説明

スイッチ装置

【課題】組み付けのしやすいスイッチ装置を提供する。
【解決手段】
可動部20を有するスイッチ17と、このスイッチ17の前方側に配置され押圧または回動操作により可動部20を作動させると共にスイッチ17側とは反対側の端部に表示部を有する操作部材18と、スイッチ用光源19とを備え、操作部材18がスイッチ用光源19の光を表示部に導光可能な材料からなり、少なくともスイッチ17及びスイッチ用光源19を覆う覆い部材に形成された貫通孔14aを貫通するスイッチ装置において、操作部材18は、スイッチ用光源19の光を受光する受光部32とスイッチ17を押圧する押圧部31とを有する第1のノブ30と、第1のノブ30を操作可能に接続され表示部を有する第2のノブ40とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のメータに組み込まれ、光源からの光により照明される操作部材を備えたスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のように、車両のメータにおいて輝度の調節などにスイッチ装置が用いられている。このスイッチ装置は、可動部を有するスイッチと、このスイッチ側の端部で可動部を作動させると共にスイッチ側とは反対側の端部に表示部を有する操作部材と、光源とを備えている。操作部材は、光源の光を表示部に導光可能な透明材料からなり、遮光性塗料により覆われている。表示部は遮光性塗料をレーザー加工などで部分抜きして形成されている。
【0003】
このように構成された操作部材は、運転者が操作できるように、フロントガラス(フロントカバー)からなる覆い部材に形成された貫通孔から前方に突出するように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009―266399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなスイッチ装置は、フロントガラスに形成された貫通孔から操作部材を貫通させる構造のため、組み付けの際に表示部がフロントガラスに接触することで擦れてしまわないように注意しながら組付ける必要があり、組付け作業効率が悪くなるといった問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、光源からの光により照明される操作部材を備えたスイッチ装置において、組付け作業性を向上させることが可能なスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明は、前記目的を達成するため、可動部を有するスイッチと、このスイッチの前方側に配置され押圧または回動操作により前記可動部を作動させると共に前記スイッチ側とは反対側の端部に表示部を有する操作部材と、光源とを備え、前記操作部材が前記光源の光を前記表示部に導光可能な材料からなり、少なくとも前記スイッチ及び前記光源を覆う覆い部材に形成された貫通孔を貫通するスイッチ装置において、前記操作部材は、前記光源の光を受光する受光部と前記スイッチを押圧する押圧部とを有する第1のノブと、前記第1のノブを操作可能に接続され前記表示部を有する第2のノブとからなることを特徴とする。
【0008】
このように構成することで、覆い部材を組付けた後に第1のノブを第2のノブに連結することができるため、覆い部材と第2のノブに形成した表示部との接触を防止し、組付け作業性を良好にすることができる。
【0009】
また本発明は、前記第1のノブと前記第2のノブとの接続部を包囲する弾性部材からなる連結部材を有し、この連結部材が前記覆い部材の前記貫通孔の内周面と対向することを特徴とする。
【0010】
このように構成することで、連結部材によって第1のノブと第2のノブとを安定的に連結できるだけでなく、連結部材を弾性部材とすることで操作部材と貫通孔との接触による異音の発生を防止することができる。
【0011】
また本発明は、前記第1のノブが前記覆い部材の前記スイッチ側に前記貫通孔の内径よりも大きな外径を有する遮光部を有することを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、貫通孔からの光漏れを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、組み付け性の良好なスイッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明における第1の実施形態を示す計器装置の正面図。
【図2】同上の計器装置のA−A断面図。
【図3】本発明における第1の実施形態を示すスイッチ装置の断面図。
【図4】本発明における第2の実施形態を示すスイッチ装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の実施形態であるスイッチ装置を適用した車両用の計器装置を説明する。
【0016】
計器装置は、硬質な回路基板3と、この回路基板3の裏面側に回路基板3と導通状態で装着され、回路基板3を貫通して前方に延びる回動軸4を有する計器本体5と、回動軸4の先端側に固着された指針6と、この指針6の後方に配置され指針6の動作に対応する表示部(図示せず)を施した表示板7と、この表示板7と回路基板3との間に配置され、表示板7を保持する白色の合成樹脂からなる保持部材8と、回路基板3上に実装され指針6や表示板7を背後から照明する光源としての発光ダイオード9と、回路基板3の裏面側を覆うカバー10と、表示板7の前方側に配置され表示板7の可視領域を定める開口部11を有する加飾部12と、指針6や表示板7などの前方側を被う無色透明の前面カバー13を備えている。
【0017】
また、表示板7、加飾部12、前面カバー13には、後述する第1のノブを貫通させ、順次組み付け可能とするための貫通孔7a、12a、13aが設けられている。
【0018】
また、計器装置は車両の走行情報を表示する表示部と、その表示部の輝度を調節する、例えばイルミネーションコントロールからなるスイッチ装置を備えている。
【0019】
スイッチ装置は、例えばシリコーンゴムなどのゴム弾性体からなり、回路基板3に半田付け固定された可動部20を有するスイッチ17と、このスイッチ17が配置される硬質な回路基板3と、スイッチ17を押圧操作する合成樹脂製の操作部材18と、操作部材18のスイッチ側とは反対側の端部に設けられた表示部(図示せず)を照明する為のスイッチ用光源19とを備えている。回路基板3は速度計1や回転計2の計器本体5が装着された基板である。また、本実施形態におけるスイッチ装置は、車両のダッシュボード14に設けられた貫通穴14aから操作部材18が貫通する構造となっている。
【0020】
操作部材18は、スイッチ17を押圧する押圧部31を有する第1のノブ30と、第1のノブ30を操作可能に接続され表示部を有する第2のノブ40と、第1のノブと第2のノブとの連結部分を連結する連結部材50と、第1のノブ30に一体成型されたフランジ34と、フランジ34に装着されるパッキン35とからなる。
【0021】
第1のノブ30は、透光性の合成樹脂から形成され、スイッチ17の可動部20上に当接し、可動部20を押圧する円板状の押圧部31と、押圧部31の周縁からL字状に回路基板3側に延び、その先端側に光源からの光を受光する受光部32と、受光部32から入射した光を第2のノブ40へ導光する導光部33とを有している。なお、スイッチ装置は、可動部20の回動操作によっても操作可能としてもよい。
【0022】
また、ランジ34には、スイッチ用光源19の光が貫通孔13aから漏れ出るのを防止するために、樹脂やゴムなどからなるパッキン35が装着されている。また、パッキン35は、ダッシュボード14に設けられた貫通穴14aの内径よりも大きな外径を有している。
【0023】
第2のノブ40は、透光性の合成樹脂に例えば白と黒の塗装を施したものであり、その先端部にレーザー加工で表示部を形成してなる。
【0024】
連結部材50は、例えばエラストマーなどの弾性部材からなり、遮光性を有するものである。連結部材50は、第1のノブ30と第2のノブ40との接続部を包囲するものであり、ダッシュボード14の貫通孔14aの内周面と対向する構造となっている。
【0025】
スイッチ装置の組み付け方法を説明する。スイッチ17とスイッチ用光源19は、半田付けなどの工程によって回路基板3に組み付けられている。スイッチ17の可動部20と第1のノブ30の押圧部31とが当接するように圧入させたのち、導光部33に、表示板7、加飾部12、前面カバー13にそれぞれ設けられた貫通孔7a、12a、13aを順番に貫通させる。このとき、第1のノブ30の遮光壁34は、前面カバー13の外側に位置するように配置される。スイッチ装置を搭載した車両計器装置にダッシュボード14を被せる際には、第1のノブ30を貫通孔14aから貫通させて、最後に、あらかじめ連結部材50を圧入しておいた第2のノブ40を装着する。
【0026】
このように本発明は、可動部20を有するスイッチ17と、このスイッチ17の前方側に配置され押圧または回動操作により可動部20を作動させると共にスイッチ17側とは反対側の端部に表示部を有する操作部材18と、スイッチ用光源19とを備え、操作部材18がスイッチ用光源19の光を表示部に導光可能な材料からなり、少なくともスイッチ17及びスイッチ用光源19を覆う覆い部材に形成された貫通孔14aを貫通するスイッチ装置において、操作部材18は、スイッチ用光源19の光を受光する受光部32とスイッチ17を押圧する押圧部31とを有する第1のノブ30と、第1のノブ30を操作可能に接続され表示部を有する第2のノブ40とからなることによって、ダッシュボード14を組付けた後に第1のノブ30を第2のノブ40に連結することができるため、ダッシュボード14と第2のノブ40に形成した表示部との接触を防止し、組付け作業性を良好にすることができる。
【0027】
また本発明は、第1のノブ30と第2のノブ40との接続部を包囲する弾性部材からなる連結部材50を有し、この連結部材50がダッシュボード14の貫通孔14aの内周面と対向することによって、連結部材50によって第1のノブ30と第2のノブ40とを安定的に連結できるだけでなく、連結部材50を弾性部材とすることで操作部材50と貫通孔14aとの接触による異音の発生を防止することができる。
【0028】
また本発明は、第1のノブ30がダッシュボード14のスイッチ17側に貫通孔14aの内径よりも大きな外径を有するフランジ部35を有することによって、貫通孔14aからの光漏れを防止することができる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施形態であるスイッチ装置を適用した車両用の計器装置を説明する。なお、第1の実施形態とは、第2のノブ40と連結部材50の形状が違うだけなので、全体の説明は省略する。
【0030】
第2の実施形態における第2のノブ40は、ノブの先端部と側面部とを同じ部材にしたものである。図4に示すように、第2のノブ40の径は、内側にヒケ防止の為の肉抜き形状が必要となるため、第1の実施形態よりも大きくなる。
【0031】
連結部材50は、遮光壁34と拡大した径との間のある窪みに圧入装着される。
【0032】
このように形成することによって、第2のノブの径が大きくなるので、運転者が操作しやすくなる。
【0033】
なお、本実施形態では、ダッシュボード14から第2のノブ40が貫通する例を説明したが、例えば前面パネルから露出させる構造としてもよい。
【符号の説明】
【0034】
3 回路基板
4 回転軸
5 計器本体
6 指針
7 表示板
7a 貫通孔
8 保持部材
9 発光ダイオード
10 カバー
11 開口部
12 加飾部
12a 貫通孔
13 前面カバー
13a 貫通孔
14 ダッシュボード
14a 貫通孔
18 操作部材
19 スイッチ用光源
20 可動部
30 第1のノブ
31 押圧部
32 受光部
33 導光部
34 フランジ(遮光部)
35 パッキン
40 第2のノブ
50 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部を有するスイッチと、このスイッチの前方側に配置され押圧または回動操作により前記可動部を作動させると共に前記スイッチ側とは反対側の端部に表示部を有する操作部材と、光源とを備え、前記操作部材が前記光源の光を前記表部に導光可能な材料からなり、少なくとも前記スイッチ及び前記光源を覆う覆い部材に形成された貫通孔を貫通するスイッチ装置において、前記操作部材は、前記光源の光を受光する受光部と前記スイッチを押圧する押圧部とを有する第1のノブと、前記第1のノブを操作可能に接続され前記表示部を有する第2のノブとからなることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記第1のノブと前記第2のノブとの接続部を包囲する弾性部材からなる連結部材を有し、この連結部材が前記覆い部材の前記貫通孔の内周面と対向することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記第1のノブが前記覆い部材の前記スイッチ側に前記貫通孔の内径よりも大きな外径を有する遮光部を有することを特徴とする請求項1及び2に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−59377(P2012−59377A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198473(P2010−198473)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】