動軸207を中心に揺動し、図7に一点鎖線で示す位置301Aと二点鎖線で示す位置301Bとの間で揺動したとしても、塞止材211とカバー体302との間の隙間が大きく広がることはなく、スイッチ装置101の右側でシーソー体取付用孔203の底面204を流れる液体を塞ぎ止める。
【0028】
なお、排水ガイド部501は、符号「501’」で示すような、シーソー体取付用孔203の底面204において垂線Tの足にあたる位置ではない位置に設けることもできる。この場合、シーソー体301が揺動することによって、塞止材211の上方の距離Dが広がり、液体が排水ガイド部501を乗り越えてしまうことが生じうる。
【0029】
図8は、排水ガイド部501の左側面図である。なお、図8は、支持柱210を点線で示している。シーソー体301を構成するカバー体302の左下中央からは、カバー体302と基体305との組付作業の際に用いられる半円状の突部303が下方に延出している。この突部303の半円形状の中心は、揺動軸207の延長線上に位置付けられている。このため、シーソー体301が揺動しても、シーソー体取付用孔203の底面204とシーソー体301との距離は変わらない。
【0030】
排水ガイド部501は、符号「501’’」で示すように、突部303をシーソー体取付用孔203の底面204に射影した範囲Pに設けられる。一例として、排水ガイド部501は、図8において実線で示すように、揺動軸207からシーソー体取付用孔203の底面204に下ろした垂線Tの足にあたる位置から垂直に突出する。
【0031】
なお、排水ガイド部501は、この範囲P外の、符号「501’’’」に示すような位置に設けることもできる。この場合、シーソー体301が揺動することによって、塞止材211の上方の距離Dが広がり、液体が排水ガイド部501を乗り越えてしまうことが生じうる。
【0032】
図9(a)は、インストルメントパネルに傾斜させて取り付けられた状態のスイッチ装置101の右断面図である。上記のように構成されるスイッチ装置101は、操作者がシーソー体301の奥側部分301a及び手前側部分301bを押しやすいように、奥側が上方になるように傾けて自動車のインストルメントパネルに取り付けられる。そして、このように取り付けられたスイッチ装置101に対して、液体がかかり、シーソー体取付用孔203の上方から入り込んだ場合、その液体は、シーソー体301を構成するカバー体302の周壁部分302hを伝い、シーソー体取付用孔203の底面204に落下する。その後、この液体は、筒部206の外周面とシーソー体取付用孔203の底面204との境界に沿って流れ、排水ガイド部501の上方に到達する。ここで、この排水ガイド部501は、シーソー体取付用孔203の底面204から突出し、この底面204の縁部204a(詳細には、図4及び図6参照)と筒部206の外周面との間に連続して設けられているため、排水ガイド部501の上方に到達した液体は、この排水ガイド部501に塞き止められ、塞止材211及び支持柱210(いずれも図6参照)を伝って、底面204の縁部204a近傍に流れ着き、この縁部204aの丸みに沿ってスイッチボディ201の側面に流れ落ちる。このため、スイッチ装置101にかかった雨水等の液体は、その周囲に溜まることはない。
【0033】
図9(b)は、インストルメントパネルに傾斜させて取り付けられ、さらにシーソー体301の手前側部分301bが押下された状態のスイッチ装置101の右断面図である。本実施の形態のスイッチ装置101において、排水ガイド部501による排水性は、シーソー体301の手前側部分301bが押下された場合に一層発揮される。すなわち、シーソー体301を構成するカバー体302は器形状に構成されていて、シーソー体301の手前側部分301bが押し下げられると、カバー体302の下端302iはシーソー体取付用孔203の底面204に突き当たる。このとき、カバー体302の内側面とシーソー体取付用孔203の底面204とによって、液体が溜まる空間LSを形成してしまう。この状態で、仮に排水ガイド部501が設けられていないとすると、シーソー体取付用孔203の上方から入り込んだ液体はシーソー体取付用孔203の底面204を伝って流路LQ’に沿って流れてこの空間LSまで到達し、そこに溜まってしまう。そして、この状態で自動車が振動すると、空間LSに溜まった液体は跳ね上がって、矢印LQ’’のように移動し、筒部206の開口端208からその内部に入り込んで、スイッチボディ201に収納されているスイッチ基板401(図1参照)に落ちてしまう。また、溜まった液体の量が多くなると、自動車が揺れなくても、この液体が筒部206まで到達し、そこからスイッチボディ201の内部に侵入してしまうことも起こりうる。
【0034】
しかしながら、本実施の形態のスイッチ装置101は、排水ガイド部501を備えており、この排水ガイド部501によってスイッチボディ201の側面から流れ落ちるため、液体が流路LQ’に沿って落ちて空間LSに溜まることがない。結果として、液体が飛び跳ねてスイッチボディ201の内部に入り込み、スイッチ基板401に液体が落ちて故障を引き起こすようなことがない。ましてや、液体が筒部206に到達するまで空間LSに溜まることもない。そして、この排水ガイド部501は、シーソー体取付用孔203の底面204を傾斜させたりすることなく、この底面204において液体の流れる経路の途中に位置付けられるものであるため、スイッチ装置101のサイズを大きくすることなく排水性を高めることができる。
【0035】
図10(a)は、インストルメントパネルに垂直向きに取り付けられた状態のスイッチ装置の右断面図である。図10(b)は、インストルメントパネルに垂直向きに取り付けられ、さらにシーソー体の手前側部分が押下された状態のスイッチ装置の右断面図である。また、本実施の形態のスイッチ装置101は、図10(a)及び図10(b)に示すように、スイッチボディ201の上面202を垂直とする垂直向きにインストルメントパネルに取り付けられることがある。このような場合であっても、シーソー体取付用孔203に入り込んだ液体は、図10(a)に示すように、排水ガイド部501によってスイッチボディ201の側面に排出される。このため、液体は、図10(b)に示す空間LSに溜まって筒部206の内部に入り込むようなことがない。
【0036】
図11は、変形例としてのスイッチ装置101における、排水ガイド部501の斜視図である。排水ガイド部501は、シーソー体取付用孔203の底面204が図1ないし図9に示したような平面状のもののみならず、図11に示すような、シーソー体取付用孔203の底面204がスイッチボディ201の側面に向けて落ち込むよう、上すぼまりに傾斜するテーパ状になっているものに対しても、採用することができる。この場合、シーソー体取付用孔203から入り込みシーソー体取付用孔203の底面204に落ちた液体は、排水ガイド部501に当たることのみならず、底面204の傾斜によっても、この底面204の縁部204aまで流れてスイッチボディ201の側面から落ちる。
【0037】
次いで、本発明の別の実施の一形態(第二の実施の形態)について、図12及び図13に基づいて説明する。この場合、第一の実施の形態及びその変形例と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略する。
【0038】
図12は、スイッチ装置101の外観斜視図である。本実施の形態において、排水ガイド部501は、傾斜面212を備えている。より詳細には、傾斜面212は、排水ガイド部501を構成している塞止材211の、スイッチ装置101における奥側の箇所に設けられている。この傾斜面212は、筒部206の外周面に対して鈍角をなしている。その結果、この傾斜面212の法線は、スイッチ装置101における奥側かつ右側の方向に向いている。なお、図12では、スイッチボディ201の右側の側面が紙面の手前側に向くようスイッチ装置101が示されていて、右側のシーソー体301Rが装着されている側の筒部206に繋がる塞止材211に傾斜面212が設けられていることが示されているが、この傾斜面212は左側のシーソー体301Lが装着されている側の筒部206に繋がる塞止材211(図12に示さず)にも設けられている。
【0039】
図13は、インストルメントパネルに傾斜させて取り付けられた状態のスイッチ装置101の外観斜視図である。上記のように構成される本実施の形態のスイッチ装置101によっても、前述した第一の実施の形態及びその変形例のスイッチ装置101と同様に、スイッチ装置にかかってシーソー体取付用孔203の底面204に流れ落ちた液体が、筒部206を覆うシーソー体301の表面を伝ってこの筒部206が突出するシーソー体取付用孔203の底面204に落ちた後、排水ガイド部501に塞き止められこの底面204の縁部204aからスイッチボディ201の側面に流れ落ちるため、スイッチ装置101にかかった雨水等の液体をその周囲に溜めないようにすることができる。さらに、実施の形態のスイッチ装置101によれば、図13に示すように、シーソー体取付用孔203から入り込んでこの底面204と筒部206の外周面との境界に沿って流れる液体は、傾斜面212の傾斜によって底面204の縁部204aに向かって流れやすくなる。すなわち、この傾斜面212によって、スイッチ装置101での排水性が一層高まる。
【0040】
また、本実施の形態のスイッチ装置101も、スイッチボディ201の上面202を垂直とする垂直向きにインストルメントパネルに取り付けられることがある。このような場合、本実施の形態のスイッチ装置101では、排水ガイド部501に備わる傾斜面212によって、シーソー体取付用孔203に入り込んだ液体が、より確実にスイッチボディ201の側面に排出される。
【0041】
なお、これまでに述べた実施の形態及びその変形例の説明では、シーソー体301を並列に二つ並べて有するスイッチ装置101について述べたが、本発明の適用はこれに限られることなく、シーソー体を一つのみ有するスイッチ装置にも、三つ以上のシーソー体を有するスイッチ装置にも適用することができることは、言うまでもない。さらには、シーソー体を横並びのみならず縦並びに配置したようなシーソースイッチ装置に対しても、本発明を適用できることは言うまでもない。
【0042】
次いで、本発明のさらに別の実施の一形態(第三の実施の形態)について、図14ないし図16に基づいて説明する。この場合、第一の実施の形態、第二の実施の形態及びこれらの変形例と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略する。
【0043】
図14は、スイッチ装置101’の正面図である。本発明は、これまでに述べた第一の実施の形態、第二の実施の形態及びこれらの変形例のシーソースイッチ装置のみならず、図14に示すようなプッシュ型のスイッチ装置101’にも適用することができる。このプッシュ型のスイッチ装置101’も、シーソー型のスイッチ装置101(図1参照)と同様に、操作者が操作ノブ301’(後述)を押しやすいように、傾斜させたり垂直向きにさせたりして自動車のインストルメントパネルに取り付けられるものである。
【0044】
プッシュ型のスイッチ装置101’は、ケースとしてのスイッチボディ201’を有する。このスイッチボディ201’は、円筒形状を有し、正面視において円形の意匠面202’を上面に形成している。そして、スイッチボディ201’において、意匠面202’の後方には、円筒状の基部201a’(図16参照)が延出している。意匠面202’には、前述した実施の形態のシーソー体取付用孔203(図1参照)と同様、操作ノブ取付用孔203’が設けられている。操作ノブ取付用孔203’には、操作部としての操作ノブ301’が装着される。このようなスイッチ装置101’は、意匠面202’と操作ノブ301’とがなす面が操作者に向き、かつ、斜め上を向くように、図16(後述)に示すような傾斜する向きにインストルメントパネルに取り付けられる。
【0045】
図15は、図14のA−A線断面図である。筒部206は、操作ノブ取付用孔203’の底面204’からスイッチ装置101’の正面側に突出する。この筒部206は、前述したシーソー型のスイッチ装置101のスイッチボディ201(図1参照)と同様、スイッチボディ201’の内側と外側とを連通している。また、筒部206が突出することによって、筒部206の外周面と操作ノブ取付用孔203’の内周面とこの操作ノブ取付用孔203’の底面204’とで囲われる隙間SPが形成される。この隙間SPは、スイッチ装置101’の正面側から見ると、リング形状となっている。
【0046】
操作ノブ301’は、器状のカバー体302’を有する。カバー体302’は、正面視にて円形状であり、操作ノブ取付用孔203’よりも径が若干小さい。操作ノブ301’は、カバー体302’の底部を正面側に向け、カバー体302’の開口側を操作ノブ取付用孔203’の底面204’に向けて、操作ノブ取付用孔203’に取り付けられる。このとき、カバー体302’は、隙間SPに位置付けられる。そして、操作ノブ取付用孔203’の底面204’には、排水ガイド部501が、左右対象となる箇所に二つ設けられている。
【0047】
操作ノブ301’のカバー体302’からは、基体305が、このカバー体302’の開口側に延出している。この基体305は、操作ノブ301’が操作ノブ取付用孔203’に装着された場合に筒部206の内側に位置付けられて、スイッチボディ201’の内部に配置されているスイッチ基板401(図15では図示せず)の接点部404の近傍に位置付けられる。
【0048】
操作ノブ301’のカバー体302’の底部に力Fが加えられて操作ノブ301’が押された場合、操作ノブ301’はスイッチボディ201’の軸心方向にスライドする。このとき、操作ノブ301’の基体305の先端は、接点部404を動かし、スイッチ基板401の接点を切り替える。
【0049】
図16は、スイッチ装置101’の右側面図である。なお、図16では、スイッチ装置101’がインストルメントパネルに取り付けられていて、スイッチボディ201’の軸心方向が水平から傾いている状態を示している。スイッチボディ201’の基部201a’において、意匠面202’とは反対側となる面202a’の近傍には、排水用穴251が設けられている。排水用穴251は、基部201a’の周回り方向に沿って設けられている。排水用穴251の内側には、排水ガイド部501が設けられている。この排水ガイド部501は、前述した実施の形態のシーソー型のスイッチ装置101に備わるものと同様、筒部206が突出する操作ノブ取付用孔203’の底面204’から突出し、この底面204’の縁部204a’と筒部206の外周面との間に連続して設けられている。排水ガイド部501は、図15において二箇所に描かれているように、図16には描かれていないスイッチ装置101’の左側面側にも設けられている。そして、スイッチ装置101’がインストルメントパネルに取り付けられた場合、これらの排水ガイド部501は、正面側から見ると筒部206の外周面から左右に水平に延びることになる。
【0050】
上記のように構成される本実施の形態のプッシュ型のスイッチ装置101’によっても、前述した第一の実施の形態及びその変形例のシーソー型のスイッチ装置101と同様に、スイッチ装置にかかって操作ノブ取付用孔203’から入り込み(図14参照)、カバー体302’の表面を伝って操作ノブ取付用孔203’の底面204’に流れ落ちた液体が、筒部206の周囲を伝って排水ガイド部501に塞き止められ、この底面204’の縁部204a’からスイッチボディ201’の側面に流れ落ちる(図16参照)。なお、液体の流れは、図14及び図16において一点鎖線で示してある。このため、スイッチ装置101’にかかった雨水等の液体が、このスイッチ装置101’の周囲に溜めないようにすることができる。
【0051】
なお、本実施の形態のスイッチ装置101’も、スイッチボディ201’の意匠面202’を垂直とする垂直向きにインストルメントパネルに取り付けられることがある。このような場合でも、これまでに述べたスイッチ装置101と同様、排水ガイド部501によって、操作ノブ取付用孔203’に入り込んだ液体が、スイッチボディ201’の側面に排出される。
【符号の説明】
【0052】
101、101’ スイッチ装置
201、201’ スイッチボディ(ケース)
204 シーソー体取付用孔の底面(筒部が突出する面)
204’ 操作ノブ取付用孔の底面(筒部が突出する面)
204a、204a’ 縁部
206 筒部
207 揺動軸
208 開口端
212 傾斜面
301 シーソー体(操作部)
301’ 操作ノブ(操作部)
401 スイッチ基板
402 切替突起
404 接点部
501 排水ガイド部
D 操作部と筒部が突出する面との間の距離
X 揺動軸の軸心方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に取り付けられるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等には、自動車に備わる各部の制御操作を行うためのスイッチ装置が取り付けられる。スイッチ装置において、スイッチ基板はケースに収納されており、雨水やジュース等の液体がかからないようになっている。ところが、スイッチ装置には、ケースにその内側と外側とを連通する連通孔が開口してあり、スイッチ部材の接点を切り替える操作レバー等の操作部をこの連通孔に挿入して構成されるものがある(例えば、特許文献1に記載のスイッチ装置、特許文献2に記載のロッカースイッチ)。このようなスイッチ装置では、一般に、液体がこの連通孔からケースの内部に入り込まないような構造が採用されている。
【0003】
特許文献1に記載のスイッチ装置は、上下方向に変位する操作体9を有するプッシュ型のものである。このスイッチ装置のケース1の側壁には、排水孔14が設けられている。この排水孔14の下端から、仕切壁2が、ケース1の内側に向けて水平方向に延びている。そして、このスイッチ装置にかかった液体は、仕切壁2を伝って排水孔14からケース1の外側に出る。
【0004】
特許文献2に記載のロッカースイッチは、ピン4を中心に回転するボタン3を備えるシーソー型のものである。このロッカースイッチのケース10においてボタン3の両端部の近い箇所にある側壁には、埃や雨水を排出するための穴12が設けられている。そして、この穴12の下端から、内壁11が、ケース1の内側に向けて延びている。この内壁11は、斜め上に傾斜しており、ボタン3の下方まで延びている。このロッカースイッチにかかって隙間Aから浸入した埃や雨水は、内壁11を伝って穴12からケース10の外部に出る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−166938号公報(図1及び図2)
【特許文献2】実開昭62−25441号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スイッチ装置は、特許文献1や特許文献2の図面に記載された向きのように水平向きに自動車に取り付けられる場合以外にも、自動車のインストルメントパネルに取り付けられて垂直向きや傾斜した向きになる場合がある。この場合、操作部(特許文献1における操作体9、特許文献2におけるボタン3)にかかった液体が、排水孔(特許文献1における操作孔14、特許文献2における穴12)まで流れ着かずに、排出されずにケースの表面に溜まってしまうことがある。このように溜まった液体は、自動車が走行したり揺れたりした場合に跳ね上がって、連通孔からケースの内部に侵入するおそれがある。そして、溜まった液体の量が多くなると、自動車が揺れなくてもこの液体が連通孔に入り込みケースの内部に侵入してしまうことも起こりうる。
【0007】
本発明の目的は、スイッチ装置にかかった雨水等の液体をその周囲に溜めないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスイッチ装置は、接点を有するスイッチ部材を収納するケースと、前記ケースが有する一の面から突出し当該ケースの内側と外側とを連通する筒部と、前記筒部の開口端を覆うとともに前記筒部の内部に延び、外力によって変位して前記接点を切り替える操作部と、前記筒部が突出する面から突出し当該面の縁部と前記筒部の外周面との間に連続して設けられる排水ガイド部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スイッチ装置にかかった液体は、筒部を覆う操作部の表面を伝ってこの筒部が突出する面に落ちた後、排水ガイド部に堰き止められてこの面の縁部からケースの外部に流れ落ちるため、スイッチ装置にかかった雨水等の液体をその周囲に溜めないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一部を破断させて示すスイッチ装置の外観斜視図である。
【図2】図1とは反対側から見たスイッチ装置の外観斜視図である。
【図3】シーソー体をスイッチボディに装着する前の状態のスイッチ装置の分解斜視図である。
【図4】スイッチボディの上面の一部を破断させて示す、スイッチ装置の分解斜視図である。
【図5】シーソー体の手前側部分が押下された状態の、一部を破断させて示すスイッチ装置の外観斜視図である。
【図6】排水ガイド部の斜視図である。
【図7】排水ガイド部の右側面図である。
【図8】排水ガイド部の左側面図である。
【図9】(a)は、インストルメントパネルに傾斜させて取り付けられた状態のスイッチ装置の右断面図である。(b)は、インストルメントパネルに傾斜させて取り付けられ、さらにシーソー体の手前側部分が押下された状態のスイッチ装置の右断面図である。
【図10】(a)は、インストルメントパネルに垂直向きに取り付けられた状態のスイッチ装置の右断面図である。(b)は、インストルメントパネルに垂直向きに取り付けられ、さらにシーソー体の手前側部分が押下された状態のスイッチ装置の右断面図である。
【図11】排水ガイド部の斜視図である。
【図12】スイッチ装置の外観斜視図である。
【図13】インストルメントパネルに傾斜させて取り付けられた状態のスイッチ装置の外観斜視図である。
【図14】スイッチ装置の正面図である。
【図15】図14のA−A線断面図である。
【図16】スイッチ装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の一形態(第一の実施の形態)について、図1ないし図11に基づいて説明する。
【0012】
図1は、一部を破断させて示すスイッチ装置101の外観斜視図である。スイッチ装置101は、手前側から見て左右対称なる形状を有していて、自動車内の運転席側及び助手席側の各座席(図示せず)を暖めるシートヒータ(図示せず)の駆動切換操作に用いられる。このスイッチ装置101は、スイッチ基板401を内部に収納し、このスイッチ基板401に搭載されたスイッチ部材(図示せず)の接点の切り替えに連動する切替突起402を動かすための操作部としてのシーソー体301を二つ有するシーソー型スイッチである。なお、必ずしもスイッチ部材がスイッチ基板401に搭載されていなくてもよく、スイッチ部材とスイッチ基板401とが電気的に接続していればよい。図1は、手前側を紙面の左下側に、スイッチ装置101の奥側を紙面の右上側にそれぞれ向けたスイッチ装置101を示している。操作者がシーソー体301の奥側部分301a(「HI」と示されている側)を押すと、切替突起402が手前側に傾いて接点が切り替わり、シートヒータが座席を所定の温度で暖める。操作者がシーソー体301の手前側部分301b(「LO」と示されている側)を押すと、切替突起402が奥側に傾いて接点が切り替わり、シートヒータが、座席を、シーソー体301の奥側が押された場合よりも低い所定の温度で暖める。このスイッチ装置101は、例えば、自動車内で、インストルメントパネル等、運転者や助手席の同乗者にとって操作しやすい箇所に取り付けられる。
【0013】
スイッチ装置101は、ケースとしてのスイッチボディ201を有する。スイッチボディ201は、手前側から見て左右対称なる略直方体形状の筐体である。このスイッチボディ201の下面は開口していて、そこには、切替突起402を上方に突出させたスイッチ部材とスイッチ基板401とを上面に有するスイッチ基部403が装着される。このようにして、スイッチボディ201は、スイッチ部材とスイッチ基板401とを内部に収納する。
【0014】
スイッチボディ201は、その上面202に、二つのシーソー体取付用孔203を、横並びに有する。シーソー体取付用孔203は、スイッチボディ201の上面202に、手前側から見て前後方向に長い矩形形状に開口して、下方に陥没し、その底面204は平面状になっている。各シーソー体取付用孔203には、シーソー体301が取り付けられる。シーソー体301は、その奥側部分301a及び手前側部分301bのそれぞれが出没するように、揺動自在に取り付けられる。二つのシーソー体301は、概ね同じ構造を有しているが、下部構造の一部が異なる。下部構造の違いについては、図3に基づいて後述することとし、ここではまず、二つのシーソー体301に共通する構造について説明する。手前側から見て左側に位置する一方のシーソー体301(符号「301L」で示す)は、助手席側の座席の温度調整操作に対応する。手前側から見て右側に位置する他方のシーソー体301(符号「301R」で示す)は、運転席側の座席の温度調整操作に対応する。各シーソー体301(301L、301R)のいずれも、カバー体302(図9(a)、図9(b)、図10(a)及び図10(b)も参照)に、操作レバー体304(図3参照)を有する基体305(図3、図9(a)、図9(b)、図10(a)及び図10(b)も参照)が組み付けられて構成される。カバー体302は、平面視においてシーソー体取付用孔203よりも若干小さい縦長の器形状の部材であって、開口部を下に向け、底部の縁は面取り加工され、この底部を上に向けた状態で基体305に組み付けられる。その結果、カバー体302の底部は、シーソー体301の上面を構成する。カバー体302の底部には、奥側から順に、HI操作用突起302a、HI動作表示部302b、HIロゴ302c、シンボルマーク302d、LOロゴ302e、LO動作表示部302f、LO操作用突起302gを有する。また、このカバー体302の左側面の下端中央からは、半円形状の突部303(図2及び図3参照)が下方に突出している。この突部303は、カバー体302の右側面からは延出していない。
【0015】
図2は、図1とは反対側から見たスイッチ装置101の外観斜視図である。突部303は、カバー体302の左側面の下端中央からのみ延出している。そして、スイッチ装置101を左側から見ると、突部303は、排水用穴251の中に現れる。
【0016】
図1及び図2の両方を参照する。本実施の形態のスイッチ装置101は、操作者がシーソー体301の奥側部分301a及び手前側部分301bを押しやすいように、奥側が上方になるように傾けて自動車のインストルメントパネルに取り付けられる。そして、本実施の形態のスイッチ装置101は、このように取り付けられた状態で雨水やジュースのような液体がシーソー体取付用孔203の上方から入り込んだとしても、その液体は図1及び図2に示す流路LQに沿って流れて、スイッチボディ201の左右両側に設けられた排水用穴251から排出されるように構成したものである。以下、このスイッチ装置101の構造について、さらに詳しく説明する。
【0017】
図3は、シーソー体301をスイッチボディ201に装着する前の状態のスイッチ装置101の分解斜視図である。シーソー体301を構成している基体305は、内側面に、揺動軸207(図4参照)が嵌合する軸受孔307(図9(a)、図9(b)、図10(a)及び図10(b)参照)を有する。また、この基体305は、操作レバー体304を有する。操作レバー体304は、平板状の部材である。この操作レバー体304は、先端に、スイッチ部材の切替突起402(いずれも図1及び図5参照)を挟みこむためのU字孔306を有する。この操作レバー体304は、基体305の両側辺のいずれか一方から、下方に延出している。そして、カバー体302に、操作レバー体304が左下から延出する基体305を組み付けることで、シーソー体301Lが構成される。また、カバー体302に、操作レバー体304が右下から延出する基体305を組み付けることで、シーソー体301Rが構成される。この組付作業は、作業員が手作業で行う。このとき、作業員は、突部303を触ることでカバー体302の向きを把握し、今まさに行っている組付作業は、シーソー体301Lもしくはシーソー体301Rのどちらを作るための作業であるかを確実に認識することができる。
【0018】
スイッチボディ201に設けられる排水用穴251は、スイッチボディ201の手前側の側面に左右対称に二箇所、スイッチボディ201の奥側の側面に左右対称に二箇所、スイッチボディ201の左側の側面と右側の側面とにそれぞれ二箇所、計八箇所ある。そして、シーソー体取付用孔203のうち、手前側から見て左側に設けられたシーソー体取付用孔203Lは、スイッチボディ201に設けられた八つの排水用穴251のうち、図3において記号「HL」を付した手前側から見て左側に位置する四つの排水用穴251に連通している。また、手前側から見て右側に設けられたシーソー体取付用孔203Rは、図3において記号「HR」を付した、手前側から見て右側に位置する残りの四つの排水用穴251に連通している。いずれの排水用穴251も、その下端の高さは、シーソー体取付用孔203の底面204の高さに一致している。そして、この底面204の縁部204aは、下方に落ち込むように丸みを帯びるよう、面取りされている。
【0019】
図4は、スイッチボディ201の上面202の一部を破断させて示す、スイッチ装置101の分解斜視図である。二つのシーソー体取付用孔203のいずれにおいても、筒部206が、シーソー体取付用孔203の底面204から上方に垂直向きに突出している。筒部206は、平面視においてシーソー体301のカバー体302よりも若干小さい矩形形状の筒体である。この筒部206は、スイッチボディ201の内側と外側とを連通している。筒部206の内周面には、一対の揺動軸207が内側に突出している。
【0020】
シーソー体301は、筒部206の開口端208を覆う位置に取り付けられる。このとき、シーソー体301に備わる操作レバー体304は、筒部206の内側に挿入されて、その先端にあるU字孔306がスイッチ部材の切替突起402(図1参照)を挟みこむ位置に位置付けられる。U字孔306が切替突起402を挟みこんだ状態は、図1に示してある。また、カバー体302の周壁部分302hは、シーソー体取付用孔203の底面204、シーソー体取付用孔203の内周面209及び筒部206の外周面によって囲われる隙間SPに入り込む(図9(a)及び図9(b)も参照)。また、揺動軸207の延長線上に、カバー体302の突部303の半円形状の中心位置が位置付けられている。
【0021】
シーソー体301は、シーソー体301を構成する基体305の内側面に形成された軸受孔307(図9(a)及び図9(b)、図10(a)及び図10(b)参照)に揺動軸207が嵌合することで、揺動軸207を中心にスイッチボディ201に揺動自在に支持される。このようにすることで、操作者がカバー体302の奥側部分301aや手前側部分301bを押下すると、シーソー体301が揺動するようになる。
【0022】
図5は、シーソー体301Rの手前側部分301bが押下された状態の、一部を破断させて示すスイッチ装置101の外観斜視図である。シーソー体301がスイッチボディ201に取り付けられることで、スイッチ装置101は、図1及び図2に示す状態になる。そして、この状態から、操作者がシーソー体301Rの手前側部分301bを押下すると、シーソー体301が揺動軸207を中心に揺動し、シーソー体301Rの奥側部分301aは上方に変位し、シーソー体301Rの手前側部分301bは下方に変位して、シーソー体301Rに備わる操作レバー体304の先端のU字孔306が切替突起402を奥側に押す。その結果、接点が切り替わり、シートヒータ(図示せず)が作動する。ここで、操作者がシーソー体301Rの奥側部分301aを押下すると、U字孔306は切替突起402を押して切替突起402を図1に示す位置に位置付ける。その結果、接点が再び切り替わり、シートヒータ(図示せず)が停止する。
【0023】
図4を再び参照する。図4に示すように、スイッチボディ201において、二つのシーソー体取付用孔203の間に位置する中壁252には、孔が設けられていない。このため、左側にあるシーソー体取付用孔203及び筒部206の間の隙間SPに入り込んだ液体は、符号HLで示す左側に位置する四つの排水用穴251のいずれかから流れ出る。また、右側にあるシーソー体取付用孔203及び筒部206の間の隙間SPに入り込んだ液体は、符号HRで示す右側に位置する四つの排水用穴251のいずれかから流れ出る。
【0024】
ここで重要なのは、スイッチ装置101が排水ガイド部501を備えていることである。排水ガイド部501は、シーソー体取付用孔203と筒部206との間の隙間SPに入り込んだ液体の流路の途中に設けられていて、この液体の進行方向を流路LQのように変更し、液体を排水用穴251から排出させて、液体がスイッチボディ201の手前側に到達しないようにするものである。
【0025】
図6は、排水ガイド部501の斜視図である。排水ガイド部501は、シーソー体取付用孔203の底面204から突出し、底面204の縁部204aと筒部206の外周面との間に連続して設けられている。
【0026】
すなわち、スイッチボディ201の左側の側面に設けられた二つの排水用穴251の間には、支持柱210が立設している。支持柱210は、シーソー体取付用孔203の底面204から立ち上がり、スイッチボディ201の上面202(図1、図2等参照)を支持している。この支持柱210の一つの側面と、スイッチボディ201の左側の側面とは、面一となっている。そして、この支持柱210と筒部206との間には、塞止材211が配置されている。塞止材211は、平板状の部材であって、筒部206の内周面側に設けられた揺動軸207の軸心方向Xに延びる方向に設けられている。塞止材211は、シーソー体取付用孔203の底面204から立ち上がり、支持柱210と筒部206との間の隙間の下方を塞いでいる。
【0027】
図7は、排水ガイド部501の右側面図である。なお、図7は、支持柱210を点線で示している。排水ガイド部501の先端は、シーソー体301を構成するカバー体302の下端302iとの距離Dが最も小さく、かつ、シーソー体301の揺動による距離Dの変化が最も小さい位置に位置付けられている。このため、シーソー体301が揺動軸207を中心に揺動し、図7に一点鎖線で示す位置301Aと二点鎖線で示す位置301Bとの間で揺動したとしても、塞止材211とカバー体302との間の隙間が大きく広がることはなく、スイッチ装置101の右側でシーソー体取付用孔203の底面204を流れる液体を塞ぎ止める。
【0028】
なお、排水ガイド部501は、符号「501’」で示すような、シーソー体取付用孔203の底面204において垂線Tの足にあたる位置ではない位置に設けることもできる。この場合、シーソー体301が揺動することによって、塞止材211の上方の距離Dが広がり、液体が排水ガイド部501を乗り越えてしまうことが生じうる。
【0029】
図8は、排水ガイド部501の左側面図である。なお、図8は、支持柱210を点線で示している。シーソー体301を構成するカバー体302の左下中央からは、カバー体302と基体305との組付作業の際に用いられる半円状の突部303が下方に延出している。この突部303の半円形状の中心は、揺動軸207の延長線上に位置付けられている。このため、シーソー体301が揺動しても、シーソー体取付用孔203の底面204とシーソー体301との距離は変わらない。
【0030】
排水ガイド部501は、符号「501’’」で示すように、突部303をシーソー体取付用孔203の底面204に射影した範囲Pに設けられる。一例として、排水ガイド部501は、図8において実線で示すように、揺動軸207からシーソー体取付用孔203の底面204に下ろした垂線Tの足にあたる位置から垂直に突出する。
【0031】
なお、排水ガイド部501は、この範囲P外の、符号「501’’’」に示すような位置に設けることもできる。この場合、シーソー体301が揺動することによって、塞止材211の上方の距離Dが広がり、液体が排水ガイド部501を乗り越えてしまうことが生じうる。
【0032】
図9(a)は、インストルメントパネルに傾斜させて取り付けられた状態のスイッチ装置101の右断面図である。上記のように構成されるスイッチ装置101は、操作者がシーソー体301の奥側部分301a及び手前側部分301bを押しやすいように、奥側が上方になるように傾けて自動車のインストルメントパネルに取り付けられる。そして、このように取り付けられたスイッチ装置101に対して、液体がかかり、シーソー体取付用孔203の上方から入り込んだ場合、その液体は、シーソー体301を構成するカバー体302の周壁部分302hを伝い、シーソー体取付用孔203の底面204に落下する。その後、この液体は、筒部206の外周面とシーソー体取付用孔203の底面204との境界に沿って流れ、排水ガイド部501の上方に到達する。ここで、この排水ガイド部501は、シーソー体取付用孔203の底面204から突出し、この底面204の縁部204a(詳細には、図4及び図6参照)と筒部206の外周面との間に連続して設けられているため、排水ガイド部501の上方に到達した液体は、この排水ガイド部501に塞き止められ、塞止材211及び支持柱210(いずれも図6参照)を伝って、底面204の縁部204a近傍に流れ着き、この縁部204aの丸みに沿ってスイッチボディ201の側面に流れ落ちる。このため、スイッチ装置101にかかった雨水等の液体は、その周囲に溜まることはない。
【0033】
図9(b)は、インストルメントパネルに傾斜させて取り付けられ、さらにシーソー体301の手前側部分301bが押下された状態のスイッチ装置101の右断面図である。本実施の形態のスイッチ装置101において、排水ガイド部501による排水性は、シーソー体301の手前側部分301bが押下された場合に一層発揮される。すなわち、シーソー体301を構成するカバー体302は器形状に構成されていて、シーソー体301の手前側部分301bが押し下げられると、カバー体302の下端302iはシーソー体取付用孔203の底面204に突き当たる。このとき、カバー体302の内側面とシーソー体取付用孔203の底面204とによって、液体が溜まる空間LSを形成してしまう。この状態で、仮に排水ガイド部501が設けられていないとすると、シーソー体取付用孔203の上方から入り込んだ液体はシーソー体取付用孔203の底面204を伝って流路LQ’に沿って流れてこの空間LSまで到達し、そこに溜まってしまう。そして、この状態で自動車が振動すると、空間LSに溜まった液体は跳ね上がって、矢印LQ’’のように移動し、筒部206の開口端208からその内部に入り込んで、スイッチボディ201に収納されているスイッチ基板401(図1参照)に落ちてしまう。また、溜まった液体の量が多くなると、自動車が揺れなくても、この液体が筒部206まで到達し、そこからスイッチボディ201の内部に侵入してしまうことも起こりうる。
【0034】
しかしながら、本実施の形態のスイッチ装置101は、排水ガイド部501を備えており、この排水ガイド部501によってスイッチボディ201の側面から流れ落ちるため、液体が流路LQ’に沿って落ちて空間LSに溜まることがない。結果として、液体が飛び跳ねてスイッチボディ201の内部に入り込み、スイッチ基板401に液体が落ちて故障を引き起こすようなことがない。ましてや、液体が筒部206に到達するまで空間LSに溜まることもない。そして、この排水ガイド部501は、シーソー体取付用孔203の底面204を傾斜させたりすることなく、この底面204において液体の流れる経路の途中に位置付けられるものであるため、スイッチ装置101のサイズを大きくすることなく排水性を高めることができる。
【0035】
図10(a)は、インストルメントパネルに垂直向きに取り付けられた状態のスイッチ装置の右断面図である。図10(b)は、インストルメントパネルに垂直向きに取り付けられ、さらにシーソー体の手前側部分が押下された状態のスイッチ装置の右断面図である。また、本実施の形態のスイッチ装置101は、図10(a)及び図10(b)に示すように、スイッチボディ201の上面202を垂直とする垂直向きにインストルメントパネルに取り付けられることがある。このような場合であっても、シーソー体取付用孔203に入り込んだ液体は、図10(a)に示すように、排水ガイド部501によってスイッチボディ201の側面に排出される。このため、液体は、図10(b)に示す空間LSに溜まって筒部206の内部に入り込むようなことがない。
【0036】
図11は、変形例としてのスイッチ装置101における、排水ガイド部501の斜視図である。排水ガイド部501は、シーソー体取付用孔203の底面204が図1ないし図9に示したような平面状のもののみならず、図11に示すような、シーソー体取付用孔203の底面204がスイッチボディ201の側面に向けて落ち込むよう、上すぼまりに傾斜するテーパ状になっているものに対しても、採用することができる。この場合、シーソー体取付用孔203から入り込みシーソー体取付用孔203の底面204に落ちた液体は、排水ガイド部501に当たることのみならず、底面204の傾斜によっても、この底面204の縁部204aまで流れてスイッチボディ201の側面から落ちる。
【0037】
次いで、本発明の別の実施の一形態(第二の実施の形態)について、図12及び図13に基づいて説明する。この場合、第一の実施の形態及びその変形例と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略する。
【0038】
図12は、スイッチ装置101の外観斜視図である。本実施の形態において、排水ガイド部501は、傾斜面212を備えている。より詳細には、傾斜面212は、排水ガイド部501を構成している塞止材211の、スイッチ装置101における奥側の箇所に設けられている。この傾斜面212は、筒部206の外周面に対して鈍角をなしている。その結果、この傾斜面212の法線は、スイッチ装置101における奥側かつ右側の方向に向いている。なお、図12では、スイッチボディ201の右側の側面が紙面の手前側に向くようスイッチ装置101が示されていて、右側のシーソー体301Rが装着されている側の筒部206に繋がる塞止材211に傾斜面212が設けられていることが示されているが、この傾斜面212は左側のシーソー体301Lが装着されている側の筒部206に繋がる塞止材211(図12に示さず)にも設けられている。
【0039】
図13は、インストルメントパネルに傾斜させて取り付けられた状態のスイッチ装置101の外観斜視図である。上記のように構成される本実施の形態のスイッチ装置101によっても、前述した第一の実施の形態及びその変形例のスイッチ装置101と同様に、スイッチ装置にかかってシーソー体取付用孔203の底面204に流れ落ちた液体が、筒部206を覆うシーソー体301の表面を伝ってこの筒部206が突出するシーソー体取付用孔203の底面204に落ちた後、排水ガイド部501に塞き止められこの底面204の縁部204aからスイッチボディ201の側面に流れ落ちるため、スイッチ装置101にかかった雨水等の液体をその周囲に溜めないようにすることができる。さらに、実施の形態のスイッチ装置101によれば、図13に示すように、シーソー体取付用孔203から入り込んでこの底面204と筒部206の外周面との境界に沿って流れる液体は、傾斜面212の傾斜によって底面204の縁部204aに向かって流れやすくなる。すなわち、この傾斜面212によって、スイッチ装置101での排水性が一層高まる。
【0040】
また、本実施の形態のスイッチ装置101も、スイッチボディ201の上面202を垂直とする垂直向きにインストルメントパネルに取り付けられることがある。このような場合、本実施の形態のスイッチ装置101では、排水ガイド部501に備わる傾斜面212によって、シーソー体取付用孔203に入り込んだ液体が、より確実にスイッチボディ201の側面に排出される。
【0041】
なお、これまでに述べた実施の形態及びその変形例の説明では、シーソー体301を並列に二つ並べて有するスイッチ装置101について述べたが、本発明の適用はこれに限られることなく、シーソー体を一つのみ有するスイッチ装置にも、三つ以上のシーソー体を有するスイッチ装置にも適用することができることは、言うまでもない。さらには、シーソー体を横並びのみならず縦並びに配置したようなシーソースイッチ装置に対しても、本発明を適用できることは言うまでもない。
【0042】
次いで、本発明のさらに別の実施の一形態(第三の実施の形態)について、図14ないし図16に基づいて説明する。この場合、第一の実施の形態、第二の実施の形態及びこれらの変形例と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略する。
【0043】
図14は、スイッチ装置101’の正面図である。本発明は、これまでに述べた第一の実施の形態、第二の実施の形態及びこれらの変形例のシーソースイッチ装置のみならず、図14に示すようなプッシュ型のスイッチ装置101’にも適用することができる。このプッシュ型のスイッチ装置101’も、シーソー型のスイッチ装置101(図1参照)と同様に、操作者が操作ノブ301’(後述)を押しやすいように、傾斜させたり垂直向きにさせたりして自動車のインストルメントパネルに取り付けられるものである。
【0044】
プッシュ型のスイッチ装置101’は、ケースとしてのスイッチボディ201’を有する。このスイッチボディ201’は、円筒形状を有し、正面視において円形の意匠面202’を上面に形成している。そして、スイッチボディ201’において、意匠面202’の後方には、円筒状の基部201a’(図16参照)が延出している。意匠面202’には、前述した実施の形態のシーソー体取付用孔203(図1参照)と同様、操作ノブ取付用孔203’が設けられている。操作ノブ取付用孔203’には、操作部としての操作ノブ301’が装着される。このようなスイッチ装置101’は、意匠面202’と操作ノブ301’とがなす面が操作者に向き、かつ、斜め上を向くように、図16(後述)に示すような傾斜する向きにインストルメントパネルに取り付けられる。
【0045】
図15は、図14のA−A線断面図である。筒部206は、操作ノブ取付用孔203’の底面204’からスイッチ装置101’の正面側に突出する。この筒部206は、前述したシーソー型のスイッチ装置101のスイッチボディ201(図1参照)と同様、スイッチボディ201’の内側と外側とを連通している。また、筒部206が突出することによって、筒部206の外周面と操作ノブ取付用孔203’の内周面とこの操作ノブ取付用孔203’の底面204’とで囲われる隙間SPが形成される。この隙間SPは、スイッチ装置101’の正面側から見ると、リング形状となっている。
【0046】
操作ノブ301’は、器状のカバー体302’を有する。カバー体302’は、正面視にて円形状であり、操作ノブ取付用孔203’よりも径が若干小さい。操作ノブ301’は、カバー体302’の底部を正面側に向け、カバー体302’の開口側を操作ノブ取付用孔203’の底面204’に向けて、操作ノブ取付用孔203’に取り付けられる。このとき、カバー体302’は、隙間SPに位置付けられる。そして、操作ノブ取付用孔203’の底面204’には、排水ガイド部501が、左右対象となる箇所に二つ設けられている。
【0047】
操作ノブ301’のカバー体302’からは、基体305が、このカバー体302’の開口側に延出している。この基体305は、操作ノブ301’が操作ノブ取付用孔203’に装着された場合に筒部206の内側に位置付けられて、スイッチボディ201’の内部に配置されているスイッチ基板401(図15では図示せず)の接点部404の近傍に位置付けられる。
【0048】
操作ノブ301’のカバー体302’の底部に力Fが加えられて操作ノブ301’が押された場合、操作ノブ301’はスイッチボディ201’の軸心方向にスライドする。このとき、操作ノブ301’の基体305の先端は、接点部404を動かし、スイッチ基板401の接点を切り替える。
【0049】
図16は、スイッチ装置101’の右側面図である。なお、図16では、スイッチ装置101’がインストルメントパネルに取り付けられていて、スイッチボディ201’の軸心方向が水平から傾いている状態を示している。スイッチボディ201’の基部201a’において、意匠面202’とは反対側となる面202a’の近傍には、排水用穴251が設けられている。排水用穴251は、基部201a’の周回り方向に沿って設けられている。排水用穴251の内側には、排水ガイド部501が設けられている。この排水ガイド部501は、前述した実施の形態のシーソー型のスイッチ装置101に備わるものと同様、筒部206が突出する操作ノブ取付用孔203’の底面204’から突出し、この底面204’の縁部204a’と筒部206の外周面との間に連続して設けられている。排水ガイド部501は、図15において二箇所に描かれているように、図16には描かれていないスイッチ装置101’の左側面側にも設けられている。そして、スイッチ装置101’がインストルメントパネルに取り付けられた場合、これらの排水ガイド部501は、正面側から見ると筒部206の外周面から左右に水平に延びることになる。
【0050】
上記のように構成される本実施の形態のプッシュ型のスイッチ装置101’によっても、前述した第一の実施の形態及びその変形例のシーソー型のスイッチ装置101と同様に、スイッチ装置にかかって操作ノブ取付用孔203’から入り込み(図14参照)、カバー体302’の表面を伝って操作ノブ取付用孔203’の底面204’に流れ落ちた液体が、筒部206の周囲を伝って排水ガイド部501に塞き止められ、この底面204’の縁部204a’からスイッチボディ201’の側面に流れ落ちる(図16参照)。なお、液体の流れは、図14及び図16において一点鎖線で示してある。このため、スイッチ装置101’にかかった雨水等の液体が、このスイッチ装置101’の周囲に溜めないようにすることができる。
【0051】
なお、本実施の形態のスイッチ装置101’も、スイッチボディ201’の意匠面202’を垂直とする垂直向きにインストルメントパネルに取り付けられることがある。このような場合でも、これまでに述べたスイッチ装置101と同様、排水ガイド部501によって、操作ノブ取付用孔203’に入り込んだ液体が、スイッチボディ201’の側面に排出される。
【符号の説明】
【0052】
101、101’ スイッチ装置
201、201’ スイッチボディ(ケース)
204 シーソー体取付用孔の底面(筒部が突出する面)
204’ 操作ノブ取付用孔の底面(筒部が突出する面)
204a、204a’ 縁部
206 筒部
207 揺動軸
208 開口端
212 傾斜面
301 シーソー体(操作部)
301’ 操作ノブ(操作部)
401 スイッチ基板
402 切替突起
404 接点部
501 排水ガイド部
D 操作部と筒部が突出する面との間の距離
X 揺動軸の軸心方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点を有するスイッチ部材を収納するケースと、
前記ケースが有する一の面から突出し当該ケースの内側と外側とを連通する筒部と、
前記筒部の開口端を覆うとともに前記筒部の内部に延び、外力によって変位して前記接点を切り替える操作部と、
前記筒部が突出する面から突出し当該面の縁部と前記筒部の外周面との間に連続して設けられる排水ガイド部と、
を備えるスイッチ装置。
【請求項2】
前記筒部は、揺動軸を中心に前記操作部を揺動自在に支持し、
前記排水ガイド部は、前記揺動軸の軸心方向に延びている、
請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記排水ガイド部の先端は、前記操作部との距離が最も小さく、かつ、当該操作部の揺動による当該距離の変化が最も小さい位置に位置付けられる、
請求項2記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記排水ガイド部は、前記筒部の外周面に対し鈍角をなす傾斜面を備える、
請求項2又は3記載のスイッチ装置。
【請求項1】
接点を有するスイッチ部材を収納するケースと、
前記ケースが有する一の面から突出し当該ケースの内側と外側とを連通する筒部と、
前記筒部の開口端を覆うとともに前記筒部の内部に延び、外力によって変位して前記接点を切り替える操作部と、
前記筒部が突出する面から突出し当該面の縁部と前記筒部の外周面との間に連続して設けられる排水ガイド部と、
を備えるスイッチ装置。
【請求項2】
前記筒部は、揺動軸を中心に前記操作部を揺動自在に支持し、
前記排水ガイド部は、前記揺動軸の軸心方向に延びている、
請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記排水ガイド部の先端は、前記操作部との距離が最も小さく、かつ、当該操作部の揺動による当該距離の変化が最も小さい位置に位置付けられる、
請求項2記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記排水ガイド部は、前記筒部の外周面に対し鈍角をなす傾斜面を備える、
請求項2又は3記載のスイッチ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−232096(P2010−232096A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80197(P2009−80197)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】
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