説明

スイッチ装置

【課題】 ノブの小変更にも柔軟に対応でき、製造コストを低く抑えることが可能なスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置1は、複数のノブ2と、支持部材3と、開口4bを有するパネル4とを備えている。複数のノブ2は、パネル4の開口4bの内部において、互いに隣接して配列されている。支持部材3は、ノブ2に後方側から連結してノブ2を支持する複数の筒体5を有する。筒体5は、当該筒体5に支持されるノブ2の凹部2cに対応した形状を有し、当該凹部2cに挿入されることにより、ノブ2を前後方向に移動自在に支持している。支持部材3は、複数の分割部分21、22、23に分割されている。分割部分21、22、23は、それぞれパネル4に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のインストルメントパネル等に装着されるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のインストルメントパネル等には、種々の操作スイッチが配置されているが、これらの操作スイッチとして、特許文献1に記載されているようなモジュール化されたスイッチが提案されている。このようなモジュール化されたスイッチは、隣接したモジュール式スイッチ同士をコネクタで互いに連結した状態でインストルメントパネルに取り付けられている。
【0003】
また、エアコン操作用のヒートコントロールパネルなどでは、複数のスイッチが集約されたスイッチ装置が用いられている。このようなスイッチ装置では、前面側に指で操作される操作部を有する複数のノブを後方側から支持部材が支持した状態で、パネルの開口部などに取り付けられている。
【0004】
支持部材は、複数のノブの形状にそれぞれ対応して配置された複数の支持体を有している。支持部材の支持体がノブの後方側の凹部に挿入されることによって、ノブは前後方向に移動自在に支持される。このような支持部材は、複数の支持体が集合した形態で合成樹脂などによって一体成形されることにより製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4119874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の支持部材では、複数のノブの形状にそれぞれ対応する複数の支持体が集合した状態で一体成形されているので、パネルの意匠や開口部に影響を与えないような個々のノブの小さな変更でも、ノブの配列や形状が変わるたびに、それに対応した支持部材を一体成形により新たに製造しなければならないという問題がある。
【0007】
例えば、隣接する2個のノブの間に仕切り用のセパレータを設けるか省略するといった変更や、ノブの形状をプッシュスイッチ式にするかシーソースイッチ式にするかといった変更などごくわずかなノブの変更であっても、その変更に応じて支持部材を新たに一体成形により製造しなければならず、その分製造コストが増加するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、ノブの小変更にも柔軟に対応でき、製造コストを低く抑えることが可能なスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためのものとして、本発明のスイッチ装置は、開口を有するパネルと、後方側に開口する凹部を有し、前記パネルの開口の内部において互いに隣接して配列された複数のノブと、当該複数のノブを前後方向へ移動自在に後方側から支持する複数の支持体を有する支持部材とを備えており、前記支持体は、当該支持体に支持される前記ノブの凹部に対応した形状を有し、当該凹部に挿入されることによって前記ノブを支持し、前記支持部材は、それぞれが少なくとも2つの前記支持体を有するように複数の分割部分に分割されており、前記分割部分は、それぞれ前記パネルにおける前記各ノブの配列に対応した配列で当該パネルに固定されていることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
本発明では、支持部材が、複数のノブの凹部の形状にそれぞれ対応する複数の支持体を有しており、その支持部材が複数の分割部分に分割された構成になっている。これにより、パネルの開口の内部に隣接して配列された複数のノブのうちの一部を小変更する場合でも、それに対応する支持体を有する支持部材の分割部分のみを変更することが可能になる。その結果、支持部材の全体を新規に製造する必要がなくなるので、製造コストを大幅に低減することが可能になる。
【0011】
すなわち、従来のスイッチ装置では、パネルの開口内に集約された複数のノブを支持する場合に、これら集約されたノブを支持するための単一の支持部材が用いられていたのに対し、本発明では、その集約された複数のノブを支持するのに敢えて複数の分割部分に分割された支持部材を用いることで、前記ノブの配列や形状に関する変更に柔軟に対応することを可能にしたものである。
【0012】
また、支持部材の分割部分がそれぞれ共通のパネルに固定されているので、パネルを介して分割部分のそれぞれを安定して結合することが可能である。
【0013】
さらに、支持部材が分割された構造によって、支持部材の成形時に生じる寸法のばらつきや段差などの公差内の微妙なばらつきをパネル組み付け時に調整することが可能である。
【0014】
また、前記分割部分のうち互いに隣接する少なくとも2つの前記分割部分が、それぞれの分割部分に支持される特定のノブ同士が互いに密着して配列されるように、前記パネルに固定されているのが好ましい(請求項2)。
【0015】
この構成によれば、隣接する2つの支持部材の分割部分の間において、セパレータなどが介在されておらず、複数のノブが互いに密着して配列されている場合でも、ノブの変更に応じて、そのノブに対応する支持体を有する分割部分のみを変更することが可能である。また、隣接する2つの分割部分の間も複数のノブが互いに密着して配列されているので、美観が向上している。
【0016】
前記分割部分は、それぞれねじ孔を有するねじ止め部を有しており、前記ねじ孔の内径は、当該ねじ孔に挿通されるねじの外径よりも所定の遊び分だけ大きいのが好ましい(請求項3)。
【0017】
この構成によれば、ねじ止め部のねじ孔の内径が当該ねじ孔に挿通されるねじの外径よりも所定の遊び分だけ大きいので、支持部材の分割部分のそれぞれを、ねじ止めするときにねじ孔の所定の遊び分の範囲でずらしながら位置調整してパネルに取り付けることが可能である。このため、ノブおよび分割部分をそれぞれパネルに取り付ける作業が容易になる。また、分割部分同士の相対位置の微調整も可能であり、ノブの配列に関する意匠の幅も広がる。
【0018】
前記分割部分のねじ止め部は、隣接する他の前記分割部分のねじ止め部と重ね合わされた状態で、前記パネルにねじ止めされているのが好ましい(請求項4)。
【0019】
この構成によれば、支持部材の分割部分のねじ止め部が隣接する他の支持部材のねじ止め部と重ね合わされた状態でパネルにねじ止めされているので、隣接する2個の分割部分の間の結合状態がさらに強固になる。しかも、ねじ止め部を重ね合わせることにより、省スペース化が可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明のスイッチ装置によれば、パネルの開口内に集約されるノブを支持するための部材として、複数の分割部分に分割された支持部材を具備するので、前記ノブの配列や形状に関する小変更に対して、前記支持部材全体を変更することなく、これに含まれる分割部分の配列や一部交換のみで柔軟に対応することができる。その結果、製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のスイッチ装置の実施形態に係る両側にセパレータが配置されたスイッチ装置の分解斜視図である。
【図2】図1の複数のノブと、支持部材を構成する3個の分割部分とを示す分解斜視図である。
【図3】図2のスイッチ装置の正面図である。
【図4】図3のスイッチ装置のIV−IV線断面図である。
【図5】図1のスイッチ装置を片側のみにセパレータが配置された構造に変形した例の分解斜視図である。
【図6】図5のスイッチ装置の正面図である。
【図7】図1のスイッチ装置を片側にシーソースイッチ用のノブが配置された構造に変形した例の分解斜視図である。
【図8】図7のスイッチ装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のスイッチ装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1〜4に示されるスイッチ装置1は、主要な構成として、複数のノブ2と、支持部材3と、パネル4とを備えている。
【0024】
複数のノブ2は、図3に示されるように、前面側の操作部2aが互いに隣接した状態でパネル4の開口4bの内部に密着して配列されている。このスイッチ装置1におけるノブ2の配列は、中央に横一列に4個のノブ2が並び、その両側にはセパレータ18を取り囲むように上下2段の4個のノブ2がそれぞれ互いに密着して配置されている。
【0025】
複数のノブ2は、それぞれ後方側から支持部材3の複数の筒体5によって、前後方向Aに移動自在に支持されている。図4に示されるように、支持部材3の後方側(図4の紙面右側)には、パッドスイッチ16を有する回路基板15が設置されている。ノブ2の操作部2aを前方から指で押すと、ノブ2は、筒体5に案内されて後方へ移動する。これにより、ノブ2の後端部2dがパッドスイッチ16を押すことができる。
【0026】
また、図2に示されるように、本実施形態の支持部材3は、後述するように、3個の分割部分21、22、23に分割されている。それぞれの分割部分21、22、23は、少なくとも2本(図2ではそれぞれ4本)の筒体5を有している。筒体5は、本発明の支持体に対応する。
【0027】
以下、各構成部品についてさらに詳細に説明する。
【0028】
ノブ2は、プッシュボタンスイッチ用のノブであり、後方側が開放された中空の部材である。それぞれのノブ2は、前側に位置して指で押される操作部2aと、この操作部2aの外周部から後方に延びる角筒状の側壁2hとを有している。したがって、側壁2hの内側には、後方に開口する凹部2cが形成されている。凹部2cは、この実施形態では、矩形断面形状を有し、前後方向Aに延びるように形成されている。
【0029】
支持部材3は、図2に示されるように、ノブ2を支持する筒体5を少なくとも2本有するように、複数の分割部分21、22、23に分割されている。それぞれの分割部分21、22、23は、略平板状の基端部分21a、22a、23aを有し、各基端部分から複数の筒体5が互いに隣接するようにして前方に延びている。複数の分割部分21、22、23は、それぞれが各ノブ2の配列に対応した配列で共通のパネル4にねじ止めされることにより、結果として、当該パネル4を介して相互に合体し、1個の支持部材3を構成する。
【0030】
筒体5は、ノブ2の凹部2cの形状に対応する形状をしており、矩形断面形状を有する筒体である。この筒体5は、ノブ2の凹部2cの内壁に密着するように挿入され、ノブ2を前後方向Aに移動可能に支持している。
【0031】
筒体5の内部には、前後方向Aに延びる貫通孔5bが形成されている。この貫通孔5bを通して、回路基板15のLED光源17の光を前方へ導き、ノブ2の操作部2aの表示を浮かび上がらせることができる。
【0032】
また、それぞれの筒体5の上面には、くさび形の抜け止め5aが形成されている。抜け止め5aは、ノブ2の上面に形成された長孔2eに挿入される。これにより、ノブ2は、一定のストローク分だけ前後方向Aへの移動は許されるが、筒体5からの脱落は防止される。
【0033】
支持部材3の外側の四隅には、ねじ止め部6が設けられている。ねじ止め部6には、ねじ7が貫通するねじ孔8がそれぞれ形成されている。ねじ止め部6は、支持部材3の両側の分割部分21、22の外側面にそれぞれ2箇所設けられている。
【0034】
また、中央の分割部分23における上面両端付近には、ねじ止め部9が設けられている。ねじ止め部9には、ねじ7が貫通するねじ孔10がそれぞれ形成されている。
【0035】
さらに、支持部材3の両側の分割部分21、22の幅方向Bにおける内側の側面には、ねじ止め部11が設けられている。ねじ止め部11には、ねじ7が貫通するねじ孔12がそれぞれ形成されている。
【0036】
ねじ止め部6,9、11に形成されたねじ孔8、10、12の内径は、これらのねじ孔に挿通されるねじ7の外径よりも所定の遊び分だけ大きくなるように設定されている。
【0037】
また分割部分21、22および23を合体させたとき、ねじ止め部9はねじ止め部11に重ね合わされ、ねじ孔10とねじ孔12とが連通する。
【0038】
さらに、支持部材3の分割部分21〜23のうち、左右両外側の分割部分21、22には、隣接する2本の筒体5の間を縦に延びるセパレータ18が設けられている。セパレータ18は、前方に延びており、4個のノブ2によって形成されたスリット19を通して、パネル4の開口4bにおいてノブ2とともに配列される。このセパレータ18は、デザイン上、ノブ2の外観に変化を与えるために設けられるもので、このセパレータ18の有無が適宜選択される。
【0039】
パネル4は、その前面部分4aにおいて、複数のノブ2のそれぞれの操作部2aが挿入される開口4bが形成されている。また、パネル4の前面部分4aの外周縁には、上面部分4c、下面部分4d、側面部分4e、4fが形成されている。これにより、パネル4は、ノブ2および支持部材3の前面だけでなく上面、下面および両側面を覆うことが可能である。
【0040】
パネル4の内側の四隅には、ねじ止め部4gが設けられている。ねじ止め部4gには、ねじ7のおねじ部分の形状に対応するねじ穴4hがそれぞれ形成されている。また、パネル4の内側の開口4bの付近の2箇所にも、ねじ止め部4jが設けられている。ねじ止め部4jには、ねじ7のおねじ部分の形状に対応するねじ穴4kがそれぞれ形成されている。
【0041】
次に上記のスイッチ装置1の組立方法を説明する。まず、図2に示されるように、支持部材3の各分割部分21、22、23のそれぞれの筒体5に、それに対応するノブ2を前方から装着していく。
【0042】
ついで、ノブ2が装着された各分割部分21、22、23を、パネル4の後方から、左から順に分割部分22、23、21の順にはめ込み、ノブ2の操作部2aをパネル4の開口4bに挿入する。このとき、ねじ止め部9はねじ止め部11に重ね合わされ、ねじ孔10とねじ孔12とが連通する。
【0043】
その後、各分割部分21、22、23のねじ孔8、10、12にねじ7を後方側から挿入し、ねじ止め部6、9、11をパネル3のねじ止め部4g、4jにねじ7によってねじ止めする。これにより、支持部材3の分割部分21、22、23は、それぞれパネル4に固定される。その結果、分割部分21、22、23は、当該パネル4を介して相互に合体し、1個の支持部材3を構成する。
【0044】
このように、本実施形態のスイッチ装置1では、支持部材3が複数の分割部分21、22、23に分割されているので、ノブ2の配列や形状に関する小変更に対して、支持部材3の全体を変更することなく、これに含まれる分割部分21、22、23の配列や一部交換のみで柔軟に対応することができる。
【0045】
具体的には、複数のノブ2のうち、ある1つまたは複数のノブ2を他のノブ2と異なる形状に小変更する場合でも、ノブ2のそれぞれの形状に対応した筒体5を有する分割部分21、22、23を配置することにより、ノブ2の小変更に応じて支持部材3を変更することが可能である。
【0046】
例えば、図5〜6に示される変形例のように、片側のセパレータ18を省略する場合には、右側の分割部分31のみセパレータを有しない分割部分に置き換えて、他の分割部分22、23は、図1〜4に示されるスイッチ装置1と共通の分割部分を採用することが可能である。
【0047】
図5〜6に示される変形後のノブ2の配列では、左側(分割部分22の側)の上下2段の4個のノブ2の間には、スリット19が形成され、スリット19を通してセパレータ18がパネル4の開口4bから前方に露出しているが、右側(分割部分31の側)の上下2段の4個のノブ2の間には、スリットが形成されておらず、セパレータも省略されている。
【0048】
さらに、図7〜8に示される他の変形例のように、片側のスイッチだけシーソースイッチに変更する場合には、右側のみシーソースイッチ用のノブ43を配置し、それに応じて右側の分割部分41のみシーソースイッチ用ノブ43に対応した分割部分に置き換えればよい。他のプッシュスイッチ用のノブ2に対応した分割部分22、23は、図1〜4に示されるスイッチ装置1と共通の分割部分を採用することが可能である。
【0049】
ここで、図7〜8に示されるシーソースイッチ用の2個のノブ43は、後方側が開放された中空の部材である。それぞれのノブ43の前側には、指で押される操作部43aが設けられている。また、それぞれのノブ43の後側には、分割部分41の筒体44が挿入される凹部43bが形成されている。また、ノブ43の両側面には、貫通孔43cが形成されている。
【0050】
操作部43aの周面を取り囲む四面の側壁43hが後方に延び、これにより、ノブ43の後側には、後方に開口する凹部43bが形成されている。凹部43bは、矩形断面形状を有し、前後方向Aに延びるように形成されている。また、操作部43aが傾斜して配置されているので、操作部43aの裏側に位置する凹部43bの内壁もそれに対応して傾斜した形状を有している。
【0051】
このシーソースイッチ用のノブ43に対応する分割部分41は、ノブ43の凹部43bの形状に対応して矩形断面形状を有する筒体44を2本有している。筒体44の両側面には、軸部45が突設されている。筒体44の先端開口44aは、ノブ43の形状に合わせて傾斜した形状を有している。
【0052】
筒体44がノブ43のそれぞれの凹部43bに挿入され、軸部45がノブ43の貫通孔43cに挿入されることにより、ノブ43は、軸部45回りに前後方向Aに沿って揺動自在に支持される。これにより、ノブ43の操作部43aが前方から指で押されてノブ43が軸部45回りに揺動すると、ノブ43の後端部43dが支持部材3の後方側に設置される回路基板のパッドスイッチ(図示せず)を押すことができる。
【0053】
以上のように構成されたスイッチ装置1では、支持部材3が、複数のノブ2の凹部2cの形状にそれぞれ対応する複数の筒体5を有しており、その支持部材3が複数の分割部分に分割された構成になっている。これにより、パネル4の開口4bの内部に隣接して配列された複数のノブ2のうちの一部を小変更する場合でも、それに対応する筒体5を有する支持部材3の分割部分21、22、23のみを変更することが可能になる。
【0054】
例えば、上述のように、図5に示されるように片側のセパレータ18を省略する場合や、図7に示されるような片側のスイッチだけシーソースイッチに変更する場合などの小変更をする場合など、パネル4の開口4bの形状に変更を与えないで、ノブ2および支持部材3の一部を変更すれば、既存のスイッチ装置の大部分の部品を利用することができる場合がある。そのような場合において、複数のノブ2のうちの一部の変更に応じて、それに対応する筒体5を有する支持部材3の分割部分21、22、23のみを変更すればよく、残りの分割部分は既存のスイッチ装置と同一の分割部分を利用することが可能である。その結果、支持部材3の全体を新規に製造する必要がなくなるので、製造コストを大幅に低減することが可能になる。
【0055】
しかも、支持部材3を分割構造にすることにより、それぞれの分割部分21、22、23を樹脂成形するための金型も製造しやすくなる。また、分割部分21、22、23のそれぞれを他の支持部材の一部として利用することも可能であるので、部品の共通化も容易である。
【0056】
また、支持部材3の分割部分21、22、23がそれぞれ共通のパネル4に固定されているので、パネル4を介して支持部材3の分割部分21、22、23のそれぞれを安定して結合することが可能である。さらに、支持部材3が分割された構造によって、支持部材3の成形時に生じる寸法のばらつきや段差などの公差内の微妙なばらつきをパネル4への組付け時に調整することが可能である。
【0057】
しかも、支持部材3が分割された構造であるので、それぞれの分割部分21、22、23のパネル4への取付け時にパネル4の開口4bの内周縁と支持部材3の外周縁との間の隙間を調整することが可能である。その結果、支持部材3の分割部分21、22、23同士のバランスだけでなく、支持部材3とパネル4とのバランスも取りやすくなる。
【0058】
また、分割部分21、22、23のうち互いに隣接する少なくとも2つの分割部分が、それぞれの分割部分に支持される特定のノブ2同士が互いに密着して配列されるように、パネル4に固定されている。これにより、隣接する分割部分21、22、23の間において、セパレータなどが介在されておらず、複数のノブ2が互いに密着して配列されている場合でも、ノブ2の変更に応じてそのノブ2に対応する分割部分21、22、23のみを変更することが可能である。また、隣接する分割部分21、22、23の間も複数のノブ2が互いに密着して配列されているので、美観が向上している。
【0059】
また、本実施形態のスイッチ装置1では、ねじ止め部6,9、11に形成されたねじ孔8、10、12の内径は、これらのねじ孔に挿通されるねじ7の外径よりも所定の遊び分だけ大きくなるように設定されている。これにより、支持部材3の分割部分21、22、23のそれぞれを、ねじ止めするときにねじ孔8、10、12の所定の遊び分の範囲でずらしながら位置調整してパネル4に取り付けることが可能である。その結果、ノブ2および支持部材3の分割部分21、22、23をそれぞれパネル4に取り付ける作業が容易になっている。
【0060】
例えば、分割部分21、22、23のそれぞれを金型で樹脂成形する際に1mm未満の公差内の微小な寸法誤差が生じた場合でも、これらの分割部分21、22、23をパネル4にねじ止めするときにねじ孔8、10、12の所定の遊び分の範囲でずらしながら位置調整することにより、成形時の寸法誤差を組付時の調整で吸収することができる。
【0061】
さらに、本実施形態のスイッチ装置1では、支持部材3の中央の分割部分23のねじ止め部9は、両側に隣接する他の分割部分21、22のねじ止め部11と重ね合わされた状態でパネル4にねじ止めされている。これにより、隣接する分割部分21と23との間、および分割部分22と23との間の結合状態がさらに強固になる。しかも、ねじ止め部9、11を重ね合わせてパネル4にねじ止めしているので、ねじ止め部分の占有面積が小さくなり、省スペース化が可能である。
【0062】
なお、以上の実施形態では、パネル4の開口4bの開口面全体にノブ2が配列された例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、パネル4の開口面のうち、一部を液晶パネルなどを配置してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 スイッチ装置
2、43 ノブ
2a 操作部
2c 凹部
3 支持部材
4 パネル
4a 前面部分
4b 開口
5 筒体(支持体)
6、9、11 ねじ止め部
7 ねじ
8、10、12 ねじ孔
15 回路基板
16 パッドスイッチ
17 LED光源
18 セパレータ
19 スリット
21、22、23、31、41 分割部分
A 前後方向
B 幅方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するパネルと、
後方側に開口する凹部を有し、前記パネルの開口の内部において互いに隣接して配列された複数のノブと、
当該複数のノブを前後方向へ移動自在に後方側から支持する複数の支持体を有する支持部材と、
を備えており、
前記支持体は、当該支持体に支持される前記ノブの凹部に対応した形状を有し、当該凹部に挿入されることによって前記ノブを支持し、
前記支持部材は、それぞれが少なくとも2つの前記支持体を有するように複数の分割部分に分割されており、
前記分割部分は、それぞれ前記パネルにおける前記各ノブの配列に対応した配列で当該パネルに固定されている、
いることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記分割部分のうち互いに隣接する少なくとも2つの前記分割部分が、それぞれの分割部分に支持される特定のノブ同士が互いに密着して配列されるように、前記パネルに固定されている、
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記分割部分は、それぞれねじ孔を有するねじ止め部を有しており、
前記ねじ孔の内径は、当該ねじ孔に挿通されるねじの外径よりも所定の遊び分だけ大きい、
請求項1または2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記分割部分のねじ止め部は、隣接する他の前記分割部分のねじ止め部と重ね合わされた状態で、前記パネルにねじ止めされている、
請求項3に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−228116(P2011−228116A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96750(P2010−96750)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】