説明

スイッチ装置

【課題】微小電流検出時における導通不良や導通不安定を防止可能なスイッチ装置を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明は、左右に傾動可能に設けられるハンドル3と、ハンドル3の傾動に伴って往復動作する可動接点30と、可動接点30の往復動作に伴って可動接点30と摺動接触又は離間する固定接点23と、を有するスライドスイッチ4と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に使用されるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器等に使用されるスイッチ装置として、ハンドルを操作して接点の開閉を行う、いわゆるロッカースイッチが周知である。このようなロッカースイッチにおいては、リベット型可動接点をリベット型固定接点に押圧接触させることで回路を導通させ、リベット型可動接点をリベット型固定接点から離間することで回路を開く構成が一般に採用されている(特許文献1、2参照)。
【0003】
従来におけるロッカースイッチは、電源一次側回路を開閉することを用途とするニーズが主流だった。しかし近年、事務機、複写機等の電子機器に内蔵されるアプリケーションの精密化に伴い、電源一次側回路を外部操作によりOFFにしてしまうと、電子機器に内蔵されたHDなどの精密機器を損傷してしまうことがある。そこで、電気的に開閉できるリレーによって電源1次側回路の開閉を行い、ロッカースイッチは、リレーの開閉動作のトリガーとなる微小電流のみを検出する用途に用いられるニーズが増えてきた。
【0004】
また、省エネのニーズも近年高まりつつあり、待機(スタンバイ)時の電力を極力少なくする傾向がある中で、トリガーとなる微小電流を検出するスイッチを外部からの通電操作でOFFにする機能(以下、「リセット機能」と称す。)により、待機電力を極力無くそうというニーズが存在する。また、ロッカースイッチの軽薄短小化が進み、更なる小型化のニーズが高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3066258号公報
【特許文献2】特許第2641283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したリベット型接点で微小電流を検出する際、接触の信頼性を向上させるため接点を金めっきすることで対応していたが、リベット型接点の表面に異物等が付着して、導通不良を起こすという問題があった。
【0007】
また、上記したようなリベット型接点を接離させる構成においては、ロッカースイッチの操作荷重とリベット型接点の接圧が連動しており、微小電流検出時においてリベット型接点に過大な接圧がかかることがある。そのため、上記した押圧接触の際に、局部的な摩擦の影響で金めっきが剥がれ、導通不安定を引き起こす懸念がある。
【0008】
また、リセット機能付きのロッカースイッチにリベット型接点を適用すると、リベット型接点の接点開閉機構とリセット機能を実現するためのリセット機構が横並びとなり、不可避的にロッカースイッチの横幅が大きくなるという問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明は上記の事情を考慮し、微小電流検出時における導通不良や導通不安定を防止可能なスイッチ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記した目的を達成するため、左右に傾動可能に設けられるハンドルと、該ハンドルの傾動に伴って往復動作する可動接点と、該可動接点の往復動作に伴って該可動接点と摺動接触又は離間する固定接点と、を有するスライドスイッチと、を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、外部から電圧を印加されるリセットコイルと、該リセットコイルとの当接位置と離間位置との間で摺動可能且つ前記ハンドルが当接可能なストッパーと、該ストッパーを前記リセットコイルとの当接位置に吸着可能な磁石と、を備え、前記スライドスイッチは、一端部に前記ハンドルが当接するとともに他端部に前記可動接点が設けられたアクチュエータと、該アクチュエータを前記ハンドル側に付勢する付勢部材と、を備え、前記ハンドルを一方側に傾動させると、前記ハンドルが前記アクチュエータを押圧し、該アクチュエータが前記付勢部材の付勢力に抗して反ハンドル側に移動し、前記可動接点が前記固定接点に摺動接触するとともに、前記磁石の吸着力により前記ストッパーが前記リセットコイルとの離間位置から当接位置まで摺動することにより、前記可動接点が前記固定接点に摺動接触したON状態が保持され、前記ハンドルを他方側に傾動させると、前記付勢部材の付勢力により前記アクチュエータがハンドル側に移動し、前記可動接点が前記固定接点から離間するとともに、前記ハンドルが前記ストッパーを押圧し、該ストッパーが前記磁石の吸着力に抗して前記リセットコイルとの当接位置から離間位置まで摺動することにより、前記可動接点が前記固定接点から離間したOFF状態が保持されるものであっても良い。
【0012】
また、外部から電圧を印加されるリセットコイルと、該リセットコイルとの当接位置と離間位置との間で摺動可能且つ前記ハンドルが当接可能なストッパーと、該ストッパーを前記リセットコイルとの当接位置に吸着可能な磁石と、を備え、前記スライドスイッチは、一端部に前記ハンドルが当接するとともに他端部に前記可動接点が設けられたアクチュエータと、該アクチュエータを前記ハンドル側に付勢する付勢部材と、を備え、前記ハンドルを一方側に傾動させると、前記ハンドルが前記アクチュエータを押圧し、該アクチュエータが前記付勢部材の付勢力に抗して反ハンドル側に移動し、前記可動接点が前記固定接点に摺動接触するとともに、前記磁石の吸着力により前記ストッパーが前記リセットコイルとの離間位置から当接位置まで摺動することにより、前記可動接点が前記固定接点に摺動接触したON状態が保持され、外部から前記リセットコイルに電圧を印加することにより前記磁石の吸着力を低下又は消失させると、前記付勢部材の付勢力により前記アクチュエータがハンドル側に移動し、前記可動接点が前記固定接点から離間するとともに、前記アクチュエータが前記ハンドルを押圧し、前記ハンドルが他方側に傾動して前記ストッパーを押圧し、該ストッパーが前記リセットコイルとの当接位置から離間位置まで摺動することにより、前記可動接点が前記固定接点から離間したOFF状態が保持されるものであっても良い。
【0013】
また、一端部が前記ハンドルに固定されて左右に屈曲可能なスプリングを備え、前記スライドスイッチは、一端部に前記ハンドルが当接するとともに他端部に前記可動接点が設けられたアクチュエータと、該アクチュエータを前記ハンドル側に付勢する付勢部材と、を備え、前記ハンドルを一方側に傾動させると、前記ハンドルが前記アクチュエータを押圧し、該アクチュエータが前記付勢部材の付勢力に抗して反ハンドル側に移動し、前記可動接点が前記固定接点に摺動接触するとともに、前記スプリングが他方側に屈曲することにより、前記可動接点が前記固定接点に摺動接触したON状態が保持され、前記ハンドルを他方側に傾動させると、前記付勢部材の付勢力により前記アクチュエータがハンドル側に移動し、前記可動接点が前記固定接点から離間するとともに、前記スプリングが一方側に屈曲することにより、前記可動接点が前記固定接点から離間したOFF状態が保持されるものであっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、微小電流検出時における導通不良や導通不安定を防止可能なスイッチ装置を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るスイッチ装置において、ハンドルが左側に傾動した状態を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るスイッチ装置において、ハンドルが右側に傾動した状態を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るスイッチ装置において、ハンドルが左側に傾動した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
以下、図1、図2を用いて、本発明の第1の実施形態に係るスイッチ装置1について説明する。なお、スイッチ装置1は、設置された向きや角度によって上下左右の向きが相違するが、便宜上、図1、図2における図面手前側を前側として説明する。
【0017】
スイッチ装置1は、いわゆるロッカースイッチであって、有底箱状のケース2と、ケース2内の上部に配置されたハンドル3と、ハンドル3の左下方に設けられたスライドスイッチ4と、ハンドル3の右下方から下方にかけて設けられた連結体5と、スライドスイッチ4と連結体5の間付近に設けられてハンドル3に当接可能なストッパー6と、を主体として構成されている。
【0018】
ケース2には、上端を開口部7とする凹部8が設けられており、凹部8の下面9の左側部及び中央部右側には係合穴10が上下方向に穿設され、係合穴10の間には挿通穴11が穿設されている。また、凹部8の下面9の右端部には、上端から下端に向かってテーパ状に縮径する取付穴12が穿設されている。
【0019】
ケース2の上端外周にはフランジ部13が設けられ、ケース2の左右両側板14の外周面には、フランジ部13の下方に、バネ片15が外側に向かって突設されている。そして、複写機等の電子機器に設けられた穴(図示せず)にスイッチ装置1を装着した際には、バネ片15が穴の内面に当接して、穴からのスイッチ装置1の脱落を防止するように構成されている。
【0020】
ハンドル3は、横長形状を成しており、凹部8の開口部7を閉塞するようにして設けられている。ハンドル3の前後両端部には、嵌合突起(図示せず)が設けられ、この嵌合突起がケース2の上端の前後両端部に穿設された嵌合孔(図示せず)に嵌合することにより、ケース2の凹部8の上部にハンドル3が左右に傾動可能に支持されている。ハンドル3の上面には、下方に向かって弧状に湾曲する操作面16が設けられ、ハンドル3の下面の左右両端部には、下方に向かって鍔部17が設けられ、左端部の鍔部17の右方には、突起18が下方に向かって設けられている。
【0021】
スライドスイッチ4は、凹部8の左端部の上下方向に設けられた端子板20と、端子板20とケース2の左側板14との間に形成される空間21に上下動可能に挿入されたアクチュエータ22と、を主体として構成されている。スライドスイッチ4は、微小電流回路(図示せず)に接続されており、この微小電流回路には、例えば5mA〜300mAの電流が流れている。
【0022】
端子板20は、左側部の係合穴10の左方において、凹部8の下面9に固定されている。端子板20の左側面には、中央部下方から下端部まで、固定接点23が上下方向に設けられ、この固定接点23の下端が、凹部8の下面9に設けられた貫挿穴(図示せず)に貫挿されている。空間21の前後両端部には、凹部8の下面9から上方に向かって支持台24が突設されている。
【0023】
アクチュエータ22の上端面は、ハンドル3の左端部の鍔部17の下端と当接している。アクチュエータ22の上部には、前後方向の両端に当接面25が下方に向かって設けられ、支持台24の上面26と当接面25の間には、付勢部材としてのコイルスプリング27が介装され、このコイルスプリング27により、アクチュエータ22が上側(ハンドル3側)に付勢されている。なお、図1、図2における二点鎖線矢印は、コイルスプリング27の上端位置と下端位置を指示しており、図1においてはコイルスプリング27が収縮し、図2においてはコイルスプリング27が伸長している。アクチュエータ22の下端右側には切欠部28が設けられ、この切欠部28には、固定接点23と摺動接触可能な位置に可動接点30が圧入されている。
【0024】
連結体5の上部には、リセットコイル(電磁石)31が設けられている。リセットコイル31は、コイル巻線32が外装された筒状のコイル保持部33と、コイル保持部33に貫挿されるとともに下端左側に接触片34が設けられたヨーク35(鉄芯)と、を備えている。コイル保持部33の下方には、左方開口部36を備えた挿入空間37が設けられており、この挿入空間37には、接触片34を左方開口部36に臨ませるようにしてヨーク35の下端部が挿入されている。
【0025】
コイル巻線32は、連結体5の前面下部に沿って設けられたコイル端子38と連結されており、コイル端子38の下端が凹部8の下面9に設けられた取付穴12に貫挿されている。コイル端子38は、スイッチ装置1の外部に設けられた電圧源(図示せず)と接続されており、電圧源からコイル端子38を介してリセットコイル31に所定の電圧を印加することで、リセットコイル31のコイル巻線32の周りに磁界が発生するように構成されている。
【0026】
連結体5の下端には、支持片40が左方に向かって突設されており、支持片40には、上端縁に沿ってガイドレール41が水平に設けられている。支持片40の底面には左端部と右側部に係合片42が下方に向かって突設され、係合片42の間には、左右一対の挿入片43が下方に向かって突設されている。そして、左右一対の挿入片43を挿通穴11に挿入した状態で、係合片42を係合穴10に係合させることにより、連結体5が凹部8の下面9に固定されている。
【0027】
ストッパー6の上面の左端部には、係合突起44が上方に向かって突設されている。係合突起44の右側面には、上方に向かって左方に傾斜する傾斜面45が設けられ、この傾斜面45に、ハンドル3の突起18の左下端部を当接可能としている。ストッパー6の上面の右側部には、突片46が上方に向かって突設されている。
【0028】
ストッパー6の上下方向中央部には、右方連通部47を備えた収納空間48が設けられており、この収納空間48に可動鉄片50が収納されている。可動鉄片50の右端部には、右方連通部47を介して収納空間48の右方に突出する当接片51が設けられている。可動鉄片50には磁石52が収納されており、この磁石52の吸着力によりストッパー6がリセットコイル31との当接位置に吸着されて、可動鉄片50に設けられた当接片51がリセットコイル31のヨーク35に設けられた接触片34に当接するように構成されている(図1参照)。
【0029】
ストッパー6の下部には、連結体5の支持片40に設けられたガイドレール41と嵌合可能な嵌合部53が設けられ(図2参照)、嵌合部53がガイドレール41に嵌合されることにより、ストッパー6が、リセットコイル31との当接位置と離間位置の間で、ガイドレール41に沿って左右方向に摺動可能となっている。
【0030】
上述の如く構成されたスイッチ装置1を用いて、スライドスイッチ4が取り付けられた微小電流回路(図示せず)をONからOFFに切り替える動作について、ハンドル3を直接押圧して行うOFF操作(以下、「手動OFF操作」と称する。)と、外部電圧を印加して行うOFF操作(以下、「通電OFF操作」と称する)に分けて説明する。
【0031】
まず、手動OFF操作について説明する。
【0032】
図1は、ハンドル3が左側に傾動した状態を示している。この状態では、ハンドル3の左端部の鍔部17がアクチュエータ22を押圧しており、アクチュエータ22がコイルスプリング27の付勢力に抗して下降し(反ハンドル3側に移動し)、可動接点30が固定接点23に摺動接触している。従って、スライドスイッチ4及び微小電流回路はON状態である。
【0033】
また、ストッパー6の可動鉄片50に収納された磁石52の吸着力により、ストッパー6の可動鉄片50はリセットコイル31のヨーク35に吸着され、ストッパー6の可動鉄片50に設けられた当接片51がリセットコイル31のヨーク35に設けられた接触片34に当接している。また、ストッパー6に設けられた係合突起44の傾斜面45にハンドル3に設けられた突起18の左下端部が当接してハンドル3の右側への傾動が抑制され、可動接点30が固定接点23に摺動接触したON状態が保持されている。
【0034】
この状態から、ハンドル3の操作面16の右側部分を押圧すると、図2に示す如く、左側に傾動していたハンドル3が右側に傾動する。これに伴って、コイルスプリング27の付勢力によりアクチュエータ22及び可動接点30が上昇し(ハンドル3側移動し)、可動接点30が固定接点23から離間する。これにより、スライドスイッチ4及び微小電流回路がOFF状態となる。
【0035】
また、左側に傾動していたハンドル3が右側に傾動するのに伴って、ハンドル3の突起18の左下端部がストッパー6に設けられた係合突起44の傾斜面45を押圧し、ストッパー6が磁石52の吸着力に抗してリセットコイル31との当接位置から離間位置まで摺動し、ストッパー6の可動鉄片50の当接片51がリセットコイル31のヨーク35の接触片34から離間する。
【0036】
また、アクチュエータ22の上端面がハンドル3の左端部に設けられた鍔部17の下端に当接してハンドル3の左側への傾動が抑制され、可動接点30が固定接点23から離間したOFF状態が保持される。
【0037】
次に、通電OFF操作について説明する。
【0038】
図1に示されるようにハンドル3が左側に傾動した状態から、スイッチ装置1の外部に設けられた電圧源からコイル端子38を介してリセットコイル31に一定電圧を印加する。これにより、ストッパー6の可動鉄片50に収納された磁石52の磁界を打ち消す方向の磁界がリセットコイル31のコイル巻線32の周りに発生し、磁石52の吸着力を低下させる。これに伴って、コイルスプリング27の付勢力によりアクチュエータ22及び可動接点30が上昇し(ハンドル3側に移動し)、図1に示されるように、可動接点30が固定接点23から離間する。これにより、スライドスイッチ4及び微小電流回路がOFF状態となる。
【0039】
また、アクチュエータ22の上端面がハンドル3の左端部に設けられた鍔部17の下端部を押圧し、左側に傾動していたハンドル3が右側に傾動する。これに伴って、ハンドル3の突起18の左下端部がストッパー6の係合突起44の傾斜面45を押圧し、ストッパー6がリセットコイル31との当接位置から離間位置まで摺動し、ストッパー6の可動鉄片50に設けられた当接片51がリセットコイル31のヨーク35に設けられた接触片34から離間する。
【0040】
また、アクチュエータ22の上端面がハンドル3の左端部に設けられた鍔部17の下端に当接してハンドル3の左側への傾動が抑制され、可動接点30が固定接点23から離間したOFF状態が保持される。
【0041】
なお、このようにONからOFFに切り替えた微小電流回路を再びONにする場合には、ハンドル3が右側に傾動した状態から、ハンドル3の操作面16の左側部分を押圧し、ハンドル3を再度左側に傾動させる。これにより、ハンドル3の左端部に設けられた鍔部17の下端部がアクチュエータ22の上端面を押圧し、アクチュエータ22及び可動接点30がコイルスプリング27の付勢力に抗して下降し(反ハンドル3側に移動し)、可動接点30が固定接点23に摺動接触して、スライドスイッチ4及び微小電流回路が再度ON状態となる。また、磁石52の吸着力によりストッパー6がリセットコイル31との離間位置から当接位置まで摺動し、ストッパー6の可動鉄片50に設けられた当接片51がリセットコイル31のヨーク35に設けられた接触片34に再度当接し、可動接点30が固定接点23に摺動接触したON状態が保持される。
【0042】
本実施形態では上述の如く、可動接点30を固定接点23に対して摺動接触させるいわゆるスライドスイッチ4をスイッチ装置1の内部に搭載し、このスライドスイッチ4を微小電流回路に取り付けている。そのため、上記した摺動接触により、可動接点30と固定接点23の表面がセルフクリーニングされ、接点表面に付着した異物、酸化被膜等を拭い去ることで、スイッチ装置1の導通不良を防ぐことができる。
【0043】
また、従来は、異物、酸化被膜等によるスイッチ装置1の導通不良を抑制するために、スイッチ装置1を防塵カバー、防水カバー等で被覆していたが、上記したスライドスイッチ4のセルフクリーニング作用により、防塵カバー、防水カバー等を用いなくても、スイッチ装置1の接点表面を清浄に保つことが可能となる。
【0044】
また、スライドスイッチ4においては、可動接点30と固定接点23の接圧が一定であり、ハンドル3のON/OFFといった外部操作荷重の影響を受けない。このため、適切な接圧であれば、経時的な導通不安定を引き起こすことが無く、高い接触信頼性が期待できる。特に、本実施形態では、固定接点23が上下方向に設けられ、且つ、可動接点30が上下動するように構成されており、微小電流用固定接点23の形成方向と可動接点30の往復動の方向が平行である。そのため、接圧をより一定に保ちやすい構造となり、接圧の安定性をより高めることが可能となる。
【0045】
また、本実施形態では、可動接点を固定接点に対して上下動させるスライドスイッチ4を用いることで、可動接点30を固定接点23に対して水平動させるスライドスイッチ4を用いる場合や、いわゆるリベット型の接点を備えたスイッチを用いる場合と比較して、スイッチ装置1の横幅を大幅に小さくすることが可能となる。
【0046】
また、本実施形態では、リセットコイル31を備えたリセット機能付きロッカースイッチの内部にスライドスイッチ4を搭載しており、必要に応じて手動OFF操作と通電OFF操作を使い分けることができるように構成されているため、スイッチ装置1の使用性を高めることが可能となる。また、通電OFF操作時には、外部に設けられた電圧源からリセットコイル31に電圧を印加することによりスライドスイッチ4を強制的にONからOFFに切り換えることができるため、一定時間操作しない状態が続いた場合のオートパワーOFF動作や異常検知時の安全対策にも対応可能である。
<第2の実施形態>
以下、図3を用いて、本発明の第2の実施形態に係るスイッチ装置1について説明する。なお、スイッチ装置1は、設置された向きや角度によって上下左右の向きが相違するが、便宜上、図3における図面手前側を前側として説明する。
【0047】
スイッチ装置1は、いわゆるロッカースイッチであって、有底箱状のケース2と、ケース2内の上部に配置されたハンドル3と、ハンドル3の左下方に設けられたスライドスイッチ4と、ハンドル3に上端が固定されるとともに下端に摺動子54が装着されたスプリング55と、を備えている。
【0048】
ケース2の構成については、凹部8の下面9の右端部に取付穴12が設けられていない点を除き、上記した第1の実施形態の場合と同様であるため、記載を省略する。第1の実施形態では、ケース2の下面9に連結体5が固定されていたが、第2の実施形態では、ケース2の下面9に載置台56が固定され、この載置台56の上面中央には、上面に断面半円弧状の凹溝57が設けられたベース58が固定されている。
【0049】
上記した第1の実施形態では、ハンドル3の下面9に突起18が設けられていたが、第2の実施形態においてはハンドル3の下面9に突起18が設けられていない。一方で、第2の実施形態においては、ハンドル3の下面9の左右方向中央に固定部60が設けられ、この固定部60に、スプリング55の上端が固定されている。ハンドル3のその他の構成については、前記第1の実施形態の場合と同様であるため、記載を省略する。
【0050】
スライドスイッチ4の構成については、上記した第1の実施形態の場合と同様であるため、記載を省略する。
【0051】
摺動子54は、上面の中央にスプリング55の下端が連結され、摺動子54の上部両側には左右両突部61が設けられ、摺動子54の下部には下方に向かって弧状に湾曲する摺接面62が設けられている。この摺接面62は、ベース58の凹溝57と曲率を略同一とされており、摺動子54の摺接面62をベース58の凹溝57に摺接させることで、摺動子54がベース58に左右に揺動可能に支持され、これに伴ってスプリング55が左右に屈曲可能となるように構成されている。
【0052】
上述の如く構成されたスイッチ装置1を用いて、スライドスイッチ4が取り付けられた微小電流回路(図示せず)をONからOFFに切り替える動作について説明する。
【0053】
図3は、ハンドル3が左側に傾動した状態を示している。この状態では、ハンドル3の左端部に設けられた鍔部17の下端部がアクチュエータ22の上端面を押圧しており、アクチュエータ22及び可動接点30がコイルスプリング27の付勢力に抗して下降し(反ハンドル3側に移動し)、可動接点30が固定接点23に摺動接触している。従って、スライドスイッチ4及び微小電流回路はON状態である。また、スプリング55が右側に屈曲するとともに摺動子54が右側に揺動して、可動接点30が固定接点23に摺動接触したON状態が保持されている。なお、この状態において、摺動子54の右側部に設けられた突部61の右下端部が、ベース58の上面に当接している。
【0054】
この状態から、ハンドル3の操作面16の右側部分を押圧すると、図3に二点鎖線で示されるように、左側に傾動していたハンドル3が右側に傾動する。これに伴って、コイルスプリング27の付勢力によりアクチュエータ22及び可動接点30が上昇し(ハンドル3側移動し)、可動接点30が固定接点23から離間する。これにより、スライドスイッチ4及び微小電流回路がOFF状態となる。また、スプリング55が左側に屈曲するとともに摺動子54が左側に揺動して、可動接点30が固定接点23から離間したOFF状態が保持される。なお、この状態において、摺動子54の左側部に設けられた突部61の左下端部が、ベース58の上面に当接している。
【0055】
なお、このようにONからOFFに切り替えた微小電流回路を再びONさせる場合には、ハンドル3が右側に傾動した状態から、ハンドル3の操作面16の左側部分を押圧し、ハンドル3を再度左側に傾動させれば良い。
【0056】
本実施形態では上述の如く、スプリング55を用いることで、リセットコイル31を使用することなくスライドスイッチ4のON/OFFの切換及び左右への傾動状態の保持が可能となる。そのため、スイッチ装置1の構成を簡易にして、廉価な製品を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1 スイッチ装置
3 ハンドル
4 スライドスイッチ
6 ストッパー
22 アクチュエータ
23 固定接点
27 コイルスプリング(付勢部材)
30 可動接点
31 リセットコイル
52 磁石
55 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に傾動可能に設けられるハンドルと、
該ハンドルの傾動に伴って往復動作する可動接点と、該可動接点の往復動作に伴って該可動接点と摺動接触又は離間する固定接点と、を有するスライドスイッチと、
を備えていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
外部から電圧を印加されるリセットコイルと、該リセットコイルとの当接位置と離間位置との間で摺動可能且つ前記ハンドルが当接可能なストッパーと、該ストッパーを前記リセットコイルとの当接位置に吸着可能な磁石と、を備え、
前記スライドスイッチは、一端部に前記ハンドルが当接するとともに他端部に前記可動接点が設けられたアクチュエータと、該アクチュエータを前記ハンドル側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記ハンドルを一方側に傾動させると、前記ハンドルが前記アクチュエータを押圧し、該アクチュエータが前記付勢部材の付勢力に抗して反ハンドル側に移動し、前記可動接点が前記固定接点に摺動接触するとともに、前記磁石の吸着力により前記ストッパーが前記リセットコイルとの離間位置から当接位置まで摺動することにより、前記可動接点が前記固定接点に摺動接触したON状態が保持され、
前記ハンドルを他方側に傾動させると、前記付勢部材の付勢力により前記アクチュエータがハンドル側に移動し、前記可動接点が前記固定接点から離間するとともに、前記ハンドルが前記ストッパーを押圧し、該ストッパーが前記磁石の吸着力に抗して前記リセットコイルとの当接位置から離間位置まで摺動することにより、前記可動接点が前記固定接点から離間したOFF状態が保持されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
外部から電圧を印加されるリセットコイルと、該リセットコイルとの当接位置と離間位置との間で摺動可能且つ前記ハンドルが当接可能なストッパーと、該ストッパーを前記リセットコイルとの当接位置に吸着可能な磁石と、を備え、
前記スライドスイッチは、一端部に前記ハンドルが当接するとともに他端部に前記可動接点が設けられたアクチュエータと、該アクチュエータを前記ハンドル側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記ハンドルを一方側に傾動させると、前記ハンドルが前記アクチュエータを押圧し、該アクチュエータが前記付勢部材の付勢力に抗して反ハンドル側に移動し、前記可動接点が前記固定接点に摺動接触するとともに、前記磁石の吸着力により前記ストッパーが前記リセットコイルとの離間位置から当接位置まで摺動することにより、前記可動接点が前記固定接点に摺動接触したON状態が保持され、
外部から前記リセットコイルに電圧を印加することにより前記磁石の吸着力を低下又は消失させると、前記付勢部材の付勢力により前記アクチュエータがハンドル側に移動し、前記可動接点が前記固定接点から離間するとともに、前記アクチュエータが前記ハンドルを押圧し、前記ハンドルが他方側に傾動して前記ストッパーを押圧し、該ストッパーが前記リセットコイルとの当接位置から離間位置まで摺動することにより、前記可動接点が前記固定接点から離間したOFF状態が保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
一端部が前記ハンドルに固定されて左右に屈曲可能なスプリングを備え、
前記スライドスイッチは、一端部に前記ハンドルが当接するとともに他端部に前記可動接点が設けられたアクチュエータと、該アクチュエータを前記ハンドル側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記ハンドルを一方側に傾動させると、前記ハンドルが前記アクチュエータを押圧し、該アクチュエータが前記付勢部材の付勢力に抗して反ハンドル側に移動し、前記可動接点が前記固定接点に摺動接触するとともに、前記スプリングが他方側に屈曲することにより、前記可動接点が前記固定接点に摺動接触したON状態が保持され、
前記ハンドルを他方側に傾動させると、前記付勢部材の付勢力により前記アクチュエータがハンドル側に移動し、前記可動接点が前記固定接点から離間するとともに、前記スプリングが一方側に屈曲することにより、前記可動接点が前記固定接点から離間したOFF状態が保持されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate